主にゲームと二次創作を扱う自称アングラ系ブログ。
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2016/07/19 (Tue)19:05
失った記憶の手がかりを探すため、運び屋キャリア・シックスを追ってプリムまでやってきたブレンダ。
しかしプリムの町はNCR刑務所から脱走した犯罪者集団パウダーギャングによって占拠されており、ブレンダは厳戒態勢を敷いていたNCR部隊に交渉を持ちかけ、町内をパトロールしていたギャングたちを狙撃・殲滅する。
ギャングの本隊が潜伏しているバイソン・スティーブホテルへ突入する前に、ブレンダはプリム市民が篭城しているビッキ&ヴァンスカジノへと向かう。
「これからNCRの兵隊数人とホテルへ突入する。だから、武器を持ってる市民はホテル周囲を固めてギャングが逃げられないようにしてほしい」
「その点に異存はない。状況はだいたい飲み込めたが…」
ブレンダがヘイズ少尉とともに立てたプランの説明を受けたジョンソン・ナッシュは、賛意を示しつつもどこか納得しきれていない表情でブレンダを見返した。
そのことがブレンダも気にかかり、首をかしげる。
「何か問題が?」
「お前さんはまだ肝心なことを何も話しちゃいない」
「…… …… …?」
「お前さん自身のことさ。なんでこんな場所にいる?たった一人で…こんな無茶をして?相棒とは一緒じゃないのか?」
「あたしのことを知っているの?」
「なに?」
ブレンダの言葉に、ジョンソンと、隣にいた、エックス・テックと呼ばれる少女が眉を吊り上げた。
きょとんとするブレンダに、ジョンソンはやや語気を荒げて言う。
「おいおい…ないぞ。それは、ない」
「え?」
「私を知っているのか、とは、どういう意味だ?どういう理由(わけ)があってそんな言葉が出てくる、ええ?いったい脳のどの部分からそんなとんちきな言葉が出てくるんだ?」
ああ、ちょっとまずいかな、とブレンダは自分の迂闊さを内心で罵った。
たしかに、お互いに面識があるなら、あなたは私を知っているのか、などという質問はしないだろう。普通は。
記憶でも無くしたのでない限り…フィクションでもなければ、そんなことはまず起こらない。相手がそうなったなどとは考えもしないだろう。ジョンソンの疑問は正しかった。
まして、一部とはいえ記憶を無くした…すなわち脳の機能に障害のある者に、事態の解決を任せたいと思うだろうか?有り得ない。
すこし考えこんだあと、ブレンダは歯切れの悪い口調で言った。
「…悪いけど、今は言えない。けど、この問題が片づいたら全部話す。絶対に」
「うーむ…まあ、なにやら込み入った事情がありそうだしなあ。いちおうはそれで納得するとしよう」
実際は納得などしていないが、という態度を隠そうともせず、ジョンソンは肩をすくめた。
もともとブレンダは口下手で、あまり弁が立つほうではない。かつて用心棒という身の振りを選んだのも、口より拳で言うことを聞かせるほうが得意だったからだ。
それは幼少期に、レイダーから拷問を受け口を滅茶苦茶に切り裂かれたせいで会話そのものが困難だったからなのだが。後遺症からくる激痛で、いつも苛々していた記憶がある。
そこが今の自分との大きな違いだった。
なんとなく気まずい空気が流れるなか、エックス・テックが緊張感のない声でつぶやく。
「あーあ。エディ、無事かなぁ」
「エディ?」
「アイボット・デュラフレームE型、だからエディ(ED-E)。エンクレイブ製の自律機械だって、前に運び屋の一人が持ち帰ってきたんだ。いま修理中なの」
「アイボット?ああ、あの歌うやつ」
「歌?」
「いや、こっちの話」
エンクレイブ・ラジオ、ワシントンではアイボットがそいつを鳴らしながら、あちこちを飛行していたものだ。今でもまだ飛んでいるのだろうか。
キャピタル・ウェイストランドに展開していたエンクレイブの末路を知らぬブレンダ、そして彼女の独り言を意に介すことなく、エックス・テックが言葉を続ける。
「事務所に置いてあるんだ。ギャングが壊したりしてないといいけど」
「うちの事務所に押し入ったんなら、他の物が盗られていないかを心配するよ。私は」とジョンソン。彼はあまりアイボットに興味はないらしい。
しかし、エックス・テックのような少女がモハビ・エクスプレスに私物を置いているというのはすこし気になる。そういえばキャリア・シックスの名を真っ先に出したのも彼女だった。
少女を指差し、ブレンダはジョンソンに尋ねる。
「あの。お孫さん?」
「孫がわりに可愛がってはいるが、れっきとしたウチの従業員だよ」
「運び屋?」
「いや、広報担当だ」
「彼女の御両親は?」
「死んだよ」
そう答えたのはエックス・テック本人だった。
やばい、まずい質問をしてしまった…顔色を変えるブレンダに、ジョンソンが説明を加える。
「彼女はヴォールトからの難民なんだよ。北の、ニューベガスに近いヴォールト3に住んでいたそうだ。そこは何年か前にレイダーの襲撃を受け、エックス・テックはなんとかしてここまで逃げ延びてきたらしい」
そういえば、とブレンダはエックス・テックの服装に目をやる。
ブルーのジャンプスーツ、背中にでかでかと「3」の文字が刺繍された馬鹿みたいな服は、そういえばヴォールト製のものだということに思い当たった。
辛かったであろう過去を、しかし当人はまったく気にしていない様子で大声を上げる。
「お姉ちゃんがいてくれたら、ギャングなんか一人でやっつけてくれるのに」
「へえ、姉がいるんだ」
「そうでなきゃ、トライビーム・レーザーライフルでもあれば私一人でも楽勝なんだけど」
