忍者ブログ
主にゲームと二次創作を扱う自称アングラ系ブログ。 生温い目で見て頂けると幸いです、ホームページもあるよ。 http://reverend.sessya.net/
2024/10/05 (Sat)22:11
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

2016/10/31 (Mon)05:14





 俺の名はアーケイド、アルゴニアンの商人だ。
 商売のため盗賊ギルドや魔術専門の大学を渡り歩いているうち、どういうわけか異界の神々と関わることになってしまった。しかも連中、どうやら俺の素性を知ってつけ狙っているらしい。デイドラ公…一筋縄じゃいかない顔ぶれだ。
 ともかく他にもやることは大事小事含めて山のようにあるし、当分は腰の落ち着く暇もなさそうだ。それじゃあ、今回もいきますか。










 たまたま通りがかった灯台に挨拶していこう、なんて思ったのが運の尽きで。
 いつものように相棒の女戦士ボルガクを表の見張りに立たせ、ウィンターホールドの南西に位置するフロストフロウ灯台に入ると、いきなり一面に漂う死臭が俺の鼻を突いた。
「これは…ファルメルの得物だな」
 裸の女の腹部に刺さった斧を拾い上げ、俺はこの状況を読み解こうとする。ていうか、この光景を見られたら絶対に俺が犯人だと思われるよな。
 周囲を見回し、シャウラス…俺はいままでずっと、シャ「ラ」ウスだと思っていた…の亡骸が転がっていることに気づく。極めて獰猛、かつ強靭な生命力を有するこのおぞましき巨大昆虫が自然死したとは思えず、おそらくは被害者が命を落とす前に一矢報いたものと思われる。
「ファルメルの姿が見えないな」
 いま俺が手にしている、シャウラスの頑強な甲殻部から製造された凶器の持ち主がいないのが気になる。
 たいてい、シャウラスはファルメルと生活圏を共有している。凶器の現物があることからも、いま姿が見えないファルメルが何処かに潜んでいるのは確かだった。
 俺はさらに周辺を捜索し、おそらくは被害者の縁者の手によるものと思われる手記を発見する。
 どうやらこの灯台は、以前より地下から異音がしていたらしい。俺にも聞こえる…カサカサと虫が這いずり回るような音。硬質のキチンが擦れ合う音。耳慣れた音。間違いなくシャウラスの気配がする。
 また手記によると、この灯台で暮らしていた一家はあまり円満な状態ではなかったようだ。が、そんなことはどうでもよろしい。
 さっき見かけた、レッドガードの女の死体…おそらくは奥方だろう…はまだ腐乱がはじまっていなかった。死んだのはそう昔のことではない。まだ生き残りがいるかもしれない。
 こんな状況は放っておけないし、ど畜生のメクラどもに捕まっているのが子供であれば尚のことだ。それに生き残りの救出に成功すれば、英雄的行動が評価されてウッハウハになれるかもしれない。
 しょうもない下心を胸に抱きながら、俺は魑魅魍魎が跋扈する灯台の地下へと向かった。






 灯台の地下室は洞窟と繋がっており、案の定、そこはファルメルやシャウラスの生活圏となっていた。ドゥーマー遺跡でよく見るような光景を前に、俺はやつらを出会った先から屠っていく。
 けっきょく…生き残りは一人もいなかった。みな殺されたか、自害したか。この地下暮らしの連中に捕まったら、決して楽には死ねない。歯向かうには強すぎる。俺だってたまに殺されそうになるくらいだ。レベル90超のドラゴンボーンのこの俺が。
 洞窟最深部に潜んでいたシャウラスの親玉、巨大なシャウラス・リーパーを退治すると、その腹部から消化されかけの家長の首が転がり落ちてきた。
 反射的に拾ってしまったが、いったいこんなものをどうすれば良いというのか。杯でも作るか、首塚でも作って埋めるべきか。
「いらねぇや、これ。捨てよう…捨てれない…クエストアイテムかよ、これ!」
 しかしシャウラス・リーパーを退治した時点で、この殺人事件は解決扱いになっている。この半端に消化された生首、どうしろというのか。
 皆目検討がつかぬまま、俺はそれを皮袋に包んでザックに放り込んだ。ボルガクさんには内緒にしておこう。ところでオークって、こういうオブジェについてはどういう意見を持っているんだろう。
 とりあえずセプティマス・シグナス、いやハルメアス・モラから命じられたエルフ族の血液集めは一歩前進した。ファルメルの血液採取に成功、先はまだ長い。







 次に立ち寄ったのはホブのフォール洞窟、ここはもとより故あっての来訪である。
 ソリチュードで吟遊詩人の勉強をしていたとき、仲間の一人に楽器の回収を頼まれていたのだ。なぜこんな洞窟の只中、それも死霊術師どもの巣窟に置き去りにされたのかは知らないが…






「醒走奇梓薙陀霜幻(せいらんくしなだそうげん)一刀流奥義、不知雪(しらゆき)!チェェアリャアァァァーーーッッ!!」
 号砲一閃、愛刀「泉州時次郎拵」を抜いた俺はありったけの魔力を刃に乗せ、連続で斬り払う。
 死霊術師たちは自らが使役する亡者ともども袈裟斬りにされ、おびただしい量の鮮血を吹き出しながら倒れた。が…
「い痛えぇーーーっ!肩が、肩が外れたぁっ!」
 思わずカタナを地面に突き刺し、俺は苦悶の叫びをあげる。
 もとより…俺はきちんと剣の稽古をつけてもらったことがない。その知識はもっぱら本から得たもので、いわば素人の付け焼刃。たったいま披露した必殺技にしたところで、不恰好ながらどうにかそれらしいものを再現できたに過ぎない。
 醒走奇梓薙陀流なる、かつてブラックマーシュの地方豪族に伝わっていたらしい剣術の本を手に入れたのは偶然のことである。幾つかの動きを真似ることはできるが、そもそも基本形である呼吸法などを会得していない俺には、本来であれば流派の名を口に出すことすらおこがましい話であった。
「やっぱり…これはいかんよなあ。ちゃんと修練せんと」
 自ら命を託すカタナを鍛えたとあって、このところ俺は剣に頼る場面が多い。
 カタナそのものは自分でも惚れ惚れするほどの出来栄えだが、扱う人間がこれでは…自分でも情けない思いだ。いっそ、ボルガクさんに鍛えてもらうか。






 洞窟の深部では、なにやら死霊術師の幹部と思われる連中が怪しい儀式を執り行っている。
 さっきまで生きていた…俺に助けを求めていた…女の亡骸を前に、熱心に言葉を交わす死霊術師たちの背後に忍び寄ると、俺はカタナを一閃させた。
「そんなに新鮮な死体が欲しいなら、くれてやるぜ!」
「なにっ!?」
 ズバッ、三人いた死霊術師のうち二人を瞬く間に斬り伏せ、俺はこの連中のボスと思われる男と相対する。
 しかしこいつは戦闘に長けていたようで、強力な破壊呪文を繰り出すだけではなく、絶えず一定の距離を取り続けカタナの間合いに入ろうとしない。
 じりじりと追い詰められたが、俺は相手が僅かに油断したところを見逃さず、相手が間合いの範囲外だと思い込んでいた距離まで刃先を飛ばす。柄の先端を掴み、遠心力を利用して振り回した刃が死霊術師の頭を半分削り取った。






 切り口から血と脳漿を噴き出し、死霊術師の親玉がどうと音を立てて床にくずおれる。
「どうせ生き返すんなら、仲間同士で勝手に殺しあって、好きなように生き返しあってろ。関係ない人間を巻き込むんじゃねえ」
 すでに聞く耳を持たないであろう亡骸に吐き捨てるように言い、俺は連中が貯め込んでいたらしいお宝が詰まった宝箱を開けた。あまりたいしたものはなかったが、その中に吟遊詩人仲間であるパンテアのフルートがあることを確認し、俺は安堵のため息をついた。







 次に向かうは「見捨てられた墓地」、なんの用事があったかは忘れたが、近場にあったのと、クエストマーカーが刺さっていたので足を運んだ次第。たぶん、そのうち思い出すだろう。






 内部は生ける屍、古代ノルド人のアンデッドたるドラウグルの巣窟と化していた。
 黒檀の斧を振りかぶるドラウグル・デス・ロードの一撃を左手の鞘で受け止め、俺は右手で構えたカタナを相手の胴に深々と突き刺す。
「斬るだけが剣術じゃないんだぜ!」
 致命打を受け動きが停止したドラウグル・デス・ロードの素っ首を斬り落とし、俺は刃にまとわりついた血を振り払った。






 最深部にて俺を待ち受けていたのは、クラルミルという名のドラゴン・プリースト。
 深い眠りについていたドラウグルたちを次々と蘇らせ、自らは柱の影や暗闇から魔法を連発するというチキン戦法を取ってくる。死人のくせにみみっちぃやつだ。
 もっともその魔法の威力はさほどではなく、伝説のドラゴンのブレスや、ちょっと前に戦った死霊術師に比べれば何ほどのものでもない。実力が見た目に負けている。






