「こいつら街の中にも出てくるのかよ!」
吸血鬼に襲われたり盗賊が襲われたり衛兵が宙に浮いたり露店商が土に埋まってたりする街、リフテン。
ドラゴンを退治し一躍ドラゴンボーンとして名を馳せた俺が帰ってきたとき、天空より飛来したのは「崇拝されしドラゴン」。ただ飛んでるだけなら無害極まりないが、人間を襲いはじめたら黙って見過ごすわけにはいかない。
衛兵はもとより住民総出で退治にあたり、たいした被害もなく戦いを終えることができた。
「死者は衛兵が一人か。ドラゴン相手に大健闘、と言いたいところだが、それでも死人が出たのはスッキリしねぇよな…」
そんなことをつぶやき、俺は周囲を見回した。
戦士職はもとより露店商や乞食までダガー片手に参戦するこの街の住民はいささか血の気が多すぎると言わざるを得ないが、こういう状況ではやはり頼りになる。
とはいうものの、中には普段と変わらぬ生活を送っている者もいるようで…
「逃げるならまだわかる。ドラゴンが出たってのに相変わらず薪を切って運んでるのはさすがに神経図太すぎるだろダンマー」
「リフテン水産での仕事は辛いが、金は貯まるよ」
「やかましいよ」
何も起こらなかったような顔で薪を抱えるのは、モーンホールド出身のタイシス・ウレン。
まったく、他の連中はみんなドラゴンの死体に集まっては「こんな経験は人生ではじめてだ」とか言ってるってのに…そう思いながら、俺はつくづくこの街の連中のたくましさに感心していた。
俺の名はアーケイド、アルゴニアンの商人だ。
スカイリムに来てからこっち、囚人、使者、冒険者、盗賊、暗殺者、交渉人、とにかく色々な役割を経て、どうもドラゴンボーンと呼ばれる伝説の存在であるらしいことを知らされる。
なんというか、俺はただ慎ましやかに金儲けできればいいだけなんだがなあ…
ホワイトランを出て、グレイビアードに会うべくハイ・フロスガーへと向かうことになった俺だったが、その前に盗賊ギルド(というかメイビンさん)の仕事をこなすべくホニングブリュー蜂蜜酒醸造所へと立ち寄る。
醸造所のオーナーであるサビョルンはホワイトランの衛兵長を呼んで新製品の試飲会を開く予定であり、もしそれで好評を得るようなことがあれば彼に蜂蜜酒のシェアを奪われ、商売敵であるブラック・ブライア家としては大きな痛手となる。そんな事態になることを阻止すべく、俺はその試飲会をぶち壊す工作をするようブラック・ブライア家の頭目メイビンから任務を仰せつかったというわけだ。
サビョルンは醸造所地下からスキーヴァが沸いていることに頭を悩ませており、素性を隠して接近した俺にスキーヴァ退治を依頼してきた。
これこそ俺の狙いで、大手を振って醸造所に忍びこむことが可能になれば、酒樽に「特別な仕込み」をするのが容易になる。
とはいえ工作に俺が関わったとすぐにバレるようでは元も子もない。とりあえず、スキーヴァ退治はまじめにこなしてサビョルンから嫌疑の目を向けられないようにしますか。
ところが、醸造所の地下にいたのはスキーヴァだけではなかった。スキーヴァを餌に繁殖するフロストスパイダーもいたが、もちろんそういう問題ではない。
「魔法対決か、面白ェ!」
なんとスキーヴァは自然に繁殖したのではなく魔術師が召喚したものであり、そいつはウィンターホールド大学の元学生で、ホワイトランの地下に永らく投獄されていたらしい。醸造所の地下でずっと復讐の機会を窺っていたらしく、俺がいま携わっている蜂蜜酒関連のトラブルとは無関係。まあサビョルンにとっては良い迷惑だ。
ともかく俺の目的にとって邪魔で、野放しにして良い存在でもないのであの世へ行ってもらうことに。
地下のスキーヴァ(とおまけ)を一掃し、酒樽に「あまり飲用には適さない薬品」をぶち込んだところでホワイトラン衛兵隊長カイウスを迎えての試飲会に立ち会う。
