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主にゲームと二次創作を扱う自称アングラ系ブログ。 生温い目で見て頂けると幸いです、ホームページもあるよ。 http://reverend.sessya.net/
2024/10/07 (Mon)09:20
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2013/05/15 (Wed)04:01
 TES4SS用の画面写真を撮影中に発生したハプニングを収めた画像、及び未使用画像や合成の過程で使用された画像などを紹介していこうというこの。

  **  **  **

#1 ドレイク編8話より。



 セリドゥア邸にて、物凄い形相のまま固まってしまったセリドゥア。
 最初はドレイクと一緒に酒を飲んでいるショットを撮影したくて色々と試していたのだが、シロディールにワイングラスは死ぬほど似合わないことを確認。かといってジョッキやマグも貴族的なイメージには合わず、最終的に本を読んでいるという無難なポーズで落ち着くことに。
 杯でそれっぽいポーズがあれば良かったんだけどね…

  **  **  **

#2 リア編7話より。



 ギルバートとの出会い、リアとペアルックで。
 NPCを椅子に座らせるコマンドが存在しないため、プレイヤーがギルバート(と同じ顔のキャラ)を操作することで解決するという非常に荒っぽい方法を使ったのだが、Import Faceでギルバートの顔を複製してからデータをロードしたところ、当然ながら直前までリアだったプレイヤーはリアの服装をしているギルバートを操作することに。
 その後、本物のギルバートの不死属性を外して殺害、装備を剥ぎ取ってギルバートになりすますことで写真撮影を完遂した。ちなみにリアは事前に複製したプレイヤーのコピー。

  **  **  **

#3 リア編8話より。



 リア視点でオーガを見た画像の左上に表示されていたもの。
 最初はこれ単体で使用するつもりだったのだが、これだけだとさすがに何がなんだかわからないので、ああいう形に落ち着いた。これを作るだけで相当時間がかかったのだが…コンソールでワイヤーフレーム表示にした画像を加工したのだが、こういう風に作るのに物凄く手間がかかった。



 これが合成前の写真…と言いたいところだが、既に腹の傷を合成で加工してある。オリジナルはもう存在していないため、これが一番素に近い状態のものである。
 ちなみに劇中に登場したオーガは、SetScaleで大きさを2倍にしてある。オブリビオンに足りないのは巨大モンスター成分だと思うんだ…続編で解決されたみたいだけど。



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2013/05/13 (Mon)13:15
 この大陸にいると平和ボケしそうだな、とブラック17は幾度考えたか知れないことを繰り返し頭の中で反芻した。
 笑顔で道を行き交う人々、活気のある街。
 存在そのものを知らぬではないが、自分には決して縁のなかった世界。
 もしこのまま、光射す世界に飛び込んでいけたなら。人を殺さなくても、生きることが許される世界に留まることができたなら。
 もし自分がこの地で姿を消したら、<黒の里>は追跡してくるだろうか……
 そんなことをぼんやり考えていたとき、不意に何者かがブラック17の肩を叩いた。



