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主にゲームと二次創作を扱う自称アングラ系ブログ。 生温い目で見て頂けると幸いです、ホームページもあるよ。 http://reverend.sessya.net/
2013/04/29 (Mon)16:46
「ミスタ・ドレイク、帝都までの旅は快適でしたかな?」
「おかげさまでね」



 帝都神殿地区、セリドゥア邸地下。
 <高潔なる血の一団>という、ヴァンパイア・ハンターの組合から協力を要請されたドレイクは、コロールから帝都まで馬車に乗って移動してきたのだった。
 御者の言葉が、今でも耳にこびりついている。
『なんでも、戦士ギルドから大層な信頼を得ているとか。頼りにしていますよ』
「誰かが口を滑らせたな…」
 ドレイク自身は目立つような行動を控えているつもりだが、それでも数々の面倒事に首を突っ込んでいるうちに、それなりの評判が広まってしまったらしい。
 とはいえ、どうせ帝都には立ち寄るつもりだったし、この懐の重み…手付け金として受け取った金貨100枚…これは駄賃としては悪くない額だ。目的あっての旅とはいえ、旅費が尽きてしまえば身動きが取れなくなるのは確かなわけで。
 まあ、稼げるうちに稼いでおくか……
「つい最近、帝都に出没した吸血鬼の討伐を依頼したいのです。お恥ずかしながら、私が相対したときは不意を突かれましてね。それ以上に、奴は強い。そんじょそこいらの戦士では歯が立たぬのです」
「なるほど。帝都衛兵が総出で迎え撃っても捕縛できなかったと聞きますからな」
 ワインボトルに手を伸ばしながら、ドレイクは依頼人のセリドゥアの容姿をチラリと観察した。
 色素の薄い、黄色の肌。ソフトクリームみたいな髪。アルトマー(ハイエルフ)ってのはみんな、こんなナリなのか?貴族然とした態度も似たり寄ったりだしな。
 そういえば、ユンバカノもこんな感じだったな。そっくりだ。
 そんなことを思い…ぶるぶる、ドレイクは首を振った。
 …また裏のある仕事だ、なんてのは御免だ。
「如何されましたか?具合でも優れませんか」
「なんでもない。昼飯の食い合わせが悪くてね」
 セリドゥアの気遣いを、ドレイクは一笑に伏した。
「で、その吸血鬼…ローランド・ジェンセリックと言いましたか。行き先に心当たりなどは?」
「だいたいの見当はついています。あの男は、しばしば恋人…レルフィーナといいます。残念ながらあの男に惨殺されました。酷い話です…彼女とともに、帝都から少し離れた場所にある別荘に立ち寄っていました。おそらく、そこにいるものかと」
「…あなたがそれを知っている、ということにヤツが勘付いていると思いますか?」
「恐らくは」
「ならば、長居は無用ですな」
 そう言って、ドレイクは席を立った。



「気をつけたほうがいい。吸血鬼は強敵だ…過去に戦ったことは?」
「いや」
「連中に噛まれると、感染して自分も吸血鬼になってしまう。用心することだ」
 屋敷を出ようとしたところで、ドレイクは2人の男に呼び止められた。セリドゥアの部下らしい。
 アルゴニアンのグレイ=スロートと、ダンマー(ダークエルフ)のシルベン・ドロヴァスといったか。彼らも一団のメンバーらしい。おそらく過去に吸血鬼と対決したことがあるのだろう、先達の言うことは聞いておくものだ。
「吸血鬼には十字架とニンニクが効果的だと聞いたことがあるが、本当か?」
「迷信だね。十字架を前に恐れをなす吸血鬼など見たことがないし、ニンニクも…そうだな、中にはそういうのが苦手な個体もいるかもしれないが」
「銀製の武器でなければ効果がない、というのは?」
「いや。奴らは霊体ではないから、物理的な攻撃でも殺せる。といっても、自然治癒能力や反射神経が常人離れしているから、かなり骨の折れる仕事になるだろうね」
 フム、鉄の武器でも殺せるというのは朗報だな…その点でのみ、ドレイクは胸を撫で下ろした。弱点らしい弱点がないのは意外だったが、それは小細工をする必要がないことの裏返しでもあるわけで。
 シロディールでにおいてヴァンパイア・ハンターというのはそこそこメジャーな職業らしく、そういった稼業を生業にしている人間が、特に策を弄すことなく吸血鬼と対峙しているのであれば、自分にもやれるだろう。

