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主にゲームと二次創作を扱う自称アングラ系ブログ。 生温い目で見て頂けると幸いです、ホームページもあるよ。 http://reverend.sessya.net/
2024/04/19 (Fri)05:46
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2019/12/29 (Sun)05:38


 
 
 
 
 
 
 
 どうも、グレアムです。
 Jagged Alliance 2に続き、リメイク作であるBack in ActionのDLCミッションのリプレイ記事を書いてみたわけですが、如何なもんでしょうか。
 まあリプレイといっても純粋なゲームプレイや攻略ではなく、パラメータの変更やメッシュの追加、訳文の改変などを併せたModdingのデモンストレーションという側面が強く、純粋なゲーム攻略記事を期待する読者にとっては不満があるかもしれません。とはいえ、当ブログがスデにゲームの改造&オリジナル要素の強い二次創作SSに特化したものになりつつあるので、こうなってしまうのは仕方のないことなんだ。ブログのカラーってもんがあるんだ。
 
 前編から後編にかけて更新期間が10日近く空いてしまったのは、単純にゲームそのものが難しかったからです(汗)また、難しいのがわかってるのでモチベーションが上がらなかった面もある。
 本DLC、もとはJAシリーズを代表する傭兵のShadowとIvanを操作し、捕虜として囚われているFoxを救出しつつSilevicを倒すというプロットなんですが、ShadowとIvanの初期装備が拳銃やらナイフやらで序盤の難易度がとんでもないことになってるんですよね。補給物資を受け取ってからはそれなりに真っ当に戦えるようになるんですが、敵もCAWSやHK21など強力な火器で武装しているうえ、防弾ベストやヘルメットを装備している敵も多く、かなりの苦戦を強いられます。
 リプレイで登場する傭兵たちが装備するオリジナルの武器はバニラ火器の標準よりも若干アッパー調整がかかってるんですが、キャラの見た目を優先するために防御力の高い防具を身につけられないという制約があり(メッシュの制約上、透明な防具を装備させるといったウラワザが非常に困難)、バニラで攻略するよりも簡単だったかというと、意外とそうでもなかったのが実情です。
 とりあえず今回培ったノウハウをベースに、Jagged Alliance 2の時のようにオリジナルの傭兵を使ってBack in Action本編の記事も書けたら…というのが目下の目標となっております。今回のDLCミッション攻略はその叩き台といいますか。
 
 ストーリーの内容がほとんど憶測の垂れ流し状態になってるのは、そもそもゲーム本編で背景に関する情報がほとんど得られないからです(汗)見落としがちな点として、いちおうメールボックスにNSAからの依頼が届いてたりはするんですが、それでも本DLCのために書き下ろされたダイアログって10行あるかないかってところなんでは。これで"Delve deeper into the backstory of three of Jagged Alliance’s most popular characters"とか宣伝するのは詐欺だろ
 
 
 
 
 いちおう本作の日本語化についても言及しておきます。Steamレビューでチラッと触れてはいるんですが、某所で公開されている日本語化の方法の難易度が高く挫折している人が多いらしいということで。
 たぶん日本語化を断念する理由の多くはファイルのパッキングに必要なjabiapak.exeが現在入手できなくなっているためだと思いますが、現在、Modの導入に際してファイルをパッキングする必要はありません。ディレクトリ内にあるbin_win32フォルダに必要データをぶち込むだけでOKです。
 現在主流となっている大型ModのRealistic Rebalancing、Combat Evolved等でもこの方法が推奨されています。また、Moddingツールの開発を続けているspray_n_pray(sbobovyc)氏がフォーラムでパッカーの配布について尋ねられた際、「別に必要ないでしょ?(意訳)」と返答しており、海外のModdingコミュニティでもその必要性を否定されています。
 Mod導入によってSteamの実績が解除できなくなる仕様については、ゲーム中のパラメータを変更するものに限られるようで(おそらくconfigsフォルダ内のデータ)、リテクスチャやBGMの差し替えといったゲームプレイ自体に影響を及ぼさないModに関しては影響がないようです。少なくとも、日本語化のみを導入した限りでは実績の解除に影響は出なかったです。
 実績がロックされた場合はゲームスタート時、タイトル画面左上のバージョン表記にModifiedが追加されるので、判別は容易かと思われます。
 
 なお、ベースデータを削除したうえでModをパッキングして導入すれば実績解除に影響しないのではないか、と不埒な思考を持つユーザーがいるかもしれませんが(俺だ!)、自分が試した限りでは上手くいきませんでした。どうやら何らかのチェックサム機構を持っているらしく、オリジナルの.pakファイルを上書きするかたちでModを導入してもModified表記が追加されてしまいます。
 また本体の仕様もアップデートで変更されているようで、キャラクターの名前を変更する等の目的でバイナリエディタ等を使って.exeを改造すると、容量が一致していても起動不可能になります。
 
 
 
 
 


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2019/12/27 (Fri)17:31


 
 
 

Jagged Alliance Back in Action

Shades of Red

- 後編 -

 
 
 

 
 
 
 
 
*注意*
本リプレイではゲームデータの一部を改造し、
ストーリーを脚色&変更しています。

 
 
 
 
 
 
 イヴリン・マッケンジー……通称"イヴ"、ギャングのボス。19歳まではごく真っ当な学生としての人生を送っていたが、ギャングの幹部であった実兄が内部抗争で重傷を負ったことがきっかけで裏社会に足を踏み入れ、以後、死と暴力が支配する世界に心から感動し組織の頂点にまで成り上がる。
 
 使用武器……G-118。グロック18を極限まで切り詰めることで携帯性を追求し、そこへロングバレルと多弾数マガジンを装着することにより携帯性を台無しにした、意味不明なカスタム銃。イヴの愛用品であり、32発装填のマガジンにはAP弾がフルに詰められている。
 またイヴは66mm HEAT弾を使用する四連銃身式クアッドミサイル改造銃を所持している。発砲のさいにかなり強烈な反動があり、常人が使用した場合、肩の脱臼ないし骨折は免れないだろう。
 
 
 

 
 
 
 
 
  >>クレイブ:
「それで、他のお仲間はどうしたんだ?まさか一人で来たわけじゃないだろ?」
 
 
  >>イヴ:
「そういやぁ俺と似たような境遇の連中が何人か居たような気もするな。上空でSAMを喰らったときに死んだか、降下したときに殺されたか、どっちかだ。たぶん、生きたまま捕まったのは俺だけじゃねーかな」
 
