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主にゲームと二次創作を扱う自称アングラ系ブログ。 生温い目で見て頂けると幸いです、ホームページもあるよ。 http://reverend.sessya.net/
2024/10/06 (Sun)00:28
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2016/05/12 (Thu)18:15








「ウワ、引き篭もりのスーパーミュータントとか初めて見るわ。西部の神秘だなあ」

 俺の名はクレイブ、傭兵だ。
 ラジオ放送を介して戦前の巨大カジノ「シエラ・マドレ」の強奪計画に必要な人手を集めていた元BoSエルダー・エリヤと接触した俺は、彼に協力して毒霧と亡霊が漂う観光街ヴィラへと潜入した。
 目下の目的はエリヤがヴィラへ招いた(というか、誘拐した)協力者を集め、シエラ・マドレへ侵入するための手段を確保することだ。
 ひとまず俺は「ドッグ」という名の協力者を探すため、ヴィラ警察署へと向かったのだが…

 東部、というかワシントンにおいてスーパーミュータントは知能の低い殺戮マシンという認識しかなかったため(極々一部に例外はあったものの)、俺には未だに人間並みの知能と自我を持つスーパーミュータントの存在は慣れないのだが、こうまで人間臭いとジョークにすら思えてくる。ナイトキン?マスターズアーミー?なんですかそれ。
「あの~、もし…聞いておられるなら返事をですねェ、して頂きたいのですがァ」
「ドッグおなかすいた…ドッグここから出たい…出してマスター。ますたあぁぁぁぁ」
「聞けって」
 前言撤回、こいつ知能ねぇわ。
 ていうかなんで警察署の玄関のド真ん中に檻があるんだよ。見せしめか。見せしめなのか。これが戦前的パフォーマンス精神ってやつなのか。多分違うと思うけど。
「どうすんだよこれ…」
 エリヤのジジイはこいつを仲間に使えっていうのか?マジで?本気でか?
 鉄格子の前で俺が逡巡していると、ドッグの首輪の盗聴装置にチャンネルを合わせていたラジオから理性的な男の声が聞こえてきた。
『ドッグを檻から出したいか…それならば、警察署の地下に行け。ホロテープを見つけろ…それをドッグに聞こえるように再生するんだ。話をしてやろう』
 はじめはエリヤかとも思ったが、声のトーンの違いからすぐに別人だとわかった。
 しかし首輪に仕掛けられた盗聴装置は、声帯から音声を直接拾う仕組みになっていたはずだ。いったい誰が、どうやって干渉したのか…?
 もっとも腹ペコ青巨人が俺に注意を向けるのを待つよりはマシだろうと思い、俺は謎の声に従って地下へと向かった。
 ホロテープを回収しグラウンド・フロアへ戻った俺は、携帯用の再生装置を使ってホロテープの音声をドッグに聞かせる。ピップボーイを細分割化して体内に埋め込んだとき、ホロテープの再生デバイスは取り除いてしまったのだ。俺には家電製品のように人前でホロテープを体内にセットする趣味はない。なによりあれは、体内に埋め込むにはデカすぎる。まあ、ちょっとした代償の一つというわけだ。
『檻に戻れ、ドッグ』
 ホロテープ再生機のスピーカから例の理性的な男の声が聞こえ、膝を抱えてうずくまっていたドッグがゆっくりと立ち上がる。
 鉄格子の近くまで歩き、口を開いたドッグの声は…さっきの、理性的な男のものになっていた。






「ほう…あの老人が来るものと思っていたがな。見知らぬ者よ、なぜここに来た」
「その老人の代理だよ。あんた、ドッグじゃないな?」
「我が名はゴッド、この肉体の理性を司る者だ。なるほど小賢しい真似をしてくれる…あの老人に伝えることだ、人に物を頼むときは自分で直接来い、とな」
「二重人格ってやつかい?悪いが、俺もここで引き下がるわけにはいかないんでね。さもないと首輪の爆弾が…おい、あんた首輪はどうした」
 命令に背くことを許さぬ爆殺首輪という必殺の殺し文句を出そうとしたとき、俺は目前のスーパーミュータントが身体のどこにも首輪を身につけていないことに気がついた。
 そういやあ盗聴装置から聞こえる音声も妙なノイズが乗っていたが、こいつは…
「首輪?フン、あのちっぽけな玩具か。飢えたドッグが飲み込んでしまったよ。あの老人は私よりもドッグを利用したがるようでな、おかげでそんなトラブルが起きる。ドッグの飢えは底なしで、満たされることはないのだ」
「喰ったぁ!?腹減ってるにしても、もうちょっと分別ってもんがあるだろうによぉ…いや、あんたに言ってもしょうがないのか、これは」
 どうやらドッグ/ゴッド、いや今はゴッド/ドッグと呼ぶべきか、こいつは以前から工作員としてエリヤに使役されていたらしく、エリヤが確保した「協力者」をこのヴィラまで連れてくるのも彼の役目らしい。
 ドッグはもう一つの人格としてのゴッドを認識しておらず、またゴッドはドッグの人格が表に出ているときの記憶がない。
「お前もあの老人の計略に嵌まったようだが…私にはお前を連れてきた記憶がないな。もしドッグに運ばせたというなら、お前が喰われなかったのが不思議でならない」
「運が良かったんだろう。あるいは俺が首輪よりマズそうに見えたのかもな」
 俺は平然とそう返したが、実際は俺は自分の足でここまで来たのだ。そう、俺は他の「協力者」たちとは違う…最初からエリヤに雇われているという点で。
 どうやらゴッドはエリヤの声を聞くことでドッグの人格に入れ替わり、ドッグはエリヤの指示ならなんでも聞くらしい。つまり俺がラジオからエリヤの声を再生すれば、ふたたびドッグの人格を呼び戻せるということであるが…
「あのジーサマに頼んで、ラジオからドッグへ命令させることもできるんだが…ドッグは檻から出たがってるようだしな」
「やめろ!この身体を見るがいい、胸に彫られた名前、全身に巻かれた鎖、傷跡…これはすべてドッグが自分でやったものだ。精神の不安定さゆえに…あの老人はドッグのそんな部分を利用しているのだ。私がこの檻に自ら望んで入ったのは自衛のためなのだよ。私はこれ以上あの老人を喜ばせるつもりはない。もし首輪が爆発して私のはらわたが撒き散らかされるというのなら…そうすればいい」
「死こそ救済、か?死ぬ覚悟があるなら、むしろ檻から出たらどうなんだ。ジーサマに復讐するにしろ、俺を叩き殺すにしろ、内なる相棒をどうにかするにしろ、そこにいたら何も変わらんぞ。それとも、

