主にゲームと二次創作を扱う自称アングラ系ブログ。
生温い目で見て頂けると幸いです、ホームページもあるよ。
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2012/09/29 (Sat)12:53
たいして脈絡もなくゾンビが1体出現した!!
「どえ~~~っ!?」
あまりの突発的アクシデントに、思わず腰を抜かしそうになるミレニア。
コロールから帝都へと向かう道すがら、どういうわけか場違いにもほどがあるモンスターと接触してしまったらしい。
そして間の悪いことに、現在、ミレニアは武器の類を一切携帯していなかったのである。
『グアアアァァァァ……』
いまにもミレニアに掴みかかろうとするゾンビ。
「な、なんとか武器になりそうなものを探さないと…っ!」
慌てて周囲を見渡し、ミレニアが探し当てた<武器になりそうなモノ>。
「うぉおりゃああぁぁぁぁーーーっっっ!!」
『ブゲレエエェェェェエエ!!??』
グゴシャアッ!
ミレニアは、自分の背後に設置されていた<道路標識>を引っこ抜くと、ゾンビの頭部を両断せんばかりの勢いで殴りつけたのであった。ゾンビの身体が奇妙な角度に曲がっている。
平賀=キートン・太一もびっくりの物品流用であった。
そんなことをしながら…
間もなく帝都に着こうかというところへ、1人の中年男性がミレニアに近づいてきた。
「あぁ~、どうしよう、どうしよう。このままではワシの老後が…一生が…」
それはいつぞやリアに仕事を依頼したものの、あっさりと断られていたオッサンであった。
「どうしよう、どうしよう。あぁ~、困ったなぁ~。困った、困ったぁ」
そんなことをぶつぶつと呟きながら、やたら意味ありげにミレニアの周囲をうろつき回っている。
「(…たぶん、話しかけてほしいんだろーなぁ…)」
わかってはいるのだが、わざわざ意味ありげな態度でつきまとってくるオッサンに話しかけるのは、ちょっと勇気がいるなぁ…などと思うミレニア。というか、むしろ不審者なのでは?などと疑ってしまうのも、無理のない話である。
「困った~(チラッ)、困ったなぁ~(チラッ、チラッ)、どうしても誰かの助けがいるなぁ~(チラッ、チラッ、チラッ)」
「…あ、あの。どうかなさったんですか?」
しまいには、一句毎にこちらを見つめてくるようになったオッサンの与えてくるプレッシャーに耐えかねて、ついにミレニアは口を開いてしまった。
そもそもミレニアは、根がお人好しである。たとえばオッサンの相手がドレイクだったりしたら、ボコボコになるまでブン殴られていたかもしれないし、ましてブラック17だったらその場で斬り捨てられていただろう。
「そうですか!わたしの頼みを聞いてくださいますか!ありがとうございます!ありがとうございます!」
「あ、はぁ…(まさかこの人、通行人全員にこんなことしてるんじゃないよね?)」
すでに会話の順序も考えられなくなっているオッサンの必死すぎる態度に、ミレニアは呆れることしかできず……
「泳ぐぞーっっっ!!」
場面はかわって、ここはルメア湖。帝都周囲を囲む巨大な湖である。
オッサン、もといエルウィン・メロウォルド曰く…「この湖に生息する凶暴なスローター・フィッシュ、通称<殺人魚>のウロコを12匹分獲ってきてくれたら、すごいお宝をあげちゃうよ!」とのことである。
半狂乱になったエルウィンの代わりに説明を補足すると、彼は引退した漁師で、永らくルメア湖での漁を生業としていた。
そして引退前の最後の仕事として、エルウィンは錬金術師に依頼されたルメア湖の殺人魚のウロコを収集しようとしたところ…見事に負傷。それも足に、完治不能な大怪我を負ってしまったのである。
このままでは漁師としてのプライドと、老後の生活が危うい。
そこでエルウィンは、なんとかして殺人魚のウロコの採集を完遂できそうな腕利きの冒険者を探すべく奔走していたのである(主に、自宅の周辺を)。
