主にゲームと二次創作を扱う自称アングラ系ブログ。
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2019/12/18 (Wed)23:30
*注意*
本リプレイではゲームデータの一部を改造し、
ストーリーを脚色&変更しています。
本リプレイではゲームデータの一部を改造し、
ストーリーを脚色&変更しています。
>>クレイブ:
「12時方向に敵の歩哨、それと2時方向の監視塔にも一人いる。まとめて殺れるか?」
>>ブレンダ:
「片方はアンタがやってよ」
>>クレイブ:
「ムーリー。俺、いま地雷の解体中。忙しくて手が離せない、ってなわけでヨロシク」
>>ブレンダ:
「しょーがないな…」
武装した男たちが油断なく目を光らせるなか、彼らの視界を遮るようなかたちで鎮座する岩石丘の影で一組の男女がささやき声を交わしていた。ネイビーブルーの戦闘服にスペクトラ素材の抗弾ベストを着用した、いかにも兵隊然とした格好の男は工具を手に地雷の解体に取り掛かっており、危険な作業をしている割にその口調は軽く緊張感に欠けている。
一方、上半身に黒いビキニのみを身につけた、いささか露出度の高い女は大型サプレッサーと高倍率スコープを装着した高精度ライフルをかまえ、見張り台に立つ兵士の頭部に狙いをつけた。その姿は軍事雑誌に掲載されている悪趣味なグラビアのようであり、違いがあるとすれば、女の表情にアヒル口の笑顔ではなく本物の殺意が宿っていることだった。
女が大型のトリガーを引き絞ると、微かな銃声と、それよりも大きな機関部の作動音とともに、240グレインのサブソニック弾が兵士の頭蓋を打ち砕いた。イスラエル製の弾丸を選んだのは偶然だったが、彼らにとってそれは屈辱に値するのだろうか、と女は思った。
いったんスコープのレンズから目を離し、女は次の標的…小川にかかる橋のたもとに立つ別の兵士を肉眼で捉え、銃身を持ち上げた。ふたたび発砲する。こちらに背を向けている兵士の、ヘルメットと首のあいだ…脊髄と頭骨のつけ根に弾丸が命中し、ちぎれかけた頭部がアメリカン・クラッカーのように揺れながら兵士はうつ伏せに倒れる。
>>ブレンダ:
「ターゲット・ツーダウン」
女の事務的な報告に、男は首をすくめてみせることで返答する。
周辺に展開する敵のパトロールはたったいまの殺戮に気づかなかったようだ。そのうちに彼らも狙撃の標的になるだろうが、そのときも相手がこちらに気づいていないことを女は祈った。
いっとき、一方的な殺戮に罪悪感が湧きかけるが、女はそれをすぐにうち消す。物事はフェアに進めなければならない。敵がこちらの存在に気がついたとき、トリガーを引くことをためらいはしないだろう。
二人組の傭兵、クレイブ・マクギヴァンとブレンダ・フォスターはいま、テロリストが潜伏する拠点の外周に展開していた。
Jagged Alliance Back in Action
Shades of Red
- 前編 -
>>ブレンダ:
「で、コレはいったい何なわけ?」
>>クレイブ:
「NSAからの依頼でね。アンテ・シレビックとかいう、どこぞの田舎くさいテロ屋がEUの各国首脳が集まるサミット会場への核攻撃を目論んでるらしい」
>>ブレンダ:
「それで、あたしら二人だけでそれを阻止しろって?脅威の規模に比べて投入する戦力が貧弱すぎるんじゃないの?アメリカ政府は脳味噌ハッピーセット?」
>>クレイブ:
「あー、じつは俺たちより先に傭兵部隊が派遣されてるんだがな。空挺降下での強襲作戦が予定されてたんだが、テロリストがSAMを持っているというステキな事実を情報部が掴み損ねていたおかげで、傭兵たちを乗せて飛んでいた輸送機が散体なされた」
>>ブレンダ:
「あーあ…」
>>クレイブ:
「でもって、傭兵たちは輸送機と一緒に空の藻屑と化すまえに、装備と一緒にパラシュート降下を敢行したんだが…傭兵も装備も、敵地のど真ん中に着地しちまった。で、全員が捕まったか、殺されたかしたらしい」
>>ブレンダ:
