主にゲームと二次創作を扱う自称アングラ系ブログ。
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2016/04/10 (Sun)07:09
どうも、グレアムです。週末はFallout: New Vegasの環境構築などをしておりました。
4GB設定、日本語化、各種Mod投入、ENBをセット等ソツなくこなし(実は日本語化だけちょっと詰まった)、さあプレイだと思った矢先、思わぬ刺客が俺を襲った。
女性用のヌードボディ(体型Mesh)Modにバニラのテクスチャが適用されている!通称「黒パンツ化」現象だッ!
そのModの名は「 BEWARE OF GIRL Type 3 HiRez HiDetailed Replacer 」。
当該ModはFomod形式で配布されており、FOMMからランチャーを起動してセットアップする。俺は普段FomodだのBSAだのはアンパックして手動で導入しているのだが、種類によってはランチャーの機能を使って複数のメッシュ/テクスチャからリネームして導入するものがあり、そういう面倒臭いのはさすがに手動では厳しいのでそのまま入れている。
いちおう今回も黒パンツ現象が起きたとき真っ先に当該Modをアンパックして中身を見てみたのだが、構成が複雑(そのままデータを上書きして導入できるような構成になっていない)で参考にならなかった。
とりあえずNV直下のTextureフォルダを覗いてみるが、女性用のテクスチャ(Data\textures\Characters\female\upperbodyfemale.dds)はきちんと導入されている。いったいどういうミスだろう、これは?
それからは色々なサイトを参考にArchiveInvalidation Invalidatedの導入、iniの書き換えなどを試してみるも、どうにも上手くいかず。しまいにTweakINIからバニラデータの差し替え設定を無効にしたところ、体型どころかあらゆるModのテクスチャ表示がおかしくなってしまった。
ここで気づいたが、どうも謎の黒パン現象は当該Modのみの影響で、他のMod(独自リソースを使う物、リプレイス系すべて含み)は正常に表示されていたことに気がつく。なぜ、こいつだけ?
考えられる原因は一つ、設定ファイル云々ではなく、単純にModの導入に失敗してるんじゃないか?
ひょっとして一部のMeshが破損(Textureの指定ミス等)しているのかと思い色々な体型をチョイスして都度にゲーム画面を確認してみるが、やはりどれも変わらず黒いパンツと歪なノーマルマップの胸部がモニタに強調されて止まない。なにより以前の環境でこのような問題は起きておらず、安定志向の俺がそう突飛な選択をしていたはずがないのだ。
ここでもう一度、当該Modのインストーラ画面を注視してみることに。
そう、これだ。
体型の選択前、赤字で警告メッセージが出る。おそらく当該Modで黒パンツになってしまう他のユーザー諸氏にもこのような画面が表示されるはずだ。
いままでは読み飛ばして適当にチェックを入れ進めていたのだが、どう考えてもここで重要なメッセージを見逃しているとしか思えない。
上の写真ではInvalidation checkの項目で二つエラーが出ている。さてここで、「Error detected! Read below for help.(エラー感知!以下のヘルプを参照してください)」を読んでいこうじゃないか…
SOLUTION:
1. Close this installer
「まずはインストーラを閉じれ。」
2. Open Fallout Mod Manager's main window
「FOMMのメイン画面を起動してみろ。」
3. Click [Tools] on the menu bar
「メニューバーからToolsタブを選択してくれ。」
4. Click [Archive Invalidation] on this menu
「Archive Invalidationの項目をクリックするんだ。」
If you get the message [Remove archive Invalidation?], it means Archive Invalidation is installed, but the file has the wrong name.
「既に項目にチェックが入っている場合、Remove archive Invalidation?(archive Invalidationを削除しますか?)というメッセージが表示される。」
In that case click [Yes] to remove Archive Invalidation, then apply Archive Invalidation again.
「Yesを選択して一度削除し、もう一度同じ手順を繰り返して再度有効化してくれ。」
…わかったな?
わかったな?そういうことだ。
めっちゃ丁寧に説明してくれてるじゃあねーかッ!!しかもすげー平易な英語で!
