主にゲームと二次創作を扱う自称アングラ系ブログ。
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2017/07/05 (Wed)19:09
市民たちが噂話をしている。
Civilian 1:
なあ、どんな種類の弾でも撃てる銃ってのを知ってるか?
Civilian 2:
いいや。そんな魔法みたいな銃が存在するのか?
Civilian 1:
あくまで噂で聞いただけだが…装填した弾倉や銃弾の種類にあわせて、機関部や銃身内部が自動的に伸縮する銃があるらしい。
- Bandit Ambush -
同刻、襲撃されたキャンプ用のバスを取り囲むようにして、黒衣を纏う一人の男がBanditたちを相手に大立ち回りを演じている。
男の服装はどう見ても軍人らしいものではなかったが、漆黒のコートにはAlgeira正規軍少尉の階級を示す肩章と、Algeira軍特殊部隊のパッチが縫いつけられている。
彼の持つ小型のサブマシンガンと思しき銃には大型のドラムマガジンが装着され、発砲のたびに上部排莢口から赤いプラスチック製の薬莢が次々とはじき出されていく。12ゲージ散弾の薬莢だ。
やがて銃が弾切れを起こすと、男は弾倉を外しながら、たった今射殺したBanditのポケットを探り、マカロフ拳銃の弾倉を拾いあげた。
Mysterious Man:
すこし、あなたの持ち物をお借りしますよ。もうあなたには必要ないでしょうし。
Bandit 1:
こいつ馬鹿か?さっきまで撃ってたのは12ゲージ散弾、いま拾ったのは9mmマカロフ弾、まるで種類が違うじゃねぇか!戦い慣れしてやがるくせに、銃の知識はまるで素人か?
Mysterious Man:
なるほど、この銃にこの弾は使えないと仰る?興味深い、それでは…試して、みましょうか。
男は銃に小型拳銃用の弾倉を装填し、引き金をひいた。
Civilian 1:
世界にただ一挺のみ存在する幻の銃。
それはAlgeira特殊部隊に所属する軍人が所有しているともっぱらの噂だ。
Banditはただ一人を残して全滅し、最後の一人もすっかり戦意を失っている。
男はBanditにゆっくり近づくと、先刻まで銃撃戦を展開していたとは思えないほどに穏やかな口調でBanditに尋ねた。
Mysterious Man:
政府軍の支配地域であなたたちのような存在を目にするのは珍しいですね?
Bandit 2:
たっ、助けてくれ、たのむ…まさかアンタだとは思わなかったんだよお。人違いなんだ、俺たちはただ頼まれただけで…この道を通る傭兵を襲うように言われたんだよ!
Mysterious Man:
頼まれた?誰に?
Bandit 2:
ロシア人だ!Ippolit Bashirovとかいう名前の…正体はよく知らねぇ、詮索はしなかった。俺たちゃタップリ前金を貰ったからな、妙な勘繰りをする理由はねぇ。
Mysterious Man:
他に知っていることは?
Bandit 2:
なんでも、Bashirovのデブ野郎を始末するために外国人が傭兵を雇ったらしい。それで、俺たちが金と引き換えにその傭兵を始末する計画になってたんだ。なあ、もういいだろう?
Mysterious Man:
ええ、あなたはよく喋ってくれました。だから、苦しまないように死なせてあげましょう。
Bandit 2:
え、いや、ちょっと!話が違…
Mysterious Man:
話が違う?いえ、違うなんてことはないでしょう?わたしは最初から命を助けるなんて提案はしていません。安らかに死ねただけでも幸運に思わなくては。
Lt.Kurz:
幸運、そう幸運なのです。わたしがいままで殺した人間の末路を思えば、余計な苦しみを負わずに死ねたことは本当に運が良いことなのですよ…
Civilian 1:
男の名はKurz少尉、Algeira特殊部隊の所属だ。
もとはドイツの諜報機関に所属してたらしく、80年代から90年代にかけて西ドイツで共産ゲリラの摘発を専門にしてたらしい。アカ狩りのエキスパートってやつだ。ところがベルリンの壁崩壊後の調査で容疑者への過激な拷問や虐待が露見し、その直後にAlgeiraに亡命している。
やつの正体や素性は誰も知らない。一説によるとナチの残党だとか、人間の形をしたマシーンだとか、そもそも人間じゃないって噂もある。馬鹿げた話だが、とにかく、たしかな事実は一つ…そいつはとんでもなくヤバイ野郎だってことだ。
Civilian 2:
そんなイカレたやつが、この国で何をやってるんだ?軍に引き入れたSosa将軍も、いったい何を考えているのか…
Kurz少尉は通常、Algeira北西部のSecret Baseに駐屯している。
普段の任務は政府軍の支配が及ばないRestricted Zoneにおける反政府勢力の活動の監視と阻止であり、それなりの戦果を挙げてはいたが、悪名を馳せた以前の働きぶりは鳴りを潜めていた。
現在は休暇で観光地のPuerto Viejoに立ち寄っていたのだが、バスでの移動中にBanditの襲撃に出くわしたのだった。
Lt.Kurz:
いつものささやかな休暇旅行のはずでしたが…面白いことになってきましたねぇ。
襲撃を受けたあと、Kurz少尉は自身の情報網を活用し、Banditから訊き出した話の真偽を確かめていた。Algeira各地に確保してある“協力者”たちに集めさせた情報を吟味し、Kurz少尉は仮面の下で微笑みを浮かべる。
Lt.Kurz:
Ippolit Bashirov…彼は故郷でビシネスパートナーを裏切り、奪った金を持ってAlgeiraに逃げてきたようですね。彼が怒らせたのは、銀行と…ロシアン・マフィア?なんとまあ。ああいった人種は、そういう舐めた行為を決して許しはしないというのに。
そして、この街に滞在している観光客…Alexey Rezviと言いましたか。ロシアからの訪問客、傭兵を雇ったのはこの男のようですね。どうやらマフィアのお仲間のようですが、政府の諜報機関もあまり詳しいことまでは掴んでいないようです。
Lt.Kurz:
Rezviと傭兵とのやり取りを“偶然”立ち聞きしていた住民によれば、彼はBashirovの死を熱烈に望んでいるようで。たとえ身体の一部でも持ってくれば…確実に死を確認できる頭部とか…報奨金を支払うと約束したそうです。
報奨金100万ドル…もしRezviが、わたしの考えるような人種なら、おそらくはBashirovの首を持ってきたのが自分の雇った傭兵でなくとも金を支払うはず。これは面白い、大変に面白い状況になってきましたよ。
Lt.Kurz:
政府の諜報機関や軍の上層部はBashirovの居場所を知っている可能性が高いですが…いきなりそちらに探りを入れるのは賢明ではありませんね。まずは反政府ゲリラを相手に成果を挙げ、その過程でBashirovの情報をそれとなく聞き出すという筋書きを立てましょう。そのためにはまず、Restricted Zoneへ自由に行き来できる許可証を発行してもらう必要がありますね。
いまわたしが持っているのは、休暇の間でしか利用できませんから…さすがに一週間の休暇中に何もかもやり遂げる、というわけにはいきませんものね。ひとまずArtrigoの官邸へ赴き、Rebenga内務大臣に直談判してみましょうか。
こうして一人の軍人による、無謀な挑戦がはじまった。
それはすべて、ただ金のために。
Lt.Kurz:
All the burning bridges that have fallen after me, all the lonely feelings and the burning memories...(燃え盛る橋々は我が背後にて崩落し、孤独な感情も記憶とともに燃え尽きる…)
7.62 High Calibre Replay
- Betrayer Gold -
(end conversation)
どうも、グレアムです。
7.62 High Calibre攻略日記バージョン2、今回は二週目ということで創作を交えたリプレイ記となります。また普段とはスタイルを変え、地の文を極力廃し会話文でほぼすべてを説明しようと試みています。ゲーム本編と展開が食い違う箇所に関してはなるべくここ(最後)で解説を入れます。
まず主人公クルツ少尉の武器「M960ユニバーサルガン」についてですが、これは作中に登場する武器キャリコM960にすべての弾倉を装填できるよう改造したものです。
ゲーム開始直後に襲撃してくるBanditの「Bashirovに雇われた」という言動については、いちおうゲーム中に似たようなやり取りがあるんですが、ゲーム中ではプレイヤーがBashirovの写真を見せたときに「えーと、うーん、たぶんこいつ。そうそう、こいつに頼まれたんだよ!間違いない!」みたいな非常に胡散臭い発言しかせず、それ以上の情報も吐きません(おそらく「他人に頼まれてプレイヤーを襲った」という言い訳自体がガセ)。
ただ今回のリプレイでは「Bashirovに雇われたBanditが傭兵(本来のプレイヤー)と間違えて主人公を襲った」というプロットのほうが面白いかなと思い、このような導入となりました。
今回は政府軍側でゲームをクリアする予定なので、主人公を最初から政府軍側の軍人という設定にしています。色々アラが出るとは思うんですが、それとなく誤魔化せれば…いいなあ…
クルツ少尉の最後の台詞(歌)はBurning Bridgesという曲の歌詞で、これはKelly's Heroes(邦題「戦略大作戦」)という往年の戦争映画のテーマ曲です。クリント・イーストウッド主演のこの映画はドイツ軍が秘匿している金塊の在り処を偶然知った主人公たちが、上層部に内緒でこれを頂いちまおう…と画策する娯楽冒険活劇です。また、今回のリプレイの着想元でもあります。
本文の配色については、ゲーム中のダイアログ画面を元にしています。
余談。
最初の構想ではクルツ少尉は戦争が三度の飯より好きな脳筋兵士という設定で、またパートナーとしてタダマン無料で仲間として連れまわすことができるNPCとして有名なBeniciaを伴う予定でした。
二人のキャラを同時に操るのがめんどくさいという、有り得ないほどものぐさな理由でボツに。
クルツ少尉のマスクに関しては、現在の構想に近い形にシフトしたあとも、しばらくはサイボーグ兵士っぽい造型を試みていたのですが、最終的にホラー映画の怪人風な容貌に落ち着きました。スプラッター映画のキラー役みたいというか。
外見と裏腹に理知的且つユーモアを交えた言動をするというギャップが個人的に気に入ってます。
クルツ少尉のベースとなっているキャラはIvanovで、モデルはEl Doublo's BodyguardというNPCのものをリテクスチャして使用しています。
今回のリプレイで使用する画面写真はすべてHUDの表示をオフにしていますが、いちおうポートレート画像も作成しています。
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