主にゲームと二次創作を扱う自称アングラ系ブログ。
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2017/07/17 (Mon)19:50
BLAM ! BLAM ! BLAM ! BLAM ! BLAM ! BLAM !
荒れ果てた街に銃声が響く。銃を手にかけるならず者たちの前に、漆黒のコートの男が見せた鮮やかな抜き撃ちはあまりに見事なものであった。Lt.Kurz:
申し訳ありません、個人的な恨みはないのですが。ただRestricted Zoneへの通行許可証を発行してもらうために、あなたの命が必要なのですよ。
Kurz少尉は倒れ伏す悪漢Raul Mongostaの胸にぶら下がっていたドッグタグを引きちぎり、コートのポケットにしまいこむと、その場をあとにした。
Artrigo政府官邸。
Lt.Kurz:
Raul Mongostaを始末しました。これが証拠となるドッグタグです、Rebenga内務大臣。地元住民に話を聞けば、目撃証言も取れるでしょう…
Juan Rebenga:
いや、それには及ばない。休暇中だというのによくやってくれた、さすがに仕事が早いなKurz少尉。さて、Restricted Zoneの通行許可証が欲しいという話だったが…もう一度、その理由を訊かせてくれないかね?
Lt.Kurz:
先にお話しした通り、わたしはこの国へ来てから地元ゲリラの討伐に熱意を傾けてきました。しかし我が軍のゲリラへの対処は充分とは言い難く、わたし自身、山奥の辺鄙な基地に押し込められ思うように活動できないのが現状です。
失礼を承知で述べさせて頂きますが、これは我が国の将来にとっての大きな損失です。もしわたくしめに自由な活動を保証して頂ければ、ゲリラごとき、すぐにでも壊滅してご覧にいれましょう。
Juan Rebenga:
理由はわかった。本来ならばそういった申し出は君の上司に直接伝えるべきだが、軍の規律を考えれば、Sosa将軍と近しい私に直談判を申し入れるのも無理からぬこと。しかし、だからこそ訊きたい。ゲリラの討伐にそこまでの熱意を傾ける、その動機はなんだね?
Lt.Kurz:
動機…動機、ですか。ふふっ、ほかでもない、わたしは手柄を立てたいのです!あるかもわからぬ有事のために山奥で訓練を続ける日々に飽き飽きしているのです!大きな功績を挙げ、この国に貢献し、Sosa将軍と、あなたの寵愛を受けたいのです!汚辱に塗れたわたしの経歴に、輝かしい勲章を飾りたいのであります!
Juan Rebenga:
そうまで言うのならば、これ以上君を疑いはすまい。宜しい、通行許可証を発行しよう。だが、気をつけろよ…Restricted Zoneは犯罪者や反政府ゲリラの縄張りだ。先日も我が軍の士官が一人、反乱軍に捕らえられたところだ。
Lt.Kurz:
その話を詳しくお聞かせ願いますか?
Juan Rebenga:
捕まったのはEnrique Barrera大尉だ。非常に悪いことに、彼は山奥に秘匿された反政府軍のキャンプに捕らえられているらしい。連中は余所者を決して引き入れず、また強固な防御体制を敷いている。ゆえに、我が軍も手が出せない状況なのだ。
Lt.Kurz:
なるほど。下手に大軍を動かせば、事前に察知され逃げられるのがオチですからな。なかなかどうして、連中の情報網は馬鹿にできません。であらばこそ、少数精鋭の遊撃隊が必要となるのです。わたくしめが独自行動を望む、その理由がまさにそれなのですよ。
通行許可証を手に政府官邸をあとにするKurz少尉。
その後姿を眺めながら、Rebenga内務大臣はSosa将軍に事の次第を報告した。
Juan Rebenga:
どう思われますか…?
Alvaro Sosa:
仕事熱心なのは良いことだよ、きみ。若干破天荒なきらいはあるが、かつての彼の活動ぶりを考えれば、いままでの飼い殺しに近い環境は甚だ不本意なものであったろうからな。
Juan Rebenga:
しかし、今になっての急なあの熱心さは少々鼻につきます。何か企んでいるのでは?よもや、反政府勢力と連絡を取るため…裏切りの可能性は考えられないでしょうか?
Alvaro Sosa:
ヤツが反政府ゲリラに寝返る?有り得ぬことよ、ヤツは生粋のアカ嫌いだ。いまどきゲバラなぞを信奉している連中に尻尾を振ったりするものか。だが、ヤツはヤツなりの別な目的を持っていることは確かだろうな。注意を怠るなよ。
Juan Rebenga:
左様で…
Lt.Kurz:
さて、ひとまず通行許可証は手に入れましたが…ゲリラの本拠地に捕らわれた士官の救出というのは、いささか骨ですね。さすがにわたし一人では荷がかち過ぎます、傭兵でも雇いましょうか?