  **  **  **

 日が暮れる前に山荘に着けたのは良い兆候だった。
 太陽光は吸血鬼にとって大敵だ。そのため昼間は寝て過ごし、夜になってから活動するパターンがほとんどだという。せっかくだから、寝ていてくれると手間が省けるのだが。
 ドガンッ!
 扉を蹴り開けると同時に、ドレイクはスラリと鞘からアカヴィリ刀を抜き放つ。
 目の前には、突然の闖入者の姿に驚きおののく男の姿があった。人相特徴は、セリドゥアの部下であるギレン・ノルヴァロから聞いたものと一致している。
「お前、ローランド・ジェンセリックか」
「な、なんだお前は!?」
 そんなことを聞いてどうする、といった態度でローランドが怒鳴り返してくる。
 否定しない。クロか。
 相手が抵抗する前にカタをつけるべく、ドレイクはアカヴィリ刀を一閃させる。ひとまず相手の能力を測るため、腰を入れずに放った一撃だったが…ローランドはその一太刀を一身に受けると、血を噴き出しながら倒れた。



「……!?」
 避けようともしなかった、だと?
 すでに事切れてるであろうローランドの身体を眺めながら、ドレイクは思わず拍子抜けする。
「シロディールの吸血鬼、どんなものかと思ったが…買いかぶりすぎたか」
 少しは骨のある相手と戦えるものだと思っていたが。
 しかしまあ、とりあえず任務は果たしたわけだ。あとはセリドゥアに報告して、せいぜい報奨金をむしり取ってやるかな…そう思い、この場から立ち去ろうとした、そのとき。
 ガチャリ。
 不意に扉が開く音が聞こえ、ドレイクは反射的に返す刀を突きつける。
「お前は…」
「なに、してんですか」
 少女の足元に転がる、食料品が入った袋。
 ドレイクの前に現れたのは、過去に何度か対面したことのある人物だった。
 ミレニア・マクドゥーガル…たしか、そんな名前だった。錬金術師シンデリオンの弟子で、コロールに住むアルゴニアンの娘ダー=マの親友。
 あまり深く付き合ったことはないが、それにしても、なんでこいつがここに?
「お前、危ないところだったぞ。こいつは吸血鬼だ…しかし、なんだってこんなのと関わってたんだ、いったい」
「…違います」
「なに?」
「バカ。バカ。バァーーーカッ!」
「あぁ!?」
 親切心から忠告したはずが、なぜか罵倒されたため、ドレイクはつい荒っぽい声を返してしまった。
 しかし、それよりも気になることがある。こいつ、ひょっとして俺よりも前にこの件に関わっていたんじゃないのか?床に転がる食料は、明らかにローランドのために用意されたものだ。
 もしローランドが、セリドゥア達の言ったように凶悪な吸血鬼であったなら…そもそも、こんな状況にはならないはず。
 嫌な予感がする……
 口を開きかけたドレイクより先に、ミレニアが強い口調で問いかけてくる。
「セリドゥアに頼まれたんでしょう」
 それは、質問ではなかった。確信だった。
「…なんで、お前がその名前を知ってる?」
 そのドレイクの言葉には答えず、ミレニアはローランドの亡骸に近づくと、そっとひざまずいた。



