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主にゲームと二次創作を扱う自称アングラ系ブログ。 生温い目で見て頂けると幸いです、ホームページもあるよ。 http://reverend.sessya.net/
2014/08/16 (Sat)10:13

 レーヤウィンの戦士ギルドが無事に仕事を獲得できたことで、役目を終えたちびのノルドはシェイディンハルへ戻ろうとしたのだが。
「じつは、その前にもう一つだけやってもらいたい仕事があるんだ」
 現地の戦士ギルドを統括するボズマー(ウッドエルフ)のブロドラスに引き止められ、もう少しだけ現地に留まることになってしまった。



「それにしても、僕より小さいノルドがいるなんて驚きだなあ」
「はうあっ!?」
 気にしていることを口に出され、うろたえるちびのノルド。
 ボズマーといえばチビ、ノルドといえばノッポ。これはタムリエルにおける普遍的な法則であり、店の売り物に勝手に触れたら衛兵に通報されるのと同じくらい確実なことである。
 さておき、普段なら反発しているところだが、立場の上下を棚上げするとしても、相手も普段は低身長をからかわれているのだろうし…とちびのノルドは考え、話を切り替えることにした。
「それで、仕事というのはなんでしょう?」
「レーヤウィンの川向こうに、ウォーターズ・エッジという小さな集落があるんだけどね。そこのビエナ・アメリオンという女性を助けてやってほしいんだ。なんでも、ご先祖様の遺品を霊廟から回収してほしいらしい」
「霊廟…ですか」
 ちびのノルドは、あまり気乗りしない様子でつぶやいた。
 なんだってこのところ、墓だの幽霊だのに縁があるんだろう?自分は幽霊が苦手なのに…
 とはいえ「オバケが怖いからできません」では戦士は務まらない。
「詳しい話は彼女から聞いてくれ。地図に印をつけておこう」
「あ、どうも」
 スカイリムから飛び出してきたときに持ってきたシロディールの地図にブロドラスがインクで丸印をつけるのを確認し、ちびのノルドは出発の準備を整えることにした。

  **  **  **  **

 ウォーターズ・エッジはレーヤウィンからそれほど遠くない位置にあった。
 近隣住民にアメリオン家の場所を尋ね、ちびのノルドは依頼人の住む家の扉を叩く。
「…誰?」
「あの、わたし、アリシア・ストーンウェルといいます。戦士ギルドから派遣されてきたんですけど」
「戦士ギルドの人?ああ、良かった…今開けますね」
 ギイィ…金具が軋む音を立てながら開いた扉の先には、なにやら警戒した様子のブレトンの女性が顔を覗かせていた。
「あら、どこにいるのかしら」
「下です、下」
「まぁ。小さい戦士様だこと」
 視界を正面に据えていたせいでちびのノルドが視界に入らなかったらしい女性、おそらく彼女が依頼人のビエナ・アメリオンだろう。
 またぞろ背の低さについて言及されたちびのノルドはがっくりと肩を落としながら、しかしいい加減に言われ慣れてきたというか、おそらくビエナに悪気はないのだろうと思い、彼女に促されるまま家の中へと上がった。



