主にゲームと二次創作を扱う自称アングラ系ブログ。
生温い目で見て頂けると幸いです、ホームページもあるよ。
http://reverend.sessya.net/
2011/10/23 (Sun)06:28
http://reverend.sessya.net/gho3.html
↑勇者屋のアメコミ表紙風イラストをHPにうpしました。さすがに携帯シャメだとアカンので原稿をサブPC(win2000のノート、ほとんど骨董品)にスキャナ繋げてアレコレしました。
英題はとりあえず「HERO OFFICE INC.」で。20年後の世界に飛ばされる前の「元祖」バージョンはORIGINシリーズとして発行されているとかそういう脳内妄想爆裂で描いてました。
ちなみにトーン貼る前のバージョンもいちおうスキャンしといたので下に貼っておきますね。
↑勇者屋のアメコミ表紙風イラストをHPにうpしました。さすがに携帯シャメだとアカンので原稿をサブPC(win2000のノート、ほとんど骨董品)にスキャナ繋げてアレコレしました。
英題はとりあえず「HERO OFFICE INC.」で。20年後の世界に飛ばされる前の「元祖」バージョンはORIGINシリーズとして発行されているとかそういう脳内妄想爆裂で描いてました。
ちなみにトーン貼る前のバージョンもいちおうスキャンしといたので下に貼っておきますね。
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2011/10/21 (Fri)15:05
最近粘土細工にハマッている母に「ホイ」と色つき紙粘土を渡されたが最後、作業を中断すると絶対に続きを作らなくなるとわかっていたグレさんは徹夜して人形を完成させたのであった。ホットファズのDVD観ながら。
プロトタイプの世界より、フリーのエージェントにして各国の機密を知るがゆえにあらゆる機関から命を狙われている女狐「リディア・フォックス」をねんどろ風に立体化。
うしろから。
サイズは12ゲージのショットシェル(実物)とほぼ同寸ですね。
ちなみに元ネタのイラストは下。
昔書いたアナログ絵の中でも特に気に入ってる1枚。いまPCが絶賛不稼動中なので携帯からの写真で勘弁。
紙粘土だと細かいディティールを作るのが難しいし(というかめんどくさかった)、身体が単一色だと面白みがないのでおっぱいと手足は色を変えてあります。
むしろこっちのツートーンのデザインのほうが良さげなので(いままでのだとデザインがあまりにスニーキングスーツすぎる)、今度こっちのデザインでイラスト描いてみますね。
プロトタイプの世界より、フリーのエージェントにして各国の機密を知るがゆえにあらゆる機関から命を狙われている女狐「リディア・フォックス」をねんどろ風に立体化。
うしろから。
サイズは12ゲージのショットシェル(実物)とほぼ同寸ですね。
ちなみに元ネタのイラストは下。
昔書いたアナログ絵の中でも特に気に入ってる1枚。いまPCが絶賛不稼動中なので携帯からの写真で勘弁。
紙粘土だと細かいディティールを作るのが難しいし(というかめんどくさかった)、身体が単一色だと面白みがないのでおっぱいと手足は色を変えてあります。
むしろこっちのツートーンのデザインのほうが良さげなので(いままでのだとデザインがあまりにスニーキングスーツすぎる)、今度こっちのデザインでイラスト描いてみますね。
2011/10/19 (Wed)12:16
ウォンテッド届きましたイエー。20ドルのアメコミが1500円で買えるとか、ほんとにドル安様々だね。
やっぱアサシン・スーツはかっけぇな。本編だとほとんど顔出ししてるけど。なんでこれを映像化しようと思わなかったんだろう。映画版は終始普段着なのがなあ・・・
ちなみにウォンテッドってーとアレです、弾丸曲げたりネズミ1000匹爆弾だったりモーガン・フリーマンが主人公に「マザー・ファッカー」とか言ったりする映画の原作です。
しがないサラリーマンがじつは凄腕の殺し屋の息子で、父親の死をきっかけに組織に勧誘されて才能を開花させる親の七光り爆走記っていう序盤のプロットは映画とほぼ同じなんですが、中盤以降、というか、話の根幹はまったくの別モノと思って差し支えないです。
↑集合イラスト(ネットでの拾い物、さすがにページばらしてスキャンとかはやる気しないので)。右からザ・キラー(ウェズリー・ギブソン)、ミスター・リクタス、プロフェッサー・ソロモン・セルツァー、サッカー、フォックス
といってもまだ流し読みした程度で、ほとんど翻訳してないので(しかし翻訳しながら読むってかなり時間かかるな)いろいろわからない部分や間違ってる部分などあると思いますが、ざっと内容の説明を。
第一に、主人公を勧誘するのが「殺し屋の組織」ではありません。運命の織り機?なにそれ。
ウォンテッドの世界は、かつてコミックスのヒーローやヴィラン(悪党)が「実在した世界」。そして過去にヒーローとヴィランの間で一大戦争が起き、ヴィランが勝利した世界。勝ち残ったヴィランが世界の裏側で暗躍を繰り広げる世界。
