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主にゲームと二次創作を扱う自称アングラ系ブログ。 生温い目で見て頂けると幸いです、ホームページもあるよ。 http://reverend.sessya.net/
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2016/05/04 (Wed)05:33






歴史を学ぶということは、歴史を繰り返すことじゃない







 どうも、グレアムです。先日Fallout: New VegasのDLC第四弾Lonesome Roadをクリアしたので、今回は個人的なユリシーズ観を雑記として記したいと思います。
 本来ならそのへんは今後書くであろうSS小説に反映させる形にしたかったんですが、飽き性の自分のことだからそこまで書けるか(そこに至るまで自分の感想を忘れやしないか)ってのと、とりあえず記事にすることで一度考えを纏めておきたいと思ったので。

 前書きとして、ユリシーズの説得が困難を極める原因についてですが、これはユリシーズの言葉があやふやで意味不明でポエミィだからというより、単純に「それまでのセオリーが通用しない」せいだと思います。
 例えば…とりあえず一番上の選択肢を選んどけば大丈夫、スピーチチャレンジを成功させれば大丈夫、なるべく挑発しないよう穏便に進めれば大丈夫…じつはこれ、全部アウトです。
 ここいらへんのデザインはもうObsidianのイヤらしさ大爆発というか、ちゃんと自分で考えてユリシーズの真意を汲まなければ説得できないようになってるんですよ。
 何度か試せばわかるんですが、彼を説得できるルートは一つじゃありませんし、スピーチチャレンジを成功させる必要もありません(これはプレイヤーがどの勢力についてるのか、またED-Eとの会話やホロテープの回収状況にもよるかもしれませんが…)。プレイヤーキャラの能力ではなく、プレイヤー自身のSpeech能力が問われるわけです。まあ俺も相当回数説得失敗してるので、偉そうなことは言えないんですが…
 迂闊に口を滑らせると即敵対するため「沸点低すぎるだろ!」と思わなくもないんですが、おそらく失敗の選択肢はユリシーズ的に「そこは間違えちゃ駄目だろ」というポイントであると思われ、ユリシーズの立場で考えれば致し方ないのかな…という気もします。運び屋としてはたまったもんじゃありませんが。




実は和解ルート選んだのは今回が初めてです




Two Couriers, together, at the Divide!
なにこの熱い展開…







 それじゃあ、本題。ユリシーズって、どういう男なんだ?

 まず、ユリシーズは旧世界の流儀というのが大嫌いである。特に、旧世界のやり方に固執するNCRはめっちゃくちゃ毛嫌いしている。ゆえにリージョンなんぞになびいたりしたのだが、リージョンのやり方もまた自分の求めた理想とは違ったので、これも現在は支持していない。
 なぜ旧世界の流儀が嫌いなのかというと、旧世界と同じ方法で生きるということは、旧世界と同じ過ちを犯すということだからだ。NCRは歴史(過去の政府)を模倣しながら、歴史から学ぶということをしない、という点をユリシーズが殊更強調するのはそのためだ。

 また会話中にユリシーズは運び屋を「恨んではいない、むしろ君から学んだ」と言うが、これはおそらく本心だろう。
 運び屋は信念も正義もなくディバイドを作り、そして滅ぼした。その結果ユリシーズは死にかけ、自分にとっての理想郷になるかもしれなかったディバイドの惨状を見て愕然とする。
 だが、同時に気づきもしたのだ。運び屋は旧世界の流儀に囚われない、新しい世界を作れるのだと。そして、世界を滅ぼすこともまた容易くやってのけるのだと。「信念などなくても」。
 ならば、信念があるなら?確固たる決意のもと、ふたたび歴史の過ちを繰り返そうとしている世界を破壊し、新しい世界を作ることもまた可能なのではないか?歴史を知り、過去に敬意を払い、同じ過ちを繰り返すことのない、まったく新しい世界を…
 おそらくユリシーズが運び屋を呼んだのは、そのことに気づかせたかったからだと思う。過去の復讐のためではなく。ただ過ちを断罪するためでもなく。だからユリシーズは、運び屋がそのことを理解できないと判断した瞬間に攻撃を決断する。
 ミサイルサイロで対面した時点で、おそらくユリシーズは運び屋にあまり期待を持っていない。ただ、運び屋には自分がまだ理解していない未知の可能性があることを知っていて、そこに一縷の望みを託そうとしている。

