主にゲームと二次創作を扱う自称アングラ系ブログ。
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2016/11/18 (Fri)03:22
帝都魔術大学の依頼でスキングラード領主ジェイナス・ハシルドア伯爵と接触したリアは、スキングラード城内で活動していた死霊術師たちを始末し、シロディール各地で死霊術師の活動が活発化していることを知らされる。
帝都へ帰還する途中でコロールの街に立ち寄ったリアは、カジートの女将が経営するオーク・アンド・クロージャー亭で休憩を取ることにした。疲れを知らぬ鋼鉄の身体とはいえ、駆動機関に負担をかけ続けるのは良いことではない。金属も磨耗はする。
料金の支払いを済ませ、女将のタラスマから鍵を受け取ったリアが二階の部屋へ向かおうとしたとき、奇妙な髪型の男が彼女へ話しかけてきた。
「そこの娘さん。じつは貴女に、折り入ってお話ししたいことがあるのですが、御手隙ですかな?」
「うむ?なんであるかな?」
貴族らしい身なりの初老のダンマーは、シロメのタンカードに注がれたワインをちびちびと口つけつつ、興味深いといった様子でリアを見る。
どうやらこの男は、こちらの素性を知ったうえで声をかけてきたらしい…とリアは察する。たんに、見知らぬ少女に適当に挨拶をしたわけではなく。
とはいえ自分はこの世界であまり大したことはしておらず、特定の役職についているわけではない。過去に関わったいずれかの事件が人目を引いた可能性はあるが、それが何であるかは見当がつかなかった。
とはいえ、その疑問はすぐに目の前の男…ファシス・ウレスが晴らしてくれたのだが。
「じつは貴女が最近関わった、ジェメイン家の一族について相談したいことがあるのですよ」
「ほう?」
ジェメイン…レイナルドとギルバートの兄弟だ。最近、彼らの生家であるウェザーレアを荒らしていたオーガたちをリアが退治し、兄弟が故郷を取り戻すのを手伝ったのだった。
ジェメイン兄弟はオーディル農園の親父に話を聞いてリアの実力を見込んだと言っていたが、もしウェザーレアでの一件が周知のことであるなら、このファシス・ウレスという男はリアに傭兵まがいの荒事を頼む気かもしれない。
いや、待て、とリアは思った。さっきのファシス・ウレスの台詞をメモリ・バンクからリピート再生し、「ジェメイン家の一族について」という言葉を確認した。
「おぬし、あの兄弟に何ぞ用かの?」
「誤解のないよう最初に言っておきますが、私があの兄弟に対して直接何かをする、それを望んでいる、ということはありません。話したいのは、彼らの父親のことについてです」
「父親?ギルバートを連れてウェザーレアから逃げ延びたと聞いたな…すでに亡くなっているそうだが」
「ええ、それは『我々』も把握しています。重要なのは、生前の彼が何者だったか、なぜウェザーレアのような危険な土地に家を建てたのか、です」
我々?
