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主にゲームと二次創作を扱う自称アングラ系ブログ。 生温い目で見て頂けると幸いです、ホームページもあるよ。 http://reverend.sessya.net/
2024/11/24 (Sun)04:35
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2014/10/11 (Sat)04:02

「俺の名はクレイブ、傭兵だ。今日もウェイストランドでの旅がはじまる…」



  **  **  **  **





「やぁー、しばらくぶり」
「おや傭兵さんじゃないか。あのときは世話になったね」
 キャピタル・ウェイストランド全域を放浪するキャラバンが集う街、カンタベリー・コモンズ。
 スティールから引き受けた任務へ向かう道すがら、俺はかつてちょっとしたトラブルを解決したことのあるこの場所へとやって来ていた。長旅での中継地というわけだ。
「しかし、そのロボット…あのとき俺が壊さなかったっけ?」
「修理したんだよ。神経回路がすこし破損しただけらしくてね、ウルフギャングにパーツを都合してもらったのさ。いまではこの界隈を護衛してくれる優れたガーディアンだよ」
 ここから目的地はそれほど離れていないが、どうやらエンクレイブの連中はまだこの場所を発見していないか、あるいは不干渉でいるのか…友達付き合いをしている、という可能性もなくはないが、あの連中が監視装置一つつけずに地元民を野放しにしておくとも思えない。

 以前ロックランドの通信施設からエンクレイブの機密情報を持ち出した俺は、そのデータの暗号解析が終わるまでに別の任務を当たるようエルダー・リオンズに言い渡された。
 どうやらスティールには破壊されたリバティ・プライムに代わる隠し玉があるらしく、そいつの完成に必要な部品…戦前に製造されたらしい、テスラ・コイルといったか…それを回収するのが今回の任務だ。
 テスラ・コイルが存在する場所、それはオルニー発電施設。
 オールド・オルニーといえば、デスクローの棲息地域として恐れられている、キャピタルでも随一の危険スポットだ。そこの地下水道から発電施設に入れるらしいが、詳しい場所についてはスティールも把握していないらしい。
 さらに最近、オールド・オルニー付近でデスクローの研究のためにエンクレイブがキャンプを設営したという。
 どうやらデスクローに洗脳装置を取りつけ兵器として転用するのが目的らしく、その技術はすでに実用段階にまで達しているらしい。
「おっかない話だねぇ。まあ、こっちにも対抗策はあるけどさ」
 そうつぶやき、俺はスティールの技術官スクライブ・ヴァリンコート女史から受け取った携帯端末を取り出した。
 これはデスクローの洗脳装置から発せられる制御信号に干渉し、周波数を書き換える装置だ。まあ、一種のジャマーのようなものだ。これをデスクローの近くで作動させれば、暴走状態となったデスクローが飼い主を襲うようになる…その前に俺を齧ろうとさえしなければ…という代物だ。
 こいつはまだ試作品だが、今後エンクレイブが洗脳済のデスクロー部隊を差し向けてきた場合に備えて実地テストのデータが欲しいらしく、つまりこいつが役に立つかどうかの確認も任務に含まれるというわけである。
 単独で挑む潜入工作、この無茶振りはスティールの人材不足も勿論あるが、それ以上に俺への信頼を証明していると…まあ、そう思いたい。
「やっぱり、この服のほうがしっくりくるな」



  **  **  **  **



 翌朝、カンタベリー・コモンズを出てオールド・オルニー近くのエンクレイブ・キャンプへ向かう途中、銃火器を装備した三人の男たちを目にした。
「レギュレイター、あの連中、まだ俺のことをつけ回してたのか。さて…窪地で待ち伏せするバカどもを返り討ちにするなら、崖上から攻撃するのがベストでーす。そのとき核地雷を投げ込むのはいけないことでしょうかー?」



 ニヤリ、俺は悪魔的な笑みを浮かべると、かつてエンクレイブの拠点からガメてきた核爆風地雷(ニュークリア・ブラスト・マイン)の安全装置を外しレギュレイターの連中に向かって投げつけた。威力は推して知るべし。



  **  **  **  **



 エンクレイブ・キャンプへ到着した頃には、すでに夕方になっていた。
「意外と時間がかかったな…ま、ここはただの通過点ですし?試作品のテストをサクッと終わらせちゃいましょうか」
 漆黒のパワーアーマーに身を包んだエンクレイブ・ソルジャーに見つからないよう、連中が捕らえたらしいデスクローの檻へ近づく。頭部に洗脳装置が装着されていることを確認し、スティール謹製の試作装置を起動させる。
 すると、さっきまで大人しかったデスクローが檻を破壊せんばかりの勢いで暴れ出した!