「成仏しやがれぃ!」
 すでに再生できないほど塵化したドラウグルたちを踏み越え、俺は一気呵成にクラルミルへ斬りかかる!
 渾身の突きを受けたクラルミルは断末魔をあげ、灰化して果てた。
 その亡骸をチェックし、俺は失望したようにため息をつく。
「仮面なし、か。こいつはハズレのほうだな」
 強力な、高位のドラゴン・プリーストはそれぞれ強力なエンチャントが付与された専用の仮面を持っている。こいつは低位の者だったのだろう、あるいは姿形が似ているだけのまがいものか。
 ドラゴン・プリーストあるところに言葉の壁あり。俺は新たなスゥームを習得し、さらに墓地の最奥から割れた白き小瓶を回収。
「ああ、そうか。これはウィンドヘルムの…錬金術師の依頼だったな」
 詳細は忘れてしまったが…ウィンドヘルムはここから近いし、ストームクローク入隊にあたって与えられた試練…氷の精霊の討伐…を済ませた報告もしなければならない。
「そろそろ正式に決意表明せにゃならんな」
 いまのところ、帝国とストームクロークの内戦に進展した様子は見られない。俺がグズグズしているせいかもしれないが…まあ、そろそろ一手先に進めてもいいだろう。







 見捨てられた墓地を脱出し、ウィンドヘルムへ向かった俺たちはさっそく錬金術の店「ホワイトファイアル」へ向かった。
 俺はかつて、ここの店主ヌレリオンから「白き小瓶」の回収を頼まれていたのだ。なんでも特別なマジックアイテムで、この瓶に入れた液体は、中身を枯らさぬ限り補充され続けるという。






「俺は白き小瓶を求めて、サマーセット島からはるばる海を渡ってこの辺境の地へ辿り着いた。あらゆる書物を調べ、こうして小瓶に由来する名の店を持つことで、情報を知る冒険者を集めて話を聞いた。さあ、見せてくれ!」
「いいとも。割れてるけど」
「…なんだと?」
 俺が差し出した小瓶…ひび割れ、すでに容器としての用を成さぬ代物と果てたものを見つめ、ヌレリオンは悲鳴をあげた。
「なんということだ!どうして壊したりしたんだ!?」
「俺が壊したんじゃねえよ!最初から割れてたんだって!」
「へまをやらかした連中はみんなそう言うんだ!」
 しばらく二人でやったの、やってないのと騒いだところで、ようやく落ち着きを取り戻したヌレリオンが吐き捨てるようにつぶやく。
「フン、伝説のアイテムがそうそう壊れたりはせん。特に、貴様ごときが壊せるものではないだろう」
「納得してくれて有り難いんだけど、なあんか癪に触る言い方するね」
「もういい、ご苦労だった。これは報酬だ」
 そう言って、ヌレリオンはフラフラとベッドへ向かった。かなりショックだったのだろう。
 だが俺とて衝撃を受けずにはいられなかった。ヌレリオンが覆い被せた手を離し、俺の手元に乗せられていたのは、たったの5ゴールドだったのだから。
「ちょっと待て」






「なんだ爬虫類、まだそこにいたのk…おおっ!?」
「カタギでもやって良いことと悪いことがあんだろうが、てめえ!たたっ斬るぞコノヤロー!」
 スラリ、カタナを抜き放つ音を聞いて背後を振り返ったヌレリオンが驚きに目を見開く。
 もとより俺が依頼されたのは小瓶の回収で、モノの状態そのものは勘定に入っていない。亡者どもが跋扈する危険な洞窟を駆けずり回り、俺自身には何の落ち度もなかったのにこの報酬額はあんまりだ。
 危うく俺が手討ちにしかけたところを、弟子のクインタスが慌てて止めに入った。
「ま、ま、待ってください!落ち着いてください!こっちで話し合いましょう」
 傷心のうえ殺されかかって腰砕けになったヌレリオンを放置し、俺はクインタスに連れられるまま一階のカウンターまでついていく。
 勘定の入った箱から金貨の詰まった皮袋を取り出し、クインタスは申し訳なさそうに頭を下げた。
「あなたの仕事は、きちんとした報酬を受け取るに値するものです。これは俺の個人的な判断ですが、受け取ってください。先生はいま冷静にものを考えれる状態ではないのです」
「ヒトに面倒を頼んで金貨5枚とはな。ヤクザより性質(タチ)が悪いぞあのジーサン」
「本当に、申し訳ない」
「いいよ。昔ながらの職人気質ってな、あんなもんだ。あんたも苦労するよな」
 皮袋の中におおよそ500枚ほどの金貨が詰まっているのを確認すると、俺は機嫌を直し、ついでに普通の買い物も済ませる。
 精霊の塩鉱石や吸血鬼の遺灰といった錬金素材はあまり手に入るものではない。貴重なので、店で見かけたら買うことにしている。それから、ホーカーのシチューを作るのに必要なラベンダーやニンニクも購入。
 店を出た頃には、報酬に受け取った金貨500と5枚はすっかり使い果たしてしまっていた。これも義理というやつか。金は天下の回りモノ、貯めるだけでは芸がない。
「さて、王宮へ向かいますか」
 すっかり重くなったバックパックを揺すり、俺たちはウィンドヘルムの王宮へ向かった。







 反乱軍の行動を統括する石拳のガルマルが待つ作戦室へ近づくと、なにやら彼と首長ウルフリックの話し声が聞こえてきた。
『…おそらく彼らはムートを要求するでしょうな』
『トリグの女を玉座に座らせるだと?ガキどもめ正気か…そんなことを見過ごせば、あの女はスカイリムを銀の皿に乗せてエルフどもに献上するだろうよ』
『やはり尖った王冠が必要です。首長制やムートよりも古い、由緒正しい権威が』
 彼らの話し振りからすると、いまのスカイリムの状況はストームクロークにとって有利に働いていないらしい。
「なあ相棒、ムートとはなんだ?」
「さぁてねえ。KKUMM(キャッキャウフフムートムート)?」
「それは絶対に違うと思う」
 そんな会話をしつつ、俺とボルガクは部屋に入った。






「おお、戻ったかアルゴニアン。首尾はどうだった?」
「きっちりとシメてやりましたとも。てっきりウィスプ・マザーでも連れてると思ってたんですが、いやはや拍子抜けですな」
「ほほう、言うではないか。ウルフリックよ、おまえの見立ても満更ではないようだぞ?賭けは儂の負けのようだ」
「まさか俺の命をネタに張ってたんじゃないよな?」
 実際はそれほど気にしたわけじゃなかったが、俺は不機嫌そうな表情を作ってガルマルを咎める。
 ノルドにとって、アルゴニアンの命など何ほどのものでもないってことか…暗にそう批難する俺の意図を知ってか知らずか、ガルマルは豪快な笑い声をあげた。
「ガッハッハッ、そう気を悪くするな。なにも殺すつもりで無茶を押しつけたつもりはない、儂らが賭けたのは、そう…困難を前にしたおぬしが、逃げずに立ち向かえるかどうか、だ。この儀式はストームクロークのために、命を張れるかどうかを判断するためのものだ。決しておぬしの死を期待したわけではない」
「なら、いいがね…それで、試験は合格かい?」
「ああ。あとは誓いを立てさえすれば、おぬしは立派なストームクロークの一員だ」
 誓い、か…一度ストームクロークへの忠節を宣誓すれば、もう後戻りはできない。俺は帝国軍に弓を引くことになるわけだ。

 血と魂をウルフリック・ストームクロークに奉げる
 ウィンドヘルムの首長とスカイリムの真の上級王に
 タロスを我が証人とし、たとえ肉体が滅びようとも
 同胞と共に、主君に忠誠を奉げる事を誓う
 真のスカイリムの民、ストームクロークを称えよ!

 誓いの言葉を唱え、俺はウルフリックの前に膝をつく。
 いままでは自由に身動きを取るため、どっちつかずの態度でいたが、これからはそれも許されなくなるわけだ。ま、そうならそうで、それなりの行動を取るまでだ。
 これから、どう世の中が動いていくか…





【 →To Be Continue? 】








 どうも、グレアムです。ようやくストームクローク入りしました。内戦クエは面倒ばっかりで得が何一つないと方々で聞いているので、いままで躊躇してたんですが、あんまりおあずけを続けてもしょうがないので、とりあえず少し進行させました。
 基本的に俺はSkyrimに関してはほぼ何も事前に情報を仕入れてないので、話の顛末とか細部に関してはまったく知識がありません。Falloutは3もNVもコンシューマでしゃぶり尽くすようにプレイしたあとでPCでも遊ぶという念の入れようなんですが、どうもTESシリーズはそこまでやれる気にならなくて…やっぱり俺は火薬の匂いが好きなんだろうね。
 今回から刀剣を使っての戦闘にすこし工夫を入れてます。まずは鞘を使っての二刀流、これは実際に鞘を武器として製作・MODで導入しています。ついでに、ベースとなったWeapons of the Third Eraの刀類はそのまま使うと装備時に握る手が鍔にめり込んでしまうので、位置を少し修正。まだ出してないネタも残っているので、今後に乞うご期待です。
 本当はダガーの装備位置もなんとかしたいんですが、Skeletonの座標をいじっても、いまいち上手い具合に反映されないんだよねぇ。あまり極端に数値を変えても、控えめな部分までしか反映されないんですよ。本当は腰の外側に持っていきたいのに、数値を変えても実際にゲーム画面で確認すると太腿にめり込んだまま、それ以上離すことができないんですよね。どうしたもんだろ。
 Oblivionのほうのアルゴニアンが一刀使いだったもんで、こっちはダガー扱いに改造した脇差を上手いこと活躍させたいんですが、さすがに鞘が身体を貫通してると画面写真での見栄えが悪くてかなわない。
 そろそろ防具もなにか、専用のものを用意したいなぁ。さすがに、吸血鬼用のローブのままではねぇ。






