主にゲームと二次創作を扱う自称アングラ系ブログ。
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2014/07/25 (Fri)11:54
どうも、グレアムです。
以前Bloodのコミュニティに関する記事で、Bloodのフォロワー「Hypertension」(Dreamcast用の新作ソフトとして国内でも紹介されていた、というと記憶している人もいるかもしれない)のプロジェクトが頓挫し、「SCOURGE」という別のゲームとして開発が続けられている、と書いたのを覚えている人はいるだろうか。
先日なんとはなしにHypertensionの情報を検索していたところ(実は既に消えているHypertensionの公式サイトで公開されていたサントラの音源がどっかに転がってないかと思って探してたんだが)、なんと現在「Hypertension : Harmony of Darkness」というタイトルで開発が続行されていることを知った。
ここに至るまでのHypertension(と開発元であるTGDMod)の経緯について軽く触れておこう。
HypertensionはEDGE(Doom用の拡張エンジン。のちに3D機能をサポートしたHyper3DGEに切り替えられた)を用いて2008年から開発が進められ、WinのみならずMacOSX、Linux、そしてDreamcastでリリースされるというアナウンスが当時話題を呼んだ。ゲーム内容はBloodをベースに幾つかのRPG要素をフィーチャーしたもので、マルチプレイ要素も含まれるという話だった。
しかし2011年の時点で完成度の低さやバグフィクスなどを理由に開発が遅れはじめ、さらにBloodのスプライトや音声を商用ゲームに使用するのはGPL違反に当たるという指摘を受ける。その結果2011年9月にHypertensionの開発チームは解散(膨大な作業量によるモチベーションの低下やチーム内部でのトラブルなどがあったらしい…詳細は不明)、残った一部のスタッフがSCOURGEという新しいプロジェクトの企画を立ち上げる。
2012年から2013年にかけてTDGModの公式ブログにてプログラマやデザイナーなどの募集が行われ、また開発続行のための寄付金の募集が行われる(このときすでにパブリッシャがついていたため、Kickstarterなどのサービスは利用できないことを明言している。これについては後述)。開発エンジンをHyper3DGEからId Tech2に変更するという話もあったが、結局これは無かったことにされたようだ。
そして2014年、Goat Store(レトロゲームを専門に扱うオンラインストア、GoatのロゴはModコミュニティでもたびたび目にする機会があるので知っている人もいるだろうか)がパブリッシャについたこと、そしてタイトルをふたたびHypertension : Harmony of Darknessと改名したことを発表。ゲームのコンセプトを元のHypertensionに引き戻し、現在精力的に開発が続けられている。
Hypertension : HDの開発スタッフについてだが、じつは元のHypertensionのスタッフは一人しか残っておらず、あとは全員がSCOURGEの時点で参加した新しいメンバーである。
Hypertentionに最初から最後まで関わっていたのは、かつてHyper3DGEの改良やゲームロジック、AIなどのプログラムを担当していたCorbin Annisである(公式ブログの更新をずっと続けていたのもCorbinだ)。現在に至るまでのプロジェクトの迷走とそれに対する心象については公式ブログにて知ることができ、大変な苦労があったことを窺わせる。
さて最新Trailerを見た限り、著作権絡みのトラブルを回避するため武器等の3Dモデルはほとんど新規に制作されたものが用いられていることがわかる。音声や一部スプライトなど未だにBloodの素材をそのまま流用している部分もあるが、これも最終的にはすべて新しいものに置き換わる予定だという。
ここまでやるなら、もうデザイン部分でBloodの模倣をする必要もないのでは…と思わなくもないが(トラブル回避のためにも)、Bloodをすべての下敷きにしているという部分は開発スタッフにとって譲れないものであるらしく、このあたりは第三者が判断するのは難しいところだ。
Trailerの最後でOnly on Dreamcastと言っているが、公式ブログにはDreamcastと並んでPC CD-ROMのロゴもあり、最終的にどの媒体でリリースされるかは不明である。
現在Hypertension : HDに関する情報はTDGModの公式ブログのほか、Indie DBの専用ページでも確認できる。