「油断し過ぎよ、17。もしあたしが刺客だったら、死んでたかもしれないわよ?」
「殺気がなかった…っていうのは、あなた達相手には言い訳にならないわね」
 いたずらっぽく笑うアントワネッタ・マリーに、ブラック17は複雑な表情を浮かべながら答えた。
 アントワネッタは<ダーク・ブラザーフッド>の暗殺者で、ブラック17がシェイディンハルの聖域に来て最初に請け負った任務…帝都港湾地区に係留されていた海賊船<マリー・エレーナ号>の船長ガストン・タッソーの暗殺…に同行したこともある。
 明るく朗らかな態度から、彼女が暗殺者であるなどとはおよそ信じ難いのだが、アントワネッタは任務のときも平常時とまったく態度を変えず、笑いながら、楽しそうに人を殺すのだ。
 これはなにも、アントワネッタだけが特異なわけではない。
 シェイディンハルのダーク・ブラザーフットのメンバー全員がそんな感じなのだ。たんなる遊びの延長線上だとでも思っているのか、おかげで殺気を全く感じ取ることができない。
 ある種の異常人格者には違いないが、その異常な部分が暗殺者として活動するぶんには良いほうに作用しているので、その点に関してけちをつけるのは野暮というものだ。なによりも、そういった特性を活かせるのは、暗殺者としては称賛されて然るべきことだ。
 異常、か…殺人を楽しむことを異常と認識するのであれば、では自分はどうだというのだ?
 かつてはブラック17も殺傷行為に快感を見出していたのではなかったか。以前はそのことに疑問すら抱かなかったというのに…最近の自分は、どうかしている。
「どうかした?近くに敵でもいる?」
「…いえ。思い過ごしよ」
 そこは「なにか考えごとでもしているのか」と訊ねるところではないのか、などと思いながら、ブラック17は生返事をした。
 そんなブラック17の態度にアントワネッタは気分を害することもなく(たぶん、そのことについて彼女に問えば「17がああなのはいつもの通りだし、女性はミステリアスなほうが魅力的に写るものよ?」などという答えが返ってくるだろう)、事務的な口調で語りだした。
「あなたをここに呼び出したのは、ヴィセンテから伝言を頼まれたからよ。帝都に始末してもらいたい標的がいて、一番近くにいたのがわたしとあなただったってわけ」
「それじゃあ、今回のお目付け役はあなた?」
「いいえ。わたしは別件ですぐに移動しなきゃいけないから、今回は、目付け役はなし」
 そう言って、アントワネッタは微笑んだ。
 これは喜ぶべきか…ブラック17は思案した。黒の里にいた頃は単独作戦しかしてこなかったから、本領を発揮できるといえばそうだ。しかし未だシロディールの世情に聡くないこともあり(残念ながら聖域での生活は、シロディールでの見聞を広める役には立っていない)、そういう点では若干の不安もある。
「それで、標的は?」
「標的はファエリアンっていうアルトマー(ハイエルフ)の男よ。それと、目立たないよう事故に見せかけて殺して」
「ハァ。ここに来てから、こそこそした殺ししかしてない気がするわ」
「文句言わないの、これは本部からの勅命でもあるんだから。最近、帝都ではダーク・ブラザーフッドの正体を探ろうと躍起になってる勢力がいるらしくてね。規模はまだ小さいようだけど、侮れないわ」
「もしかして帝都の衛兵?彼ら、盗賊ギルドの検挙に人員の大多数を割いてるって聞いたけど。けっこう、どっちつかずなことをするのね」
「それはヒエロニムス・レックスのほうね、衛兵隊長の。ダーク・ブラザーフッドを追ってるのは、もっと上のほう…アダマス・フィリダの直属の部下達よ。最近、黒馬新聞が<ナイト・マザー>の儀式について取り上げたでしょう?あれがカンに触ったらしくてね」
 ナイト・マザー(夜母)とはダーク・ブラザーフッドが闇の神シシスに次いで崇拝する存在で、その正体について知る者は誰もいない。ナイト・マザーの儀式とは、誰かに恨みを持つ者がダーク・ブラザーフッドに任務を依頼したいときに行なうものだ。まあ、俗悪新聞の書いたものだから、信憑性はないと思っていいだろう。
 それにしても、ダーク・ブラザーフッドを追求する動きがある、というのは気にかかる。こちらは大衆メディアの書き連ねたエンターテイメントではなく、現実的な脅威だからだ。
「アダマス・フィリダって、帝都軍の総司令官じゃなかった?どうしてそんな暇なことをするのかしら」
「べつにほら、あれよ?『住民の安全を脅かす不埒者に正義の鉄槌を!』みたいな善意で動いてるわけじゃなさそうよ?最近、皇帝ユリエル・セプティムとその一族が暗殺されて、その嫌疑がわたし達にかけられてるっていうのもあるし。それとは別に、この不安定な情勢でテロが起きることを恐れてるみたい」
「テロねぇ…」
「おおかた、わたし達が他国からテロ行為を依頼される可能性がある…とでも考えてるんでしょうよ」
 そう言って、アントワネッタは鼻を鳴らした。
 もし実際にそういう依頼があった場合、ダーク・ブラザーフッドは動くのか…ブラック17は、あえてその質問はしなかった。おそらくアントワネッタはイエスともノーとも言わないだろう。
 ダーク・ブラザーフッドの行動の指針のすべては宗教的観念から定められている。もしテロ行為を示唆されたとして、それがシシスの意に沿うものであれば良し、依頼者の意図などは関係ない、そういう組織だ。
「それじゃあ…今回は標的に関する情報が少ないから、難儀すると思うけど、頑張ってね。それと」
「なにかしら?」
「あなた、そういう格好のほうが似合ってるわよ」
「馬鹿にしてるの?」
「まさか」



 アントワネッタはとびきり人懐こい笑みを浮かべて言った。
「本心からよ。それじゃあね、17」
 普段着ている暗殺装束とは違う、青いドレスの裾を翻して、アントワネッタはブラック17の前から立ち去った。
 その後ろ姿を見つめながら、ブラック17はつぶやく。
「…どうも苦手なのよねぇ、あの娘」

  **  **  **

 ブルーマからの帰り道、帝都に立ち寄ったところでアントワネッタに会ったのはほとんど偶然だった。いや、アントワネッタは「ヴィセンテから手配された」と言っていたので、実際は偶然ではないわけだが。
 往来で任務の伝達、などというのはできれば願い下げだったが、人通りの多さをカムフラージュとして利用するのは諜報の世界ではごく当たり前の行為だ。
 しかし自分は殺し屋であってスパイではない。それにつけ加えて、探偵の真似事まで……
「腹に据えかねるわ」
 そんなことを言いながら、もしブラック16が自分のこの現状を目にしたらなんとコメントするだろうか、などと考えた。
 ともあれ、任務を与えられた以上は、それに専念しなければなるまい。
「標的はアルトマーと言ったっけ」
 アントワネッタから聞いた情報を思い出しながら、ブラック17は帝都のエルフ・ガーデン地区へと向かった。

  **  **  **



「ファエリアンって名前の男、知らないかしら?友達なんだけど、住居のある場所を忘れちゃって」
「さぁて、知らないなぁ。お嬢さん、余所から来たのかい?コロールあたりかな?」
「いえ、シェイディンハルよ」
「オークやダンマー(ダークエルフ)が多いのを除けば良い街だと聞くね。道中に危険はなかったかい?お疲れではないかな?」
「悪いけど、もう宿は別の場所で予約を取ってあるの」
「そいつは残念だ。もし今後帝都に来ることがあったら、そのときは頼むよ」
 率直に言って、エルフ・ガーデン地区での聞き込みは失敗に終わった。
 エルフならエルフ・ガーデン地区、という思い込みがそもそも短絡的だったのかもしれないが、いずれにせよ、調査は空振り。
 エルフ・ガーデン地区のホテル<キング&クイーン>にて、店主と雑談ついでにそれとなく聞いてみたものの芳しい成果は得られなかった。
 苦々しい思いをしつつ、ブラック17は紅茶に口をつける。

