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主にゲームと二次創作を扱う自称アングラ系ブログ。 生温い目で見て頂けると幸いです、ホームページもあるよ。 http://reverend.sessya.net/
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2013/05/05 (Sun)04:33


「体毛染色機能?」
『ええ。正確に言えば染色ではなく、根元にある発光体の色を変えるだけなのですが。あなたの髪はガラス繊維製で、素材そのものは無色透明なんですよ』
 雲天の頂から帰還したリアは、コロールの街を歩きながら、自らの脳内に埋め込まれた思考支援チップ<TES-4>…通称フォースと会話していた。
 会話と言っても直接言葉を口に出すわけではなく、リアの思考プールと支援チップの間で電気信号のやり取りをするだけなので、会話に費やされる実時間はほぼ一瞬だ。
 いままで次空転移した際の後遺症でほとんどの機能に障害が残っていたリアは、自らの機体(ボディ)にこのような機能が付与されていたことに驚きながらも、早速その機能を試しているのであった。
 青くなびく髪を揺らしながら、リアはふたたびフォースに信号を送る。
「ところで、なにゆえにこのような機能が?ファッションか?」
『擬装用…とも思えませんね。おおかた開発部の思いつきでしょう、デモンストレーションのつもりだったんじゃないですか』
「対外向けのPRか。ますますこの機体を製造したのが誰なのか気になるな、おぬしは知らんのか」
『禁則コードに抵触します』
「フン」
 なにかっていうとすぐこれだ、フォースはリア以上にリアのことを知っているが、そのことについて質問すると『現在進行中の任務に支障が出る可能性があるため答えられない』と言うのだ。
 だいたい、その『任務』そのものに関する説明すら拒否するのだ、いったいどうしろというのか。
「まあ、よいわ。とりあえず、グレイ・メア亭にでも向かうかのー。あの酔っ払いの若造でもからかって遊んでやるとするか」
『あの。ところで、あなたを危険に晒した魔術師の処遇についてはどうなさるおつもりで?』
「ああ、そのことか。それなら前もって手は打ってある。抜かりはないぞい」
『はぁ…』
 いたずらっぽく笑みを浮かべるリアに、フォースはため息に似た声を上げる。

  **  **  **

「おーい、酔っ払い小坊主ー。元気しとるかー?」
「俺は酔ってなんかねぇよ。これが酔っ払いの顔に見えるってのか、えぇ~?」
「茹でダコみたいな赤ら顔で言われても説得力ないわい」



 酔っ払いの聖地として近隣住民から嫌われている安宿グレイ・メア亭にて。
 リアはこの店の常連である若者レイナルド・ジェメインに会いに来ていた。ちなみに、以前ゴブリンに農場を荒らされて困っているところを助けたオディール兄弟の父ヴァルスもいたが、そっちは無視。
「…髪が青く見える」
「酔ってるのか、酔ってないのかわからんやつよの」
 安物のビールで満たされたマグカップから顔を上げたレイナルドが、リアの髪を見て驚きの声を上げた。
 もとよりシロディールでは染髪という習慣がないのだろう、リアが元いた世界でも、ファッションで髪を染める文化が認知されるようになったのはごく最近のことだ。
「でーおぬし、なにか困り事があると言うておったろう?この大聖母の如き慈悲深さを持つワシがドバンと解決してやるから、なんでも言ってみんしゃいというのだ。ホレホレ」
「うわーやめろ頬を引っ張るなー。オバンに解決するとか言われてもうれしくねー」
「ドバンと解決だと言うのだ、この痴れモノがーッ!」
「うぎぎぎーっ!」
 思わずレイナルドの両頬をつねるリア。
 そのとき、リアの肩に何者かが手をかけた。店主のエムフリッドである。
「あのー」
「うん?」
「何も注文しないんだったら、他のお客様の迷惑になるから出て行ってほしいんだけど?」
 ニコリ。
 リアは彼女の営業スマイルの奥に、たしかな怒りが秘められていることをエモーション・センサー越しに知覚する。
 これ以上長居をすると、間違いなく出入り禁止にされそうな雰囲気だった。

