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主にゲームと二次創作を扱う自称アングラ系ブログ。 生温い目で見て頂けると幸いです、ホームページもあるよ。 http://reverend.sessya.net/
2011/05/20 (Fri)16:46
 なんというかまあ、世間一般での評価は高いものの、自分的にはあんまり面白くなかった作品。

 そもそも、戦う理由も目的もよくわからないまま命令ばっかりされて最後まで漠然と進んでしまうというシナリオデザインはどうにかならなかったのか。バックストーリーは確かによく出来てはいるが(ただし「FPSにしては」という但し書きがつく、それも特別出来が良いわけではない。「無名の兵士が偶然に、と思いきや実は…」系はFEARが先にやっているし、人間的な感情に訴える部分が大きいぶん、FEARのほうが出来は良いと思う)、それが実際のゲームプレイと剥離しているのは問題だ(シナリオの出来が、ゲームプレイの面白さに直結していないということ)。

 バイオショックの特徴の一つであるRPG要素も、あまり上手く機能しているとは思えない。すくなくとも、デウスエクスあたりと比較すると…デウスエクスの製作者であり、本作の原型ともいえるシステムショックを手がけたウォーレン・スペクターはもともとTRPGのファンで、彼の手がけたゲームにおいて見かける「RPG要素」というのは「ロールプレイ」のための舞台装置だった。しかしバイオショックの「RPG要素」はあくまで「コンピューターゲームにおけるシステムとしてのRPG」を利用したものでしかなく、プレイヤーに感情移入させるというよりはただシステムを煩雑化させるに留まっている。

 加えて本作品のストーリーは、主人公が戦う理由がとにかく薄い。わけのわからないまま狂人どもを殺戮し、ゲーム中盤で自分の出生の謎が明かされるものの、それと自分が今後戦う理由がまったく結びつかない。「なんで戦わなきゃいけないの?他に選択肢はないの?」といった疑問に対する解答がそもそも用意されておらず、「おまえは言われた通りに殺人やってりゃいいんだよ!」という製作者のスタイルが登場人物の声として如実に現れている。

 あとは道中で音声ログを拾ってストーリーに関する情報を得られるのだが、ゲームプレイ中に大量に出くわすことになるそれらは細部の謎を解き明かすというより、必然性のない登場人物の感情的な独白でしかないものが9割以上を示すので、聞いてて正直げんなりする。

 問題なのは、それらの音声ログは聞いててあまり面白くない、ということだ。たとえばメトロ2033の住民の会話などは哲学的かつユーモラス(あるいは、人間的な感情に訴えるもの)で、聞いていて感慨深いものがあったが、バイオショックの音声ログは登場人物のたんなる独り言(しかも、エゴ丸出し)なので、「ハァ、そうですか…だからなに?」という以上の感想を持つことができなかった。

 FPSとして何より問題なのが、戦闘がつまらないこと。戦闘システムそのものが悪いとは思わなかったが(なにより個人的に、プラスミドを駆使した戦闘は本作で一番よく出来ている部分だと思う)、とにかく敵であるスプライサーの設定が練られていない。

 どうにも「凶器に陥った人間のなれの果て」というよりは「ただの変人」「根っからのキジルシ」といった感じで、延々戦闘を繰り返していくうちにどんどん虚しくなってくる。戦っていて楽しい相手ではないのだ、要するに。

 倫理感に縛られることのない「ラプチャー」という環境があったらばこそ、というのは理解できるが(あとはADAMの影響か)、そもそも主要登場人物からして「ラプチャーのせい」というより元から人格に問題があったような連中ばっかりなので、キジルシが自発的に集まったコミュニティに自分一人だけマトモな状態で放り込まれたような居心地の悪さだけがつきまとう。

 バイオショックというゲームを簡潔に評すれば、「他人に命令されるがままガイキチをひたすら殺戮していくゲーム」ということになる。戦闘が避けられないゲームデザインなので言い逃れはできまい。とにかく、個人的には最後までプレイするのが苦痛なゲームだった。

 最後に、ビッグダディとリトルシスターに関してだが、これは特別言及するような要素でもないので多くは語るまい(キャラクター造型は魅力的だと言っておく)。ADAMを搾取するか救出するかの利益関係がハッキリしないのはどうなんだろうか。搾取するほうが明らかにゲームプレイ上は有利になるのならまだしも、そうではないので、いまいち外道な手段を使ってまで搾取する必要性がないのは問題だ。どうにも救出を想定したゲームデザインらしいので、わざわざ選択肢を選ばせる意味があったのかというそもそもの疑問が浮かぶ。

 このゲームは万事がそんな調子だ。不要な選択肢でゲームプレイを水増ししたものの、結局どんなスタイルでプレイしようが感覚が変わらない。アイテム探索にしても、所持数制限が厳しいので丁寧にすべてのエリアを探索しているとアイテムが余りまくるという、よくわからない結果になる。探索などせず一直線にシナリオを追っても困らないのだな、要は。ただ面倒なパズルゲームでしかないハッキングなど、一度たりとこなさずともまったく困ることはない。

 凄いゲームを作りたいという意気込みは伝わるものの、いまいち焦点が合っておらず、ちぐはぐなバランスのゲームという印象が強く残る作品だった。たしかにシナリオは興味深い。美術関係には目を見張るものがある。ただし、このゲームではそれらがゲームプレイの面白さとはまったく噛み合わない形で突出しているのだ。要するに、そういうことだ。
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