「ごめん、ごめんね?あたし、なんにもできなかったよ…」
 ローランドの亡骸に囁きかけながら、ミレニアは大粒の涙を流していた。
 ついさっき自分が手にかけたばかりの男に泣きすがる少女の後姿を見つめながら、ドレイクはどうしようもない悔恨の念が胸の中で膨れ上がっていくのを感じる。
 もう彼女に聞くまでもない、真相がどうであったかなど…しかし、それでもドレイクは訊ねずにはいられなかった。
「なあ、頼む。事情を説明してくれ。お前、何を知ってる…?」
 ドレイクの言葉に、最初ミレニアは反応しなかった。ドレイクがもう1度口を開きかけたそのとき、ミレニアは物憂げな顔を少しだけ上げると、ぽつり、ぽつりと真相を語りはじめた。

  **  **  **

 話は、ローランドとの偶然の出会いからはじまった。
 そして彼に、吸血鬼特有の身体的特徴が何もなかったこと。彼の口から、恋人を殺したのがセリドゥアで、自分は罪を被せられたまま命懸けで帝都から脱出したと聞かされたこと。彼は、そのまま逃亡せずセリドゥアと決着をつけるつもりでいたこと。
 最後に、ローランドの自室で見つけた、恋人からの手紙。
 すべてを聞いたドレイクは、山荘から出るとすぐミレニアに言った。
「俺がセリドゥアと決着をつける。お前はついて来るな」



 もちろん、その台詞は手前勝手の最たるものだった。自ら手を汚しておいて、そのうえ殺した相手の仇を取るというのだから。
 当然、そんな台詞でミレニアを納得させることができるはずもない。
「イヤです。そもそもあたし、約束したんです。彼に協力して、レルフィーナさんの仇を取るって。だから、彼の仇を取るのも、あたしじゃなきゃダメなんです」
「危険すぎる。ヤツは公権力も味方につけてるんだぞ」
「公僕なんか怖くないよ」
「それじゃあ、言い替えよう」
 ドレイクは振り返り、いままでまともに見れなかったミレニアの顔を正面から見つめる。
「俺にやらせてくれ。もちろん、こんなことで罪滅ぼしができるなんて思っちゃいない。だが、俺は不器用な男でな…こんな形でしか、死者に報いてやれんのだ。頼む」
 そう言って、ドレイクはミレニアに背を向けた。
 ミレニアはついて来なかった。ついて来るかとも思ったが、そうはしなかった。
 それは、少なからずミレニアがドレイクの非道を許したことを意味していた。そのことに対しドレイクは感謝の意を述べたかったが、それはやらなかった。それは野暮というものだ。
 そんなことを考えていたドレイクの代わりに、ミレニアが口を開いた。
「わかった、あなたに全部任せる。絶対に仇を取ってね」
「応(おう)」
「必ず殺して。容赦なく」
 ミレニアの言葉に、ドレイクは目を丸くする。
 おいおい、女の子が口にしていい台詞じゃないぞ…しかしミレニアの瞳に宿る意思の光を見て、ドレイクは悟った。
 彼女は戯れや一時の感情の昂ぶりで、今の言葉を口にしたわけじゃない。固い意志を胸に、そうすることが本当に正しいと信じて、言ったのだ。
 ひょっとして、こいつも「ワケあり」なのか……?
 しかし、今はミレニアの素性を詮索するよりも先にやるべきことがある。
 ドレイクは足を踏み出すと、贖罪のための旅路を歩みはじめた。

  **  **  **

 セリドゥア邸には、誰もいなかった。
 予想できたことではあるが…手掛かりを探して回っていたドレイクは、地下室で1枚の手紙を発見した。



『ドレイク氏へ…我々高潔の血の一団は、現在<追悼の洞窟>と呼ばれる場所で集会を開いています。戦没者を祀るための、由緒正しき場所です。もしローランドの討伐に成功した暁には、貴方もこちらへおいでになってください。先祖の墓の前で、貴方の名誉を称えたいと思っています。セリドゥア』
「どういうつもりだ…?」
 てっきり真相を究明された場合に備えて行方をくらませたものだとばかり思っていたが、どうやらそうでもないらしい。
 考えられるとすれば、罠か…ドレイクが真相を暴こうが暴くまいが、最初から始末するつもりでいたか。
「いいだろう。その挑戦に乗ってやる」
 もし相手が策を弄しているのであれば、こちらは正面から乗り込んで叩き潰すまでだ。