 あと、TESVEditのUTF-8対応exeを使うと日本語espを作るのがラクでいいですね。
 アーケイドの得物である、泉州時次郎拵はデフォルトのフォントだと州と拵の字が対応してませんでしたが。拵は非対応だろうと思ってたけど、州は意外だったなぁ。













PR
2016/10/29 (Sat)00:34





 俺の名はアーケイド、アルドニアンの商人だ。
 ウィンターホールド大学に入学した俺は彼らの発掘活動に携わるべく、古代ノルドの遺跡サールザルへと向かった。そこで見かけたのはゴールドール一族のアンデッドと謎の魔力防衛装置、そしてサイジックの一員を名乗る魔術師の亡霊だった。
 どうやら世界に危機が迫っているらしい…まあ、いつものことだ。
 いつまで経っても、どこもかしこも危機だらけで首が回らないこの状況。めげずぼやかず前向きに、地道にやっていこうじゃありませんか。







 トルフディルに大学へ報告に戻るよう命じられた俺は、相棒のボルガクを連れてウィンターホールドへと帰還した。






「かくかくしかじか、猪鹿蝶、いろんなことがあったんでございますよ」
 と、サールザルの経過をアークメイジのサボス・アレンに伝える。
 どうやら彼は遺跡の発掘活動についてほとんど関知していないらしく、その物言いはどことなく他人行儀だ。
「私がそのオーブとやらを確認するあいだ、君が調査を進めてくれると助かる。だが、あまり型破りなことをするなよ?これ以上、大学の評判を落としたくはない」
「苦労性だねえ。やんちゃな生徒が多いから…ところで、サイジック会について何か知ってます?」
「個人的に知っていることは何もない。前アークメイジの助言訳がサイジックの者だったらしいが、アルテウム島に呼び戻され、島ごと消え失せてからはそれっきりだ。まだ、私が見習い魔術師だった頃の話だ」
「ふーん」
「とりあえず、アルケイナエウム…書庫のウラッグに話を聞いてみてくれ。彼の蔵書はただの飾りではない、その内容のすべてを頭に入れている彼なら、過去の書物から関連情報を手繰り寄せることができるかもしれない」






 サボス・アレンに勧められるまま、俺たちは大学の蔵書庫へと向かう。
 管理人のオーク、ウラッグ・グロ・シューブと対面、彼が開口一番に一言。
「妖精族はまだ入荷しておらんぞ」
「残念…いや、そうじゃなくてね。今日は遺跡発掘の件できたのよ。アークメイジの助言で…なにか役に立ちそうな本はある?」
「あった」
「あった?」
「かつて、な。残念ながら、私も内容の仔細は覚えていない…かつて大学の生徒だった、オーソーンという魔術師が、脱退する際に何冊かの本を大学から持ち出した。それがあれば、幾つか判明することがあると思う」
「大学を脱退?なんで」
「正確には、脱退したのは彼だけではない。一つのグループが、そう、大学側との意見の相違を理由に袂を分かった。オーソーンは彼らに加わるため、その手土産として価値ある本の幾つかを内密に持ち出したのだ」
「グループの脱退、ねえ…専門は、召喚術かい?」
「みなまで言うなよ」
「オーケイ。ともかく、そのなんとかいう魔術師が盗んだ本を取り返してくればいいんだな」
 これから自分が取り組むべき事項を確認するとともに、俺は私用も済ませることにする。
「そうそう、それと以前頼まれてた本、持って来たよ。シャリドールの本」
「おお、助かる。すぐにでも翻訳をはじめよう。もしその気があるなら、他にも仕事を頼まれてくれないか?『古き習わし』という本の写しなのだが」
「引き受けた。ところで、なんか面白い本ない?」
「『妖精族』以外でか?そうだな…『黒い矢』なんかどうだ?」
「う~ん…たしかに俺好みの本だけど、もう何冊か持ってるんだよねぇ。っと、これなに?『木こりの妻』?はじめて見る本だな」
「ほう、そうかね?たいして価値のある本ではないが…買っていくかね?」
「頼むよ。あと、この、『アルゴニアンの侍女』の二巻も」
 何冊か本を購入し、俺はウラッグに別れを告げる。
 ホクホク顔でザックに本を詰め込む俺を、ボルガクが咎めるような目で見つめていた。
「おまえ~…また余計な仕事を引き請け負ってからに」
「いやいやいや、俺はホラ、読書家で蔵書家だからさ。こう、書物を広く後世に残すとか、そういう偉大立派な目的は無視できんわけですよ」
「どうだか。ところでさっき、脱退した魔術師について、召喚術の使い手かと聞いたのはなぜだ?」
「わざわざ魔術大学を離れる理由はそんなに多くない。政治的理由を抜きにすればね…だいたい組織を離反するのは、召喚術師、わかりやすく言えば、死霊術師と相場が決まってるのさ。かつてのメイジギルドと違って、スカイリムの魔術大学は死霊術を厳密に禁止はしていなかったと思うけど、表立って支持はしていなかったはずさ。そんなことしたら、それこそムキムキのノルドのマッチョマンたちが黙っちゃいないだろうからね」
「死霊術か…ありそうな話だな」
 そんなやり取りをしながら、アルケイナエウムを出ようとする俺たちを待ち受ける者がいた。






「サールザルでちょっとしたものを発見したそうだな」
 魔術師のローブではなく、サルモールの装束に身を包んだアルトマー。アンカノという、アルドメリから派遣された魔術師だ。たしか、大学の連中が口を揃えて「気に入らん高慢ちきのクソエルフ」と言っていた。いや、そこまで言ってなかったかもしれないが。
「すでに噂がここまで届いているぞ。いったい、あそこで何を見た?」
「ご自分で現場に足を運んで確認なさってはいかがです?もっとも、温室育ちのエルフ様に激しい雪の中を駆け回るのはちと荷が重いかもしれませんがね」
「口に気をつけろよ爬虫類。まあいい、そのうちトルフディルから話を聞くことにするさ」
「べつに、たいしたものじゃないと思いますよ。他の連中がなんと言ってるのかは知りませんが、大山鳴動して鼠一匹ってやつじゃないですか」
「で、おまえは鼠捕りに奔走しているというわけか?」
「そんなところです。どこも人使いが荒いものでねえ」
「…いつまでそう、とぼけていられるかな」
 両者ともに剣呑な雰囲気のまま分かれる。
 サルモールもなあ…俺個人としては敵対する意思はないし、連中がスカイリムをどうしようと知ったことではないのだが、いちおう俺はストームクローク寄りの態度を取っているし、以前サルモールの使者に襲撃を受けたことから、あまり印象は良くない。
 もっともアンカノ一人が、手練の魔術師が揃っている大学内部で問題を起こせるとも思わないが…







 ウィンターホールド大学を出たあと、俺はセプティマス・シグナスにムザークの塔で書き換えた辞典を渡すべく彼の隠れ家へと向かった。とりあえず、星霜の書を手に入れたことは内密にしておこう。






「たっ、助けてーーーっ!」
「なにをやっているんだ、おまえは…」
 セプティマス・シグナスの隠れ家はスカイリム北端の流氷地帯にあり、夜は明かりもなく視界が悪い。流氷から足を踏み外した俺は、ドボンと海水に浸かってしまった。
 いろいろと難儀をしながらも、どうにか俺たちはいかれた爺さんのもとへ辿りついた。






 辞典を受け取ったセプティマスが次に頼んできたのは、血液の採取だった。
「なんというか、えらくおっかないフォルムだなあ…」
 渡された採血器をまじまじと見つめ、俺はぼんやりとつぶやく。
 セプティマスが説明をはじめる。
「この最後の洞窟を開くことはドゥーマーにしかできない。だが、それはもはや不可能だ…みな死に絶えてしまったのだからな。もっとも、どうにかして誤魔化す手も、なくはない。エルフ族の血を使うのだ。アルトマー、ボズマー、ダンマー、ファルマー、オーシマー…」
「それ早く言ってくれれば、ブラックリーチへ行ったときに幾らでもファルメルの血が手に入ったのに」
「単一の血ではだめだ。すべての種族の血液を混合したものでなければ」
「めんどくせぇな!ファルメルの血五人分とかじゃ駄目なの?」
「駄目だ」
「そっかぁ…」
 残念そうにつぶやき、俺は採血器を手に少々途方に暮れる。
 オーシマーというのはオークのことだ。彼らもあれで、エルフ族の親類である。いや待て、オーク…
 俺は相棒の女戦士を見つめ、ぽつりとつぶやいた。
「あのーボルガクさん」
「駄目だ」
「まだ何も言ってないよ?」
「そのうち山賊にでも出くわすだろう。そいつから採れ」
「わかりました」
 残念そうに首を振り、俺はセプティマスの隠れ家から出ようとする。
 出口へ向かおうとしたとき…






