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主にゲームと二次創作を扱う自称アングラ系ブログ。 生温い目で見て頂けると幸いです、ホームページもあるよ。 http://reverend.sessya.net/
2020/04/27 (Mon)00:46


 
 
 
 
 

 

ATOM RPG Replay

【 Twenty Years In One Gasp 】

Part.2

*本プレイ記には若干の創作や脚色が含まれます。
 
 
 

 
 
 
 
 
 
 ゴミ捨て場の近くを通りがかったさい、容器からゴミが溢れ蝿がたかっている光景にナターシャが軽い嫌悪の表情を見せるのを、アルフが目ざとく観察していた。
「なんだ、ゴミに興味があるのか?」
「あ、いえ。UAZを見たかっただけなのですが…」近くに停車してあるジープを指さし、ナターシャが弁解めいて言う。
「まあ聞け」かまわずアルフが話を続けた。「おそらくウェイストランドでの任務は困難なものになるだろう。ときには任務遂行に必要な道具を自分で作る必要に迫られることもある。そんなとき、ゴミ溜めの中から役立つ材料を探すのは悪いことじゃない」
「言いたいことはわかりますが…」あまり気乗りしない様子でナターシャが言う。
「それに、いざってときの金策にもなるしな。ウェイストランドじゃあ、ゴミ漁りを専門にするスカベンジャーと呼ばれる連中もいる。役に立つゴミと、そうでないゴミを見分ける能力を培っておくことだ」
 
 
 
 
 
 
 続いてゴミ捨て場の反対側、北西の倉庫へと足を運ぶ。
 鍵がかかっていた扉をピッキングでこじ開けて中に入ると、埃っぽい屋内には物資が置かれた棚やロッカー、弾薬箱といったものが大量に積まれていた。
「この部屋のものには大抵鍵がかかってる。勝手に物資を持ち出す悪い連中がいるもんでね、まあ、君のピッキングの練習台には丁度良いだろう。それと、作業台を使ってさっきゴミ捨て場で拾ったガラクタから道具を作ってみてもいいんじゃないか?ここにある材料を使ってもいいが、あまり見境なく持っていくなよ。貴重品であることに変わりはないからな」ケチだと思われるのも心外だが、といった表情でアルフが言う。
 それよりも、ナターシャの関心は作業台の上にある、分解されたライフルに向けられていた。
「AK-47?なんでこんなところに」
「誰かが整備中にほったらかしたのかな」アルフも首をかしげた。「バラしたはいいけど組み立てられなくなったとか。ナターシャ、これを組めるか?」
「通常分解なら目隠しをしていても十秒以内で。完全分解ならもう少しかかりますが」振り向きもせずにナターシャはそらんじた。
「結構。意地を張っても損するのはそっちだ、信用するよ。それじゃあ、世紀末流ストリート・ファイトのお供の作り方を紹介するぞ」そう言うと、アルフは近くの棚にあった金属屑を作業台の上に乗せて煉瓦ブロックで叩きはじめた。
 
【 Svinchatka: Recipe 】
 
「煉瓦ではなく砥石でもいいんだが」握りのついた金属塊をかざし、アルフは言った。「いわゆるナックルの一種だな。こいつ自体で叩くわけじゃなく、握ることでパンチに重みを与える。要は重くて握りやすけりゃ何でもいい、コインを束ねて紙で巻いたりとかな」
「あー…スビンチャッカ(豚)?」
「なんだ、知ってるのか。軍で教わったのか?」
「いえ。お気になさらず」
 ストリートでの殴り合いで見かけたことがあり、なんであれば自分もそれに類するものを使ったことがある、などとナターシャは言う気になれなかった。まして、それが軍に入隊する前のことだなどとは。
 特に興味を惹かれなかったのか、気を遣っているのかはわからなかったが、アルフは別の金属屑を作業台に置くと、それをたったいま作ったばかりの粗製のナックルに巻きつけるようにして組み上げ、ふたたび煉瓦で叩きはじめた。
 