  **  **  **

『シイイィィィィィィィッッッ!!』
「やかましいぜ」



 ガキイィィィッ!
 追悼洞窟に足を踏み入れた途端、ドレイクはアンデッド・モンスターからの襲撃を受けた。
「なにが戦没者の追悼だ、バケモノで溢れ返ってるじゃねぇか…」
 そう言って、ドレイクはスケルトンの鎧に深々と突き刺したアカヴィリ刀を抜き、鞘に収める。
 どうやらこの洞窟は吸血鬼どもの隠れ家として利用されているらしい、あたりには吸血鬼やら、吸血鬼になりきれず腐り落ちた<生ける屍>が我が物顔で徘徊している。
 次々と襲いかかってくる化け物を一刀のもとに屠りながら、ドレイクは洞窟の最深部へと向かっていった。
「吸血鬼、さんざん脅しを受けたからどれほど驚異的な存在かと思ったが、たいしたことはねぇな」
「ほう、雑魚を倒しただけで玄人気取りかね?」
 やがてドレイクの目の前に、悪趣味な祭壇が姿を現した。
 朽ちた数々の棺桶、あちこちにぶら下げられた無数の死体。その前で、グロテスクなオブジェの主(あるじ)然と、セリドゥアが腕を組んで佇んでいた。彼の周囲には、屋敷にいた3人の部下の姿も見える。



「全員吸血鬼だったのか。ヴァンパイア・ハンターの組合が聞いて呆れるぜ」
「なに、木を隠すなら森の中…というわけですよ。それにしても、ここまで生きて辿り着くとは少々予想外でした。どうやら噂で聞いていたより腕が立つようですね」
「俺を殺したいなら軍隊でも連れてきな、カビくせぇキノコ野郎」
「その軽口がいつまでもつか、見ものですな」
「俺を嵌めたな。罪もない人間を殺させやがって」
「なに、貴方ローランドを殺したのですか?」
 そう言って、セリドゥアは哄笑を上げた。
「なんとまぁ!てっきり、ローランドに説得されて向かってきたものだとばかり思っていましたよ!あっはははは!馬鹿晒しに来たとはこのことだ」
「なぜレルフィーナを狙った」
「美しいものを手に入れたいと思うのは生物の本能でしょう?ローランドみたいな抜け作には勿体無かったですよ、彼女は。だからローランドが帝都を離れた隙にちょっとした催眠術で篭絡し、親交を深めたのです。なかなか楽しかったですよ?彼女の具合ときたら…あの世のローランドにも聞かせてやりたかったくらいだ、我々の過ごした淫蕩の日々をね!」
「そうかい」
「まあ、トカゲの貴方にこういった愛憎の話は無縁でしょう。そろそろこの馬鹿げた喜劇も終わりにしようじゃありませんか…ギレン、グレイ=トゥース、シルベン。狩りの時間です」
 セリドゥアの命令を受けて、3人の部下達が次々に剣を抜き放つ。
 その一方で、ドレイクはアカヴィリ刀の柄にすら手をかけていない状態で、セリドゥアに向かって言った。
「お前、俺の本気が見たいか」
「……は?」
「俺の本気が見たいか、と聞いたんだ」
「なにを言い出すかと思えば。えぇ、えぇ。是非とも見せて頂きたいですな、貴方の言う本気とやらを」
「そうかい」
 そう呟くと、ドレイクは笑みを浮かべた。牙を剥き出しにして見せる、獣のような笑みを。
「俺はいま、機嫌が悪い。人生で上から数えたほうが早いくらいにな。だから、手加減はできんぞ」
「機嫌が悪い?手加減?貴方という人は…いったい、どこまで大根役者なのだか。まあいいでしょう、喜劇の締めにはうってつけだ。せいぜい、格好をつけながら死ぬといい」
 そう言って、セリドゥアは腕を振り下ろす。その動きが合図となり、3人の部下達がいっせいに襲いかかってきた。
 ドレイクはアカヴィリ刀の柄に手をかけ、目を細める。



