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主にゲームと二次創作を扱う自称アングラ系ブログ。 生温い目で見て頂けると幸いです、ホームページもあるよ。 http://reverend.sessya.net/
2014/12/28 (Sun)05:47


来年は未年ですので。



 おまえら、なんでこんなことをした?
 なになに組織が?ロシア人が邪魔で?愛国心が?政府機関のバックアップ?この国をクリーンにするって?
 あのなぁ…俺は、そういうことを聞いてんじゃねーんだよ。
 おまえらは、いったい何の権利があってこの俺に命令してたんだと聞いたんだよ。
 俺の時間を無駄遣いさせやがって、いまだって無駄話で俺の時間を浪費させてやがる。
 もういい充分だ、おまえらにはうんざりだよ。終わらせてやる。



 スローモーションなんか使えなくても、カバーアクションができなくても、魔法や超能力なんかなくても、カッコよく戦うことはできるんだ。本作は、そのことを証明してくれる。

 Hotline Miamiは80年代のマイアミを舞台に、突如かかってきた謎の電話の指示に従いロシアン・マフィアを殺戮していくトップダウン・シューターである。基礎的な情報やシナリオ解明などは既に方々で紹介され語り尽くされているので、いまさらここでおさらいをするつもりはない。悪しからず。
 レトロ調のドット絵で構築された本作は、昨今のハイエンド・グラフィクスで描画される数多のゲームよりも遥かにリアルである。主人公は一発攻撃を受ければ呆気なく死に、死なないための立ち回りを支援してくれるフィーチャーも存在しない。特別な能力など何もなく、ゲームをクリアするためにはとにかく殺される前に敵を殺すしかないのだ。
 だからといって、本作が地味で単調でつまらないゲームだと言えるだろうか?もちろんそんなことはない。
 扉を蹴り開けて目前の男を倒し、連れの男に銃を投げつけたあと顔面を破砕する。さっき扉をぶち当てた男の顔も潰し、地面に落ちた銃を改めて拾い上げる。ひとたび銃を乱射すれば周囲のチンピラどもがこぞって駆けつけてくるだろう、弾が切れるまでそいつらを撃ち倒す。弾が切れた瞬間に鉄パイプを拾い、最後に残ったナイフ使いを撲殺する。最初から銃を撃っていたら途中で弾切れを起こし、おそらくは殺されていたであろうシーケンスだ。
 こういう、流れるような美しい殺戮の一幕を特別な演出なしにまったく自然に体験させてくれるゲームが、面白くないはずがないじゃないか。
 そう、主人公は特別な能力など何も持っちゃあいない。人間にできることをしただけだ。たった一発の被弾、あるいはナイフの一刺しで阻止される行動である。だが、あなたはそれをやってのけることが可能なのだ。
 このゲームの主人公は、ありふれた格好に動物のマスクを被った男だ。別段カッコいい外観ではない。しかし一切の手傷を負うことなく、銃で撃たれながら(被弾しながら!)慌てて壁の向こう側に隠れたり、やたらに壁に張りついたり横転したり、戦闘中にメシを喰って負傷を完治させる(あるいは医療キットを瞬時に使いこなす)といったあからさまにみっともない真似を一切せず、圧倒的不利な状況で殺戮を完遂する本作の主人公は、他のどのゲームの主人公よりも最高に最強でクールでカッコいいのである。
 リアルな戦闘が地味だって?誰がそんなことを言ったんだい?



 本作に対する俺の評価は上の通りで、個人的にそれ以上の言葉を使うのは野暮だとも思うのだが、いちおうシナリオにも触れておこう。といってもこれはあくまで個人的な見解です、念のため。

 一人目の主人公Jacketはプレイヤーの分身であり、誰に指示されたのか、なぜ自分は人を殺しているのか、なにもわからないまま、とりあえず「人でも殺さなければ何者にもなれない」無個性なあなた(というか俺)自身を表現している。
 最終的にノリでロシアン・マフィアのボスを殺してはみたが、終わった後になにが残ったのか…なにが終わったっていうんだ?…女の復讐?殺戮衝動の発散?そこに明確な答えはない、「おまえは自分が何者なのかすらわかっていない」。動物マスク相手の対話という名の自問自答をしてみたところで、そこに答えなんかありはしない。

 一方で二人目の主人公Bikerは明確なパーソナリティを持った男で、こいつは明らかに「人格を持った一人のキャラクター」として行動しており、プレイヤーが操作することはできるものの、プレイヤーの分身などでは断じてない。
 Bikerはクールな男だ。(妄想の中で?)店員に励まされたり、自らが起こしたジェノサイドの新聞記事をスクラップして自己満足に浸るJacketとは違い、彼は自らの存在に「他者の評価」を必要としない精神的超人である。彼の行動理念は極めて明確かつ利己的であり、そこに他者の意思が介在する余地はない。
 『俺に命令するヤツは許さねぇ。』たったそれだけのシンプルな信条を守り通すため他のすべてを犠牲にできるBikerにとって、黒幕の大言壮語などはまったく関心の埒外である。

 個人的には陰謀の動機を明確にし物語を収束させるシークレット・エンディングよりも、メタ的な発言でプレイヤーを煙に巻く通常エンディングのほうがよほど隠しエンディングっぽいと感じてしまったのだが、如何であろう。
 なぜならシークレット・エンディングにおける会話は二人の清掃夫(を装った黒幕)とBikerという「ゲーム内に用意されたキャラクター同士の脚本通りの台詞」に過ぎないのだが、通常エンディングにおける会話は清掃夫に扮したCactus&Dennisとプレイヤーとの対話となっているからだ。

「これはただのゲームだぜ?おまえはいったい、他になにを期待してたんだ」



 Jacket編とBiker編におけるストーリーの統合性については、どちらかが正史というよりはテキストアドベンチャーなんかでありふれているパラレル、Ifシナリオと考えるほうが健全だと個人的には思っています。というか、そう考えてはいけない理由が俺にはわからない。
 エロゲ慣れした日本人的にはJacketとBikerが協力して陰謀を解き明かし、Hookerも生き残ってハッピーエンドなトゥルーシナリオが欲しいところですが、まぁ野暮な願いなんだろうなというのもわかってるんで、そういう妄想は俺の脳内に留めておきます。








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