そう主人公ウェズリー・ギブソンは「ザ・キラー」と呼ばれた凄腕のヴィランの息子だったのです!(ズギャーン)ちなみに原作では弾丸曲げは出てきません。そのかわり拳銃一挺でヴィラン数人をあっという間に皆殺しにできるくらいのナチュラル・キリング・マシーンですが。
ザ・キラーの名を継ぎ、ファッキングな日常生活とオサラバしたウェズリーは訓練を積む傍ら、とりあえず練習がてら無辜の一般人を遠距離狙撃してみたり、入浴中の女のバスタブに電気ヒーター放り込んだり、街のチンピラをボコにしながら組織に馴染んでいきます。良心?なにそれ俺たちヴィランですよ悪党が悪いことすんのは当然でしょう、な感じで。
ところが話が進むにつれヴィラン同士の内乱が勃発し、ウェズリーも否応なしに巻き込まれます。女ヴィランのフォックスと協力し敵の本拠地に殴りこみをかけたウェズリーは、なみいるヴィランを皆殺しにしたうえ黒幕のミスター・リクタスを殺し、内乱に終止符を打ちます。
そこに「ブラボー、よくやったヤング・ウェズリー」と声をかける初老の紳士。彼こそが(実は生きていた)ウェズリーの父親「オリジナル・キラー(先代ザ・キラー)」です。
夕食をともにした際、すべての謎を打ち明けたオリジナル・キラーはウェズリーを墓地まで案内すると、「これが最後の訓練だ」と言って自分を撃たせます。なにこの南斗鳳凰拳。
かくしてウェズリーは世界を影で操る組織のボスになり、大金を手にします。「この本」を手に取り、明日も昨日までと変わらぬつまらない日常を送る一般人(つまり読者です)に哄笑を見せ、ジ・エンド。
たぶん、この原作を読んでいるか、読んでいないかで、映画版ラストのウェズリーの台詞に対する印象もかなり違ったものになるんじゃないでしょうか(あるいはゲーム版をプレイしているか否かで)。
「俺はクソッたれな日常から解放され、暗殺者としての運命を受け入れることで本来の自分を取り戻した。君はどうだ?」
この一連の台詞、地に足つけて生活している人を蔑んでいるように聞こえるし、殺人という行為を肯定しているようにも聞こえます。たぶんその点で「ただの人殺しが偉そうなことを」といった向きもあるかと思いますが(私もそうでした)、その感想は全面的に「正しい」です。
映画でのウェズリーはメンタルが一般人のソレですし、フラタニティも正義の組織なんで気がつきにくいですが、結論から言うとウェズリーは「善良な市民」でも「品行方性な人間」でもありません。潜在的な闘争本能を持っており、暗殺者としての運命を受け入れ、それを楽しんでいるどうしようもないクズです。
そう、「ただの一般人が伝説の殺し屋に」という、いかにも観客に感情移入させようというプロットでありながら、最後の最後でウェズリーは生来の「異常性」を見せるのです。ラストシーンで突然突き放された観客がウェズリーに感情移入できなくなるのは、ある意味で当然のことなのです。
同時にウェズリーの台詞は、「世の中は変えられなくても、自分の人生くらいは変えられるだろ?」というメッセージでもあります。そしてそれは、ヒーローのありかたを問う現代のコミック・シーンにおいて驚くほどストレート且つゲスなメッセージを発信し続ける原作者マーク・ミラーならではのユーモアとも受け取れます。
ウォンテッド、そして次作キックアスにおけるマーク・ミラーの主張は常に一貫しています。「一般人にも受け入れられようとつまらない理屈をこねてみたところで、結局、おまえらこういうのが好きなんだろ?自分もこういうことがやりたいんだろ?素直になれよ」。
そんなこんなでまぁ、雑感を紹介っていうか色々書きたいことありすぎて散漫な記事になりましたがいつものことなんでまぁ。
実際のところ、アートワークだけでも1500円分の価値はあると思いマスヨ。フルカラーだし。あと最後に同社トップカウ・レーベルのウィッチブレイドとザ・ダークネスの紹介が載っておった。
アマゾンで調べたらザ・ダークネスのペーパーバック1巻が1000円で売ってたから思わずポチってしまった。いかん、ハマッてしまいそうだ。余裕があったらパニッシャー・マックス・シリーズあたりも欲しいですのう。ていうかあれ、ティムBは表紙だけなのか。残念至極。
ちなみにザ・ダークネスのライターはガース・エニス。パニッシャーとか書いてる人。マーク・ミラーもウォンテッド書くまではマーヴルの一大クロスオーバーであるシビル・ウォーとか書いてたし、あちらでは出版者お抱えの作家とかいう概念はないのかしらね。集○社がおかしいだけか。
やっぱアサシン・スーツはかっけぇな。本編だとほとんど顔出ししてるけど。なんでこれを映像化しようと思わなかったんだろう。映画版は終始普段着なのがなあ・・・
ちなみにウォンテッドってーとアレです、弾丸曲げたりネズミ1000匹爆弾だったりモーガン・フリーマンが主人公に「マザー・ファッカー」とか言ったりする映画の原作です。