 バン!
 ドレイクが抜刀すると同時に凄まじい衝撃波が発生し、3人の部下達の上半身がいっせいに砕け散る。おびただしい量の鮮血が噴き出し、天井を紅く染め上げた。
 あまりに強い剣圧によって地面が抉られ、まるで突風に晒された砂漠にいるかの如く激しい砂嵐が巻き起こる。
「醒走奇梓薙陀一刀流奥技、砕牙・肆式(サイガ・シシキ)」
「な、な、な、なあぁぁぁぁ…!?」
 一瞬で部下が血煙と化した光景を目前に、セリドゥアが絶句する。
「ば、ばっ馬鹿な、たったの一撃で3人を……!!」
「…たったの一撃だと?」
 セリドゥアの言葉に、ドレイクが嘲笑を返す。
「お前、今の太刀筋が見えなかったのか?俺が、お前の可愛い部下を何度斬りつけたか…見えもしなかったってわけか」
「ほざくなッ!」
 蒼白な表情のまま、セリドゥアがドレイクに斬りかかる。
 しかしセリドゥアの両足が地面から離れた瞬間、ふたたびドレイクの手の中で白刃が一閃した。



「醒走奇梓薙陀一刀流奥技、來閃・零式(ライセン・ゼロシキ)」
「こ、こっ…ぁぁぁ……」
 剣を振りかぶったままの姿勢で、セリドゥアが真っ二つに絶ち斬られる。
 ズシャリ、地面に転がるセリドゥアの無残な死体には目もくれず、ドレイクはアカヴィリ刀を鞘に収めると、いままでの覇気が急に失われていくのを感じた。
「…クソッ、全然気が晴れねェよ……!!」
 それどころか、怒りに任せて剣を振るった自分に対しての憤りまでこみ上げてくる。
 たしかに仇は討った。しかし、だからといって何が変わるわけでもない。ローランドを殺した罪は消えないし、結局、自分は死体を増やしただけなのだ。
 やるせない想いを抱えたまま、ドレイクは追悼洞窟を去った。

  **  **  **

 ガキッ、ガキッ、ガキッ。
「…… …… ……」
 シャベルを握る手が冷たく、かじかんでくる。
 ブラックマーシュでは雨など日常茶飯事だったが、これほどまでに沈鬱な気分になるものだと思ったことはなかった。まるで自分を責めるかのように水滴が容赦なく顔面を打擲し、雨脚は激しくなるばかりだ。
 ドレイクは土を埋める手を止めると、目の前に立つ墓石をじっと見つめた。



『ローランドとレルフィーナの魂に安らぎを。マーラの加護のもと、2度と分かたれることなきよう』
 ドレイクはいま、ローランドが隠れ家として利用していた山荘にいた。
 もう2度と利用されることがないであろう山荘の裏、花が咲く綺麗な場所に、ドレイクはローランドとレルフィーナの遺体を埋めたのだった。
 レルフィーナの遺体は帝都が預かっていたが、ドレイクはよくよく袖の下を払い、無理を言って彼女の遺体を引き取ったのである。もちろん、本当の理由など言えるはずもない。
 そしてドレイクは2人の遺体を同じ場所に埋め、自ら字を彫ったにわか造りの墓標を立てたのである。
「…ただの自己満足だよな、こんなの」
 ここまでやっても、ドレイクの心はまったく満たされなかった。それどころか、自らの愚かしさ、欺瞞ぶりに精神が苛まれるばかりだ。
 シャベルを地面に突き立て、ドレイクは嗚咽を漏らす。
「くそっ…シレーヌ…俺は…結局、間違った殺ししかできないのか……?」
 ドレイクは思い出していた。故郷での出来事を。弟のことを。恋人のことを。
 もうなにもかも無くしてしまった。否、まだ取り返すことができる、そう信じてシロディールまで来た。そのはずだった。
 それなのに……




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