檻から出るのが怖いのか?」

 俺がそう言ったとき、ゴッドは心底驚いたような顔をし、いまにも俺をぶっ殺しかねない目つきで俺を睨みつける。
 だが、すぐに…ゴッドは天を仰ぎ、大声で笑いはじめた。
「アッハハハハハハハハハ!!破滅と隣り合わせの安全を

手放せ、

と言うのだな?フム、ほほう、小憎たらしい小癪なヒューマンめ!捻り殺してやろうか!ハハハ、なるほど…面白い!よかろう、檻から出てやる」
 挑発とも取れる俺の言葉を、どうやら彼はジョークと捉えたらしかった。
 ゴッドは鍵のかかった鉄格子を掴むと、それを飴細工か何かのように「メシャアッ」と音を立ててひん曲げ、力任せに扉を外して檻の隅に投げ捨てた。
「ああ~…いつでも出られたのね。鍵いらずで」
「当たり前だ。軟弱なヒューマンと一緒にしてもらっては困る」
「ですよねー」
 そんなわけで俺はゴッド/ドッグ…一人目の「協力者」を確保したのであった。







 傭兵の存在は、ヴィラの住宅地区に身を潜めていたディーン・ドミノにとって既に知るところになっていた。
 ミスター・エンターティナー…かつての銀幕のスターだったディーンは二百年もの間このヴィラに潜伏しており、彼もまた、エリヤと同じくシエラ・マドレの強奪計画を企てていた。目的は同じでも、その動機はまったく一致していなかったが。
 徐々に近づいてくる銃声と、つい最近我が身に嵌められたものらしい首輪の感触をなぞりながら、ディーンはとうとう計画を実行に移すときがきたのかと予言めいた確信を抱いた。
 これまでもシエラ・マドレに挑んだ冒険者は大勢いる。
 彼らはみな、シエラ・マドレの、あるいはヴィラの悪辣な罠にかかって死んだか、さもなくば自らの欲に首を絞められて自滅した。まだ、忌々しい自爆用の首輪など存在していなかった頃の話だ。
 どうやら今回裏で糸を引いている人物…エリヤなる老人は、過去の冒険者の失敗に学んだらしい。手駒をコントロールし、仲間割れで自滅しない方法を考えたというわけだ。
 まあいい、最後に笑うのは俺だ…ディーンが内心でほくそ笑んだとき、彼の目の前に傭兵が現れた。






「チェイサァーーーッ!!」
 ズダッ!!
 いきなり建物の屋根の上に飛び乗ってきたクレイブの姿を見たときには、さすがのディーンもビビッた。
「…随分と個性的な登場の仕方だな。てっきり階段から来るものだと思っていたが」
「どうせ罠が仕掛けてあるんでしょ」
「まぁ、な」
 ここヴィラ住宅街には、ディーンが身を守るために仕掛けたブービートラップの山が張り巡らされている。
 それらはゴースト・ピープルと呼ばれるヴィラの住民と、そして良からぬことを企む冒険者の侵入を防ぐために講じられた対策だ。結果としてクレイブの足止めをもすることになってしまったが、クレイブ自身はそのことをあまり気にしていないようだった。

 毒霧や、ゴースト・ピープルなるヴィラの亡霊もさることながら、目前にいるグールが仕掛けたらしいトラップの山にも随分と手こずらされたが、それでも周到な罠を用意できる相手が「協力者」だという事実そのものは歓迎すべきだろうと俺は思っていた。
 まして俺個人を狙ったものでなければ、これらはやって然るべき対策でもある。
「そっちこそ、えらく独創的なトラップの数々で出迎えてくれたじゃないか。いきなりその首輪が爆発しなくてよかったな、旦那」
「爆発?首輪が?」
「そいつは連動式になっているのさ。つまり、今回のカジノ強奪計画に関わる人間、あーっと、首謀者のジーサマは別だが、俺たちの首に引っかかってるこのファンシーアイテムはだな、一人が死ねば、残りの首輪も全部爆発する仕組みになっているのさ」
「脅しじゃあないよな?」
「ならいいがね。こいつは戦前の技術を改良した、見た目より大層なシロモノなのさ。ちょっと疲れたんで、座らせてもらうぜ」
 俺はそう言うと、ディーンの隣に用意されていた椅子に腰掛けた。






 俺が椅子に腰掛けた瞬間、グールがなにやらニヤニヤ笑いを浮かべて口を開く。
「一度座ったら、話が終わるまで立たないほうがいい。そいつには指向性爆薬が仕掛けてある、迂闊に腰を上げると月まで吹っ飛ぶぞ」
「あー、もう!用心深いこったな!?アンタ何者だい、キザなタキシードなんか着ちゃってさ。戦前はジェームズ・ボンドか何かだったんじゃないの?」
「スターだった、という意味でなら、似たようなものだな。俺はディーン・ドミノ、戦前じゃあちょいと名の知れたシンガーだったが、さすがに二百年も経った今じゃあ、誰も知りはしないだろう」
「エ…マジ?あんたディーン・ドミノ?あの大スターの?マジで!?」
「おや、知っているのかな?」
「知ってるもなにも!あんたのポスターは、モハビじゃいまだに人気があるんだぜ!あんたの代表曲、『Saw Her Yesterday』だって、ラジオじゃ定番なんだ!まさかグールになって、こんな場所で生き永らえてたなんて…感動だなあ!サインください!」
 ケツの爆薬の存在など頭から吹き飛び、子供のようにはしゃぐ俺の様子を見てグール…ディーン・ドミノはいささか複雑な表情を浮かべた。
 ディーンは核戦争から今日に至るまでずっとこのヴィラで過ごしていたらしく、外の世界…モハビの事情を知らない。まさか、自分の存在が未だに人気を保ち続けているなどとは考えたこともなかったのだろう。
 未練か…渋い表情を浮かべるディーンに、俺は話しかけた。
「ともかく、いま俺たちが置かれている状況はだいたい把握していると思う。俺たちを集めたジーサマは、俺たちを駒のように使ってシエラ・マドレの強奪計画を企んでる、俺たちは身の自由のために…癪ではあるが、ヤツの言うことを聞かなきゃならないってわけだ」
「それはわかったが…なぜ、君なんだ?」
「ン?」
「集められたのは全部で四人なんだろう?スカウト役はべつに他の人間でも、たとえば俺でも良かったわけだ。そうじゃないか?ところが俺には事前にオファーもなく、同じ立場であるはずの君が契約書類を持ってやって来たというわけか?これは筋が通らないだろう」
「…こういう状況で、首に輪っかを嵌めてるだけじゃ信用できないか?」
「かもしれん。たとえばその首輪は偽者で、君だけが安全圏にいるのではないとどうしてわかる?もっとも、実演してみせるわけにもいかないだろうが」
「できるなら俺だってケツで椅子を温めていたかったさ。このくそったれな街中を駆けずり回るんじゃなくてな。それじゃあ説明にならないか?イカレたジーサンの狙いなんか、どうしてわかるもんかね」
 どうやらディーンは俺の正体を正確に疑っているようだ。
 もっとも俺としては口を割るわけにはいかないし、このままダダをこねても首の輪っかが外れるわけじゃないとディーンが諦めるまで嘘をつき通して粘るしかない。
 そうした顛末を予測したのか、ディーンは不服そうにため息をつくと、口を開いた。
「仕方がない。協力しよう、だが…