しがないサラリーマンがじつは凄腕の殺し屋の息子で、父親の死をきっかけに組織に勧誘されて才能を開花させる親の七光り爆走記っていう序盤のプロットは映画とほぼ同じなんですが、中盤以降、というか、話の根幹はまったくの別モノと思って差し支えないです。
↑集合イラスト(ネットでの拾い物、さすがにページばらしてスキャンとかはやる気しないので)。右からザ・キラー(ウェズリー・ギブソン)、ミスター・リクタス、プロフェッサー・ソロモン・セルツァー、サッカー、フォックス
といってもまだ流し読みした程度で、ほとんど翻訳してないので(しかし翻訳しながら読むってかなり時間かかるな)いろいろわからない部分や間違ってる部分などあると思いますが、ざっと内容の説明を。
第一に、主人公を勧誘するのが「殺し屋の組織」ではありません。運命の織り機?なにそれ。
ウォンテッドの世界は、かつてコミックスのヒーローやヴィラン(悪党)が「実在した世界」。そして過去にヒーローとヴィランの間で一大戦争が起き、ヴィランが勝利した世界。勝ち残ったヴィランが世界の裏側で暗躍を繰り広げる世界。
そう主人公ウェズリー・ギブソンは「ザ・キラー」と呼ばれた凄腕のヴィランの息子だったのです!(ズギャーン)ちなみに原作では弾丸曲げは出てきません。そのかわり拳銃一挺でヴィラン数人をあっという間に皆殺しにできるくらいのナチュラル・キリング・マシーンですが。
ザ・キラーの名を継ぎ、ファッキングな日常生活とオサラバしたウェズリーは訓練を積む傍ら、とりあえず練習がてら無辜の一般人を遠距離狙撃してみたり、入浴中の女のバスタブに電気ヒーター放り込んだり、街のチンピラをボコにしながら組織に馴染んでいきます。良心?なにそれ俺たちヴィランですよ悪党が悪いことすんのは当然でしょう、な感じで。
ところが話が進むにつれヴィラン同士の内乱が勃発し、ウェズリーも否応なしに巻き込まれます。女ヴィランのフォックスと協力し敵の本拠地に殴りこみをかけたウェズリーは、なみいるヴィランを皆殺しにしたうえ黒幕のミスター・リクタスを殺し、内乱に終止符を打ちます。
そこに「ブラボー、よくやったヤング・ウェズリー」と声をかける初老の紳士。彼こそが(実は生きていた)ウェズリーの父親「オリジナル・キラー(先代ザ・キラー)」です。
夕食をともにした際、すべての謎を打ち明けたオリジナル・キラーはウェズリーを墓地まで案内すると、「これが最後の訓練だ」と言って自分を撃たせます。なにこの南斗鳳凰拳。
かくしてウェズリーは世界を影で操る組織のボスになり、大金を手にします。「この本」を手に取り、明日も昨日までと変わらぬつまらない日常を送る一般人(つまり読者です)に哄笑を見せ、ジ・エンド。
たぶん、この原作を読んでいるか、読んでいないかで、映画版ラストのウェズリーの台詞に対する印象もかなり違ったものになるんじゃないでしょうか(あるいはゲーム版をプレイしているか否かで)。
「俺はクソッたれな日常から解放され、暗殺者としての運命を受け入れることで本来の自分を取り戻した。君はどうだ?」
この一連の台詞、地に足つけて生活している人を蔑んでいるように聞こえるし、殺人という行為を肯定しているようにも聞こえます。たぶんその点で「ただの人殺しが偉そうなことを」といった向きもあるかと思いますが(私もそうでした)、その感想は全面的に「正しい」です。
映画でのウェズリーはメンタルが一般人のソレですし、フラタニティも正義の組織なんで気がつきにくいですが、結論から言うとウェズリーは「善良な市民」でも「品行方性な人間」でもありません。潜在的な闘争本能を持っており、暗殺者としての運命を受け入れ、それを楽しんでいるどうしようもないクズです。
そう、「ただの一般人が伝説の殺し屋に」という、いかにも観客に感情移入させようというプロットでありながら、最後の最後でウェズリーは生来の「異常性」を見せるのです。ラストシーンで突然突き放された観客がウェズリーに感情移入できなくなるのは、ある意味で当然のことなのです。
同時にウェズリーの台詞は、「世の中は変えられなくても、自分の人生くらいは変えられるだろ?」というメッセージでもあります。そしてそれは、ヒーローのありかたを問う現代のコミック・シーンにおいて驚くほどストレート且つゲスなメッセージを発信し続ける原作者マーク・ミラーならではのユーモアとも受け取れます。
ウォンテッド、そして次作キックアスにおけるマーク・ミラーの主張は常に一貫しています。「一般人にも受け入れられようとつまらない理屈をこねてみたところで、結局、おまえらこういうのが好きなんだろ?自分もこういうことがやりたいんだろ?素直になれよ」。
そんなこんなでまぁ、雑感を紹介っていうか色々書きたいことありすぎて散漫な記事になりましたがいつものことなんでまぁ。
実際のところ、アートワークだけでも1500円分の価値はあると思いマスヨ。フルカラーだし。あと最後に同社トップカウ・レーベルのウィッチブレイドとザ・ダークネスの紹介が載っておった。