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2014/07/23 (Wed)03:37
思えば遠くへ来たもんだ。
どうも、グレアムです。最近またDOOMのwad漁りをしています。
ついでに今後wadの製作(やるかどうかはわからないが)の参考にすべく中身を覗いたりしてるんですが、wadによってファイルの構成が全然違ったりするのは何なんだぜ。オリジナルのDoom.wadからしてなんかよくわからんし、これは付け焼刃じゃなくちゃんと情報調べてかかったほうが良さそうだなぁ。
wadによっては音楽ファイルに古式ゆかしいmus形式(Doomエンジン専用の音楽フォーマットらしい、似たようなのでMuseってのもあるがあれとは関係ないようだ)が使われていたりして、なんとかmidiにコンバートできんもんかと思ったものの、そのテのツールはほとんど64bitOSはサポート範囲外。
そりゃあDoomが何年前のゲームか考えれば、関連ツールが現在じゃまるで役に立たないだろうってのは予測の範囲内なんですが、しかしDoom自体は未だに新作wadの製作が続けられるほどホットなコンテンツ。フォーラムにそのへんの情報は転がってるだろうと思ったら、やっぱりありました。以下要約。
「musをmidiにコンバートしたいのに64bitOSで使えるソフトがないんですけお」
「Sladeでできるよ」
Sladeでできました。
ファイルを右クリックしてmusからmidiに変換、あとはそいつをエクスポートすれば標準的なサウンド再生ソフトでいつでも聞けるというわけでござる。似たような手順で、画像ファイルもpngに変換できるようですね。
せっかくなので、最近プレイしたwadをちょっとだけ紹介します。
*ZPinochestein
ラテンのノリがあまりにもアツイTC系wad、2003年に製作されたPinochestein 3DをZDoom用にリメイクしたもの。製作元のTrippas Productionsはチリの映像製作チーム。
タイトルや敵のスプライトなどから、Doomの前身であるWolfenstein 3Dにインスパイアを受けて作られたものだろうということがわかる。舞台は近未来のチリ(!)で、政府の秘匿プロジェクトPinochensteinの全貌を暴くべく特殊工作員John Keroceneが活躍するストーリー。MAPはシークレット2つを含む全32種、Doom2と同数である。エンディング部分(登場キャラ総出演)もきちんと差し替えられているあたり、実に芸が細かい。
本作にクリーチャーの類は一切登場しないが、序盤を過ぎたあたりで巨大サイボーグのみならず武装ヘリや戦車が当たり前のように出てくるため難易度がけっこう高い。即着弾の弾丸や弾速の早いロケットや砲弾がザクザク飛び交う光景は圧巻。もっとも同士討ちがかなり発生しやすく(おそらく意図的な配置だろう)、また敵を無視して進めばあっさりクリアできるMAPも多いため、状況に合わせて上手く立ち回っていきたい。
イロモノなのは間違いないが、個人的にはかなり気に入っているwad。
*PsychoPhobia
かなり完成度の高いTC系wad。武器を一新し、大量のクリーチャーを追加。オリジナルのMAPも揃っており、Doom1のようにEpisode形式で選べるのが嬉しいところ。また他のMAP系wadと併用する場合は、同梱のPsychoPhobiaCM.wadを使用することでPsychoPhobia仕様にすることができる(ただし一部武器のリロードがなぜか遅いので、気になる人は自分でファイルを書き替えよう)。
グラフィック系のwadが多数同梱されており、自分好みにカスタマイズできるのも良い点だ(ただし、組み合わせがわるいと落ちる)。グレさんはアイテムと薬莢のみ3D化している。もっとも武器HUDやプレイヤーキャラなど一部はデフォルトで3Dなので、本作はGZDoomかSkullTag専用だと思われる。
またゲーム開始時に四人のキャラクターから主人公を選ぶことができ、それぞれ性能が微妙に異なる。もっとも大きな違いはないので、基本的には外観の好みで選んでしまっても構わないだろう。
以下に登場プレイヤーキャラクターの簡単な紹介を載せておく。
<Vigilante>
PsychoPhobiaの主人公的存在?古いバージョンではBLOODのCultistが「Psycho」の名で登場していたが、現在はタンクトップを着たスキンヘッドのワルな男がその座についている。
平均的な性能を有しており、Healthの自動回復スピードが一番早い(回復するのは20まで)。アーマー150と火炎瓶(燃料10)、そしてTNT1発の初期ボーナスがつく。
<Caleb>
BLOODより登場した我らがダークヒーロー、笑わないし歌わないのは仕様なので仕方がない。