相棒、そう呼んでいいよな?

相棒が言ったように、あのジジイはイカレている。狂人の言いなりのままってのは幾らなんでもあんまりだ、そうじゃないか?ああいう手合いが、ちゃんと褒美の飴を投げてくれるかは疑わしい。違うかね?」
「それについちゃあ、異論の余地はないね」
「理解しているならいいのさ。それじゃあ、行こうか」
 どうもディーンは俺を懐柔したがっているらしい。もし俺がエリヤの「忠実な」手駒だったとしても、あの老人が裏切る可能性は考えておけと…もちろん、俺だってそんなことは織り込み済だ。
 もっともディーンは、俺たちの会話がエリヤに盗聴されていることまでは知らないだろうが。今の会話を聞いて、あくまで俺が説得のために納得したフリをしたのだと理解してくれればいいが…ヒステリーを起こした女学生のように爆弾の起爆スイッチを押す可能性もなくはない、ということに思い当たり、俺はわずかにゾッとする。
 立ち上がると、椅子から「ニ゛ャー」という奇妙な鳴き声がした。クッションを剥がし、中に戦前のティラノサウルスの玩具が入っていることを確認した俺は、たいして驚いた様子も見せずに言った。
「こんなこったろうと思ったよ」
「気を悪くするなよ、相棒。大人同士の話をするためのお作法ってやつだからな」
「ああ。あんたがこいつを縦に置かなかったことに感謝するよ、

相棒」

 こうして二人目の「協力者」も確保し、俺は最後のメンバーが待つ医療地区へと向かった。







 ヴィラ医療地区の診療所でオートドクターから発せられる異音を聞きつけた俺は、モニターが異常な数値を検出していることを確認すると、すぐさまプログラムをオーバーライドして動作を停止させた。
 そもそも三人目の「協力者」についてはおかしい部分が多かった。
 首輪の盗聴装置からはくぐもった苦悶の声や機械音しか聞こえず、その様子の異常さは首輪を飲み込んだドッグに引けを取らない。ていうか、まともなのディーンだけだったじゃねーか。
 ハァ…
 緊急停止したオートドクターの扉が開き、中から出てきたのは…






「ギャーッ般若!?」
 デデーン。
 肩を上下させ、物凄い剣幕で睨みつけてくるスキンヘッドの女性を目前に俺は思わず失禁しそうになった。だって、すげーおっかない顔してるんだもん!
 どうやら何者かがオートドクターの設定を故意に変更したらしい、痛々しい顔面の切開跡もさることながら、俺が到着するまで異常な施術による激痛に耐えてきた女性はいまにも倒れそうだったが、それでも意思の力でどうにか踏ん張っていた。
「あの…それ、俺がやったんじゃないからね?むしろ助けた人だからね?だから怖い顔すんのやめてくんないかなァ…」
 腰のあたりを手で探る女性…明らかに銃を抜くときの手つきだ…に、俺は弱々しく頼みこむ。
 やがて諦めたのか、女性は自分が置かれた状況を理解しようとし、武装解除されたこと、そして…声を出せないことに気がつくと、愕然とした表情を見せた。
 おそらくオートドクターによるヤブ手術の影響だろう。どうりで盗聴装置から人間の言葉が聞こえてこないはずだ…俺は胸ポケットからメモと鉛筆を差し出し、それを使うよう女性に言ってから(耳は聞こえるようだ)、質問をした。
「ところで、あなたの名前なんてーの?」
 この質問に女性はひどく驚いた様子を見せ、信じられない、という目つきで俺を見返す。
 俺はこめかみを掻いたあと、さっき渡したばかりのメモをひったくり、素早く文字を書き加えて彼女に返した。
『盗聴されてる』
 その短い文章を見たあと、ふたたび俺のほうを向いた女性に、俺は首輪をトン、トンと叩いてみせた。それから肩をすくめ、マスクの下で片眉を吊り上げる。
 女性はなんとも深い絶望のため息をついてから、力なくメモに名前を書いて寄越した。
『クリスティーン』
「なるほど、クリスティーンね。良い名前だ、惚れるぜ」
 軽口を叩く俺を、女性…クリスティーンはただ黙って睨みつけた。
 だからその顔で睨むの本当にやめてほしいんだけどね、マジで怖いから…
 ある意味で彼女が声を失ったのは都合が良いのかもしれない、などと罰当たりなことを考えながら、俺はなるべく彼女の顔を見ないようにして言った。
「俺たちはシエラ・マドレのカジノ強奪のために集められたんだ。ここに居るってことは、何も事情を知らないはずはないと思うが…ともかく、あんたには協力してもらわなくちゃならない。この首輪には爆薬が仕込まれてて、俺たちを嵌めた老人に逆らったり、あるいは誰か一人でも仲間が死ねば連鎖爆発を起こして全員死ぬ」
 唐突に告げられたこの衝撃的な事実を、しかしクリスティーンはすぐに呑みこんだようだ。
 いまの彼女には事態の進展よりも、むしろ目下の肉体的な疲労のほうがこたえているに違いない。
「少し休んだほうがいいんじゃないか?あのジーサマも、すぐに連れて来いとは言わなかったしな。三十分くらい、そこの寝台で横になりなよ。俺が見張ってるからさ」
 わりと真面目に気遣う俺を、しかしクリスティーンは

余計なお世話だ

と言わんばかりにはねのけ、俺の脇を通り過ぎた。

「…つれないねぇ」

 ところで武器は持っているのか、と尋ねようとしたとき、クリスティーンは寝台の上に乗っていた黒いプラスチック製のケースを取り出し、目の前に掲げる。
 中に小型の銃でも入っているのか…そう思った瞬間、彼女はケースの表面に出っ張っていたレバーを引き、瞬く間に箱型のケースをストックつきのマシンピストルへと変形させた。