『ワシはさっき、ゾンビを撃退するキミの姿を見ていた。キミほどの怪力、いやゴリウー、もとい頭の回転の早い冒険者であるならば、きっとルメア湖の殺人魚もまな板の上の鯉、スケベ椅子に腰かけた男も同然!さぁまな板娘よ、いざ大義のために行くのだぁっ!』
「…わたしは怪力でもゴリウーでも、まな板娘でもなぁいっ!」
エルウィンの見送りの言葉を反芻したミレニアは、思わず叫んだ。
しかし相手は狂人(どうやら冒険者を探しているうちに頭がおかしくなったらしい)、マトモに言い合っても仕方がない。そんなわけで、ミレニアはエルウィンに苦言を呈すことなくルメア湖まで来たのだが。
やはり、悔しいものは悔しいのである。
「でも、あんな可哀想なひと(頭が)、放っとけないし。わたしがなんとかしなくっちゃ」
そうつぶやくと、ミレニアはエルウィンから借りた棍棒を手に、湖へと飛び込んだ。
「あれが、殺人魚かな…?」
しばらく湖を泳いでいると、ミレニアは奇怪なフォルムの魚に出くわした。
「漁師のオジサンの足を噛み千切ったって言ってたけど…どうせ、オジサンはコイやナマズみたいな戦闘力ゼロの魚しか獲ってこなかったんだろうし。それにオジサン、あれはあれで元気そうだったし、殺人魚なんて物騒な名前がついてても、どうせ大したことないんじゃあないかな」
そんな悠長なことを考えながら、ミレニアは棍棒を構える。
「それにわたしだって、冒険者の端くれなんだし。魚くらい、倒せなくっちゃだよね」
やがて、殺人魚が接近してくる。
「…… …… ……」
ついに殺人魚と対面したミレニアは、相手のあまりの凶悪な外貌に絶句した。
退化した目。鎧のように頑丈なウロコ。そして、大抵のものなら苦もなく噛み千切ってしまう、鋭利な牙の揃った歯列。
「こ、これ、無理~~~っ!!」
殺人魚の牙を棍棒で防ぎながら、ミレニアは慌てて地上まで泳いで逃げようとした。
もとよりミレニアは戦闘型の冒険者ではなく、まして水中での行動が得手ではない。水中戦に特化したモンスターに、勝てるはずがなかった。
「し、死ぬ、かとっ、思っ、た~~~……」
どうにか怪我を負うことなく岸に上がり、ぜいぜいと荒い息をつくミレニア。
敵を過小評価し、あまつさえロクな前情報もなしに危険地帯に飛び込むのがいかに愚かな行為か、身をもって知ったカタチである。
しかし、ここでアッサリと諦めるようでは、冒険者の名折れである。
「これでもわたしは魔術大学随一の錬金術師。正攻法でダメなら、別の手段を使うまでっ!」
ミレニアはバックパックから錬金道具と素材を取り出すと、さっそく作業に取りかかった。
「かつて、父さんが言っていた…魚を獲る、簡単な方法がある、と」
目を閉じ、瞳の奥に過去の記憶を呼び醒まそうとするミレニア。
『いいかいミレニア、魚を獲るにはモリで刺したり、網を投げたりしなくてもいい、もっと簡単な方法があるんだ。でもジョジョには絶対に教えちゃだめだぞ?』
…最後の一言の意味がどうもよくわからないが、それでもミレニアはいま、父の言葉を思い出しながら、ここシロディールではまったく目にすることのない特殊なポーションの作成にかかっていた。
「火薬、信管、水中呼吸のポーションに、ニルンルートの根を少々…」
ポーションが完成するまでに、夕方までかかってしまった。
それでも、ちゃんとした設備も道具もない吹きさらしの場所で作ったにしては、まぁまぁ上出来と言えなくもないのだが。
「よし、できた…父さん直伝、魚獲り用の爆薬!」
ミレニアはポーションにセットされた信管を作動させると、湖のど真ん中に向かって勢いよく放り投げた。
「爆薬を、湖の、ど真ん中に、シュゥゥゥーッ!!」
ボチャン。
水音を立ててポーションの瓶が沈んでから間もなく、地響きを伴う大爆発が起きた。
ドッガアアァァァァアアアンッッッ!!!!