【 Quality Knuckleduster: Recipe 】
 
 完成した屑鉄製のナックルをナターシャに見せびらかしながら、アルフが得意げに言った。
「さっきよりは多少まともな見た目になったな。殴り合いにはこいつが一番だ」
「こういうのって、普通は鋳造で作るものではないですか?」ナターシャが疑問を呈する。
「そりゃあな。鋳型を作り、金属を鋳溶かす作業ができる環境を用意できるなら。それがなかなか難しいこともある、だろ?」アルフは肩をすくめてみせた。

(Quality Knuckledusterは消費APが2と低く、場合によってはHand to Handコンバットにおける最強武器にもなり得る。これを一段階強化したClaw KnuckledusterはAPコストが1増加し、さらに一段階強化したKnife Knuckledusterに至ってはAP4を消費する。それに見合う攻撃力があるかは正直疑わしい。手数が増えるということは、クリティカルやスタンのチャンスも増えるということだ…)
(はじめてQuality Knuckledusterを製造する場合、事前にレシピを習得していない場合はプリセットをExperimentにセットしておく必要がある。もしSvinchatkaが選択されていた場合、同じ材料を使ってもQuality KnuckledusterではなくSvinchatkaが作成されてしまう)
 
 
 
 
 
 
 鍵のかかったゲートを開け、弾薬保管庫に入ると、ひときわ目立つ金属製の金庫が目に入った。堅牢な造りで、四桁のナンバー錠が付属している。
 適当にダイヤルを回したり、こじ開けようとしてもビクともしない。ふと向かいのドラム缶に目をやると、一枚の紙片が無造作に置かれていることに気がついた。"0451"、あつらえたように四桁の番号が書かれている。
 まさか…とその番号に金庫のダイヤルを合わせると、いとも容易く鋼鉄製の扉が開いた。
 金庫の中には、度の強そうな丸眼鏡が一つ。
「…なんで眼鏡?」それを手にしつつ、ナターシャが訝しむ。
「そいつはドクター・ジノビエフの眼鏡だな」だしぬけにアルフが言った。
「ドクター・ジノビエフ?」
「この基地の診療所に勤めている医師だよ。極度の近眼でね、たぶん、こいつは誰かの悪戯だろう。ナンバーの書かれた紙をすぐ近くに置いたのも、近眼のジノビエフならすぐに見つけられないと…さんざん試行錯誤したあとにようやく見つかるよう計らったんだろうさ。おい、そんな目で見るなよ。俺じゃあないぜ」
「てっきり、これも"テスト"の一環かと」
「俺は自分を聖人だとPRするつもりはないが、だからといって、基地で悪さをするのが俺一人だと限ったわけでもないだろう」
 
(充分なスキル値があれば、たとえ金庫であろうとピッキングで開錠は可能だ。なお0451とはSystem ShockシリーズやDeus Exシリーズなどで最初に開くことになるナンバーロックのコードであり、馴染みのあるプレイヤーも多数いることだろう。しばしばネタとして扱われることも多く、ATOM Teamの心憎い演出である)
 
 
 
 
 
 
 ドクター・ジノビエフへ眼鏡を返しに行くため、二人は倉庫の隣にある診療所へと向かう。
 診療所の標識の近くで居眠りをしている兵士を見かけたアルフは、いたずらっぽい笑みをナターシャに見せた。
「歩哨任務中のくせに居眠りとは、悪いやつだな。せっかくだ、スリの練習でもしてみるか?気が咎めるかもしれないが、ウェイストランドを生き抜くのに、どうしても間抜け野郎のポケットの中身が必要になることもあるもんさ…そうだな、ホルスターに入ってる拳銃でも抜いてもらおうか」
 アルフに言われるまま、器用にも立ったまま船を漕いでいる兵士のホルスターに手を伸ばし小型拳銃を抜き取るナターシャ。
 銃口が完全にホルスターから離れた瞬間、唐突にアルフが大口を開けて叫んだ。
「ミュータントの襲撃だ!敵の大軍が押し寄せてきたぞお!?」
「「!!!??」」
 突然の大声にナターシャと居眠り兵士は飛び上がり、続いて、互いに目が合う。兵士の視線はナターシャの目に、続いて、彼女の手に握られている拳銃へと向けられた。
 へっへっへっ、と悪戯小僧のような笑い声をあげ、アルフが言った。
「昼寝をするには悪いタイミングを選んだな、坊主!もし俺たちが敵だったら、いまごろはナイフで喉を裂かれて永眠していたことだろうよ!さあナターシャ、その不忠義者に拳銃を返してやれ。なあ坊主、今回はこの新入りに免じて許してやるが、次はないと思えよ」
 アルフに言われるまま、ばつが悪そうに目を伏せる居眠り兵士のホルスターに銃を戻すナターシャ。
 診療所に入る直前、ナターシャは愉快そうに笑うアルフに向かって言った。
「平和なんですね、ここは」
 その口調に若干の棘を感じ取ったアルフが、口元から笑みを引っ込める。「気になるか?さっきのこと」
「戦場では、たった一人の居眠りが部隊の全滅を招きます」
「固いことを言うな…といいたいが、まあ、お前の気持ちもわかる。俺も任務中なら、あんなふうに冗談で済ませたりはしない。しかし、時と場合ってもんがあるだろう?」
「それは、まあ」いちおうの同意はしたものの、納得とは程遠い声音でナターシャが頷いた。
 