アマゾンで調べたらザ・ダークネスのペーパーバック1巻が1000円で売ってたから思わずポチってしまった。いかん、ハマッてしまいそうだ。余裕があったらパニッシャー・マックス・シリーズあたりも欲しいですのう。ていうかあれ、ティムBは表紙だけなのか。残念至極。
ちなみにザ・ダークネスのライターはガース・エニス。パニッシャーとか書いてる人。マーク・ミラーもウォンテッド書くまではマーヴルの一大クロスオーバーであるシビル・ウォーとか書いてたし、あちらでは出版者お抱えの作家とかいう概念はないのかしらね。集○社がおかしいだけか。
2011/10/17 (Mon)15:59
『アクティブ・シーカー・サイト起動、生命反応補足。追跡中…』
リアは義眼に仕込まれたビジョン・エンハンサーを起動すると、巨大な扉の向こう側にいる「何者か」を透視した。
「フゥム、人間ではないな。ゴブリン、だったか。地下牢から脱出するときに数匹見かけたのう」
対物ライフルがあれば扉越しに「抜ける」のだが、などと考えはしたものの、ないものねだりをしても仕様がない。いまリアが持ち合わせている武器は、ディバイン・エレガンスで適当に見繕って貰った隠匿性のカタール2挺のみだった。
それに、人外だからといって、敵だという確証もない。まだリアはこの世界に来て日が浅いのだ。
アッシュ砦と名づけられた廃墟に入ってはみたものの、どうやらここは自分以外が既に寝床としている模様。どうしたものか…と考えあぐねているのが今の状況だった。
無益な殺生を(一応)好まないリアは、扉を開けると、正々堂々とゴブリンの戦士の前に姿を見せた。
「もし、そこな御仁。不都合がなければ、一晩寝床を貸してほしいのじゃが…」
「ギョエェェェェエエエエッッッ!!」
リアが台詞を言い終わらないうちに、ゴブリンの戦士は敵意を剥き出しにした咆哮を上げる。
ARのエモーション・センサーが真っ赤に染まったのを見て、これは説得以前の問題だとリアは思った。知能は低くないものの、このゴブリンという種はかなり好戦的らしい。
「やはり話が通じんか。ま、仕方がないの」
そう言うが早いか、リアは袖に忍ばせていたカタールの刃を手の平の上に滑らせる。
ヒュン、となにかが風を切る音を聞きつけ、上体を傾ける。そのコンマ1秒以下の高速で耳もとを矢が通過していった。
「小口径高速弾をかわせるワシに、原始的な弓矢を当てられると思うか。笑止」
まぁさっきは当たったがの、反応速度というより状況判断能力の処理の遅延が原因で、と小さく呟いてから、リアは左手の袖口からも刃物を見せた。
ザシュウッ!!
肉が引き裂かれる音とともに、鮮血が飛び散る。
目にも留まらぬ速さで振り下ろされたカタールの一撃は、ゴブリンに成す術も与えなかった。
「必殺技の名前でも叫べば、もうちょっとは様になるかのう。もっとも、ワシの元いた世界ではそういった風習はなかったのじゃがの」
シロディールでも同じです。
しばらく進むと、進路上の橋の上に3匹のゴブリンが待ち構えていた。
「狭い通路上での、多対一の面制圧か。蛮族にしては考えるではないか、じゃが…」
「ワシに小手先の小細工は無意味と知れ!」
一気に距離を詰めると、リアはゴブリン達の輪の中心に斬り込み白刃を一閃させた。飛びかかった勢いに任せて階下に着地したリアの上空に、すでに事切れたゴブリン達の亡骸が投げ出される。
「いやはや肩慣らしにもならんな。雑魚とまでは言わぬが、もちぃと歯ごたえがほしいの」
ゴブリンとて、百汎の冒険者にとって脅威であることに変わりはない。そういった点を考慮しての評価だった。
砦の最深部には、巨大な檻が構築されていた。リアの嗅覚センサーに、常人ならば耐え切れぬであろう凄まじい異臭が検知される。
「ほぅ、これは…ゴブリンどもが作った養殖場か」
階上からリアが見下ろす先にあったのは、巨大ネズミの飼育場だった。衛生に気が遣われているはずもなく、ネズミ達は一様に悪臭を放っている。
異臭の原因はネズミだけではない、付近にはネズミの餌であろうと推測される、人間の腐った死体がバラバラのパーツになって転がっていた。どうやらゴブリンにとって人間より巨大ネズミのほうが口に合うらしい。
「おぉ、おぞましい。臭いが服に移らなければ良いが」
どうやらゴブリン達が使っていたらしい寝床に近づくと、リアは装備を外して布団の上に横になった。
「アンドロイドといえど、固い地面の上に直に寝るのは良くないからの」
しかしこんな場所で寝るはめになるとは、野宿のほうがマシだったか、などと愚痴をこぼす。
「うぇいのん修道院までの道程はあと半分、といったところか」
リアは天井を見つめ、ため息を一つつくと、そのまま眠りに落ちた。
『自閉症モードに移行、静電気によるバッテリーチャージを開始。環境探査フィールドをレベル3で展開。起床タイマーを5時間後にセットします。おやすみなさい、良い夢を。ゼロシー』
この声は…誰?