 ガチャン!
「おおお…たいしたオモチャだねえ」
 原型はグロックかな?
 根っからのガンマニアゆえ、俺は彼女が扱う珍しい銃にしばし目を奪われたが、彼女の咎めるような目つきに気づき、そんな場合ではないことを悟る。
 先頭に立ちたがるクリスティーンを制しながら、俺はどうにかポイントマンの役を譲らぬよう彼女を背中で押しやり、クリスティーンの不服そうな表情を無視して歩きはじめた。







 エリヤのホログラムが配置された、ヴィラ中央の噴水の前に集結した俺たちは互いに面通しをしたあと、決意も新たに次なる指令を待ち受ける。
 それぞれの思惑を抱えながら…






「おめーら、いくぜあっ!」
『(…こいつらで大丈夫かなあ……)』
 一抹の不安を拭えないエリヤの心情など知る由もなく、俺たちはどっかの誰かに向けて意味もなくポーズをとった。





< Wait For The Next Deal... >








 どうも、グレアムです。Fallout: New Vegas、Dead Money第二回です。キャラ紹介の回とあって画像の枚数に比べ文章量がやや多めになってしまいました。これでもかなり削ったんですが…こいつらけっこう初回のやり取りが長いので、そこを糞真面目にやってしまうと文字数ばかりやたら増えてしまうんですよね。
 他の方はどうしてるんだろうと思って参考までに色々な二次創作を見てみると、けっこうあっさり流してる場合が多い(笑)ここらへんはどこに比重を置くかによるんでしょうねー。









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2016/05/10 (Tue)18:43








「ひっでー空気だね、いやしかし。俺喘息持ちだからさぁ、こういうのキツイわけよ」
『喘息だと?』
「ウソでーす」
『…… …… ……』
「あ、その『いますぐ首輪の爆弾を起動させてやろうか』って目で見るのやめてもらえます?超おっかないんですけども」
 ホログラムを通して睨みつけてくる老人を前に、俺はやや大げさにおどけてみせた。

 俺の名はクレイブ、傭兵だ。
 ワシントンからはるばるネバダまでやって来た俺は、ピップボーイのラジオがキャッチした妙な放送の呼びかけに応じてモハビ東部に位置する地下掩蔽豪へと向かった。
 そこで待ち受けていたのは野望に取り憑かれた老人と、世紀のカジノ強奪計画だった…










 少し時間をさかのぼって、俺があの陰気な毒霧の充満する街へ向かう前の話をしよう。
 シエラ・マドレ・カジノがオープンした…そう告げる女の声を聞いたとき、俺は思わず耳を疑った。ラジオ放送の内容は来客を歓迎するといった趣旨で、その放送は通常使われていない周波数を使っていたから、ピップボーイの自動チューニング機能がなかったらまずキャッチすることはないだろう。
 ともあれ放送の発信源へ向かった俺は、そこに軍用…BoS、鋼鉄の同志。俺にとってはなんとも馴染みのあるシンボルが描かれた地下掩蔽豪を発見し、梯子を下りて先へと向かった。
 バンカーの中には様々な設備が揃っており、そして一人の老人が佇んでいた。
「なかなか良い穴ぐらじゃないの」
「ほう、ラジオの放送を聞きつけて来たか…ピップボーイ所持者ではないところを見ると、周波数のチューニング中に偶然電波を拾った、というところかな?」
 どうやらラジオ放送の発信者らしい老人はそう言い、感嘆とも落胆とも取れぬため息をついた。
 実際のところ、俺はピップボーイ所持者なのだが…以前ワシントンに居た頃、リベットシティで連邦の技術者にワイヤード・リフレクス(強化反射神経)の手術を行ってもらう際、ついでにピップボーイも細分割化して体内に埋め込んでもらったのだ。
 もっともモニターやスピーカといった、かさばる外部出力パーツはオミットしてしまったので、そのせいで不便を被ることも、なくはなかったが。
 とりあえずそのことを話す必要なないだろう、などと考えていたとき、老人がピストル型の装置を取り出し、俺に向けてトリガーを引いた。
「少しの間、眠っててもらうぞ」
「!?」
 バシュッ!!
 まばゆい閃光とともに俺は視力を奪われ、やがて気を失って昏倒…するはずだった。
 普通の人間なら。
「Wow、wow!いきなりだなジーサン!?」
「…なに、通用しないだと!?」
 おそらくは視神経から脳に作用するタイプの麻酔銃だろう、たしかパラダイス・フォールズの奴隷商人が扱っていた…メスメトロン、とかいったか…それと同種の装置を構えたまま、老人は見るからに狼狽した。
 すぐさま他の銃…今度は殺傷能力のあるやつだろう…を抜こうとした老人を、俺はなんとかして止めようとする。
「ままままま待て待て待て、Hey、hey、hey!ちくと待ったらんかいな!あんた、元BoSの人間だろ!?俺はあんたに手を貸しに来たんだぜ!」
「なんだと?貴様、なにを知っている」
「あんた、ビッグ・マウンテンに居たろ?俺もあそこに居たんだよ、同じ時期に…ザ・シンクのイカレた脳味噌ども、あいつらに改造されてな。見な、この手術跡を。麻酔銃が効かなかったのはこいつのおかげさ」
 早口でそうまくし立て、俺はマスクを外してみせる。
 以前の美貌(ここは笑うところだぜ)はどこへやら、痛々しい切開跡の残る外貌を見て、老人は警戒を解くことこそなかったが、興味深い様子で俺の顔を観察した。
「ほう、これは…たしかに、シンクのロボトミー手術と同じものだ。まさかこの手術を受けて、自我を持ったままあの場所を脱出できる者がいたとはな」
「あんたのことも知ってるよ。エルダー・エリヤ…元、エルダー、かな。BoSの最高権力者、だった、だろ?俺はある筋からの依頼を受けてビック・マウンテンの調査に行ってたんだ」
「誰からの依頼だ?」
「それは言えねえ、俺は傭兵だ、わかるだろ…とにかくだ、情報を調べてるうちに、あんたの素性と、ザ・シンクとシエラ・マドレの関連性を知ったんだ。あんたがシエラ・マドレへ向かったってこともな。あんた、ヘリオス1での意趣返しがしたいんだろ?」
「知りすぎることは寿命を縮めるぞ、小僧…どこでそれを知った」
「職業柄、色々知りたくないことも耳に入るもんでね…とにかく、ビッグ・マウンテンでの仕事を終えたあと、俺は偶然あのラジオ放送を聞いたんだ。すぐにアンタの計略だとピンときたね。だから、俺も計画に一枚噛ませてもらおうと思って来たのさ」
「狙いはなんだ?貴様の目的は」
「俺はBoSやNCRに興味なんかない。まして、アンタの個人的なシンパでもない。戦前の技術にも興味はない。俺が興味を持ってるのは金(キン)、それだけだ。シエラ・マドレには莫大な財産が眠ってるらしいじゃないか、俺はそいつをさ、そうだな、あんたが悲しくならない程度のお宝を貰えりゃあ、それでいいのさ」
「金が目当てか…フン、わかりやすいな。傭兵が自分から売り込みに来るだと?信用できんな。だが、フム…貴様自身がザ・シンクの成果物だというのは興味深い。それがここに立っているということ、それだけで多少は腕に見込みがあるというわけか」
 そう言うと、老人…BoSモハビ支部の元エルダー、ファザー・エリヤは不遜な態度で俺を見下ろした。
 かつてモハビBoSは、ヘリオス1という巨大な発電施設を拠点に活動していたことがある。やがて彼らはNCRと交戦状態になり、防戦に適さない場所での戦いでモハビBoSは半壊。当時の責任者であるエリヤは解任と同時に行方をくらまし、生き残ったBoSの残存部隊は地下施設での隠遁生活を余儀なくされた。
 なぜただの太陽光発電施設であったヘリオス1にエリヤが固執したのかはわからない。彼は再三の撤退要請を無視してヘリオス1に留まることを部下に強制したのだという。
 ともかく…俺は、とある任務でビック・マウンテンに向かったとき(詳細は話すと長くなるので割愛する)、エリヤがそこで戦前の技術を研究し、さらなる成果を求めてシエラ・マドレに向かったことを知ったのだ。
「シエラ・マドレには戦前のロスト・テクノロジーが大量に眠ってるそうじゃないか。あんたの目的はそいつだろ?まあ、金も欲しいだろうけどさ…ともかく、俺は個人が満足できる額の金が手に入ればそれでいいワケ」
「胡散臭いやつめ。だが、私の計画には腕の立つ人間が必要なのだ。金で傭兵を雇うか…なるほど、たしかに合理的ではある、が」
 その後もエリヤは散々俺のことを疑って協力を拒否しようとしたが、俺の粘り強い説得の甲斐あってか遂に折れ、シエラ・マドレ強奪計画の主要人物として俺を起用したのだった。










