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主にゲームと二次創作を扱う自称アングラ系ブログ。 生温い目で見て頂けると幸いです、ホームページもあるよ。 http://reverend.sessya.net/
2012/05/20 (Sun)16:50
「頼むよ、ここいらで信頼できる余所者なんて、アンタくらいしかいないんだからさ」
「絶っっっ対にお断ります。わたしをなんだと思ってるんですか」



 帝都商業地区、ジェンシーンの新品同様故売店にて。
 以前、謎の激安商店の裏事情を暴いた縁で顔なじみとなった故売屋の店主ジェンシーンと世間話をしていたちびのノルドは、いきなり振られた無茶な頼みに最大出力で拒否反応を示していた。
「そんなつれないこと言わずにさ。それとも、このジェンシーン姐さんの頼みが聞けないってのかい?」
「ドスきかせたって駄目なものは駄目なんです!だいたい、役人の汚職なんてどこの国にもあるじゃないですか、それをなんとかするなんて傭兵の仕事じゃありませんよ。ところでこの剣、幾らで買い取ってくれますか?」
「600セプティム硬貨」
「もっとよく見てから判断してくださいよ、このくされマ○コ!この剣には強力なエンチャントが掛かっていてですねー、そんな値段で買い叩けるようなものじゃないんですよ」
「アンタ喧嘩売ってんのかい…?じゃあこうしようじゃないか、アンタが例の警備隊長をなんとかしてくれたら、報酬とは別にその剣を適正価格で買い取ってやろうじゃないか」
「きっ、きたない!さすがアラフォー嫁かず後家、やることがきたない!」
「ブッ殺すよ、この糞餓鬼ぁ!無毛恥丘発達途上ドチビ女!」
「剃ってるんですよ、何度言ったらわかるんですか!(本当は生えてないけど!)」



「ハロー、黒馬新聞で…おおお、また傭兵とジェンシーン殿が争っておられるぞー!」

「…どーしようかなー……」
 結局引き受けるとも、引き受けないとも言わないまま店を出てきたちびのノルド。
 事のあらましはこうだ。
 最近、帝都市民と商店会を恐怖に陥れている存在がいる。その名はオーデンス・アビディウス、帝都を守る警備隊の隊長の1人である。
 彼はその役職と地位の高さを利用し、店頭に並ぶ商品に難癖をつけては徴発し、ただの買い物客を窃盗犯と断じ罰金を支払わせるなど、まさにやりたい放題をしていた。
 しかし帝都軍はいま皇帝暗殺に揺れており、また不正を告発できそうな人員はいま盗賊ギルド検挙に心血を注いでいるため、オーデンスの汚職にまで気が回らないという。まして物的証拠もなく、下手に動けば帝国に対する反逆と見做され投獄されかねないという有り様である。
 いまのところ商店会も被害者市民も泣き寝入りするしかなく、しかしこのままではイカン、どうにかできないか…というのが、ジェンシーンの願いであった。
「とはいってもですねー。わたしの専門は荒事で、こういう繊細な仕事は向きじゃないんですよねー」
 もちろん傭兵という役職は、たんに戦争参加だけが取り得ではない。
 様々な工作活動や各種専門的技能のインストラクターなど仕事の種類は幅広く、またそういった非戦闘活動を専門にする傭兵がいるのも事実だ。
 しかし悲しいかな、ちびのノルドは戦いだけが取り得な鉄砲弾的、一山幾らで値段がつくタイプの、あまり高く評価されない傭兵だったのである。どれだけ戦闘能力が高くとも、戦闘しかできない傭兵はそれだけで価値が下がるのだった。
「暗殺してハイ終わり、というわけにもいかないですし」
 それができれば簡単なのだが、要職に就く人間をそうそう簡単に暗殺などできはしない。それに依頼人も納得しないだろうし、下手をすれば一生涯、逆賊として追われ続ける破目になる。それは御免だ。
 ひとまず帝都商業地区で繁盛しているレストラン兼宿屋のフィードバッグ亭に行き、情報収集も兼ねて一杯やることにした。