その言葉にリアは内心で眉をしかめる。これは組織ぐるみの動きなのか?ということは、目の前にいる男はたんなる連絡員に過ぎないということか…
なにより気になるのは、そういう動きができる組織が、いったいどういう理由であの無害な兄弟に関わろうとしているのか?という点だった。
ファシス・ウレスが言葉を続ける。
「兄弟の父アルバート・ジェメインは、ある道のプロフェッショナルとして我々の組織に雇われていました。そして我々から依頼を受け、『ある場所』から『ある物』を盗んだのです。しかし彼は掟を破り、それを我々に渡すことなく、自分の物にしてしまった。ウェザーレアに住居を構えたのは、我々と、コロールの監視の目から逃れるためだった」
そこまで言って、ファシス・ウレスは一度言葉を切り、リアを見つめた。
リアもファシス・ウレスをじっと見つめていた。そこに感情はなかったが、右手はいつでも武器を抜けるようにしていた。
荒廃したウェザーレア、離れ離れになった家族のことを思い、リアはぽつりとつぶやく。
「…主等か?」
「違いますとも。あれはレッドガード峡谷に住むオーガどもの仕業です。実際にウェザーレアが壊滅し、レイナルドと彼の母親がコロールに逃げ延びたのを確認するまで、我々は彼らがウェザーレアに居たことすら知らなかった。アルバートと彼の次男の消息が途絶え、彼らは助からなかったと判断したとき、我々はアルバートと、彼が盗んだものへの興味を失った…彼の死にしても、我々は決して喜んだりはしていない。たとえ、彼が我々を裏切ったとしてもね」
「ところが、死んだと思っていたギルバートが見つかったもので、また興味が沸いてきたというわけじゃな?」
「そうです。我々は一度、ウェザーレアを捜索していますが、アルバートが所持し保管していたであろう物品の数々については痕跡を掴めませんでした。おそらくはウェザーレアを襲ったオーガたちが自分たちの寝ぐらに持ち帰ったのでしょう。そこで貴女には是非とも、レッドガード峡谷へ向かい、アルバートが隠匿していたものを取り戻して欲しいのです」
「兄弟にはなにも知らせず、かえ。アルバートは…兄弟の親父殿は、盗賊だったのか?」
「そう考えていただいて結構です。おそらく兄弟はそのことを知らないでしょう、彼は自分の正体を隠すのが上手かった。自分の家族に対してもね」
だから、余計なことは考えないほうがいい…ファシス・ウレスはそう締めくくった。
なるほど、ジェメイン兄弟と関係があることには違いないが、直接の関わりはないわけだ、とリアはひとりごちた。おそらくは断ったところで、兄弟に被害が及ぶことはないだろう。彼らは何も知らないに違いないのだから。ファシス・ウレスも、組織の面子のために兄弟を痛めつけるような無益なことをやりそうには見えなかった。
だがリアには断る理由もなかった。そもそも目的があってこの世界に来たわけではないのだし、こんな面白そうな事件に首を突っ込まない手はない。
ウォン、ドガッッッ!!
『ゼロシーッ、またなにか轢きましたよ!?』
リアの知覚領域内で、自律型思考支援システム「TES4」通称フォースが叫ぶ。
コロール城壁沿いの人目がつかない場所で二輪駆動形態へ変身したリアは、一目散にレッドガード峡谷へと向かっていた。
軽合金製の車体に突き飛ばされ、宙を舞うトロールを後部カメラで確認しながら、リアはファシス・ウレスとの会話内容を反芻する。
そもそも彼と、彼が所属する組織がアルバートに盗ませたものは何か。
その肝心な部分をファシス・ウレスは教えようとしなかった。彼曰く、「見ればわかる」らしいのだが…
レッドガード峡谷の洞窟では、青白い肌をした巨体のオーガたちがひしめいていた。
とはいうものの、ウェザーレアで見かけた連中ほど強い個体ではないらしい。リアは両手にカタールを閃かせ、不敵な笑みを浮かべて立ち向かう。
「ひとまず、あの小坊主らの恨みを晴らしてやるとしようかの!」
リアが駆け出すと同時に、オーガたちが彼女の存在を認識し咆哮をあげる。
根っからの好戦的な種族なのだろう、あるいは縄張りに勝手に入られたことを怒っているのかもしれないが、戦う以外の選択肢は頭にないらしい。もっとも、こちらが相手を殺しにかかっている以上、それで問題はないのだが。
もとより平和的に宝だけ持ち出せると考えていたわけではない。
「フンッ!」
油圧式の金属骨格から繰り出される豪腕の一振りで、分厚い脂肪に包まれたオーガの腹が容易く切り裂かれる。
その後も次々とオーガが襲いかかってきたが、急所への精確にして強力無比な一撃はオーガたちを物言わぬ肉塊へと無慈悲に変えていく。
『グォォオオオォォォオオ!!』
「畜生めが、手間を、かけさすでない!」
洞窟最深部にいた巨体のオーガを始末したとき、周辺に脅威となる生物が存在しなくなったことをフォースが告げた。
『警戒ステータス、オール・グリーン。お疲れ様でした、ゼロシー』
「うむ。どうやらこのいっちゃんデカブツが、連中の頭目だったようじゃの」
頚椎に深々と突き刺した刃を引き抜き、リアはオーガの巨体から飛び降りる。
オーガたちの寝床を探し回り、リアは細々とした宝石や、ちゃちな金属細工に混じって、一振りの剣を発見した。
「どうやら、これのようじゃの」
それはコロール王家の紋章が刻まれた、エングレーヴ入りの黒檀剣。
なるほど見事な業物だ、装飾が美しいだけではなく、単純に武器として優れている。名剣と呼んで良いだろう。
「しかし、王家の紋章とはな…王族に伝わるものか?」
なるほど、たしかに、力のある組織が外部の人間を雇って盗ませるほどのものと考えれば納得はいく。それはアルバート・ジェメインが真に優れた腕を持つ盗賊だったことをも証明していた。
これを、そのままあの胡散臭い男に渡してしまって良いものか?