 
  >>クレイブ:
「作戦はどうなってた?まさか降下したあと、手当たり次第に殺すことしか考えてなかったわけじゃないだろ」
 
 
  >>イヴ:
「狙いはシレビック一人だ。ヤツの兵隊は良い装備を持ってるし、よく訓練されてるが、だからといってジャガイモより賢いってことにはならねぇ。頭を潰せば、残りの連中は銃を持ったバカの集まりになる。少なくとも、NSAはそう考えてる」
 
 
  >>ブレンダ:
「シレビックを殺ったあとは?トラックや戦車に追い回されながら地上を這いずり回るなんて御免よ」
 
 
  >>イヴ:
「ここのヘリポートにベル206が留めてある、そいつを奪って脱出する。本来のメニューにはない行動だが、こっちのアシがやられちまったんでな」
 
 
  >>クレイブ:
「シレビックの兵隊どもは放っておいていいのか?」
 
 
  >>イヴ:
「脱出と同時にNSAの現地要員に連絡する手筈になってる。残存兵力の掃討と核ミサイルの確保はそいつらの役目だ。ていうか、おまえら何も聞いてないのか?」
 
 
  >>クレイブ:
「チンピラどもがテロ屋の掃除に失敗したから尻拭いをしろ、としか聞かされてねぇ。まったく無責任な話だぜ」
 
 
  >>ブレンダ:
「無責任はアンタだろ。どうせ話し半分に聞き流してたんじゃないの?」
 
 
  >>クレイブ:
「…どーだったかな。たしかヘネシーを2~3杯ひっかけたような記憶はあるが。いや2~3本だったか?」
 
 
 

 

 
 などといったやり取りを交わしつつ、三人は施設内のテロリストたちを掃討していく。
 やがて整備室を兼ねた装備保管庫を確保した三人は、その物量の多さと質の高さに驚かされた。ほとんどがヨーロッパ製で、最新型ではないにしろ手入れが行き届いている。
 
 
 
 
  >>クレイブ:
「随分と溜め込んでやがるな。大量の武器弾薬に、BDU、抗弾ベスト…自力でかき集めたシロモノじゃなさそうだ」
 
 
  >>ブレンダ:
「スポンサーがついてるってこと?」
 
 
  >>クレイブ:
「だろうな。おそらく、今回シレビックを倒すだけじゃあ問題の根を絶つことはできないだろう」
 
 
  >>イブ:
「植民地主義者のヨーロッパ人を嫌ってる連中は世界中にいる。どんだけ悪党どもをぶっ倒したところで、問題が解決するなんてことは永遠にないんじゃねーか?」
 
 
  >>クレイブ:
「……かもな」
 
 
  >>ブレンダ:
「見たところ、こいつらアラブ系のテロリストといっても反米帝国主義というより反イスラエルの勢力…PLOの分派か何かに見えるわね。まあ、だからどうってこともないけど」
 
 



 
 
 三人は立て続けに食料庫、調理場、治療室などを確保していく。
 
 
  >>クレイブ:
「せっかくだからつまみ食いでもするか。ウーン、ここの連中、銃の腕も悪くないが料理の腕もなかなかイケルな。戦場でマズメシ食わされるなんてのは、士気に関わるからな…こいつらが敵だっていうのは、つくづく惜しいことだよ、本当に」
 
 
  >>ブレンダ:
「食料や医療品の備蓄は充分なようね。設備も揃ってる。いい生活してるわ」
 
 
  >>イヴ:
「足りないのは娯楽だな?いまどきビデオゲームやパソコンもなけりゃあ、テレビやラジオすら置いてねーときてる。いくらパンがあったって、こんな僻地での生活を信仰心だけで乗り越えるのは難しいってもんだ。空から降ってきた美女という名のトロフィーに舞い上がっちまうのも無理はねぇ」
 
 
  >>ブレンダ:
「まだ言うか、オマエ」
 
 
 侵入者の存在はすでにテロリストたちに知られており、追撃に出た者が悉く打ち倒されたことから、残存兵たちは自ら打って出ることはなく部屋に篭城し傭兵たちを待ち構えていた。そこへ不用意に足を踏み入れようものなら、あっという間に蜂の巣になってしまうだろう。厄介なことである。
 入り口が一つしかない場合でも、扉を開けてそのまま突入…などという戦法を取るわけにはいかなかった。とある部屋の制圧にて、クレイブは扉を開けた直後に退避、そこへイヴがミサイルガンを撃ち込むという作戦を立てる。
 
 
 
 
  >>クレイブ:
「いいか、俺に当てるなよ!絶対に当てるなよ!」
 
 
  >>イヴ:
「当てなかっただろうが。信用ねぇな、こんな一直線の射撃でマトを外すヤツいるか?」
 
 
  >>クレイブ:
「それが結構いるんだよな。手榴弾を足元に落としたり、延々と目の前の壁を撃ち続けたりするヤツが」
 
 
 
 
 すでに敵兵のほとんどは斃され、クレイブたちはいよいよシレビックの待つ司令室へと続く通路へと迫った。クレイブとブレンダが一階、イヴが二階から突入する算段である。
 敵は準備万端整えた状態で待ち構えており、土嚢でバリケードを構築してこちらに狙いを定めていた。クレイブとイヴが同時にグレネードを投げ込もうとするが、投擲の瞬間に姿を発見されたイヴがCAWSショットガンの猛射を喰らいダウンしてしまう。
 
 
  >>クレイブ:
「おっと、こいつはマズイな!突入だ、連中の目が二階に釘付けになっているうちに、ラッシュ!ラッシュ!」
 
 
  >>ブレンダ:
「コピー、後に続く。ターゲット・インサイト!」
 
 
 
 
 階段を駆け上がり厳重警戒エリアに突入したクレイブとブレンダは、イヴに照準を合わせていた敵兵たちを瞬く間に撃ち倒していく。屋内を制圧したのち、クレイブは負傷したイヴを治療。ブレンダは長い通路の向こう側から攻撃してくる兵士の再装填のタイミングを狙って銃撃、これを撃ち倒す。
 
