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主にゲームと二次創作を扱う自称アングラ系ブログ。 生温い目で見て頂けると幸いです、ホームページもあるよ。 http://reverend.sessya.net/
2016/11/14 (Mon)02:19





 俺の名はアーケイド、アルゴニアンの商人だ。
 ラビリンシアンでマグナスの杖を入手した俺は、一路ウィンターホールド大学目指して一心に駆ける。アンカノを止めるために、ヤツが何を企んでいるのかは知らないが、好き勝手にやらせておくわけにはいかない!
 いよいよ決着をつけるときだ。







 大学の前ではアーニエルとファラルダ、そしてトルフディルが呆然と立ち尽くしていた。






 かつてマグナスの目の周囲を覆っていた結界は大学全体にまで広がり、おそらく三人はそのまま結界を破る手立てを見つけられないまま外に締め出されたものと思われる。
 途方に暮れていたトルフディルは、俺の姿を目にして表情を変えた。
「おお、アーケイド君!マグナスの杖を発見したのかね!?」
「アタコーよ。ところで、ミラベル先生は?」
「彼女は…助からなかった。大学から皆を逃がそうとして…」
「…そうか……」
 ちくしょうめ、アンカノの野郎、いったいどれだけ死体を積めば気が済むんだ?もっとも、ヤツにとってはこの程度、小手調べの段階なのだろうが…もしアンカノがマグナスの目の力をすべて解放したら、一人や二人死んだくらいで悲しんでいる暇などなくなる。
 だが俺が来た以上、これ以上事態が悪化するような行為は許さない。ここで食い止める!
「ひょっとしたらマグナスの目の影響力の余波で、前みたいに街に化け物が出るかもしれない。アーニエルとファラルダはここに残って街の監視を、ボルガクさんとトラフディルは俺と来てくれ!」
 大学では一番キャリアが浅いが、こと荒事の解決に関しては、他の連中よりも俺のほうに分がある。
 いまの指示に不満を抱く者はいないようだった。それなら、もう俺が言うべきことは何もない。
 マグナスの杖を振りかざし、結界に向けてエネルギーを集中させる。
 杖の先端に取りつけられたオーブから雷鳴がほとばしり、目のくらむ閃光とともに、結界が消し飛んだ。まるで頑丈な金庫が開いたのを見たようだった。物を投げたり、ありったけの力を込めて魔法をぶつけてもビクともしないが、ピッタリと合う鍵を使いさえすれば、いとも容易くガードは崩れる。
 そのまま元素の間へ侵入し、俺はアンカノがマグナスの目に魔力を送り続けるお馴染みの光景を目にする。
「アンカノォォォオオオオッッ!!」
 ヤツが俺たちに向けて魔法を放ったのは、俺がカタナを振り下ろしたのとほぼ同時のタイミングだった。






 背後でボルガクとトルフディルが床に倒れる「バタン」という音がし、俺のカタナはアンカノの肉体を切り裂くことなく素通りしてしまう。
「……ッこれは!?」
「ほう、貴様には私の魔法が通じないらしい。マグナスの杖の加護か。小癪な…エストルモは任務に失敗したようだな。だが、まあいい」
 アンカノはその場から飛び退き、今度は氷の精霊や異形魔法を召喚し俺に向けて放ってきた。さらにアンカノ自身も破壊呪文を行使し、俺は飛び交う爆炎を避けつつ化け物どもを相手に戦う破目に。
 しかもアンカノは倒れた二人を囮に使うためか、ときおり昏倒したボルガクやトルフディルに向けて牽制の火球を放ってくる。俺は二人に被害が及ばないよう回復魔法を使ったり、ときとして自らが盾となってアンカノの破壊呪文を受けなければならなかった。
 そんな俺の懸命な動きが滑稽に見えたのだろう、アンカノは哄笑をあげる。
「この力さえあれば、世界を手にすることだってできる!貴様如きに止めることなどできん!」
「そうかよ…」
 アンカノの目的なんざどうだっていいが、このままではジリ貧だ。ヤツは確実に俺を追い詰めているし、俺にはヤツにダメージを与える方法がない。
 そのとき、気を失っていたはずのトルフディルが渾身の力で声を振り絞った。
「杖だ…杖の力を、マグナスの目に…ッ」
「なに?」
 そうか、と俺は気づく。
 おそらくアンカノを無敵たらしめているのはマグナスの目の力によるもの、であればマグナスの杖を使って目を無力化すれば、アンカノへの力の供給も断たれる…無敵の力も失われる。
 おそらくトルフディルは確信があって言ったわけではないのだろう。彼がそんなことを知っているはずがない。
 直感…しかし、俺はその直感は正しいはずだと信じることにした。
 アンカノが放った火球を避け、マグナスの杖に全神経を集中、目に向けて魔力を放出する。






 すると半ばまで解放されていたマグナスの目が閉じはじめ、魔力の奔流がみるみるうちに失われていくのがわかる。
「なっ…!?」
 先刻までの、無限大に感じられた力が急激に萎んでいくのを感じたらしいアンカノが驚愕の表情を浮かべる。
 やがてマグナスの目はピッタリと閉じ、アンカノへの力の供給の一切が断たれた。
 いまならダメージが通る、そう確信した俺は一度の跳躍で柱の影に隠れていたアンカノの目前まで接近し、左手に携えたマグナスの杖をおおきく振りかぶった。






 ドガッ!!
「ぐああっ、がぁぁあああああああ!!」
「これでもう逃げらんねーぞ」
 振り下ろされたマグナスの杖がアンカノの胸部を貫通し、柄の先端が背中を突き破ると同時に、ヤツの悲鳴がこだまする!
 だが、これで終わりではなかった。
 俺はゆっくりと愛刀・泉州時次郎拵を持ち上げ、その刃をアンカノの首筋にピッタリと当てて言い放つ。
「いいか、おい、世界の支配なんつーよくわからん、ぼんやりした目的のために振り回されるのはなあ…いい加減、うんざりなんだよッ!!」






 ざばッッ!!
 きらり、青白い光を放つ刀身が一閃し、アンカノの首が飛ぶ!
 首筋の断面から鮮血がほとばしり、俺の全身を真っ赤に染め上げる。ヤツの胴体から杖を引き抜くと、首を失った胴体はそのまま床に崩れ落ちた。






「うぉぉおおおおおおおおおおおおッッ!!」
 宿敵であり、天敵であったアンカノを打ち倒し、俺は天に向かって咆哮する。その声はさながら、竜の叫びのようであった…







 アンカノの死と同時にボルガクとトルフディルにかけられていた魔法(どうやら変性系統の麻痺呪文だったらしい)が解け、二人は大量の血を噴いて倒れるアンカノの死体を見てすべてが終わったことを悟る。
 さすがにマグナスの目も、首なし死体に二度目の人生というボーナスチャンスを与えるほどの力はないらしい。






『終わったか。どうやら、君を信じるという我々の信念は正しかったようだ』
 未だ興奮冷めやらぬ俺たちの前に、いつからそこにいたのか、サイジックの僧兵が感慨もひとしおといった風貌でつぶやく。
 勝手に一人で納得してんじゃねぇ、と言いそうになるのをこらえ、俺はサイジックの男に訊ねる。
「こうなることがわかっていたのか?」
『ああ。我々の予言では…だからこそ、これまで迷いなく君を導くことができた。もっとも、大変なのはこれからだがな。大学の存続のため、これまで以上の努力が必要になるだろう。さすがに、こればかりは我々サイジックの力を持ってしても先の見通しが立たぬ』
「マグナスの目はどうなる?」
『現状で、この魔道具は非常に不安定な状態にある。言わずもがな、ここに置いておくことはできない…以前言った通り、この世界はまだこれを使いこなす準備ができていない。アンカノを例に出すまでもなく』
 そこまで言ったとき、俺の前におよそ信じ難い光景が広がった。
 さっきまで誰もいなかった空間から一人、また一人とサイジック僧兵たちが姿を現し、マグナスの目を魔法の力で拘束しはじめた。
『とりあえず、この危険な魔道具は我々サイジックが管理することになるだろう。時至らば、そのときは…また会える日を楽しみにしている、ドラゴンボーンよ』
 そう言うと、サイジック僧兵たちはマグナスの目とともに姿を消してしまった。
 こうして…元素の間は、マグナスの目が運び込まれる前とおなじ姿に戻った。サボス・アレンやミラベルが二度と姿を見せることはない、という点を除けば。それは、あまりにも取り返しがつかない損失だった。
 けっきょく…この事件はなんだったのか?
 アンカノの目的は?動機は?そんなものは存在せず、ただ思いつきでマグナスの目を利用してみようと考えついたのか?この件へのサルモールの関わりは?そして今後、この件についてサルモールはどう関わるつもりでいるのか?
 大学の連中は今回の事件をどう受け止めている?ウィンターホールドの首長は、他の都市の首長は、国内で起きた前代未聞の陰謀事件についてどう考えているのか?
 そして、この件にわざわざ首を突っ込んだサイジック会の真意は?
「今回の事件ってよう、けっきょく、サイジックの連中が得しただけじゃねーか」
「なんだって?」
 毒々しく愚痴を吐き出す俺に、トルフディルが目を丸くする。
 俺はさっきまでマグナスの目があったほうへ視線を向け、やれやれと首を振った。
「だってさ、なんか適当なことゴチャゴチャ抜かして、マグナスの目を持ち逃げしたろ。あれ火事場泥棒でしょうよ?あいつらが、自分たちが口で言うほどマトモな動機で動いてるなんて、いったい誰に証明できるっていうんだ?」
 そう、連中は最初からマグナスの目を確保するために俺たちを利用していた、と考えることだってできる。
 もちろん、そのことを証明できたって(できないが)、いまさら俺たちに出来ることは何もない。