「うん?」
それは冗談で言っているのか。
歳相応の根拠のない憎まれ口だろう、そう思い、しかし地図上でニューベガスから随分と離れたこのプリムまで逃れてきた事実をどう解釈すべきかとブレンダは悩んだ。たぶん姉と一緒だったのだろう。ギャングなんか一人でやっつけれる、という。
カジノを出たあと、ブレンダは三人のNCR兵とともにバイソン・スティーブホテルの二階へと向かった。
おそらくジェットコースター用の通路だったのだろう、ベランダのように張り出した足場でブレンダたちは息を潜める。屋内では使い途のないスコープつきライフルを壁に立てかけ、ブレンダはギャングの一人が持っていたクローム処理・サプレッサー装備のマカロフ拳銃を手に突入のタイミングを図っていた。
間もなく武装したプリム市民たちもホテル周辺の配置につくはずだ。窓から狙撃されるといけないので、ホテルの窓から見えない位置に隠れているようにと指示してある。
計画そのものは単純だ。まず二階から突入し、二階を確保したのち一階を制圧。敵殲滅を確認後、正面扉を使わず二階から脱出する。
そのことはNCR部隊にも、プリム市民にも通達してあった。出入りに使うのは二階の扉だけ、つまり正面扉を使うのは敵しかいないので、正面扉から出てくる者は誰であろうと射殺していいということだ。
それとこれはジョンソンから聞いた話だが、ホテル内には保安官補が人質として囚われているらしい。ギャングたちはプリムに来るなり真っ先に保安官夫妻を殺し、保安官補を捕らえてホテルへ向かったという。
身代金の交渉がない以上、人質はとっくに殺されていると考えるべきだろうが(生かしておく理由がない)、万が一ということもあるので、留意しておく必要があるだろう。
「一人はここに残って、あとの二人はあたしについてきて」
「了解だ、お嬢さん」
兵士たちの口調がフランクなのは、これが正規の任務ではないからか、それともブレンダが軍人ではないからか。
正規軍人が外部の人間の指示に従うなどというのは本来有り得ないことなのだが、プリムに駐屯していたのは実戦経験のない新兵だったので、今回はあくまで特例的な措置だった。書類上の体裁を整えるため、ブレンダは軍事顧問として雇われているという扱いになっていた。
扉に鍵がかかっていないことを確認し、ブレンダは静かにノブを回す。
ホテル内に侵入し、ブレンダは暗視装置で屋内にいる敵の数と位置を探った。
「けっこう多いな…」
壁越しに生体電気を検知する暗視装置のレンズ越しに、ブレンダは二階、そして三階を巡回するギャングたちの動きを補足する。
「いちおうはじめは隠密でいくけど、危ないと判断したら迷わず撃って。それで、一度銃声を立てたらもう隠れることは考えなくていい」
追従する二人のNCR兵士に指示を出し、ブレンダは慎重に進みだした。
まだ表のパトロールが殺されたことには気づいていないのであろう、緊張感のない様子でふらふらと廊下を歩いていたギャングを二、三人射殺したあたりで、NCR兵士のショットガンが轟音を鳴らした。
視線の先には、引き金に指がかかっていたギャングが血を噴いて倒れる姿が映っている。
おそらくいまの銃声で、ホテルにいるギャング全員にこちらの存在が察知されただろう。だが、いい。これは想定の範囲内だ。
「なんだ、いまの銃声は!?」
あちこちから罵声が響き、NCR兵士たちが落ち着きをなくした様子でそわそわしはじめる。
彼らの肩を叩き、ブレンダは冷静な口調で諭した。
「落ち着いていこう。私の背中を見ていて、正面は任せて」
そう言って先へ進もうとしたが、NCR兵士たちがブレンダの背後ではなく、ブレンダのほうをじっと見つめているのに気がつき、彼らが何を期待しているのかがわからず戸惑う。
やがてさっきの自分の言葉を彼らがどう解釈したかに思い当たり、ブレンダは顔を赤くして小声で叱咤した。
「背中って…そういうことじゃなくって!」
なんでこういう状況で漫才みたいな小芝居をやってるんだ、と思ったが、新兵たちの緊張を和らげるには効果があったようだ。
余裕のある笑顔を取り戻す若者たちに、ブレンダは「まったく…」と苦笑する。
やがて二階の制圧に成功し、NCR兵士たちをその場に残してブレンダは三階にいるギャングたちの掃討へ向かう。
タシュッ、タシュッ!
崩落した天井を伝って三階へ上がり、ブレンダは部屋の入り口を挟んではち合わせたギャングを素早く撃ち倒す。
すぐに三階のギャングたちの殲滅を終えたブレンダは二階へ戻り、NCR兵士たちとともに地階へと続く階段の前へと向かった。
「あなたたちはここに残って、下から上がってくる連中がいないか見張ってて。それと、二階と三階に撃ち損じがいないかどうかも。二階から来た敵に挟まれたら、あたしはどうしようもできない」
「任せてください。死なないでくださいよ、ネーサン」
「もちろん」
銃の装弾を終え、ブレンダは単身一階へと下りる。
二階の銃声を聞きつけ、一階で待機していたギャングたちは騒然となっていた。
大半が中央ホールで就寝中だったが、この期に及んで簡易マットで横になっている者はいない。すでに全員が戦闘態勢に入っていた。
そのうちの一人が従業員通路を通り、キッチンへと向かう。
そこにはブレンダがとっくに殺されたと思っていた、人質のビーグル保安官補が鎮痛な面持ちで膝をついていた。両手を縄で縛られ、身動きが取れない状態で放置されている。
ギャングはビーグル保安官補にピストルの銃口を向け、険しい表情を見せた。
「どうやらテメエの仲間が助けに来たらしいぜ。だが、テメエはここで終わりだ」
そして、銃声。
バシッ!