  **  **  **

『結局あそこへは何をしに行ったんですか、あなたは』
「なに、ちぃとした暇潰しじゃ。本当は、あの小僧っ子を煩わせている問題がなんなのか、いま1度確認したかったんじゃがのー。でもまあ、だいたい憶えてはいるから、よしとするわい」
『はぁ…』
 なにも成果がないままコロールを出立したリアに、フォースはいささかの不安を覚える。
 もっとも、当のリアはフォースの懸念などお構いなしのようだ。
「あの小僧、レイナルド・ジェメインというたか。どうやらシェイディンハルに偽者…というか、よく似た人物がおるらしくての。道行く人すべてに『シェイディンハルで会った』と言われて参っておるそうだ」
『彼自身はシェイディンハルに行ったことは?』
「ない。らしい。ウソは言うておらんかった、自覚がないだけかもしれんが。とりあえずレイナルドの小僧は『偽者のフリをするのをやめさせてほしい』なんぞと言うておったが、そもそもその、そっくりさんがレイナルドを騙っている、ちう確証もないのじゃな、これ」
『シェイディンハルでレイナルドを見かけた、という人は、その良く似た男が自身をレイナルドと名乗ったと証言したのでは?』
「や、そういう話ではなかったの。皆が皆、たんに遠目で見ただけでレイナルドと判断して、声はかけなかった、そういう事情らしいのじゃな。だもんじゃから、ワシは偽者ではなく、よく似た人物、そっくりさんと言うておる」
『なんだか面倒な話ですね。なぜ、この案件を気にかけるのです?あなたに得はないでしょう?』
「なに、若者の面倒を見るのは年寄りの仕事じゃて。年金暮らしにあぐらをかいてパチンコ打つだけの余生というのもつまらんじゃろう」
『またわけのわからないことを…』
「それはともかく、ここからシェイディンハルまではちと遠いんじゃよな。ワシは機械じゃし疲れはせんが、時間がかかるのは如何ともし難いのー。おぬし、なんぞ妙案などはないか?車を呼び出すとか、航空支援を要請するとか」
『わたしをなんだと思ってるんですか。馬に乗れば良いのでは?』
「この重い機体だと、背に跨ったとたん馬が暴れだしてのー。まともに利用できん、そんなのはとっくに試したわい」
『そうですか…ああそうだ、そういえば』
「なんじゃ」
 出し抜けに提案が思い浮かんだような態度を取るフォースに、リアはいささかの不安を覚える。
 …なにか、ろくでもないアイデアではないだろうな。
 そんなリアの懸念を、フォースはまったく裏切らなかった。
『あなた、2輪車に変形できますよ』
「……は」
『あなたに内蔵されている強力な発電機構を利用してですね、2輪駆動体としての活動が可能になっています。そもそも設計段階からこうした運用を想定していて、2足歩行形態と2輪駆動形態とでパーツに無駄が出ないよう、極限まで互換性を持たせたデザインになっているんですよ。これは画期的な技術で…なぜ黙っているのです』
「バッカじゃなかろうか」
『は?』
「いや、なんでもない。…マジなのか…まぁ、いいわい。それじゃあ、早速その2輪駆動形態とやらにシフトしてみるかの」
『お待ちください。いまの状態のまま変形すると深刻な副作用が』
「深刻な副作用?」
『服が破れます』
「おおう」



 リア自身に羞恥の概念はないのだが、いざシェイディンハルに到着したときに全裸だと体裁が悪いし、予備のドレスも持っていなかったので、念のため人気のない岩陰で服を脱ぎ、トランクにしまいこむ。
 さて、とリアは姿勢を正し、変形プロセスを起動した。
『変形プロセス起動、現在コマンダーの承認待ちです。…レディ?』
「レディ」
 ガキン、リアの胴体が展開し、各部が次々と構造を変化させていく。