  **  **  **

 キング&クイーンで「宿の予約は取ってある」と言ったのは、半分はウソで、半分は本当だ。
 帝都神殿地区に向かいながら、ブラック17はルシエン・ラチャンスと接触したときのことを思い出す。あのときはまさか、自分がこれほど長くダーク・ブラザーフッドと関わることになるとは思っていなかったが。
 そういえば、ブラック16は何を手間取っているのだろう?皇帝一派を襲った謎の暗殺集団に関する調査はまだ終わらないのか?
 かすかに苛立ちを覚えながら、ブラック17は以前宿泊したことがある<タイバー・セプティム・ホテル>の扉を開いた。宿泊料金は高いが、設備が整っていて、なにより清潔だ。ブラック17は、この場所が気に入っていた。
「いらっしゃい…あら、またお会いしましたね。今日もまたお忍びで?」
「まあ、そんなところかしらね」
 無難な返事をしながら、自分の顔を憶えられていたことに多少の不満を感じたが、まあ、それは仕方がない。
 金貨を支払い、鍵を受け取りながら、ブラック17は駄目もとでオーナーのオーガスタに訊ねてみた。
「ところで、ファエリアンという名前をご存じないかしら?知り合いなのだけれど」
「ファエリアン…アルトマーのファエリアン?」
「ええ。たぶん、そのファエリアン」
 ファエリアン、と名前を聞いた瞬間、それまで穏やかだったオーガスタの眉間に皺が寄る。
 あなた、あんなヤツの知り合いなの?今にもそう言い出しかねない表情だ。
 どうやら偶然アタリを引いたらしい、そう思いながらも、あまり好ましからざる雰囲気を察すると、ブラック17は慎重に言葉を選んで質問した。
「いえ、幼少の頃にちょっと関わりがあって。帝都に住んでいると聞いたので、一応挨拶だけでも、と」
「幼少?そういえば、あなたは貴族でしたね。ファエリアンも元は裕福な貴族の生まれだと聞いています、もしかしたらその関係で?」
「ええ。親同士の付き合いだったので、わたし達自身は別にどうということもなかったのだけれど」
 どうやら以前ついた嘘を未だに信じているらしい、オーガスタの見当外れな解釈にブラック17は便乗することにした。
「何かあったの?」
「あまり聞かないほうが良いと思いますわ。なんというか、その」
「構いませんわ、どんな事情があろうと。どのみち手ぶらでは帰れませんし、事情を知っている方がいるなら、前もって彼の現状を聞いておきたいですし」
「そうですか」
 ブラック17の言葉に、オーガスタは折れたようだった。
 しかし、元貴族…に、悪い噂がついているとなれば、犯罪組織と関わりでも持ったか?世間知らずのお坊ちゃんにはありがちな末路だが……



「あの男は、麻薬に溺れてしまったんです。スクゥーマに。カジートどもが持ち込んだ、あの忌々しいクスリ、あれはファエリアンの人格を破壊してしまいました。いまではスクゥーマのことしか感心になく、日中は夢遊病者のように帝都をふらついています」
「麻薬、ね。それで、寝ても醒めても外をふらついてるわけではないのでしょう?普段はどこで寝泊りをしているか、ご存知ないかしら?」
「普段はこのホテルの2階に住んでいます。愛人のアトレーナとともに…アトレーナ、可哀相な娘。ファエリアンのために、宿泊費も、食事代も、なにもかもあの娘が用意しているのですわ。かつての凛々しい恋人の姿を見たいがために、ファエリアンがいつか更生してくれることを望んで」
「…ありがとう」
 それだけ言うと、ブラック17は自分が借りた部屋(奇しくもファエリアンの恋人アトレーナが借りている部屋の隣)に向かった。
 自分がなんとかする、だから心配はいらない。
 そう言いかけたのを、寸でのところで飲み込んだ。
 これからファエリアンを殺そうというのに、余計なことを言って怪しまれたくはなかった。

  **  **  **

 その日の夜。
『ああ、ファエリアン、ファエリアン。あなたは、どうしてもわたくしの言うことを聞いてはくれないのですか?』
『うるっせえな、いつもいつも小言ばかり。それより、金はどうしたんだよ……』
『そのお金を、いったい何に使うおつもりなのです?』
『金がいるんだよ……』



「およそ会話になってないわね」
 壁越しに恋人たちの会話を盗聴しながら、ブラック17は嘲笑した。
 今回の任務は、事故に見せかける必要がある。つまり、ダーク・ブラザーフッドの関与を匂わせるような痕跡は残してはならないということ。
「思うにあの恋人たち、いつ関係が破綻してもおかしくはないわね」
 そう言って、ブラック17は立ち上がった。
 ファエリアンが部屋の扉を開けた音を聞くと同時に眼帯を外し、赤黒く光る義眼を露出させる。
 <シルヴィアの魔眼>…これは、そう呼ばれていた。
 かつてマリーエン・インダストリーが捕獲したが、護衛していたスペツナズともども護送中のキャラバンごと壊滅させて逃亡した女シルヴィア・シルクスターの右目を機械的に模したものだ。
 モノ自体はオリジナルの劣化コピーでしかないが、それでも強力なパーツであることに変わりはない。



 ブラック17は意識を集中させ、義眼と右腕のキャスト・デバイス・ユニットをシンクロさせる。
「コール・ブラッドキャスト」
『アクセプト・レディ。オプティカル・ユニット認識、エネルギー・リソースと回路を直結します』
「空間制御。ドミネーター・ホール展開」
『ラン』
 キャスト・デバイス・ユニットの駆動音とともに、周囲の空間が歪み、蝋燭のゆらめきが止まる。
 これこそが、シルヴィアの魔眼の真価。それはAR表示でも暗視能力でもない、限定された空間内の時間の流れを遅くする能力。
 ブラック17は素早く部屋から飛び出し、アトレーナの部屋から出ようとするファエリアンを素早く取り押さえる。スローモーションで瞬きするファエリアンの首を掴んだまま、ブラック17は彼をベッドで泣き伏せるアトレーナに向けて放り出した。
 おそらくその様子を、魔眼の影響範囲外から観察していれば、ブラック17が人間離れしたスピードで2人を襲っているように見えたかもしれない。しかしこの限定的な閉鎖空間で、彼女の所業を目にするような第三者は存在していなかった。
 驚く間もなく、悲鳴を上げる余裕もないまま硬直する2人の腰に下がっていたショートソードを抜き、ブラック17は凶器を振り上げる。ファエリアンの首を切り裂き、アトレーナの心臓にショートソードの刃を突き立てた。