要するにFOMMのTool欄から「Archive Invalidation」を有効化する、もし既に有効化されている場合は「一度無効化し、再度有効化する」!これが単純にして至高の解決策とゆーわけだ。
製作者からしてみれば、これだけ丁寧に説明してるのに導入ミスされるとかないわーっていうハナシなんだが、極東の島国にいる人間には英語アレルギーというヤツが甚だ身に染みついているというわけで、重要なメッセージを読み飛ばしてしまうのも止む無しというわけなんである。
ちくしょう、なんて見事なTL;DR(too long, don't read)だよ。俺も他人のこと全ッ然笑えねーじゃねーか…
まァそんなわけで、もし上記手順を踏んだあとでインストーラを起動したらば、先刻の画面がこのように変化しているはずである。
見ての通りオールグリーン、何の異常もなし。綺麗なモンだ。チェック項目も消えている。
ちなみにチェック項目に書かれていたのは「問題があっても自己責任で入れるよ」という文章。つまり「そのままだと正常に動作しないよ」という警告に逆らって無理矢理にインストールしようというわけで、そりゃあ、上手くいきっこないんである。
無事にModの再インストールを終えてゲームを起動すると、もう黒パンツはヴェガスの闇に消え去っていた。もとい、すっかり正常な導入が確認できたというわけである。
ぶっちゃけボディメッシュに限ってなんでこんな面倒な仕様になってるんだと思わないでもないが、まあなんか色々あるんだろう。
そんなわけで現在無事にニューベガスの環境構築を終えひさびさにモハビの風を満喫しております。
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2016/04/08 (Fri)23:57
どうも、グレアムです。
あれから症状が良くなり、頬の膿がだいぶ抜けて痛みが引いてきました。それまでの数日間は口を動かすと激痛が走ってまともに食事ができなかったため、おかげですっかり体重が落ちたぜ。もうベルトなしで履けるズボンがない。これでまた知り合いに会うたびに「また痩せた?」って言われるんだよ、十年くらい前からずっとそうだ、当時だって体重47kg前後だったはずだが…このままだと俺、無くなっちまうんじゃないか?
そんな与太話はともかく、ひさしぶりにStalkerを起動しています。
現在プレイしているModはSoC用の「 Autumn Aurora 2 」というヤツ。ゲームプレイを刷新するようなものではなく環境改善系です。が、「これマジでSoCなのか…?」と目を疑うこと必至。この感動は実際にプレイしてみなきゃあわからない(SSじゃ伝わりにくい)。まさかSoCでMiseryばりの環境を拝めるとは思わなんだ。いや、業物(ワザモノ)ですよこれは。
もとより温故知新というか、最初はバニラをプレイするつもりでSoCを再インストールしたところだったので、丁度良いModではあった。見たところ動作も安定しているようだし、体調不良抱えてるときに面倒なことを考えながらプレイしたくはないしね(新味があるのはピーキーなのが多いからなぁ…)。
じつは当作、インストール時に起動するランチャーのメッセージがけっこう凝っていて面白いので、簡単に紹介してみようと思う。
ユーザーに再三の警告を促すメッセージ。笑える
【以下、適当な意訳】
警告!ちゃんと読まないとCTDするぞ!(注:TL;DRとは「 too long, don't read 」の略)
Autumn Aurora 2 はパッチ1.0006専用にデザインされている。他のバージョンだとCTDするぞ!
Yes⇒ちゃんとパッチ1.0006をインストールしてあるぜ。
No,⇒誰が本体バージョンなんか気にするってんだ?
オプションをインストールするときの注意書きをよく読み、あなたのPC環境に合わせて適切な選択をしてくれ。何も考えずにNextをクリックし続けるとゲーム開始即CTDだ。
Yes⇒オーケー、わかったよ。
No,⇒なに、文章を読めだと?冗談だろう?
xRayエンジンの仕様上、PDAにアクティヴなタスクを溜め込みすぎるとゲームのクラッシュとセーブデータ破壊の原因になる。なるべく依頼は一つづつ受け、以前のを完了させてから次のタスクを受注してくれ。
Yes⇒PDAのタスク欄は常に整理しておくよう心がけるよ。
No,⇒俺に指図なんかするんじゃねぇ!
三項目すべてに肯定のチェックを入れないとNextをクリックできないようになっている。が、これでTL;DRな方々を本当に矯正できるかは少々疑わしい(笑)
ちなみに最後のほうの訳はちょっと自信がない。タスクの溜め過ぎがクラッシュとセーブデータ破壊の原因になる、というのは初耳だからだ。ただ原文からはそうとしか読めず(少なくとも俺の腐れ脳では)、具体的な数字が出ているわけでもないので、結論は保留する。俺はもうデバッグの真似事をやるような熱意も残ってないし。
ただ基本的なゲームプレイはバニラのままであるAutumn Aurora 2ではそれほど致命的な欠陥ではないが、たとえばSecret Path 2のようなストーリーラインを一新するタイプのModだとどこで誰に依頼をされるか、どの依頼にどれだけの重要性があるのか事前に計ることはできないので、これはけっこう厳しい仕様なのではないかと思う(xRayエンジンの仕様と書かれているので、Autumn Aurora 2固有の問題ではないはず)。
小難しい話はさておき、現在は一日三十分ほどを目安にちまちま、ゆっくりプレイしてます。
銃火器はReAnimation Projectのものを使っているらしく、テクスチャまわりがブラッシュアップされているので使い心地はいい。アイテムの種類増加は微々たる範囲に留まっている。
睡眠機能が追加されているが、たしかSoCは睡眠中に日(0時)を跨ぐと日中でも空が夜中のままになるバグがあったはず。Autumn Aurora 2では改善されているかもしれないが、そのことが気になって睡眠は24時以降に取るクセがついてしまっている。
間違ってもバニラと同じバランスではないので、初心者にバニラの代わりに薦めるようなシロモノではないが、経験者がバニラに近い環境でプレイしたいときにはうってつけのModではないだろうか。
2016/04/04 (Mon)07:25
どうも、グレアムです。土曜あたりから右頬が異様に腫れはじめ、「どうせ大したことないだろう」と油断してたらパッと見で異常がわかるほど膨れ上がってしまいました。歩くとプルンプルン揺れるほどに。俺のイケメン(=イケてない面)フェイスが台無しだぜ。なんでこう週末になると体調が崩れるかなァ?