ビーグル保安官補はきつく目を閉じたが、銃弾が自分の身体に飛び込んでくることはなかった。
ゆっくりと目を開け、顔にびっしりとこびりついた血糊と、首がちぎれて倒れたギャングの死体を発見し、そして、消音機を装着した拳銃を片手に佇む女性の姿に気がついた。
「驚いた。まだ生きてたんだ」
「君は…」
「助けに来た。あなた、ビーグル保安官補?」
ブレンダは手早い動きで彼を拘束していた縄をナイフで切り、ギャングが握っていた拳銃を拾って渡そうとする。
「これ、使って。閃光弾でホールに集まってるギャングたちを釘づけにするから、爆発と同時にあたしを援護して」
「ちょ、ちょっ…ちょっと待ってくれ!俺はまだ戦うなんて言ってない」
「…?あなた、保安官補でしょう」
「姉の旦那が保安官で、そのツテでなっただけだ。無職でブラブラしてたから…戦いは苦手だ。保安官も死んだ、もう保安官補もクソもない。俺はやめる、先にみんなのところへ帰してくれ!他の市民は無事なんだろ?」
「呆れた。はぁ…そこに転がってる首なし死体があんたを撃つまで待つこともできたんだけど」
「…冗談だろ?」
いまだに首の断面から血を噴き出し続けている死体を見下ろし、ビーグル保安官補はごくりと息を呑む。ブレンダが銃を撃つのが僅かでも遅かったら自分がこうなっていた、などとは考えたくもなかった。
「わかった、わかったよ…あんたに協力する、お嬢さん」
9mm口径のブローニング拳銃を受け取り、ビーグル保安官補は意を決したように顔を叩く。
ブレンダはホールへ続く扉をゆっくり開けて中の様子をこっそりと窺い、特殊部隊用の閃光手榴弾のピンを抜いてアンダースローで転がした。
バンッ!!
閃光と轟音がフロアを包み、銃を手に警戒していたギャングたちが頭を抱えてその場にうずくまる。
ビーグル保安官補は扉からすこしだけ身体を覗かせ、そっと銃口を突き出してギャングたちを狙い撃ちにしようとする。ビーグル保安官補は当然、ブレンダもそうするだろうと思っていた。
しかし彼の想像に反し、ブレンダは閃光手榴弾が破裂すると同時にホールへ飛び出すと、片手に拳銃、もう片方の手に切り詰めショットガンを握って前進しながら撃ちまくった。
タンタンタン、ドカン、ドカンッ!!
「おい、おいおいおい!」
連続した銃声が響くなか、あまりに無謀なブレンダの行動にビーグル保安官補は動揺する。
いくら閃光手榴弾を使って戦闘能力を奪ったからって、敵が密集する部屋のど真ん中へ飛び出したりするか!?
やがて拳銃の弾を切らしたブレンダは腰にぶら下げていたナタを引き抜き、飢えた肉食獣のような獰猛さでギャングたちの腕や脚を次々と刎ね飛ばしていった。
「イカレてやがる……!!」
悪鬼のようなブレンダの戦いぶりに、ビーグル保安官の口から意図せずして悪態が漏れた。
またブレンダを恐れたのは彼だけではなかった。
次々と仲間が殺されていく光景を前に恐慌をきたしたギャングの一部は反撃もままならず、一目散にその場から逃げ出しはじめたのだ。
「ばっ、ばっ、ばっ、ばけものだ……っ!!」
なりふり構わず正面玄関へ駆け出すギャングたち、しかしホテルの外では武装したプリム市民たちが正面扉へ照準を向けており、そのままホテルを出れば、蜂の巣になるのは確実であった。
そのことがわかっていたからこそ、あえてブレンダは逃げた者たちを追わなかったのである。
しかし事態はブレンダの予想しない方向へと傾いた。
正面扉の前に、ギャングではない、謎の存在が佇んでいる。
「誰だ、あれ…」
ギャングの一人がその正体を誰何した、そのとき。
ドガガガンッ!!
謎のガンマンは素早い抜き撃ちを見せ、あっという間にギャングたちを撃ち倒していく!
血飛沫を噴き、瓦礫のように折り重なって倒れるギャングたち。
その一部始終を見ていたブレンダは警戒しながら、しかし敵には見えないガンマンにゆっくりと近づいていく。
ガンマンのほうもブレンダに気づき、キリキリと音を立てて撃鉄をゆっくりハーフコック・ポジションへ戻すと、口から大量の紫煙を吐き出した。
「ギャングの巣窟に突入した無謀なヒーロー志願者って、あんたのこと?」
驚いたことに、さきほど力強いパワードロウを見せたガンマンは女性だった。
「とりあえず礼を言っておくわ。まさか町を空けている間に、ギャングが占拠しているとは思わなかった」
その口ぶりから察するに、遠出していたプリム市民だろうか?
といってもプリムはカジノをはじめとする観光業で栄える町だ。外界へ出るとすれば、それは商人か…あるいは、運び屋?