そうすれば、一応は丸く収まるのだろうが…
レッドガード峡谷の洞窟を出たあと、リアが向かったのはファシス・ウレスが待つオーク・アンド・クロージャー亭ではなく、ジェメイン兄弟がいるウェザーレアだった。
「おや姐さん、わざわざ会いに来てくれたんですか?」
「だからその姐さんという呼びかたはやめんかね」
愛想良く手を振って呼びかけるギルバートを咎めつつ、リアはウェザーレアの様子をぐるり見回して驚いた。
このあたりに住みついていたオーガたちを退治してから、まださほど時間が経っていない。にも関わらず、見るも無残だった廃墟は見る影もなくなり、きちんと補修された家に、畑までがきちんと手入れをされていた。
「じつは、折り入って話があっての」
「なんです?」
「主等の…父親についてじゃ。せっかくだから、中に入らんか?」
二人を促し、リアは兄弟が住む家へと入る。
荒れ放題だった屋内もすっかり綺麗になっており、失敗した日曜大工のような有様から、どこに売り出しても恥ずかしくないようなものになっていた。床に転がっている酒の空瓶が多いことに目を瞑りさえすれば。
この場所を取り戻してから、二人は血の滲むような努力をして土地を再建したに違いない。努力だけではなく、金もかかったはずだ。こうしてその価値があったと思わせる見た目になったのは、兄弟にとって何よりの慰めだっただろう。
聞けば、ときおりコロールへ買い物に行く以外は自給自足でやっていけるという話だった。
リアはすこしためらったあと、レッドガード峡谷の洞窟で発見した剣を二人に見せた。
「立派な剣だね、それをどこで手に入れたんだい?」
おそらくは自分たちと関係がある品だとは思っていないのだろう、ギルバートはまるで他人事のような感想を漏らす。
そんな彼に真実を口にするのは心苦しかったが、リアはギルバートの目をまっすぐ見つめたまま、ゆっくりと口を開いた。
「これはな、おぬしの父親がコロール王家から盗み出したものだ」
「……えっ?」
ギルバートの表情には笑みが張りついたままだった。リアの言葉があまりにも唐突で、突飛だったからだろう。冗談を言ったのか、自分が聞き違えたにちがいないという顔だった。
家に入ってからさっそくワインに手を出したレイナルドの動きも止まっていた。
やがてギルバートが、納得しかねるという顔で訊ねる。
「すまない、もう一度言ってくれないか。僕たちの父がなんだって…」
「主等の父は盗賊だった。ある組織に雇われて、この剣を盗みだしたのじゃ。ところがおぬしの父はそれを組織には渡さず、自分のものにした。ワシはの、それを取り戻すよう頼まれたのじゃ」
「待て、ちょっと…待ってくれ。なんだって?僕の父さんが盗賊?なにかの間違いでしょう?」
「いや」
「だって、そんな…僕たちの父は平凡な農夫で…」
「おぬしの父を雇っていた、ファシス・ウレンという男が詳しく話してくれた。おぬしの父は、正体を隠すのが上手かったと…ウェザーレアで起きたことも、ワシがおぬしらと関わったあとのことも、すべて知っておった。ヤツは嘘をついてはおらんかったよ」
相手の表情や声から感情を読み取るエモーション・センサーがそれをはっきり証明していた、とまでは言わなかった。相手が理解できないことを口にしても意味がない。
真実を知らされたギルバートは打ちのめされた様子でがっくりと肩を落とす。
「なんで…そんなことを僕に教えるんです」
「真実を知る必要があると思ったのじゃ。自分たちの父が何者であったのかを、知りたいと思って…」
「こんなことは望んでいなかった!僕は…僕の尊敬する父は、ただの平凡な農夫で、普通の人間だった!ずっとそう思っていたし、これからもそう思っていたかった、なのに!」
「す、すまぬ…」
完全に平静さを失い、わめき散らすギルバートに、リアは頭を垂れる。