とりあえず現在は保冷剤で冷やすという古典的応急処置を施してますが、これ以上酷くなるようなら自分で頬を裂いて中身をひり出すしかないなあ。素人の荒療治?結構、自己責任だ。こちとら寿命や健康なんていう言葉とは無縁に生きてるんだ。ぶっちゃけ、不健康でいることに慣れ過ぎた。
そんなどうでもいい私生活トークはさておき、今回はModDBにて公開されているホラーシューター『 Paranoia 2: Savior 』を紹介しますよ。
本作はXash3Dというゲームエンジンを用いて製作されたフリーウェア/スタンドアローンのゲームです。Xash3DはGold Sourceと互換性のあるエンジン(Id Tech1~3のソースコードをベースにGold Sourceの機能を組み込んだものらしい、元々Gold SourceはId Tech1の改造エンジンである。ただGold Sourceはオープンソースではなかったはずだが…)で、インディーズ向けのゲーム製作エンジンとして発達したものらしい。
前作ParanoiaはHalf-Life用のModとして製作されたもので、パッと見で内容にあまり変化はないようだ。おそらく製作エンジンの変更とスタンドアローン化が本作の目玉なのだろう。ちなみにDoomにもParanoidというWadが存在するが、あれはDoom上でHalf-Lifeを再現したものなので、おそらく無関係だと思われる。
主人公はアルファ部隊の隊長(Major=少佐と呼ばれているので、おそらくそうだろうと思う)として、ロシアの怪しげな研究機関を彷徨い歩くことになる。
本作はロシア産なのか、インストール時に言語をロシア語/ウクライナ語/英語のいずれかを選択する。少なくとも英語版のテキストはテクスチャではなく標準のフォントが使用されており、多くのデータがテキストファイルで記述されているので、ひょっとしたら日本語化が可能かもしれない(申し訳ない、いまそのことに思い当たったのであまり突っ込んで調べなかった)。
モデルやテクスチャなど多くのアセットにStalkerシリーズのものが流用されており、研究所内の雰囲気もStalkerのX研究所に酷似している。Stalker meet Gold Sourceといったところか。
本作は戦闘より、どちらかというと謎解きに比重が置かれており、屋内をくまなく捜索して資料を集めたり、一見通ることができないような通路を探し出す必要がある。どちらかというとMetroシリーズ的なアドベンチャー風の色合いが強い。
はっきり言って、本作のゲームプレイはかなり好みが分かれると思う。
決して銃撃戦が楽しいゲームではないし(後述)、先へ進むための手段にしても、しゃがみジャンプ(いまどき!?)を駆使して狭い隙間を抜けなければならなかったり、初見殺しも多いため、フラストレーションが溜まりやすい仕様なのは確かだ。
戦闘が楽しくない理由としてはダメージバランスが厳しいこと、武器の所持弾数上限が少なく弾切れを起こしやすい(これが普通に詰みの状況を作ってしまう)。そのため味方がいる場面では極力発砲を控える必要があるほか、ヘッドショットを積極的に狙っていかなければならない。が、そうも言っていられないのが本作の品位をかなり貶めてしまっている。
なぜなら一部敵のヒットボックスがインチキくさく、頭部に命中しないばかりか胴体にアサルトライフルを二マガジンほど撃ち込んでも死ななかったりするので、非常にフラストレーションが溜まるのだ。おまけに、そういう敵に限って銃火器を所持しており、プレイヤーはあっという間に蜂の巣にされる。手榴弾の使い勝手が悪く、リーンもないゲームでこれはあんまりだ。
武器の挙動そのものはよく作りこんであるだけに、残念である。
あとは探索場面においても、オブジェクトのアクティベーション判定がかなり曖昧でひたすらキーを連打しなければならなかったりと、お世辞にも快適なプレイ環境とは言い難い。
もとより俺が探索型アドベンチャーが苦手であるというのと、右頬の痛みがひどくて苛々していたことから中盤に差し掛かったあたりでゲームをアンインストールしてしまったが、フリーウェアのFPSとしてはそれなりに品質は高く、上記の欠点が気にならないのであれば遊ぶ価値はあるように思う。たぶん。おそらく…
2016/04/02 (Sat)23:55
どうも、グレアムです。別のゲームやってて若干ふらつきましたが、いちおうアーケイドの過去編(たった前後編だけど)が終了しました。あくまでアーケイドは実プレイのリプレイ+αなので、こういうオリジナル展開は滅多にやらないと思います。
といってもまたぞろMount and Bladeにハマッてしまったり、あろうことか7 days to dieのメジャーアップデートがきてしまったので、もうしばらくタムリエルの大地に戻るのは先になりそうです。