 ゴゴゴゴゴ…
 朝日を浴びて、無数の目が生えたタコのような物体が、どす黒い影を撒き散らしながら蠢いている。
 肝っ玉の据わったボルガクも、さすがにその光景には驚いたようで。
「な、なんだ、あれは…」
「ぼぼぼボルガクさんん、なんか名伏し難きものがおるんですが…」
 彼女以上に驚いているのが俺である。
 近づきたくはない、近づきたくはないが、この隠れ家に出口は一つしかない。
 身動きとれず躊躇する俺に、頭に直接響くような声が聞こえてきた。
『近くに来い。面前に』
「ししし喋ったあぁぁぁぁ!俺は面前手役派ですうゥゥゥゥ!」
『誰が麻雀の話をしておるか。早く来いというのだ』
「あははははい。あの~…どちらさんで?」
『我が名はハルメアス・モラ。まだ見ぬものの保護者。未知なるものを知る存在』
「はいデイドラ・プリンス一丁いただきましたー!」
『なに?』
「イーエ、なんでも」
 ハルメアス・モラ。デイドラ大公の一柱、知識を司るものである。
 予想して然るべきだった…と、デイドラ絡みのトラブルで何度そう思っただろうか。セプティマスが正気を失ったのは星霜の書の影響だろうが、そこにデイドラが絡んでいるというのは大いに予測できたことだ。たぶん。いや、ちょっと無理かな…
 ともかく、これまでちょっとしたことでデイドラ・プリンスと関わってきた俺、正直「またこいつらかよ!」という感情が拭えない。
『お前のことはずっと観察していた。なかなか興味深かったぞ』
「それ、デイドラの常套句ですか?」
『なんだと?』
「イーエ、なんでも」
 かつて誰かに言われたような台詞、だが、その仔細をわざわざ説明する必要もあるまい。
 デイドラ・プリンス同士は決して仲が良いわけではない。過去に何者に与したなどと言って、不興を買ってもつまらんのである。もっとも、俺が過去にどのデイドラ・プリンスに関わったなど、実際のところ、知らぬはずもないだろうが…
 そうであっても、わざわざ藪の蛇を突く必要はない。
『セプティマスは間もなく用済みとなる。おまえが黄泉の鍵箱を開きさえすれば…やつはよく尽くしてくれたが、もはや利用価値はない。やつの代わりに私に仕え、我が従者となるがよい。ドラゴンボーンよ』
「あ、はい…」
『期待しておるぞ』
 言うだけ言って、ハルメアス・モラは何処かへ消え去っていった。そのままどこへでも行っちまえってんだ。いい迷惑だぜこっちは。
 はーっと大きくため息をつく俺を、ボルガクが肘で突いた。
「おまえ、なんであんな提案を了承したんだ」
「仕方ないじゃんよ!何度も言うけど、俺、デイドラ公に楯突くほどタフガイじゃあないのよ?ドラゴンボーン様だなんだと偉ぶったところで、所詮は定命の存在なんだからさァ…」
「やつはセプティマスをお払い箱にしたいようだな」
「ジジイをいじめるような真似は、俺もしたかないけどさ。けど、どっちかが死ななきゃならない、てぇ状況になったら、そりゃあ、相手に死んでもらいますよ」
 とりあえずはスカイリムに存在するエルフ五種の血液を入手しなければならない。最低限の役目を果たせなければ、セプティマスの命と天秤にかけるまでもなく俺は始末されるだろう。デイドラに情けを期待してはいけない。







 その後、俺はそれほど遠くない場所にあるアズラの祠へと向かった。
 またデイドラ関係かよ!という気もするが、今回は自分から関わる形になる。たしか、何かのきっかけで用が出来たような気がするのだが…なんで、アズラの祠にクエストマーカーがぶっ刺さっているのか、今となっては知る由もない。
 祠が存在する山頂へ向かう途中、フロスト・トロールと戦闘になる。






『リズ・スレン!』
 氷結のシャウトを発し氷漬けになったフロスト・トロールを、雷撃が襲う!
「エッ、雷?」
 それはサールザルでトルフディルが使ったものとよく似ていた、とはいえ彼はいま同行していないし、仲間に魔法使いはいない。なんだ?
 逡巡しながらも、前倒しに寄ってきたフロスト・トロールにトドメの一撃を加える。
 凍りつき、電撃で痺れ硬直したフロスト・トロールの身体が急斜面をゴロゴロと転がって落ちていく。その様子を視界の端に捉えながらも、俺はボルガクが見覚えのない装備を手にしていることに気がついた。
「ボルガクさん、どうしたの、それ」
「サールザルで拾ったんだ」
 彼女が普段盾を持っている左手には、魔法の杖が握られていた。どういうことだろう?俺は渡した記憶はないが…
「これは…ああ、ジリク・ゴールドールソンの持ち物か。意外と物持ちがいいねえボルガクさん」
「やはり盾のほうがいいか?」
「いや、これ使ってていいんじゃないかな。面白いし」






「バイアーラ、バイアズーラ、バイアズーラ」
「なんですか、貴方…いえ、ちょっとお待ちください。その姿、見覚えがあります」
 その後アズラの祭壇にて、信徒であるアラネア・エアニスと接触する。
「どこかで会ったかな」
「いいえ。しかしアズラ様は貴方がここへ来ることを予見していました。旅人よ、貴方は好奇心ではなく運命の力でここへ導かれたのです。アズラ様に授けられた予知の力で、私は貴方がこの階段を登る姿を夢にみたことがあるのですよ。そう。貴方が生まれるよりも前に」
「そんな年寄りには見えないぜ」
「お戯れを。エルフの長命はご存知でしょうに…」
「それで、アズラ様は俺に何をお望みだい?」
「ウィンターホールドの付術師を尋ねなさい。もっとも明るい星を、闇夜のような漆黒に変えることができる者を…彼の者には、そう言えば伝わります」
 アズラ、宵と暁の女神にしてダンマーの守護者でもある。
 定命の者にとって有益な助言をすることが多く、デイドラ公の中では忌避されることが少ない存在である。もっともデイドラの行動を人間的な善意だの悪意だので量れるはずもないが。

 ウィンターホールドへと戻った俺は大学を探そうかと思ったが、ひとまず休息を取るため宿屋に立ち寄り、一杯ひっかけるついでに店主に付術師のことを訊ねると、どうもかつて大学の付術師だった男が宿に下宿しているらしいことを聞き、彼に会いに行くことにする。






 ひょっとしたら盗賊ギルドのトラブル絡みで知り合ったエンシルかとも思ったが、出会ったのはネラカーという別の魔術師だった。
 アズラについて話すと、彼は警戒した様子で探りを入れてくる。
「誰に頼まれた?大学か、それとも首長か。いずれにせよ、もう俺には関わりのない話だと説明したはずだ」
「俺は誰の手下でもないよ。まあ、個人的な学術研究とでも思ってくれ」
「それを信用しろと?」
「もちろん、タダで情報提供してくれとは言わない。金貨1200枚でどうだ?」
「金で魂を売れと?魂を売る…この言葉の皮肉、おまえにわかるかな」
 しばらく悩みながらも、けっきょくネラカーは俺が差し出した金貨の袋を受け取り、話をはじめた。
「魂石を知っているか?いや、おまえも大学の魔術師だ、知らんはずはあるまい。その腰の剣はエンチャントが付与されているな。その剣を作るのに、また、徐々に失われる魔法の力を取り戻すため、無辜なる魂を封じた石を砕いたことがあるんじゃないのか?」
「…そうだとして?」
「話の要点は…魂ではない。石のほうだ。魂の扱いを巡る議論で見過ごされがちだが、魂石もまた貴重な存在に違いはない。しかし魂石は付術に使うと、砕けてしまう。破片となった魂石はその特性を失い、ただの河原の石ころ同然の無価値なものになる」
「例外はアズラの星…砕けず、何度でも魂を取り込むことができるアーティファクト」
「その通りだ。我々は…アズラの星をその手にしていた。メイリン・ヴァレンの研究チームのもとで、その性質を解明するために」
「で、貴重なアーティファクトを我が物にするために殺し合いでも起きたか」
「そんな単純な話なら、どれだけ良かったことかな」
 そう言い、ネラカーは自嘲的な笑みを浮かべた。どうやら複雑な事情がありそうだ。
 俺は無言のまま彼に先を促す。どこか遠くを見る目つきで、ネラカーは話を続けた。
「アズラの星には欠点があった。知性の低い、白き魂しか取り入れることができなかったのだ。知っての通り、人間の魂は黒い。黒魂石のことは知っているだろう。その特質をアズラの星は持っていなかった。メイリンは…黒い魂を取り入れることができる、完璧な星の完成を目指していた」
「なぜ?」
「それを知っていれば、もっと早くに研究が中止され、あのような惨劇が起きることもなかっただろう。メイリンは、彼女は、病に侵されていた。もう先は長くなかった。彼女は…アズラの星に自らの魂を封じることで、永遠の存在になろうとしたのだ」
「デイドラみたいなことを考える女だな。業深きは人間の魂か…」
「彼女の精神は、研究が進むにつれて狂気に蝕まれていった。デイドラの秘法の真理を解明しようなどと、定命の者にはおこがましい話だったのだろう。やがて彼女は部下の命を犠牲に、その魂を実験に使い…イリナルタ湖の遺跡に追放された」
 話を終え、ネラカーはジョッキの中で波打つワインをじっと見つめたまま黙りこくる。
 彼は当時の研究チームのうち、正気を保ったまま生き残った唯一の存在だった。
 手がかりは…メイリンとその忠実な部下が追放された、イリナルタの深遠にある。それだけ聞ければ充分だ。
 俺たちが立ち去ろうとしたとき、ネラカーが言った。
「いいか、デイドラには関わるな。やつらは悪魔そのものだ…定命の者を、たんなるチェスの駒程度にしか考えていない。いままでにどれほどの恩恵を受けていようと、そんなことは忘れろ。いいか、誰の命令で動いているかは知らんが…アズラの星を持ち帰ろうなどと考えるな。特に、アズラにはな」
「覚えておくよ」
 イエス、とは、俺は言わなかった。そのことはネラカーにもわかったはずだが、彼自身もそのことは咎めなかった。
 もしデイドラ公を相手に取り引きしているなら…こちらに選択肢がないことなど、彼にもよくわかっているのだろう。