2011/10/15 (Sat)14:54
「まったくどいつもこいつも、どうしてワシに『めいど服』を着せたがるのじゃ…?」
下水道を通って牢獄から脱出したリアは、バウルスの指示に従い、帝都商業地区に居を構える高級洋服店ディバイン・エレガンスへと足を運んでいた。
「あーらまぁ、可愛らしい!やっぱりこの服が似合うと思ってたのよ~、それも黒じゃなくて赤がね!」
「…見た目より動きやすいデザインなのは関心するがの」
「それはそうよ、だってその服は戦闘用にデザインしたバトルスーツだもの!機能性は保障済、ちょっとした攻撃から身を守れる程度の防御性能だってあるわ」
「貴族向けの洋服店でこんな代物を扱ってる理由が気になるのだがな?」
「あたしとバウルス…もといブレイドは懇意なのよ。ブレイドが機密性の高い任務に赴く場合、いつでも鎧兜を装着できるわけじゃないわ。だから、時にはこういう平服に偽装した戦闘スーツが必要になるわけ」
「この国の連中が崇拝する騎士道精神からはちとかけ離れた戦法に思えるがのう」
「もとよりブレイドは正規兵と異なる戦術を用いるの、任務達成を第一に考えた結果ね。その戦術は古代アカヴィリに通じるものがあるわ。いま貴女が着ているメイド服はもともと、敵の城にメイドとして潜入するときに使うものなの。こういった潜入暗殺術は、古代アカヴィリに存在したと言われている最強のユニット・ゲイシャが用いたものらしいわ」
…うさんくさすぎる。
ハイエルフ(やはりリアが元いた世界に存在したメトセラ種とはまったく別物らしい)の女店主パロニーリャの解説はどうにもウソくさかった(正確に言えば、情報に誤りがある)が、ブレイドの活動方針についてはよく理解できた。
「ところでのう、女主人よ。ときに、うぇいのん修道院というのがどこにあるか、教えてもらえんかの?」
「ウェイノン修道院?ああ、ジョフリ様の御隠居先ね?それならコロールの街のすぐ近くにあるわ。そうね…ここからだと、帝都を出て街道沿いをずっと西に進むの。道に迷うことはないと思うけど、ここからだとちょっと遠いわね。山賊野盗のたぐいも出没するらしいし」
「なにか便利な移動手段とかないものかのう。車とか、へりこぷたーとか?」
「それが何かは知らないけど、チェスナット・ハンディー厩舎に行けば馬を扱ってると思うわ。協力はしてくれないと思うけど…そのことについては、残念だけどあたしも力になれないわ」
「やれやれじゃ」
案の定馬の貸し出しを拒否されたリアは、徒歩でウェイノン修道院までにまで向かうことになった。帝都にかかる巨大な石橋を渡りながら、服とセットでついてきたトランクを片手にぶちぶちと文句をこぼす。
「まったく…いくらワシが疲れ知らずのアンドロイドとはいえ、不整地を延々と歩き通したらすぐに靴が駄目になってしまうわ。せっかくの新しいおべべじゃというのに」
どうやら、バウルスの一筆書きも万能ではないらしい。そもそもブレイドは隠密部隊だ、知名度からして高くはない。そんな得体の知れない連中が書いた書状など、うさんくさい目で見られても仕方のないことではあった。
「う、ぐぐ…やっぱり痛い……」
「うむ?」
橋の終わりに差しかかったとき、全身をいかつい鎧で覆った戦士が地面にうずくまっている姿が見えた。どうも地下牢で皇帝を襲撃した連中と姿がそっくりだが、なぜこんなところで股間をおさえてぶっ倒れているのかはわからなかった。
「そ、そこな道行くお嬢さん、どうか助けて…」
「お大事にのー」
助けを求める声を華麗にスルーし、リアは歩を進める。
ひょっとしたら、助けようとしたところを襲う新手の痴漢かもしれないし、リスクは負わないに越したことはない。見知らぬ人間を助ける義務はないし、どうもあの手合いは関わらないほうが良い気がするのだ。
橋を渡りきってすぐの場所にある民家の前を通りかかったとき、猟師らしき男がリアに近寄ってきた。
「そこの旅のお方、どうかこの哀れな男を助けてはもらえないだろうか」
「話だけなら聞いてやろう。手短にな」
「実は私、とある錬金術師の依頼で、この近辺の湖に生息する殺人魚の鱗を集めているのです。ところがもう少しで規定の枚数を集め終わろうというとき、殺人魚に脚を喰いちぎられて漁が不可能になってしまったのです。謝礼は払います、どうか依頼を完遂するために殺人魚の鱗を集めてはもらえないでしょうか」
「…おぬしにはワシが何に見えるのだ?」
「やっぱり必死すぎますか」