最大の特徴はHealthが50まで自動回復することであり、火炎瓶(燃料30)の初期ボーナスがつく。
<Doom>
Doomのwadに俺が出なくてどうする、とばかりに参戦の我らがDoomGuy。
Healthが125あるが、自動回復のスピードはやや遅い(回復するのは20まで)。初期ボーナスにアーマー150とPistol(+1mag分の弾薬)がつく。
<Train>
スキンヘッドに全身タトゥーを施した巨漢、いかにもすぎるビジュアルである。
特徴はHealthが150あることだが、自動回復のスピードは一番遅く(回復するのは20まで)、さらに足も遅い。初期ボーナスはBerserk状態で始まるという、おそろしいまでの微妙さ加減である。
<Voodoo>
唯一の女性キャラクター…すごい形相してるけど、洋ゲーに出てくる女はみんなこんな感じだから気にするな。
五人の中で一番足が早く、Healthが35まで自動回復する。初期ボーナスはPistol(+1mag分の弾薬)。
武器はスタンダードな銃火器から魔法(Episode1では登場しないが、Episode2では序盤から使用することができる)まで一通り揃っており、個人的に好きなものは二連水平のソウドオフとWinchester M1887。M1887はAlt Fire(&全弾使用後のリロード)で片手で銃を回転させながらのコッキングを披露してくれる。もっともショットガンはRemington M870が装弾数・連射性・集弾率・リロード速度すべてにおいて他を上回っているため、上記二種はまったくのロマン武器と化してしまっているのだが…
それと気になったのは、こいつを導入していると一部MAPで異様にパフォーマンスが落ちることだ。メモリ不足か?おいおい8GB積んでるんだぜ勘弁してくれよ…グラフィックの設定を落としても変化がなかったから、おそらくはNPCのAI関連だと思うのだが。高解像度テクスチャや敵NPCの3D化といったオプションは導入していないので、なんかがおかしいと思うんだが、何がおかしいんだかなぁ。
2014/07/21 (Mon)09:13
SCP-087-Bをプレイついで、ひさしぶりにSCP-Containment Breachの最新バージョンを更新しようと思ったら、どうも今月末に最新のv1.0が公開されるようですね。これは期待大。
個人的に気になるのは、新要素よりも安定性とレスポンスの改善ですかぬー。
2014/07/19 (Sat)16:05
いたちごっこ、という言葉がある。
スーパーヒーローの登場によって犯罪の指向がより過激化してしまったら?
これはなにも、スクリーンの中の絵空事の話ではない。日本でも暴対法が制定されてからこっち、ヤクザや暴力団の犯罪はより巧妙になり、あるいは締めつけの強化による困窮で自棄的な凶悪犯罪が増加した。している。現在進行形である。
ゴッサムシティでは「それでも俺は活動をやめられない!」とバットマンが日夜頑張っているわけであるが、さて現実世界に生きる我々はどう犯罪に立ち向かうべきだろうか?という、一考の価値ある疑問をこの映画は投げかけてくれる。所謂、社会派ドラマなんである。
そういう大人なドラマであるから、アメコミ映画でありながらアメコミ的な不自然さが足を引っ張ってしまっているという本末転倒さは、これまたアメコミの宿命みたいなものなので仕方がないと割り切るしかない。もっともヒーローの存在の是非を問う内容であるから、ある意味ではアメコミでしかできない話なのだが。
ユーモア欠乏症患者と化したジョーカーのキャラクター造型には原作ファンに賛否あると思う、綺麗に纏まってはいるが、綺麗に纏まりすぎているのだ。とはいえ、あまり狂気とコミカル成分が増えても収集がつかなくなるので、妥当な落としどころではある。
ジョーカーの影に隠れていまいち存在感のないトゥーフェイスは俺のお気に入りヴィランだ。出番が今作限りなのは残念である。
さていままでに「ヒーロー」という単語を何回か使ったが、じつのところ、バットマンにはヒーローという呼称はあまり相応しくないと思っている。
バットマンの行動原理は性悪説であり、彼の目的は犯罪者との戦いだ。そして彼が犯罪抑止のために用いるのは、力と恐怖である。彼はヴィジランテであり、クライム・ファイターである。が、そこには「人を助ける」という根源的な欲求がどこか抜け落ちているため、ヒーローと呼ぶにはいささか不適格と考える次第である(といっても、これはエピソードによるけど)。
そしてバットマンと対極の位置にいるヒーローというのが、何を隠そうDC二大看板のもう一方を担う鋼鉄の男、スーパーマンなのだな。
スーパーマンについての考察は今後に譲るとして、ではバットマンをヒーロー不適格と呼ぶのであれば、何と呼ぶべきか?