そもそも二人に真実を伝えようとしたことに、深い考えはなかった。ただ、身内に関すること、その真実を知る権利があるだろうと、それだけのことである。
機械であるリアに家族はなく、血の繋がりという概念を知らぬリアにとって、人間が家族に向ける感情など未知の領域だ。ギルバートがこれほどまでに取り乱すことを、彼女は予測していなかった。
目に涙を浮かべ、なおもリアを責めようとするギルバートを止めたのは、兄のレイナルドだった。
「止めるんだ弟よ、姐さんだって辛いんだ。姐さんはいつだって俺たちのことを心配してくれていた…なのに、姐さんが嫌がらせでこんなことをするはずがないだろう?」
「…そうだ。その通りだ、兄さん。姐さんも、すまなかった」
普段はどうしようもない酔っ払いの飲兵衛である兄の説得を受け、ギルバートは驚くほど素直に事実を受け入れる。
しかしショックは癒えないようで、その場に座り込んでうなだれるギルバートのかわりに、レイナルドがリアに訊ねた。
「それで、姐さんはその剣をどうするつもりだい?」
「それはおぬしらが判断すべきことだと思う。そのためにワシはここへ来たのじゃ、この剣をおぬしらに託すためにな。この家に飾るもよし、あるいはファシス・ウレンという男のもとへ持っていけば、それなりの金を払ってくれるじゃろう。すくなくとも、おぬしらの父の責を負わせるような真似はせん、それはワシが保障する。また、本来の持ち主へ返すつもりであれば、ワシに言うといい」
「…すぐには決断できないよ。一晩だけ待ってくれないかな?」
「もちろんじゃ。いまさら急くこともあるまい」
その日、リアはジェメイン兄弟とともにウェザーレアの家で一晩を過ごした。
しかし彼女には、レイナルドがすでに決意を固めていたことなど知る由もなかった。また、その決断に重い責任が伴うということにも…
「大変だ姐さん、兄さんがいない!剣も!」
「なんじゃと!?」
翌朝、リアが機能を復旧させたときにはすでにレイナルドの姿は消えていた。
暖炉の上に、酔って震えた手で書いたであろう判読が困難な書き置きが残されている。
『剣をコロールに返してくる』
簡潔な文章ではあったが…それが意味することに、リアは激昂する。
「あんの…バカモノがッ!!」
おそらくレイナルドは父の罪を清算するため、一人でコロール城へ向かったに違いない。
犯罪結社の一員たるファシス・ウレスは父の罪を息子たちに背を負わせる気はなかったろうが、コロール政府はそうは考えまい。
城から、それも伯爵ゆかりの品を盗み出すことは重罪であり、二度とこのような事件が繰り返されないためにも、見せしめとして罪人の身内を処刑するというのはおおいに有り得ることだった。たとえ、レイナルド自身に非はないことをわかっていたとしても。
そしてレイナルド自身も、そのことは理解しているはずだった。だからリアとギルバートには黙って、一人で剣を返しに行ったのだ。
「あの馬鹿者め、ワシはなにも、こんなことを望んだわけではないぞ…ッ!」
もし兄弟が剣を持ち主に返すべきだと判断したのなら、そのときはリアが城へ剣を持っていくつもりだったのだ。もし盗品を返しにきたのがまったくの第三者であるなら、コロール政府としても無闇に誰かを罰するというような行動は取れない。
それも、レイナルドはわかっていたに違いない。そして彼は、自らの命と引き換えに、父が犯した罪にけじめをつけようと考えたのだ。
ぐずぐずしてはいられなかった。
ギルバートが制止する間もなく、リアはすぐさまコロールに向かった。
コロールへと到着したリアは城の外壁にセンサーを走らせ、牢獄の在り処を探り当てる。
「ここじゃな…」
壁越しにレイナルドが捕えられた牢屋を透視したリアは拳を振り上げ、城壁を粉砕する!