「敵はムスリムなの?あんまり想像したくないわね…斬首で済めばまだ慈悲の深いほうだわ。たしか、生きたまま解体されてゴミ袋に詰められたアメリカ人の坊やがいたでしょ。それはともかく、あたしらが連中のケツを蹴り飛ばしてやらない限り、サミット会場が核の炎に包まれるっていう理解でオーケー?」
>>クレイブ:
「どーかな。核ミサイルってのはああ見えて繊細な道具でね。定期的な保守点検が欠かせない。金がかかる武器なんだよ、アレは。冷戦終結でロシア人から簡単に買えるようになったのは事実だが、まともな環境で保管されてたかも疑わしい中古の核ミサイルを、シレビックがちゃんと撃てるかどうかはアヤシイもんだ。
そしてNSAって連中は、本当にヤバイ案件は自分達の手で処理する。そのための部隊も抱えてる。なにも機密漏洩のリスクを背負ってまで、傭兵に金を払ったりしなくてもね。それをやらなかったってことは…俺が思うに、まあ、茶番だよ。コイツは」
クレイブ・マクギヴァン……ワシントン出身の傭兵。その素性は謎に包まれており、一説には優秀な科学者である両親のもと、核シェルター内で育てられたと言われているが、真偽は不明。通称"101のアイツ"と呼ばれている。
使用武器……ブラッドオンユアセルフ。.357マグナム弾を使用する大型拳銃で、市場に出回っていないワンオフモデル。フレーム側面に"パルミア王立博物館所蔵"という刻印が掘られているが、それが何を意味するのかは不明である。
ブレンダ・フォスター……バウンサー(用心棒)。彼女の出自には諸説あり、アフリカで民族解放運動に携わっていたとも、アウトキャストと呼ばれる団体に所属していたとも言われるが、詳細は不明。幼少期は奴隷であったらしく、奴隷商人や犯罪カルテルといった存在を心の底から憎んでいる。クレイブの恋人。
使用武器……PSG-SD。H&K社製の狙撃用ライフルPSG-1をベースに、MP5SDシリーズに似たサプレッサーとフォアエンドを装着したカスタム銃。亜音速弾を用いることで発砲音をほぼ無にすることができる。7.62x51mm NATO弾を使用する標準的な火器と比べて射程距離は落ちるため、近~中距離用の狙撃に適している。
近接戦ではマチェットを使用する。彼女はそれを使い慣れている…ジャングルで、藪とゲリラの首を刈り取るのに便利な道具だということを経験から理解しているのだ。
>>クレイブ:
「で、なんで5連マガジンなんか使ってるわけ?それポリス用だろ?」
>>ブレンダ:
「アーハイハイ、G3用の20連を使ゃいいってんだろ?余計なお世話だよ、あたしはこの5連マガジンが好きなんだ。セカンドチャンスに頼ろうなんていう甘えを捨てられるからね。あんたこそ、なんで拳銃しか持ってないの」
>>クレイブ:
「この国への武器の持ち込みでトラブっちゃってさ。本当は一等いいライフルを用意してたんだが…まあ、色々あったんだ。今回はコイツ一本で切り抜けるしかないな」
轍に敷設されていた対人地雷の処理を終え、二人はパトロールに見つからないよう素早く橋を駆け抜ける。先刻ブレンダが射殺した兵士が見張っていた場所だ。
祖父の代からそこにあったか、あるいはマインクラフトの熱烈なファンが作ったような、丸太を縄で繋ぎ合わせた簡素な作りの橋を渡ると、そこには金属製のコンテナが安置されていた。すでに役目を終えたパラシュートが夏場の陰嚢のようにだらしなく伸びきり、それが空からやってきたものであることを証明している。
>>クレイブ:
「これやな?傭兵部隊が落とした装備は。見張りが一人しかいなかったのはラッキーだったよな」
>>ブレンダ:
「中身はなんなの?なんか、ヘンなものばっかり入ってるみたいだけど」
>>クレイブ:
「大量の手榴弾、大量のミサイルに、小型のフルオートマチック・ピストル?それと、四連銃身式のショットガン…じゃないな。グレネード?違う、なんてこった、ミサイル銃だぞこれ!」
>>ブレンダ:
「…NSAはどういう連中を雇ったのかしら?」
>>クレイブ:
「なんとなく心当たりがあるような…ないような」