(スリの成功率にはPickpocketとStealthのスキルが関係し、また対象NPCのプレイヤーに対する警戒心、つまりPersonalityも関わってくる。特に軍人やトレーダーは警戒心が強くスリが困難であり、また仮に全ステータスをMAXまで上げていても、トレーダーどころか一般人相手のスリにしばしば失敗する可能性があることを報告しなければならない。基本的には非戦闘系キャラ用のオプションであるが、不要なリスクを負いたくない場合はセーブスカム前提の行為となり、Survival難易度における盗賊ビルドは特にリスクの高いプレイスタイルになる)
(スリは2~3回程度の失敗までなら警告のみで許されるが、それ以上の失敗は対象NPCとの戦闘を誘発する。たとえ他の誰からも見られていなくても、街で一人のNPCと敵対することは、街に存在するNPC全員と敵対することを意味する。とはいえ、一度の失敗で即座に先制攻撃を受ける破目になった旧バージョンと比べれば優しくなったと言えるだろう)
 
 
 
 
 
 
 診療所のデスクではドクター・ジノビエフが目を糸のように細めながら、老婆のような形相で書類に向かい合っていた。二つあるベッドのうち一つには、テルニャシュカを着た兵士が額に玉のような汗を浮かべて呻いている。
「ドクター。彼女は今度任務に送られることになった、新人士官候補生のナターシャだ」患者には目もくれず、アルフは開口一番に言った。「なにか手伝わせることはないか?彼女が癌を治療できるほどの凄腕の名医か、それとも擦り傷を放置して破傷風に罹るような間抜けかを確かめたい」
「ATOMはいつから速成訓練をやるほど時間を急ぐようになったんだね?」アルフの急な物言いに動じることもなく、ドクター・ジノビエフはゆっくり顔を上げると、目の前にいる二人のどちらがアルフかもわかっていないような様子で言葉を続けた。「いますぐに前線向けの弾除けが必要でもなければ、はじめに座学でみっちり仕込むべきだと思うがね。よろしく、ナターシャ?」
「よろしく、ドクター。あの、これ。あなたの眼鏡ではないですか」
 差し出された丸眼鏡を少し驚いたような表情で受け取り、それをかけると、ドクター・ジノビエフはようやくクシャミをした猫のような顔つきから本来の柔和な表情を取り戻した。
 目覚めたばかりの七面鳥のような仕草でアルフとナターシャを見分けたあと、ドクター・ジノビエフが口を開く。
「おや、まあ。若い女性の声だとは思ったが、見た目はそれよりも若いね。誰かの娘さんかな?ひょっとして、以前に会ったことがあるかね?」
「いえ…」
「違うよドクター、彼女はメンバーの身内じゃない。俺がウェイストランドの廃墟から拾ってきた、こう見えても40近いオバサンだぞ」アルフが口を挟む。
「ほう?興味深い、医学的見地からみて…なるほど、目元や指の関節にそれとなく加齢の跡が見えますね」
「ちょっと!」
「ああ失礼、お若いレディに対して配慮に欠いた言動を」
「お若くはないだろう」アルフが言う。
「お若くはないレディ」ドクター・ジノビエフが訂正する。
「ちょーっとおぉぉ!」
 柄にも無く金切り声をあげるナターシャに、アルフとドクター・ジノビエフは顔を見合わせた。
 コホン、咳払いをし、ドクター・ジノビエフが仕切りなおす。
「それ、で…医療、えー、応急治療のテストを?残念ながら大手術を行えるような面白い患者は用意できませんが、そこに士官候補生タラスが見えますね?そう、あなたと同じ士官候補生です。基地外周で警戒任務についていたのですが、運悪く巨大昆虫の針に刺されてしまって」