もとより醸造所が不衛生である可能性がある…といった噂を耳にしていたのだろう、妙な味のする蜂蜜酒が入ったカップを投げ捨て、カイウスは物凄い剣幕でサビョルンに迫った。
「いったいなんだこれは、この俺を愚弄する気か!」
「まさかそんな、なにかの間違いです!」
狼狽するサビョルンを逆賊として拘束し、醸造所の管理を後任のマラス・マッキウス(じつはこいつがブラック・ブライアの寄越した内通者)に任せてカイウスはその場を立ち去る。
後に残された俺と相棒のボルガクに、マラスは愉快そうな笑みを浮かべて言った。
「まさか、こんなに上手くいくとはな。さらばサビョルン、暗くさもしい牢獄へってわけだ」
「そいつはいいが、地下に妙なヤツが居ついてるなんて話は聞いてなかったぜ」
「メイビンに恩を売る口実ができて良かったろ?俺もわざわざ傭兵を雇わずに済んだしな」
「喰えない野郎だ…」
その後、俺はサビョルンの書斎を捜索し、誰がブラック・ブライア家への反逆を計画しているかの手掛かりを探す。
確たる証拠は見つからなかったが、サビョルンへの報酬の支払い方法を記した書状を発見。
「どうやら、こいつは俺が対処しなきゃならないらしいな」
そう言って、俺は書状をポケットにしまった。
ハイ・フロスガーへ向かう道中、数々の死体が放り出された洞窟を発見。
ダークシェイドと呼ばれるこの洞窟、金鉱脈と人間の死体、そして生活痕からもとは鉱山だったと思われる。現在はトロールの棲家と化しており、人骨やグロテスクなオブジェが散乱する剣呑な場所となっていた。
「俺、トロールは嫌いなんだよねぇ。凶暴だし、愛想ないし、なによりたいしたモン持ってないしな。基本的に殺し損なんだが、生かしとくのもそれはそれで気に入らんし…ま、せいぜい殺された人々の弔いをさせてもらいましょうか」
その後、ボルガクとともに洞窟内のトロールを一掃。
いちおう金の採掘でいくらか利益は出る計算になるが…
「でも俺って鉄から金を作れるしなー。あんまり旨味がないんだ、これが」
夜を迎え、公道沿いを歩いていたところステンダールの番人と放浪者タルスガルに再会。せっかくなのでタルスガルに一曲披露してもらうことに。
「いやーやっぱり歌はいいねぇ。番人さんもそう思うだろ?」
「寄るなデイドラ崇拝者。力づくで改宗させるわよ」
「えー…」
…いままで何度かデイドラロードに手を貸したことが知られているのか、ステンダールの番人からやけに敵対的な態度を取られてしまった。
といっても俺も好き好んでデイドラのために働いたわけじゃないんだが(スカイリムってデイドラ信仰はどういう扱いだっけ?)、まあ傍から見れば熱心なデイドラ信者と思われても不思議じゃないよな。
そんなわけで、タルスガルの音痴な歌を聴きつつちょっぴり悲しい気分に浸る夜であった。
翌日、ハイ・フロスガーへの経由地であるイヴァルステッドへ向かう足を進める。
「いやーしかし、けっこう目立たない山道が多いねここいらは。おかげで道に迷うことが多いよ」
「それはおまえは方向音痴なだけだ」
「スイマセン…」
イヴァルステッド周辺をグルグル回る俺に、ボルガクからの叱咤が飛ぶ。
ハイ・フロスガーへ向かう途中、巡礼者やら巡礼者の死体やらに遭遇。入り口でクマに殺されるのはさすがに運が悪すぎると思うよ…
でもって七千階段の途中で巡礼者と話していると、上空にドラゴンの影が。
「ちょっと最近ドラゴン多くね!?」
矢で追撃を試みるも、さすがに距離が遠すぎて命中せず。交戦とはならず、ドラゴンは何処かへと飛び去ってしまった。
「あれはドラゴンズリーチかな?絶景、絶景」
「どうでもいいが、足を踏み外すなよ」
巡礼の途中にて、思えば遠くへきたもんだ(*実際はそんなに遠くない)。
ハイ・フロスガーに入ると、そこには四人のグレイビアードたちが俺の到着を待っていた。
幾つかシャウトの手ほどきを受け、またドラゴンボーンとしての心構えを教わる。