「ところで、さっきはいやに警戒してましたけど…」
「てっきり借金取りが来たのかと思って。それで、つい」
「借金?あなたが?」
「というより、父が。今回の依頼は、その父の借金に関係があるのです」
 どことなく気の強そうな顔つきをしたブレトンの女性が躊躇いがちに話をはじめる。
「あまり自慢できることではないので、微細に入った話はできませんが…父は借金をしていたのです。それも、膨大な…ギャンブルなどに手を出したばかりに」
「ぎ、ギャンブル!?」
「きっと軽蔑なさるんでしょうね?私にも、賭け事で身を滅ぼした男の血が流れているのですから」
「え、や、いやっ、そういうんじゃなくって、あーと…」
 驚きの声を上げるちびのノルドに、ビエナが肩をうつむかせる。
 しかしちびのノルドが動揺したのは、ビエナが考えているのとは少し違う理由からだった。
「あの、違うんです!ただ、そのぅ…つい最近、やっぱり借金で身を持ち崩した旦那さんの奥さんの依頼を受けたばっかりだったので。それもやっぱりギャンブルで、男の人ってどうしてこう、碌でもないんだろう、なんて」
「そうだったんですか?たしかに、父も碌でなしといえばそうなんですけど」
「すいません…」
「いいんです、気にしないで。父は碌でなしです、でも、それでも私には大切な肉親なんです。どうか助けて頂けませんか?」
 自嘲交じりの笑みを浮かべながら話すビエナに、やはり藪蛇だったと反省しきりのちびのノルド。
 それでもさっきよりビエナの表情は明るく、口下手で嘘をつくのが苦手なちびのノルドに対しては概ね好感を抱いたらしい。
 ただ、これ以上話がこじれる前に仕事の段取りを…と考えたちびのノルドは、先を急かした。
「ところで、仕事というのは?というより、あなたのお父様はいまどちらに?」
「父は…借金取りに連れていかれました。おそらく、借金のカタとして強制労働にでも就かされているのでしょう」
「ということは、今回の依頼はお父様の救出…?」
「いえ、違います。そもそも借金をしたのはこちらですし、それでは戦士ギルドに多大な迷惑がかかってしまいますわ。要するに、私が借金を返済して父を解放してもらえれば良いわけですから」
「何か宛てがあるんですか?」
 そういえば、戦士ギルドでブロドラスから聞いた話だと、ビエナの先祖が葬られている霊廟から遺品を回収する、ということだったか?
 そんなことを思い出し、もしや先祖の遺品を借金のカタに充てるのかとちびのノルドは訝った。
 よしんば遺品の回収に成功したとして、それがちゃんと現金化できればいいのだが。
 ビエナが話を続ける。
「かつて、祖母はレーヤウィンに仕える誇り高き騎士でした。彼女が身につけていた装備は黒檀の表面をミスリルでコーティングしたもので、さらに魔力が付与…エンチャントというのでしたっけ?そういった代物ですから、一式を揃えれば金貨千枚以上の値打ちはあるはずです。借金を返済し、戦士ギルドへ報酬を支払うに充分足る額ですわ」
 黒檀…エボニーはそれ自体が大変に珍しい材質で、家具などに用いられる木材の黒檀とは明確に区別される鉱物だ。火山の火口付近で生成されるため採取が難しく、また加工も難しいため大変に高価で、また精確に鍛えられた黒檀の武具は鉄や鋼など足元にも及ばない優れた力を発揮することから、黒檀の装備を身につけているというのは、それだけでステータスになるのだ。
 しかもビエナの祖母が身につけていた黒檀装備(一式揃っている!)は特殊な加工が施された物のようで、それがもし事実であるとすれば、彼女はかなり高位の騎士であったことが窺える。
 はっきり言って、借金のカタに売り払うにはあまりに勿体無い代物ではあるのだが…本来なら先祖の霊を敬うため丁重に奉るか、そうでなければ城に飾るべきものだ。
 とはいえちびのノルドは家庭の事情に口出しをする気はなかったので、その点についてはこれ以上考えないようにした。
「ところで、わざわざ戦士ギルドに依頼した理由は…?」
「なぜ自分で取りに行かないのか、と?最近、霊廟の近くでゾンビやスケルトンが出没するという噂があるのです。そのうえ、内部がどうなっているのかなど…残念ながら、私の腕ではそれらの怪物に歯が立ちません」
「わかりました。すいません、余計なことを聞いてしまって」
「構いません…あまり萎縮しないでちょうだいね?そうそう、霊廟の位置を地図に書き込んでおきます」
 おずおずと地図を差し出すちびのノルドに、ビエナが気さくに笑いかける。
 あまり喋りが得意でないなら、そろそろ口を閉じることを覚えるべきなんだろうな…そんなことを考えながら、ちびのノルドはアメリオン宅から辞去した。

  **  **  **  **



「暴れ馬だーっ!!」
『ブヒェヒヒーーーーンッ!!』
 川沿いを歩いていたちびのノルドの前に突如現れたのは、前後不覚に陥り突っ込んできた帝国軍馬だった!
 その背に本来あるべき帝国軍人の姿はなく、何者かに襲われたのか、馬も多少のダメージを負っていた。
 いまにも蹴りかかろうとしてくる帝国軍馬を、ちびのノルドはどうにかして諌めようとする。
「ちょ、おっ、落ち着いて!落ち着いてください!」



 しばらくすったもんだした末、ちびのノルドはどうにか帝国軍馬を抑えることに成功し、騎上でアメリオン家の霊廟へ向かうことになった。
「帝国軍馬に無許可で民間人が乗るのは基本的に違法ですけど…事情が事情ですし、大丈夫ですよね?」
『ブヒヒン』
 ブルルン。
 心配そうに話すちびのノルドに、帝国軍馬は鼻を鳴らして応える。