ひとまず装備一式を回収し、二人はもとの位置へ戻った。まだ敵が同胞の死体を発見した様子はない。
テロリストの拠点である堅牢な要塞は入り口が一箇所しかなく、目についた敵を片っ端から撃ち殺すというようなラフな方法ではこちらが蜂の巣にされるのは明白だった。NSAがレーザー誘導装置を貸してくれれば、スマート爆弾で施設ごと吹っ飛ばしてやれたのに、とクレイブはため息をつく。
もちろん、それでは万一捕虜が捕えられていた場合に捕虜ごと吹っ飛ばすことになるし、クレイブたちは先遣隊とは違い陸路からの侵入だったので、どのみち持ち込むことはできなかっただろう。
一度に多数を相手にする戦いでは勝ち目がない。特に、視界の開けた場所ではなおさらだ。
まずは孤立している者を優先的に狙い、次いで二人一組で行動しているチームを同時攻撃で制圧する。警報を鳴らす猶予を与えてはならない。
起伏の多い立地で射線を遮る障害物が多い点も注意すべきだった。弾丸というのは木の葉や枝に掠っただけでも大きく弾道が逸れる。
厄介なのは土嚢に身を隠す警備兵だったが、これはクレイブが手榴弾で始末した。手榴弾は屋内の掃討だけではなく、射線の通らない障害物の向こう側にいる敵を排除する際にも役立つ。狭い場所に隠れている敵兵を焙り出し、飛び出してきたところを狙撃するという手もある。
>>ブレンダ:
「正面ゲートに到着したわけだけど、こっちの存在に気づいた敵兵が一人、待ち構えてるわね。どうする?無策で飛び出したら負傷は避けられないと思うけど」
>>クレイブ:
「フラッシュバンを使おう。同時に二発、それぞれ角度と距離を変えて投げるんだ。そうすりゃ、まあ、相手は逃げられんだろうよ。レディ?」
>>ブレンダ:
「フラッシュ・アウト!」
クレイブとブレンダが閃光弾を同時に投げ込み、爆発で生じた音と閃光で感覚を失った敵兵を始末する。
>>ブレンダ:
「クリア。この先は警備室を通ることになりそうね、敵に発見されずに通過するのは難しいかも。迂闊に突撃したら蜂の巣だわ」
>>クレイブ:
「入り口の近くに地雷を仕掛けておいてやろう。ちょっとつついてやって、追いかけてきたところを一網打尽ってわけよ。ついでに、自分達が侵入者用に仕掛けた地雷を逆に利用されるっていう皮肉にもなるしな」
クレイブは屋外で回収した地雷を警備室の前に仕掛けなおし、近くで待機する。
扉を開けようとしたとき、屋内から慌しく駆けてくる敵兵の気配がした。それも、複数。どうやら、先刻の戦闘ですでに警報が発令されていたらしい。
>>クレイブ:
「向こうから来てくれるとは好都合だ。このまま待ち伏せして、一気に片づけてやるぜ!」
>>ブレンダ:
「……!!おい、まずい!クレイブ、退け!そこから離れろ、下がれ!」
>>クレイブ:
「え?なに?」
>>ブレンダ:
「じーらーい!」
>>クレイブ:
「地雷がなんだって?」
クレイブの狙いは決して間違ってはいなかった。
侵入者を迎え撃とうと大挙してなだれこんでくる敵兵は扉を開けた途端、地雷を踏んで負傷する。そこへ待ち伏せしていたクレイブが攻撃を仕掛け、敵を一気に片づける。
作戦は成功するはずだった。計画は寸分の狂いなく進行しているはずだった。
そう…クレイブが、地雷の爆発に巻き込まれるほど近くにいなければ。
>>クレイブ:
「痛ッたあぁぁアアアァァァァ!!アアアァァァァーーーーーー!!」
>>ブレンダ:
「なにをやってんだぁぁあああああ!」
敵味方、双方ともに地雷の爆発に巻き込まれ、警備室前は阿鼻叫喚の地獄絵図と化した。
怪我を負ったものの一命を取り留めた敵兵とクレイブが至近距離で撃ち合うなか、難を逃れたブレンダが素早く敵を狙撃していく。
どうにか敵の第一陣の殲滅に成功した二人は一旦退き、格納庫内に停車していたトラックの影に身を隠した。救急キットを取り出し、負傷の手当てをする。
>>ブレンダ:
「前々からそうかなーと思ってたんだけどさ、おまえ、バカでしょ?」
>>クレイブ:
「まあその、なんだ。いわゆる一つの戦術ミスってやつかな」
>>ブレンダ:
「なにカッコつけてんだ。それにしても連中、戦車まで持ってんのね」
>>クレイブ:
「見たところT-72のようだな。SAMもあるし、兵士の装備も高級品だ。そこいらのチンピラ軍団とはわけが違うな。ま、曲がりなりにも核を持ってるって時点で予測はできてたが」
その後、二人は立て続けに襲撃してきた敵の第二陣を撃破。
通路を素早く駆け抜け、警備室に閃光弾を投げ込んだのち突入。ブレンダは武器をPSG-SDからマチェットに持ち替え、室内にいた警備兵を掃討する。
さらに追跡してきた敵の第三陣を警備室内から攻撃、手榴弾も駆使してこれを撃破する。
>>ブレンダ:
「モニタールームか…(画面の一つを指さし)ねぇ、これ捕虜じゃないの?近くの物置っぽい部屋に一人、血まみれで放置されてるやつがいるんだけど」
>>クレイブ:
「傭兵部隊の生き残りか?どっかで見たようなナリだな。すくなくともテロリストの仲間じゃなさそうだし、話だけでも聞いてみるか」
警備室のデスクの引き出しに入っていた鍵を使い、施錠されていた扉を開ける。
そこには怪我を負った、半裸の女性が立ち尽くしていた。わずかな水のみを与えられて生かされていたようで、床には空のペットボトルと、どうやら便所がわりに置いてあるらしい汚物入りのバケツが見えた。
女とクレイブの目が合ったとき、二人は互いの正体を認識する。
>>イブ:
「よぉ、珍しいところで珍しいヤツに会うもんだな。たしか、トーキーボーイのお友達の傭兵だったな?」
>>クレイブ:
「こんなところで何してる、ギャングスター?どうりでヘンな装備ばっかり持ち込んでるわけだ、なんでギャングが政府の仕事なんか引き受けた?」
>>イブ:
「ギャングが政府の仕事しちゃ悪いか?ときには愛国心ってやつを示したくなるのさ。こう見えて俺は愛国者なんだぜ?それが証拠に、俺のケツからは星条旗カラーのクソが出る」
>>クレイブ:
「どうせヤバイ案件で捕まって、免責特権やらと引き換えに押しつけられたんだろうが?それもNSAに目をつけられるようなことを?いったい何をやらかし…まあいい、興味ねぇ。それにしても、随分と酷くやられたもんだな?拷問を加えられるなんざ、普段は逆の立場だろうに」
>>イブ:
「拷問を加えられたし、咥えさせられたし、さんざん突っ込まれたよ。ビデオカメラが回ってりゃあ完璧だったんだがな。極悪テロリストに犯される可憐な女傭兵、かよわい美女に加えられる容赦ない拷問の数々!やらせ、一切ナシ!こりゃあ、裏ルートで高く売れるってなもんだぜ」
>>ブレンダ:
「…可憐?かよわいって、誰が誰のこと言ってんだ?」
>>イブ:
「(ブレンダを指さしつつ)こいつは?たぶん初めてお目にかかる顔だと思うが」
>>クレイブ:
「ブレンダ。俺の相棒だ」
>>イブ:
「相棒?へぇ、戦場に女を連れ回すようなヤツには見えなかったな。よろしく、ブレンダ?」
>>ブレンダ:
「…あたし、ギャングだの、マフィアだのって連中が死ぬほどキライなのよ」
>>イブ:
「お固いことで。じゃあ、握手はナシでいいな?少なくとも、目の前の仕事を終わらせるまで多少は我慢してくれるんだろ?それとも、いますぐ俺とやりあうか?」
>>ブレンダ:
「そうは言わないけど。ねえクレイブ、コイツなんなの?アンタの昔の女?」
>>クレイブ:
「気味の悪い冗談はよせ。こいつはイヴ、ギャングのボスだ。昔、仕事でちょっと関わっただけだよ。ところで、イヴ?おまえ、動けるのか?俺たちが仕事を片づけるまで、ここで休んでてもいいんだぞ」
>>イブ:
「連中にはさんざん楽しませてもらったんでな、少しは借りを返してやらなきゃ。パーティの参加資格は俺にもあるんだろ?」
>>クレイブ:
「(コンテナから回収した装備を渡しつつ)"The Lord be with you."」
>>イブ:
「ゲイリー・ギルモア?処刑台へ上がるにはまだ早いんじゃねぇのか」
[次回へつづく]
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