「任務中に居眠りでもしてたんですか」
「なんですって?」
「いえ」
 どことなく突き放したような物言いをするナターシャにドクター・ジノビエフは怪訝な表情を向けるが、何も聞かなかったように話を続けた。
「ここに携帯用の救急キットがあります。これを使って、適切な処置を施してください」
 プラスチック製の容器を受け取ったナターシャは、それが扱い慣れた軍用の救急キットであることに気がついた。ベッドの上で呻き声をあげる患者、タラスのもとへ歩み寄る。
 巨大昆虫の針に刺された、と言ったか?
 患部には包帯が巻かれており、大きな出血はなさそうに見える。いささか過呼吸ではあるが異常というほどはなく、脈も安定しているようだ。熱もない。すくなくとも、命に関わる怪我を負った様子はない。
 包帯が少し古くなっているので、交換する必要があるだろう。滅菌ガーゼを外し、患部を消毒しつつ傷口を観察する。針が体内に残っている様子はなかった。
「痛みますか?」ナターシャの質問に、タラスは無言のまま頷く。
 包帯を巻き直したあと、ナターシャは救急キットに含まれていた解毒剤や抗生物質とともに少量の鎮痛剤と抗精神病薬を投与し、タラスに励ましの言葉をかけた。
「ありがとう、痛みがひいてきたよ」そう言うと、タラスは先刻よりも落ち着いた様子で眠りについた。痛みを感じないのは症状が緩和されたからではなく薬でそう錯覚しているだけだが、そのことを本人に伝える必要はないだろう。
 おそらくは怪我そのものより、ショック症状のほうが深刻だ。精神的に参っていると、治るものも治らず、容態を悪化させかねない。
 励ましの言葉をかけるのも大事だが、それよりも鎮痛剤や鎮静剤を投与して痛みによる不安を取り除き、安静にさせておくのが手っ取り早い。やり過ぎると中毒になるが。
 一通りの処置を終えたナターシャに、ドクター・ジノビエフが声をかけた。
「悪くないのではないかな。患者の扱いを心得ているし、行動に迷いがなかった。どこかで訓練を受けたかね?その救急キットを使ったのは今回が初めてではないね」
「モスクワの訓練学校で衛生兵のトレーニングを」
 ナターシャとしてはその言葉に含むところはなかったが、ドクター・ジノビエフが彼女の言葉を理解するのに少しばかりの時間を要した。核戦争からすでに19年が経過している。
 彼女の年齢を思い出し、彼女が"本物のロシア軍兵士"であることを理解したとき…ドクター・ジノビエフはただ一言、シンプルな感想を漏らした。
「驚いたな」
 
 
 
 
 
 [次回へつづく]
 
 
 

 
 
 
 どうも、グレアムです。どういうわけか最初のチュートリアル・レベルに話数を割いてますが、まあいつだって最初は丁寧にやるものなんだ、という悪しき慣習に倣っているということで。
 近年はカジュアルさや読みやすさを重視して会話文に顔アイコンを使ったり、わかりやすく話者の名前を添えたりしていましたが、今回はそういう軽いノリは似合わないだろう、ということで地の文が重めな体裁で執筆しています。
 本来は攻略情報やらシステムに関するヒントは省くつもりだったんですが、本文から切り離すという形で併記することにしました。とはいえ俺自身も完全にゲームシステムを理解しているわけではないので、不確かな部分や間違っている点があるかもしれません。
 
 
 
 
 


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