 ブラック17はアトレーナの部屋の扉を閉め、自室に戻る。
 これが、ほんの2~3秒の間に起きた出来事だった。
『ドミネーター・ホール収縮、空間制御解除。クール・ダウン開始、オプティカル・ユニットとの接続を解除します。通常待機モードに移行、リターン・ゼロ』
「…… ……ッ!」
 突然の激痛にブラック17は顔をしかめ、魔眼を手で覆う。目元から、大量の血の涙が溢れていた。
「…こんな短い時間しか使ってないのに、もうバックファイアが起きるなんてね」
 これだから模造品は、とため息をつく。
 オリジナルはもっと広い範囲を、もっと長い時間、もっと時の流れを遅くすることができると聞く。実際に対峙したことはないが、重武装したマリーエン・インダストリーの精鋭を魔法も使わず瞬時に叩き潰したというのだから、恐らくは本当なのだろう。
「まあ、いいわ」
 血を拭いながら、ブラック17はさっきの殺しについて考えてみた。
 このホテルのオーナーのオーガスタか、あるいは衛兵が現場を見れば状況はすぐに認識できるだろう。
 わけありの恋人たちが、互いの武器で互いを殺傷。
 心中…無理心中か、あるいは意見の対立がもとで殺し合いにまで発展したか。愛憎の果てに悲しい結末を迎えた悲劇の恋人たち、おそらくはそんなふうに考えるはずだ。
 ともかく、殺し屋が2人の死を偽装したとは考えまい。それこそ回りくどい思考というものであり、ブラック17は証拠を何一つ残していない以上、真相に近い答えを見出したとしても、それはたんなるパラノイアだ。
 あとは自分が一般人らしく適当に振舞えばいい。
 そう思いながらも、ブラック17はどこか釈然としないわだかまりを抱いたまま、ベッドに倒れこんだ。

  **  **  **

 帝都での任務を終えたブラック17は、そのままシェイディンハルには戻らずインペリアル・ブリッジの傍らに佇んでいた。暗闇に染まった川の流れを眺めながら、エルフの恋人たちを殺したことについて考える。



 本来アトレーナは殺す必要のない人間だが、暗殺を偽装するうえで利用できる格好の存在であったことは確かだ。
 だが、殺す直前…刃を突き立てる直前、彼女の瞳を真っ向から捉え、ブラック17の決意は揺らいだ。
 それでも殺す手を止めなかったのは、長年の訓練と経験が本能として染みついていたからに他ならない。一度殺すと決めた相手は殺す、これは当たり前のことだ。
 だが今となっては、ファエリアンを殺すためにアトレーナまで巻き添えにする必要があったのかどうか、他に手はなかったのか、ブラック17にはわからなくなっていた。
 この男はもう救えない、待っていたって時間が無駄に過ぎるだけ、なにも解決しない。もうこんな奴のことは忘れて、新しい人生を…彼女を殺す直前に、そんな台詞が、喉から出かかった。実際は口よりも手のほうが早かったわけだが。
 こんな感情を抱くのははじめてだった。
 彼女が殺す必要のない一般人だったから?それとも、彼女の境遇に同情の念を抱いてしまったから?
「くだらない」
 思わず、口に出してそう呟く。
 良くない感傷に取り憑かれている、それは自分でもわかっている。
 たぶん、今の環境のせいだ…シロディール、平和な世界。しかし、本当にそうだろうか?
 もしシロディールが本当に自分が考えているような平和な世界なら、なぜ自分はここにいて、相変わらず人を殺しているのだ?罪もない家族を利己的な理由で犠牲にした男がのうのうと生きれる世界が本当に平和なのか?
 そもそも、もし自分が2人を殺していなかったら、あるいは自分がこの大陸に来てすらいなかったら、誰も死なずに済んだのか?否、他の誰かが自分の代わりに暗殺を遂行していた…それだけのことに過ぎないのだ。
 おそらくは、いままで自分が見ようともしていなかった、光射す世界の姿を目の当たりにしたから気が動転しているだけなのだろう…そう、ブラック17は考えた。
 いままで自分が身を置いていた環境が異常だっただけで、自分が元いた世界も、実際はシロディールに比べて格別に凄惨で残酷な場所だったわけではないのだろう。
 だが、自分がいままで見ようともしなかったものでさえ、一度目にしてしまうと、忘れるのは難しい。
 光射す普通の世界。誰かを殺さなくても生きていける世界。
 そのとき、ブラック17は本能的な恐怖を感じた。
 もし、自分が殺人をためらうようになったら。人を殺すとき、快楽ではなく恐怖を感じるようになったら。そう、今日のように。人を殺すという行為そのものに疑問を抱いた、今日という日のように。
 そのとき、自分はいまの境遇にどう向き合っていけばいいのだろう……