 旅の道中、またしてもドラゴンの襲撃を受ける。ていうか、ドラゴン多すぎるだろ。
 はいはいトカゲトカゲ、でかいトカゲですよー、てなもんで半ばルーティンワーク気味の対処に向かおうとしたのだが、どうにも今回出会ったやつは滅法強い。
 ボルガクともども危うく屠られそうになりながら、どうにか倒して名を確認する。






「伝説のドラゴン…だって?でも魂は一個きりなんだな」
 今回の戦いで、ボルガクが使っていたジリク・ゴールドールソンの杖がさっそく魔力切れを起こしてしまった。魂石を使って補充してもいいのだが…
「やっぱり、ボルガクさんには盾が似合うよ。俺が丁寧に付術を施した逸品でもあるしね…せっかくだけど、その杖は捨てっちまおう」
 こうして、ジリク・ゴールドールソンの遺品は雪中にうち捨てられた。





【 →To Be Continue? 】








 どうも、グレアムです。いやー、NPCって自発的にアイテムを拾うんですかね。少なくとも、俺が杖を渡した記憶はないんですが…いや、なんかの手違いで渡したかな。でも、そもそもゴールドールソンの杖を拾った記憶がないんですよね。値段のわりに重いので、杖は普段、拾わないようにしているし。
 しかしハルメアス・モラ、アズラと、また急にデイドラづいてきました。オブリビオンでは自発的に関わらないと縁がなかったんですけどね。レベル制限もあったし。

 そういえばリマスター版が解禁されましたね。すでにLegendary Editionを購入していた俺は無料でプレゼントされたんですが、いまのところ手をつける気はないです。ぶっちゃけ通常版で特に不便は感じてないっていうのと、現状のPCスペックではあまり恩恵はなさそうだな…というところで。
 バグがフィックスされてるならまだ考える余地はあるんですが、おそらくグラフィック関連に手を入れただけだろうし。クエスト関連、フラグ関連の初歩的なミスが本当に多すぎるのは、コンソール主導ならなおさら何とかしなきゃいけないと思うんですが…












2016/10/27 (Thu)01:24





 俺の名はアーケイド、アルゴニアンの商人だ。
 今回は真面目に学校へ行くぜ…もとい、魔術大学の活動に参加すべく、古代ノルドの遺跡サールザルへと向かうぜ。本来なら盗賊ギルドのヤマを先に片づけるべきなんだけど、そっちは、まあ、ちょいと置いておこうじゃないか。カーリアには悪いけど。
 なにせ話が何も進んでないもんで、そろそろ冒頭に書くべきことも枯渇してきたのよ。というか、俺なんでスカイリムに居るんだっけ?たしか帝国軍とストームクロークの戦争に巻き込まれて…ドラゴンの危機があって…そろそろ放っておくとマズイよなあ。
 オークの女戦士を伴ってのトカゲ旅、まだまだのんびり続きます。







 サールザルの前には、俺を待っていた…のかどうかは知らないが、トルフディルとブレリナ・マリオンの二人の魔術師が寒空の下で立ち話をしていた。






「遅かったですね」
「あ、よく言われます」
「よく言われたらいかんだろう」
「スイマセン…」
 控えめな叱咤を受け、俺は頭を平に下げる。いや、本当に申し訳ない気持ちでいっぱいです。
 なんせヘルゲンに出現したドラゴンの報せをホワイトランへ持っていくのに四ヶ月も要した男である。べつに遊び歩いていたわけではないのだが、寄り道癖はそろそろ何とかせにゃいかんと自分でも思う。
 今回の発掘活動における魔術師たちの纏め役らしい老トルフディルに続いて、俺たちはサールザル内部へと入った。

 どうやら大学側に確たる発掘の理由はないらしく、なんとか学術的、魔術的価値のある遺物が発見できれば良い、といったものであるらしい。
 とりあえず俺は発掘品の目録作成の手伝いをすべく、あちこち見て回っていたのだが。






『待て、魔術師よ。たぶん魔術師だと思うが、よく聞くんだ…』
「で、で、で、出たあぁぁぁーーーっ!!」
 たまたま入った部屋で幽霊と遭遇。エンカウント。
 俺はこの、幽霊とか亡霊といった類のものがあまり得意ではない。なにせ個体によって特質が全然違ったりするので、その正体を見抜くのに大変難儀するのだ。
 ていうか、死人は大人しく寝ててくださいよ。死んだんだから。死後も現世でウダウダしてるとか非常識にもほどがある。






『この避けられぬ事態は貴様が引き起こしたこと。最悪の事態を避けるため、貴様自身が危険に対処せねばならぬ』
「死ねえぇウダラアーッ!」
『話を聞け』
 遮二無二霊体に斬りかかるも、エンチャントを付与した特製のカタナが通用しない。なんてこった、こいつ、ただのゴーストじゃないぞ!これだからイヤなんだよ実体のない連中は!
「お引取りください!帰ってください!」
『ああ、もうこの世界ダメかもしれん。とにかく、サイジック会が見ているからな』
 そう言って、霊体は姿を消した。
 同行していたトルフディルが眉をひそめて俺に尋ねる。
「いったい、何が起こったのだ?」
「見てなかったのかよジーサン、ボケた?老眼?」
「いまの無礼は水に流すから、何が起きたのか話しなさい」
「いや、その、恐い顔で見ないでくださいよって。なんかあの、魔術師みたいな格好した亡霊がですね、この世の危機が迫ってるとかって、類稀なる才能を持つスーパーヒーローたる俺が最後の希望だから、美しくカッコ良く世界を救ってくれってそう言ったんですよ」
「時間の無駄だったか…」
「いやあの、すいません。余計な脚色を抜きにすればでも、そんなに間違ったことは言ってないですよ!?あと、サイジック会がどうのこうのって」
「サイジック会?その名は久しく耳にしていなかったが」
「なんですね、サイジック会てぇのは」
「知らんのか?フム…無知が適当に出せる名ではないからな。なるほど、君がデタラメを言っているわけではないのかもしれん」
 トルフディル曰く、サイジック会というのは魔術師たちで構成された秘密結社の一団らしい。会員のほとんどはアルトマーで構成されており、サマーセット群島の一つであるアルテウム島を拠点に活動していたが、百年以上前に島ごと組織が忽然と消え失せてしまったらしい。
 謎は深まるばかりだと、トルフディルは思案に暮れた。
「そもそも、この遺跡はサイジックとは無縁のはずだ。古代ノルドの墓所だからな…迫り来る危機というのも気になる。とりあえずは、深部の探索を続け…」
 そこまで言いかけ、トルフディルは壁に立てかけられた棺の蓋が動いていることに気づく。
 棺から、古代ノルド人のアンデッド…ドラウグルが姿を現した!






