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主にゲームと二次創作を扱う自称アングラ系ブログ。 生温い目で見て頂けると幸いです、ホームページもあるよ。 http://reverend.sessya.net/
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2015/03/29 (Sun)19:13

 *相変わらずネタバレあるかもしれません。気になる人は注意。





 戦場の思い出。運命は捻じれ破滅へと直進する…

 あまり評判が良くなかったのでセールまで待とうと思ってたんですが、誘惑に抗えず購入してしまいました。
 一作目では語られなかった登場人物たちの過去とマイアミのその後を描いた本作はストーリーこそ興味深いものの、ゲーム性自体は決して誉められたものではない…というレビューを、俺も書くつもりだった。プレイするまでは。なぜなら批判の多くは、前作既体験者であればどれも納得のいくものだったからだ。
 だが、ノーマル難易度をノンストップで駆けたあとに俺の本作に対する印象はまるで変わっていた。

「ちくしょうふざけんな、ゲームそのものもちゃんと面白いじゃねーかよ!」

 少なくとも、よく言われるような製作側の悪意などといったものは感じられなかったし、むしろ「ゲームはクリアできるのが当たり前」という認識が生まれる以前のゲームはこうだったよな…という感慨というか、奇妙な感動を覚えたのは確かだ。
 そしてそれは「思い出補正」だとか「当時はそういうゲームしかなかったから、それでも楽しめたんだ」とかいう戯言ではなく、この2015年という現在においてさえ、確かに俺はこの「何度も死んでパターンを構築しながら難関を突破する」というゲーム性を心から楽しみ、半ばヤケクソ気味にリトライしながらもチャレンジを敢行していたのだ。
 そのときの感情は、たとえばカプコンの「戦場の狼」を延々周回していたときや、「ガンスモーク」でウルフチーフに勝てず幾度も挑戦したこと、あるいはナムコの「ローリングサンダー」で二週目の地底溶岩ステージがどうしてもクリアできず辛酸を舐めさせられたときのような、あの感覚に近かった。
 「ゲームって、本来こういうものだったよな」…
 高難易度ながら、(事前の武器持ち込み等による条件から)どれだけ不利な状況だろうと、きちんとステージ構造を観察すれば必ず解法が見つかる「ちゃんと考えられたステージデザイン」を見ながら、俺は確かにそう思った。最近のゲームにはない「挑戦する楽しさ」があることを発見した。

 もちろんそれらの感想は、優れた世界観、過剰なゴア表現、疾走感のあるBGM、多種多様な武器やステージギミックに支えられたものであることは言うまでもない。俺は所謂「死にゲー(理不尽な死でプレイヤーの膝を折らせるゲーム)」と呼ばれるヤツは苦手でプレイしたいとも思わないし、ただ難易度が高いだけのゲームに挑戦したいと考えるマゾゲーマーではない。
 それでも本作のゲーム性を評価するのは、本作がただの高難易度死にゲーではなく、ただの「往年のアーケード・シューティングを現代的な表現で蘇らせた作品だから」という、それだけの理由なのだ。本作は、それ自身が内包するどの要素が欠けても隙を埋めることのできない総合芸術なのだ。

 たしかにプレイ感覚は前作から大きく変わっている。外見は似ているが、ほとんど別ゲーと言っても差し支えないだろう。各種武器の果たす役割も大きく変わり、前作とは違った戦術を求められることは確かだ。
 しかし、だからといって一方的に批判するのはどうか?なんとなく右に倣えで便乗して叩いてるだけじゃないのか?いや、止そう…批判もまた、作品を評価する正当な意見には違いない。同じゲームをプレイしても、誰もが同じ感想を抱くものではない。それはわかっている。
 ただ、俺はDennation Gamesがちゃんと「ゲーム」を作ってくれたこと、久しく忘れていた感情を呼び覚ましてくれたことを純粋に感謝したいと思っている。

 ゲーム性や演出に至る全体のテイストから、Dennation Gamesが前作とは違うモノを作ろうとしていることは明らかだ。おそらくそれは「自作の模倣品を作っても仕方がない」という至極真っ当なクリエイター的思考によるものだろう。
 もちろん前作と同じ路線を継承することを望んでいたユーザーにとっては残念なことかもしれないが、だからといってそれに対し、後ろ足で砂をかけられたとか、悪意があるとか、そんな流言飛語を軽々しく口にしていいものだろうか…と、俺は思ってしまう。