2013/05/11 (Sat)16:51
 以前、BLOOD2の紹介記事で「デモ版では敵をバラバラにしたときに目玉が残るが、製品版ではオミットされている」と書いた。これはv1.01とv2.1の両方で確認しているので、ほぼ間違いないと思われる(ちなみに両方ともクリアまで遊んでいる。昔はAUTOEXEC.CFGの設定がめんどくさそうだったので、面倒のないv1.01で遊んでいたのだ)。
 とはいえデモ版を遊んだのもかなり昔の話なので、せっかくだからと改めてデモ版を落としてプレイしてみた。現在でもFilePlanetから普通に落とせる。Frontのほうではないので日本人でも安心だ。気になるバージョンは1.0aという独自のもので、とりあえずキーバインドにまつわるエラー(不正終了)は存在しない。
 さっそくハードウェア・レンダリングモードでプレイしてみたら、タイトル画面が表示されず。BLOOD2のプレイヤーにとっては馴染みの光景だ。画面が表示されないだけでちゃんと動作はしているので、とりあえず盲目状態でメニュー画面を操作し、1度ゲームを開始してから改めてメニュー画面を開くと、今度はちゃんと表示された。以後、起動時にも普通に表示されるように。あれ~こんなに融通きいたっけコイツ?
「It's howdy doody time kiddies , the bad man is here . 」
 ケイレブ御大のステキなボイスとともにステージ開始。んで、いきなりの試練が。なんとデモ版では、コンソール(通常チートの入力に使うMASSAGEのほうではない。@で開くほう)からFPSの指定ができないのだ!なんてこった!もちろんビデオカードのドライバから垂直同期を強制ONにしても効果はナシ。高速のままゲームが進み、このままでは検証どころではないので早速MASSAGE「MPGOD」で無敵モードに。
 とりあえず目につく連中を片っ端からバラバラにし、目玉が出るかどうか試してみた。


↑出た。


↑出た!


↑出ました!

 やっぱりアレですね、目玉が出るのと出ないのとでは残虐度が全然違いますね。
 ちなみに目玉が出るのは身体をバラバラにしたときです。つまり目玉が出るのと同時に「目のついてる生首」が転がることもあるわけで、違和感がないこともないですが、それでも無いよりはあったほうがテンションは上がるわけでして。
 この目玉はガスマスク装備のファナティックを殺したときにも発生します。というより、人間系のキャラであれば誰でも発生する可能性があるようですね。可能性…つまり、必ずしも発生するわけではありませんが。
 そこでグレさんはちょいと気になりました。「思ってたより(記憶していたより)目玉の発生率が低い?」「思ったよりも視認しにくい…」と。つまり、「ひょっとして製品版でも眼球は出てたけど、俺が見過ごしてただけなのではないか?」という疑問が浮かんだわけでして。
 そこで改めて、デモ版で登場したステージを製品版で遊び、「本当に製品版は目玉が出ないのか?」を再検証してみることにしました。


↑出ねぇ。


↑うおおおーーーっ!


↑出ねぇ!


↑出ねぇよぉ!

 おーん。
 懐かしい壷ネタを振ったところで、まとめといこう。
 「結論:製品版は目玉が残りません。」
 Out out , damn spot !




2013/05/09 (Thu)05:14
「先日はお見苦しいところを見せてしまい、申し訳ありませんでした」
「まったくじゃ。ワシはかれこれ3000年近く生きておるが、男性器なぞ見たのはほんの数回じゃぞ」



 グレイ・メア亭での全裸騒ぎから数日後、ジェメイン兄弟宅にて。
 リアの計らいでどうにか監獄行きを免れたレイナルドとギルバートに呼ばれ、リアはコロールのレイナルドの家に立ち寄っていた。あちこちにアルコールの空瓶が散乱し、お世辞にも整頓されているとは言い難い部屋を眺め回し、リアが口を開く。
「で、わしに頼みとはなんじゃ?」
「じつは、僕達兄弟の生家…ウェザーレアという場所なのですが、近々そこに住居を移したいと考えているんですよ」
 話すのはもっぱら弟のギルバートの役割だ。
 兄のレイナルドはというと、先日あんな事件を起こしたばかりだというのに、相変わらず飲んでばかりいる。ダメ人間ぶりではオディール家の家長に引けを取らないのではないだろうか。
「あれー?さっき、ここに飲みかけのビールを置いといたはず…」
「さっき飲んで捨てたろうが。ともかく、なんじゃ。頼み、ちうのは引っ越しの手伝いか?」
「いえ、そうではなく」
 そう言って、ギルバートは手を振る。
 なにやら特殊な事情がありそうだが、しばらくギルバートは黙ったままだった。やがて意を決したように顔を上げると、ギルバートは自分達兄弟の過去についてリアに打ち明けた。
「じつはウェザーレアは、オーガの襲撃を受けて壊滅しているんです。そのときに母はレイナルドを、父は僕を連れて逃げました。その後僕は父に、母と弟は死んだと聞かされ…実際は違ったわけですが…現在に至るわけです」
「おれも昔のこたぁサッパリ憶えてねンだよなぁ…気がついたら修道院に引き取られててさ。いままで家族がいたなんて考えたこともなかったよ」
「貴様、修道院育ちでその酒癖の悪さか。コロールの修道院、ちうとウェイノン修道院か?」
「そう、そのウェノイン修道院」
「間違えとる間違えとる。ジョフリがいるところではないか、あの年寄りはいったいどんな教育をしておるんだ」
「まあまあ」
 若干話が脱線しかけたところで、ギルバートが軌道修正する。
「ともかく、そのウェザーレアは今もオーガの棲家になっている可能性があるんだ。だから、凄腕の戦士たる君に様子を見に行ってもらいたいんだけど」
「凄腕の戦士…そこでそんな評判を聞いた?」
「オディールさんから。ゴブリンの集団を殲滅したって」
「あのジジイ…まあ、いいわい。若者の頼みは断れんからのー」
 そう言って、よいしょ、リアは腰を上げた。
 出て行こうとするリアに、ギルバートが後ろから声を上げる。
「様子を見に行くだけでいいからね。別に倒す必要はないから、危ないからさ」