「チェリィヤアアァァァ!」
 俺とボルガクにとっては慣れたる相手、出現と同時に斬りかかり、その動きを封殺する。
 ボルガクの持つドーンブレイカーの力でアンデッドどもは焼き払われ、青白い炎が周囲を覆う。身体に触れても熱さを感じない、不死者のみを焼く清浄なる炎だ。
 敵対者の死を確認したのち、ボルガクが俺に尋ねる。
「そういえば相棒、すこし前から見慣れない剣を持っているな」
 翡翠晶のような発光体が埋め込まれた、濡れた氷のような輝きを見せる刀身のカタナを見つめるボルガクに、俺が説明する。
「俺が一から鍛造した、特製のカタナだよ。氷結と魂縛のエンチャントが付与されている…その刀身は二尺四寸、反り六分。凍りつき眠るように魂を奪う、その銘を名付けて『泉州時次郎拵(せんしゅうときじろうこしらえ』。お控ぇなすって」
「銀製か?」
「デイドラ製です。薄く軽く磨いてあるから、重装甲相手の打倒力にはちぃと劣るんだけどね。まあ、暗殺用ですよ」
 実を言うとこのカタナ、内部的にはダガー扱い。攻撃力はデイドラ製ダガーと同じ、それを鍛冶スキルで鍛えたものの、本気の重装戦士相手に正面から挑むにはやや心許ない代物だ。
 が、背後からの突き…隠密16倍アタックが成功すれば、ドラウグル・デス・ロードですら一撃確殺である。






 その後もドラウグルたちとの戦いは続く。
 隠密の余地もなく正面からの戦いを強いられる状況、普段は魔法を使う俺も新造のカタナの威力を確かめるため、慣れない近接戦闘に積極参加するが…
「ボルガクさん、矢が俺に当たってるよ!それとジーサン、攻撃魔法が俺に当たってるよ!」
 屋内では、仲間の射線に立ってはいけない。






 ひととおり雑魚どもを片づけたあたりで、強力なドラウグル・スカージとの交戦に移る。






 ボルガクのドーンブレイカーがドラウグル・スカージの腐った肉体を焼き、トドメに俺のカタナが一閃、トドメを刺す!
 遠方から魔法で援護しつつその光景を見ていたトルフディル、感心したようにつぶやく。
「まさか、これほど腕が立つとは…」
「いちおう、場数は踏んでるんでね」






 カタナを鞘に納めると、俺は懐に手を突っ込み、「それ」を取り出しながら見栄を切った。
「俺がこんなに強いのも、あたり前田のクラッカー!」
「相棒おまえ、いつの間にそんなもの用意した…?」
 はい、これがやりたかっただけです。研磨された月長石をベースに製作しました。ビニールっぽい質感がリアルで自分でも気に入ってます。寸法とかはかなりデタラメですが。
 前田のクラッカーはともかく、続々と再生をはじめたドラウグルたちにトルフディルが興味深い視線を投げかける。
「私はいままで数々のノルドの遺跡を見てきたが、このようなものは見たことがない…」
「えーマジ?俺ら、しょっちゅう見てるよなあ?ボルガクさん」
 しかしこの爺さん、なんか怪しいな…そもそもこの遺跡の発掘は、誰の主導で行われているんだ?
 若干の懸念を抱きながら、俺とボルガクはトルフディルとともにサールザルの深部へと向かった。






「あれはいったいなんだ?」
 サールザル最深部にて、俺たちは奇妙なものを見かける。
 シールドのようなものに覆われた魔術的な物体、そして玉座に身を沈めるドラウグルが一体。あれこそはゴールドールの息子の一人ジリク・ゴールドールソン。
「ツェアアァーッ!」
 ドラウグルの急所は寝起きである。覚醒するまで隙だらけであることを知っている俺は、物を考えるより先に眼下のアンデッド・ロードへ斬りかかる!
 が、しかし…研ぎ澄まされた刃はジリクの皮膚で止まり、ダメージを与えることができない!
「え、ちょ…っ!?」
 驚く俺を振り払い、ジリクは火炎魔法をぶつけてくる。
「あち、あち、あちちっ!なんだよもう、こいつも無敵なのかよ!さっきの亡霊といい、チートどもが!」
「あの結界だ!あれは私が引き受ける、それまで時間稼ぎを!」
 慌てて飛び出しつつ、トルフディルが謎の魔力障壁へ向けて破壊魔法を繰り出す。
 時間稼ぎといったって、俺は近接戦闘は苦手なんだって!たいてい強敵は隠密弓で葬ってきたしなあ…などと思いつつ。当然ながら相手には魔法も効かない、効かない魔法は抑止にはならない。剣を使って動きを止めるしかない。
 ただでさえ分の悪い戦い、じりじりと追い詰められた矢先、トルフディルの攻撃を受け続けていた魔力障壁が消失する!
「いまだ!」






「悪ィが、兄弟のところへ行ってくんねぇかな…おまえの弟二人は先に地獄へ里帰りしてるからよ」
『キ…キサ…マ……!』
「おまえの弟殺したのな、俺だよ。特に隠密弓の奇襲一発で死んだシグディスには、よーく言って聞かせてやるんだぜ」
 致命打を受けたジリクの身体が炎に包まれ、納刀と同時に爆発四散する。
 焼け落ちた塵の山からゴールドールのアミュレットの欠片を回収すると、そのことをトルフディルに見られていないことを確認し、俺はぼそりとつぶやいた。
「三つ集まったけど…特に何もねぇな」
「なにか?」
「いや別に?」
 トルフディルに向き直り、俺は改めて巨大な球体…おそらくはジリクに無敵の加護を与えていたであろう、謎の構造物を見つめて言った。
「しかし、いったいなんだい、これは」
「皆目検討がつかんな。こんなものは見たことがない…悪いのだが、今回の件を大学に報告へ戻ってくれないかね?」

 俺は一度サルザールから離れ、ウィンターホールド大学へと戻ることになった。
 しかしこの、なんだね、スカイリムってのはどんだけ危機が重なってるのかね。ドラゴンと内戦だけじゃ足りないらしい、そういえば吸血鬼騒ぎもあったよなあ…などと考えつつ、俺の旅はまだまだ続く。





【 →To Be Continue? 】








 どうも、グレアムです。ほんのちょっとだけ話が進みました。たぶん。
 アーケイドの使う刀「泉州時次郎拵」はWeapons of the Third Eraで追加されるDaedric Katanaの改変です。Iron Katanaの鞘を追加、発光部分を赤から水色に変更(&発光の強さを十倍)し、TextureをDaedric系からSilver系に変更しています。本当は鍔をなくしたかったんですが、本ModのMeshは本体(刀身、柄、鍔)がすべて一体になっていてパーツ別に分かれていなかったので、そうなるとBlenderの手を借りる必要があり面倒なので手をつけませんでした。
 前田のクラッカーは本文中でも触れた通り、研磨された月長石の改変です。Textureを適当に改造しただけですが。落とすと重い音がします。
 泉州時次郎拵ともども、元ネタは「てなもんや三度笠」ですね。なぜか今更ハマってしまっていたり。しかしこれ、マスターが現存してないので、視聴手段がかなり限られてるんですよね。残念です。














2016/10/25 (Tue)01:14





 俺の名はアーケイド、アルゴニアンの商人だ。
 とりあえず盗賊ギルド絡みのいざこざを解決しなけりゃならないんだが、前盗賊ギルドマスターのガルスが遺した手がかりを探すついでにウィンターホールド大学に寄ったりしたらまた色々とクエストが増えたりなんかしちゃったりして、参ったねどうも。
 ただでさえ随分と前から引き受けたっきり見向きもしてない仕事があったりしてね。サーリアからケマツの始末を頼まれたのなんか、あれ、いつだったっけね。もう死んでるかなあ、サーリア。あっはっはっ。
 そんな感じで、ドラゴンは世界を滅ぼしたがるわ、ノルドは内戦で殺しあってるわ、エルフは暗躍するわ、どうしようもない状況でのんびりやっております。それじゃあ、今回もはじめましょうか。










「ここ、一度攻略したはずなんだけどなあ。何か見落としてたかな?」
 そんなことをつぶやきつつ、俺は相棒の女戦士ボルガクを伴ってドゥーマーの文明跡が残るアルフタンド氷河の遺跡を捜索する。
 本来ならばウィンターホールド大学で受けた、サールザル捜索の仕事を先に片づけるべきなのだが、たまたま通りがかったこの遺跡にクエストマーカーが刺さってたもんだから、これは調べないわけにはいかない。
 ただでさえブランクが長かったのと、大小多様なクエストがごっちゃり溜まってるのもあって、いったい俺はこの場所に何の用があったのか、なんてサッパリわかりません。シロディールではねぇ、クエストジャーナルが親切だったので、いつ冒険を再開しても状況の把握は難しくなかったんだけどねえ。この愚痴、なんか毎回言ってる気がするよ。
「ボヤいてないで、さっさと進むぞ」
 と、ボルガクさんも申しております。アイヤサイサイ、あんまり魔術師たちを雪の中で待たせるのも悪いし、手早く用事を済ませてしまいましょう。