「とりあえず、コレ、どうするよ」
 疲労からその場に座り込み、俺は床を転がっていたアンカノの首を持ち上げる。
 けっきょく、オマエ、なにがやりたかったんだ?
 続々と大学の関係者たちが戻ってくるなかで、トルフディルが俺の顔色を窺うように言った。
「アーケイド君…サボス・アレンの後任を務めてみる気はないかね?たしかにキャリアは浅いが、君はその力と献身で大学を危機から救ってくれた。おそらく君がその地位に立つのなら、誰も文句は言うまい」
「アークメイジになれって?ああ、いや、俺パスで。色々やることが残ってるし、大学のために生涯を捧げるってガラでもないしさ。それよりトルフディル、あなたのほうが適任じゃないかね?サールザルではお転婆たちをよく統率していたみたいだし」
 俺が大学に入ったのはあくまで魔術の研鑽を磨くためで、組織のために働くとか、地位の向上を目指すとか、そういうことではない。
 一つの危機が去ったとはいえ、世界はまだ破滅的危機に満ちている。俺は旅を続けなければならない。こう言ってしまうのはナンだが、俺はもう、大学のために尽くす気はなかった。
 トルフディルに頼まれた仕事の幾つかはまだ進行中だが、それだけだ。それはトルフディル個人との関わりであり、魔術大学という組織へ貢献するためではない。
 これで終わりだな、と俺は思った。たしか、吟遊詩人大学を出たときもこんな気持ちになったことを思い出した。厄介ごとを押しつけられただけで、俺が本当に望んでいたこと、学びたかったものは与えられなかった。
 潮時だろう。なにより、もう、雪は見飽きていた。







 ウィンターホールドを離れた俺たちは、ハイゲートの遺跡と呼ばれるドラウグルの墓地へとやって来た。そこでアンスカという女性と接触し、彼女の頼みを聞くことに。
 彼女の話によれば、この遺跡にはヴォクンというドラゴンプリーストの司祭が奉られており、彼の生前の所持品の一つである巻物に、彼女の家系がイスグラモルと関わりを持つことを証明する記述があるのだという。
「なるほど、ルーツの探索ですか。まあいいでしょう、引き受けましょう」
 そもそも俺がこの遺跡に来たのは偶然ではない。トルフディルの研究に協力するため、ドラゴンの鱗を剥ぐのに必要とされる祭具「カホヴォゼインの牙」を探すために来たのだ。つまり、遺跡を探索するという彼女と利害は一致していた。

 道中で数々のドラウグルと戦い、また、ヴォクンではない下級ドラゴン・プリーストとも戦闘になる。






 このアンスカという女性、はじめは悲鳴を上げながら逃げ惑うだけだったので、まるっきりの戦力外かと思っていたのだが、どうやらエクスプロージョンの魔法を操る手練の魔術師だったらしい。
 とりあえず俺を巻き込むのはやめてくんねーかな。

 やがて遺跡の深部に到着した俺たちは、ドラゴン・プリーストの司祭ヴォクンと対峙した。






「ほお、仮面つきかい…こいつは一石三鳥、だな!」
 アンスカの巻物捜索、カホヴォゼインの牙の捜索、そしてドラゴン・プリーストの仮面。さらに言葉の壁が遺跡に存在していたことを考えると、一石四鳥か。結構なことだ。






 他のドラゴン・プリーストの例に漏れず、ヴォクンの戦法もフレッシュ系の魔力装甲呪文を自身にかけてからの引き撃ち・遠距離から破壊呪文を放つ戦法を使ってきた。
 俺はそれらを巧みに避け、ときに受けながらも、怯むことなくヴォクンに接近する。
「アトロナックの加護がついてる俺に、魔法攻撃は最善手ではないぜ!」
 俺は変成魔法のスキルのうち、魔法耐性と精霊を取得している。魔法によるダメージを軽減するばかりか、そこからマジカを吸収することができるのだ。
 素早く距離を詰め、俺は床を蹴って跳躍し、ヴォクンに斬りかかった。






 ドシャアッ!!
 魔力装甲ごと叩き斬る一撃を受けたヴォクンは破裂音とともに灰化し、身につけていた装具が耳障りな金属音を立てて床に転がり落ちる。
 ヤツの仮面を手にした俺は、その後の探索でカホヴォゼインの牙と呼ばれる短剣と、そしてアンスカの捜し求めていた巻物を発見する。
 とはいえ巻物の文字は暗号化されているらしく、解読には時間がかかるとのことだった。







 ハイゲートでアンスカと別れたあと、俺はウステングラブという別の遺跡に足を運んでいた。
 だいぶ前にハイ・フロスガーでグレイビアードたちと接触したとき、ユルゲン・ウィンドコーラーゆかりの角笛を回収するよう言われていたのだ。
 しかし、どうも遺跡内の様子がおかしい。
 遺跡を守っているはずのドラウグルの死骸(死骸の死骸だ)が転がり、まるで俺に先んじて何者かが侵入したような形跡があちこちに残っている。






 角笛があるはずの祭壇へ向かうと、そこには一枚の紙切れがナイフで止められていた。
『ドラゴンボーンへ、早急に話し合う必要がある。リバーウッドの宿屋で屋根裏部屋を借りてほしい、そこで会おう。友より』
「なんてこったい…」
 どうやら俺の行動を知っているらしい何者かが、俺を誘き寄せるために角笛を持ち去ったらしい。
 わざわざこんな手を使ってきたということは、相手は表立って俺に協力することができない立場の人間だろうか?帝国か、あるいは…とにかく、面倒事なのは確かだろう。友より、なんて書いてあるが、どれだけ信用できるものやら。
 俺をドラゴンボーンと知って、そのうえで接触を図るとは、いったい何者だ?





【 →To Be Continue? 】








 どうも、グレアムです。無事に魔術大学のクエストを終了しました。
 それにしてもちょっと説明が少な過ぎねぇ!?もうちょっとこう背景説明とか、周囲への影響とかあるでしょうよと思うんですが(笑)そもそもマグナスの目や杖が元はどんなものだったのか(どんな目的で造られたものか)といった説明が皆無ですし、サイジックの連中もなんだかなー。ただのお助けマンっていうのもちょっとご都合主義じゃあないですかい。
 アンカノの行動も謎ですよね。魔術大学のみならずスカイリム全土を敵に回すような行為に踏み切るどんな理由があったのか。常に主人公の一歩先を行ってる点にも何の説明もないですし。
 そういった諸々の手落ちな部分にきちんと説明つけて統合性持たせれば面白い話ができるとおもうんですが、俺がやってるのはあくまで「プレイ日記&脳内妄想+アルファ」という程度のものなので、そこまでやる気は出なかった。

 ちなみにアンカノ戦に挑んだときはレベル110だったのだが、このとき出現した異形魔法はレベル194、体力2351というバケモノになっておった。アホか。

 あと最近、BGMを差し替える「Fantasy Soundtrack Project」というMODを導入したんですが、いや、いいですよコレ。めっちゃ盛り上がります。そもそもの楽曲の出来が素晴らしいですし、世界観にもバッチリ合ってます。
 そもそも元のSkyrimは音楽の主張が弱いんですよね。俺は映像作品やゲームでは、音楽の自己主張は強くて良いと思ってるので、こういうMODの存在は有り難いですね。












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2016/11/12 (Sat)01:59





 俺の名はアーケイド、アルゴニアンの商人だ。
 マグナスの杖の在り処を探り出した俺がウィンターホールド大学へ戻ると、なんとサルモールから派遣されてきた顧問アンカノがマグナスの目を使い公然と敵対行動を取ってきた!ウィンターホールドの街には亡霊が出現し、大学のメンバー数名が負傷するとともに、アークメイジのサボス・アレンが命を断たれる。
 これはアンカノの独断か、それともサルモールの意思なのか!?ともすればアルドメリとスカイリムの全面戦争のきっかけとなりかねない異常事に挑まなければならない。
 それはそうと、ドーンスターでなにやら悪夢騒ぎが発生しているようなので、そちらも解決せねば。まったく忙しすぎるぜ、スカイリム生活。







 マーラの信徒エランドゥルとともに、俺は悪夢の発生源であるナイトコーラー聖堂へと向かっていた。
「かつて聖堂には、ヴァーミルナを信奉する者たちがひっそりと暮らしていた。だが数年前、いまのドーンスターの人々と同じように悪夢に苛まれていたオークたちの軍団が大挙して押し寄せてきた。彼らを撃退するのが不可能だと悟った信者たちは、『ミアズマ』と呼ばれる薬品を使ってオークともども深い眠りに落ちた…」
 道中、たびたび出くわすフロスト・トロールを撃退しながらエランドゥルが今回の事態の背景を説明する。
「ミアズマはヴァーミルナの儀式を執り行うために作り出されたもので、摂取した者の生命活動を維持したまま数ヶ月、あるいは数年の眠りをもたらす。しかし眠っている時間が長いほど精神に深刻なダメージを与え、ときにはそのまま目覚めることなく命を落とす者もいる」
「随分と詳しいな」
「この際だから言ってしまうが、私はかつてヴァーミルナの司祭だった。仲間がミアズマを使ってオークの戦士ともども眠りにつくなか、私は仲間を見殺しにして逃げ出した…恐ろしかったんだ。だがいま、ふたたびヴァーミルナの力が世に悪影響を及ぼし、そして君が私の前に現れた。おそらく…これは天啓なんだと思う。私が罪を贖うための」
 ナイトコーラー聖堂に足を踏み入れると、エランドゥルの懸念通り、ミアズマが霧散したことで長い間眠りについていたオークの戦士とヴァーミルナの信徒たちに襲いかかられた。彼らはすでに正気を失っているらしい。
 それらを撃退しつつ、道の途中で呪力障壁に行く手を阻まれ、俺とエランドゥルは蔵書庫でそれを突破する方法を模索しはじめる。






 エランドゥルが提案したのは、ヴァーミルナの不活性薬というポーションを用いて『夢中の歩み』を使い、ミアズマを解放したのち障壁を無効化するというものだった。
「見たとこ、普通のクスリみたいだけどねぇ…」
 なんの変哲もない薬瓶をしげしげと眺め、俺はあまり気が進まない思いで封を切る。
 夢中の歩みとは、夢の中から現実に干渉することができるという、ヴァーミルナの錬金術師のみが再現できる能力らしい。その詳細は判明しておらず、いかなる作用によってそれが成し得るのかはエランドゥルにもわからないらしい。
 またマーラの加護を受けるエランドゥルには薬が効果を発揮できず、そうなると自然、この得たいの知れない薬品の実験体になるのは俺の役目ということになる。
 これは…賭けだ。俺がエランドゥルを信用できるかどうかの。
 夢中の歩みに立っているときは自身の肉体が無防備に晒されるという。エランドゥルは俺が意識を取り戻すまでのあいだ、責任持って俺の肉体を保護すると提案してくれたが、もし彼に俺を裏切るつもりがあった場合、俺はわざわざ自分の心臓を差し出す破目になるわけだ。
 だが…彼の苦悩と、神に求めた救い、過去の清算にかける意思は本物だと思いたい。
 俺はヴァーミルナの不活性薬を口にし、そのまま意識を失って昏倒した。

