主にゲームと二次創作を扱う自称アングラ系ブログ。
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2012/10/03 (Wed)07:41
「ミレニア。前からキミに言いたかったことが、あるんだが…」
帝都魔術大学にて。
ひさしぶりに自らの所属クランへと戻っていたミレニアは、幹部であるマスター・メイジのラミナス・ポラスから、さっそく苦言を呈されていた。
「そろそろ自分用の魔術師の杖を作ったらどうだ?もちろんキミの専攻は錬金術だから、杖なんか滅多に使わないことはわかるよ。でもアレは魔術大学会員であることを証明するための、いわば権威の象徴のようなものであるし、第一、僕の監督下でいつまでも杖を持ってない会員がいるっていうのは、その、なんだ。体裁が悪い」
「は、はぁ。スイマセン…」
頬を掻きながら、いかにも中間管理職然とした神経質な態度で話すラミナスに、ミレニアはただ頭を下げることしかできない。
無論、魔法を使わないミレニアにとって、魔術師用の杖などというものはでかくてかさばるだけの荷物でしかない。
しかし魔術大学の会員として、自分用の杖を作るというのは半ば義務のようなもの。それを先延ばしにしてきたのはミレニアの怠慢であり、その点に関してはただ反省することしきりである。
「今回ばかりは、どうあっても杖を作ってもらうよ。…まさか、異議はないだろうね?」
「あ、はい、もちろんです。なんかスイマセンいろいろと」
「いや、作ってくれるなら、いいんだ。帝都の東にある<水源洞窟>を抜けた先の孤島に、杖の素材となる特別な木が群生している。先にギルドの者を向かわせておくから、現地に到着したら、彼らの助言に従って自分に合った木を選び、素材を持ち帰るといい」
「わかりました。えぇ~っと、その。すぐに、行ったほうがいいですよね?」
「…先に向かったギルド会員を怒らせたくないならね」
「うぅ、わかりましたぁ…」
「あぁ~、めんどくさいなぁ」
魔術大学を出て、一路水源洞窟へと向かうミレニア。
ハッキリ言って<いらない物>を作るために時間を割くのはまったく気が進まないのだが、それでも上司の勅命(ということになるのであろう、たぶん…)となれば、この期に及んで従わないわけにはいかない。
それに、自分のせいでラミナスが何らかの処分を受けるような事態になったら、それこそ寝覚めが悪いというものだ。そこいらへん、魔術大学(というか、シロディールのギルド全般)は妙に厳格というか狭量なので、有り得なくもない、というのが恐ろしい。
「ただでさえ、わたしのせいで立場を悪くしてるみたいだし、ここいらへんで一つ、センセーのために一肌脱いでおかないとだよね」
「このあたりで良いかな?」
「ありがとーございます。んしょ」
「気をつけて行くのだぞー」
帝都を出てしばらく歩いたところで、周辺をパトロール中の帝都巡察兵に出くわしたミレニアは、そのまま目的地である水源洞窟の傍まで馬で運んでもらったのだった。
ミレニアにとって帝都巡察兵はもはや顔馴染み、というか実質、タクシー代わりである。
「さーて、さっさと用事を済ませちゃお。夕方までには戻れるといいなあ」
岸辺を歩いて間もなく、ミレニアは水源洞窟の入り口まで来ていた。
「ここかぁ。わたし、こういう湿っぽいところって、あんまり好きじゃないんだけどなぁ」
などと、愚痴をこぼしたりする。
「不衛生だし、文化的じゃないし、暗いし、怖いし。ぶっちゃけ、実入りを期待するなら洞窟で宝探しをするより、そのへんの街で家捜ししたほうが…」
ブルブル。
そこまで言って、ミレニアはかぶりを振った。滅多なことは言わぬが吉である。
それに今回は、なにもダンジョンの探索に来たわけではない。水源洞窟はあくまで通り道であり、目的地はその先にある。
「ギルド会員が先行してるって言ってたし、もしバケモノとかがいても、とっくにやっつけちゃってるよね」