 もとがドゥーマー遺跡だけあって、施設警備用の自動人形のほか、重武装のファルメルやシャラウスが徘徊している。ただでさえファルメルは勘が鋭いので、山賊やなんかと違って隠密からの暗殺がやりにくい。毎回トチっては血みどろの刃傷沙汰になるのだが、今回は近接戦エキスパートのボルガクが一緒に行動しているので、幾らか進行はラクである。彼女、トラップに片っ端からかかっていくけど。
「毎回、洞窟っていうと私を置いてけぼりにしおって。そう隠密行動の邪魔にもならんし、きっちり役に立つだろうが?」
「あ、はい。大変に感謝しておりますよ本当にねえ姐さん。迷子にだけはならんでくださいよ、探すの面倒なんで」
「ヒトを子犬みたいに言うな!」
「しかし何だねえ、このファルメルってのは悪趣味だよねえ。見なよこの処刑台、人間が解体されて骨だけになってる。たぶん、遺跡探索隊の誰かなんだろうけど。ま、身の丈に合わんことはするなってぇ神様の警告かね」
「神様?」
「ゼニタール神様ね。野心成就も金儲けもほどほどにしないとね」
「銭亡者の貴様がそれを言うか…」
 呆れ顔でそうつぶやくボルガクに、俺は知らん顔を決め込む。
 遺跡には発掘隊だか調査隊と思しき連中の痕跡があちこちに残っていたが、そもそも自分がなんでこの場所にいるのかわからない俺に、こいつらの素性や目的がわかるはずもない。
 わかるのは、手柄を巡って仲間割れしてたらしいこと、そして連中は全員死んでいるということだ。










 ドワーフの仕掛けを作動させ、向かった先の研究室にて死体を発見。機械人形が放ったと思しき鋼鉄製のボルトを身体に受け絶命した骸骨の所持品から手がかりを発見する。
「こいつは…シンデリオンだ……!」
「しんで…なんだって?」
「シンデリオンが死んでるよん」
「おいおい」
「こいつはシロディールの魔術師だよ。アルトマーだ。錬金術の第一人者で、たしかニルンルート研究の専門家じゃなかったかな。なんだって、こんなけったいな場所にいるんだ」
「おまえ詳しいな」
「いや、職業柄ね。ホラ、俺、昔シロディールで行商やってたからさ。錬金術の材料とかよく売れるんだよ、魔術師相手に右から左へ流すだけでも」
 かつてシロディール西方の都市スキングラードで活動していたシンデリオンは、旅人が持ち帰ってきた赤いニルンルート…「クリムゾン・ニルンルート」の存在を知り、その研究のためにここブラックリーチまで来たらしい。
 彼の遺した手記を捲りながら、生前に世話になっていたらしい人物に記述が及ぶと、俺はピタリと手を止めて内容を注視した。
「サレシ農場…ニルンルート栽培…研究に30束のクリムゾン・ニルンルートが必要、か…」
 どうやらシンデリオンの研究を手伝う協力者がいたらしく、その人物は世界ではじめてニルンルートの栽培に成功したらしい。
 ブラックリーチにしか自生していないクリムゾン・ニルンルートを研究するにあたって、シンデリオンは必要な量を30束と記していた。すでに彼は亡くなっているが、ひょっとすれば、その協力者に彼の研究を託せるかもしれない。少なくとも、手向けにはなるだろう。
「これは商売の臭いがするね…ちょいと、探してみますか。クリムゾン・ニルンルートってやつを」






「しかしこれは、凄い光景だな…」
 シンデリオンの研究室を出た俺たちはブラックリーチを一望し、その現実離れした幻想的な光景にしばし目を奪われる。
「これも古代ドワーフ文明の名残か…自然のものじゃねぇよなあ」
 ここにはクリムゾン・ニルンルートだけではなく、多量の鉱物資源が埋蔵されていた。表面に露出しているものを削り取っただけでも、かなりの数になる。
 鋼玉、黒檀のみならず、なんと魂石までが採掘できたときは、さすがの俺も驚いた。
「魂石の鉱源なんか、初めて見たぜ。あれって俺は、魔術師がこしらえた人工物だと思ってたんだが、天然資源だったんだなあ…黒魂石までもか。いや、勉強になるねえ」
 もちろん、こんな場所がたんに貴重な天然資源溢れるユートピアであるはずもない。






「ウィスプマザーか。今度は一話目のようにはいかねぇぜ!」
 ファルメルはもとより、センチネル・タイプのドゥーマー製自動人形、ウィスプマザー、さらには巨人までもが跋扈している。
 光源そのものは少なくないが、それでも昼間と違わず物が見えるというわけにはいかず、薄明かりの中での戦闘はやはり、「視覚に頼って戦う者」には不利に働く。






 おまけにこのブラックリーチの洞窟、やたらに広い。とにかく広い。高低差もあり、思わぬ位置から弓の狙撃を受けることもある。
 慎重に歩を進めながら、俺とボルガクはクリムゾン・ニルンルートの採集を続けていく。
 やがて捜索範囲が遺跡の屋内まで及ぶと、俺は驚くべきものを目にすることになった。






「トカゲパンチ!人間は死ぬ!」
 弓を利用した組み手で相手の動きを封じ、俺はノルドの男の顔面に容赦なく拳を叩き込む。
 こいつらは野盗や賊の類ではない。調査隊でもない。なんとファルメルに使役されている人間だった!
 基本的にファルメルは人間を生かさず、シャラウスの餌にするか、戯れに殺すかの二択しかない。
 このように生かしたまま使役するなどという光景をはじめて見た俺は攻撃を躊躇していたが、人間たちに一切のためらいがないのを見て、拳を振り上げた。
 弓を持ったまま接近され…普通の弓使いなら、それでニッチもサッチもいかなくなってお仕舞いだろう。しかしだ、幼少期にブラックマーシュ裏街道仕込みのダーティ・ファイトを会得した俺に、「弓が相手なら接近すればこっちのもの」なんて常識は通用しないんだぜ。
 まあ、普通に鎧で身を固めた戦士が相手なら歯が立たなかったけどさ。
 けっきょく彼らがファルメルに付き従う、その内情を知ることはできなかった。これはそのうち、自伝でも書くときのネタに使うとしようか。










 クリムゾン・ニルンルートの採集を終え(ものすごい面倒だったぜ!)、ムザークの塔と呼ばれるドゥーマー遺跡の一区画に侵入した俺は、そこで奇妙な装置を目にする。
「これ、どっかで似たようなモンを見た覚えがあるなあ。それも最近…アレかな、セプティマス・シグナスだかマグナムだかいう、ちょっと頭が残念な研究家のジーサマの関係かな。辞書がどーたらこーたら言ってたが…よく覚えてねぇなあ」
 たしか、ボルガクにヌミディウムどうのと話した記憶はあるんだが。
 とりあえず機械を適当にいじくり回し、装置を作動させる。






 中から現れたのは…
「おいおいおい、こいつぁ…星霜の書(エルダー・スクロール)じゃねぇか…!」
 あまりにも意外な発見に、俺の手が震える。
 星霜の書。
 この世の理(ことわり)のすべてが記されていると言われ、それを読んだ者は目を奪われるという。文字通りに…本来なら、国が最厳重体制で管理すべきものだ。
 手にしたのがドラゴンボーンたる俺だったのは、この世にとって幸(さち)なるか、あるいは災いを呼ぶか…
「そうか、俺、これを取るためにここに来たのか」
 この段にきてようやく俺は自身の目的を思い出す。
 とりあえず用事をすべて片づけたところで…しかし、まずはシンデリオンの縁者にクリムゾン・ニルンルートを渡す必要があるだろう。訃報を届けねばなるまいし、だいいち植物ってのはあれでかなり嵩張る。くさいし。身体が青臭くなってしまう。










 遺跡を出た俺とボルガクはサールザルへは向かわず、シンデリオンの縁者が運営しているという農場へ直行した。
 農場へ到着したのも束の間、俺たちは山賊とドラゴンの両方から同時に襲撃を受ける。なんだこれ。






 サレシ農場は、モロウィンドを逃れたダンマーによって運営されていた。
「いつかこんな日がくると…」残された者にお決まりの台詞だが、いくら聞きなれても気分が軽くなることはない言葉だ。
 シンデリオンの死を知らされた農場主アブルサ・サレシは彼との思い出を語ったあと(何十年も同棲していたらしい。恋仲であったかどうかまではわからないが)、クリムゾン・ニルンルートを受け取り、シンデリオンの著作や、彼の考案した魔法を俺に託した。
 そのうちニルンルートを買いつけに来るかもしれない、と伝えて、俺は農場をあとにした。





【 →To Be Continue? 】








 どうも、グレアムです。
 とりあえず溜まりまくったクエストを消化していかなければなるまい、というので、とりあえずどうでも良さそうなものを解決していこうとしているんですが、今回思わぬ長丁場になりました。
 ていうか広いよ!ブラックリーチ!探索にえれぇ時間かかりましたもの。
 おまけにうっかりエルダースクロールなんか手にしちゃって、試しに読んだらなんか呪いのエフェクトっぽいものが表示されてビビッたんですが、後遺症とかクエストへの影響は特になさそうですね。DOS時代なら絶対死んでるよなぁコレ。甘い時代になったもんです。念のためセーブは取ってから実行したんですが。

 シンデリオン、オブリビオンにも出てきましたね。名前からして死相が出てますよね。













2016/10/23 (Sun)03:55





 俺の名はアーケイド、アルゴニアンの商人だ。
 盗賊ギルドに所属していた俺はギルドマスターのメルセルに嵌められ、危うく命を落としかけた。同じくヤツの罠にかかって逃亡生活を送っていた女盗賊カーリアに協力することになった俺はメルセルに殺された前ギルドマスターのガルスが残した手がかりの謎を掴むため、ウィンターホールドへと向かう。
 ウィンターホールドの宿屋にて、相棒のボルガクにちょいと長い昔話をしたところから物語は再開する…