RPGにおいて、まったく変哲のない類のクエストであることに変わりはないのだが、中年のオッサンが女中の恰好をした幼女に頼むような仕事ではないのもまた、事実だった。
「それにの、ワシは水場が苦手なのじゃ。着水したが最後、底の底まで沈んで二度と浮かび上がっては来んぞ。えーい、やめじゃ、やめ。聞くだけ無駄じゃったわ」
あいにくと水に浮かぶ軽量型の身体に転生できなかったリアは、オッサンの頼みを無碍に断ると、旅を急ぐことにした。
もう間もなく夕方になろうかというとき、リアは馬に乗って街道を巡回する帝都兵と出会った。
「お嬢さん、この道は子供の一人歩きができるほど安全ではない。なにか私にできることはあるかな?」
「おお、助かったぞ。実は小用でうぇいのん修道院まで行かねばならぬのじゃが、そこまで乗せていってはもらえんかの?」
「ウェイノン修道院…コロール方面か。残念だが私の順回路とは逆だ、力にはなれそうにない」
「おおう、なんという薄情な」
さらば、と告げるが早いか、衛兵はさっさと帝都方面へ向けて馬を走らせていった。
「なーんじゃ、あれは。あれでも騎士道精神がどうとか抜かせるんか。まーったく国家権力が腐っておるのはどの世界も同じじゃの」
リアはため息をつくと、その場に腰かけて空を見上げた。早くも月(のように見えるが、実際はまったく別の星だろう)が出ており、おぼろげながらも無数の星々が輝きを放ちはじめている。
「GPSも通信ネットワークもまったく音沙汰なしとはの。この星の上空には通信衛星が存在しないと見えるな」
考えられる可能性は二つ。自分が通信衛星が存在しないほど遠い過去(あるいは未来)に飛ばされたか、あるいは地球以外のまったく違う惑星に飛ばされたか、だ。いずれにせよ誘拐という線はなくなり、マシニマのテクノロジー被害がもたらした時空の歪みに巻き込まれたと考えるのが妥当だろう。
「まったく因果なものじゃて。せっかく機械のワシが、気の置ける仲間に出会えたというのに」
感傷に浸りつつ空をぼーっと見つめていると、何者かが近づいてきた。
「あーら可愛らしいお嬢さん、随分と重そうな荷物を抱えているわね。わたしが代わりに持ってあげてもいいのよ?」
皮鎧に鉄製のバトルハンマー、どう見ても親切な旅人という風情ではない。女の背後には弓兵が控えており、すでに弦を引いていつでも発射できる態勢を整えている。
どう見ても野盗です本当にありがとうございました。
「まったく前途多難にもほどがあるわい。この荷物が欲しいのか?断ったらどうするつもりじゃ、まさかこのいたいけな幼女に乱暴を振るうとでも…」
ビュンッ!
「…な、え……?」
放たれた矢が、リアの心臓を貫く。
「生意気な口をきく御餓鬼様ね、こっちはガキの命なんか、なんとも思ってないわよ」
そう言いながら、野党の女がリアのトランクに手をかけた、そのとき。
「痛いではないか、この痴れ者が」
突如ドレスの袖口から飛び出した刃物に口を刺し貫かれた野党の女は、悲鳴を上げる間もなく絶命した。
心臓(というか、人間なら心臓がある位置)に矢を突き刺したまま、鬼のような形相で刃を振り抜くリアの姿を目にした弓兵は、あからさまに動揺していた。
「な、な、な、ばっ…バケモノ!?」
「これでも、ここしばらくコロシは控えてきたつもりじゃがな。抑え役がついてないときのワシは、ちょいとおっかないかもしれんぞ…?」
「ち、畜生!てめぇなんざ怖かねぇ!」
ゆっくり歩いているように見えて、その実あっという間に距離を詰めてきたリアを目の当たりにした弓兵は、弓を投げ捨てると腰のショートソードに手をかけた。
「残念。遅い」
ザシュッ……
胸を斬り裂かれ、弓兵は仰向けに引っくり返った。血のあぶくに溺れかけている弓兵に、リアが虫ケラを見るような眼差しを向ける。
「きっちり急所を狙ったからの、おぬしは間違いなく、確実に、死ぬ。せいぜい苦しまず、すぐに死ねることを祈るがよいわ」
リアは自身に刺さった矢を投げ捨てると、トランクを持ち上げてその場を後にした。
「なんという世界じゃここは、まったく。ぷんすか」
幼女が肩を怒らせながら歩くさまは、傍から見ればギャグにしか写らない。
「しろでぃーる、か……」
すっかり暗くなった空を仰ぎ見ながら、リアはため息をついた。
「今日はここで晩を過ごすかの」
日が落ちたにも関わらず宿がまったく見つからないため、リアは近くで見つけた城砦跡に足を踏み入れた。どう見てもダンジョンです本当にありがとうございました。