そんなことを言いながら、ミレニアは入り口とは名ばかりの腐りかけた板切れを押し開け、水源洞窟へと足を踏み入れた。そこでミレニアは早速、自分の考えが甘かったことを思い知らされることになる。
「…え、なにこれ」
目の前の光景に、ミレニアは唖然とする。
すぐそこに横たわるカジートの死体と、傍らに佇む謎の男。
男の着用する漆黒のローブには、髑髏をモチーフとした禍々しいエンブレムが刺繍されている。
はじめは試験かなにかかと思った…ラミナスが、ミレニアを試すためにテストを用意しているのではないかと…しかし男の着用しているローブが、そうではないことを証明していた。その忌まわしきローブこそ、魔術ギルドに関わる者ならばたとえ悪ふざけであっても着用を許されぬ禁忌。
「…ね、ネクロマンサーッ!?」
「ッ、ハハァ、来たな小娘!」
謎の男は哄笑を上げると、腕を振りかざして召喚術を唱えた。漆黒の光とともに、武装したスケルトン・ガーディアンが虚無の空間より出現する。
ネクロマンサー…死霊術師。
死者蘇生術の研究と実行を生業としており、その究極の目的は<不死の肉体>を得ること。
外法を扱うゆえに魔術師ギルドの総帥ハンニバル・トレイブンによって追放され、いまでは人ならざる者の徘徊する洞窟や、破棄された砦の最奥で細々と活動していると聞いたが…
「なんでこんなところに?」
まさか、この洞窟はネクロマンサーの棲家なのでは…と思ったが、すぐに、そんなことは有り得ないと考え直した。
この洞窟は、魔術大学の会員が杖を作るために必ず通らなければならない場所であり、それゆえギルドによって厳格に管理されているはずだ。そうやすやすと外敵に明け渡したりするはずがない。
それにさっき、ネクロマンサーはミレニアを待っていたかのような素振りを見せていたが。
「どうした、悩んでいるヒマはないぞ?」
「ハッ!?」
不意に振り下ろされたメイスの一撃をかわし、ミレニアは思考を中断する。
毎度というかなんというか、ミレニアはこの場に武器を携帯してきていなかった。どだい、武器なんていうものは重くてかさばるものだ。護身用の短剣一つ取っても、一日中ぶら下げていれば相当な疲労が溜まる。ウソだと思うなら一度試してみればいい。
戦闘職ではないミレニアが武器を携帯していないのは無理からぬことであり(とはいえ冒険者であるからには、護身具の一つも持たないのは迂闊と言えなくもないが)、まして今回の道程で戦闘に巻き込まれるなどとは思ってもいなかったミレニアは、いかにしてこの窮状を打破するかで頭を巡らせた。
幸い、アンデッド・モンスターは動きが単調だ。油断さえしなければ、ミレニアの運動神経をもってすれば攻撃を避けることは不可能ではない。
「どうにかして、武器を手に入れないと…」
どこかに、武器の代わりに利用できるものはないか。
何度目かの殴打をかわしたのち、ミレニアは一気に間合いを詰め、<武器>を手に取った!
『ギシェエェェェェエエエエッッッ!!』
「うおーりゃあーーーっ!」
ミレニアが即席で手にした武器、それはなんと、スケルトン・ガーディアンの肋骨!
あろうことか、ミレニアは敵の身体からパーツをもぎ取り、武器に仕立て上げたのである。まさしくソリッド・スネークも腰を抜かす現地調達術だった。
「骨パンチ!相手は死ぬ!」
『ゴッハアアアアァァァァァァァァ!!』
メシャアッ、顎の破砕される小気味良い音と同時に頚椎が圧潰し、千切れた頭蓋骨があさっての方向にはじけ飛んでいく。制御を失った胴体は力なく倒れると、そのまま元の屍へと朽ち、果てた。
「ばっ、馬鹿な、メイジのくせに肉弾戦だと!?」
後方に控えていたネクロマンサーが狼狽する。
ネクロマンサーはメイジを宿敵と見做しており、ゆえに<対メイジ戦術>の構築に日々の努力を費やしている。そしてそれは、「まず相手の呪文を封じ、無力化したところへアンデッド・モンスターを投入し嬲り殺す」という典型を作り出すことに成功していた。
そう、ネクロマンサーはミレニアの術を先んじて封じていたのである!