「フラストレーションはあの黒い連中相手に晴らしておくれよな。それっ」
 俺は慣れた手つきで檻の鍵を爆破し、デスクローをキャンプのど真ん中へと放逐する!
 が、しかし…
 ズパパパパパパパパンッ!
 エンクレイブ・ソルジャーが手にした銃火器による一斉掃射で、デスクローはあっという間に蜂の巣にされてしまった!
「おいおいおいおい、瞬殺されてんじゃねーか!あーあ、アーマーに埃一つついてやしねー。レイダー以下じゃねえか…」
 俺は道中で始末したレギュレイターの一人が持っていたベネリM4ショットガンを構え、装甲貫徹用のスラッグ弾を装填する。エンクレイブ製のパワーアーマーといえど、こいつを喰らって平気なやつはいない。
「結局俺がやるしかないのかい」
 まだこちらの正体が割れていないことを確認しながら、俺は物陰から物陰へ移動し、リフレクス・エンハンサーとグリムリーパー・スプリント・プログラムの出力を最大にセットすると、勢いよく飛び出した。
 ズドドッ、ズドッ、ズドッ、ズドン!
 相手がこちらに銃口を向ける隙を与えず、俺はスローモーの世界で12ゲージのダブルタップを決める。
 三人のエンクレイブ・ソルジャーを瞬時に始末し、V.A.T.S.停止後の反動にふらつきながら、連中が使用していたらしいコンソールを発見した俺はそいつに手をつける。幸いにもプロテクトは甘く、手早くクラッキングを済ませ内部に保存されていたデータを片っ端から体内に分散格納されているピップボーイの内蔵メモリにコピーしていった。
「こんなもんか…さすがに通信用のソフトウェアは使い物にならないな。連中は純粋にデスクローの研究目的でこんな場所まで出張ってきてたのか、少なくとも発電施設に関する情報は皆無だな」
 ざっとコピーしたデータに目を通したところ、現状で役立ちそうな情報はない。
「それじゃあ、オールド・オルニーへ向かうとしますか」



  **  **  **  **



 目的地に近づいたあたりで、激しい銃撃音が耳に届く。
「なんだ?」
 レイダーや地元住民の諍いではない、それにしては銃音が「ハイテク」すぎる。
 目を凝らしてみると、どうやら周辺をパトロール中だったらしいアウトキャストがデスクローと遭遇してしまったようだった。すでに何人かやられてしまっており、一人残った隊員が果敢に応戦している。
 距離はだいたい80m…ショットガンで狙える距離じゃない、が。
「スラッグ弾てのは、もともとショットガンで遠くを狙うためのものなんだぜ」
 誰ともなく俺はそう言うと、赤い光を放つ蓄光サイトの上にデスクローの姿を捉え、引き金をひいた!
 バゴンッ!
 破壊的な炸裂音とともに銃口が跳ね上がり、アウトキャスト隊員と相対していたデスクローの顎が吹き飛ぶ!
「正直、当てられる自信はなかったけどな…モダンな照準器に感謝、だな」
 カチンッ、チューブマガジンに一発弾を補充し、俺は周辺を警戒しながらアウトキャスト隊員に近づく。
「大丈夫か?このへんは危ないんだ…ピクニックには向かないぜ」
「ケッ、どうせ俺たちはボーイスカウトだよ。だがまぁ、助かった。その点については礼を言うぜ、たしかあんたは…ヴォールト出身の傭兵だったな?」
「驚いた。素顔は見えなくても顔は売れるものなんだな」
「キャスディンから話は聞いてる、あんたは信頼できるってな。こんなこと頼める義理はないが、あのクソどもの掃除に手を貸してもらえないか?」
「デスクロー退治か。ちょうど、俺もあのへんに用事があったんだよ。途中までなら付き合うぜ」
「感謝する」



 アウトキャスト隊員とともにオールド・オルニー地区へと突入し、この界隈を徘徊していたデスクローどもを排除していく。
 何匹目かのデスクローを始末したあと、弾倉を交換しながらアウトキャスト隊員が訊ねてきた。
「ところで、あんたはなぜこんな場所に?スティールのために働いてるってのは本当なのか」
「まぁね。リオンズの得にならないと言えば嘘になる」
 アウトキャストはBoSの分派で、その仲は殺しあうほどに悪い。ライバルなんてものじゃない、仇敵のようなものだ。
 そんなわけだから、俺がスティールのために働いていると聞いた彼が当然顔色を良くするはずもない。それをわかっていて口を滑らせたのはたしかに軽率だし、いちおうフォローはしておくが。
「たんなる仕事さ。いまスティールはエンクレイブとの戦争に夢中で、死に体のアウトキャストなんぞに構う暇はないとよ」
「舐められたものだ。だが、まぁ、状況を考えれば否定はできん。我々もエンクレイブの連中は好かんし、勝手に潰しあってくれるならそれに越したことはない」
「もっとも、決着がつけばスティールはさらなる勢力拡大を画策するだろうが…ね」
「だろうな。あんたの目には、俺たちがさぞかし惨めに映るだろうな。この落ちぶれよう…たまに、スティールに残ったままのほうが良かったんじゃないか、そう思うこともある。あんたはどう思う?俺たちを笑うか?」
「もしそうなら」
 別れ際、オールド・オルニーに張り巡らされた地下水道への入り口を下りていくとき、俺は僅かな間ともに戦ったアウトキャストの隊員に向かって言った。
「もし俺がスティールの大義とやらを信じてたなら、いまごろは傭兵としてじゃなく、スティールの一員としてあんたの前に現れてたさ」
 この一言が、彼にとって僅かでも慰めになればいいのだが。