その疑問の答えがこの映画に集約されている。鋼鉄の男(マン・オブ・スティール)と対極を成す男、その名は暗黒の騎士(ダーク・ナイト)。
2014/07/17 (Thu)08:56
あなたは深遠に何を見るのか。
(以下、ネタバレが多分に含まれるので注意)
本作は施設型超常現象「SCP-087-B」の調査のために召集されたクラスD要員の経験を追体験するゲームである。…というようなストーリーラインが明示されているわけではないが、そういうロールプレイを前提にしたほうが盛り上がると個人的に考えている。
今回のプレイに用いたのはIndie DBにて公開されている、今年の二月にアップデートされたV2.1というバージョンである。どうもこれは別作者による改造版らしい、というのは後で知った。オリジナルとの違いは環境音やテクスチャ、ランダムサウンド関連で基本的なゲームプレイに変化はないらしい。
オリジナルの作者はJoonas Rikkonen(Regalis)氏で、彼は「SCP-Containment Breach」でも主要開発メンバーとして関わっている。開発エンジンもSCP-Containment Breachと同じBlitzMAX。
SCP-087-B_V2.1.exeを起動させると、メニュー画面やコンフィグの設定などをすっ飛ばしていきなりゲームプレイがはじまる。操作は標準的なWASDで、移動以外のアクションは一切必要とされない。無線機から聞こえる指示に従い、階下へと向かおう。
どうやら階層は幾つかのパターンの中からランダムで生成されるようで、プレイ毎にSCP-087-Bはその構造を変化させる。これは都市伝説のゲーム化としては有効な手段だろう、「俺が見たときはこうだった」「えっ、私が見たときは違ったけど…」体験者それぞれに異なる姿を見せる、まさに怪奇・怪異だ。
現在の階層を表示する数字はテクスチャではなくフォントファイルを使用するようで、おそらくはプレイヤーが致命的な出来事に直面しなければ無限に階層の生成が可能と思われる。
「奈落に嵌まる」か「SCP-087-1と遭遇する」いずれかの条件を満たすとゲームは終了し、何の事前メッセージもなくデスクトップ画面に戻る(デスクトップ復帰後に何かが起きる、といった仕掛けはないので安心してほしい)。
おそらくSCP-087-1が出現するタイミングはランダムで、「どれだけ深い階層に潜れるか」を友人知人と競うのも面白いかもしれない。たぶん、あまり面白くはないだろうが。
ゲーム中にコンフィグの設定はできないが、options.iniを開けば解像度や色数、フルスクリーンモードの可否、明度が調整できる。またプレイヤーの歩行速度も設定することが可能で、二週目以降のプレイでは歩行速度を若干上げるのも手だろう。
本作は元となったSCP-087の設定と比較すると、幾つかの差異が見受けられる。
SCP-087の調査記録で観測される声は「子供(少女?)の泣き声」のみだが、ゲームでは先行したDクラス要員と思われる男性の悲鳴などが響き、また壁や床には多量の血痕(本来存在しないはず)を確認できる。
もっとも違いが顕著なのがSCP-087-1の性質で、オリジナルの調査記録ではクラスD要員と接触しても直接干渉しようとはしなかった(接触したクラスD要員はいずれも精神的ショックを受けるが、これがSCP-087-1の能力によるものなのか、あくまで人間の条件反射的な反応の結果なのかは不明である)。
しかし本作に登場するSCP-087-1は明らかな害意をもってプレイヤーに近づき、そして接触した者を絶命させている。
これらが意味するところは、おそらくSCP-087-Bは、SCP-087と同様の性質を持った別の構造体なのではないか、と推察。似たような事例は他のSCPでも確認することができる。
SCP-087-BはSCP-087よりも悪意に満ちており、危険な代物だと思われる。もっとも隔壁で封殺している限りその悪意が外に漏れ出すことはなく、従ってEuclidからKeterに格上げされることはないだろう。
…「ゲームだから元ネタと設定が多少異なる」という、元も子もないことを言ってしまえばそれまでだが。