 
  >>クレイブ:
「大丈夫か?ギャングスター、相変わらず厄を引きつける体質だな」
 
 
  >>イヴ:
「まったくだぜ。今回の作戦で傷病手当が出るのかどうか、聞いときゃよかった」
 
 
  >>ブレンダ:
「ところで連中、変なガンを持ってるんだけど。なに、これ」
 
 
  >>クレイブ:
「どれどれ…こいつは中国製のQLB-06、の亜種に見えるな。ロケットライフルとか呼ばれてるやつだ、装填されてるのは対人用のHE弾頭か?」
 
 
  >>イヴ:
「おっかないぜ、テメェの味方が巻き込まれるのも構わずジャカスカぶっ放してきやがった」
 
 
 残るは司令室のみだが、三人は脱出用ヘリのコンディションをチェックするため一度外へ出た。
 
 
 
 
  >>クレイブ:
「こいつが例のベル・レンジャーか。見たところ破損や計器の異常はないし、燃料も充分にあるようだな」
 
 
  >>イヴ:
「操縦は俺に任せてくれ。免許は持ってねーが、こいつの飛ばし方は心得てる」
 
 
  >>ブレンダ:
「大丈夫かなー…?」
 
 
 ふたたび基地に引き返した三人は、道中で隔壁が解放された先にあるミサイルサイロを発見する。
 
 
 
 
  >>クレイブ:
「ミサイルにはスデに核弾頭が積まれているようだな。いつでも発射可能な状態にあるってわけだ…仕様通りの効果を発揮するかどうかはわからんが」
 
 
  >>イヴ:
「いっそ、俺らの手で弾頭に信管を取りつけてこの場で核爆発を起こすってのはどうだ?このクソ溜めを綺麗にまっ平らにできるぜ」
 
 
  >>ブレンダ:
「綺麗にすんのはいいけど、あたしらはどうやって逃げるんだよ?よっぽど離れてから起爆しないと、爆発に巻き込まれるか、核爆発で生じる電磁波でヘリの操縦システムがやられるかのどっちかだ。起爆までに余裕を持たせたら敵に解除されるだろうし、現実味のないプランだね」
 
 
  >>クレイブ:
「どのみち、核爆発なんてそう滅多に起こすもんじゃない。アトム神の救済を望んでるんでもなけりゃあね」
 
 
  >>イヴ:
「アストロボーイがなんだって?」
 
 
  >>ブレンダ:
「そのアトムじゃない」
 
 
  >>クレイブ:
「このヘアースタイルがサザエさんみてェーだとォ?…ま、そんなことはどうでもいいんだ。残るは司令室にいるシレビックと、取り巻きの護衛をぶっ飛ばすだけだが、イヴはここからミサイルガンで制御室の窓を叩いてくれないか?俺とブレンダが爆発と同時に突入する」
 
 
  >>イヴ:
「怪我人に気を遣ってくれてんのかい?お優しいじゃねーの」
 
 
  >>ブレンダ:
「ヘリを運転する前に死なれても困るしね」
 
 
 
 
 階段を上がり、制御室の前に待機するクレイブとブレンダ。
 イヴがミサイルサイロからミサイルガンを制御室の窓に向けて連続で撃ち込む、と同時にクレイブがドアを開放。イヴに注意が向いている二人の敵兵を、クレイブとブレンダが各個撃破する。
 司令室にいたシレビックの護衛二人がこちらへ向かってきたところを階段で始末し、そのあいだに駆けつけたイヴと合流したのち、クレイブとブレンダは司令室にフラッシュバンを投げ込む。
 爆発の直前に司令室から飛び出してきたシレビックの身体を、三人の銃撃が引き裂いた。
 
 
 
 
 

 
 
 
 
 
 いっとき成功が危ぶまれたシレビック暗殺と核ミサイルの確保は、三人の傭兵により無事果たされた。これによりEU各国首脳が集まるサミットは仔細なく開催され、米政府は軍の活躍により不穏分子と核の脅威が排除されたことを大々的に発表した。
 傭兵たちの活躍が後世で語られることは決してないであろう。彼らが欲するのは名声に非ず、戦場に富と冒険を求める彼らが正義を人殺しの言い訳に使うことはない。
 他者に与え続けてきた死が、いつか自らの身に降りかかるまで…彼らは、今日もどこかの戦場で戦い続けているのだろう。
 
 
 
 
 
 [次回へつづく…?]
 
 
 
 
 


 
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2019/12/18 (Wed)23:30


 
 
 
 
 
*注意*
本リプレイではゲームデータの一部を改造し、
ストーリーを脚色&変更しています。
 
 
 
 
  >>クレイブ:
「12時方向に敵の歩哨、それと2時方向の監視塔にも一人いる。まとめて殺れるか?」
 
 
  >>ブレンダ:
「片方はアンタがやってよ」
 
 
  >>クレイブ:
「ムーリー。俺、いま地雷の解体中。忙しくて手が離せない、ってなわけでヨロシク」
 
 
  >>ブレンダ:
「しょーがないな…」
 
 
 武装した男たちが油断なく目を光らせるなか、彼らの視界を遮るようなかたちで鎮座する岩石丘の影で一組の男女がささやき声を交わしていた。ネイビーブルーの戦闘服にスペクトラ素材の抗弾ベストを着用した、いかにも兵隊然とした格好の男は工具を手に地雷の解体に取り掛かっており、危険な作業をしている割にその口調は軽く緊張感に欠けている。
 一方、上半身に黒いビキニのみを身につけた、いささか露出度の高い女は大型サプレッサーと高倍率スコープを装着した高精度ライフルをかまえ、見張り台に立つ兵士の頭部に狙いをつけた。その姿は軍事雑誌に掲載されている悪趣味なグラビアのようであり、違いがあるとすれば、女の表情にアヒル口の笑顔ではなく本物の殺意が宿っていることだった。
 女が大型のトリガーを引き絞ると、微かな銃声と、それよりも大きな機関部の作動音とともに、240グレインのサブソニック弾が兵士の頭蓋を打ち砕いた。イスラエル製の弾丸を選んだのは偶然だったが、彼らにとってそれは屈辱に値するのだろうか、と女は思った。
 いったんスコープのレンズから目を離し、女は次の標的…小川にかかる橋のたもとに立つ別の兵士を肉眼で捉え、銃身を持ち上げた。ふたたび発砲する。こちらに背を向けている兵士の、ヘルメットと首のあいだ…脊髄と頭骨のつけ根に弾丸が命中し、ちぎれかけた頭部がアメリカン・クラッカーのように揺れながら兵士はうつ伏せに倒れる。
 