しかし錬金術と、火事場の馬鹿力が取り得のミレニアには、マニュアル教本通りの戦術は通用しなかった。
「クッ、仕方がない。ここは一旦引いて、再度待ち伏せを…」
「聞こえてるってーの!そうはさせるかーっ!」
慌てて身を引こうとするネクロマンサーのこめかみに、ミレニアの鋭い爪先がクリーンヒットした。
「トンファ…じゃない、骨キック!」
『エイジッ!?』
ゴッ、奇妙な悲鳴を上げながらネクロマンサーは半回転し、派手な音を立ててその場に崩れ落ちた。死んだのか、気絶しただけなのかは、一見しただけではちょっとわからない。
ただ、しばらく目を醒ましそうにないことだけは確かだった。
「はぁ、はぁっ…まったく、なんだっていうのよぉ、もぉ~っ……」
不慣れな戦闘で疲弊したミレニアは、その場で膝をつき、肩で息をする。
しかし、いつまで経っても休憩しているわけにはいかない。
洞窟に入ったときから地面に転がっていたカジートの死体を検分し、ミレニアは顔を引きつらせる。
「この徽章は…」
ローブに縫いつけられていた、鮮やかな色彩のバッジを見て息を呑むミレニア。
見間違うはずもない、これは魔術大学の会員であることを示すものだ。このことから、このカジートの女性が、ミレニアを先導するために遣わされたメイジであることは明白だった。
「いったい、なにが起こってるんだろう」
ただならぬ事態が差し迫っていることを感じながらも、ミレニアはさらに洞窟の最奥へと足を踏み入れた。
[ to be continued... ]
帝都魔術大学にて。
ひさしぶりに自らの所属クランへと戻っていたミレニアは、幹部であるマスター・メイジのラミナス・ポラスから、さっそく苦言を呈されていた。
「そろそろ自分用の魔術師の杖を作ったらどうだ?もちろんキミの専攻は錬金術だから、杖なんか滅多に使わないことはわかるよ。でもアレは魔術大学会員であることを証明するための、いわば権威の象徴のようなものであるし、第一、僕の監督下でいつまでも杖を持ってない会員がいるっていうのは、その、なんだ。体裁が悪い」
「は、はぁ。スイマセン…」
頬を掻きながら、いかにも中間管理職然とした神経質な態度で話すラミナスに、ミレニアはただ頭を下げることしかできない。
無論、魔法を使わないミレニアにとって、魔術師用の杖などというものはでかくてかさばるだけの荷物でしかない。
しかし魔術大学の会員として、自分用の杖を作るというのは半ば義務のようなもの。それを先延ばしにしてきたのはミレニアの怠慢であり、その点に関してはただ反省することしきりである。
「今回ばかりは、どうあっても杖を作ってもらうよ。…まさか、異議はないだろうね?」
「あ、はい、もちろんです。なんかスイマセンいろいろと」
「いや、作ってくれるなら、いいんだ。帝都の東にある<水源洞窟>を抜けた先の孤島に、杖の素材となる特別な木が群生している。先にギルドの者を向かわせておくから、現地に到着したら、彼らの助言に従って自分に合った木を選び、素材を持ち帰るといい」
「わかりました。えぇ~っと、その。すぐに、行ったほうがいいですよね?」
「…先に向かったギルド会員を怒らせたくないならね」
「うぅ、わかりましたぁ…」
「あぁ~、めんどくさいなぁ」
魔術大学を出て、一路水源洞窟へと向かうミレニア。
ハッキリ言って<いらない物>を作るために時間を割くのはまったく気が進まないのだが、それでも上司の勅命(ということになるのであろう、たぶん…)となれば、この期に及んで従わないわけにはいかない。
それに、自分のせいでラミナスが何らかの処分を受けるような事態になったら、それこそ寝覚めが悪いというものだ。そこいらへん、魔術大学(というか、シロディールのギルド全般)は妙に厳格というか狭量なので、有り得なくもない、というのが恐ろしい。
「ただでさえ、わたしのせいで立場を悪くしてるみたいだし、ここいらへんで一つ、センセーのために一肌脱いでおかないとだよね」
「このあたりで良いかな?」
「ありがとーございます。んしょ」