『変形プロセス完了、2輪駆動形態にシフトしました』
「なんじゃあこりゃああぁぁぁぁぁっっっ!!」
『如何なされました?』
「原型が残っておらんではないかぁぁぁっ!どれだけデタラメな技術じゃあぁぁぁっ!!」
『なにか不都合でも?』
「いや、そーいう問題ではなくてな?」
 バチバチ、と微量の電力を放出しながら、2輪駆動形態…早い話がバイクに変身したリアは、このあまりに理不尽な現象に頭を抱える。というか、抱える頭がどこにあるのかすら把握できない有り様だ。
 フォース曰く、髪の毛は配線に、眼球はセンサーに、頭蓋は発電機のタンクに…など、この形態において身体のパーツだったものはまったく違う用途に使われているらしく、『とても合理的な構造』であるらしい。
「…まあ、いいわい。あまり深く考えても仕方がないもの」
『そうですよ。便利に立ち回れるならそれでいいじゃないですか』
 いささか(というか、かなり)釈然としない部分が残るものの、リアは「これはこういうものだ」と割り切ると(自分の身体のことだというのに!)、一路シェイディンハルへと向かった。

  **  **  **



 ガゴンッ!
「プギィィィィッッッ、イイイギィィィイイイッッッ!!」
『リア、あの…リア、ちょっと!待ちなさいゼロシー!』
「ん、なんじゃ?」
『スピードを出し過ぎです!今なんか轢きましたよ!?』
「鹿か?」
『鹿じゃありません!北海道じゃあるまいし!』
「じゃあ、なんじゃ」
『猪です!』
「北海道か」
『違います!』 
 白煙を上げ、大気との摩擦で発生した電気の尾を引きながら爆走するリアを、フォースが必死に咎めたてる。
 ちなみに白煙といっても、これはあくまで走行の際の舞い上がったチリやホコリ、あるいは砂であって、排気ガスではない。そもそものエネルギー源が電気なので、環境に優しい造りではあるのだが。
『そもそも、こんなハイスピードで走って現地民に警戒されたらどうするんですか!』
「トロトロ走ってても同じことだと思うがのー」



「ほい到着っ!」
『ゼロシィィィィッッッ!!もうちょっと警戒してくださいーーーッ!!』
 かくしてシェイディンハルに到着したリアだった…が、2輪駆動形態のまま門までやって来たために、衛兵があからさまに警戒体勢を取っている。
「な、な、な、なんだコレはーッ、新種のデイドラかッ!?」
「おー、いかん」
 寸でのところで矢に射られそうになったリアは踵を返すと、そのまま木陰に向かって爆走した。
 その後、きちんと2足歩行形態に戻ってからシェイディンハルを訪れたのは言うまでもない。ただし今度は裸のまま入ろうとして、危うく全裸形態を衛兵に見つかりそうになったところでフォースに咎められたりはしたのだが。

  **  **  **

「シェイディンハルにとうちゃーく」
『……ハァ』
 朗らかな表情を見せるリアとは対照的に、フォースがやけに気疲れしたような声を上げる。
 ただのAIのくせに。
「さて、さっそく聞き込みをしても良いんじゃが…実際、あんまり急ぎ解決せねばならんような案件でもないしのー」
『なら徒歩で来ても良かったじゃないですか…』
「なんじゃ、妙に低いトーンで話しよってからに。それにバイクで移動できると言ったのはそっちであろう」
『もうちょっと慎重に行動すると思ってたんですよ、あなたはっ!』
「バカが見るー、ブタのケツー。モヒカンが見るー、国王号のケツー」
『突っ込みませんよ』
「ちぇー」
 冷たくあしらうフォースに、リアは不服そうに唇を尖らせる。
 とりあえず宿を予約し、しばらく観光したのちローランドのそっくりさんを探そう、という方針で活動することにしたリアは、さっそくシェイディンハルの街に入ってすぐの場所にあるニューランズ旅館に向かった。
 だが……

