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2014/07/17 (Thu)08:56
あなたは深遠に何を見るのか。
(以下、ネタバレが多分に含まれるので注意)
本作は施設型超常現象「SCP-087-B」の調査のために召集されたクラスD要員の経験を追体験するゲームである。…というようなストーリーラインが明示されているわけではないが、そういうロールプレイを前提にしたほうが盛り上がると個人的に考えている。
今回のプレイに用いたのはIndie DBにて公開されている、今年の二月にアップデートされたV2.1というバージョンである。どうもこれは別作者による改造版らしい、というのは後で知った。オリジナルとの違いは環境音やテクスチャ、ランダムサウンド関連で基本的なゲームプレイに変化はないらしい。
オリジナルの作者はJoonas Rikkonen(Regalis)氏で、彼は「SCP-Containment Breach」でも主要開発メンバーとして関わっている。開発エンジンもSCP-Containment Breachと同じBlitzMAX。
SCP-087-B_V2.1.exeを起動させると、メニュー画面やコンフィグの設定などをすっ飛ばしていきなりゲームプレイがはじまる。操作は標準的なWASDで、移動以外のアクションは一切必要とされない。無線機から聞こえる指示に従い、階下へと向かおう。
どうやら階層は幾つかのパターンの中からランダムで生成されるようで、プレイ毎にSCP-087-Bはその構造を変化させる。これは都市伝説のゲーム化としては有効な手段だろう、「俺が見たときはこうだった」「えっ、私が見たときは違ったけど…」体験者それぞれに異なる姿を見せる、まさに怪奇・怪異だ。
現在の階層を表示する数字はテクスチャではなくフォントファイルを使用するようで、おそらくはプレイヤーが致命的な出来事に直面しなければ無限に階層の生成が可能と思われる。
「奈落に嵌まる」か「SCP-087-1と遭遇する」いずれかの条件を満たすとゲームは終了し、何の事前メッセージもなくデスクトップ画面に戻る(デスクトップ復帰後に何かが起きる、といった仕掛けはないので安心してほしい)。
おそらくSCP-087-1が出現するタイミングはランダムで、「どれだけ深い階層に潜れるか」を友人知人と競うのも面白いかもしれない。たぶん、あまり面白くはないだろうが。
ゲーム中にコンフィグの設定はできないが、options.iniを開けば解像度や色数、フルスクリーンモードの可否、明度が調整できる。またプレイヤーの歩行速度も設定することが可能で、二週目以降のプレイでは歩行速度を若干上げるのも手だろう。
本作は元となったSCP-087の設定と比較すると、幾つかの差異が見受けられる。
SCP-087の調査記録で観測される声は「子供(少女?)の泣き声」のみだが、ゲームでは先行したDクラス要員と思われる男性の悲鳴などが響き、また壁や床には多量の血痕(本来存在しないはず)を確認できる。
もっとも違いが顕著なのがSCP-087-1の性質で、オリジナルの調査記録ではクラスD要員と接触しても直接干渉しようとはしなかった(接触したクラスD要員はいずれも精神的ショックを受けるが、これがSCP-087-1の能力によるものなのか、あくまで人間の条件反射的な反応の結果なのかは不明である)。
しかし本作に登場するSCP-087-1は明らかな害意をもってプレイヤーに近づき、そして接触した者を絶命させている。
これらが意味するところは、おそらくSCP-087-Bは、SCP-087と同様の性質を持った別の構造体なのではないか、と推察。似たような事例は他のSCPでも確認することができる。
SCP-087-BはSCP-087よりも悪意に満ちており、危険な代物だと思われる。もっとも隔壁で封殺している限りその悪意が外に漏れ出すことはなく、従ってEuclidからKeterに格上げされることはないだろう。
…「ゲームだから元ネタと設定が多少異なる」という、元も子もないことを言ってしまえばそれまでだが。
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