「おいねーちゃん、なんか芸でも披露してくれよ」
「わかりました。1番、アリシア・ストーンウェル。倒立をやります。とぅ」
 宵の口といったところ。
 酔客に絡まれたちびのノルドは、特に嫌がるでもなくテーブルの上に手をつき、見事な直立運動をやってのけた。すでに出来上がっているのかもしれない。拍手はまばらで、どうやらあまり関心を払われていないようである。
「皆さん、ノリがあまりお宜しくない。あっ、ジェンシーンさん、ここですっ!わたしです、ちびのノルドですっ、お~いなんで無視するんですか~っ!?」
 平素からは想像もできない陽気な声(しかも、酒のせいでかすれたダミ声)で呼びかけるちびのノルドに、ジェンシーンは返事一つすることなく黙って背を向ける。典型的な「他人のフリ」というやつである。
 しかしまあ、この時間帯は商店会の皆さんがたが店仕舞いのあとに立ち寄るのだが、その話題といえばオーデンスの横暴に対する愚痴一択である。この様子だと、衛兵の耳にもウワサくらいは聞こえていても良いはずだった。
 ぼーっとした頭で考えながら、ちびのノルドは店内に黒馬新聞の記者の姿を見つけ、話しかけた。
「あのーぅ、新聞社のかたですよね?いまウワサになってるハゲちらかした衛兵隊長の醜聞とかぁ、書いたりしないんですかぁ?」
「黙れ寄るな酒臭い。そりゃあ、衛兵隊長のスキャンダルなんて特ダネだから、できれば特集したいさ。でもな、証拠もないのに帝都の衛兵を敵に回しちゃあ、後でどんな目に遭わされるかわかったもんじゃない。まして俺らがタダで新聞配れんのは帝都から給金を貰ってるからだ、迂闊な真似はできんよ」
「…普段あんだけ中傷に近い記事書いてるくせに」
「何事も程度、ってぇもんがあるのさ。それはこっちも相手もわきまえてる、しかしオーデンスの件はこっちの分を越えたネタだ、手を出せねぇよ」
「ジャーナリスト魂、とかいうのに期待はできませんかね?」
「くだらんプライドはネズミのクソ以下の値打ちもない、あんたらスカイリムのでかノッポどもはどういう考えか知らんが、我々カジートは身の程ってもんくらいは知ってるのさ。安い正義感で動いて、最終的にはすべて台無しにして誰も彼もを不幸にしちまう可能性がないと、どうしてアンタに言える?」
 そう言って、記者はフンと鼻を鳴らした。
 安い正義感、か…ちびのノルドにとって、今回の件は報酬目当ての仕事以外のものではないのだが、どうやら他人の目からはそうは見えないらしい。否定してもいいが、銭亡者よりかは偽善者と思われたほうが多少は面白味もあるだろう。
 ちびのノルドは酔った頭で計画を立てると、ふらふらと外へ出た。



「これも警備隊長の仕事とはいえ、退屈なものだな。こんなもの、多少のボーナスでもなければやってられんよ」
 そんなことをぶつぶつと呟きながら帝都を巡回しているのは、いまウワサの衛兵隊長オーデンスである。いくら業務内容に不服があっても、ボーナスを自発的に徴収するのはいけないと思います。
 人気のない路地に差し掛かったとき、オーデンスの背後に怪しい影が飛び出してきた。
「ん、いまなにか物音が…」
 ビシッ!
「チェンッ!」
 振り向こうとしたオーデンスの首筋に、容赦のないチョップが叩き込まれる。オーデンスの口から、奇妙な悲鳴が漏れた。
 昏倒するオーデンスの身体をしっかり掴み、金属製の鎧が音を立てないようにゆっくりと地面に横たえる影…他でもない、ちびのノルドである。



「お、重い…」
 オーデンスの身体を横たえ、ちびのノルドはいそいそと工作をはじめる。
「さて、こうしちゃいられません。素早く行動しないと」
 そう言うと、ちびのノルドは帝都商業地区へと向かった。
 営業時間はとうに過ぎ、厳重に戸締りがしてある店舗へと足を運ぶ。鍵を無理矢理破壊し、侵入先に陳列されている商品の数々をサックに詰めていく。



 店から店へ、帝都を巡回している衛兵の目を盗みながら、ちびのノルドはあらゆる種類の盗品を集めていった。

 そして、翌朝。
「こ、これは…なんということだ!」



 帝都エルフガーデン地区、往来のど真ん中にて。
 衛兵隊長オーデンスは全裸で、身体中にアルコールを浴び、周辺に大量の盗品をぶち撒けた姿で大の字になって寝ているところを発見された。
 たまたま通りがかった別の衛兵隊長であるイティウス・ハインは、往来にオーデンスの姿を認めると、素早く駆け寄った。
「なんということだ!衛兵隊長ともあろうものが、こんな醜態を晒しているとは…!首筋にひどい痣があるが、どこかでぶつけたのか?それにこの品物の数々!このポーションはギルデッド・カラーフのもの、この高級な服はディバイン・エレガンス、指輪やネックレスはレッド・ダイアモンド・ジュエリー!それにこんな大量の食べ物なんか、どこで手に入れてきたんだ!?」
 遠巻きに見つめる名もなき衛兵たちも、みんなオーデンスが「やらかした」と思って疑わない。
「妙なウワサが流れていたのは知っていたが、まさか本当だったとは…」
「この有り様はもう現行犯と言っても過言じゃない。言い訳できないすぎる」
 やがて目を醒ましたオーデンスを、衛兵隊がすぐさま逮捕したことは言うまでもない。



「さあキリキリ歩くんだ、この帝国の恥晒しめ!」
「どうしてこうなった…」
 帝都市民が見守るなか、一夜にして絶望のドン底に叩き落されたオーデンスが衛兵に連れられていく。
「これは事件、事件だ!特ダネだ、スクープだぞ!」
 昨晩、ちびのノルドに身の程について講釈した黒馬新聞の記者も、手の平を返したようにはしゃぎ回っていた。商店会の皆さんはというと、あまりに意外な結末に言葉が出ない様子である。
 一方のちびのノルドですら、気持ちの整理ができていなかった。
「…酔った勢いだったのに」
「なにか言ったかね?」
「イエナンデモアリマセン」
 隣で事の次第を見守るイティウスの質問に、ちびのノルドはカタカナ言葉で返答する。

 ともあれ、これで帝都市民を脅かす悪は潰えた。かのように思えたのだが…?
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