  **  **  **

「なんじゃ、すぐに見つかってしまったではないか」
『まったくですね』



「どうかしたかい、お嬢さん?」
 ニューランズ旅館の待合室にて、暖炉の前で軽食を取っていた男はまさしくレイナルド・ジェメインにそっくりだった。
「外見だけでなく服装のセンスまでクリソツとはのー。そりゃあ、本人と間違われもするわい」
「いったい、さっきから何の話をしているのかな?」
 リアの言葉に、レイナルドそっくりの男が首をかしげる。
 どうやら、彼自身はレイナルドを取り巻く諸問題を一切関知していないらしい。もし自分に瓜二つの容姿の人間がいるとわかっていれば、それらしい言葉を聞いただけで何らかの反応を示すはずだ。
 あるいは、何か企みがあって素知らぬフリをしているだけなのか。
「突然で悪いが、ノックしてもしもーし、おぬし名はなんと申す」
「それ自分がまず名乗るべき台詞じゃ…まあいいや、僕はギルバート。ギルバート・ジェメイン。君の名前は?」
「ワシはHEL-00c、皆からはリアと呼ばれておる」
「なにそれ、新手の厨二病?」
「やはりそーいう反応になるかのー」
 まるっきり真面目に取り合おうとしない男に対し、リアは苦笑いした。
 しかし、ギルバート・ジェメインだと?
 同姓とは、もしや親族かなにかか?だとしたら、むしろその可能性を示唆しなかったレイナルドのほうに落ち度があるように思えるのだが…しかしまあ、酔っ払いに何を期待しても無駄か。
「ところでおぬし、レイナルド・ジェメインという名に聞き覚えはあるかの?」
「レイナルド?……いや、知らないな」
 リアの質問に対し、ギルバートはたっぷり10秒ほど思案してから返答した。
 そのときの表情の変化を解析したフォースが、リアに耳打ちする。
『彼、ウソをついてますね』
「まぁ、予想された反応ではあるがの。致し方あるまい」
 それまで椅子にかけていたリアは立ち上がると、ドレスをぱたぱたとはたきながら、ギルバートに向かって言った。
「じつはコロールにレイナルド・ジェメインという、おぬしのそっくりさんがおってな。自分はシェイディンハルになど行ったことがないのに、人に会うたびシェイディンハルで見かけたと言われるのでほとほと困っている、なんとかしてくれ、と頼まれたのだが。おぬしが何も関知しておらん以上、ここに長居をする意味はないかの」
 そして、ギルバートに背を向ける。
「や、手間をかけさせてスマンかったな。邪魔したの」
「待ってくれ」
 踵を返して立ち去ろうとするリアを、ギルバートが呼び止めた。
「さっきは、その…ウソをついた。すまなかった、レイナルドは僕の…生き別れた兄の名前なんだ」
「ほう、生き別れの、とな。レイナルドはそのような話はしなかったがの」
「なにせ昔の話だから。できれば、僕を彼のところまで連れて行ってくれないか?」
「それはいいが」
 ニヤリ、リアは意地の悪い笑みを浮かべた。
「さっきはなぜウソをついた?」
「まさか、いまさらレイナルドの名前を聞くことがあるとは思ってなかった。新手の詐欺か何かかと思って、その…気が動転したんだ」
「これだから人間は面白い」
 この非合理な存在よ。
 そう言うと、リアは繰り返し笑った。もちろん、ギルバートには「こじらせた厨二病」としか思われなかったが。

  **  **  **

「できれば、急ぎたいんだが…馬車じゃ駄目なのかい?」
「イヤ、どうもわし馬と相性が悪いらしくての」
「馬が怖いとか」
「アホ抜かせ」
 つい最近、似たようなやり取りをしたような…
 そんなことを考えながら、リアは馬車を借りようとするギルバートをどうにかして思い留まらせようとしていた。
 もちろん、それにギルバートは反対してくるわけで。
「できるだけ急ぎたいのに、シェイディンハルからコロールまでわざわざ徒歩で移動するとかわけがわからないよ!」
「えぇい、ナマっちろい練り物みたいな台詞を抜かすな!きさま健康優良男児であろうが、健脚という言葉を知らんか!それに、急がずともレイナルドは逃げゃーせんわい!」
「非合理だ!」
「…しゃあーないのー」
 しばらく歩いたところでリアは立ち止まると、ギルバートに「ビシィ」と指を突きつけ、言った。
「わしがこれから乗り物を用意してやるから、ちぃと待っておれ。あと、わしが『良い』と言うまで絶対にこっちを見てはならんぞ」
「なに、小用?」
「ちがわいっ!とにかくこっちを見るなというのだ!」
「恩返しなら間に合ってるよ?」
「わしゃ鶴かっ!」
 ギルバートとノリツッコミを繰り返しながらも、リアはどうにかして岩陰に隠れる。
 間もなく、リアが隠れた岩陰から「ギャキィィィン!!」という轟音とともにスパークが発生し、近くで様子を窺っていた野生動物たちが一斉に逃げ出した。
「な、なんだ?」
 あまりの異容に気を取られ、リアの言いつけをやぶって様子を見に行こうとするギルバート。
 しかし一歩足を踏み出したところで、目の前に黒い金属のカタマリ…2輪駆動形態に変形したリアが出現し、あやうく腰を抜かしそうになった。