 まあ、後出しの愚痴はこのへんにしておこうか。クソッ、New Vegasで毎レベルPerk獲得&強武器MOD入れて俺ツエーしてるヌルゲーマーが書く文章か、これが…

 ストーリーはしばしば時系列が錯綜するものの、示唆的表現に頼っていた前作とは違って多くの場合具体的な事実関係を描いているため、前作よりも内容の把握は難しくないはずだ(これも好みの分かれるところか)。
 そして前作主人公Jacketが元軍人、しかも特殊部隊の出身だったことが明かされ、おそらく多くのプレイヤーが抱いていた「平凡な青年が血と殺人の因果に巻き込まれるストーリーであろう」と思っていた前作のプロットがまったく別モノであったことが判明するわけだが、俺はこの設定を知っていたく感銘を受けた。
 というのも、もしJacketが軍人だったのなら、前作において腑に落ちる描写があまりに多かったからだ。俺にとって前作は「一般人が殺戮を止められない話にしては、快楽殺人というより仕事のように淡々とマフィアを処理していく印象に違和感がある」というイメージがあったのだが、彼が元軍人であったならその機械的殺戮描写にも納得がいく。
 固有武器しか使えないBikerに比べ、現地調達であらゆる武器を即興で使いこなすという設定もその裏づけであるかのようだ(2のことは考えるな!)。ホームレスを殺したあとの嘔吐は「ひさしぶりの殺人だったので、あくまで生理的反応から」か、あるいは「相手がただの一般人だったから」か。Biker相手に不覚を取ったのは、たんにBikerが強かったからか、あるいは投げナイフで不意を突かれたのかもしれない。
 Hookerを助けたのは、おそらく戦地で敵対勢力の人質となっていた捕虜を助けるのと同じ感覚だったのだろう…Jacketは「指令=任務」、「殺戮=軍事行動」と置き換えて行動していたのかもしれない。事件の記事をスクラップしていたのは、たんなる自己満足ではなく、作戦終了後の事実確認…つまり、「デブリーフィング」のつもりだったのでは?
 ショップ店員の顔がかつての戦友に見えたのは、PTSD…戦後後遺症の影響で見た白昼夢であったのだろう。繰り返し過去を反芻するのは、どうにかして違う結果をもたらしたいと考えるからだ…こういったフラッシュバックは、PTSD患者の典型的症例である。そして、その「違う結果を求める」無駄なあがきを登場人物が見せるのは、2のテーマにも通ずるところがあるだろう。

 2ではクリア後のニューゲームで新たなイントロが追加されるが、そこで一堂に会した主人公達に向けて鶏頭は「もう結果はわかっているはずなのに(変えることはできないとわかっているはずなのに)なぜここへ来た」と言い放つ。
 多くの者は自分の身になにが起きたかすら把握できず、鶏頭の皮肉に満ちた非難の言葉とともに屍へ還る。だが、そうでない者…すでに自分の運命を受け入れている者に対して、鶏頭の向ける言葉、その眼差しはどこか悲しく見える。
 そして屍に囲まれ、ただ一人孤独に映写機を回す鶏頭は何者なのか。あるいは、彼こそがもっとも過去を変えたがっているのかもしれない…

 本作はストーリー、演出ともに素晴らしいものであるが、個々のエピソード間の繋がりが希薄で、そこだけが残念である。「やがて全てが一本の糸で繋がる」というならまだしも、時系列が入り混じるにも関わらず、それぞれが完全に独立しているのだ。従って、出オチのような主人公キャラも多い。

 BGMはどれも素晴らしく、恐ろしいことに捨て曲が一つもない。
 実際にプレイするまでは「曲の個性が強すぎて肝心のゲーム部分を喰ってしまうのではないか」という懸念があったが、上述のように俺にとって本作は非常に楽しめたので、その心配は杞憂であったことを嬉しく思う。

 総評…『定価で買う価値アリ!かつてゲームを愛好した者ならば遊んでおけ!』
 たとえば、そう…本作の舞台である90年代初頭にアーケードゲームに熱狂し、ノーコンティニュー目指してコインを費やした経験があるならば、きっと本作は「やりがいのあるチャレンジ」としてあなたを楽しませてくれるはずだ。
 あーいや、かくいう俺はもうちょっと後の世代だけどね。レトロゲーム好きだったから古い台ばかり遊んでたのさ。昨今溢れるライトユーザー向けのぼんやりした難易度も悪くないけど、たまにはこういうのもいい。







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