 やがてアメリオン家の霊廟に到着したちびのノルドは帝国軍馬の背から下りると、脇腹をぽんぽんと叩いて言った。
「ありがとうね、お馬さん。ここからなら、レーヤウィンが近いから安全に帰れるよ…でも、できればわたしが戻ってくるまで待っててほしいけど。そうすれば、一緒に帰れるし」
『ブルヒヒヒン』
 彼女の言葉を理解しているのかいないのか、帝国軍馬は低い嘶きの声を上げるだけだ。
「さて、と…」
 パキポキパキ、指の関節を鳴らしながら、ちびのノルドは霊廟の入り口に立つ。殺気や人の気配、生活臭は感じないが、それでも何か不穏なものをそれとなく察することができる。
 …あまり、面倒がないといいけど。
 ちびのノルドは大人しく様子を見守り続けている帝国軍馬のほうをちらりと一瞥し、そしてアメリオン家の霊廟へと足を踏み入れた。

  **  **  **  **

 しばらく歩くと、幾つかの死体が転がっているのが目についた。
「これは…元から埋葬されていた亡骸じゃないですね。けっこう真新しい」
 真新しい、といっても、数ヶ月か数年は経過している死骸だったが。
 雑多な装備、盗掘用の道具一式。どう見ても盗賊か墓荒らしの身なりだ、それが死んでいるということは、この霊廟には侵入者が死ぬだけの「何か」がある、ということだが。
「鎧に刺し傷があるところを見ると、出口がわからなくなって飢え死にした…ってことはないですよね。仲間割れ…でしょうか?」
 もし仲間割れで死者が出たとするなら、とちびのノルドは考えた。
 良い点は、アンデッドやトラップによる傷でないなら、霊廟の捜索そのものは難しくないだろう、ということ。悪い点は、もし仲間割れを起こし仲間を殺した張本人がすでに脱出しているなら、すでに値打ちのある遺品が持ち去られている可能性がある、ということ。その場合、ちびのノルドはまったくの無駄足になる。
「…すっごくイヤですけど、この場合、前者を望むしかないですよね」
 ちびのノルドがそうひとりごちた、そのとき。
『キシャァァァアアアアッ!』



「フンッ!」
 ゴシャアッ!
 乾いた奇声を耳にすると同時に、ちびのノルドが強烈な蹴りを見舞う!
 彼女の背後にいた襲撃者…スケルトンは派手に吹っ飛び、壁に激突して粉々になった。
「…ああ、よかった」
 まったく気乗りしない声音で呟き、ちびのノルドは先へ進む。



「クラシカルな仕掛けだなぁ、これ」
 ゴッ、ゴゴゴゴゴン。
 ときおり暗闇から飛びかかってくるスケルトンをいなしつつ、壁に囲まれた部屋へと到着したちびのノルド。
 すわ行き止まりか、と思われたが、冷静に周囲を観察したところ、ちびのノルドの目に飛び込んできたのは石の重りをぶら下げた縄細工。天井から吊り下げられたそれは、ダンジョンにおける古典的な仕掛けの作動装置だった。
 意を決してそれを引っ張ったところ(罠の作動装置である可能性もあったため、あまり褒められた行動ではない)、壁の一部が地中に埋没し、古い隠し通路が姿を見せる。
「ぅおう。毎回思うんですが、これどうやって作ってるんでしょう」
 アイレイドの遺跡なら、あの魔法仕掛けの得意なエルフどもの産物なら、素直に納得もできるのだが。
「でもまあ、こういうのに限って、実際に調べてみると案外単純な仕掛けだったりするのかもしれませんねぇ」
 そんなことを呟きながら、ちびのノルドは先を急いだ。

