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主にゲームと二次創作を扱う自称アングラ系ブログ。 生温い目で見て頂けると幸いです、ホームページもあるよ。 http://reverend.sessya.net/
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2016/06/01 (Wed)15:16





 どうも、グレアムです。
 先日なんとなくYouTubeを見ていたらDoom3のアルファ版のプレイ動画を発見。製品版との違いがいろいろと興味深かったので、ソースなしの個人的な感想/推察をブチ上げたいと思います。




Doom 3 Alpha - Full Gameplay



 開発途中版といえば技術的に未熟な部分や不完全な箇所が多かったりするのが常ですが、このDoom3の場合はエンジンの基礎部分や美術関係はすでに完成されており、製品版との主だった違いはゲームプレイ部分そのものにあることがわかります。
 ゲーム開始直後から揺れる電灯で動的なライティング表現を見せつけてることからもわかるように、Doom3は当初からライティング関係に力を入れていたことが窺えます。Doom3の技術的な目玉は動的なライティング(影生成)、ノーマルマッピング、物理エンジンあたりに集約されていることが上のデモ動画から窺えますね。このあたりは製品版と比べてもブレがありません。

 製品版とのもっとも大きな違いは、アノ悪名高いフラッシュライトの不在でしょう。アルファ版の時点ではフラッシュライトの存在は影も形もなく、またこのアルファ版をもとに製作された2002年のE3 Trailerでもその存在は確認できません。
 おそらくフラッシュライトはホラー表現をより際立たせるため、開発の途中から組み込まれた要素だったのではないでしょうか。フラッシュライトの存在はDoom3を語るうえで外せない重要なファクターであり、もし最初から構想にあったのなら早い段階でアピールしていたはず(たぶん…)。
 しかし実際はゲームをプレイして初めてフラッシュライトの存在を知ったプレイヤーが多く、またその評判はお世辞にも芳しいものではありませんでした。のちに発売されたBFG Editionでid自身がその存在を否定してしまったことからも、この要素の微妙な立ち位置が窺えるような気がします(BFG Editionは発売当初、オリジナル版に比べ幾つかの描画が簡略化されていると聞きました。俺はプレイしていないので何とも言えないですが、おそらくエンジンをアルファ版に近い仕様に戻したのでは?と推察します)。
 個人的にオリジナル版はフラッシュライトに関連する部分(OptionでBrightnessを上げても、光で照らさないと黒く塗りつぶされて描画されるなど)の表現がかなり無理をしている、いまさら言ってしまえば突貫工事で組み込まれたような印象を覚えていたので、尚更そう感じてしまうのかもしれません。
 とはいえ「フラッシュライトがなければDoom3はもっと評価されたのか?」と問われると、それもまた難しいところです。良くも悪くもフラッシュライトを使った探索と、意図的に不便さを強いることでホラー演出を強調する手法は他のFPSにはなかった要素なので、やはりDoom3はフラッシュライトがあってこそ、という気もします。

 他に気になった部分といえば、カットシーンが多用されている点でしょうか。
 アルファ版のプレイ動画ではプレイヤーが介入できないムービーシーンが幾つか存在していますが、これらの演出は製品版ではすべて削除されています。これはおそらくジョン・カーマックの意向では?と思います。
 初代Doomにて、idの創設者の一人であり当初Doomのリード・デザイナーであったトム・ホールはDoom用の緻密なストーリーを「Doom Bible」として書き上げますが、「ゲームに複雑なストーリーは必要ない」としてカーマックがその案を蹴ったという経緯があります。それはプレイヤーをよりゲームプレイに集中させるための措置で、押しつけのストーリーや冗長なムービーシーンを廃するというカーマックのポリシーでした。
 Doom3のAlpha Demoではカーマック以外のスタッフが先行してしまったのか、あるいはカーマック自身がムービーによる演出効果を確認したかったのかどうかはわかりませんが、当初はコンソール・ライクなムービーによる演出が試行されていたというのは興味深い事実です。

 デモはヘルナイトに首をもがれて死ぬという衝撃的な結末で終わっていますが、このあたりはDoom4(Doom 2016)のTrailerでも受け継がれている演出ですね。Doom4のモンスターによるKill演出は一般にBrutal Doomの影響と言われていますが、その源流はこのデモにあったのかもしれません。
 あるいはSergeant Mark IV自身がこのデモから着想をを得ていたのかも?というのもDoomのWadは過去作のAlpha Buildからネタを拾っていることも多く、たとえばBrutal Doom v20bのBulletのCripは初代Doomのアルファ版のスプライトを使用しています。
 未使用データや破棄された構想をWad(Mod)に利用する、という思考はStalkerのModコミュニティとも共通する部分がありますね。

 細かい部分ですが、アルファ版ではインプがより素早くアグレッシヴに攻めてきているような気がします。さすがにフラッシュライトの使用を前提にスローなゲームプレイが予想される製品版ではもう少し動きが遅かった記憶が。
 あと火球の軌道がかなり山なりですね。製品版では真っ直ぐ飛んだ…気がする。
 なにぶんプレイしたのが数年前なので、かなり記憶があやふやになっているのです…




Doom 3 E3 Trailer (HD)



 参考までに、アルファ版をベースに製作されたE3 2002のTrailerも貼っておきます。
 兵士がゾンビ化する過程、壁を突き破って襲撃してくるデーモンなどは製品版では見られない演出なので、オリジナル版のゲームプレイ当時は「あの演出はどこへいったの!?」と思っていたのですが、開発途中で破棄されていたのですね。
 またDoom3の発表当初に出回っていた、便所で倒れているデブゾンビとデーモンのツーショット画像はアルファ版のデモからとられていたのですね。あれが記憶に残っていたので、俺は便所に入るたびに「いつデーモンに襲われるか…」とヒヤヒヤしていたのですが。
 アルファ版ではデーモンがデブゾンビのハラワタを喰らうという衝撃的な展開がムービーを通して流れますが、こういう凝った演出は製品版ではすべてオミットされてしまったようです。




各種ゲームサイトに掲載され、俺の記憶に残っていたScreen Shot







 今だから言えることかもしれませんが、個人的にはけっこう「廃棄するには惜しい」アイデアが多く感じましたね。いっそこの路線のまま完成させても良かったのでは?というのは、まあ、凡人の発想かもしれません。
 おそらく演出やムービーを盛り込み、フラッシュライトの存在しないDoom3をあの当時に出したところで「凡庸なFPS」の烙印を押されていただけと予想されます。
 Doom3は各種3D技術の黎明期にあたる作品とあって、現在の感覚ではいささか厳しい目で見られることが多いのですが、それでも当時は革新的なFPSとして評価されていたという事実は忘れてはならないでしょう。










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