 夢の中で、俺は過去を追体験した。
 俺はヴァーミルナの司祭カシミール…かつてのエランドゥル…となってミアズマを解放し、そして塔から脱出すべく、オークたちと戦う仲間の背をすり抜け、外界との接触を断つための呪力障壁を無効化した。
 目覚めたとき、俺は無効化された障壁の向こう側に立っていた…

 エランドゥル曰く、夢中の歩みに立っていたときの俺は肉体が消失し、呪力障壁の無力化とともにふたたび姿を現したという。このような現象は過去に例がないらしい。
 聖域深部へと向かう俺たちの前に、二人の男が立ちはだかった。夢の中で見たカシミールの盟友たち。






「よくも裏切ったな、信じていたのに…!」
 正気を失っているであろうヴァーミルナ信者たちの叫ぶ声はあまりに悲痛で、そのせいでエランドゥルの決意が揺らぐ。
「これが私の受けるべき報いなのか?かつての親友を手にかけるなど…」
 だが、選択の余地はなかった。すくなくとも、ヴァーミルナ信者…エランドゥルのかつての親友ヴェーレンとソレクは、俺たちを殺す気で術式の構築をはじめていた。
 鋭い音を立ててカタナを抜き放ち、俺は咆える。すべての余計なものを振り払うために。
「これは試練だ!過去を贖うなら…障害を打ち倒さなければならない。たとえ、親友を殺してでも!」
 俺の斬撃がヴェーレンの肉体を両断し、メイスを振りかぶったエランドゥルの一撃がソレクの頭蓋骨を粉砕する。
 二人のヴァーミルナ信者の死体が無残に転がり、その光景を目の当たりにしたエランドゥルが膝をついて許しを請うように呻いた。
「なんということだ…我が身可愛さに、仲間を捨てて逃げ、そして命まで奪うとは。私は、私はなんという罪深きことを…!」
「エランドゥル…」
「…いや、いい。わかっている。これはドーンスターの人々を救うため、そのために仕方がなかったことだ。彼ら二人の命が失われたところで、それに見合うだけの価値はあった。そうだろう?」
「なにを言ってるんだ、物事は単純な足し引きで考えたりするもんじゃない。あんたは過去を清算する、ドーンスターは救われる、そして仲間は死ぬ。これは全部、別勘定だろうが」
「アーケイド…」
「誰だって恐いさ。逃げるさ。恥ずかしいことかもしれないが、そんなもん、誰だってやるじゃないか。そうじゃないかね?だが、過去と向き合い、償うのは勇気が要る。もっとも、ほとんどの人間はそうは言わないがね。負債は返すのが当たり前だなんて、みんなは言うがね。まるで他人事だと思って、自分が何かやるわけでも、できるわけでもないのに、まるで誰もがやっている、簡単にできる、自分だってやれる、そんなふうに言うのさ」
 俺は祭壇に奉られた、ヴァーミルナの秘宝…堕落のドクロと呼ばれる杖を睨みつける。
「だが、そんなふうに言うやつはみんな詐欺師か、クソ野郎だよ。実際のところ…世の中ってのはみんな、誰かから何かを借りてるんだよ。少なくとも、あんたは自分が借りている物すら見えずに清廉潔白ぶってる伝道師よりマシに見えるよ。俺の目からはな。傷と泥にまみれてたって、誰にそれを笑う権利があるもんか」
 俺だって、目の前に立ち塞がっているのがエイドだったら、剣を振り下ろせていたかどうか…






 俺に両脇を抱えられ、どうにか立ち上がったエランドゥルはよろめきながらも祭壇に向かい、デイドラのアーティファクトを葬るための術式を行使する。
 だが、デイドラ・プリンスがそれを黙って見過ごすはずがなかった。
『エランドゥルはドクロの力を解放して我が物とし、あなたを始末する気でいます』
「この声は…ヴァーミルナか!」
 突如として脳裏に響く言葉に、俺は動揺の声をあげる。
 エランドゥルは依然として儀式に集中しており、俺の異変に気づいた様子はない。どうやら彼にはヴァーミルナの声も、そして俺の声も聞こえていないようだ。
『ヴァーミルナが汝に命ず、エランドゥルを始末せよ!』
「ククッ」






 俺はいままで、デイドラ・プリンスの命令に背いたことはない。どだい、定命の者が異界の神に叛意を示すことなどおこがましいにもほどがある。
 だが、今回は…今回だけは…!

「あんだって~っ!!?耳が遠くて聞こえねーよー!!!」
『なっ……!?』

 驚きの声をあげるヴァーミルナ、と同時に、エランドゥルの手によって堕落のドクロがオブリビオンの次元に放逐される。
 すべてが終わった…
 なお、俺はヴァーミルナの命令に背いたわけではなく、あくまで命令が聞こえず遂行が間に合わなかっただけなので、叛意があったわけではない。以上、弁解終了。護身完成。
「まあ、とりあえずは大団円を迎えたわけだが…エランドゥル、あんた、これからどうするんだい」
「聖堂に、マーラを祀る小さな祠を立てたんだ。私は余生をここで、過去を悔い許しを乞うために祈りを捧げ続けるつもりだよ。できれば君の役に立ちたいんだが、相棒はすでに間に合っているようだしな」
「相棒っていえば、ボルガクさん、待機を命じてないのに外に立ちっぱなしなんだよなー…ま、ともかく、貸しはいつか返してもらうさ」
 そう言って、俺はエランドゥルと別れた。







 寄り道もほどほどにせんといかん。






 ラビリンシアンへと向かう途中、化粧した牛を連れた農民と遭遇。
 なんでもこの牛は近くに住む巨人へ捧げる供物らしく、年に一度こうして村の好意を証明する印をつけた牛を提供することで、巨人は村を荒らしたり家畜に手を出すことがなくなるという。
 古くからある習わしらしい、なんという平和な共生関係。
 いままで巨人といえば経験値…ゲフン倒すための標的としか考えていなかった俺はいたく感心してしまった。そういえばあの連中、こちらから手を出さなければまず襲ってこないしな。
 いろいろな風習があるものだ。







 ラビリンシアンへ到着後、紙片と木彫りの仮面を握ったまま息絶えた死体を発見。
 雇いの悪漢…というと、過去に俺が鮭を盗んだだけで命をつけ狙ってきた復讐代行屋だが、こいつはそうした業務とは関係ない災難に巻き込まれたらしい。
 この仮面、俺が過去に手に入れたドラゴン・プリーストのものにそっくりだが…
 そう思って顔に嵌めてみた瞬間、明滅とともに俺は別の空間へ飛ばされていた。






「ヘェ・・・」
 狭い一室に、あつらえたような祭壇がどっかり鎮座している。ドラゴン・プリーストをかたどった彫像は、ちょうど仮面がピッタリ嵌まりそうな窪みが顔の部分に空いている。
「これは、アレかな?集めた仮面を全部嵌めると伝説のドラゴンが現れて願いを叶えてくれるとかいう。手・に・入・れ・ろ!ドラゴンマスク!世界でいっとースリルなひーみーつー」
 というか、それくらいしてくれんとワリに合わんぞ。
「さっきの手紙を見る限り…この仮面を嵌めている間だけ、この空間に居られるようだねェ…とはいえ他の仮面は全部リフテンの本拠地に置いたままだし、とりあえずは放置か」
 そう言って俺は仮面をはずし…戻れなかったらどうしよう…そんな心配は無用だった。無事、心配そうな顔をするボルガクの前に戻ることができた。
「相棒、おまえ、どこ行ってたんだ!?なんでそう不用意に魔道具を身につける!」と、ボルガク。
「いや、平気だという確証はあったけどね。ただまあ、何も言わずに被ったのは悪かったよ」
 ボルガクにしてみれば俺がいきなり蒸発したわけで、いやはや申し訳ないことをしたもんである。

 そんなことよりラビリンシアンだ。
「いやにだだっ広い遺跡だねェ…」
 他のノルド遺跡とは比べ物にならない広大さに、多少迷いながらも俺たちは目的の迷宮の前に到着する。
 そこではなにやら、亡霊たちが会話を…
 はじめはサイジックの僧兵たちが出迎えてくれたのかと思ったが、どうやらそうではないらしい。中に入るかどうか議論しているあたり、どうも過去の出来事を反芻しているようだが…
 俺は大学でミラベルから受け取ったネックレスを扉に嵌め込み、ラビリンシアンの封印を解いた。






 解放された扉を抜けると、目の前には大量の髑髏が転がっていた。おそらく、さっきの亡霊たちの成れの果てだろう。
 いまも目の前でなにやら話し合っているが、どうも彼らはウィンターホールドの学生たちで、こそこそした態度を見ると、他の仲間や偉い人には内緒で来ているらしい。好奇心か、功名心か、あるいは若気の至りか。
 驚いたのは、亡霊の中にかのアークメイジ、サボス・アレンの姿があったことだ。
 どうやら彼は以前にここへ来たことがあったらしい。もっとも、今回の件とは無関係だろうが…しかし他の亡霊に見覚えがないことを考えると、やはりアークメイジ以外の魔術師は遺跡のいかしたインテリアになってしまったらしい。生きた警告塔というわけだ。死んでるけど。
 それから先へ進むと、コロッセオのような広場で大勢のスケルトンに出迎えられた。のだが、どういうわけか鉄格子の仕掛けがちゃんと作動せず、中へ侵入できない。互いに見えない壁越しに睨みあうという、ワケのわからん状況になってしまった。
 あれこれ策を尽くしてスケルトン軍団と、それから竜の骨…スケルタル・ドラゴンを倒したが、どうもこの遺跡、バグっぽい挙動がクサいのでボルガクには外で待ってもらうことに。






