主にゲームと二次創作を扱う自称アングラ系ブログ。
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2013/04/27 (Sat)09:38
どうも、グレアムです。
以前「墓まで持っていきたいゲームを1本だけ選ぶとすれば」という題で「Operation Flashpoint : Cold War Crisis」を紹介しましたが、今回はもう1歩踏み込んで「2本目をチョイスするなら何を選ぶか」を書きたいと思います。
前回のOFPはグレさんに「システム面での革命」をもたらしましたが、今回選んだゲームは「ビジュアル面での革命」をもたらしました。もし「ゲームとして」ではなく「総合芸術として」選択するのであれば、むしろOFPより順位は上がるかもしれません。
それでは、紹介しよう。
↑「BLOOD」の主人公ケイレブ。
せっかくなんでイラストを描いてみたぜ。
「BLOOD」。
俺がさんざニコニコ用に動画を作っている「F.E.A.R.」シリーズを製作している、Monolith Productions(日本のモノリスソフトとはまったくの無関係。念のため)の処女作にして最高傑作。
これは俺がダークヒーローに傾倒するきっかけを作ったゲームであり、そして未だにこのゲームの主人公「ケイレブ」を超えるダークヒーローは存在しないとハッキリ断言できる。そして、このゲーム以上にダークな世界観を持つゲームも存在しないと断言できる。
↑ムービーシーンより。解像度と画質ともに荒いのが難点だ。
もっと綺麗なマスターは存在してないのかな…?
まず最初に、ざっとストーリーを紹介しておこう。
舞台は禁酒法時代のアメリカ…をモチーフとしているが、正直、時代考証や舞台設定の考察などはあまり意味がない。大体そのくらいの年代を想定した話だと認識していればいいだろう。
主人公ケイレブは伝説的な銃使いであり、かつて邪神チェルノボグを崇拝する新興宗教団体カバルのメンバー、それもザ・チョーズン(選ばれし者)と呼ばれる4人の幹部の1人だった。しかし彼は邪神チェルノボグ復活のための生贄として命を奪われ、他のザ・チョーズンのメンバーもチェルノボグ配下の化け物どもに捕らえられてしまった。そしてその中には、ケイレブの恋人オフィーリアの姿も…
しかし命を落としたケイレブは、どうやってか墓の中からゾンビとして復活した。再び生を得たケイレブは自らとその仲間を裏切り犠牲にした邪神チェルノボグに復讐するため、そして化け物に捕らえられた仲間たちを救うために行動をはじめる。
「 I Live … Again ! 」
↑街灯みたいに頻繁に出てくる惨殺死体。
少しプレイすればすぐに痛痒はなくなるはずだ。
ゴシックホラーを基調とし、ブラッド&ゴア(血と残虐表現)を前面に押し出した、アメリカン・コミックばりのケレン味溢れるテイストが特徴の本作。
とにかく、主人公ケイレブの魅力がハンパない。Stephan Weyte氏の低いトーンの演技が最高に極まってるし、台詞はいちいち粋だし(だいたい映画の台詞をモチーフにしたものが多い)、たまに上げる狂気的な笑い声などはクセになる。
それに、容赦のないストーリー展開。15年以上も前のゲームにネタバレもクソもないだろうから言ってしまうが、ケイレブは仲間の誰1人として助けることができない。彼が辿り着いた頃には既に手遅れで、プレイヤーは失意のままステージボスと戦うことになる。
そしてケイレブの、仲間の埋葬方法もユニークだ。恋人のオフィーリアにはガソリンをかけて火を放ち、イシュマエルは彼を喰らった双頭の獣ごと爆弾で吹き飛ばし、蜘蛛の繭に捕らえられたガブリエルに至っては「友よ、俺に力をくれ」と言いながらケイレブが彼の心臓を引きずり出しむさぼり喰うという壮絶さ。
↑オフィーリアの死。
ケイレブの悲痛な叫びと、怒りに満ちた声が響く。
そんな彼は、ステージ中に路傍の小石ばりに頻繁に登場する猟奇的な惨殺死体を見ても動揺することはない。せいぜい軽口を言って笑うくらいだ。一般人を殺してもゲーム的なペナルティが発生しないどころか、一般人を殺さなければ先に進むための鍵が手に入らない箇所があるため、これはもう製作側が「無関係な人間も構わず殺せ」と奨励しているのであり、まったく言い訳できない確信犯だ。
なにより敵もケイレブを攻撃する際、一般人も平気で巻き込んで攻撃してくる。というか、まあステージ中に登場するオブジェ化した死体はすべてカバルがこしらえたものだから、当然といえば当然なのだが。
↑信号弾を喰らって炎上した敵の末路。
使用武器によって敵の死に様が違う、この異様な作り込み。
このゲームのもっともタチの悪いところは、プレイ中に山のように登場する残虐描写を、すべて「ブラックジョーク」として済ませている点だ。
これで舞台がDOOMやDuke Nukem 3DのようなSFならまだいいが、近代を舞台に写実的に描かれた現実的な世界が舞台なのだから、もうどうしようもない。「現実に有り得るかもしれない光景」をすべてジョークで済ませるのはあまりに乱暴だと思わないか(もし現実にこんな光景は有り得ないと思うなら、世界中で起きた猟奇事件について調べてみるといい。人間の持つ可能性に驚くはずだ)。
ともかく、こんなゲームを作れるのはまさしく狂気の所業としか言い様がない。そして、俺はBLOODのそんなところに惹かれてしまうのだ。善悪などという曖昧な概念が入り込む余地のない、理不尽な暴力のみが通用する世界に。そしてそれこそがこのゲームの体現する、現実世界に向けた最大のブラックジョークだろう。
↑地面には薬莢が残る。
このへんの作り込みもMonolithならではだ。
ともかく、このゲームが俺のイマジネーションに与えた影響は計り知れない。
敵のビジュアルもいいしね。独自の言語を操る狂信者から、ゾンビにケルベロス、ガーゴイルや死神など、こういう敵がオーソドックスな外観で登場するFPSはむしろ珍しいと思う。それも科学的実験から生まれたモンスターではなく、魔術的、オカルト的な力が源泉というのがいい。こういう黒魔術的なものをモチーフにしたホラーはもっとあって良いと思うが、中々ないのだな、そういうのは。
とりあえずざっと解説してみたが、うん、あんまり魅力的な紹介文にはなってないな。まあ公共良俗に反する悪趣味なゲームなのは間違いないから、これくらいで良いとも思うが。こういうゲームを変に庇い立てするのも、それはそれでなんか違うよなあ。
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