『多少は手の内の知れた仲とはいえ、作戦中はお前のことは他の協力者とおなじ駒として扱う。依存はないな?』
「ないけどさあ。協力者って…麻酔で眠らせて死地に放り込んで脅迫するのが『協力』とはね」
 銃の装弾を確認しながら、俺はマスクの下でエリヤのホログラムに呆れた眼差しを向けた。
 シエラ・マドレ強奪計画には人手が必要だ…たとえ俺がどんなに凄腕のエース・プレイヤーだったとしても(自惚れと言ってくれて構わないんだぜ)、一人でベースボールはできない。
 エリヤは俺を雇うより先に、数人の手駒を揃えていた。もっとも俺が来るより前に何度か計画を実行に移し、失敗していたようだが…それは数に含めないとして、そういう連中を俺はこれから仲間に引き入れる必要がある。
 なんたって俺に使ったような麻酔で気を失わせ、監禁し、あまつさえ戦前の技術…ビッグ・マウンテンで手に入れたものだろう…の粋を凝らした自爆首輪を嵌めているのだ。素直に協力するはずがない。
 とりあえず命令に逆らえば首輪を爆破する、という殺し文句に従ってくれることを祈るしかないが…こいつはエリヤの指先一つで頭を吹っ飛ばせる代物だ…俺、トークは苦手なんだけどねぇ。
「他の連中を信用させるため、とはいえ、俺にまで本物の爆殺首輪を嵌める必要はなかったんじゃないの」
『駒の中には戦前の技術に精通している者もいる。爆薬や信管を抜いた偽者(フェイク)をつけていればそれに気づき、君の正体を怪しむに違いない。君にはあくまで彼らと同じ被害者であるという役を演じてもらわなければならない、それでなければ彼らを説得はできないだろう』
「へぇ…知り合いでもいるのかい」
 その質問をエリヤは無視した。まあ、いいだろう。
 もちろん、俺にも首輪を嵌めたのは裏切りを予想したうえでの保険だということはわかりきっていた。だが、それを口に出してジーサマの機嫌を損ねることもないだろう。お互いにわかったうえでやってることだ。要するに、大人のビジネスってやつである。
 おそらくこの忌々しい首輪のほかにも、エリヤは二重三重のセフティ(安全措置)を設けているはずだ。でなければ、いきなりやって来て「あんたの正体を知っている」などと吹聴してくる得体の知れない男など雇ったりするはずがない。
 こっちもそれは織り込み済だ。まあ、なんとか…上手くやるしかないな。
『作戦中は特定の周波数を使って君に指示を出す。また、首輪の盗聴装置を通して協力者の会話を拾える専用の周波数もセットした。ラジオは持っているな?』
「もちろんよ」
 そう答え、俺は腰のベルトから携帯型のラジオを取り出してみせた。
 実際は内蔵ピップボーイからダイレクトに聴覚へ伝達させることができるのだが、いまのところ俺がピップボーイ所持者、もとい内蔵者だというのはエリヤに明かしていない隠し玉の一つだ。
 俺が指示を小型ラジオから聞いているか、それとも内蔵ピップボーイから聞いているかまでは、さすがのエリヤでも知る方法はない。周到な盗聴/盗撮環境を用意しても、抜け穴というのは必ずあるものだ。
「さて、まあ、それじゃあ…行きますか」
 色々と不便が多い任務ではあるが、過去にだっていきなりレイダーの巣窟に奴隷として放り込まれたり、宇宙人に誘拐されて全裸に剥かれたりしたのだ。この程度の障害は日常茶飯事である。
 俺は武器を構え、エリヤが言うところの「協力者」を探しに出発した。
 毒霧が漂い、亡霊が彷徨う死者の街「ヴィラ」で…