  **  **  **

「ありゃあ、まだわしのことを信用しておらんな」
『そりゃあ実際に戦っている現場でも見なければ、あなたの容姿で戦士と言われても信用しないでしょう』
「なら、こんないたいけな少女を危険な場所に向かわせようとも考えんのではないかなー、普通は」
『そのあたりは、なんとも。シロディールの人間は、我々とは価値観が異なるみたいですし』
 コロールを出立したリアは、思考支援AI<TES-4>…通称フォースを相手に小言を漏らしていた。
 ギルバートに渡された地図を眺め、視覚情報を画像データとして保存する。こうすれば、いつでも実際に地図を取り出すことなく内容を確認することができるだろう。
 とはいえ地図はギルバートが幼少の記憶を頼りに書いたものなので、いささか正確性には欠けていたが。
「さて、もたもたしていても仕方がないの。ここはいっちょ、バイクに変身してバァーッと移動するかのー」
『服、脱ぐの忘れないでくださいね』
「お、おう」



 2輪駆動形態に変形すべく、リアはドレスをトランクにしまいこむ。
「しかしこれ、毎回やらねばならんのか?」
『仕方ないでしょう、予備の着替えを持っていないのですから』
「うーむ…」
 不服そうな声を上げてはみるものの、具体的な代案が浮かばない以上、しばらくはこうする他にないだろう。
「そのうち、ちゃんと考えんとのー。それじゃ、頼むぞ」
『了解しました。変形プロセス起動、現在コマンダーの承認待ちです。…レディ?』
「レディ」
 ガッシイイィィィィィンン……!
 リアは2輪駆動形態に変形すると、一路ウェザーレアへと向かった。

  **  **  **

 しばらく走行したのち、リアは視覚センサーに複数の巨大な生命反応を関知してタイヤの動きを止めた。



「あれか?」
『おそらくは。あの廃屋は、過去にジェメイン一家が住んでいたものではないでしょうか』
「随分と荒れとるのー」
『火などを使った形跡はありませんね。単純に、物理的な攻撃による破壊工作が行なわれたようです。破損した壁材の断面を見たところ、攻撃を受けてから20年以上経っているようですね』
「やはり、間違いないようじゃの」
 そう言って、リアはふたたび変形プロセスを起動し2足歩行形態へとシフトした。
 いそいそとトランクからドレスを取り出しながら、フォースに向かって言語シグナルを発信する。
「そういえば、そもそも『オーガとはなんなのか』ちう質問をするのを忘れておったが…どうも、廃屋を取り巻いている連中がそれのようじゃな」
『かなり大きいですね。表皮の硬度、脂肪の厚さからいって、退治するには骨が折れそうです。ギルバート・ジェメインは、退治の必要はないと発言していましたが』
「なにを言うか。あの兄弟を危険に晒すことのほうが心苦しいわい…どれくらいいる?」
『少々お待ちを…環境探査フィールド展開、四方1200m以内のクラスC生命体反応3。いずれも同一種族だと思われます。警戒レベルをイエロー4にセットします』
「3体か。どれ、チィとお仕置きしてやるとするかな」
 着替えを終えたリアは両手にカタールを握り締めると、荒廃したウェザーレアに向かって駆け出した。



「ギィ?」
 巨躯を揺らしながら廃屋の周辺を闊歩するオーガ達が、リアの存在に気付く。
 筋肉の動き、表情の変化から、オーガ達が自分を「敵」と認識したことをリアは理解した。彼らが廃屋を叩き潰すのに使った豪腕を、この小さな身体に向けて振るうことに躊躇はしないだろう、ということも。
「ならば先手を打つまでよ、フンッ!」
 地面を蹴り上げ、およそ人間離れした跳躍力でリアはオーガの懐に飛び込む。
 標的が視界から消えたせいでうろたえているオーガの脇腹に、リアはカタールの刃を深々と突き刺した。思い切り振り抜き、内臓に多大なダメージを与える。
 普通の動物なら苦痛でまともに動けなくなるほどの傷だったが、オーガはリアをジロリと睨みつけると、たいした反応も見せないまま右腕を振るい、リアを薙ぎ払った。
「…!?ぬ、おわっ!」
 巨大な拳の一撃をまともに喰らったリアはそのまま吹っ飛ばされ、木の柵に激突する。そのまま柵は倒壊し、リアはもともと畑だったらしい柔らかな土の上に投げ出された。
「なんじゃ、アイツは…」
 予想外の反撃に驚きながらも、リアはオーガにつけた傷がみるみるうちに塞がっていくのを確認し、驚きに目を見開く。