「俺の…ドラゴンボーンの出現と、ドラゴンの再来にはなにか関係があるのか?」
「まったくの偶然ではあるまい。もっとも、儂らにも確たることはわからぬ」
「今後、俺はどう行動すべきだろう」
「儂らにできることは道筋を示すことのみ。その先はお主の手に委ねられておる」
「わかったような、わからんような…」
とりあえず、どえらく面倒なことに巻き込まれたようだ、というのはよくわかった。
その後ホワイトランへ戻る前にヘルゲン経由でリバーウッドまで向かうことにしたのだが、はじまりの地であるヘルゲンは野盗の拠点になっていた。なんてこったい。
あとヘルゲン脱出後に俺をボコボコにしてくれたウィスプ・マザーへリベンジを果たしたかったのだが、以前ヤツと出会った場所に行ってもなぜか姿を見かけなかった。ぬう、不完全燃焼。
リバーウッドへ帰還して早々、太陽の塔みたいなお面した連中に絡まれる。
「おまえ、ドラゴンボーンらしいな」
「そうです私がドラゴンボーンです(キッパリ)」
「死ね偽者め!」
「!?」
なんか往来で喧嘩売られたので、電撃魔法でビリビリやられながらもダガー二刀流で応戦。
「ボルガクさん来てくれー!ボルガクさーん!…ボルガクさーん!?」
どうやらリバーウッドへ向かう道中ではぐれたらしい、ボルガクの姿が見えない。
「あんまし悪趣味なことはしたくないが…」
とりあえず襲ってきた正体不明の連中を撃退し、服を脱がせてあれこれ検分する。
「種族はまばら、か…サルモールの連中とは関係ないのか?服の意匠もいままで見たことないもんだな。おっと、なんだこの手紙は」
ローブのポケットからはらりと落ちた手紙を読み、どうもこいつらは偽者のドラゴンボーンたる俺を始末するため寄越された刺客らしいことを知る。
「モロウィンド領から船を使って来たのか、わざわざ遠来の旅ご苦労なこって。どうもミラークってヤツが俺に恨みを持ってるらしいが、こっちは命を狙われる謂れなんぞないがな…」
どうやら俺がドラゴンボーンなのが気に入らない連中がいるらしい。
連中はともかく、他の土地でもドラゴンボーンって肩書きはあまり歓迎されないもんらしく、いままでは「ドラゴンボーンの商人」なんて呼び名はいかにもイカしてると思ったもんだが、ちょっと自重したほうがいいようだ。
「で、こいつら公道でも襲って来るのかよ!」
リバーウッドを出てホワイトランへ向かう途中、ふたたび例の刺客の襲撃を受ける。
はじめは爆裂魔法で応戦していたが、魔法使いに魔法で対抗するのも野暮だと考えダガー二刀流に持ち替える。
「くたばれカルト野郎!」
三人組の刺客を撃退し、俺は荒い息をつく。
今回襲ってきた連中は身元を証明するようなものは一つも持っておらず、また金目の物も所持していない。
「しかしあの手紙といい、こいつら自身は俺がマジでニセモンだと信じ込んでるらしいな。本来なら戦わなくていいはずの相手か、胸糞悪いぜ。もっとも所構わずヒトに襲いかかってくるあたり、根っからマトモじゃねーんだろうがな」
畜生め…俺はただの商人で、殺し屋に狙われるような状況はまったく好ましくないんだが。
あと、ボルガクさんどこいった。
→To Be Continue?
どうも、グレアムです。ENB導入一回目、如何だったでしょうか。
じつはSkyrimをちゃんとプレイしたのはひさしぶりで、現在受注してるクエストのほとんどが「これ誰だっけ…」状態だったり。もうほとんど忘れてる。Oblivionのときは個々のクエストで詳細が閲覧できたんですけどねー。たとえば「○○を取りに行け」としか書いてないと、「誰に依頼されて?なんでそれをするの?そしてそれはナニ?」状態でわけわからんちん。
あと今回からBig Leather Backpackを導入してます。商人というか旅人っぽい雰囲気が出てるでしょうか。これとBelt Fastened Quiversは相性いいなぁ。