そこまで考えたとき、ブレンダの脳裏にエックス・テックの言葉が不意に蘇る。
『お姉ちゃんがいてくれたら、ギャングなんか一人でやっつけてくれるのに』
ああ…なるほど。
たぶん、彼女が、そうだ。エックス・テックの言葉は誇張ではなかったわけだ、とブレンダは一人ごちる。おそらくこのガンマン、いや、ガンウーマン?違う、ガンスリンガーだ。いや呼び方など、どうでもいいが…彼女なら一人でも、プリムを占拠していたギャングの制圧など、ものともせずにやってのけだだろう。
彫刻入りのリボルバーに、撃ったぶんの弾を装填しなおす女性を見て、ブレンダは一言つぶやいた。
「…でけー女だな」
< Wait For The Next Deal... >
どうも、グレアムです。意外と長引くプリム編、あと一回だけ続きます。
構想時間が長かったぶん(作業時間が長かったというより、作業に入るまでに時間がかかったので余計な妄想を持て余した)、画面写真のほうもわりと凝ったものになっていると思います。
作中で登場するクローム仕上げのマカロフはFOOKで登場するやつのTextureを改造したものです。ブルガリア製のアーセナル・マカロフみたいな感じにしたかった。ブレンダは東側のサイドアームが似合うと思っています。相棒のクレイブが主に西側の銃器を使うので、その対比というか。まあ、メインのハードウェアはPSG-1だったりするんですけども。
ちなみにパワードロウというのは力強い抜き撃ちを意味する、クイックドロウの呼称の一つ…だったと思うのですが、Webで検索してもそれらしい解説はヒットしませんね(日本語、英語ともに)。たしか昔銃器専門誌でそのような単語を見かけた記憶があるのですが、ひょっとしたら造語だったのかもしれません。
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2016/07/15 (Fri)18:35
「止まれ。ここから先は通行禁止だ」
プリムの街へ向かおうとしたブレンダは、NCRのキャンプ付近で見張りに立っていた歩哨に呼び止められた。
NCR…新カリフォルニア共和国。
グッドスプリングスでトルーディから聞いたところによれば、旧世界の規範…確固たる基盤を持つ政府機関、強力な軍隊…により広大な領土を支配する組織らしい。名の通りベース(基盤)はカリフォルニアだが、近年はさらなる領土拡大を目指して活動中らしい。イケイケである。
ならばこのネバダ、ニューベガスもNCRの支配下にあるのかといえば、さにあらず。
核戦争の被害を逃れ、自らが開発したセキュリトロンの軍隊を擁する元ロブコ社社長、ニューベガスの庇護者ミスター・ハウスによって進軍を阻まれたNCR軍は彼と交渉し、フーバーダムが発電する膨大な電力の95%を得る代わり、ニューベガスの独立と、NCR市民の出入国の自由化を承認することで一応の決着となったのである。
以後NCRはネリス空軍基地に大規模な兵力を駐屯させ、モハビ各地に前哨基地を設立。モハビ全域にパトロール隊を派遣し、治安維持に努めているという話だった。
「なにか問題でも?軍人さん」
「いまプリムはギャングに占拠されており、周囲は厳戒態勢下にある。またプリムより南は複数のレイダー集団が出没中との報告も入ってきている。見たところグッドスプリングスから来たようだが、悪いことは言わない、引き返したほうがいい」
「…それは、困るんだけど」
おそらく行き交う旅人すべてに同じ文言を繰り返しているのだろう、あまりやる気のない態度で状況を説明するNCR兵に、ブレンダは困った表情を見せた。
キャリア・シックス…ブレンダと同行していたらしい、クレイブと目される男を追って旅に出た彼女としては、こんな場所で足止めを食うわけにはいかない。ましてキャリア・シックスはブレンダを撃った集団を追跡しているらしく、一刻も早く追いつかなければ行方を見失う可能性があった。
ならば、どうするべきか。
「あたしは仕事の契約で、プリムのモハビ・エクスプレスへ行かなければならない。非常に重要で、緊急を要する仕事。プリムの問題を片づけるなら協力してもいい」
「なんの仕事だ?格好から察するに、商人か?」
「用心棒。銃の腕なら自信がある。グッドスプリングスから来た、そう…つい先日、町を襲ったギャングを始末してきたところ。疑うなら町に連絡員を送るといい、望む回答が得られるはず。でも、こっちは急いでる」
「参ったな…う~ん、俺の一存ではなんとも」
「ここの責任者は?」
「ヘイズ少尉だ、キャンプのテントにいる。彼と相談してくれ」
NCR兵に促され、ブレンダは瓦礫の積み重なった道を歩いていく。
ほぼ嘘はついていない、不要な情報を教えなかっただけだ。頭を撃たれて記憶を失い、一緒に行動していた男を追ってきている、などと言う必要はない。そんなことをしても無用な疑いを持たれるだけだ。
用心棒?イエス、かつてはそうだった。
腕に自信がある?イエス、つい先日、それはグッドスプリングスで証明したばかりだ。記憶を無くしているからといって、気後れする必要などない。
「グッドスプリングスを襲ったパウダーギャングどもを始末してくれたらしいな」
口元を覆っていたスカーフを下ろし、素顔を晒したブレンダに、ヘイズ少尉は若干の疑いを含んだ眼差しを向けて言った。
「おおよその事情は聞かせてもらったよ。ひとまず我々や、プリムの民に危害を加える意思がない限り、君のことを信用しよう。目下の状況についてだが、我々は苦しい立場にある。おそらく君の手を借りることはないだろう、無用な危険は冒せない」
「状況の説明を」
「フゥ…わかった。プリムを占拠しているのはパウダーギャングで、高度に武装、組織化されている。プリム市内をパトロールしている連中だけでも我々の戦力を上回っているが、さらに主戦力がバイソン・スティーブホテルに潜伏している。また、施設内に人質が囚われているという情報もあるが、未確認だ」
「プリムの人たちはどこへ?」