ウェイストランドは…Fallout3は、じつは途中まで写真撮影終えてるんですが、NPCがスケジュール通り行動せず狙ったシチュエーションで写真が撮れないというので、かれこれ三ヶ月近く放置気味だという。もう適当に片付けて次の話書くべきだこれ。
以下、アーケイド過去編の雑な補足。
上の写真は幼少期アーケイド。背を低く、頭部と手足を若干大きめにすることで子供体型の再現をしたつもりだったが、実際にやってみるとアンバランスで非常に見栄えが悪かった。Skyrimに限らずだが、写実風のグラフィックではこういった漫画的な作画ロジックが通用しないことが多々ある。
たとえば幼女風の顔の作り方でも、漫画のように顔のパーツを下半分に寄せるとただのバランスの悪い顔になってしまう…絵を描く人ほどこうした穴にはまりやすい。Skyrimにおける正答は顔パーツを中心に集め、顎と額を短くすることだ。首が若干長くなってしまうが、見た目で違和感が出るほどではない。額も段差修正や髪型のチョイスで違和感はかなり低減できるはず。
そんなTips。
アーケイドの育ての親、ビル婆さん。目の下の傷がチャームポイント。
決して善人ではないのだが、悪人と決め付けるのも憚られる、一癖あるオバサン。決して語られることはないが、おそらく波乱万丈な人生を送ってきたものと思われる。
アーケイドの人生を変えるきっかけを作ったギャンブラー、エイド。若干蛍光色の強い肌と、帽子がチャームポイント。
悪党の世界に憧れなんか抱いてしまったのが運の尽き、実の父親に首を括られることになる。が、彼の性格からすればそのことを後悔したり、アーケイドを恨んだりすることはないのだろう。
過去アーケイドが心から親友と呼ぶことのできた唯一の人間であり、彼との仕事の経験を通じて商人に転進できたことに多大な恩義を抱いている。もとよりアーケイドはドライな性格なので湿っぽい回想はしないが、それでもエイドの存在が心の比重を大きく担っていることは確かなようだ。
撮影に関しては当初、前作Oblivionを使うか、あるいはブラックマーシュを再現したMODを入れようかとも思ったのだが、けっきょくスカイリム領内ですべてを賄ってしまった。
ブラックマーシュに関しては現状でウォーヒン・ジャース著のアルゴニアン報告くらいしか参考にできるものがなく、ブラックマーシュを再現するMODも該当著書の描写に倣ったものになっている。
がしかし、個人的に今回の話は都会的な場所での活躍をイメージしており、またアルゴニアン報告におけるデクマス・スコッティの経験は「一個人が短時間で遭遇したブラックマーシュの極一部でしかない」という仮定のもと、あえて「沼地に囲まれた劣悪な環境で原住民のような暮らしを営むアルゴニアン」というイメージは避けた。
アルゴニアン報告で書かれたデクマス・スコッティの活躍からSkyrimに至るまで250年も経過していないので、その間にどれだけブラックマーシュの文化レベルが発達したのかは知る由もないが、都市部は他の国と同程度に発展しているのではないか、という根拠のない予測のもと撮影場所をチョイス。
幸いにもスカイリム自体、決して文化的に先進的とは言い難い土地柄であったので、その点で言えばあまり悩む必要もないのではないか、という甘い見通しがあったのは事実である。
ブルーマ以北のスカイリムも一面雪しかないってわけじゃなかったし…えっ、それは夏だからだって?うーn。
まあ一番大きな理由は、凝り過ぎると途中でモチベーションが下がって放り投げることがわかっていたから、だったり。
盗賊ギルドまわりの描写がただのマフィアのシノギになってますが、これはSkyrimの盗賊ギルドが実質ただのマフィアだったため。
前作Oblivionに登場したシロディールの盗賊ギルドは絵に描いたような義賊集団で、また組員の一人ひとりが義賊としての自覚を持って行動していたので、ただの落ち目のやくざでしかないスカイリムの盗賊ギルドの姿は個人的にけっこうショックでした。
シロディールの盗賊ギルドが特殊なのか、あるいはスカイリムの盗賊ギルドが特に落ちぶれているのかはわかりませんが、ともかく「盗賊ギルドの描写ってこれでもいいんだ」と思ったのは確かで、アーケイド過去編におけるブラックマーシュの盗賊ギルドはただのマフィアと割り切って描きました。
2016/03/27 (Sun)03:27
俺の名はアーケイド、アルゴニアンの商人だ。
殺された前ギルドマスターのガルスと縁のある魔術師エンシルを探してウィンターホールドまで来た俺は、ちょっとしたきっかけがもとで、相棒の戦士ボルガクに自分の過去を語って聞かせていた。
不遇な幼少期を経て、ギルドに属さない一匹狼の盗賊になった俺が、ある男と出会ったところから話は続く…
ギャンブルには自信があり、しかもその日の夜はツイてたこともあって、俺は誰にも負ける気はしなかった。事実、その男に会うまで俺は誰にも負けてなかったんだ。