< Wait For The Next Deal... >








 どうも、グレアムです。Fallout: New VegasのSS日記外伝、Dead Money編開始です。
 今回は最初からエリヤの協力者としてヴィラに潜入しているため、装備は取り上げられていないという設定です(首輪はついていますが)。そのうえ他の三人には「自分も同じ被害者である」という演技をする必要があるので、これはもう虚々実々の騙し合いになるわけですな(あんまりそういう要素に比重を置く予定はありませんが)。 
 クレイブはエリヤとほぼ同時期にビッグ・エンプティへ訪れているのですが、そのへんのエピソードは今後書く予定なので今回は詳細は触れません。というか、その事実こそが今後の伏線になってたりするので。
 またHonest Heartsが若干シリアスに寄りすぎたので、今回は若干ギャグっぽいテイストにする予定。












2016/05/08 (Sun)07:52





 俺の名はクレイブ、傭兵だ。
 これはまだ俺がネバダへ到着する前、東部から延々とバイクを走らせていた頃の話だ…










「ヘアッ!」
 おん。
 盛りあがった地面に乗り上げたバイクが唸り声をあげてかっ飛び、うっかりハンドルから手を離してしまった俺はそのまま宙に投げ出されて無様に転がり落ちた。






「いてえええぇぇぇぇえええ!!くおお~~~…ガッデム」
 苦悶の声を上げながら俺が上体を起こしかけたとき、俺の真似をするようにバイクが地面に激突し、回転しながら転がっていく。
 ガッチャン、ゴアッ、ギギギガガガン。
 なにやら派手な金属音がするが、正直、俺はバイクが自分の上に落ちてこなかったことを幸運に思った。もっとも、そんな気持ちはすぐに吹き飛んでしまったのだが。
 乾燥した固い地面の上をしばらく滑走したのち沈黙したバイクは黒煙を吹き、やがてエンジン音が停止した。それでなくとも、あちこちのパーツが散乱しているさまを見れば、まったく無事なようには思えない。
「あーあ。ヤバイか?」
 他人事のようにそうつぶやきながら、俺は傷む脚を引きずり、バイクの様子を見る。
 いかん、ダメだ。手持ちの道具では直せそうにない。それでなくともこれはもう、修理工場ではなくスクラップ工場行きの案件だ。
「だいぶ無理させちまったもんなー」
 なにせワシントンからニューメキシコまでこいつ一つで爆走してきたのだ。無理もない。
 いまごろはアリゾナか、それともユタか…






 面倒なことは何も考えずに、ただ不毛の荒野を鉄馬で駆け続ける。
 楽しいことは楽しかったが…物事の終わりってやつはいつでも呆気ないもんで。
 俺はマスクを外し、煙草に火をつけ一服しながら、周囲を見回した。
 自分が今いる場所の正確な位置などわからない。いまとなっては戦前の地図はあまり立たず、戦後に地図を作るような酔狂者もそう多くない。
「ハァ…で、ここどこよ…」
 見渡す限りの山、山、山。
 文明の残滓などどこにも見られず、荒れ果てた自然のほかに何も存在しない空間で、俺はただ一人、途方に暮れた。










 たっぷり途方に暮れ、絶望し、ようやく人生の終わりがやってきたか、それにしてもこんな場所で取り残されて乾いて死ぬのはイヤだな…まぁ銃弾の手持ちはあるから、いざとなれば頭を吹っ飛ばせばいいわけだが…などと考えていたとき、バイクが破裂音を立て、火を噴きはじめた。
「おっと、グズグズできねぇな。なんにせよ…ここでボンヤリしててもしょうがねぇ」






 俺はライフルを手に、周囲に野盗やクリーチャーの類がいないことを確認してから、訥々と歩きはじめた。



 その後、喉が渇いて死に掛けていた俺はNCRのパトロール部隊に拾われ、モハビへと繋がる補給路を辿ってある場所に到着した。
 俺がモハビでの活動に関わるきっかけとなった場所。創造と破壊の象徴。俺が作り、そして壊すことになる場所。
 古きアメリカが眠る呪われた土地、ザ・ディバイドへ…





< Wait For Next Deal... >








 どうも、グレアムです。今回はほぼ思いつきでヤマも何もない小エピソードを書いてみました。
 今回登場した場所はModではなく、バニラのマップ外エリアです。いわゆる世界の果てというヤツです。マップ外に出る方法は幾つか存在すると思われますが、俺が試したのはモハビ前哨基地から出る方法。
 ロング15へと続く南へのゲートはLonesome RoadでNCRに核を撃ち込んでいない場合、鍵が必要だと表示されます。試しにコンソールのUnlockコマンドを使ってからActivateしてみると…なんとロング15へは行かず、そのままゲートが開いちゃうんですよ。
 そこからマップ外の世界へ冒険できます。
 別に何があるってわけでもないんですが、これが存外に広いんですよね。マップの切れ端に到着するまでかなりかかります。また切れ端の先には海(めっちゃ浅い海域)が続いてるんですが、これ、たぶん無限に続いてるような気が…

 まあそんな感じで、マップの外に行ったときにたまたま思いついた話を今回は形にしました。
 バイクで一人旅、というのはHonest Hearts編の冒頭で出したネタなんですが、エピソードとして書く予定はなかったし、まあ丁度良いかなと思いまして。
 ちなみに素顔が出てる画像、コンソールからチマチマ数値変えて表情作ったんですが、なんとなく喧嘩商売or稼業の表紙っぽく作れて気に入ってます。













2016/05/06 (Fri)18:26






シルバーラッシュの前でゴースト・ピープルと握手しよう!
「おいなんだコイツら、客か?客なのか!?」







 どうも、グレアムです。このところニューベガスで色々実験してました。






 たとえば世界の果てに行ってみたり…






 ミステリアス・ストレンジャーをNPCとして呼び出してみたり…
 このおっさんとミス・フォーチュンは標準設定の場合、戦闘には参加してくれない(VATSで呼び出さないと戦ってくれないらしい)。なもんで色々と設定をいじってたら、プレイヤー以外のNPCを見境なく殺すようになってしまった。出現と同時に一般人もバラモンも皆殺しとか怖すぎる…しかもこのひと、なんかめっちゃ死体撃ちするんですよ。
 そんな与太話はともかく…
 戦闘に参加しないNPCはAssistance項がHelps Nobody(誰も助けない)に設定されており、敵対NPCやクリーチャーが登場したときに戦闘に参加させるにはここをHelps Friends and Allies(同盟と友人には加勢する)に設定すればOK。間違ってAggressionやConfidenceを好戦的に設定すると、上に書いたようにレイダー化するようだ。