行動を起こすまえに先んじてAlgeira各地に滞在する傭兵に声をかけ、Kurz少尉は三人の傭兵を伴いRestricted Zoneへと赴く。
Puerto Viejo南部に設置された検問所にて、Kurz少尉と傭兵たちは足止めを喰らう。
Army Lieutenant:
止まれ、ここは通行禁止だ!貴様はたしか、特殊部隊所属の士官だったな。さしずめ休暇を終えたところだろうが、Secret Baseへ戻るならCampecino西の検問を通るべきだろう。この先に用はないはずだ。
Lt.Kurz:
任務御苦労様です、そう刺々しい態度を取らなくても良いと思うのですが。休暇中だったのは確かですが、今回の移動はそれとは別件です。この書類を見てください。[ show papers ]
Army Lieutenant:
…!?これは一時発行ではない、無期限の通行許可証…!それに貴様が従えているのは、傭兵か?いったい、なにをしようというのだ…傭兵たちが持っている箱はなんだ?
Lt.Kurz:
医療品ですよ。この先で我が軍の部隊が反乱軍と交戦し、負傷者が多数出たと聞いたので、救助へ向かうのです。
Army Lieutenant:
我々はそんな話は聞いていないぞ。
Lt.Kurz:
いずれにせよ、わたしは内務大臣からRestricted Areaでの自由な活動を許可されています。これ以上我々を引き止めるおつもりなら、少々厄介な手続きを踏むことになりますが…?
Army Lieutenant:
わかった、わかった。書類に不備はなし、貴様をここに拘束しておく理由はない。だが忘れるなよ、この先は危険だ。もしトラブルに遭ったとしても、我々は助けてやれんからな。
Lt.Kurz:
承知のうえですとも。御協力に感謝します同志、すべてはAlgeiraのために。
検問を通過し、一行はついにRestricted Zoneへと足を踏み入れる。
ジャングル地帯に入った矢先、Kurz少尉たちは反政府軍の待ち伏せを受けた。
Guerilla Commander:
Freeze!馬鹿な真似はするなよ。貴様はたしか…!?なんと、あの悪名高きLieutenant Kurzじゃないか!悪魔め、いままでどれほど大勢の仲間が貴様の手にかかったことか!
Lt.Kurz:
御機嫌麗しゅう、ゲリラの皆様方。今日は別に、争いに来たわけではないのですがね。我々は負傷し置き去りになっている同胞を助けるために派遣された非公式の捜索救難隊です。見てください、我々はろくに武装をしていません。わたしの雇っている傭兵が持っているのはただの医療品箱です。
Guerilla Commander:
嘘をつくな、ゲシュタポめ!万一それが本当だったとして、いままで散々に我々を痛めつけてきたくせに、今日は仲間を助けるために見逃せというのか?ふざけるな!貴様は我々のキャンプに連行する、大物を捕らえたと知ったらTanyaも喜ぶだろうよ。
Kurz少尉と傭兵たちはゲリラに捕らえられ、彼らの拠点であるJungle Campへと連行された。
しかし、それこそがKurz少尉の狙い通りであったことをゲリラたちは知らない…
山奥に隠された反政府組織ALA( Algeira Liberation Army )のキャンプに連行されたKurz少尉一行の前に、ALAのリーダーTanya Tormensとその副官Marcelo Tronが姿を見せる。
Tanya Tormens:
これはとんだ大物が釣れたものね、Kurz少尉?無駄な抵抗はしないほうが身のためよ。
Lt.Kurz:
こんなに大勢の武装兵士に囲まれた状況で抵抗なぞしませんとも、Princess Tanya。わたしも、その、信義のために命を捨てるほど愚かではありません。可能な限り協力しますので、できればあまり酷い目には遭わせないで頂きたいのですが。
Tanya Tormens:
それはあなた次第ね。今後のあなたの献身が、我々の仲間があなたに抱いている憎悪を打ち消すほどのものであれば良いけど。
やがてゲリラたちは傭兵の持つOD色の箱の中身を検査しにかかる。
Guerilla Fighter 1:
おい、その箱の中を見せてみろ。ゆっくりとだぞ…
傭兵たちは箱を地面に置き、配線と受信装置のようなものを取り出すと、それらを素早く箱に接続していく。
Guerilla Fighter 1:
待て、止まれ!なんてことだ、こいつは医療品箱なんかじゃない、TNT爆薬だ!