だが…俺は負けた。コテンパンにやられた。もちろん手は抜かなかった、金のかかった賭け事で舐めプをするやつなんかいない。しまいにはイカサマにまで手を出したが、バレるどころか、イカサマは完璧に成功したのに勝てなかった。これほどの屈辱はない。
「ちくしょう、たいした豪運の持ち主だぜ…俺もちったぁ腕に覚えがあったんだがね」
「兄(にぃ)さんネ、博打にクセなんかつけちゃダメだよ?隠しちゃいるけど、(選択肢が)五分のときに手クセが出るのは良くないね。ま、サマの仕込みはなかなか上手かったけどさ」
「…ッ!!おまえっ、気づいてたのか!?なんであの場でバラそうとしなかった」
「んー、いや…勝てると思ったからね。あのままでも」
「この野郎~…」
「せっかく知り合ったんだし、一緒に酒でも飲みましょうよ」
「おめーに毟られて金なんか残ってねぇよ」
「あっはっはっ、空の財布に穴空けさすような真似させませんって!奢りますから、ネ?」
男の名はエイド・スターム。ブラックマーシュ北部一帯の建設業を仕切る貴族の三男として生まれたが、生来の遊び癖ゆえ父親に勘当され、いまではギデオンを根城に日々賭博に興じる放蕩者だった。
最初その話を聞いたとき、俺は「虫の好かんヤツだ」と思った。金持ちの家に生まれ、毎日遊んで暮らしているお坊ちゃんを、裏路地でドブネズミのように生きてきた俺がどうして好きになれようか。
ただ俺のそんな思いとは裏腹に、どういうわけかエイドは最初に会った日から間もなく俺につきまとうようになっていた。
「なんで俺についてくるんだよ…」
「兄さん、ギャンブラーじゃないでしょ?器用なところや手遣いはよく似てるけど、でも、違う。金持ちじゃないのに日中働いてるようにも見えないし、でもあの日はたいした額を持ち歩いてたね」
「何が言いたい」
「あんまり、まっとうな商売(シノギ)じゃないんじゃないの?あーいや、通報する気なんかないよ。ただ、僕も手伝えないかなー、なんて思ってさ。兄さんと一緒に仕事がしたいんだ」
「バカ言うなよ。それにおめーはギャンブルで食っていけるじゃねーか」
「それなんだけどさ、僕、あんまり生活のために打ちたくはないんだよね。あくまでもギャンブルは趣味さ。金が欲しいわけじゃない、ただ賭けが好きなんだ。それに、金のために打つようになると勘が鈍るし」
「贅沢なこと言ってんじゃねーよこのドラ息子めがー!」
そんなやり取りが何度続いただろうか。
どうやら俺に懐いちまったらしいエイド(後で知ったが俺より二つ年下だった)はたびたび熱心に俺を口説き、酒を奢った。
厄介なのに目をつけられたな、と思った俺はすぐ別の街へ移ろうかと思ったが、何度かエイドと話をするうち、俺もヤツのことが気に入ってしまった。
まずエイドが勘当されたってのはかなり真面目な話で、ヤツは無一文で家から放り出され、以後は一切の援助を受けないまま賭博の腕だけで生活してきたという。エイドはそのことをまったく気にしていなかった。
「好き勝手に生きたい、と言ったら追い出されたんだよ。だからいま、好き勝手に生きてる。まあ、そのことで誰も損はしてないから、いいんじゃないかな?」と、そう言った。
ヤツは貴族の生まれだったが、貴族らしいところは微塵もなかった。傲慢だったり潔癖なところはなく、誰に対しても愛想良く話しかけ、風呂になんか入ったこともない連中がたむろする汚い賭場にも平気で出入りし、そしてケチなところがなく、金遣いが豪快だった。
エイドはギャンブルで負けたことがなかった。いつも大勝ちし、他の面子から大金を巻き上げていた。それでもヤツを嫌う人間がいなかったのは、エイドは賭けで勝った金をその場で全部使っちまうからなんだ。店の客全員に酒を奢り、従業員にチップをはずみ、みんなが楽しく夜を過ごせることを何より嬉しく思う、そんな粋な大バカ野郎だった。
エイドのギャンブルの腕は本物だった。豪運の持ち主というだけじゃなく、ゲームのルールやセオリーをすべて熟知し、巧緻に長け、カンが冴えていた。イカサマだけは絶対にやらなかったが、イカサマを使ってもあいつに勝てるやつなんていなかった。それは俺が一番良く知ってる。
ヤツの奇特なところは、宵越しの金は持ちたがらない点だ。それがエイドの信条で、それこそが勝ち続ける秘訣だとヤツは本気で信じてたよ。
「派手に金を使って、次の日に目を醒まして、後悔するんだ。あの金があれば、まともに投資すれば一生遊んで暮らせたのにってね。毎回全部使わず、ちょっとでも貯金を続ければ相当な額が残るはずなのにってね。そうやって後悔しながら安くてまずい朝食を食べるのが好きなんだよ。ああ、ちょっとでも勝った金を残しておけば、もっと良い物が食べれたのにってね。そうやって後悔するまでが僕にとってのギャンブルなんだ。それが好きなんだよ。もちろん、本気で後悔したことなんてないね」こんなこと、マトモな人間に言える台詞じゃないだろ?