「気をつけて行くのだぞー」
帝都を出てしばらく歩いたところで、周辺をパトロール中の帝都巡察兵に出くわしたミレニアは、そのまま目的地である水源洞窟の傍まで馬で運んでもらったのだった。
ミレニアにとって帝都巡察兵はもはや顔馴染み、というか実質、タクシー代わりである。
「さーて、さっさと用事を済ませちゃお。夕方までには戻れるといいなあ」
岸辺を歩いて間もなく、ミレニアは水源洞窟の入り口まで来ていた。
「ここかぁ。わたし、こういう湿っぽいところって、あんまり好きじゃないんだけどなぁ」
などと、愚痴をこぼしたりする。
「不衛生だし、文化的じゃないし、暗いし、怖いし。ぶっちゃけ、実入りを期待するなら洞窟で宝探しをするより、そのへんの街で家捜ししたほうが…」
ブルブル。
そこまで言って、ミレニアはかぶりを振った。滅多なことは言わぬが吉である。
それに今回は、なにもダンジョンの探索に来たわけではない。水源洞窟はあくまで通り道であり、目的地はその先にある。
「ギルド会員が先行してるって言ってたし、もしバケモノとかがいても、とっくにやっつけちゃってるよね」
そんなことを言いながら、ミレニアは入り口とは名ばかりの腐りかけた板切れを押し開け、水源洞窟へと足を踏み入れた。そこでミレニアは早速、自分の考えが甘かったことを思い知らされることになる。
「…え、なにこれ」
目の前の光景に、ミレニアは唖然とする。
すぐそこに横たわるカジートの死体と、傍らに佇む謎の男。
男の着用する漆黒のローブには、髑髏をモチーフとした禍々しいエンブレムが刺繍されている。
はじめは試験かなにかかと思った…ラミナスが、ミレニアを試すためにテストを用意しているのではないかと…しかし男の着用しているローブが、そうではないことを証明していた。その忌まわしきローブこそ、魔術ギルドに関わる者ならばたとえ悪ふざけであっても着用を許されぬ禁忌。
「…ね、ネクロマンサーッ!?」
「ッ、ハハァ、来たな小娘!」
謎の男は哄笑を上げると、腕を振りかざして召喚術を唱えた。漆黒の光とともに、武装したスケルトン・ガーディアンが虚無の空間より出現する。
ネクロマンサー…死霊術師。
死者蘇生術の研究と実行を生業としており、その究極の目的は<不死の肉体>を得ること。
外法を扱うゆえに魔術師ギルドの総帥ハンニバル・トレイブンによって追放され、いまでは人ならざる者の徘徊する洞窟や、破棄された砦の最奥で細々と活動していると聞いたが…
「なんでこんなところに?」
まさか、この洞窟はネクロマンサーの棲家なのでは…と思ったが、すぐに、そんなことは有り得ないと考え直した。
この洞窟は、魔術大学の会員が杖を作るために必ず通らなければならない場所であり、それゆえギルドによって厳格に管理されているはずだ。そうやすやすと外敵に明け渡したりするはずがない。
それにさっき、ネクロマンサーはミレニアを待っていたかのような素振りを見せていたが。
「どうした、悩んでいるヒマはないぞ?」
「ハッ!?」
不意に振り下ろされたメイスの一撃をかわし、ミレニアは思考を中断する。
毎度というかなんというか、ミレニアはこの場に武器を携帯してきていなかった。どだい、武器なんていうものは重くてかさばるものだ。護身用の短剣一つ取っても、一日中ぶら下げていれば相当な疲労が溜まる。ウソだと思うなら一度試してみればいい。
戦闘職ではないミレニアが武器を携帯していないのは無理からぬことであり(とはいえ冒険者であるからには、護身具の一つも持たないのは迂闊と言えなくもないが)、まして今回の道程で戦闘に巻き込まれるなどとは思ってもいなかったミレニアは、いかにしてこの窮状を打破するかで頭を巡らせた。
幸い、アンデッド・モンスターは動きが単調だ。油断さえしなければ、ミレニアの運動神経をもってすれば攻撃を避けることは不可能ではない。
「どうにかして、武器を手に入れないと…」
どこかに、武器の代わりに利用できるものはないか。
何度目かの殴打をかわしたのち、ミレニアは一気に間合いを詰め、<武器>を手に取った!