波乱含みのリアの旅はまだ始まったばかりである。
下水道を通って牢獄から脱出したリアは、バウルスの指示に従い、帝都商業地区に居を構える高級洋服店ディバイン・エレガンスへと足を運んでいた。
「あーらまぁ、可愛らしい!やっぱりこの服が似合うと思ってたのよ~、それも黒じゃなくて赤がね!」
「…見た目より動きやすいデザインなのは関心するがの」
「それはそうよ、だってその服は戦闘用にデザインしたバトルスーツだもの!機能性は保障済、ちょっとした攻撃から身を守れる程度の防御性能だってあるわ」
「貴族向けの洋服店でこんな代物を扱ってる理由が気になるのだがな?」
「あたしとバウルス…もといブレイドは懇意なのよ。ブレイドが機密性の高い任務に赴く場合、いつでも鎧兜を装着できるわけじゃないわ。だから、時にはこういう平服に偽装した戦闘スーツが必要になるわけ」
「この国の連中が崇拝する騎士道精神からはちとかけ離れた戦法に思えるがのう」
「もとよりブレイドは正規兵と異なる戦術を用いるの、任務達成を第一に考えた結果ね。その戦術は古代アカヴィリに通じるものがあるわ。いま貴女が着ているメイド服はもともと、敵の城にメイドとして潜入するときに使うものなの。こういった潜入暗殺術は、古代アカヴィリに存在したと言われている最強のユニット・ゲイシャが用いたものらしいわ」
…うさんくさすぎる。
ハイエルフ(やはりリアが元いた世界に存在したメトセラ種とはまったく別物らしい)の女店主パロニーリャの解説はどうにもウソくさかった(正確に言えば、情報に誤りがある)が、ブレイドの活動方針についてはよく理解できた。
「ところでのう、女主人よ。ときに、うぇいのん修道院というのがどこにあるか、教えてもらえんかの?」
「ウェイノン修道院?ああ、ジョフリ様の御隠居先ね?それならコロールの街のすぐ近くにあるわ。そうね…ここからだと、帝都を出て街道沿いをずっと西に進むの。道に迷うことはないと思うけど、ここからだとちょっと遠いわね。山賊野盗のたぐいも出没するらしいし」
「なにか便利な移動手段とかないものかのう。車とか、へりこぷたーとか?」
「それが何かは知らないけど、チェスナット・ハンディー厩舎に行けば馬を扱ってると思うわ。協力はしてくれないと思うけど…そのことについては、残念だけどあたしも力になれないわ」
「やれやれじゃ」
案の定馬の貸し出しを拒否されたリアは、徒歩でウェイノン修道院までにまで向かうことになった。帝都にかかる巨大な石橋を渡りながら、服とセットでついてきたトランクを片手にぶちぶちと文句をこぼす。
「まったく…いくらワシが疲れ知らずのアンドロイドとはいえ、不整地を延々と歩き通したらすぐに靴が駄目になってしまうわ。せっかくの新しいおべべじゃというのに」
どうやら、バウルスの一筆書きも万能ではないらしい。そもそもブレイドは隠密部隊だ、知名度からして高くはない。そんな得体の知れない連中が書いた書状など、うさんくさい目で見られても仕方のないことではあった。
「う、ぐぐ…やっぱり痛い……」
「うむ?」
橋の終わりに差しかかったとき、全身をいかつい鎧で覆った戦士が地面にうずくまっている姿が見えた。どうも地下牢で皇帝を襲撃した連中と姿がそっくりだが、なぜこんなところで股間をおさえてぶっ倒れているのかはわからなかった。
「そ、そこな道行くお嬢さん、どうか助けて…」
「お大事にのー」
助けを求める声を華麗にスルーし、リアは歩を進める。
ひょっとしたら、助けようとしたところを襲う新手の痴漢かもしれないし、リスクは負わないに越したことはない。見知らぬ人間を助ける義務はないし、どうもあの手合いは関わらないほうが良い気がするのだ。
橋を渡りきってすぐの場所にある民家の前を通りかかったとき、猟師らしき男がリアに近寄ってきた。
「そこの旅のお方、どうかこの哀れな男を助けてはもらえないだろうか」
「話だけなら聞いてやろう。手短にな」
「実は私、とある錬金術師の依頼で、この近辺の湖に生息する殺人魚の鱗を集めているのです。ところがもう少しで規定の枚数を集め終わろうというとき、殺人魚に脚を喰いちぎられて漁が不可能になってしまったのです。謝礼は払います、どうか依頼を完遂するために殺人魚の鱗を集めてはもらえないでしょうか」
「…おぬしにはワシが何に見えるのだ?」
「やっぱり必死すぎますか」
