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主にゲームと二次創作を扱う自称アングラ系ブログ。 生温い目で見て頂けると幸いです、ホームページもあるよ。 http://reverend.sessya.net/
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2013/07/27 (Sat)12:02

 ブレードランナー的な美術設定、後進のマトリックスを彷彿とさせるプロット。なにが真実で、なにが虚構なのか。なんの変哲もない一般人であったはずのあなたは今夜、救世の殺し屋となる。引き金をひけ、DreamWebの守護者に命ぜられるままに。残された時間は僅かだ。大罪者を殺戮せよ(IT'S LIKE KILLING HITLER.)。



 DreamWebはCreative Realityが開発し、Empire Interactiveから発売されたSFアドベンチャーゲームだ。1992年にフロッピーディスク、1994年にCD-ROM媒体で発売されている。
 現在このゲームはフロッピーディスク版、CD-ROM版ともにフリーで公開されており、DOS-BOXで問題なく動作させることができる(FPSとは違い、スペックもあまり問題にならないと思われる)。設定の問題かもしれないが、グレさんの環境ではCD-ROM版が起動しなかったため、今回はフロッピーディスク版を用いての紹介となる。データを覗いたところCD-ROM版は会話シーンに音声が挿入されるらしいが、グラフィックやゲームプレイそのものに変化はないようだ。
 ScummVMというサイト(Creative RealityとDreamWebのプログラマNeil Dodwellの好意によりフリーでの公開が実現した、とある。Neilは現在Rockstar Gamesに籍を置いているらしく、Grand Theft Auto : Chinatown WarsやL.A. Noireなどのビッグタイトルに携わっている)のダウンロードページにて、現在DOS用のフロッピーディスク版(UK)とCD-ROM版(UK、US、French、German、Spanish)を入手することができる。またマニュアルのスキャン画像をJPEG化したものが低解像度版、高解像度版の2種類からダウンロードできる。
 このゲームを自力で攻略したい場合は、マニュアルのダウンロードは必須である。特に、当時パッケージに同梱されていた冊子「Diary of a (Mad?) Man」の内容を知らないと攻略できない箇所が存在するので、注意が必要だ(これは多分にコピープロテクトの意味合いを含んでいると思われる)。

 ゲームはポイント&クリック形式のアドベンチャーで、トップダウン視点での進行になる。基本的にはすべての動作をマウスで行なうが、PCを使用する場面などでキーボードを用いることも(少ないが)ある。
 全体的にインモラルで陰鬱な雰囲気が漂うゲームで、ときおり挿入される過激な(人体欠損、性行為などの)描写はプレイする人間を選ぶだろう。このゲームが発売された当時もかなり物議を醸したらしく、ゲーム雑誌のレビュー記事でも評価が極端に分かれたようだ(もっとも、これはゲームデザインに起因する部分も大きかったようだが)。

 主人公の名はライアン。バーの従業員として働く彼は最近悪夢に悩まされており、非常に危うい精神状態にあった。それは既に日常生活に支障をきたすレベルにまで達しており、恋人のエデンからも心配されている。
 ある日、彼は夢の中で「守護者(Keeper)」を名乗る赤いローブを纏った男と出会う。彼は未来を司るシステム「DreamWeb」の管理者であり、DreamWebを破壊しようと画策するグループ「7人の大罪者(Seven Evils)」によって世界が危機に瀕していることをライアンに伝える。
 守護者によって選ばれたライアンは、世界を救うために7人の大罪者を抹殺しなければならない。
 しかし、真実は……

 本ゲームのシナリオには2通りの解釈が存在する。
 1つは、守護者によって選ばれたライアンが世界を救うために暗躍するという、ゲーム中に描かれた通りのもの。もう1つは、守護者やDreamWeb、7人の大罪者といったものすべてが、悪夢によって正気を失ったライアンの妄想の産物というものだ。
 前者であればライアンは世界を救った英雄ということになるし、後者であればライアンはただの思い込みから無関係な人間を虐殺していった狂人ということになる。ちなみに、海外では後者の説が有力であるようだ。
 論拠はパッケージに付属の冊子「Diary of a (Mad?) Man」の内容にあるようで、ゲーム開始までの約一ヶ月の出来事を描いたライアンの手記という体裁であるこの冊子を読み解いていくと、なるほどたしかに妄想から狂気に犯されていく内向的な青年らしい姿が浮き彫りになっていく。
 しかしゲーム中、明らかにどちらが正しい見解かを示すものは提示されない(最期のオチも、DreamWebは実在したと見るか、たんなる皮肉を描いた演出と見るかで感想は変わるだろう)。
 個人的には前者の説を推したいと思う。凄惨なラストがそう思わせるのかもしれないが、あれで全てがただの妄想だったら、あまりにも寂しい結末ではないか。まあ、これは多分に感情的なものだが…

 
↑日を追う毎に狂気を増していく手記。途中で正気に戻ったように見えるが…?
 それにしても、もうちょっと綺麗にスキャンできなかったのか、というのは贅沢な文句か。

 ゲームプレイに関しては、古臭いゲームデザインやヒントが少なく難解な謎解き、しばしば要求される煩雑な作業などが当時から批判されていたらしい。しかしゲームが持つ雰囲気は抜群に良く、なるほど評価が真っ二つに割れるのも納得の出来といった感がある。
 ちなみにグレさんはこのゲームをかなり高く評価している。雰囲気の良さは没入度の高さに繋がり、ゲームに仮想世界的な体験を求めるグレさんにとって本タイトルは出色の出来だった。もちろん、プロットや世界観に惹かれたのは言うまでもない。
 無闇に多く登場するアイテム、インタラクトできるオブジェクトの多さも本ゲームの特徴だ。大半はゲームの攻略には必要のないものだが、こういった細部の作り込みこそが没入度を高める要因となっていることは確かだ。実際、第三者視点で進める2Dグラフィクスのゲームであるにも関わらず、これほどまでに感情移入が可能なデザインは脅威というほかない。辛辣な批判に晒されることもある一方で、多数のコア・ファンに支持されているのも頷ける。

 基本的には典型的な覚えゲーだが、グレさんは本ゲームをすでに5、6回はクリアしている。それほどまでに魅力的な世界観を備えているのだ、このDreamWebは。
 以後、数回に分けてDreamWebの攻略記事を掲載していきたいと考えている。楽しみにしていてほしい。




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