 せっかくなのでミス・フォーチュンを三体同時に召喚してフィーンドと戦わせてみた。






 登場と同時に発砲して敵も味方も自分ももろとも吹っ飛ばした図。






 バンバン敵(&味方&自分)を吹っ飛ばすので見た目は派手なんだが、いまいちダメージが低く全然戦いが終わらない…






 一度データをロードし、今度はミステリアス・ストレンジャーを一人だけ呼んでみると、一瞬でフィーンドを壊滅させてしまった。有能すぎる…というかミス・フォーチュンが微妙すぎる…

 ミス・フォーチュンの銃(Miss Fortune's Bad Luck Bringerなぞという大層な名前がついている)にはノックダウン効果が付与されているのだが、なんとBase Damageがたったの10!そんだけ。
 ちなみに.22口径ピストルのダメージが9、9mmピストルのダメージが16であることを考えると、いかに低いかがわかるだろう。
 一方、ミステリアス・ストレンジャーの使う.44 MagnumのBase Damageは9000。しかもクリティカル倍率100(Miss Fortune's Bad Luck Bringerは1)。チートってレベルじゃねーぞ。当たれば誰でも一発で死ぬとかヤバすぎる…さすがは守護天使だぜ。
 ちなみにミステリアス・ストレンジャーとミス・フォーチュンの防具は同一のものです。男女別にMeshを設定する、という仕組みを利用しておるのですね。男があの派手派手なカーニバル衣装に身を包むことはできんというわけです。
 このMysterious Stranger Outfitを装備すれば、あなたも見知らぬおっさん&おばさんに変身することが可能だ。防御性能0だがな!
 Mysterious Stranger OutfitはNPC専用装備ではないので、プレイヤーでも着用することができる。もっとも通常では手に入らないアイテムなので、コンソールから入手するか、どうにかしておっさんorおばさんを殺して剥ぎ取ってください。といってもおっさん&おばさんは不死属性持ちなので、いずれにせよコンソール使うかデータ改造する必要があるんですが。







 一部NPCやコンパニオン等の死体から剥ぎ取ることのできない装備にはNPC専用属性が付与されており、よしんばコンソール等から入手したとしても決してインベントリには表示されないようになっている。
 もっとも入手した場合にはインベントリの重量がきっちり増えており、内部的にはちゃんと所持している扱いになっている。Falloutに限らずTESシリーズもそうなのだが、何もアイテムを持っていないにも関わらず所持重量が嵩んでいる場合はこうしたインベントリに表示されないタイプのアイテムを知らないうちに所持している可能性が高い(特にSkyrimでは自動収拾系のModを使用していると、インベントリに表示されないゴミアイテムを大量に拾ってしまうケースが発生しやすい)。

 少し話が逸れた。
 NPC専用アイテムを普通に扱えるようにするにはGeneral FragsのNon-Playableを外してやればいいのだが、いちいちGECKやらFNVEDITやらを起動するのは面倒だ。
 もし内部的にアイテムを所持しているなら、コンソールからEquipItemコマンドを使えば装備自体は可能だったりする。ただし防具に限るが(武器は装備した瞬間に外れてしまう)。…いや、こっちのほうが逆に面倒か。
 その場限りの画像撮影に使うなら有用だが、普通にゲームで使いたい場合はデータを改造しましょう。
 といっても、New Vegasで特徴のあるNPC専用装備っていうとキャスの服くらいしかない気もするが…他になんかあったっけ?




キャスの服を試着。モハビ前哨基地にて



 そういえばキャスの帽子を脱がせたことがなかったので、RemoveItemコマンドを浸かって髪型をチェックしてみた。




キャスじゅうななさい?&キャスさんじゅうななさい。



 …まあ、だいたい予想通りというか。
 キャスって帽子は普通にプレイアブル装備でしたっけ?
 ちなみにDead Moneyのゴースト・ピープルはNPCではなくCreatureで、あの服装は装備品ではないため、あの格好をしたい場合はModを入れるしかありません。いちおうFOOKにも入ってるんですが、登場するのがマスクのみかマスクと服の一体装備の二種類で、服のみマスクなしという組み合わせができないというちょっぴり残念仕様であった。
 Meshとデータをいじればいいんだろうがなー。実際はそう大した手間でもないんだが…















2016/05/04 (Wed)05:33






歴史を学ぶということは、歴史を繰り返すことじゃない







 どうも、グレアムです。先日Fallout: New VegasのDLC第四弾Lonesome Roadをクリアしたので、今回は個人的なユリシーズ観を雑記として記したいと思います。
 本来ならそのへんは今後書くであろうSS小説に反映させる形にしたかったんですが、飽き性の自分のことだからそこまで書けるか(そこに至るまで自分の感想を忘れやしないか)ってのと、とりあえず記事にすることで一度考えを纏めておきたいと思ったので。

 前書きとして、ユリシーズの説得が困難を極める原因についてですが、これはユリシーズの言葉があやふやで意味不明でポエミィだからというより、単純に「それまでのセオリーが通用しない」せいだと思います。
 例えば…とりあえず一番上の選択肢を選んどけば大丈夫、スピーチチャレンジを成功させれば大丈夫、なるべく挑発しないよう穏便に進めれば大丈夫…じつはこれ、全部アウトです。
 ここいらへんのデザインはもうObsidianのイヤらしさ大爆発というか、ちゃんと自分で考えてユリシーズの真意を汲まなければ説得できないようになってるんですよ。
 何度か試せばわかるんですが、彼を説得できるルートは一つじゃありませんし、スピーチチャレンジを成功させる必要もありません(これはプレイヤーがどの勢力についてるのか、またED-Eとの会話やホロテープの回収状況にもよるかもしれませんが…)。プレイヤーキャラの能力ではなく、プレイヤー自身のSpeech能力が問われるわけです。まあ俺も相当回数説得失敗してるので、偉そうなことは言えないんですが…
 迂闊に口を滑らせると即敵対するため「沸点低すぎるだろ!」と思わなくもないんですが、おそらく失敗の選択肢はユリシーズ的に「そこは間違えちゃ駄目だろ」というポイントであると思われ、ユリシーズの立場で考えれば致し方ないのかな…という気もします。運び屋としてはたまったもんじゃありませんが。




実は和解ルート選んだのは今回が初めてです




Two Couriers, together, at the Divide!
なにこの熱い展開…







 それじゃあ、本題。ユリシーズって、どういう男なんだ?