「ホテルの向かい、ビッキ&ヴァンス・カジノに立て篭もっている。多くが武装しているからギャング達は手を出せないが、逆にプリム市民も外に出ることができず閉じ込められた形になっている。食料の備蓄はそれなりにあったはずだが、なにせ収容人数が多い。尽きるのは時間の問題だろう」
「ギャングの掃討と、プリム市民の救助に関するプランは」
「本隊に支援を要請中だが、いつ到着するかは未定だ。我々だけではどうにもならん…いまキャンプにいる隊員の多くは新兵で、練度も経験も不足している。装備も貧弱だ。さらに厳しいことを言うなら、プリムはNCRの勢力下にない。無理を押して助ける必要はない」
「勢力下にない?」
「彼ら自身が拒否したんだ。税の支払いに不満があるらしい…」
「だから見捨てると?」
「自殺隊を送るだけの義理はない、というだけの話だ」
それだけ言うと、ヘイズ少尉はふさぎこんだような態度で椅子に背をもたれた。
兵の安全を守るためにプリム市民を見捨てる、という彼を批難する気は起きない。それではなんのための軍隊か、という気はするものの、彼の言う通りプリムがNCRの庇護下にないのであれば、熱意に欠けるのも当然の話だろう。
黙って状況を思案するブレンダに、ヘイズ少尉がやや皮肉めいた態度で問いかけた。
「それ、で…なにか妙案でもあるのかな?」
「表のパトロールをあたしが始末する。消音機つきのライフルを持ってる、扱いには自信がある」
「もし君の存在が連中に気づかれて、騒ぎになったらどうする?プリムの民が危険に晒されることになるぞ。当然、我々もだ」
「ゲームオーバーの条件は三つ。あたしが死ぬか、連中がカジノに押し寄せるか、このキャンプに攻め入るか。でもカジノに潜伏している市民は武装していると、さっきあなたは言った。それをわかってて、自棄になって押し入るとは思えない。このキャンプも、連中が辿り着くまでの道に死角がない。それに引き換え、こっちは遮蔽が多く待ち伏せしやすい立地。防戦には一方的に優位」
「それは…そうだな。しかし、こちらから攻めることはできなかった。だから膠着状態にあったんだ」
ブレンダの提案に関心を持ったらしいヘイズ少尉は、大判の写真をテーブルに広げた。
「これはプリムの上空写真に印をつけたものだ。連中がプリムを占拠してからずっと、我々は連中のパトロールを監視していた。その位置と人数を記録したものだ。だが我々には長距離射撃用の火器が支給されておらず、また、それを扱える熟練の兵もいなかった。だから手出しができなかった」
「全部で八人…ジェットコースターのレール上にいるのが厄介。そいつらから始末する必要がある」
「それで、パトロールを始末したあとはどうする?」
「カジノにいる市民を解放して、ホテル周辺を包囲させる。そのあと、あたしが突入する…そのとき、何人か兵を貸してほしい」
「さっきも言ったが、いまキャンプにいるのは新兵ばかりだ。あまり危険な真似はさせられない」
「突っ込みはあたしがやる。ただ、背中を守ってくれる兵が必要」
「…わかった」
「できれば今夜のうちにすべてを終わらせたい。危険な役はあたしが引き受ける、だから協力してほしい」
狙撃ライフルを手にブレンダはテントを出る。
彼女の去り際、ヘイズ少尉が決まりの悪そうな表情でつぶやいた。
「本来なら、見ず知らずの風来坊にこんな仕事は任せないのだが。NCRの沽券に関わる…だが、この状況ではそうも言ってられん。申し訳ないが、頼んだぞ」
「任せて」
親指と人差し指を丸印にくっつけ、ブレンダはほんのわずかに笑みを浮かべる。
闇に紛れ、ブレンダはプリム外周を素早く移動する。音もなく、気配を殺し。獲物に近づく肉食動物、雌豹のような動きで。
記憶がないといっても、それはワシントンで命を落としてから今に至るまでの経緯だけだ。それに、過去身につけた戦闘技術…人を殺すための外道の法は、身体のほうが完璧に覚えていた。
木陰に身を隠したブレンダは、幹にもたれかかるような姿勢で身体を固定し、高倍率スコープ越しに標的の姿を捉える。
呼吸を整え、大きく息を吐き出し、スコープの十字線が標的の頭部に重なった瞬間、ゆっくりと引き金をひき絞った。
キシュ…という、合金をハンマーで叩いたような銃声とともに大口径ライフル弾が射出され、火線の尾を引いた銃弾がギャングの側頭部を綺麗に貫通する。
その成果にため息をついたり、見とれている暇はない。ブレンダは立て続けにレール上を巡回している二人のパトロールを始末し、地上のギャングたちに事態が悟られていないことを確信しながら素早くライフルを抱えて立ち上がる。
「ふっ!」
アクロバティックな跳躍で柵を乗り越え、プリムに潜入したブレンダは老朽化した骨組みを登ってレール上に到達した。
キシュッ、キシュッ、キシュッ!
レールの上から、地上を巡回しているパトロールを次々に始末していく。
殺人に躊躇はなかった。相手が悪人だから、というよりは、自分にとって邪魔な存在だったからだが、幸いなことに、そういう連中は決まって殺しても胸の痛まない悪党どもだった。
これまでブレンダは白黒で割り切れない殺しはしたことがなかった。これからもそうであればいいのだが。
残るパトロールは一人、崩れた建物の二階にいるやつだった。
こいつの居場所だけは死角が多く、鉄柵の外やレールの上からでは狙うことができなかった。
ブレンダがふたたび移動を開始するのと、そいつが仲間の死体を発見したのはほぼ同時だった。
「!!…いったい何が起きてやがる!?」
いつの間にか仲間が惨殺されていた状況を前に、ギャングは混乱した頭で事態の把握を試みる。
殺し屋か?狙撃兵か!?
このまま通りへ出たら自分も殺られるのでは?
なんとしてでも、ホテルにいる仲間へ連絡を…
壁に立てかけてあった銃を掴み、ギャングはホテルの窓に狙いをつける。銃声が響き、攻撃を受けたとわかれば、少なくとも異常事があったことは伝わるはず…
しかし彼が引き金にかけた指を完全にひくことはなかった。
キシュッ!