 その後も形なき軍用犬、透明なドラウグルなど、他では見ないタイプのアンデッド・モンスターに遭遇。こやつらは自身と同じく霊体化?した武具を所持しており、大変に珍しい代物なので、普段はあまりそうしたものを拾わない(重くて嵩張るから)俺もつい回収してしまう。
 外があれだけ広いので中はどんなもんかと思っていたが、たいして迷うこともなく最深部へ到着した。なんか途中でぶつくさ文句垂れながらマジカを吸い取る壁が出てきたり、因縁のウィスプマザーが出てきたりしたが大丈夫だ問題ない。レベル103をナメてもらっちゃ困る。






「エート、これはぁ…」
 魔術師の亡霊が放つ魔法のビーヌ。何かを封印しようと(力を抑えようと)しているのか、あるいは力を送り込んでいるのか、まるで検討がつかない。
 とりあえず背後から近づいて挨拶してみたが、殴られたので敵だったらしい。こちらも殴り返して応戦、そういえばスカイリムのゴーストは銀製装備や魔法の力を使わなくてもダメージを与えることができるようだ。やはり霊まで脳筋か。
 亡霊どもをあの世へ送り返し、彼らがビーム光線を放っていた源(みなもと)へ視線を向けると…そこにはドラゴン・プリースト、モロケイが荘厳な佇まいで漂っていた。
 いかに威厳があろうとドラゴン・プリーストっていうのは遠距離からチクチクと魔法で攻撃してくるけったいな連中だということはわかりきっているので、俺はすかさずカタナを抜き、高速で接近する。






『ウルド・ナー・ケスト( Whirlwind Fury Tempest )!』
 シャウトを使って一気に距離を縮め、相手が魔力装甲を身に纏うのとほぼ動じに斬撃を繰り出す。
「仮面置いてけ、なあ、ドラゴン・プリーストだ!!ドラゴン・プリーストだろう!?なあドラゴン・プリーストだろおまえ」
 薩人マシーンばりの捨てがまり台詞を吐き、俺は渾身の力を込めて刀身を叩き込んだ!
 すると…以前はかなり、大苦戦したような気もするのだが、今回はあっさりと上位ドラゴン・プリーストを打倒することができた。
 なんとなく消化不良というか、これから殺る気満々だった俺は若干拍子抜けし、カタナを鞘に納める。
「ああ…そういえば片手剣スキルも大分(だいぶん)育ってるっけねぇ」
 もとより俺はマジック・ユーザー、近接戦闘を得手としておらぬゆえアームズマンを最大ランクまで上げただけだが、それでも鍛冶/付呪を組み合わせた強化武器と組み合わせれば恐ろしい威力を発揮する。






「まあ、ともかく…その仮面と、マグナスの杖は頂いていくよ」
 目的のブツであるマグナスの杖はモロケイが所持していた。使う余裕がなかったのか、使うほどの知能が残っていなかったのかはわからないが、こいつが俺に向けて使われなかったのは幸運と見るべきだろう。
 どうやらアークメイジたちは遺跡の探索中にモロケイと遭遇し、こいつを封印したのちアークメイジだけが脱出に成功したらしい。となると、あのビームを放っていた亡霊たちは死後もモロケイの復活を防ごうとしていた、と考えるのが自然だろうか。
 ともかく…別件ではあるが、アークメイジが過去にやり残したことを終えることができたわけだ。あとはこの杖を持ち帰り、アンカノをシメるまでだ。その後のことは、いま考えても仕方がない。
 これ以上の障害が立ちはだかることはないだろう、そう俺が早合点しそうになったとき、俺の目の前にサルモールの魔術師が姿を現した。
「ほう、生きて脱出するか。アンカノの見立ては正しかったらしい…」
「おまえ、アンカノの遣いか」
 マグナスの目を利用する気なら、アンカノがマグナスの杖の存在を無視するのはおかしいと思ってたが、なるほど、はじめから部下を使う気だったとは。だが、少しばかり遅すぎた。
 ヤツは優秀なのかもしれないが、どうも他人を甘く見る欠点があるらしい。ジャガル・サルンか。
 そういえばこのラビリンシアンは、かつてエターナル・チャンピオンがジャガル・サルンを討ち滅ぼすため、混沌の杖の欠片を求めて侵入した場所ではなかったか。
 俺は目前のアルトマーに質問する。
「一つだけ訊きたい。これはサルモールの総意か?」
「おまえに答える義務はない。アンカノはその杖が誰の手にも届かぬ安全な場所に保管されること、そしておまえの死を望んでいる。覚悟してもらうぞ、個人的な恨みはないがな」
「甘いねェ。その台詞は、いま俺が言おうとしてたところだぜッ!」

『リズ・スレン( Ice Flesh )!』
「なっ!?」
 相手が魔法を使おうとしたところを、すかさず氷結のシャウトで阻止。
 抵抗させる暇を与えず、俺はヤツの心臓にカタナの切っ先を突き立てると、そのまま地面に押し倒した。






「あのなあ…もし俺が杖を回収したところを狙うなら、たかだか魔術師一人じゃあ役不足だってことくらい悟れよな!」
 刀身を引き抜き、血飛沫がかからないよう身をかわしてから、俺はすでに絶命しているサルモールの魔術師に対して吐き捨てた。
「恨んでくれるなよ。『個人的な恨みはない』んだからな」

 さて、あとはこの杖をウィンターホールド大学へ持ち帰るだけだ…
 俺はボルガクと合流するため、ラビリンシアンの出口を目指して歩きはじめた。





【 →To Be Continue? 】








 どうも、グレアムです。そろそろ魔術大学のクエストがクライマックスです。くらいマ~ックス!オ・ト・コ!これスカイリムで吟遊詩人が歌ったらウケませんかね。ウケませんか…ドラゴンボーン無頼控。
 ヴェルミーナ…ヴァールミナ…ヴァーミルナのクエストは、個人的にエランドゥルに感情移入してしまったので珍しく反抗ルートで終わりました。あとでアーティファクト全種揃える実績の存在を知ったんですが。ちくしょうエランドゥルなんか放っておけばよかったッ!
 さすがに事態が事態なので、いまは魔術大学クエストを最優先に進めています。本当はもうちょっと寄り道したい先もあるんですが、このままだとトルフディル先生やミラベル先生、ましてアンカノがずっと頑張っている間にふらふらしているという、非常に体裁の悪いことになるので。














2016/11/10 (Thu)18:45





 俺の名はアーケイド、アルゴニアンの商人だ。
 マグナスの杖を回収するためムズルフト遺跡へと向かった俺は、サイノッド調査隊の生き残りであるパラトゥスから杖がラビリンシアンに存在することを教えられる。
 ムズルフトを出る直前、サイジックの僧兵からウィンターホールド大学で異変が起きたことを知らされた俺は、杖の回収に向かうまえに大学へと帰途を辿った。いったい、何がはじまろうとしているのか?







 元素の間の扉を開き、大学へ足を踏み入れた俺と相棒のボルガクは、目の前の光景に息を呑む。






 広間は特殊な魔力障壁のようなもので塞がれており、アークメイジのサボス・アレンと、マスターウィザードのミラベル・アーヴィンが立ち往生している。
 いったいなにごとだ?これもマグナスの目の力なのか?とりあえず、悠長に状況報告している暇はなさそうだ。
「学長、これはなんの騒ぎだい?」
「アンカノだ!あいつめ、我々を締め出してマグナスの目で何かをやらかすつもりらしい」
「アンカノが!?」
 珍しく語気を荒げて息巻いているサボス・アレンの言葉に、俺は耳を疑った。
 あのくそったれエルフ、行動が早すぎるぞ!?
 まさか何の策も弄さずに、ゴリ押しで不審な行動を取るとは思っていなかった。いったい、なんのつもりだ?
「学長、対策は…」
「とりあえず、この障壁を破らんと話にならん。さっきから手当たり次第に物を投げつけているが、びくともせん」
「いや、魔法使えよ」
「使っているとも!念動力をな!」
「違うそうじゃない」
「押し入ったらやつを倒し、何をやろうとしていたか確認せねばなるまい。もし抵抗するようなら…殺しても構わん!私が許可する!」
 サボス、ミラベル、俺の三人で破壊魔法をぶち込み、魔力障壁を打ち破る。
 その先には、マグナスの目に向けて魔法を放射するサルモールの使者アンカノの姿が…






「ヤツを止めろ!」
「アンカノ、てめぇーーーッ!!」
 カタナを抜いた俺とサボスが咆え、同時にアンカノへ襲いかかる。
 ダメージを覚悟で飛びかかったとき…強烈な閃光とともに俺の身体ははじき飛ばされ、束の間、意識を失った。







「核(ティルトウェイト)でも落ちたのか、畜生…!」
 強烈な衝撃波の一撃を受け、俺は多少ふらつきながらもどうにか立ち上がる。どうやらボルガクは無事のようだ。しかしミラベルは…






「先生ッ!」
 柱にもたれかかり、苦しそうに身悶えるミラベルに駆け寄り、俺は慌てて回復の呪文をかける。眩い暖色の光に包まれたミラベルは若干平静を取り戻した様子で口を開いた。
「アンカノはいったい何をしようとしているのか…悔しいですが、このままでは手出しができません。それよりも、アークメイジの姿が見えないのです。彼を探し出してください」
 どうやら命に別状はないようだ。
 先刻の爆発のあと、アンカノはふたたびマグナスの目の周囲に障壁を展開していた。おそらく、ふたたび全力で破壊魔法をぶつけ障壁を破壊しても、さっきの二の舞になるだけだろう。
 それよりもミラベルの言う通り、サボスの安否が気がかりだった。
 爆発の衝撃で開け放たれた正面玄関をくぐり、外の広場へと出る。そこには動揺した生徒達が、ぐるりとサボスを取り囲むように立っていた。