 しばらくウィンターホールドの宿屋「フローズン・ハース」に張り込んでいた俺たちは、数日後に探していた人物エンシルを発見する。彼はウィンターホールド大学の魔術師で、生前のガルスと親交があった人物だ。
 事情を説明し、得体の知れない文字で書かれたガルスの手記を渡す。
「ガルスは私の個人的な友人だった。ギルドの事情は知らないが、謀殺されたとあっては見てみぬふりをするわけにもいくまい。ふむ…これは、どうやらファルマー語で記されているようだな。スノーエルフの言語だ」
「ん、ちょい待ち。いまファルマーをスノーエルフと言った?」
「ああ。ファルマー、あるいはファルメルはかつてスノーエルフと呼ばれる種族だった。彼らはノルドとの戦争に敗れ、地下深くに潜ったところでドワーフと遭遇し、彼らの奴隷となった。かつて美しい姿だったスノーエルフがあのような醜い姿に変貌したのは、ドワーフのファルメルに対する過酷な扱いを象徴しているのだろう」
「なるほどねぇ…ドゥーマーの遺跡に棲んでることが多いのはそういうわけかい」
「詳しく知りたければファルメル研究の本を買うといい。安くしておくぞ?」
「商魂逞しいな!一冊ください」
 そんなやり取りを挟みつつ、やがてエンシルは言った。
「おそらくガルスはファルマー語に関係する、何らかの仕事を計画していたのだろう。が、あいにく私はファルマー語が読めない。ドゥーマー研究の第一人者である、マルカルスの老カルセルモなら解読できるかもしれない」
「あのドワーフフェチのジーサマか。マルカルス…あんまり行きたくないなぁ」
 かつて俺はフォースウォーン絡みのイザコザに巻き込まれ、マルカルスでは大変な目に遭っている。シドナ鉱山に幽閉されていたフォースウォーンの一味の脱獄の手助けをした嫌疑をかけられているし、正直、あまり近寄りたくなかった。
 脱獄したマダナックは後日、俺自身の手で始末したんだけどね。
「まあ、この状況を放っておくわけにもいかんしなー。盗賊ギルドでのシノギを続けるためにも、メルセルのおっさんにはキッチリけじめをつけてもらわんとのー」

 といって、寄り道好きな俺のこと、すぐにマルカルスへ向かうはずもなく。






「あらためて一望すると、大変な光景だねぇこりゃ」
「大崩壊の爪痕か。村の住民は魔術大学が引き起こした災厄だと言っているが、実際のところ、どうなのだろうな」
「不良学生のつまらない実験で起きたって可能性もなくはないけどね。あるいは内部に入り込んだアルドメリのスパイによる破壊工作か。けどまあ、たんなる自然災害だと思うけどなあ」
 ウィンターホールド大学へと向かう道すがら、半壊した街の惨状を前に俺とボルガクは意見を交わす。
 もともと脳筋、筋肉至上主義なノルドたちは魔法に対する不信が根強い。
 大崩壊と呼ばれる災害が街を襲い、それが過ぎ去ったあと、大学の建物だけが何の被害もなかったようにピンピンしていれば、まあ、ノルドたちが大学の魔術師たちを疑うのも無理はないだろう。なにせ魔術師たちは好奇心と探究心が旺盛で、彼らの実験で街の住民が迷惑を被ることもあるのだから。
 とはいえ、かつてウィンターホールドが栄えたのは大学の威光あってのことだし、大戦の際には積極的にアルドメリとの戦いに参加した魔術師たちにとっては甚だ面白くない話だろう。






 大学の魔術師であるファラルダに案内され、構内へと入る。
「見て見てボルガクさん、凄い像だねぇ。躍動感溢れるというか、このローブの造型を見てくださいよ。マクファーレンって感じ」
 ちなみにウィンターホールド大学は誰でもその敷地を跨げるわけではない。本来ならば適性を証明するための試験を受ける必要があるのだが、なんか面倒臭そうだったので、口八丁で適当に誤魔化した。
 晴れて魔術大学の一員となった俺は簡単なテストを受けたあと、ミーティングでサールザルの遺跡へ向かうよう指示される。
「サールザルといやあ、俺が集めてるゴールドール・アミュレットの最後の一片がある場所じゃないの。カギかかってて入れなかったんだよねえ、まさか大学の所有地だったとはなあ」
 もとより用があった場所、なんという好都合。
 ついでなので、書庫で本の取引をする。
「おっさん、妖精族の一巻と二巻ある?」
「残念ながら」
「そっかー…」
 申し訳なさそうに首を振る書物の管理人、オークのウラッグ・グロ・シューブ。
 おそらくは資料的価値のないもの、あるいはダブッたものを販売しているのだろう、そのへんの本屋より貴重品が入ってくる可能性は高そうだが…
「気長に探しますか」
 ちなみに妖精族とは、アルゴニアン報告を書いたウォーヒン・ジャースの著作の一つで、魔法の羽ペンに人生を狂わされた書記官の物語だ。特にレアものだと聞いた覚えはないが、俺はいまもって最後の三巻目しかお目にかかっていない。読んだ瞬間に引き込まれ、碌に値段も確認せず購入したのだが、果たして一巻と二巻が手に入るのはいつになるやら。










 大学を出てサールザルへ向かおうとしたとき、エルダードラゴンの襲撃を受ける。
「巨大トカゲめ…空を飛び回ったところで、攻撃が当たればどうにでもなるってことを教えてやるぜ!」
 満点の星空の下、巨大なドラゴンとの激しい攻防を制した俺は相手から魂を吸収する。たまに忘れそうになるが、俺は伝説のドラゴンボーンなのだ。










「やったか!?」
「おうよ」
 遠方から弓で援護してくれていたボルガクに、俺は余裕の笑みでこたえる。
 なにより今回はドラゴンの狙いが俺たちではなく、周辺を徘徊していたフロスト・トロールだったこともあり、さしたる苦戦もせずに葬ることができた。戦利品はたったの金貨五百枚だったが。







 ふたたびサールザルへ向かう道中にて、サイトレス・ピットという洞窟を発見したので、ボルガクを入り口に残して内部に侵入する。






 入り口には山賊たちの死体が三つほど転がっていた。
「弓で致命打を受けているな。こいつは…ファルメルの矢か?」
 厄介だな…俺は舌打ちする。






 先へ進んだところでシャラウスを引き連れたファルメル・ウォーモンガーと対峙、激闘の末にこれを破る。
「まさかドゥーマーの遺跡と繋がっていたとはな…ファルメルがいるはずだぜ。いてて…うっかり二刀流で斬りかかったらこのザマだ、強いんだよ、こいつら。たいしたモン持ってないくせによ。ひょっとしたら、さっきのドラゴン相手より苦戦したんじゃないのか…」
 ひさしぶりの活動とあって勝手を忘れており、不慣れな近接戦闘での大惨事である。
 その後は隠密弓による狙撃で慎重に敵を葬りながらの行動となった。






 プラネタリウムのような輝きを放つ天井は一見して幻想的だが、その正体はシャラウスの分泌した体液であり、実態は幻想とは程遠い。
「ドゥーマーの宝箱もなー、仕掛けは凝ってるんだけどなー。これでけっこう、ガラクタしか入ってなかったりしてね。労力に見合わんよなあ」
 サイトレス・ピットの深層、洞窟に巣食うファルメルたちを一掃してのトレジャー確保。
 有り余る財宝を期待したいところだが、そんなにうまい話はそうそうあるわけがない。たいした物が手に入るでもなく、ほぼ骨折り損のままの脱出と相成った。






 外に出て深呼吸、空気がうまい。冷たい風が吹きつけるも、吹雪はやみ、空はすっかり明るくなっていた。
「ちょうどいいや、ここいらの夜は暗すぎて、前が見えないもんだからね。写真うつりも悪いし…まあそれはともかく、ボルガクさんを呼んで、サールザルへ向かうとしますか」

 寄り道ばかりのトカゲ旅、大団円を迎えるのはいったい、いつになるやら…





【 →To Be Continue? 】








 どうも、グレアムです。超ひさしぶりのSkyrim記です。
 あんまりひさしぶりなもんで、基本操作の確認からはじめていたもんですから、とりあえず肩慣らしにとダンジョン一つ攻略しての短い記事となりました。
 なんせ前回から半年ぶりですもん。なにがなにやらですよ。
 じつは思いつきでちょっとしたMODを作ったんですが、今回はお披露目の機会がなかったので、次回にネタを一つ持ち越しとします。














55  56  57  58  59  60  61  62  63  64  65 
カレンダー
09 2024/10 11
S M T W T F S
1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31
最新CM
[11/25 グレアム@店仕舞い]
[11/20 ドンさん(ひさしぶり)]
[05/09 グレアム@サバイバー]
[05/07 ななしさん]
[04/15 グレアム@スレイヤー]
プロフィール
HN:
グレアム・カーライル
性別:
非公開
バーコード
ブログ内検索
Admin / Write
忍者ブログ [PR]