銃を抜き傭兵を制止するゲリラたち。しかし傭兵は爆薬の設置を終え、隠し持っていた複数の手榴弾のピンを一斉に引き抜くと、その表情に不気味な笑みを浮かべた。目からは血を流し、頭部のあちこちに乱雑な縫い跡が見える。明らかに普通ではない様子だった。
それはKurz少尉がもっとも得意としている、他者を意のままに操るための洗脳手術の結果であった。
Mercenary:
Algeiraのために!Algeiraのために!
Guerilla Fighter 1:
止まれというのがわからんか、畜生、撃て、撃ち殺せ!
Guerilla Fighter 2:
おい、あの男がいないぞ!Kurzのやつが消えた!
Lt.Kurz:
Algeiraのために。
そう言って微笑むと、Kurz少尉はキャンプ全体を見下ろせる丘の上から爆薬の起爆スイッチを作動させた。
傭兵たちが仕掛けた爆薬が一斉に点火し、凄まじい爆風がキャンプ全体を薙ぎ払う。
Tanya Tormens:
いったい、なんて…なんてことを…こんなふうに仲間の命を使い捨てにするなんて…!
KABOOOM !
さらなる爆発が地面を揺るがし、最初の爆発による難を逃れたゲリラたちも手榴弾の破片を浴びて次々と倒れ伏す。傭兵たちは死ぬ間際にポケットの中に隠し持っていた手榴弾を一斉に点火していた。その結果、時間差で自分の肉体もろとも敵を爆破する人間爆弾と化していたのである!
これらの非人道極まる爆破行為でゲリラのすべてが壊滅したわけではなかったが、混乱に乗じてふたたびキャンプに舞い戻ったKurz少尉の持つM960ユニバーサルガンが次々と標的を求め火を噴いていた。
機関銃用の弾薬ボックスを装着したM960ユニバーサルガンは、動転するゲリラたちを容易く撃ち倒していく。
やがて銃声が止み、Kurz少尉は自分以外に誰も生き残っていないことを確認する。
Lt.Kurz:
いやはや、我が国を悩ませ続けていた反政府勢力も、滅ぼしてみると呆気無いものですなあ。良かったですねPrincess Tanya、これで敬愛するお父上のもとへ行けますよ…ははっ。
さて、持ち物を確認しておきましょうか。麻薬王Emiliano Calderon宛てのメッセージに…Olvegaのレジスタンス、Ramon Lazaro Marquez宛のメッセージですか。これがまだTanyaの手元にあるということは…いやはや、なんとも。
そう、この殺戮の地にKurz少尉以外の生存者はおらず…否、もう一人生き残りがいた。そうでなくてはならない。
Kurz少尉はキャンプの隅で身を伏せていたBarerra大尉のもとへ近づき、声をかけた。
Lt.Kurz:
お元気そうでなにより、Captain Barerra。手足の一本でも無くしていたら“こと”だと思っていましたが、無用な心配でしたね。
Enrique Barrera:
お、おまえは…Lieutenant Kurz!ゲリラに捕まり、情報を吐いたかもしれない俺を始末しに来たのか!?
Lt.Kurz:
なにを警戒しているのです?わたしだって、そう誰彼構わず殺して回っているわけではありませんよ。あなたを殺すのが目的なら、最初から爆破に巻き込んで死ぬよう調整します。わたしはねCaptain Barerra、あなたを救出するよう、Rebenga内務大臣から直接に命じられて来たのです。感謝しろとは言いませんが、余計な勘繰りはしないで頂きたい。
Enrique Barerra:
…!!そ、そうか…いや、助かった。あとのことは自分でやる、Artrigoまでは自力で戻るとするよ。
Lt.Kurz:
…大丈夫でしょうかね。
ゲリラの落とした武器を手に、そそくさとキャンプを脱出するBarerra大尉。その後姿を眺めながら、Kurz少尉は肩をすくめた。
(end conversation)
どうも、グレアムです。7.62 High Calibreのリプレイ記第二回目です。
今回はかなり滅茶苦茶ですね。いちおう本文中にある、仲間を使い捨ての人間爆弾として使うやりかたはゲーム中でも可能です。本作は手榴弾のピンを抜くのに時間はかかりませんので。
ただ、おそらく通常のプレイではこの時点でSZ-3a Demolition Chargeは入手できません(いちおうPuerto ViejoにいるJorge Bantoを殺せば一つは手に入る)。それと、High Calibreでは爆弾設置完了と同時に相手が敵対化しますが、Hard Lifeでは爆弾の設置開始と同時に相手が敵対するので、Sapperスキルがかなり高くないと仕掛け終える前に銃撃を喰らい失敗するはず。
ちなみにSZ-3aというのは旧ソ連製の軍用爆薬で、3kgのTNTで構成されるようです。
ふつう、Enrique Barerraの救出には別の手段を用いるのですが、ストレートにゲリラを全滅させることでも救出は可能です。あまり現実的な手段ではありませんが。
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