 まず、ユリシーズは旧世界の流儀というのが大嫌いである。特に、旧世界のやり方に固執するNCRはめっちゃくちゃ毛嫌いしている。ゆえにリージョンなんぞになびいたりしたのだが、リージョンのやり方もまた自分の求めた理想とは違ったので、これも現在は支持していない。
 なぜ旧世界の流儀が嫌いなのかというと、旧世界と同じ方法で生きるということは、旧世界と同じ過ちを犯すということだからだ。NCRは歴史(過去の政府)を模倣しながら、歴史から学ぶということをしない、という点をユリシーズが殊更強調するのはそのためだ。

 また会話中にユリシーズは運び屋を「恨んではいない、むしろ君から学んだ」と言うが、これはおそらく本心だろう。
 運び屋は信念も正義もなくディバイドを作り、そして滅ぼした。その結果ユリシーズは死にかけ、自分にとっての理想郷になるかもしれなかったディバイドの惨状を見て愕然とする。
 だが、同時に気づきもしたのだ。運び屋は旧世界の流儀に囚われない、新しい世界を作れるのだと。そして、世界を滅ぼすこともまた容易くやってのけるのだと。「信念などなくても」。
 ならば、信念があるなら?確固たる決意のもと、ふたたび歴史の過ちを繰り返そうとしている世界を破壊し、新しい世界を作ることもまた可能なのではないか?歴史を知り、過去に敬意を払い、同じ過ちを繰り返すことのない、まったく新しい世界を…
 おそらくユリシーズが運び屋を呼んだのは、そのことに気づかせたかったからだと思う。過去の復讐のためではなく。ただ過ちを断罪するためでもなく。だからユリシーズは、運び屋がそのことを理解できないと判断した瞬間に攻撃を決断する。
 ミサイルサイロで対面した時点で、おそらくユリシーズは運び屋にあまり期待を持っていない。ただ、運び屋には自分がまだ理解していない未知の可能性があることを知っていて、そこに一縷の望みを託そうとしている。

 ユリシーズが核でモハビを焼こうとするのは、破壊そのものが目的ではなく、旧世界の流儀に囚われない新たな世界を築くための、再生のための破壊だ。ユリシーズにとってモハビはすでに旧世界の流儀に染まりすぎており、核の力を頼らなければ再生は不可能だと考えている。
 本来ならそれは、グレイト・ウォー…世界が滅びた瞬間、核戦争のあとに起こらなければならない変化であったはずなのだ。
 アメリカは滅びた。過ちを犯したからだ。
 ただ、同時にそれはチャンスでもあった。滅びきった世界で、過去の過ちから教訓を学び、まったく新しい世界を築くこともできたはずなのだ。だが、そうはならなかった。
 破滅の荒野で、決して元通りにはならない世界で、人々は旧世界の流儀にすがることしかせず、恐怖あるいは無知ゆえか未知の可能性を試そうともせず、ノスタルジーに浸り、ひたすら旧世界を再現させることに腐心した。そして旧世界と同じ過ちを犯している。

 それがユリシーズには許せないのだろう。だから彼は言うのだ。
「戦争が変わらなければ、人間が変わらなければ駄目だ」と。

 そして彼は人間を変えるため、核の力を使って今一度世界の再生を試みる。そのためなら、ユリシーズは「無辜の命がどれだけ犠牲になっても構わない」と考えている。
 運び屋がユリシーズを説得するなら、その必要がないことを理解させなければならない。
 ユリシーズは「今度は俺が君の故郷を滅ぼす」と言う。復讐のためではなく、自分がかつてディバイドを滅ぼされたときに学んだことを、運び屋に伝えるために。
 それに運び屋は信念をもって応じなければならない。最終的にどのシンボルを背負うにせよ…「お前の運んだメッセージは伝わった。フーバーダムに立つとき、俺は昔と変わらぬ戦争を戦い、そして人間を変える。破壊と再生…お前が核なんか使わなくても、それは可能だ」と。




意外と手榴弾の扱いにも長けているユリシーズ




生命の花 咲かせて思いっきり もっとバリバリ(銃声)!







 ユリシーズが旧世界の旗印を背負っているのは、それは彼が過去の人間だからだろうか。
 核戦争を経ても変わることのなかった人間に、旧世界の力を使い、旧世界の過ちの象徴としてユリシーズは立ち塞がる。変わらなければ、同じことの堂々巡りだと証明するために。
 なぜそんなことをするのかといえば、彼は変われることを知っているからだ。運び屋の存在によって。運び屋の真意がどうであったにせよ…
 そしてユリシーズは運び屋のために生きた。運び屋にメッセージを伝えるため。運び屋ではなく、ユリシーズ自身が破壊と再生の担い手になっても良かったはずなのだ、運び屋など無視し、第二の理想郷を築いてもよかったはずなのだ。だが、それはしなかった。新たな世界を作るには、運び屋の存在があまりに大きく無視できなかったからかもしれない。
 あるいは過去に浸りすぎたせいで、未来に生きることができなくなっていたのかもしれない。あくまでもユリシーズは過去からのメッセンジャーに徹し、歴史を教訓として伝えることに終始した。それが歴史を知る者としての役割だと悟ったかのように。



 …とまあ、だいたいこんな感じでしょうか。
 冒頭に書いたようにあくまで個人的な視観なので、まったく全然間違ってる可能性もあるんですが。いつも書いてるように、考察のソースに用いるには不適当だということは言っておきます。
 ただまあ、何がしかの参考になればいいかなあとは思います。
 ちゃんと話を聞いていれば、ユリシーズ自身は主張が首尾一貫してるキャラクターだということがわかると思うので。改めてプレイしてみると、べつにプレイヤー自身に向けたメタな話、という小難しいシロモノでもないと思い直しました。
 彼の主張は一度文明が完全に崩壊したFalloutの世界観だからこそ説得力に重みが増している部分もあるので、「うっせー何言ってんだかわかんねーよ死ね!(バキューン)」で片付けてしまうのは勿体無いと思います(笑)

 要するに、すげー几帳面でクソ真面目なヤツなんですよ、彼は。歴史と世界と運び屋のことだけを考えていて、それらのために人生や命を奉げることしか考えてない。ジョシュア・グラハムなんかもそうなんだけど、ニューベガスには「個人的な人生を生きる」って概念がスッポリ抜け落ちた野郎が多いんですよね。常に自分以外の何かのために生きてないと気が済まないという。
 だからこそ個人的なエゴが丸出しなエリヤやディーンみたいな好き勝手絶頂な連中の存在が際立つというか、こいつらテメエのことしか考えてねーなと思いつつ若干安心してしまうんですけど(笑)
 責務のために生きるっていうのも美しくはあるんだけどねえ…














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