「なんと、凄まじいスピードで傷が治癒していくぞ!?」
『どうやら彼らは再生能力が異常に発達しているようですね。おそらく、同種の中でも特異な進化を遂げた個体だと思われます。警戒レベルをイエロー4からレッド1に引き上げます』
「チィィィ、厄介な!あの兄弟を連れて来んで正解だったわい、こりゃあ並の人間の手に負えるような相手ではないぞ…魔法でも使えれば別かもしれんが、あの兄弟にそういう力があるようには見えんかったしな」
『おまけに痛覚がかなり鈍いので、身体機能に深刻な障害を与えるレベルのダメージを与えなければ、動きを鈍らせることすらできないでしょうね』
「せめて対物ライフルでもあればのう、簡単にカタがつくのじゃが。この世界はハードウェアが貧弱すぎるわい、なにか良い方法はないのか?」
『そうですね…』
 フォースは一瞬だけ思考に時間を費やしてから、リアの思考プールに情報を流した。
『彼らの身体構造は人間のものと酷似しています。どれだけ治癒速度が早くとも、急所を的確に攻撃すれば殺すことは可能のはず』
「クリティカルな部位を狙えということか、よし!」
 リアは身体中に付着した土くれを払うと、ふたたびオーガに向かって飛び出していった。
 グォオン、力任せに振るわれたオーガの巨大な腕を回避し、リアは自分の倍以上はある化け物に最接近する。
「目に見えるほど治癒速度が早いならば、失血による心停止は期待できんな…ならば!」
「グッ!?」
 リアの素早い動きにオーガが狼狽する。一方で、リアはリアルタイムでオーガの生物的特徴をスキャンし続けていた。
「おそらく、わしが手にしているこのちゃちな刃物では、この生物の骨に傷をつけられまい。無茶をすれば武器のほうが壊れちまうじゃろう、頭部を狙うにしても頭蓋骨は避けねばだめだ。そして脳…脳はクリティカルな部位じゃ、しかし脳ならどこに当てても良いというもんではない、脳の急所ちうモノも存在するのだ。つ・ま・り・はッ!」
 グザッ!!
 トン、トンとオーガの腕を駆け上がったリアは、カタールの刃をオーガの口内に刺し込んだ!
「つまりは頭蓋骨の干渉を受けない口内から、脳幹を刺し貫く!どれだけ痛覚が鈍かろうと、どれだけ優れた再生能力を持っていようと、中枢神経システムが停止すれば生命活動の維持は不可能じゃ!」
 リアがカタールの刃を引き抜くと同時に、RAS(細網活性システム)の許容範囲を超えるダメージを負ったオーガが木偶人形のようにバタンと音を立てて倒れる。すぐに脳の活動も停止し、物言わぬ骸へと成り果てるはずだ。
「「ギオオオォォォォォォッッッ!!」」
 仲間が殺されたことへの怒りか、あるいは人ならざる動きで仲間を葬ったリアへの本能的な恐怖からか、残る2体のオーガが咆哮を上げた!
 地面に沈むオーガの傍らに舞い降りたリアは両手のカタールの刃をかき鳴らし、目前に迫る敵を挑発する。
「どうした、焦る必要はないぞ?どのみち、皆…向かう先は同じじゃ!」
「オォァアアアアアアーーーッ!」
 プレッシャーに耐えかねて突進してきたオーガの首に足をかけ、リアはそいつの両目にカタールの刃を突き刺す。上方向からナナメに、アングル・コンタクト。脳を掻き回してぐしゃぐしゃに引き裂くと、オーガはぴんと爪先を立てたままの姿勢で前のめりに倒れた。
 オーガが倒れる前にひらりと飛び降りたリアは、カタールの刃にこびりついた脳の欠片を振るい落とし、残る1体に向けて邪悪な笑みを浮かべる。
「最後」
『ターゲットに設定したクラスC生命体のうち2体の生命反応消失を確認。警戒レベルをレッド1からイエロー3に引き下げます、続けて標的の抹殺を実行してください』
「オオオォォォォォッ!」
 最後のオーガがリアに掴みかかる!がしかし、リアはそれをひらりと避けると、オーガの背に乗り首と頭の付け根を刺し貫いた!



 脊髄を絶ち切られたオーガが悶絶する!
「アガアァァァァァッ!」
「ええい、暴れるでない!さっさとおっ死ね!」
 リアはカタールの刃を引き抜くと、今度は同じ部位に両手の刃を交差させた!
「アガ……」
 やがてオーガは抵抗しなくなり、ガクリと膝をつくと、そのまま地面に倒れた。
 無事に着地し一息つくリアに、フォースが事務的に状況を報告する。
『ターゲットの殲滅を確認、警戒レベルをイエロー3からグリーン2にシフトします。お疲れ様でした、ゼロシー』

  **  **  **

 レザーウェアの安全を確認した、というリアの報を受けたジェメイン兄弟が現地に到着したとき、目の前のあまりに異様な光景に言葉を失った。
「な、まさか…このオーガ達を、本当に君がやったのか?」
「そこそこ骨の折れる仕事じゃったがの。ま、こんなもんは児戯じゃ、児戯」
『苦戦してたくせに』



 フォースの言葉を無視し、リアは余裕たっぷりの態度でギルバートに向かい合う。
 一方で未だわずかに体温の残っているオーガの死体を検分していたギルバートは、リアに向かって言った。
「本当にやれるとは思わなかった。オディールさんの言葉も、どうせ酔っ払いの言うことだと思ってたのに」
「おぬし、ちぃとはわしを信用せんかい。わしを何だと思っておる」
「厨二病の女の子」
「…せめて、実力に見合った妄想の持ち主という認識で頼みたいのー」
「すげー、これすげー。なあギルバート、これどうすんの?」
 相変わらず酔っているレイナルドが、おもむろに訊ねる。
 ジェメイン兄弟はこの廃屋を改装するつもりであり、そのためにはオーガの巨大な死体は邪魔になる。いずれ自然に還るにしろ、その間に腐敗だのといった有り難くないプロセスを経るため、できるなら何らかの方法で処分したいのだろう。
 しばらく頭を悩ませてから、ギルバートが言った。
「うーん、そうだね…魔術大学に引き取ってもらうのはどうだろう」
「魔術大学?」
「なんでも、錬金術の材料にオーガの身体が使えるらしいよ。皮膚とか、肉とか、脂肪とか、牙とか…お姐さん、なんとかならないかな」
「誰が姐さんじゃい。そうじゃな、魔術大学はともかく魔術師ギルドのほうなら渡りがつけられるかもしれん。そっちのツテでなんとかしてみるとするかの」
「それは有り難い!」
 ぼろい家だけど良かったら、という言葉に誘われ、リアはジェメイン兄弟とともに廃屋へと足を踏み入れた。