「待たせたっ!」
「…キミ、さっきの女の子?」
『ゼロシー!あなたはもっと警戒すべきですっ!!』
 機体のマイク部分から音声を発するリアに、フォースが思わず抗議の声を上げる。
 どうやら、あまりに動揺するとリアのことを「ゼロシー」と呼んでしまうらしい、これがなにを意味するのかはわからないが……
 一方で、一応バイクをリアだと認識できたらしいギルバートが顔をしかめたまま質問した。
「えーと…どういうこと?」
「魔法じゃ!魔法で変身したのじゃ!」
「マジ?」
 この世界ではとりあえず説明のつかないものを「魔法だ」と言っておけば納得してもらえるだろう、というリアの認識はいささか短絡的に過ぎたが、それでも有効的なのは間違いない。
 下手に隠そうとしたり、あるいは無理に正確な説明をしようとすれば、そのほうが面倒事のきっかけになりかねないだろう。
「さぁ、遠慮せんと早ぅわしの背に乗るのじゃ!」
「大丈夫なのかい?ていうか、なんか小さくない?」
「贅沢申すな!」
 こうして、リアとギルバートの「バイクで行くシロディールの旅~シェイディンハルからコロール編~」がはじまったのであった。



「もうちょっとスピード、スピード落としてぁぁああああああっっっ!」
「如何した小童、おい小童ーーーっ!?」
 最初はリアがスピードの加減をできなかったため、ギルバートが振り落とされて危うく死にそうになったり、またしてもコロールの城下町へと続く門の目の前で停止したため衛兵に攻撃されそうになったりなどアクシデントはあったが……

  **  **  **

 なにはともあれ無事にコロールに到着した2人は、さっそくレイナルドが待つグレイ・メア亭へと向かうのであった。
「レイナルドは元気かい?その、健康を害したりはしていないかな」
「その点では心配ない。多少、アル中の気はあるがの」
「え~…」
 そんな話をしながら、ギルバートが入り口のドアノブに手をかけようとしたとき。
『テメーいい加減にしろコンダラーッ!』
『うるせークソババアーッ!俺のマグナムを喰らいやがれーッ!!』
 ガシャーン。
 なにかが割れるような音とともに、凄まじい怒鳴り声が聞こえてくる。
「なんじゃ、いったい…」
「まさか、レイナルドの身に何かが!?レイナルドーッ!!」
 なにか悪い予感がしたのか、ギルバートが勢いよく扉を開け放ち、グレイ・メア亭に突入する!



「兄貴ィーーーーーーッ」
 レイナルドが叫び声を上げる、その先にはッ!
 酔っ払ったまま全裸で暴れまわるレイナルドと、ブチ切れた店主のエムフリッドの姿があった!!
 傍らの席では、完全に酔っているヴァルス・オディールが「いいぞもっとやれー!」と歓声を上げている。
「これ以上調子こいてっとマジでブチ殺すぞこんクソガキャアーッ!」
「やかましー!裸だったら何が悪いーっ!」
 なんというか、幼少期に生き別れた親族を紹介できるような雰囲気ではない。
 およそ考えうる最悪の状況に思考回路がエラーを起こしそうになりながらも、リアはギルバートの心情が気になり、チラリと傍らの賓客の姿を盗み見る。
「やっぱりあんちゃんだー!本当に本物のあんちゃんだー!」
 ギルバートは、兄との再会に素直に感動しているようだ。
 どうしようもなくカオスな状況を前に、リアとフォースは誤差0.007秒の間を置いてほぼ同時に発声した。
「なにこれ」
『なにこれ』




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お久しぶりです。
blog再開しましたので、もしよければご覧下さい。
辺境の住人 URL 2013/05/06(Mon)17:01 編集
無題
おいすーお久しぶりです。
いちおうHPのlinkのページに反映させときました。
グレアム@ブッシュマン 2013/05/07(Tue)11:48 編集
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