轟音とともに石造りの壁が倒壊し、城内がざわめきに包まれる。
「いったい何事だ!?」
衛兵隊が騒ぎたてるなか、独房にレイナルドの姿を発見したリアは鉄格子を無理矢理こじ開けると、重く頑丈な鉄格子を蹴り飛ばして衛兵にぶつけ、ノックダウンさせる。
当のレイナルドは普段通りのぼんやりした態度でリアに言った。
「あれぇ、姐さん。こんなところでどうしたの?」
「阿呆か貴様は!おぬしのせいで大変なことになったのだろうが、そら、逃げるぞい!」
「いいの~?」
「良いも悪いもない!ワシは、おぬしをむざむざ死なせるためにあんな話をしたのではないわっ!わかったら、しっかりついて来んかい!」
二人はリアがぶち破った壁の大穴を抜け、一目散にコロールから脱出する。
一方、宮殿内は大混乱に陥っていた。
なにごとかと問い詰めるアリアナ・ヴァルガ伯爵夫人に、衛兵が報告する。
「例の囚人が脱獄しました!どうやら外部の協力者の手引きによるものと思われ、いかなる手段を使ってか外壁を破壊され、そこから侵入されました!」
およそ信じ難いその報告に伯爵夫人が目を丸くする。
彼女の傍らに控えていた執事のレイス・ウォヴリックが指示を仰いだ。
「これはコロールの信用を揺るがす大事件です。すぐに追跡隊を編成し、ヤツを追いましょう!」
「待ちなさい。待って…その必要はありません」
「なんですと!?」
「おそらく彼らはウェザーレアへ逃げるつもりでしょう。あそこはコロールの管轄外です、いまから追跡隊を組織しても間に合わないでしょう。かつて、この剣が盗まれたときと同じね…でもいま、剣は帰ってきたことだし、それに、あの若者は処刑されるのを承知で、勇気をもって出頭してくれました。そんな若者の命を奪うのは、本来なら誰にとっても本望ではないでしょう?」
「しかし…」
「コロールはジェメイン兄弟を永久追放とし、この件は終わったものと判断します」
アリアナ・ヴァルガ伯爵夫人は毅然とそう言い放ち、立ち上がると、犯人の追跡に向かった衛兵たちをすべて城へ呼び戻し、他の罪人の逃亡阻止と、城の破損部分の片づけをするよう衛兵隊長に命じる。
不安そうな表情をするレイスに振り向くと、伯爵夫人は楚々とした笑みを浮かべた。
「城壁の修繕が終わるまでは、風通しが良くなりますね」
その頃、リアとレイナルドの二人は。
「姐さん、まだ着かないの?」
『うっさいわ!なんもかもおぬしのせいじゃろうが、まったくもう』
逆向きに座るレイナルドを乗せ、リアは一路ウェザーレアへと向かうのであった。
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