RPGにおいて、まったく変哲のない類のクエストであることに変わりはないのだが、中年のオッサンが女中の恰好をした幼女に頼むような仕事ではないのもまた、事実だった。
「それにの、ワシは水場が苦手なのじゃ。着水したが最後、底の底まで沈んで二度と浮かび上がっては来んぞ。えーい、やめじゃ、やめ。聞くだけ無駄じゃったわ」
あいにくと水に浮かぶ軽量型の身体に転生できなかったリアは、オッサンの頼みを無碍に断ると、旅を急ぐことにした。
もう間もなく夕方になろうかというとき、リアは馬に乗って街道を巡回する帝都兵と出会った。
「お嬢さん、この道は子供の一人歩きができるほど安全ではない。なにか私にできることはあるかな?」
「おお、助かったぞ。実は小用でうぇいのん修道院まで行かねばならぬのじゃが、そこまで乗せていってはもらえんかの?」
「ウェイノン修道院…コロール方面か。残念だが私の順回路とは逆だ、力にはなれそうにない」
「おおう、なんという薄情な」
さらば、と告げるが早いか、衛兵はさっさと帝都方面へ向けて馬を走らせていった。
「なーんじゃ、あれは。あれでも騎士道精神がどうとか抜かせるんか。まーったく国家権力が腐っておるのはどの世界も同じじゃの」
リアはため息をつくと、その場に腰かけて空を見上げた。早くも月(のように見えるが、実際はまったく別の星だろう)が出ており、おぼろげながらも無数の星々が輝きを放ちはじめている。
「GPSも通信ネットワークもまったく音沙汰なしとはの。この星の上空には通信衛星が存在しないと見えるな」
考えられる可能性は二つ。自分が通信衛星が存在しないほど遠い過去(あるいは未来)に飛ばされたか、あるいは地球以外のまったく違う惑星に飛ばされたか、だ。いずれにせよ誘拐という線はなくなり、マシニマのテクノロジー被害がもたらした時空の歪みに巻き込まれたと考えるのが妥当だろう。
「まったく因果なものじゃて。せっかく機械のワシが、気の置ける仲間に出会えたというのに」
感傷に浸りつつ空をぼーっと見つめていると、何者かが近づいてきた。
「あーら可愛らしいお嬢さん、随分と重そうな荷物を抱えているわね。わたしが代わりに持ってあげてもいいのよ?」
皮鎧に鉄製のバトルハンマー、どう見ても親切な旅人という風情ではない。女の背後には弓兵が控えており、すでに弦を引いていつでも発射できる態勢を整えている。
どう見ても野盗です本当にありがとうございました。
「まったく前途多難にもほどがあるわい。この荷物が欲しいのか?断ったらどうするつもりじゃ、まさかこのいたいけな幼女に乱暴を振るうとでも…」
ビュンッ!
「…な、え……?」
放たれた矢が、リアの心臓を貫く。
「生意気な口をきく御餓鬼様ね、こっちはガキの命なんか、なんとも思ってないわよ」
そう言いながら、野党の女がリアのトランクに手をかけた、そのとき。
「痛いではないか、この痴れ者が」
突如ドレスの袖口から飛び出した刃物に口を刺し貫かれた野党の女は、悲鳴を上げる間もなく絶命した。
心臓(というか、人間なら心臓がある位置)に矢を突き刺したまま、鬼のような形相で刃を振り抜くリアの姿を目にした弓兵は、あからさまに動揺していた。
「な、な、な、ばっ…バケモノ!?」
「これでも、ここしばらくコロシは控えてきたつもりじゃがな。抑え役がついてないときのワシは、ちょいとおっかないかもしれんぞ…?」
「ち、畜生!てめぇなんざ怖かねぇ!」
ゆっくり歩いているように見えて、その実あっという間に距離を詰めてきたリアを目の当たりにした弓兵は、弓を投げ捨てると腰のショートソードに手をかけた。
「残念。遅い」
ザシュッ……
胸を斬り裂かれ、弓兵は仰向けに引っくり返った。血のあぶくに溺れかけている弓兵に、リアが虫ケラを見るような眼差しを向ける。
「きっちり急所を狙ったからの、おぬしは間違いなく、確実に、死ぬ。せいぜい苦しまず、すぐに死ねることを祈るがよいわ」
リアは自身に刺さった矢を投げ捨てると、トランクを持ち上げてその場を後にした。
「なんという世界じゃここは、まったく。ぷんすか」
幼女が肩を怒らせながら歩くさまは、傍から見ればギャグにしか写らない。
「しろでぃーる、か……」
すっかり暗くなった空を仰ぎ見ながら、リアはため息をついた。
「今日はここで晩を過ごすかの」
日が落ちたにも関わらず宿がまったく見つからないため、リアは近くで見つけた城砦跡に足を踏み入れた。どう見てもダンジョンです本当にありがとうございました。
波乱含みのリアの旅はまだ始まったばかりである。