 
  >>ブレンダ:
「ターゲット・ツーダウン」
 
 
 女の事務的な報告に、男は首をすくめてみせることで返答する。
 周辺に展開する敵のパトロールはたったいまの殺戮に気づかなかったようだ。そのうちに彼らも狙撃の標的になるだろうが、そのときも相手がこちらに気づいていないことを女は祈った。
 いっとき、一方的な殺戮に罪悪感が湧きかけるが、女はそれをすぐにうち消す。物事はフェアに進めなければならない。敵がこちらの存在に気がついたとき、トリガーを引くことをためらいはしないだろう。
 
 二人組の傭兵、クレイブ・マクギヴァンとブレンダ・フォスターはいま、テロリストが潜伏する拠点の外周に展開していた。
 
 
 

 
 
 

Jagged Alliance Back in Action

Shades of Red

- 前編 -

 
 
 

 
 
 
 
 
  >>ブレンダ:
「で、コレはいったい何なわけ?」
 
 
  >>クレイブ:
「NSAからの依頼でね。アンテ・シレビックとかいう、どこぞの田舎くさいテロ屋がEUの各国首脳が集まるサミット会場への核攻撃を目論んでるらしい」
 
 
  >>ブレンダ:
「それで、あたしら二人だけでそれを阻止しろって?脅威の規模に比べて投入する戦力が貧弱すぎるんじゃないの?アメリカ政府は脳味噌ハッピーセット?」
 
 
  >>クレイブ:
「あー、じつは俺たちより先に傭兵部隊が派遣されてるんだがな。空挺降下での強襲作戦が予定されてたんだが、テロリストがSAMを持っているというステキな事実を情報部が掴み損ねていたおかげで、傭兵たちを乗せて飛んでいた輸送機が散体なされた」
 
 
  >>ブレンダ:
「あーあ…」
 
 
  >>クレイブ:
「でもって、傭兵たちは輸送機と一緒に空の藻屑と化すまえに、装備と一緒にパラシュート降下を敢行したんだが…傭兵も装備も、敵地のど真ん中に着地しちまった。で、全員が捕まったか、殺されたかしたらしい」
 
 
  >>ブレンダ:
「敵はムスリムなの?あんまり想像したくないわね…斬首で済めばまだ慈悲の深いほうだわ。たしか、生きたまま解体されてゴミ袋に詰められたアメリカ人の坊やがいたでしょ。それはともかく、あたしらが連中のケツを蹴り飛ばしてやらない限り、サミット会場が核の炎に包まれるっていう理解でオーケー?」
 
 
  >>クレイブ:
「どーかな。核ミサイルってのはああ見えて繊細な道具でね。定期的な保守点検が欠かせない。金がかかる武器なんだよ、アレは。冷戦終結でロシア人から簡単に買えるようになったのは事実だが、まともな環境で保管されてたかも疑わしい中古の核ミサイルを、シレビックがちゃんと撃てるかどうかはアヤシイもんだ。
そしてNSAって連中は、本当にヤバイ案件は自分達の手で処理する。そのための部隊も抱えてる。なにも機密漏洩のリスクを背負ってまで、傭兵に金を払ったりしなくてもね。それをやらなかったってことは…俺が思うに、まあ、茶番だよ。コイツは」
 
 
 

 
 
 
 
 
 クレイブ・マクギヴァン……ワシントン出身の傭兵。その素性は謎に包まれており、一説には優秀な科学者である両親のもと、核シェルター内で育てられたと言われているが、真偽は不明。通称"101のアイツ"と呼ばれている。
 
 使用武器……ブラッドオンユアセルフ。.357マグナム弾を使用する大型拳銃で、市場に出回っていないワンオフモデル。フレーム側面に"パルミア王立博物館所蔵"という刻印が掘られているが、それが何を意味するのかは不明である。
 
 
 
 
 ブレンダ・フォスター……バウンサー(用心棒)。彼女の出自には諸説あり、アフリカで民族解放運動に携わっていたとも、アウトキャストと呼ばれる団体に所属していたとも言われるが、詳細は不明。幼少期は奴隷であったらしく、奴隷商人や犯罪カルテルといった存在を心の底から憎んでいる。クレイブの恋人。
 
 使用武器……PSG-SD。H&K社製の狙撃用ライフルPSG-1をベースに、MP5SDシリーズに似たサプレッサーとフォアエンドを装着したカスタム銃。亜音速弾を用いることで発砲音をほぼ無にすることができる。7.62x51mm NATO弾を使用する標準的な火器と比べて射程距離は落ちるため、近~中距離用の狙撃に適している。
 近接戦ではマチェットを使用する。彼女はそれを使い慣れている…ジャングルで、藪とゲリラの首を刈り取るのに便利な道具だということを経験から理解しているのだ。
 
 
 

 
 
 
  >>クレイブ:
「で、なんで5連マガジンなんか使ってるわけ?それポリス用だろ?」
 
 
  >>ブレンダ:
「アーハイハイ、G3用の20連を使ゃいいってんだろ?余計なお世話だよ、あたしはこの5連マガジンが好きなんだ。セカンドチャンスに頼ろうなんていう甘えを捨てられるからね。あんたこそ、なんで拳銃しか持ってないの」
 
 
  >>クレイブ:
「この国への武器の持ち込みでトラブっちゃってさ。本当は一等いいライフルを用意してたんだが…まあ、色々あったんだ。今回はコイツ一本で切り抜けるしかないな」
 
 
 轍に敷設されていた対人地雷の処理を終え、二人はパトロールに見つからないよう素早く橋を駆け抜ける。先刻ブレンダが射殺した兵士が見張っていた場所だ。
 祖父の代からそこにあったか、あるいはマインクラフトの熱烈なファンが作ったような、丸太を縄で繋ぎ合わせた簡素な作りの橋を渡ると、そこには金属製のコンテナが安置されていた。すでに役目を終えたパラシュートが夏場の陰嚢のようにだらしなく伸びきり、それが空からやってきたものであることを証明している。
 
 
 