一つだけ確かなのは、エイドには邪念ってヤツが一切ないってことだ。他人を傷つけたり、騙したり、利用するなんてことは考えようともしないのさ。そういうところを、俺はかなり気に入っちまった。
わかった、じゃあなんか二人でやれる仕事を探そう、俺はそう言ったよ。
エイドを盗賊稼業の相棒にする気はなかった。いままで一人でやってきたことを二人でやったところで、面倒しか増えないからな。だから二人でやるのに最適な仕事を俺は探すことにしたんだ。
それにはまずエイドが得意なことを見つける必要があった、もちろんギャンブル以外でだ。あれこれ試しにやらせたところ、元から手先が器用だったからか、鍵開けに天才的な腕前を発揮した。盗賊の俺より早く正確だったほどだ。
それでエイドとツルむようになって一年くらい過ぎたころ、俺は「倉庫破り」なら二人でできるんじゃないか、と提案した。エイドもそれに賛成したよ。もっとも、よっぽど無茶なことを言わない限りエイドは俺の言うことを聞いてくれたんだが。
倉庫破りの手順はこうだ。もちろん実行は深夜、人通りの少ない時間を狙って行う。
まず倉庫を見張ってる夜警の目を盗む必要がある。俺たちは実行前の二、三日ほどを見張りに徹し、休憩や交替の時間を割り出してから、その隙を突いて素早く行動した。これが、たとえば盗賊ギルドの連中なら夜警を買収するし、荒っぽいやつなら手っ取り早く始末しちまう。ただ、それらは俺たちの流儀には合わなかった。
夜警が目を離してるうちにエイドが鍵を開け、倉庫内に侵入。素早く品定めをし、狙った商品を盗んで脱出。あらかじめ用意しておいた荷車に乗せたら、あとは誰にも見られないことを祈りながら逃げる。
倉庫破りにはバランス感覚が求められる。なんてったって、倉庫には俺たちに盗んでほしがってる商品が山と積まれてるのに、たった二人で運べる量なんてたかが知れてるからな。
もちろん人数を増やせば一回の仕事で得られる利益も増えるが、それだけトラブルが起きる可能性も高くなる。
「なあ、もう一箱くらいいいだろ?」誰かがそう言い出したら、そのチームの終わりは近いと見て間違いない。たった一人が欲をかいたせいでヘマをやらかすチームの多さときたらないぜ?
その点で言えば、俺とエイドの関係は極めて良好だった。二人とも金に無心してたわけじゃないからな。犯罪者に金銭トラブルはつきものだが、俺たちはそういうのとは無縁だった。
また俺たちは盗んだ商品を保管するための倉庫と、事務所も設立した。「アーク・ビル&エイド・スターム商会」は表向きは潰れた商店の倉庫から流れたデッドストック品を扱うアウトレット業者で、怪しまれないよう実際にそういう仕事をしたこともあるが、ほとんどは倉庫破りで盗んだものを訳あり商品と称して売り捌いていた。
もとがタダで手に入れたようなものだから、格安で売っても利益は出るんだが、何も考えずに右から左へ流すだけじゃあ脳がないし、下手に安売りして怪しまれたら元も子もない。
だから俺はまず扱う商品の相場や販路を調べ、時期や場所による売れ筋の変化を調べて値段をつけるようにした。また取引先との関係を大事にし、怪しい故売品業者ではなく、まっとうなビジネスパートナーとして認めてもらえるように努力した。毎日が勉強だったよ。
アーク・ビル&エイド・スターム商会という名前は長いってんで、大抵の顧客はアーク&エイド( Ark & Ade )商会、もっと酷くなるとアーケイド商会なんて呼ぶようになってたな。ま、そういうことだ。
また本来、倉庫破りは盗賊ギルドの領分だから、今回ばかりは盗賊ギルドの許可を得ないわけにはいかなかった。さすがに一人でコソコソ他人の家から宝石一つ二つ持ち出すのとはワケが違うからな。連中は物乞いを情報屋として利用し、俺もガキの頃に使いっ走りをやったことが何度かあったから、連絡の取り方は心得てた。
けっきょく許可を得るのに売り上げの七割を上納金として払う破目になったが、それでも上納金の値上げと接待は無しって条件だけは飲ませたから、まあそう悪いもんでもない。なにより衛兵に嗅ぎつけられるだけでも厄介なのに、盗賊ギルドに狙われる心配までしたくなかったよ。上納金さえ払えば、逆にギルドからは保護されるわけだからな。
しばらく商売を続けて軌道に乗ったあたりで、俺たちがいつも利用する飯屋に盗賊ギルドの監視が混じってることに気づいた。俺たちが上納金を誤魔化そうとしてないかどうか見張ってたんだな。俺にとってはチャンスだった。