隣の建物の屋上へ上がっていたブレンダが、彼を狙撃したからである。
頭部を撃ち抜かれた男はどうと音を立てて倒れ、どす黒い血を床に垂れ流す。
これで外に出ていたギャングは全員始末したはずだった。ヘイズ少尉の情報が正しければ。
もっともブレンダ自身、あの地図の情報を鵜呑みにしていたわけではなかった。時間の経過で配置が変わるのはまったく有り得ることだったからだ。
だから彼女は移動するたび、暗視装置で周辺の状況を確認していた。ブレンダが身に着けていたのは生体電気を検知する特別なもので、レンズ越しの黒い視界のなかで人間を発見すると、発光する白い粒子が確認できる。それは壁越しでも同じことだ。
そうした慎重な偵察行動を通して、ブレンダはパトロールの配置が地図で確認されたものとまったく変化がなかったことを知った。すくなくともプリム周辺に展開するパトロールは全滅した。
そろそろ作戦を次の段階へ移行させなければならない。
カジノに立て篭もっているプリム市民と接触し、今後の行動が円滑に進むよう説得する。
ライフルを背負い、地上へと降りたブレンダはカジノ正面入り口の取っ手に触れる。
…市民は武装している、と言ったっけ?
扉を開けた途端に撃たれたら洒落にならないな、と思いながら、ブレンダはほんの少し考えこむ。ノックや声をかけたところで警戒されるのは変わらないだろうし、音を立ててホテルにいるギャングたちに存在を知られるのもまずい。
けっきょくブレンダは何の策もなしに、ただ普通に扉を開けた。
幸いにも、いきなり撃たれるようなことはなかった。銃口は向けられたが。
「お若いレディ、何の用かな?事と次第によっては、ただでは済まさんぞ」
「ねえジョンソン、この娘はギャングの仲間ではなさそうよ?」
褐色肌の老夫婦を前に、ブレンダは口を開くよりも先にカジノ内を観察する。
もともとプリムは大きな町ではないから、市民すべてを収容しても空間にはかなりの余裕があった。市民たちの顔色には多少の気疲れの様子が見えたものの、さほどに困窮しているわけでもなさそうだ。
目前の老人を除いて、武装している市民の大半は見るからに銃の扱いが素人だった。だが、それでも窓や入り口に向けて銃を撃つだけなら事足りる。ギャングが手を出せないはずだ。
ブレンダにリボルバーの銃口を向ける老人の正体が気にかかった。この町の有力者だろうか?
金持ちには見えなかったが、無頼にも見えなかった。歳の割に背筋をピンと伸ばし、鋭い眼光を向けてはいるが、軍人や殺し屋のような、殺人を生業としている者ともまた違う雰囲気だ。
最初の一言になんと言うべきかブレンダが迷っていたとき、ブルーのジャンプスーツを着た赤毛の少女が口を開いた。
「ねえじーちゃん、こいつ、キャリア・シックスと一緒にいた女じゃない?」
「!!」
キャリア・シックス。
少女のふてぶてしい態度と物言いはともかく、まさしく自分が追い求めていた名前が飛び出したことで、ブレンダは驚きに目を見開いた。
キャリア・シックスと一緒にいた女?そう言ったか?
この少女は、記憶を無くしている間の自分のことを知っているのか?
「そうかいエックス・テック、そういえばどこかで見たような顔だと思ったな。フム」
ブレンダの動揺をよそに、一人納得した様子で銃を下ろすと、老人…モハビ・エクスプレスのニューベガス支店長、ジョンソン・ナッシュはブレンダを真っ直ぐに見据えて言った。
「事情を説明してくれるね?お若いレディ」
< Wait For The Next Deal... >
どうも、グレアムです。ひさびさニューベガス小説本編の再開です。ほぼ一年と四ヶ月ぶり。投げ出したわけじゃないのだよー!
きたるべき盆休みで一気に話を進めるべく、前もって勘を取り戻しておくとかそういう感じで。画面写真撮影はわりとカンに頼っている部分が大きいので、一度勘が鈍ってしまうと手順を思い出すのに苦労するんですよ。
作中の描写に関して。
本来、サプレッサーを装着した火器はこんな派手にマズルフラッシュは噴かないんですが、これはまあ絵的な派手さを優先ということで。
ちなみに作中で言う「殺しても胸の痛まない悪党」という表現はあくまでブレンダの主観です。
最後のほうで登場したオリキャラの設定解説は一つか二つ後の話でやります。
2016/07/13 (Wed)10:18
どうも、グレアムです。今回は先日クリアしたFear 2のレビューを書きたいと思います。ものすごい今さらなチョイスですが。
個人的には非常に思い入れの強いタイトルです。前作はもちろんプレイ済みで、本作もタイトルがただの「Project Origin」だった頃から、現在はすでに無くなってしまった公式サイトWhatIsFear.comでTrailerを逐一確認するほどで、MAD動画も製作しました。ところがFear 2はSteam専用タイトルであり、リテール版も登録必須。そして俺がSteamの利用を始めたのはなんと2014年末である。
実を言うと、俺がFear 2をマトモにプレイしたのは今回がはじめてです。いや、Demo版はかなりやり込んだんですが。さらに言えばFear 2の発売当初に日本語リテール版を購入しているのですが、前述の通りSteam登録必須であった(そのうえパッケージのどこにもその旨が記載されていなかった)ため、当時ゲーム用PCをネットに繋いでいなかった(さらに言えばValveゲーとまったく無縁で、当時厳しい評価を受けていたSteamクライアントをまったく信用していなかった)俺は返品した経緯があるのです。
俺はFearシリーズがかなり好きです。世界観設定、独特の雰囲気、魅力的なキャラクター、ケレン味溢れる演出、悲しい物語…そういったものをひっくるめ、Fearフランチャイズは他のゲームにはない魅力がありました。
とはいえ、それはFearに対する一般的な評価とは少し異なります。