 
  >>クレイブ:
「これやな?傭兵部隊が落とした装備は。見張りが一人しかいなかったのはラッキーだったよな」
 
 
  >>ブレンダ:
「中身はなんなの?なんか、ヘンなものばっかり入ってるみたいだけど」
 
 
  >>クレイブ:
「大量の手榴弾、大量のミサイルに、小型のフルオートマチック・ピストル?それと、四連銃身式のショットガン…じゃないな。グレネード?違う、なんてこった、ミサイル銃だぞこれ!」
 
 
  >>ブレンダ:
「…NSAはどういう連中を雇ったのかしら?」
 
 
  >>クレイブ:
「なんとなく心当たりがあるような…ないような」
 
 
 ひとまず装備一式を回収し、二人はもとの位置へ戻った。まだ敵が同胞の死体を発見した様子はない。
 テロリストの拠点である堅牢な要塞は入り口が一箇所しかなく、目についた敵を片っ端から撃ち殺すというようなラフな方法ではこちらが蜂の巣にされるのは明白だった。NSAがレーザー誘導装置を貸してくれれば、スマート爆弾で施設ごと吹っ飛ばしてやれたのに、とクレイブはため息をつく。
 もちろん、それでは万一捕虜が捕えられていた場合に捕虜ごと吹っ飛ばすことになるし、クレイブたちは先遣隊とは違い陸路からの侵入だったので、どのみち持ち込むことはできなかっただろう。
 
 

 
 
 
 
 一度に多数を相手にする戦いでは勝ち目がない。特に、視界の開けた場所ではなおさらだ。
 まずは孤立している者を優先的に狙い、次いで二人一組で行動しているチームを同時攻撃で制圧する。警報を鳴らす猶予を与えてはならない。
 起伏の多い立地で射線を遮る障害物が多い点も注意すべきだった。弾丸というのは木の葉や枝に掠っただけでも大きく弾道が逸れる。
 厄介なのは土嚢に身を隠す警備兵だったが、これはクレイブが手榴弾で始末した。手榴弾は屋内の掃討だけではなく、射線の通らない障害物の向こう側にいる敵を排除する際にも役立つ。狭い場所に隠れている敵兵を焙り出し、飛び出してきたところを狙撃するという手もある。
 
 
 
 
  >>ブレンダ:
「正面ゲートに到着したわけだけど、こっちの存在に気づいた敵兵が一人、待ち構えてるわね。どうする?無策で飛び出したら負傷は避けられないと思うけど」
 
 
  >>クレイブ:
「フラッシュバンを使おう。同時に二発、それぞれ角度と距離を変えて投げるんだ。そうすりゃ、まあ、相手は逃げられんだろうよ。レディ?」
 
 
  >>ブレンダ:
「フラッシュ・アウト!」
 
 
 
 
 クレイブとブレンダが閃光弾を同時に投げ込み、爆発で生じた音と閃光で感覚を失った敵兵を始末する。
 
 
  >>ブレンダ:
「クリア。この先は警備室を通ることになりそうね、敵に発見されずに通過するのは難しいかも。迂闊に突撃したら蜂の巣だわ」
 
 
  >>クレイブ:
「入り口の近くに地雷を仕掛けておいてやろう。ちょっとつついてやって、追いかけてきたところを一網打尽ってわけよ。ついでに、自分達が侵入者用に仕掛けた地雷を逆に利用されるっていう皮肉にもなるしな」
 
 
 クレイブは屋外で回収した地雷を警備室の前に仕掛けなおし、近くで待機する。
 扉を開けようとしたとき、屋内から慌しく駆けてくる敵兵の気配がした。それも、複数。どうやら、先刻の戦闘ですでに警報が発令されていたらしい。
 
 
  >>クレイブ:
「向こうから来てくれるとは好都合だ。このまま待ち伏せして、一気に片づけてやるぜ!」
 
 
  >>ブレンダ:
「……!!おい、まずい!クレイブ、退け!そこから離れろ、下がれ!」
 
 
  >>クレイブ:
「え?なに?」
 
 
  >>ブレンダ:
「じーらーい!」
 
 
  >>クレイブ:
「地雷がなんだって?」
 
 
 
 
 クレイブの狙いは決して間違ってはいなかった。
 侵入者を迎え撃とうと大挙してなだれこんでくる敵兵は扉を開けた途端、地雷を踏んで負傷する。そこへ待ち伏せしていたクレイブが攻撃を仕掛け、敵を一気に片づける。
 作戦は成功するはずだった。計画は寸分の狂いなく進行しているはずだった。
 そう…クレイブが、地雷の爆発に巻き込まれるほど近くにいなければ。
 
 
  >>クレイブ:
「痛ッたあぁぁアアアァァァァ!!アアアァァァァーーーーーー!!」
 
 
  >>ブレンダ:
「なにをやってんだぁぁあああああ!」
 
 
 敵味方、双方ともに地雷の爆発に巻き込まれ、警備室前は阿鼻叫喚の地獄絵図と化した。
 怪我を負ったものの一命を取り留めた敵兵とクレイブが至近距離で撃ち合うなか、難を逃れたブレンダが素早く敵を狙撃していく。
 どうにか敵の第一陣の殲滅に成功した二人は一旦退き、格納庫内に停車していたトラックの影に身を隠した。救急キットを取り出し、負傷の手当てをする。
 
 
 
 
  >>ブレンダ:
「前々からそうかなーと思ってたんだけどさ、おまえ、バカでしょ?」
 
 
  >>クレイブ:
「まあその、なんだ。いわゆる一つの戦術ミスってやつかな」
 
 
  >>ブレンダ:
「なにカッコつけてんだ。それにしても連中、戦車まで持ってんのね」
 
 
  >>クレイブ:
「見たところT-72のようだな。SAMもあるし、兵士の装備も高級品だ。そこいらのチンピラ軍団とはわけが違うな。ま、曲がりなりにも核を持ってるって時点で予測はできてたが」
 
 
 
 
 その後、二人は立て続けに襲撃してきた敵の第二陣を撃破。
 
 

 
 
 
 
 通路を素早く駆け抜け、警備室に閃光弾を投げ込んだのち突入。ブレンダは武器をPSG-SDからマチェットに持ち替え、室内にいた警備兵を掃討する。
 さらに追跡してきた敵の第三陣を警備室内から攻撃、手榴弾も駆使してこれを撃破する。
 