 ユリシーズが核でモハビを焼こうとするのは、破壊そのものが目的ではなく、旧世界の流儀に囚われない新たな世界を築くための、再生のための破壊だ。ユリシーズにとってモハビはすでに旧世界の流儀に染まりすぎており、核の力を頼らなければ再生は不可能だと考えている。
 本来ならそれは、グレイト・ウォー…世界が滅びた瞬間、核戦争のあとに起こらなければならない変化であったはずなのだ。
 アメリカは滅びた。過ちを犯したからだ。
 ただ、同時にそれはチャンスでもあった。滅びきった世界で、過去の過ちから教訓を学び、まったく新しい世界を築くこともできたはずなのだ。だが、そうはならなかった。
 破滅の荒野で、決して元通りにはならない世界で、人々は旧世界の流儀にすがることしかせず、恐怖あるいは無知ゆえか未知の可能性を試そうともせず、ノスタルジーに浸り、ひたすら旧世界を再現させることに腐心した。そして旧世界と同じ過ちを犯している。

 それがユリシーズには許せないのだろう。だから彼は言うのだ。
「戦争が変わらなければ、人間が変わらなければ駄目だ」と。

 そして彼は人間を変えるため、核の力を使って今一度世界の再生を試みる。そのためなら、ユリシーズは「無辜の命がどれだけ犠牲になっても構わない」と考えている。
 運び屋がユリシーズを説得するなら、その必要がないことを理解させなければならない。
 ユリシーズは「今度は俺が君の故郷を滅ぼす」と言う。復讐のためではなく、自分がかつてディバイドを滅ぼされたときに学んだことを、運び屋に伝えるために。
 それに運び屋は信念をもって応じなければならない。最終的にどのシンボルを背負うにせよ…「お前の運んだメッセージは伝わった。フーバーダムに立つとき、俺は昔と変わらぬ戦争を戦い、そして人間を変える。破壊と再生…お前が核なんか使わなくても、それは可能だ」と。




意外と手榴弾の扱いにも長けているユリシーズ




生命の花 咲かせて思いっきり もっとバリバリ(銃声)!







 ユリシーズが旧世界の旗印を背負っているのは、それは彼が過去の人間だからだろうか。
 核戦争を経ても変わることのなかった人間に、旧世界の力を使い、旧世界の過ちの象徴としてユリシーズは立ち塞がる。変わらなければ、同じことの堂々巡りだと証明するために。
 なぜそんなことをするのかといえば、彼は変われることを知っているからだ。運び屋の存在によって。運び屋の真意がどうであったにせよ…
 そしてユリシーズは運び屋のために生きた。運び屋にメッセージを伝えるため。運び屋ではなく、ユリシーズ自身が破壊と再生の担い手になっても良かったはずなのだ、運び屋など無視し、第二の理想郷を築いてもよかったはずなのだ。だが、それはしなかった。新たな世界を作るには、運び屋の存在があまりに大きく無視できなかったからかもしれない。
 あるいは過去に浸りすぎたせいで、未来に生きることができなくなっていたのかもしれない。あくまでもユリシーズは過去からのメッセンジャーに徹し、歴史を教訓として伝えることに終始した。それが歴史を知る者としての役割だと悟ったかのように。



 …とまあ、だいたいこんな感じでしょうか。
 冒頭に書いたようにあくまで個人的な視観なので、まったく全然間違ってる可能性もあるんですが。いつも書いてるように、考察のソースに用いるには不適当だということは言っておきます。
 ただまあ、何がしかの参考になればいいかなあとは思います。
 ちゃんと話を聞いていれば、ユリシーズ自身は主張が首尾一貫してるキャラクターだということがわかると思うので。改めてプレイしてみると、べつにプレイヤー自身に向けたメタな話、という小難しいシロモノでもないと思い直しました。
 彼の主張は一度文明が完全に崩壊したFalloutの世界観だからこそ説得力に重みが増している部分もあるので、「うっせー何言ってんだかわかんねーよ死ね!(バキューン)」で片付けてしまうのは勿体無いと思います(笑)

 要するに、すげー几帳面でクソ真面目なヤツなんですよ、彼は。歴史と世界と運び屋のことだけを考えていて、それらのために人生や命を奉げることしか考えてない。ジョシュア・グラハムなんかもそうなんだけど、ニューベガスには「個人的な人生を生きる」って概念がスッポリ抜け落ちた野郎が多いんですよね。常に自分以外の何かのために生きてないと気が済まないという。
 だからこそ個人的なエゴが丸出しなエリヤやディーンみたいな好き勝手絶頂な連中の存在が際立つというか、こいつらテメエのことしか考えてねーなと思いつつ若干安心してしまうんですけど(笑)
 責務のために生きるっていうのも美しくはあるんだけどねえ…














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