俺はあくまでFearを「雰囲気ゲー」として評価しています。続編をして「劣化した」と言わしめるホラー演出は正直言ってすごくどうでもよかったし、AIがその性能をフルに発揮できないEasy難易度で遊んでいたため、銃撃戦もただライトな撃ちまくりアクションとして楽しんでいました。
そんな俺ですから、Fear 2に対する評価はアマアマです。
廃墟と化した街をはじめとした魅惑の退廃的ロケーションの数々で発生する壮絶な銃撃戦、やり過ぎ感漂うゴア描写、ときおり様子を見にきてくれるアルマおかーさん。またカッコイイ敵のデザインや個性的な挙動・能力も見逃せません。
過剰に配置されている回復アイテム、意外と回復速度が早くガンガン使っていけるスローモーなども、ヌルゲー大歓迎な俺には有り難い点でした。
ただ率直に言えば、細かい不満は幾つかあります。
最大の不満は、一部敵のデザインや性能、アニメーションやエフェクト含む演出は非常に優れているのに、使い方があまりにも勿体無かったこと。
特に顕著なのがレプリカ・アサシンです。こいつはもっと序盤から散発的に出していくべきだった。
本作は基本的に一本道で裏取りができないレベルデザインになっているため、せめてこのアサシンを狙撃兵とセットで出してプレイヤーにプレッシャーを与える戦闘シーンを演出することもできたはず。少なくとも異なるタイプのユニットと同時に出して初めて真価が発揮される性能であるにも関わらず、実際のゲーム中では終盤で思い出したように登場し、アサシンばかり四、五人同時に襲ってくるというヤケクソな消化試合ぶりで見事にユニットとしての魅力を殺してしまっています。
これは明らかにコンシューマと同じ仕様で出そうとしたための弊害でしょう。おそらくコンシューマ機のメモリ制約下では、アサシンと他ユニットを同時に出現させることができなかったために、アサシンばかり登場するという通常考えられないシーケンスにせざるを得なかったものと思われます。
似たような問題をレムナントも抱えています。死者を蘇生させるという驚くべき能力を持つ彼は本来、激しい銃撃戦のさなか、膨大な数の死体を次々と蘇生させることでプレイヤーに大きなインパクトとプレッシャーを与えることができたユニットです。しかし実際は他に敵ユニットが存在しない中、二、三の死体が転がったクローズドなシチュエーションで一体づつ遅々と蘇生させるだけ、インパクトも脅威もない、ただの風変わりな雑魚としてしか運用されませんでした。これも、おそらくはコンシューマ機で快適な動作を保障するための措置なのでしょう。
簡潔に言えば…俺はもっと敵にカッコ良く戦ってほしかった。その強さを遺憾なく見せつけて欲しかった。「あいつヤベエ!」って言えるような立ち回りをして欲しかった。そしてそれは本来、「できたはず」なのだ。
Fear 2の開発においてMonolithは各プラットフォームにおけるギャップを最小限に留めるよう特に注意を払ってプロジェクトを進めていました。しかし一ユーザーの視点から見れば、それはまったく余計なお世話だったと言わざるを得ません。
差があってもいいじゃないか。PCメインでコンソールへの移植が事実上のダウングレードだったとしても、それでユーザーが過剰なまでに目くじらを立てるか?Farcryはどうだった?DOOM 3は?そもそも前作Fear Filesの時点で、Monolithが言うほど酷い移植だったのか?前作のExpansionはどう評価された?これらの点において、Monolithは明らかにユーザーのほうを向いていなかったと判断するしかない。
Fear 2は素晴らしい素材で作られたゲームだ。しかしながら、意図的にベストを尽くされなかった作品、生焼けの肉として完成されてしまった。そのことだけが、只々残念でならない。
残る不満は弾着デカールが大人しくなったこと、前作ではやり過ぎなほど巨大な弾痕がついたため、Fear 2でリアル寄りの表現になってしまったことは逆に不満を覚えてしまった。
あとはもう、これは他のゲームを評価するときにも度々話題に出すが、マウスのサイドボタンにキーを割り当てられないこと。
これは完全に個人的な事情になるが、俺は昔左肘を壊して神経を傷つけてしまった後遺症から、左手の動きが僅かに鈍く、動作に違和感を伴う症状を抱えている。日常生活に支障はないが、繊細なキーボード操作を要求されるFPSは存外にキツく、ある程度右手のマウスにキー配置を集中させないとプレイが非常にツラくなってしまうのである。
そんなわけでFear 2をプレイする際はセンターホイール上回転で格闘、下ホイールでリロードといった変則的な配置を余儀なくされた。とはいえ、これがけっこう快適だったのは新しい発見だったのだが。
もっとも、上記の小さな不満点を除けば概ね高評価であることに変わりはなく、俺にとってFear 2はまさしくFearシリーズの正統後継作なのである。
2016/07/11 (Mon)10:16
どうも、グレアムです。Steamサマーセールが終了しましたね。…一週間くらい前に。
今回購入したのはTropico 4、Civilization V、それぞれ全部入りの二本でした。CivVはまだ起動してない。あのシリーズはけっこう洒落にならないハマりかたをするので。
あとセール最終日に何を思ったか突発的にFear2を購入、クリアしました。こっちはいろいろ書きたいことがあるのでそのうちレビューします。惜しいゲームなんですよ、本当に。良作足り得るポテンシャルを秘めているのに、それが発揮できていない。たぶんMonolthが意地を張らずにPC向けに専念していればもっと凄い作品になってたはずです。明らかにコンソール機のメモリ制約を意識して調整してる部分が目立つので。仕様を統一する必要なんてなかったのになぁ。
あと、12.4GBっていう容量はいったい何に使ってるんだ。