 
  >>ブレンダ:
「モニタールームか…(画面の一つを指さし)ねぇ、これ捕虜じゃないの?近くの物置っぽい部屋に一人、血まみれで放置されてるやつがいるんだけど」
 
 
  >>クレイブ:
「傭兵部隊の生き残りか?どっかで見たようなナリだな。すくなくともテロリストの仲間じゃなさそうだし、話だけでも聞いてみるか」
 
 
 警備室のデスクの引き出しに入っていた鍵を使い、施錠されていた扉を開ける。
 そこには怪我を負った、半裸の女性が立ち尽くしていた。わずかな水のみを与えられて生かされていたようで、床には空のペットボトルと、どうやら便所がわりに置いてあるらしい汚物入りのバケツが見えた。
 女とクレイブの目が合ったとき、二人は互いの正体を認識する。
 
 

 
 
 
 
  >>イブ:
「よぉ、珍しいところで珍しいヤツに会うもんだな。たしか、トーキーボーイのお友達の傭兵だったな?」
 
 
  >>クレイブ:
「こんなところで何してる、ギャングスター?どうりでヘンな装備ばっかり持ち込んでるわけだ、なんでギャングが政府の仕事なんか引き受けた?」
 
 
  >>イブ:
「ギャングが政府の仕事しちゃ悪いか?ときには愛国心ってやつを示したくなるのさ。こう見えて俺は愛国者なんだぜ?それが証拠に、俺のケツからは星条旗カラーのクソが出る」
 
 
  >>クレイブ:
「どうせヤバイ案件で捕まって、免責特権やらと引き換えに押しつけられたんだろうが?それもNSAに目をつけられるようなことを?いったい何をやらかし…まあいい、興味ねぇ。それにしても、随分と酷くやられたもんだな?拷問を加えられるなんざ、普段は逆の立場だろうに」
 
 
  >>イブ:
「拷問を加えられたし、咥えさせられたし、さんざん突っ込まれたよ。ビデオカメラが回ってりゃあ完璧だったんだがな。極悪テロリストに犯される可憐な女傭兵、かよわい美女に加えられる容赦ない拷問の数々!やらせ、一切ナシ!こりゃあ、裏ルートで高く売れるってなもんだぜ」
 
 
  >>ブレンダ:
「…可憐?かよわいって、誰が誰のこと言ってんだ?」
 
 
  >>イブ:
「(ブレンダを指さしつつ)こいつは?たぶん初めてお目にかかる顔だと思うが」
 
 
  >>クレイブ:
「ブレンダ。俺の相棒だ」
 
 
  >>イブ:
「相棒?へぇ、戦場に女を連れ回すようなヤツには見えなかったな。よろしく、ブレンダ?」
 
 
  >>ブレンダ:
「…あたし、ギャングだの、マフィアだのって連中が死ぬほどキライなのよ」
 
 
  >>イブ:
「お固いことで。じゃあ、握手はナシでいいな?少なくとも、目の前の仕事を終わらせるまで多少は我慢してくれるんだろ?それとも、いますぐ俺とやりあうか?」
 
 
  >>ブレンダ:
「そうは言わないけど。ねえクレイブ、コイツなんなの?アンタの昔の女?」
 
 
  >>クレイブ:
「気味の悪い冗談はよせ。こいつはイヴ、ギャングのボスだ。昔、仕事でちょっと関わっただけだよ。ところで、イヴ?おまえ、動けるのか?俺たちが仕事を片づけるまで、ここで休んでてもいいんだぞ」
 
 
  >>イブ:
「連中にはさんざん楽しませてもらったんでな、少しは借りを返してやらなきゃ。パーティの参加資格は俺にもあるんだろ?」
 
 
  >>クレイブ:
「(コンテナから回収した装備を渡しつつ)"The Lord be with you."」
 
 
  >>イブ:
「ゲイリー・ギルモア?処刑台へ上がるにはまだ早いんじゃねぇのか」
 
 
 
 
 
 [次回へつづく]
 
 
 
 
  


 
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2019/05/14 (Tue)00:16










Jagged Alliance 2 Classic

【 Mercs Never Die. 】Part.17 (END)











Day 19, Point P3. 1100.



 女王を追って王宮の地下シェルターからメドゥナ庭園へと出てしまった傭兵たち。ふたたび王宮へ侵入し、残存兵力の掃討に乗り出す。


  >>クレイブ:
「どうも玉座に精鋭部隊が残ってたようだな。クソ頑丈なエリート兵がロケットライフル構えて出待ちとは、いかにも昔の洋ゲーって感じの難易度調整じゃあねーか、オイ!」


  >>トゥインキー:
「一発で重傷、二発喰らえばほぼ死亡、アーマーも役に立たないときたもんだ。有効射程が長く精度も高い、厄介なシロモノだよ、まったく!」


  >>ナターシャ:
「それでも、どうにか全員倒せたようですね。女王はどこにいるんでしょう?」


  >>ノーマン:
「こっちもしこたまLAWをぶち込んだからな。肉片になっちまってるんじゃないのか?」


  >>イヴ:
「それらしい死体は見つからねーな。マジで消し炭になっちまったのかも」


  >>ジアン:
「いましばらく別の場所を探すであるよ」




  >>クレイブ:
「Eliot, are you immortal !?」


  >>ノーマン:
「こいつ、正門を突破するときのLAWの連発で吹っ飛んだんじゃなかったかな…?すさまじい生命力だ」


  >>トゥインキー:
「こんな状態でも女王への忠誠心を失わないとは、まっこと側近の鑑だのう。どうやら女王の居場所を吐く気もないようだ、あくまで女王側につくってのなら、仕方がない、その誇りを抱かせたまま天に送ってやるしかないな」







 その後も女王の捜索を続ける傭兵たち、しかし女王の行方はようとして掴めない…


  >>イヴ:
「ひょっとして、もう逃げちまったんじゃねーか?高飛びしたとか…あるいはメドゥナのほかの場所に潜伏してるとかよ」


  >>ナターシャ:
「メドゥナ全域を制圧しないと女王出現フラグが立たない、とかですかね」


  >>トゥインキー:
「やめて、考えたくない…あれ、ちょっと待って」







  >>クレイブ:
「まさか、地下のこんな場所に扉があったとはな。気づかないはずだ、見えないんだから」


  >>トゥインキー:
「AAAAAGGGGGGGHHHHHHHHHHHH!!これだからイヤなんだよ、2Dアイソメトリックってやつは!!」




  >>ノーマン:
「いよいよ女王とご対面、だな」


  >>イヴ:
「今のところ抵抗する気はないみてーだな。煮るなり焼くなりお好きなようにってな、さて大将、どうするね?」


  >>トゥインキー:
「たとえ相手が裁量の余地もない悪党だったとして、無闇に苦しませるのは主義じゃないのよね。頭に一発、それで終わりだ。せいぜい来世では…そんなものがあれば…もうちょっと他人に優しく生きてほしいね」