俺はそいつを引き込み、月に金貨50枚払うから、ギルドへは本来の売り上げの五割の額を報告しろ、と提案した。そいつは新入りのギルド員で、組織の忠誠心が厚いというより嘘がばれたときの処分が怖いっていう有様だったから、俺はちょっとしたレクチュアをしてやらなけりゃならなかった。
「一つ確認しておきたいが、お前以外のメンバーが似たような手口で金を受け取ってないと思うか?なんでギルドが保護下の商店に法外な上納金を吹っかけると思う?それは金額が誤魔化されることを最初から計算に入れてるからさ。そうすれば相場通りの金額に加えて部下が小遣い銭を稼げるって寸法さ。もちろん、ギルドにとって一番好ましい商売相手は上納金を満額払うマヌケ野郎だが」そう言ったら簡単に落ちたよ。
そういう、ちょっとしたヤンチャ以外じゃあ極めて慎重に仕事を続けてたんだが、裏の仕事ってのはなかなか長続きしないもんでね。
四年後、俺とエイドは仕事中に待ち伏せを受けた。
べつに油断したわけじゃない。仕事を甘く見てたわけでも、ヘマをしたわけでもない。ただ四年間仕事を続けてきて、俺たちの悪事を嗅ぎつけて罠に嵌めようとするやつがいるってことまでは考えなかった。
それにしたって、泥棒を罠に嵌めるならわざと警備を手薄にするとか、簡単な獲物、カモだと思わせて誘い込むのが常套手段ってもんだ。だから、そういう嵌め手は勘の良いヴェテランなら「クサい」と気づいて手を引くし、俺だって身の危険を感じて中止しただろう。
だがそのときは違った。警備なんか普段より厳重だったほどだ。エイドも普段より鍵開けに苦戦し、ようやく侵入して品定めをしているときに、待ち伏せしていた連中に襲いかかられたんだ。
それでも俺はなんとか逃げることができた。だが屋根から屋根へ飛び移る盗賊だった俺とは違い、鍵開けが得意なギャンブラーでしかないエイドが武装した私兵集団の手を逃れることは不可能だった。そして…連中の本命は俺じゃなくエイドだったんだ。
待ち伏せしていたのはスターム卿…エイドの親父さんと、彼が雇った傭兵だった。
息子を勘当してからも秘密裏にその動向を監視し続けていたスターム卿は、俺たちが新しく始めた商売についての調査を進めていた。盗賊ギルドともコネがあって、俺たちがギルドから特別な許可を得て商売をしていることを探り当てたんだ。倉庫破りの情報はギルドから漏れたんだよ。衛兵よりも手が早かったわけだ、まったく。
放蕩息子がただの遊び人ではなく犯罪者だと知ったスターム卿は身内の恥を処理するため、衛兵には手出しをさせず、盗賊ギルドも黙らせて俺たちを自分の手で捕まえようとした。
さて…スターム卿はエイドをどうしたと思う?
犯罪者として一族の名に泥を塗ったろくでなしを、さんざん怒鳴りつけて、大馬鹿者と罵り、それでも血の繋がった親子には変わりないから、最後には許してやったと、そう思うかい?
俺はそう思ったよ。そうであればいいと思ってたよ。所詮は金持ち貴族の余興、一族の人間をそうそう粗末に扱うはずがないと、そう思ってたよ。
沼地で裸のまま両手を後ろに縛られ、頭に黒い頭巾をかぶせられて首を吊られたエイドの死体を見るまではな。
エイドは処刑された。それも、残酷な方法で。
スターム卿はたとえ身内であっても、犯罪者には容赦しないと証明したんだ。そうやって一族の名誉を守ったんだ。
決して、楽しんで処刑したわけじゃない。喜んで厄介払いをしたわけじゃない。
スターム卿は自分でエイドの首に縄をかけ、吊るした。そして見せしめに死体を放置した。死体は鳥の餌になり、日に日に酷く損壊していった。それを見て、スターム卿は号泣したらしい。
俺にはどうすればいいかわからなかったよ。
ビル婆さんが殺されたときは判断が簡単だった。だが、これは…あの時とは違う。
たしかにエイドは俺にとって可愛い弟分だったが、それでも血の繋がってない赤の他人だ。これは、あくまでも家庭の…家族の問題なんだと、俺は思ったよ。俺が口出しできる問題じゃない、とね。
俺にはわからなかったよ。スターム卿は自分の手でけじめをつけたんだ、ということはわかったが、それでも自分の息子を殺す父親の心情なんて、俺には理解できなかった。そんな俺に、どうして彼の行いが過ちであると断定できる?