  **  **  **  **





 地下水道もデスクローだらけだった。
 ズドンッ、足を撃ち抜かれ、もんどりうって倒れたデスクローの背に連続して00バック散弾を叩き込む。
「しっかしこいつら、どこからこんなに沸いてきやがるんだ?やっぱり繁殖してるのか…卵生らしいが、こんだけぶっ殺しても気づいたらそこいら中にいるとか、勘弁してほしいぜまったく」
 デスクローの戦闘力は、あらゆる装甲を紙切れのように引き裂く鋭利な爪もさることながら、その俊敏な機動力に頼るところが大きい。それを見越して脚部、できれば膝の関節を破壊して飛び跳ねたりできないようにすれば、格段に始末しやすくなる。
「さて、発電施設へと出る通用口はどこかな?」
 地下施設の詳細な構造が記された見取り図でもあれば簡単に見つかるのだろうが、残念ながらそういった魔法のアイテムはいま手持ちにない。
 ただ幸いにも方角とだいたいの位置は把握しているので、あとは勘を頼りに進んでいくだけだ。といっても、俺の土地勘はあまり信用できないのだが。
 やがて…



「おいあんた、どうやってここに来たんだ!?」
「…グール?」
 途中で見つけた梯子を上った先にいたのは、作業着に身を包んだ二人のグールだった。
「あんたたちこそ、なんでこんな危険な場所にいるんだ」
「べつに好きでこんな場所にいるわけじゃない。無理矢理トンネルなんか掘らされて、このザマさ。でもまあ、銃声がしたってことはあんた、デスクローを殺しながらここに来たってわけだろ?つまり血の跡を辿れば安全に地上に出れるってことだ…ハハッ、そうとわかれば、こんな糞垂れた場所とはおさらばだ!」
「お、おい…ちょっと待てよ!」
 こっちはまだ聞きたいことが色々とあったのだが、グール連中は勝手に自己完結すると、さっさと出口へ向かって行ってしまった。もっとも、あの様子ではまともな情報交換ができたかどうかは怪しいが。
 しかしあの口吻だと、どうやら連中は自分の意思でここに来たわけではないらしい。来た、というか、居た、というべきか。



「とりあえず、一休みするか…しかし、ここはいったい何なんだ?」
 どうやらグールの居住区だったらしいスペースで、俺は火を囲んで一息つくことにした。
 さすがにデスクロー相手の連戦は疲れる。僅かな油断が命取りになるからだ。これだけの荒行は、それこそ浄水施設の奪還作戦以来だ。
 なに、エンクレイブの連中がテスラ・コイルに興味を抱いてないとすれば、急ぐ必要はない。休息も仕事のうちだ。休めるうちに休む、いざってときに身体が動かなければ何の意味もない。俺は別に修行僧を目指しているわけじゃない。
「さて…」



 オールド・オルニー地下からSウィルソンビルを経由し、途中でエンクレイブの襲撃を受けつつどうにか発電施設に到着。未だに稼動していた古いセキュリティ・システムに手こずらされながらも、俺はテスラ・コイルの入手に成功した。
「こいつがねぇ…いったいなんの役に立つんだか。門外漢の俺にはガラクタにしか見えないが」
 いやに仰々しいプロテクトで固められていたが、こいつが苦労に見合う代物であることを祈る。



  **  **  **  **





『キシェエエェェェェェッ!』
「おいちょっと待てよ!」
 オルニー発電施設の緊急脱出用梯子からオールド・オルニー地上へと出た俺を、デスクローの爪が襲う。
「不意討ち闇討ちは汚い人間の特権じゃあねーのかよ、たまんねーな」
 ズルッ、俺は慌てて攻撃を避けた勢いでマンホールの中にずり落ちてしまう。
 しかしそれが幸いしたのか、俺の姿を見失ったデスクローが前後不覚に陥った。この巨体でマンホールの中にいる俺を追撃するのは難しかろうし、暗闇の中を見分ける能力には長けていないはずだ。
 さらに俺からは、街灯に照らされたデスクローの姿がクッキリ浮かんで見えていた。
「仲間が向こうで待ってるぜ。ま、そのうち俺も追いつくさ」
 そう言って、俺は引き金をひいた。






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無題
終盤の肝心の部分が手抜きに見えますが、じつはこれ体力が尽きたとかそういうんではなく、ゲームプレイ中にとんでもないミスをやらかしてたせいです。

じつは…テスラコイルをもう入手していた…

や、BSのタスクを把握してなかった頃、そーいえばコンソールコマンド使って無理矢理発電施設に侵入してテスラコイルだけ分捕ったような気がするなー、とか…
いや、迂闊なことはするもんじゃないですね。

ちなみにFOOK2で入手できるNuclear Blast Mineですが、実際はどでかい核爆発を起こすわけじゃあなく、小爆発とともに放射能を撒き散らすというなんとも微妙性能なのですよ。
そのへん反映させても良かったんですが、文章が長くなるわりにあんまり面白くなかったので削ってしまいました。
グレアム@デスクローハント 2014/10/11(Sat)04:07 編集
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