 王宮を出た傭兵たちを、大勢の国民が出迎える。


  >>トゥインキー:
「エート。どちらさま…??」


  >>クレイブ:
「名も無き民ってやつだろう。女王の圧政から解放されて喜んでるようだが、こいつら首都の住民だろ?他の都市から駆けつけたにしては早すぎるしな、徒歩は移動に時間がかかるって、イヤってほど思い知らされてるしよ」


  >>ナターシャ:
「地方だけでなく首都の富裕層も女王の軍政化には反対だったということじゃあないですか?このぶんだと、ほか地区に展開している政府軍部隊もすでに戦意を失っているとみていいんじゃないですかね」


  >>ジアン:
「おそらく、我々の…反政府軍の支援者が、死んだはずの前王だったという話がすでに広まっているのではないかな。国王がふたたび政権に就けば、以前のように平和なアルルコに戻るという希望があるのだろう」


  >>イヴ:
「そう上手くいくかね?女王がどんな政治を行っていたかはわからねぇが、軍事政権だったからこそ諸外国が手を出せずにいた、って状況だったかもしれないしよ。時計とは違うんだ、ネジを戻せば歯車が元に戻るってわけもねぇだろ」


  >>ノーマン:
「それに関しては、いま悩んでも仕方がないな。それに、俺たちの仕事はここで終わりだ。あとのことは国王と、そして国民が自分達の手で切り拓いていく必要がある。未来をな」


  >>クレイブ:
「所詮俺たちは壊し屋さ、やったことといえば、殺して壊しただけだ。物事は破壊と再生、その繰り返しだ。俺たちが壊し、そして、彼らが再生させる。それぞれの役割さ、すべてが一つのサイクルなんだ」




  >>トゥインキー:
「ともかく、これで任務完了というわけだ。といったところで、気の利いた台詞の一つも思い浮かばないけど…とりあえず皆、お疲れ様ってことで」


  >>クレイブ:
「こっちも金で雇われて仕事でやっただけだからな。とはいえ、まあ、たまにはチームを組むのも悪くはないな。次の儲け話を仕入れたらまた声をかけてくれ、もっとも、そのとき俺の手が空いてるとは限らないけどな」


  >>ノーマン:
「当初の予定、二週間はさすがに希望的観測が過ぎたが、それでも20日か。ずいぶん長い間ここで戦っていた気がするな。もうしばらく滞在して南国リゾートを満喫と洒落込んでもいいんだが、家族を国に残してきているんでな。そうだ、嫁と娘たちにお土産を買っていってやらないと。聖杯はキングピンにくれてやってしまったし」


  >>ナターシャ:
「私も、すこし長居が過ぎました。アルルコの内情については組織も関心を抱いていたので、今回の仕事はいちおう本業の一環でもあったんですけどね。とはいえ、本部がアルルコに積極的に関わることはないでしょうけど。さて、これから報告書を仕上げないと」


  >>イヴ:
「まあ楽しかったぜ、人生はアクションとエキサイトがなけりゃあな!欲を言やあ、もうちょっと派手に暴れたかったがな。ところで、本当にこの国にケシ畑を作る予定はないのかい?」


  >>ジアン:
「私はもうしばらくこの国の残るであるよ。我がカルトの偉大なる信仰をアルルコに広めねばならぬでな。ところで軍資金の余剰、20万ドルはどうするであるか?」


  >>トゥインキー:
「みんなで山分けだ、成功報酬ってところでね。フィクションなら、ナニワブシならね、アルルコの将来のために国民に返還しちゃったりなんかするんだろうけど。さすがにそこまではお人好しじゃないよ、俺は」


  >>クレイブ:
「なんといっても、たった六人で政権を打倒したわけだしな。それに20万なんてのは、一見すりゃあ大金だが、実際は戦車一輌だって買えない端金なわけだからな。胸も痛まねー」


  >>ノーマン:
「アゼルバイジャンがロシア軍から購入したT-72は一輌あたり100万ドルだったかな。すぐに実戦運用できるレベルならそれくらいかかるかな、民間向けのジャンクならもっと安くて済むが。20万という金額は傭兵の報酬としてはそう高くもない」


  >>トゥインキー:
「まーそんなわけで、この金は国を離れる俺たちへの餞別として有り難く受け取っておこうじゃーないの。それじゃ、帰りますか」









 女王が倒れ、旧軍事政権が崩壊したのち。
 王宮の玉座の間にて、これまで姿を隠していた前王エンリコ・チヴァルドーリが大勢の国民をまえに壇上でスピーチをする。
 聴衆のなかには傭兵部隊を率いていたトゥインキーと、仲間の一人ナターシャの姿もあった。


  >>ナターシャ:
「意外ですね、あなたがこんな場所に姿を見せるなんて。とっくに帰ったものと思っていましたが」


  >>トゥインキー:
「俺も同じようなこと言おうとしてたんだけどね。一応、クライアントから直接依頼を受けた身としてはね。とりあえずの顛末は見ておかないとさ」


  >>ナターシャ:
「ミゲールが亡くなったのは残念でした。まさか、オルタの研究所へ向かったときに戦死していたなんて…カルロスと、ダイナモも。彼らの名は国の為に戦った英雄としてアルルコの歴史に刻まれることでしょう」


  >>トゥインキー:
「アランとアレックスはいつの間にか姿を消していたな。シルヴィアは野生化したブラッドキャットを退治するために、反政府軍、いや今は国防軍だっけ、かつて訓練した連中と協力して対処にあたってるそうだ。キミはなぜここに?」


  >>ナターシャ:
「サン・モナのキングピンが目下のところ、現政権の脅威となっているようです。それとは別に、本部も彼の組織に懸念を抱いているようで。成り行きによっては、ヒット・コントラクト…抹殺指令が下る可能性があるので、こうして待機しているのです」


  >>トゥインキー:
「本部?モスクワのオレス・クターギンがそう言ったのかい、キミの義父の?」


  >>ナターシャ:
「義父といっても、軍へ入隊するときの身元保証人と、組織への加入を斡旋してもらっただけで、あとはそう会って話すこともないですけどね。もしキングピンの組織を相手にすることになれば…ひょっとしたら、今度は私があなたを雇うことになるかもしれませんよ?」


  >>トゥインキー:
「そいつは…キャッシュ次第、だな」













 [おわり]
 
 
 
 
 


 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
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2019/05/11 (Sat)00:52










Jagged Alliance 2 Classic

【 Mercs Never Die. 】Part.16













Day 19, Point N3. 0945.