「アークメイジが…死んだ!」
 ごろりと横たわり、微動だにしないサボス・アレンの姿を目の当たりにした生徒たちが悲鳴をあげる。
 なんてこった、なんてことをしやがる、あの野郎…!
 こんなことになるなら、隙のあるうちにさっさとアンカノを刺しておけばよかった…そう思いつつ、今回の事態に陥るまでアンカノに不備はなかったことを思い出し、けっきょく、これは避けられない事態だったのだと思い知らされる。世の中のルールっていうのは、大概クソ野郎に有利にできているものだ。
 問題は、今回の件がアンカノの処分だけでは終わらない可能性があるということだ。
「大変だ、きみ、ウィンターホールドの街に化け物が出現しはじめている!いますぐに鎮圧しなくては!」
「なんだって!?」
 慌てた様子で駆け寄ってきたトルフディルの言葉に、俺は驚きの声をあげる。
 ええい、なんだってこう、次から次へと…!
 トルフディルはアルトマーとブレトンの講師を指差し、早口で捲したてる。
「ファラルダとアーニエルを連れて行ってくれ。私はミラベルとともに、アンカノをどうにかできないか試してみよう」
「わかった。無茶はするなよ、ジーサン」
 老練の魔術師の肩を叩き、俺は二人の先輩魔術師とともにウィンターホールドへと向かった。
 足元の危うい橋を渡る途中で、ブレトンのアーニエルが質問してくる。
「いったい、中でなにがあったんだ?」
「アンカノがマグナスの目を使って悪企みを考えているらしい。障壁を張って俺たちを締め出し、アークメイジを攻撃して殺した」
「そ、それはテロ行為じゃないのか!?」
「そうだよ!他国から派遣されてきた顧問が現地機関の最高権力者を暗殺し、さらに被害を拡大させているんだ。これは立派な侵略行為だぜ、下手をしたら、これがきっかけでアルドメリとスカイリムの全面戦争に発展するかも…」
「う、嘘だろ…?」
「有り得なくはないさ」
 そう、俺が懸念しているのは、アンカノが何を企んでいるかじゃない。アンカノは潰す。問題はその後だ。
 アンカノの行動がサルモールを代表してのものなのか、それともアンカノ個人として先走った結果なのかで話は変わってくるが、とにかく、このような事態に首長や上級王も黙ってはいられないだろう。
 なんたって、これはれっきとした主権侵害であり、由々しき犯罪行為だ。サルモールが相手だからといって見過ごすようでは、国家としてのスカイリムの威信は失墜するだろう。アンカノを処分すればそれで済まされるものではない。
 サルモールとしては謝罪せざるを得ない事態になるだろうが、そもそもあのエルフどもがスカイリムに頭を下げるだろうか?逆に、俺たちがアンカノを処分したこと…するであろう…を弾劾するようなことがあれば、それこそ取り返しがつかなくなる。
 畜生、なんだって俺はこう、面倒に巻き込まれるんだよ!?
「チッ…とりあえずは、目前の問題に対処しなくッちゃあなあ」
 事前に警告が発せられていたのか、ウィンターホールドの住民は屋内に避難したらしく、扉や窓は固く閉ざされている。過酷な寒さをやり過ごすための堅牢な戸造りがいま、役に立っていた。






「いくぜ、ボルガクさん!」
「応(おう)ッ!」
 ウィンターホールドの街には、アンカノがマグナスの目の魔力を利用して呼び出したらしい異形の発光体が複数、群れをなして漂っていた。俺たち四人の気配を察知するなり、異形魔法は素早く接近してくる。
 俺と相棒のボルガクは接近戦を挑み、ファラルダは雷撃魔法で追撃を試みる。アーニエルは…なんと鉄の魔力装甲(アイアンフレッシュ)を纏い、素手で殴りかかっていった!
 なんだこいつ、フィジカル・アデプトか?
 おそろしく頑丈な異形魔法に苦戦しつつ、俺たちはどうにか深刻な被害を出さずに異形魔法を退治することに成功した。






「皆、無事か!?」
 戦いで傷ついた仲間に回復魔法をかけてやり、俺は皆の安全を確認する。
 しかし、衛兵まで逃げることはないだろうが…魔術師のほかに戦いの担い手がいないことを苦々しく思いつつ、俺は宿屋の前に死体が一つ転がっているのを発見した。
 あれはたしか…ランミルとかいう、いつも酒を飲んでクダを巻いてた酔っ払いだ。まあ、どうでもいいことだろう。
 やがてファラルダが俺に言った。
「私たちはしばらく街に残ります。あなたは大学へ報告に戻って」
 俺たちはこの場をファラルダとアーニエルに任せ、来た道を引き返した。

 大学へ戻った俺たちはひとまずウィンターホールドの混乱が沈静化したことを知らせ、ミラベルの指示を乞う。
 彼女は俺たちがマグナスの杖を回収しにラビリンシアンへ向かうべきだと言い、生前のアークメイジから預かった道具を差し出す。一見、なんの変哲もないサファイアのアミュレットと、ノルド細工の鉄製ネックレスだが、なんと、これらは以前サボスがラビリンシアンから持ち帰ったものらしい。
 いつか必要になるときがくる、とサボスは言っていたらしい。彼は今回の出来事を予見していたのだろうか?







 ウィンターホールドからラビリンシアンまでは多少距離があったため、俺たちはドーンスターを経由する北回りのルートで向かうことにした。
 途中、クエストマーカーがぶっ刺さっていたユングビルド墓地へと侵入。
 なにか用があったらしいのだが、なにせジャーナルの中でも「その他」カテゴリに入っており、誰の依頼で何をするために来たのかがまったくわからない。






「そういえばシロディールと違って、スカイリムには低級のゴーストって存在しないのかな」
 生前の自我を幾らか保つ霊体を前に、俺はそんなことをつぶやく。
 ひょっとして味方ではないかと思い接触を図るが、やはりというかなんというか、霊体は俺を認識した途端、ダガーを抜いて襲ってきた。幽霊のくせに物理特化とか、やはりノルドは死んでも脳筋か。あるいはソブンガルデとやらの思想が影響しているのかもしれない。
 どうやらここでの俺の目的は日記の回収のようだった。アロンディルとかいう、ドーンスター出身の死霊術師が記したものらしい。女性の実験体ばかりを集め、霊として使役していたようだ。
 どうも霊体との「交わり」についても研究していたようで、これについては個人的にも非常に興味深い。
 すべての日記を回収し、ユングビルドの最奥聖域へと向かったとき、右手に女の霊を侍らせた玉座の主…アロンディルその人と対面した。
 アロンディルは俺を見るなり攻撃を仕掛けてきた。まあ、当然か…人目を忍んで死霊術の研究に没頭してたのだものな。彼のオタク精神には敬意を表したいが、敵対するなら戦わざるを得ない。






 どうやらヤツの専門は俺と同じ冷撃魔法らしい、氷結の嵐を一身に受けた俺は咄嗟に火鉢へと飛び乗り、荒っぽい方法で身体を解凍し、カタナを手にアロンディルに飛びかかった。
「そんな、まさか…!」
 驚きおののくアロンディルの胴に刃を突き刺し、そのまま上方へ振り上げて真っ二つにする。
 肉体の断面からおびただしい量の血を噴き出しながら、アロンディルは前のめりに倒れた。
 クエストを進め、日記を持って行くべき場所は…
「…盗賊ギルド?」
 やばい、まったく身に覚えがない。







 その後スカイリム北方の都市ドーンスターへ到着した俺たちは、以前より招待状を預かっていた博物館へと向かった。博物館というか、自宅兼展示場とでも言うような、極めて小規模なものではあったが。






 しかしショーケースに陳列されていたものは、どれも歴史的価値のある貴重な品々だった。
 いずれも、第三期のセプティム王朝滅亡のきっかけとなるオブリビオン動乱を引き起こした深遠の暁教団にまつわるものだ。管理人のサイラス・ヴェスイウスはかつて深遠の暁に所属していた信者たちの子孫らしく、いわゆる由緒正しい血統というわけだ。アリノールにでも行けばVIP待遇で迎えられるんじゃないかと思う。
「オブリビオン動乱以降、当然のことではあるが深遠の暁のメンバーを一掃しようと幾つかの討伐グループが発足した。そうした勢力から逃れるため、我々の一族は過去を隠し、商人としてひっそりと繁栄してきたのだ。いまでは多大な資金と影響力を持つ、街のちょっとした名士なのだよ」
「へぇ。カバルコ社みたい」
「しかし私は、タムリエルの歴史を語るうえで我が一族が重要な役割を果たしたことが世間から忘れ去られつつある、いや、蔑ろにされつつあることに危機感を覚えた。我が一族が歴史に与えた影響は、もっと多くの人間に認知されて然るべきだろう?そう思い、この博物館の設立に至ったのだ」
 それは、あまりにも危険な試みであった。
 なにせ現在のエルフ好き勝手絶頂社会はセプティム王朝の崩壊と、それに伴う帝国の弱体化が原因であり、そのきっかけを作った深遠の暁の存在は、スカイリムにとっても忌むべきものである。下手をすれば、国粋主義者…ストームクロークのような…に命を狙われてもおかしくはない。
 だが、彼の目的はあくまで教育を目的とした歴史の再認識であり、その志は通常の博物館と何ら変わるものではない。彼自身が過去の深遠の暁の所業を礼賛しているわけではないし、社会不安を煽る意図はないものと思われる。
 要するに、俺個人としては「おおいに結構なんじゃねぇの?」と言いたいわけである。やや好意的解釈に過ぎるかもしれないが。
 また、サイラスは俺に一つ仕事を依頼してきた。
 どうやら過去に深遠の暁を駆り立てた勢力に、教団が崇拝していたデイドラ神メエルーンズ・デイゴンのもたらしたアーティファクト「メエルーンズのカミソリ」を奪われたらしく、狩人たちはそれを破壊して三つに分け、現在は狩人の血筋を引く末裔たちが保管しているという。
 なんという因縁。
 サイラス曰く、金に糸目はつけないので、もしそれらを見つけたら買い取りたいという。また、入手手段は問わない…と。
 そこまで聞いた俺は、とびきり愛想の良い笑みを浮かべると、ざらざらした猫撫で声を発した。
「実を言うとだね。俺は、あんたが欲しがってるブツのうち二つを既に持っているんだ」
「なんだって!?」
「刃の破片と、柄頭石だ。冒険中、たまたま手に入れてね。良い買い手はいないかと思ってたんだけど、モノがモノだけに、誰にでも気軽に売れるわけじゃないし。アンタみたいに正統な理由があるんなら、俺としては喜んで売りたいと思うワケね」
 というわけで、商談成立。
 パーツ一つで金貨1500枚、二つあわせて3000枚。良い商売である。
 最後の一つである柄を手に入れたらまた来ると言い残し、俺たちは博物館を出た。