  **  **  **  **



「あれは…」
 アメリオン家の霊廟最深部、サルコファガスの間。
 おそらくビエナ・アメリオンの祖母が身につけていたであろう装備一式が奉られている棺の傍らに、黒衣を纏い宙を漂う影があった。
「あれは、レイス…!」
 以前、座礁した商船エマ・メイ号で出会った青年の亡霊の姿を思い出しながら、ちびのノルドがごくりと唾を飲む。
 率直に言って、ああいう手合いは今後二度と相手にしたくない類の敵だった。あのとき勝てたのだって、実力というよりはほぼ運によるもので、もし再度似たような状況に置かれたなら、きっと生きてはいられない…そういう自覚がちびのノルドにはあった。
 しかし仕事は仕事だし、逃げ帰るわけにはいかない。それに幸いというか、いま目の前にいる亡霊は以前出会ったものとは違い、それほど覇気、というか怨念が感じられない気がした。
「気乗りは…全然、まったくしないですけど」
 ジャキッ。
 前回の仕事でゴースト退治に使った対霊仕様のトンファーを抜き放ち、ちびのノルドは身を翻して亡霊へと立ち向かった。
『また墓荒らしか…下衆な輩め、いくら退けても諦めるということを知らんな…!』
 ちびのノルドの繰り出した一撃をかわし、亡霊は煌く大剣を振りかざす。
 墓荒らし…?
 亡霊の言動を訝しみ、ちびのノルドは距離を保ちながら亡霊の姿を観察した。
 あのときの、エマ・メイ号で出会った青年のような力は感じない。むしろ、どこか疲れているような…本当はもう眠りたいのに、義務感からこの場所を守り続けているような、そんな気配すら感じる。
 そのときちびのノルドは確信にも似た直感とともに、口を開いた。
「あの、失礼ですけど…もしかして、アメリオンさん…ですか?」
『卑賎の輩よ、貴様のような薄汚れた俗物に、我が誇りある姓を呼ばれるいわれはない』
 ビンゴ。
 おそらく、この亡霊…彼女は、ビエナが依頼してきた祖母の鎧の持ち主…祖母当人だろう。
 だとすれば、これだけ理性が残っているならば、勝算はある。
「あ、あのッ!わたし、ビエナさんに…あなたのお孫さんに頼まれて、ここに来たんです!あなたの装備が必要だからと、そのために」
『なに…我の子孫がこの装備を必要としている、だと?』
「ええ、そうです」
『ならば、なぜ我が子孫が直接来ない』
「うッ…その、えー…事情がありまして」
 まさか、息子の借金のために孫が奔走している、などと言えるはずがない。
 なるべく戦わずに済ませられるなら…とちびのノルドは考えていたが、どうにも旗色が悪いようだと判断し、ふたたび身構える。
 しかし次に亡霊の口から飛び出してきた一言は、ちびのノルドにとって予想外のものだった。
『よかろう』
「えっ?」
『若干胡散臭くはあるが、おそらく貴様は真実を口にしているのだろう』
「それじゃあ…」
『我が鎧を渡そう、ただし条件がある!我が誇りある鎧を手にする者には相応の資格がなければならない、即ち…貴様が、本来この鎧を受け取る資格を持つはずの孫に代わって、力でそれを証明してみせろ!』
「…結局それって、力づくで奪い取れってことですよね?」
『問答無用!』
「あぅう~…」
 言い回しこそ難しいというか堅苦しいが、実際は単純というか筋肉バカというか戦闘民族ばりの亡霊の言動に頭を痛めつつ、ちびのノルドは拳を固めた。
 勝機は、ある。
 亡霊の振るう剣を受け流し、牽制の一打を叩き込みながら、ちびのノルドはこの戦いの勝利を確信していた。
 彼女は、眠りたがっている。
 長く続いた使命を終えて、永遠の安息につくことを望んでいる。
「死を受け容れ、死を望むひとに負けるほど…わたしの腕は錆びついてません!」



「ハァァアアアーーーッ!」
 ズシャアッ!
 小柄な体躯というアドバンテージを覆す、飛び込んでからの強力な一撃。
『これでいい、これで…これで、我も安心して…この世から……』
「安らかに眠ってください。あなたの残した遺産は…あなたの子孫を救うでしょう」
 金銭的な意味でな。
 もちろん、そんなことを言えるはずはないが…朽ちていく亡霊の残滓を眺めながら、ちびのノルドはそんな不謹慎なことを考えつつ、いよいよアメリオンの騎士の装備と向かい合った。



「おお、ペガサス・ファンタジー…」
 いままで亡霊の手によって墓荒らしの手から守られてきたのだろう、一式が綺麗に並んだ装備を見つめながら、ちびのノルドは思わずそんなことを口にした。
 しかし、この段になって問題が発生した。
「…これ、どうやって持って帰ろう」
 いま目の前にある装備は、かなりの重量がある。かなりの嵩がある。とてもではないが、手で持って運ぶのは無理があった。

  **  **  **  **



「お、重いぃ~…!」
 ちびのノルドの選択、それは「着込んで帰る」!
 あからさまにサイズが合っていない、重量のある全身装備を身につけたちびのノルドは疲労の限界に達しつつあったが、それでもこれを無事ビエナの元へ届けるまでは、足を止めるわけにはいかない。
「ここから出れば、お馬さんが待ってるから…そこまで…」
 ちなみに、霊廟の表に待たせていたはずの帝国軍馬がどこともなく姿を消し(どうやら自力でレーヤウィンに帰ったらしい)、結局ビエナの家までこの状態のまま徒歩で帰ることになったのであった。






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