もっとも他人事で済まされないのは、俺のことをスターム卿が息子を犯罪者の道に堕とした張本人だと思い込んでいたこと、俺たちの悪事をすべて衛兵側に漏らして俺の首に懸賞金を懸けさせたことだ。一夜にしてお尋ね者になった俺は事務所に金を取りに行くこともできず、盗賊ギルドに事態の動向を窺うことしかできなかった。
盗賊ギルドとしては、正規のギルド員ではない俺との関係を疑われるのは避けたいらしかった。衛兵は俺が盗賊ギルドと結託して商売していたと思い込んでいるし、今回の件をきっかけに盗賊ギルドを検挙する腹積もりだったから、俺が捕まったらどんな証言をさせられるかわかったもんじゃない。
そういうわけで、スターム卿には悪いが、ギルドとしては俺に無事逃げて欲しいっていう話だった。俺はギルドの手引きで港に停泊している奴隷の密輸船に下働きとして乗り込み、そのままシロディールへと向かった。
港湾地区一帯は完全に盗賊ギルドの支配下にあって、衛兵隊でも迂闊に捜査の手を伸ばすことができなかった。だから俺が無事に逃げられたんだ。もし陸路で国境を越えようとしたら、確実に捕まってただろう。
奴隷密輸船の環境は酷いもんで、俺は厨房で働きながら、虚ろな目で自分の人生を受け入れた、襤褸切れを纏った奴隷たちの姿を見ていた。子供も多かったよ。だが、彼らを可哀相だとは思わなかった。俺が思ったのは、俺がいままでの人生で一度でもヘマをやらかしていたら、俺も彼らの一員に混じってただろうってことだけだ。もしそうなっていたら、どんな気分で未来を憂いていたんだろう、とね。
密輸船はシロディールのアンヴィルに停泊し、俺は下船してからそのまま姿をくらました。
しばらくは元の盗賊稼業に戻ってたんだが、なんというか、俺は以前と違ってもう盗みにスリルも楽しみも感じなくなったことに気づいてね。それよりも事務所経営で顧客を相手に商売していたときのほうが楽しかったことに気づいて、これからは盗賊じゃなくて商人としてやっていこう、と思ったんだな。
倉庫破りをやっていたときに経営学について勉強し、仕事を通してノウハウを学んでいたから、自信はあったよ。それにもう、俺は犯罪に加担しなくてもやっていけるんだ、という自覚を持てたのが純粋に嬉しかった。
シロディールに着いてから俺は、ビル・アーケイドと名乗るようになっていた。アーク・ビルだったときもそうだが、もともと名前のない俺だったから、親しかった人間の名前を忘れないよう自分に重ねるのはなんというか、ロマンチックだと思ったんだよな。もちろん、これ以上長くしたいとは思わないけどね。
二年ほどシロディールを放浪して行商人として生活してたんだが、まあ、厳しいことも多かったね。なんたってアルゴニアンの商人だ、そんなやつを誰が信用する?カジート・キャラバンのほうがまだマシだ、それでも俺は地道に商売を続けて、顧客の信頼を得ていった。
やがてモロウィンド出身の錬金術師に会った俺は、ハンマーフェルの火山地帯で採れる硫黄の鉱石が欲しいという依頼を受けたんだ。かなりいい額の報酬を提示されてね。で、ハンマーフェルくんだりまで材料を集め、依頼主の待つモロウィンドまで向かってたんだが、スカイリムの国境沿いに移動してたのがマズかったんだな。
俺は国境付近でストームクロークと帝国軍が小競り合いしている場面に出くわしちまって、ストームクロークの協力者と間違われて連行され、荷物をすべて取り上げられたうえヘルゲンで処刑されかけた。そのとき、ドラゴンを見たんだな。
「ま、そっから先はボルガクさんも大体知ってる通りですよ」
「うむ…」
「雇い主が犯罪者だったと聞いて幻滅したかい?俺のことが嫌いになったなら素直にそう言ってくれ、その鎧を返せなんて言わないからさ」
「酔っているのか?私はお前を聖人君子だと思ってついてきたわけじゃないぞ」
「それもそっか」
さすがに長話が過ぎた、今日はもう寝よう、と言って借りた部屋へ向かおうとする俺の背中に、ボルガクが言葉を投げかけた。
「ところでその話、しょっちゅう誰にでも聞かせているのか?」
「まーさか、今日が初めてだよ。いままでこんな話をしたことも、したいと思ったこともないね」
「じゃあなんで私に話した」
「…なんでだろうね」
実際のところ、酔った勢いと言えばそれまでだが、それでも相手がボルガクでなければ話すことはなかっただろう。
その理由までは、俺自身にもよくわからなかったが。
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