 ドーンスターの宿屋ウィンドピークに足を運んだ俺たちは、ひさしぶりに吟遊詩人としての腕を発揮。






「おひさしぶりの楽団アーケイドだよ!さァ寄った寄った!」
 それにしてもこのカリタという娘、ちょっと音痴すぎるじゃねぇの?
 演奏を終えたあと、俺はエイドラの信徒と思われるローブを着た男に話しかける。こういう場所ではあまり見かけない人種だったし、なにより腰にぶら下げた黒檀のメイスが目立って仕方がない。
 どうやら彼は、このところドーンスターの住民を悩ませている悪夢について何か知っているらしかった。
「いやーなにせさ、俺が街に来たときはドラゴンが襲来してて、倒したあとにあちこちイベント会話が聞こえてはいたんだけど、生存者の確認を優先しててそれどころじゃなかったんだよねェ…」
 などとぼやいてみる。
 しかも、よりにもよって伝説のドラゴンが相手だったから、死人の一人や二人は出るだろうと思っていたのだが、幸いにも死傷者は出なかった。傷ついた衛兵を魔法で治療して回る俺の姿はさながら戦場の衛生兵、もとい治癒師の如しである。
 まあ、それはともかく。
「現在ドーンスターを覆っている悪夢、その原因はデイドラ神ヴェルミーナによるものだ。さらに言えば、ドーンスターの近くにある暁の塔…ナイトコーラー聖堂に安置されているアーティファクト、『堕落のドクロ』によってもたらされたもの。頼む、私に協力してほしい」
 目前の男、マーラの信徒エランドゥルはそう言うと、ジョッキのエールをグイッと呷った。
 その様子を見ながら、俺は一言。
「それはいいんだけどさ。そのー…ヴァーミルナ?」
「ヴェルミーナ」
「ヴァーミルナ?」
「ヴァールミナ」
「ヴァーミルナ?」
「…わかった。ここはヴァーミルナで統一しよう」
 なぜヴァーミルナだけ表記揺れや誤訳がこうも混在しているのかッ!とりあえず、ここではオフィシャル訳であるヴァーミルナで統一したいと思う。
「すべての疑問に答えると約束しよう。ついてくるがいい!」
「ついていくのはいいけど、アンタちょっと飲み過ぎじゃないかえ?」






 なんたってこの男、演奏中からずっと飲みっぱなしである。なんというウワバミ。神の信徒とは思えん。
 俺が頼みを快諾したあとも、この男、しばらくその場から動かず飲んでばかりだった。





【 →To Be Continue? 】








 どうも、グレアムです。魔術大学のクエストが急展開、でもって寄り道再開の巻。
 しかしあのー、ウィンターホールドに出現した異形魔法ってヤツはヤバイですね。レベル180で体力が2000くらいありましたもの。どんだけタフなんだよ。しかもアーニエルはステゴロで殴りかかっていくし。魔術大学っていったい…




アイアンフレッシュ&素手。脳筋ブレトン



 あとエランドゥルがずっと酒飲んで微動だにしなかったのはガチです。クエスト更新したのに全然動きゃしねー。動いたら動いたで足遅いし。もっとキリキリ走らんかいワリャア!












2016/11/08 (Tue)18:31





 俺の名はアーケイド、アルゴニアンの商人だ。
 ウィンターホールドへと帰還した俺は、サイジック会の僧兵からマグナスの目が持つ脅威について説明を受ける。なんでも、このままだと世界がヤバイらしい。連中はこの謎のオーブの正体を知っているらしいが、それにしてはメッセージが抽象的すぎるじゃねえの?
 とりあえずはとっかかりとして、ダンレインの預言者とかいうやつを探すことになった。そいつは魔術大学の地下、ミッデンという魔窟に潜んでいるという。
 スカイリムの内戦もいよいよ本格的におっ始まりそうな気配だし、おっかない事態が続きそうだぜ…







 ミッデンへと向かうまえに、俺はアルケイナエウムのウラッグのところへ立ち寄った。






「持ってきたぜ、例の本。涙の夜、アルテウムについて、アイレイド最後の王…の三冊だ」
 サールザルで発見したマグナスの目についての情報を集めるため、オーソーンが持ち逃げした本をフェルグロウ砦から回収していた俺は、それを書庫管理人のウラッグに渡した。
 保存状態を確認し、さほど損傷していないことに安心したのか、ウラッグは機嫌が良さそうな声で言った。
「よくやってくれたな。フム、そう…これだ。涙の夜、だ。読んでみたか?」
「ざっと目は通したよ、旅の途中で熟読はできなかったけど。スカイリム最古の都市であるサールザルにエルフが侵攻した事件についての論文だな。なんでも、原因は領土紛争や人種問題ではなく、もっと別の、サールザル地下に眠っていた、大きな力を持つ遺物を巡る戦いだったと」
「そうだ。そして500の同胞団を率いるイスグラモルはエルフを追い払ったあと、それをふたたび封印した…これは明確に証明された論説ではないが、そう考えれば辻褄が合う箇所は多い。非常に多い」
「エルフが狙い、イスグラモルが封印した遺物の正体が、あのマグナスの目だと?」
「その可能性はある。仮説に過ぎないがな」
 そもそも、マグナスとは何者か。
 ムンダス(いわゆる、我々定命の者が存在する次元)の創造に関わったとされるエイドラ神だが、九…いや、八大神とは関係がない。かつて魔法を司る神として崇められ、神々の領域であるエセリウスからマジカを持ち込み、定命の者に魔法を授けたという。
 そういう、いわば魔法の始祖、大それた存在の名を冠するマグナスの目がいかなるものか、本来どのような使用を想定した魔道具なのかを解明しなければならない。
「ところでウラッグさん、妖精族は入荷した?」
「まだだ」
「そっかー…」
「ところで、少々珍しい書物が入ったぞ。『狩りへの出立』という、やや示唆的に過ぎて難解な内容だが、デイドラの儀式について書かれたものだ」
「あ、じゃあそれ貰います」
「ついでだが、私も探している本があってな。『野生のエルフ』の写本だ、もし旅の途中で見つけるようなことがあったら持ってきてくれないか」
「エロ本?」
「違うわ。古代アイレイド、ワイルドエルフに関する本だ」
「なあんだ。てっきり森の中で野生のエルフに出くわした冒険者がムフフな体験をする本かと思ったのに」
「たわけか貴様は」
 阿呆なやり取りもそこそこに、アルケイナエウムを出た俺たちはミッデンへ向かう前に情報収集をする。
 一ヶ月前から屋外で活動している生徒たちの消息が掴めないこと、トルフディルが魔法の実験にドラゴンの鱗を必要としていること、また彼が愛用していた蒸留器が紛失したことなどを小耳に挟みつつ、俺とボルガクは閉ざされた地下への入り口を開いた。







 大学地下のダンジョンは下水や牢獄を思わせる環境で、凶暴なクリーチャーや、怪しげな実験跡などをところどころで見かける。
 もとは人工的に整備された施設だが、最初はどんな目的で作られたのか?また、なぜ大学はこのような危険な環境を放置しているのか?といった疑問が尽きない。いつ大学に深刻な被害をもたらしてもおかしくはない、というのは大学側を過小評価しているのかもしれないが、少なくとも街の住民にこのダンジョンの存在を知られれば、大学への不審を抱かれることは避けられまい。
 もっとも、そのテの心配をするのは俺の仕事ではない。
 しばらく捜索を続け、俺たちはダンレインの預言者を発見する。
『忍耐は絶望へと変わるだけだ。しかし不屈の志を持つのであれば…来るがよい』
 突如響いた声に導かれ、俺たちが向かった先に待ち受けていたのは…






「うおっまぶしっ!」
『私を探していたようだな』
「エート、あんたがダンレインの預言者…霊体?エーテル?魔法の実験による事故が原因で姿を消したと聞いてたけど、なんだか最近はこういう妙なのばっかりに縁があるなぁ」
『残念だが、ここへ来るのが遅かったようだな。すべては動きはじめてしまった』
「あ、そっすか。じゃあ俺はこのへんで失礼します」
『待たんか。馬鹿者、たわけ、少しは食い下がらんかタマナシヘナチンが』
「(めんどくさいやつだなあ…)」
『もとへ…お前をここへ導いた遣いは、求めるべきものを伝えなかったようだな。それは、すなわち知識。すべての魔法使いが追い求めるもの。しかし知識は腐敗し、やがて破滅をもたらす』
「あの、ポエムはいいんで手短にお願いします」
『ここからが盛り上がるところなのだがのう、まあよい。精神が汚染されることなくあのオーブの力を利用するには、マグナスの杖が必要だ。くれぐれも気をつけるがよい、サルモールも同じものを探していた』
「サルモール?どのサルモールだ?」
『アンカノという男だよ』
「アンカノ!?」
 預言者の言葉に俺は耳を疑う。
 目の前の電飾ジジイがどれだけ長生きかは知らないが、サルモールと聞いて俺が咄嗟に思い浮かべたのは涙の夜の事件があった当時のことだった。あるいは、俺たちがサールザルでマグナスの目を発見する以前のことではないかと。
 だから、「どのサルモールだ」と訊ねたのだ。まさか、これほど直近の話だとは思わなかった。
 俺の前ではすっとぼけていたが、やはりアンカノは今回の事態を正確に把握していると見做して間違いない。それも、俺たちに先んじて動いている。由々しき問題だ。

 大学へ戻った俺たちはマグナスの杖に関する情報を集めはじめた。
 おそらくはアンカノと対立する行動であるから、慎重を期さなければならない。救いがあるとすれば、アンカノは大学の連中に頼らない…「マグナスの杖を知っているか?」などと聞いて回ったりはしないだろう…ということだ。内部に協力者を抱えていれば別だが。
 そういえば前に別の人間から同じ質問を受けた、などという言葉は聞きたくなかったが、幸いにもそうした事態には出くわさなかった。
 マスターウィザードのミラベルによれば、最近サイノッド…メイジギルドの解体後に出現した、シロディールの魔術結社だ…の連中がマグナスの杖の在り処を尋ねてやってきたという。
 ムズルフト遺跡について質問をし、場所を知った彼らはそこへ向かったらしい。単純に考えれば、サイノッドはマグナスの杖がムズルフト遺跡にあることを知っていて、回収へ向かったと見るべきだが。
 現在サイノッドは派閥抗争に明け暮れているらしく、帝国の寵愛を受けるために強力な魔道具の収集を続けているという。サルモールと手を組んではいないだろうが、みすみす杖を渡していい相手かどうかは疑問が残る。
 少なくとも、協力を期待できる相手だとは考えないほうがいいだろう。







 ウィンターホールドよりさらに北、セプティマス・シグナスの隠れ家へと向かった俺たちは、旅の途中で収集したエルフ族五種の血液を老人に渡した。
「聞こえるぞ…彼らの生命の鼓動が。来なさい、混合をはじめよう」
 相変わらずわけのわからないことを口にしながら、老セプティマスは採血器を自らの身体に突き立て…血液を注入した!