  **  **  **



「わーい、超すげー。超ぼろーい。俺の家よりひでー」
 そんなことを言いながら、さっそく酒を飲み始めるレイナルド。
 ギルバートは兄の飲酒癖に関してどうこうするつもりはないらしく、生温かい目で見つめつつ、リアに向かって口を開いた。
「それにしても、なんてお礼をしたら良いやら」
「礼なぞよい、誰も金目当てでやったわけではないからの。それと、オーガの死体の処分はこっちに任せい」
「重ね重ね、なんとお礼を言ったらいいのか。お姐さんに足を向けて眠れないな、今後は」
「無駄な気遣いなぞせんでもよい。それより、これからが大変じゃぞ?家の再建というのはな…わしはの、おぬしらが元気で長生きできれば、それで満足じゃ」
 ではの、と言い残してリアは退出する。
 オーガ達の死体を前にして、フォースが呟いた。
『ところでこれ、どうやって運ぶつもりです?』
「むー。2輪駆動形態で縄つけて引きずるとか」
『それめっちゃ怪しいです。発見者から通報されますよ』
「他に良い手もあるまい」
『うーん…』
 けっきょくリアはオーガの死体を2輪駆動形態でコロールまで運んだあと、魔術師ギルドと交渉して荷馬車で魔術大学まで移送したのだった。




2013/05/07 (Tue)11:36


 どうも、グレアムです。
 最近ちょいとデスクトップを見回したところ、公開しようかどうか迷ったまま放置しているMOD改造ファイルなんかがあったので、せっかくなので公開することにしました。

>自作MODだったりなんだり。<

 …本当はエイプリルフールに合わせて某大手掲示板サイトあたりで公開する予定だったんだよな。
 なんというか、俺自身が存在を忘れてて公開時期を逸したという。
 いちおう、公開に合わせて簡単に内容の解説を載せておきます。

  **  **  **

「 Secret Mission Testver. 」
 Armed Assault用のSingle Mission。これは現在Mission Packとして製作中のものの中から1つだけ試験的に公開したもので、もとは今後製作するMissionの参考用に意見が聞きたくて某掲示板サイトにて公開したものだったが、現在誰も初代ArmAをプレイしていなかったので批判すらされなかった悲しみの1本。プレイには拡張パックQueen's Gambit必須。
 改めて見ると英語の文体どうの以前に誤字が散見されるので、これはバージョンアップ時に直そうと思う。After Montignacから着想を得た高難度Mission(死に憶えを想定している)だが、これでも当初よりはかなりマイルドに作っている。本当はもっと屋上にSniper等が配置されていたのだが、難易度を上げてプレイした際自分でもクリアできなくなったので削除した。
 とりあえずMap画面に表示される赤いゾーンから出ればクリアになる。脱出手段は幾つか用意してあるし、敵の配置にけっこう気を遣ったので、複数回プレイしても楽しめるのではないかと自負している。民間人の運転するバスに敵の一個分隊が乗っていたり、なぜか森の中にジャベリンを所持した将校がいたり、ネタ要素にも事欠かない。

  **  **  **

「 Hokuto Shinken Jagi Voice 」
 Fallout3用のMOD「 Hokuto Shinken 」にて、攻撃時のボイスをケンシロウからジャギに変更する差し替え用ファイル。導入にはHokuto Shinken(バージョンは1.6を想定)必須。
 このHokuto Shinkenってのがちょっとクセモノで、コンフィグで設定を変更する際、ON表示で機能OFF、OFF表示時に機能ONと妙にややこしい仕様になっている。それとこれは導入をミスっているのか、環境依存なのか、あるいは未実装の機能なのかはわからないが、グレさんの環境だと「 Turn Technique SFX 」の項目がON(つまり機能OFF)から変更できなかった(あと「 Toggle Rotating Attack SFX 」も未機能?)。
 そのため幾つかの機能を未確認のため検証不十分なのだが、一応該当ファイルはすべて差し替えてあるので急にケンシロウの声が聞こえてくる、とかいうことはないはず。ちなみに破顔拳が千手殺、残悔拳が羅漢撃になっているが、そこはツッコんでくれるな。

  **  **  **

「 ICP用 Biomega MOD 」
 S.T.A.L.K.E.R. SoCに「 SFPS ver3.11 + ICP ver0.9β 」を導入時のみ適用可能な改造ファイル。当たり前だが7sAstを入れている場合は機能しない。内容は漫画「バイオメガ」をリスペクトしたもの。
 Glock18cを弾体加速装置に、ナノスーツを強化人間用スーツへと置き換える。基本的には性能と説明欄のテキストをいじっただけで、アイテム名すら変わっていないというお粗末なもの。ちなみにゲーム開始時に近くのBoxから入手できる「あるアイテム」がシドロビッチにのみ高額で売れるようになっているので、それで武器とアーマー、弾薬を購入できるようになっている。
 同梱のおまけファイルを入れると、ナノスーツ(というか科学者用スーツ全般)のHUDがバイオメガ風に変更される。ちなみにアスペクト比4:3専用で、ワイド画面だと表示がズレてマトモに使い物にならなくなるので注意。グレさんはワイド環境なので、なんとかワイド画面用のテクスチャを作りたかったが、色々試行錯誤したものの不可能と判明し断念。もともとスーツ用のダイナミックHUD自体がバニラにない機能なので仕方がないのかもしれないが…

  **  **  **

 まぁそんなカンジで、なんというか本当にゴミのよォなファイルばっかりなんですが、このままHDDの肥やしにしておくのもなんかつまらんと思ったので公開することにしました。
 そのうちまたゴミみたいなものを追加するかもしれません。3Dデータを作れるスキルがあればもうちょっと幅が広がるんだけど、現状Blenderすらマトモに使いこなせないんでなぁ。本当は自作武器とか、それこそモーション変更とかやりたいんですけどね。

 そのうち紹介動画とか作るかなぁ。ていうか、実際どれも動画観るだけで充分だよね、みたいなモンばっかりだし。




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