Tropico 4は暫くModern Times抜いて挙動を観察してたんですが、それでもやはりロードスクリーンでのフリーズが発生するのでモチベが低下してしまいました。
MT導入環境下で日本語化していると発生する、という情報はチラホラ見かけるんですが、どれも明確なソースを提示していない(具体的な原因が書かれていない)ので確度は低いと思います。翻訳データに問題があるのか?訳文?禁則文字の使用?フォント?ふつう、このテの深刻なトラブルにはそうしたグリッチの原因となる部分を特定して対策が取られるはずなんですが。
そもそも英語フォーラムでもフリーズ関連のグリッチ報告は多数ありますし、日本語化未導入の英語環境でもフリーズは発生するという話は国内プレイヤーからも聞かれるので、そもそも「日本語化がフリーズの原因」なんて話がどこから出てきたんだっていう気もするんですけど。
続いてHotline Miami 2のユーザーキャンペーン紹介、今回遊んだのは「Extended Cut」。
Pig Butcherを主人公に、劇中劇Midnight Animalの撮影風景を補完するシナリオを描いています。3Levels、カットシーン有。
とにかくHM2の敵配置のイヤらしさを全力でフォローしており、閉所に大量の雑魚とデブを詰め込むという外道ぶりを遺憾なく発揮。Hard用の敵は登場しないが、かなり歯ごたえのある難易度となっている。
いちおう最後までクリアした?のだが、3ステージ目で敵を全滅させたあと(電話に出たあと)に車に戻ることができず中断を余儀なくされ、残念ながら最後のカットシーンは見れていない。
ついでというか、身内サークル向けの紹介漫画を描くためMinecraftの環境を再構築。
プレイしていたのがだいぶ昔だったため、Mod導入などにかなり手間取った。そもそもゲームのコア部分がModフレンドリーな設計ではなく、バージョンによって仕様が目まぐるしく変化するため情報が錯綜しやすい。Mod導入の敷居はわりと高いほうだと思う。
データ改造しようとファイル覗いて「ああ、そういえばこれJavaだったな…」ってなるまでがセット。
不勉強な俺にできることといえばテクスチャの改造くらいのものであった。
とりあえずプレイヤースキンとBasic Guns Modのエイム時に表示される画像を差し替え。
デフォルトのアイアンサイトでのエイム中の画像はかなり簡素というか味気ない感じだが、こんな感じに変えることもできる。
実際のゲーム画面はこんな感じ。腕でHUDが隠れるところが気に入っている。
改造後の画像はDoom用のWad「Operation Inhuman」から引っ張ってきたもの。服の色を変えたり、細部をちょっと調整している。
備忘録がわりに書いておくと、Basic Guns Modで銃や弾薬を加工するのに使用するSteel素材は自然に生成されず、クラフトで作るしかない。まずIron OreとCoalの組み合わせでSteel Oreを作り、FurnaceでSteel Ingotに精錬する。
それとKevlerのクラフトに必要な黒いブロックは羊毛だった…はず。たぶん。
2016/07/07 (Thu)00:29
どうも、グレアムです。
とりあえずTropico 4はModern Timesだけ抜いて様子を見つつプレイ中です。
全部入り環境でフリーズが起きやすかった状況を再現しようかとも思ったんですが、べつに俺デバッカーじゃねぇし、もうゲームにそういう種類の熱意は持てないので、そういう義務感でのプレイは破棄。
今回はHotline Miami 2のユーザー製作キャンペーンを何本か軽く紹介します。
一本目はMating Season、RichterとCoreyが恋に落ちた!?というコメディ作品。
本編終了後、なにやら異様な夢世界に来てしまったRichterが様々な出会いを通して奮闘する話です。見るからにイロモノというかキワモノなんですが、話自体がけっこう面白いのと、各キャラの台詞回しがイカしてるので、わりと長いダイアログもダレずに読み込んでしまいました。そして繰り返される天丼ネタの破壊力の高さよ。
一番最初に出会うのがPardo刑事なんですが、彼は頭がおかしくなったあと死んでるので、頭がおかしくなったままの状態で登場するという(笑)全編ギャグというわけでもなく、マイアミらしいシリアスなシーンを挟んだりもするし、けっこう作りの荒い部分もあるんですが、個人的にはかなり楽しめました。
最後はけっこうイイ感じに終わるんですが、これ何も解決してないような…
続いてはHunter、モスクワのマフィア抗争を描いた異色のキャンペーンです。
ステージは一つだけですがエリアの数が多く、難易度がかなり抑え目に作られていて遊び易いです。なにより雪景色を描いたCustom Spriteがイイ味出してます。ステージ名表示時のドライブシーンまで置き換えられているという拘りっぷり。
作中の雰囲気も良く、丁寧な仕事が光る小品です。
最後はParker vs. 50 Blessings、これはMating Seasonの作者が他の方と合作したものですね。
プレイヤーは五十の祝福が集めたマスク殺人鬼、ドーベルマン・マスクのParkerとなってロシアン・マフィアに立ち向かうことになります。しかし彼はやがて精神に変調をきたしていき…?という、実に(良くも悪くも)マイアミらしい作品となっております。
Hard専用の敵キャラがイヤらしい配置についているなど難易度はけっこう高めなんですが、ちゃんとクリアできるよう練られた配置になっており、プレイ中は拳に力が入るものの、なかなかに唸らされる出来です。
特にボス戦のギミックは上手いと思いましたね。タネさえ判ればなんてことはないので、まずは相手の行動パターンを把握し、周囲をよく観察しましょう。開始地点のすぐ近くにあるショットガンでは倒せませんが、それを使わなければクリアはできませんよ。