 アランたち別働隊がオルタの秘匿研究所を襲撃したのとほぼ同じタイミングで、トゥインキーら傭兵たちはアルルコの首都メドゥナ北部の空港へ侵攻を開始した。最終決戦の火蓋が切って落とされる。


  >>クレイブ:
「金網の周辺に地雷が敷設されてるな。気をつけなきゃあな」


  >>ノーマン:
「金網自体にそれほど耐久性はないようだ。さっき投げた手榴弾の爆発で穴が空いた、そこから敷地内に侵入できるだろう」




  >>トゥインキー:
「空港の倉庫に大量のLAWがあるね、こいつは役に立ちそうだ」


  >>ナターシャ:
「撃つときは背後に気をつけてくださいね。バックブラストで吹っ飛ばされるのは御免ですから」


  >>イヴ:
「きちんと射手の背後にダメージ判定が発生するもんな、戦車を潰そうと思って撃ったとき、後ろにいたジアンがぶっ飛んだときは何事かと思ったぜ。いやー感心、感心」


  >>ジアン:
「冗談では済まないのである。危うく髪型がアフロになるところだったである」


  >>ノーマン:
「警備は厳重だが、わかりやすくバリケードが組んであるぶん、敵がいる場所はおおよそ見当がつく。そういう意味では対処が簡単ではあるか」


  >>ナターシャ:
「ひとまず空港の敵はすべて排除できたようですね。どうします?東にはSAMサイトがあります。そこを奪取できればアルルコの制空権を完全に掌握できますが」


  >>トゥインキー:
「いまさら攻略の手を広げてもしょーがないんだよねぇ。このさい、一気に南進して王宮を落としちゃおう。手持ちの武器、弾薬も有限だしさ。あんまり手間隙かけて、女王に今後の身の振りを考える時間を与えるのもマズイしね」










Day 19, Point O3. 1000.



  >>クレイブ:
「さて空港から南へ移動して首都に入ったわけだが。随分と立派な庭園だな、まるで迷路だ。この生垣を手入れするために大勢の使用人を雇ってるんだろうな」


  >>ノーマン:
「迷路のなかで守備隊が防御を固めているのはわかりきっているから、西側から回り込んで王宮へ侵入したいところだが、さすが女王というべきか、それを見越して海岸に大量の地雷が敷設してある。これを除去しながら移動するのはかえって危険だ」


  >>ナターシャ:
「海岸には遮蔽物がありませんしね。地雷を処理しているところへ一方的に攻撃を仕掛けられたらひとたまりもありません」




  >>イヴ:
「どうにか敵をやり過ごして南側まで来れたか。まだフロア内に敵が残ってるようだが、どうするよ?」


  >>トゥインキー:
「このさい、いちいち向かった先の敵を全滅させる必要もないわけでね。無視しちゃおう、このまま一気に王宮へ突入するよ」










Day 19, Point P3. 1025.



  >>クレイブ:
「さァて、王宮の正門を吹っ飛ばして侵入可能になったわけだが…なんだ、あいつ?」


  >>ジアン:
「あれはエリオット、女王の秘書である。どうやらLAWの爆風に巻き込まれたようであるな、だいぶんズタボロである」


  >>イヴ:
「額にご立派な穴が空いてるじゃねーか。流れ弾にでも当たったかな?」


 エリオットは傭兵たちが都市を陥落させるたびに女王から叱責と平手打ちを喰らい、しまいには頭部を銃撃されたものの一命を取り留めたなどということは、傭兵たちにとって知るよしもない。




  >>トゥインキー:
「最終決戦だってんで、ありったけのLAWやらモーターやら爆薬やら総動員したけど、この王宮って現政権が崩壊したあとも使うんだよね?まずいなぁ、クライアントが怒らないといいけど…」


  >>クレイブ:
「この有り様を見たら、前王はオマエを雇ったことを後悔するかもな。ま、それはともかく、LAWの直撃を受けてもビクともしない頑丈な暖炉があったぜ。よく見たら下に下りる階段があるな、いかにもネズミの巣穴に繋がってそうな気配がしねぇか?」









  >>トゥインキー:
「地下室っていうか、立派なシェルターだねこれは。核にも耐えるのかな?施設自体は王宮が建造された当初からあったんだろうけど、セキュリティを強化したのは女王の手配だろうね」


  >>ノーマン:
「人間が剣や槍で戦争していた時代から、権力者の住居には秘密の地下室や逃げ道を作るのが当たり前だったからな。実用性だけでなく、そういう設備があるってこと自体がステータスでもあった」


  >>クレイブ:
「ガキの頃を思い出すな。俺もこんな場所で育ったもんだ、授業用のスライドに細工したりな。懐かしい…」


  >>イヴ:
「ノスタルジーに浸ってる場合か、それより女王はどこにいるんだよ?敵を全滅させても女王の影も形もないじゃねーかよ」


  >>ジアン:
「ひょっとして、まだ地下に退避していなかったのではあるまいか?地上階の敵を掃討するまえに侵入してしまったしのう」


  >>ナターシャ:
「北に続くトンネルがありますね。そちらを調べてみましょう」


 P3の地下からP2の地下トンネルへ移動し、そこから地上へ続く秘密の出入り口を見つけた傭兵たち。そこを出た先には…




  >>クレイブ:
「…なァんか見覚えねぇか、ここ」


  >>ノーマン:
「間違いない。先刻通過したばかりのメドゥナの庭園だ」


  >>トゥインキー:
「…女王はどこ?」






 [次回へつづく]
 
 
 
 
 


 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
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