「なるほど、そういうことだったのか…」
 セプティマスの全身にエルフの血が巡り、これまで頑なに閉ざされていたシェルターの扉が開く。ドゥーマーにしか開くことのできないゲート、自らの体内にエルフの血を取り込むことで、保安装置を誤認させたのか。
 だがしかし、危険な方策には違いない。おそらくセプティマスは無事ではいられないだろう…彼を利用し使い捨てる、ハルメアス・モラの冷酷な意図が垣間見えた。
 はてしなく遠いドゥーマー坂を全力疾走するセプティマスを追い、俺とボルガクも古代のシェルターに足を踏み入れる。
 最奥の祭壇に安置されていたのは、一冊の本だった…
「これは…本か?いや、違う、そうか。わかったぞ…超越した世界は心の中で燃えるのだ、なんと素晴らしい…!」
 ただならぬ様子で絶叫するセプティマス、断末魔の声とともに肉体が崩れ落ち、灰と化した。






「畜生…ないぞ。これはない」
 デイドラに一身を捧げた哀れな老人の末路を目の当たりにし、俺は顔を歪める。
 やつらは悪魔そのものだ、というネラカーの言葉を思い出す。まさしくその通りだ。デイドラ神はムンダスという遊び場で好き勝手に駒を動かし、結果が思い通りにいったの、いかなかったので楽しんでいる。
 そのせいで人間が死のうが…構いやしない。そのせいで誰が苦しみ、悲しもうと、その一喜一憂ですら連中にとっては酒の肴に過ぎないのだ。そんなことでもしなければ楽しめないのだ、連中は。けったくそ悪い永遠の命というやつは、さぞかし愉快な代物らしい。
 俺はセプティマスが追い求めたもの…すべての魔術師が追い求めたもの…知識に手を触れる。
 その知識は本の形をしていた。奇妙な装丁で、見たところ、様々な人種の皮を繋いだもののように見える。ページを開いてみるが、わけのわからない記号や文字が並ぶだけだ。
 本…オグマ・インフィニウムを手に、シェルターを出ようとしたとき、すべての仕掛け人であるデイドラ神ハルメアス・モラが姿を現した。






『我が勇者よ、こちらへ…オグマ・インフィニウムを手に入れたな。信徒ザルクセスが記した、我が知識の結晶の書を』
「セプティマスを殺したな」
『間接的ではあるが、いかにも。数百年ものあいだ、日の目から遠ざけられていたその書をおまえに渡すためには、あやつの協力が必要だった』
「俺に?」
『セプティマスはおぬしのために死んだのだ。それはおぬし自身、よくわかっているだろう。そのことを知ってなお、知識の書を手放すことはできまい?』
「なぜ俺を選んだ?この本を俺に授けるどんな理由があんたにあるっていうんだ?」
『ともに奇跡を起こすために』
 その声を聞いた俺はゾッとする。
 俺の非礼を意に介すことなく、歓喜の声をあげる異形の存在に。
『おぬしは自身の本能の赴くままに行動すればよい。それこそ我が望み』
 そう言って、ハルメアス・モラは姿を消した。最後に一言言い残して。
『また会おう』
 嫌味の一つを返す気力も沸かなかった。
 一人の老人を犠牲にして得たデイドラの知識の結晶。安い取り引きではあったのだろう、べつにセプティマスとは懇意の仲ではなかったし、もっとつまらない物のために人を殺したこともある。
 等価交換、大局的に見れば些事…だが、と俺は思う。不愉快だった。
 俺のいつもの行動は、俺のルールに従って動いた結果だ。ポリシーとか、内的倫理とか、呼び方はなんでもいいが、とにかく、デイドラの連中にはそれがない。尊重という概念が。
「勝手なことばかり言いやがって」
 そう吐き捨てると、俺は主のいなくなった隠れ家をあとにした。







 その後、俺たちはサイノッドの魔術師たちが調査に向かったというムズルフト遺跡へ向かった。






「てっきり問答になるかと思ったが…手間のかからない展開になりそうだな」
 遺跡へと足を踏み入れて最初に発見したのは、サイノッドの一員と思われる魔術師の遺体。彼が死んだのは俺たちが遺跡に到着した直後で、なにやらわけのわからないうわごとをつぶやいた直後に絶命した。
 彼のローブを探り、遺跡の鍵と、サイノッド本部からのものと思われる通達書を抜き出す。
 どうやらスカイリムへ遠征に来た調査隊は期待された成果を出せておらず、そのせいで能力を疑われているらしい。そのことは、こちらにとって有利に働く可能性がある…余裕を失った相手とは交渉の余地がある。理性を失っていなければ、だが。

 ちなみに今回の探索から、俺は新しく用意した装備を着用している。
 吸血鬼のローブから『黒檀の軽鎖帷子』…ボエシアより賜った黒檀の鎖帷子を改造し軽量化したもの(エンチャントを外し軽装カテゴリ化)に着替え、エルフの篭手に黒染め処理(テクスチャ改造)を施した『エルフの黒染篭手』、そして革を加工して作った(革素材/軽装カテゴリ)の『南方商人のフード』を着用している。
 いずれも自作のModで用意したものだが、基本性能はベースとなった装備の数値を継承しているのでロアフレンドリーだ。もっともチート鍛冶&付呪(薬品ブーストつき)は遠慮なく利用させてもらったが。
「本土(シロディール)の魔術師とやり合う可能性もあったから、ちょっと気合を入れて装備を新調したんだけど…取り越し苦労だったかねェ」
 ドゥーマーの自動人形が稼動しているあたり(おそらく魔術師たちはこいつにやられたのか?)、あまり深い領域まで調査は及んでいないだろうと俺は予測をつけた。






 遺跡はところどころ行き止まりになっており、壁を破壊して洞窟を掘り、別のフロアへの突破口を開いたらしき形跡が残っている。
 これを魔術師たちがこしらえたのか、あるいはファルメルたちがこしらえたのかはわからないが、いずれにせよ、大変な労働だったに違いない。また、このあたりは月長石の鉱脈でもあったようだ。
 あちこちに亡骸となって転がっている魔術師たちの装備はスカイリムのそれとほとんど変わらず、ファルメルたちを相手に善戦したものの(魔法で殺されたらしいファルメルの死体も散見される)、駆逐するまでには至らなかったようだ。
 少なくとも、シロディールのゴブリンどもよりは厄介な相手だったろう。
「こりゃあ、生き残りはいないかもな…」
 邪魔が入らないのは結構なことだが、もしサイノッドの連中の探し物がマグナスの杖なら、その情報を入手できないのはこちらにとっても不利だった。入り口でくたばった魔術師のほかに、記録その他を身につけている者をまだ見かけていない。
 これほど手酷くやられた状況なら、身柄の安全と引き換えに情報を提供させることは難しくないだろう。友好的にやるにしろ、尋問して口を割らせるにしろ、まずは生きた情報源がいなければ話にならない。
 俺がサイノッドの生存者と鉢合わせたのは、手がかりが一向に見つからず焦りはじめたときだった。






 男は俺たちの姿を確認するなり、両手から炎を迸らせて咆えるように言った。
「ガヴロス…ではないな、おまえたち何者だ?なぜこんなところにいる?」
 同胞が壊滅したのだ、気が動転していても不思議はない。俺はなるべく相手を刺激しないよう、慎重に言葉を切り出した。
「落ち着いてくれ、心配するな。俺たちは敵じゃない…ウィンターホールド大学の者だ。サイジックの調査隊がこの遺跡に向かったと聞いて、助言を求めに来た」
「大学の生徒か?なぜ、わざわざ…まあいい、ここまで来れたのなら、ブチ切れたファルメルやガラクタ人形どもを相手にできるってわけだよな?さっきまで聞こえてきた戦闘音は、あんたたちのものか」
 男の名はパラトゥス・デシミウスといった。
 調査隊の中枢メンバーの一人で、相棒のガヴロス・プリニウス(入り口で死んでいたやつだ)とともに特殊なクリスタルの作用について研究をしていたらしい。もっとも、彼はガヴロスに研究成果を横取りされる寸前だったらしいが…
 パラトゥスはクリスタルというものについて延々と講釈を垂れていたが、その口からマグナスの杖に関する言葉はまったく漏れてこない。連中の探し物はマグナスの杖ではないのか?
 オーケイ、俺はそう言って、提案を申し入れる。
「その、クリスタルとやらの捜索に協力しよう。で、あんたが無事にシロディールへ帰れるよう、この遺跡を出るまでの身の安全を保障する。無事に国へ帰れれば、あんたは貴重な研究成果をすべて自分のものにできるわけだ(俺はこの部分を強調した。彼が仲間の死を悼んでいるようには見えなかったので)。そのかわり、俺たちにも協力してほしい」
 はっきり言って、これは賭けだった。
 まずサイノッドの連中が味方かどうか(連中が大学をどう思っているのか)がわからないし、マグナスの杖の行方を追う者をどう対処するかも未知数だ。だがこちらの状況も一刻を争うし、相手の知見がどれほどのものかがわからない以上、迂闊にハッタリをかますのは危険だ。
「俺たちは、マグナスの杖を探している」
「なんだと?なぜ、そんなものを…まあいい。いま俺が話せることは何もない。まずはクリスタルを回収してくれ、話はそれからだ」