『ギシェエェェェェエエエエッッッ!!』
「うおーりゃあーーーっ!」
ミレニアが即席で手にした武器、それはなんと、スケルトン・ガーディアンの肋骨!
あろうことか、ミレニアは敵の身体からパーツをもぎ取り、武器に仕立て上げたのである。まさしくソリッド・スネークも腰を抜かす現地調達術だった。
「骨パンチ!相手は死ぬ!」
『ゴッハアアアアァァァァァァァァ!!』
メシャアッ、顎の破砕される小気味良い音と同時に頚椎が圧潰し、千切れた頭蓋骨があさっての方向にはじけ飛んでいく。制御を失った胴体は力なく倒れると、そのまま元の屍へと朽ち、果てた。
「ばっ、馬鹿な、メイジのくせに肉弾戦だと!?」
後方に控えていたネクロマンサーが狼狽する。
ネクロマンサーはメイジを宿敵と見做しており、ゆえに<対メイジ戦術>の構築に日々の努力を費やしている。そしてそれは、「まず相手の呪文を封じ、無力化したところへアンデッド・モンスターを投入し嬲り殺す」という典型を作り出すことに成功していた。
そう、ネクロマンサーはミレニアの術を先んじて封じていたのである!
しかし錬金術と、火事場の馬鹿力が取り得のミレニアには、マニュアル教本通りの戦術は通用しなかった。
「クッ、仕方がない。ここは一旦引いて、再度待ち伏せを…」
「聞こえてるってーの!そうはさせるかーっ!」
慌てて身を引こうとするネクロマンサーのこめかみに、ミレニアの鋭い爪先がクリーンヒットした。
「トンファ…じゃない、骨キック!」
『エイジッ!?』
ゴッ、奇妙な悲鳴を上げながらネクロマンサーは半回転し、派手な音を立ててその場に崩れ落ちた。死んだのか、気絶しただけなのかは、一見しただけではちょっとわからない。
ただ、しばらく目を醒ましそうにないことだけは確かだった。
「はぁ、はぁっ…まったく、なんだっていうのよぉ、もぉ~っ……」
不慣れな戦闘で疲弊したミレニアは、その場で膝をつき、肩で息をする。
しかし、いつまで経っても休憩しているわけにはいかない。
洞窟に入ったときから地面に転がっていたカジートの死体を検分し、ミレニアは顔を引きつらせる。
「この徽章は…」
ローブに縫いつけられていた、鮮やかな色彩のバッジを見て息を呑むミレニア。
見間違うはずもない、これは魔術大学の会員であることを示すものだ。このことから、このカジートの女性が、ミレニアを先導するために遣わされたメイジであることは明白だった。
「いったい、なにが起こってるんだろう」
ただならぬ事態が差し迫っていることを感じながらも、ミレニアはさらに洞窟の最奥へと足を踏み入れた。
[ to be continued... ]
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