 クリスタルはファルメルの魔術師が持っていた。スノーエルフの成れの果てを倒し、一部が破損したように見えるドゥーマーの細工物…フォーカス・クリスタルというらしい…を回収する。
 もとはガヴロスがこのクリスタルを持ち逃げし、調査隊を遺跡に置き去りにしたままシロディールへ逃げるつもりだったらしいが、彼はファルメルの襲撃を受け、クリスタルを奪われたうえ致命傷を負い、遺跡の入り口で果てた…というのが顛末らしい。
 クリスタルをパラトゥスに渡し、彼に連れられるまま俺たちは遺跡の深部へと向かう。
 そこで目にしたのは、かつてムザークの塔で見たようなドゥーマーの天体儀だった。






「こいつにフォーカス・クリスタルを組み込んで作動させれば、もし俺の予想通りにいけば、素晴らしい光景が見れるはずだ。上手くいくといいが」
 どうやらパラトゥスはクリスタルを手に入れただけでは満足しないらしく、それ以上のものを俺たちに求めているようだったが、いまのところ、俺たちに選択肢はなかった。やつを縛り上げて爪を一枚づつ剥がすのは、やつが俺たちに協力する気が微塵もないと確信できてからでいい。
 中央の装置にフォーカス・クリスタルを装着し、魔法を使って投射された光の向きを調整する。
 やがて機械が動きだし、レンズに反射された光が壁に向かって集束する。それは、スカイリムの地図を表していた。
 てっきり星霜の書でも出てくるのかと思っていた俺は拍子抜けしたが、パラトゥスはそれ以上に驚いている様子だった。






「なんだ、これは…予想と違う。誤差なんてものじゃない、こんな結果になるはずがない!」
「なに…?」
 ただならぬ様子でまくしたてるパラトゥスに、俺は眉をしかめる。
 とりあえずこの装置が兵器ではないらしいこと、パラトゥスに俺たちを騙し討ちするつもりがないらしいことはわかった。だからこそ、物事が順調に進んでいないのは気がかりだ。
「この投射機は一面に夜空を映しだすはずなんだ!なにかが装置の機能を阻害している、魔術的な力が…この力の発信源は、ウィンターホールドからか!?」
 そのパラトゥスの言葉に、俺は動揺する。
 まさか、マグナスの目の影響力がこんな場所にまで及んでいるのか!?
 パラトゥスが口から出まかせを言っているようには見えなかった。しかし、だとすれば…これはまずい。
「おまえ…最初からこうなることがわかっていたのか?いったい何を隠している、ウィンターホールドの魔術師め!いったい、『何を大学に隠し』ているんだ!?」
「待て、待ってくれ…あんたの仕事を邪魔する気はなかった。説明させてくれ」
 先刻まで青ざめていた顔を紅潮させて詰問してくるパラトゥスに、俺は喉を詰まらせつつ弁解を試みる。
 大学がサールザルの遺跡を調査していたこと、そこでマグナスの目を回収し大学に持ち込んだこと、マグナスの目が及ぼす未知の影響を憂慮し、事態解決のためにマグナスの杖を探していることを説明した。
 ただし必要以上の猜疑心を抱かせないため、行動のすべては予知能力を持つ大学の生徒に従ったものであると言い(嘘ではない。ダンレインの預言者が人間の形をしていないことは説明しなかったが)、また、サイジックの介入についてはその一切を伏せた。
 もちろんパラトゥスとて、俺が徹頭徹尾、何もかも正直に打ち明けたとは考えていないだろうが、それでも一応は納得すると、渋面を崩さぬまま口を開いた。
「なるほどな。マグナスの目か…それなら説明がつく。だが、そもそも、そんなものを大学に持ち込もうとしたこと自体の言い訳にはならないぞ。何を企んでいるかは知らないが、身の丈以上のことをした報いだな」
「マグナスの目について何を知っている?」
「それは言えない。我々の極秘研究の内容を明るみに出すわけにはいかない、ここでの活動の詳細然り…それらはすべて、シロディールの、帝国の安全を守るための措置だ。妙な誤解をするなよ」
「アルドメリの脅威について言っているのなら、俺たちは協力し合えるんじゃないか?どうして必要以上に大学を警戒するのか、俺にはわからないな」
「それは現状における立場が不安定だからだ。互いにな。サイノッドがシロディールに確固とした基盤を築くにはまだ時間がかかるし、サルモールの監視者が駐在している大学の技術がアルドメリに漏れないと、どうして言える?」
「…… …… ……」
「壁に投射された地図を見る限り、マグナスの杖はラビリンシアンの遺跡にあるようだ。印が二つあるだろう、一つは大学、もう一つはラビリンシアン、魔術神マグナスゆかりの魔道具が存在する位置を示している。まあ、せいぜい幸運を祈っておくよ」
 そう言い残しパラトゥスは踵を返した。どうやらマグナスの杖を捜索する大学の動きを邪魔するつもりはないらしい。
 今の彼の言動は彼個人というより、サイノッドの立場を代表してのものだろうから、彼らがマグナスの目にまるわる一連の出来事に介入する気がないらしいことは理解できる。
「私はシロディールに帰還し、本部に今回の出来事を報告する。おそらく、本部は大学のことを快くは思わないだろう」
 最後にそう言って、パラトゥスは俺たちに背を向けた。
 手を下すなら、今しかない。
 だが…俺はカタナの柄にかけていた手を離し、パラトゥスが立ち去るのを見送った。
 それまで寡黙を保ち続けていたボルガクが口を開く。
「あのまま行かせていいのか?」
「たぶん、あいつの報告は大学にとって不利になるだろう…表面的には、ね。だから、ここであいつを始末して、調査隊は誰一人帰還できなかったってことにしてもよかった。ただ、それはちょいと近視眼的判断に過ぎる。スカイリムの今後を考えれば、多少のリスクを考慮に入れてでもシロディールの魔術結社と繋がりを作っておきたい」
 煌々と壁に照らされる光の地図を見つめながら、俺は言葉を続けた。
「パラトゥスが、ここでの俺たちの行動をそのまま本部に報告すれば…少なくとも、俺たちがクリスタルの回収に協力して、パラトゥスには危害を加えず遺跡の脱出を手助けしたことは伝わるはずだ。そう願いたい。連中も、無闇に大学と敵対したいわけじゃないだろうから」
 もちろん、今回の判断が裏目に出る可能性もある。だが、直接的な利益が判断のすべてではないことは肝に銘じておくべきだ。

 ムズルフトから出ようとしたとき、またしてもサイジックの僧兵が姿を見せた。
 例によって周囲の時間を止め、たった二人で恋人のように密談するという、例のスタイルだ。






「あんたは、たしかサールザルで見たほうだな」
『ひとまず守備は上々といったところか。しかし、本当の試練はまだ先にある』
「マグナスの杖はラビリンシアンって場所にあるらしい、これから回収に向かうよ」
『そのまえに一度大学へ戻ったほうがいい。どうやら抜き差しならぬ事態に陥っているようだ』
「大学?」
 いったい、なにがあったっていうんだ?





【 →To Be Continue? 】








 どうも、グレアムです。今回の中盤から防具を新しいものに変更しました。詳細は本文中に説明した通りです。最初はローブ系のMod入れようかと思ってたんですが、なにやら種類が多いし面倒臭くなったのでいいや以前それなりにビビッときた黒檀の鎖帷子を軽装扱いでデッチ上げちまえということでこうなりました。
 アーケイドは特別な個性を持ったスペシャルな存在というのではなく、あくまでロアフレンドリーなキャラとして扱っていきたいので、見た目が個性的になり過ぎないよう注意はしています。無駄にレベルが高いけど(現在レベル103)、それは普通にプレイしててそうなってしまったんだからしょうがない。





 








2016/11/06 (Sun)05:56








 どうも、グレアムです。Skyrimプレイ記(テキストは3分の1くらい創作入ってる)の主人公、アルゴニアンの商人ビル・アーケイドのイラストを描いてみました。エルフの篭手マジ面倒臭い造型してる。死ねばいいのにアイレイド人。
 このテのRPGでは普段、脳筋近接戦闘系ばかりプレイしていたのでSkyrimでは魔法使いでプレイしようと思ったら、蓋を開ければ武器戦闘長優遇システムだったというこの。スキルで威力爆上げ&チート鍛冶のコンボとか、これ構想段階で誰もツッコミ入れなかったのかよ…というレベルの酷さ。
 弓なんて前作の時点でバランスブレイカー扱いだったのに、今作ではそれを遥かに飛び越えるヤバさですからね。普通に戦うと大苦戦するドラゴンの体力が一瞬で溶けるという。
 そんなわけで次第に戦闘スタイルが脳筋になりつつありますが、なんとかして魔法を活かしていきたい。氷の谷もいいんだけど、氷の壁使ったら思ったより強かったので最近はそっちを利用してます。
 もっと強力な敵専用魔法とかあればそっちに乗り換えるつもり。

 あんまり関係ないんだけど、最近シロディールへの郷愁が沸きつつある。
 ずっとご無沙汰なOblivionの二次創作は、あれは当初の予定だとクエスト全部拾う予定で、誰がどのクエストをこなすか、というのも全部フローチャート作ってあったんですが、たぶん今更そこまでやれないと思ってます。
 というかそもそもアレは、俺のオリジナル創作とのクロスオーバーっていう側面があって、オブリの二次創作単体で見るとわけのわからない描写っていうのがけっこう入ってるんですが、俺がオリジナルのほうをあまり書かなくなったっていうのがあって、そういう面でも続けるのが辛いなァ…という部分があるのです。
 いっそSkyblivionが出たときに設定を刷新してやり直そうかとも考えてるんですが、たぶん出ねぇよなアレ(笑)ベセが64bit版のSpetial Editionなんていう面倒なモノぶちこんできてMod開発の現場が多少混乱しつつあるっていうのもあるし、特に大型Modは影響受けてるんじゃないかと思います。

 とりあえず駆け足でいいので、ストーリーだけ完結させるべきかなぁ…とは考えてるんですけどね。ただ再インストールとMod環境再構築から始めなければならないので、ウウム。
 というか、オブリは女キャラの顔がキツイんだよ!今見るとな。というか当時ですら、顔を真正面から見せないよう、美人に写るようにかなりカメラの角度とか気をつけて画面写真撮ってますからね。あとはやっぱりtfc_1が使えないのは痛い。















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