「超!エキサイティン!!」
ミレニアが、謎のワードを口にする。
なんでも父に、『爆弾を投げたら、必ずこう言わなきゃ駄目だゾ?』と言われたらしい。
そして……
死~~~ん。
爆発の威力…というか、水中を伝播した衝撃波によって殺人魚は軒並み気絶し、プカプカと水面を漂っていた。こうなれば、あとは殺人魚が目を醒まさないうちに生け捕りにして、捌くだけである。
こうしてミレニアは、やや反則的な手段でもって殺人魚のウロコを手に入れたのであった。
「いや~、ありがとう、ありがとう。感謝の気持ちで一杯だよ。これ、お礼ね」
すっかり夜も更けた頃、ミレニアはエルウィンの好意で夕食をご馳走になっていた。とはいえ庶民的な家での庶民的な食事なので、珍しい食材や目を見張るような料理などは何一つないのだが。
「…これは、なんですか?」
チーズを頬張りながら、ミレニアはエルウィンに手渡された指輪を眺めて言った。
エルウィンが答える。
「それは、<ルメア湖の宝石>と呼ばれるマジック・アイテムだ。それを指にはめると、水中で呼吸できるようになる。ワシのようなしがないオッサンが定年まで漁師をやっていけたのも、ひとえにその指輪のおかげと言っていい」
「本当にいいんですか?こんな高価そうなものを貰っちゃっても」
「いいんだ、もう隠居生活に入るワシには必要のないものだしな。それにお嬢ちゃんは、ワシに親切にしてくれた唯一の冒険者であるし。是非、今後の冒険に役立ててくれい」
「わかりました。喜んで、使わせてもらいますよー」
そんな感じで、夜も更けて。
今回のクエストは、最終的にはちょっとイイハナシな感じで、終わりを迎えるのであった。
最後に、思い出したようにエルウィンが「そういえば」と口を開く。
「お嬢ちゃんが帰ってくる前に、湖のほうからトリトンのオープニングみたいな大爆発があったんだが。あれはいったい、なんだったんだい?」
「すーいーへーいーせーんのおわりにはっ、あああー…トシがばれますよ、オジサン」
[ to be continued... ]
「どえ~~~っ!?」
あまりの突発的アクシデントに、思わず腰を抜かしそうになるミレニア。
コロールから帝都へと向かう道すがら、どういうわけか場違いにもほどがあるモンスターと接触してしまったらしい。
そして間の悪いことに、現在、ミレニアは武器の類を一切携帯していなかったのである。
『グアアアァァァァ……』
いまにもミレニアに掴みかかろうとするゾンビ。
「な、なんとか武器になりそうなものを探さないと…っ!」
慌てて周囲を見渡し、ミレニアが探し当てた<武器になりそうなモノ>。
「うぉおりゃああぁぁぁぁーーーっっっ!!」
『ブゲレエエェェェェエエ!!??』
グゴシャアッ!
ミレニアは、自分の背後に設置されていた<道路標識>を引っこ抜くと、ゾンビの頭部を両断せんばかりの勢いで殴りつけたのであった。ゾンビの身体が奇妙な角度に曲がっている。
平賀=キートン・太一もびっくりの物品流用であった。
そんなことをしながら…
間もなく帝都に着こうかというところへ、1人の中年男性がミレニアに近づいてきた。
「あぁ~、どうしよう、どうしよう。このままではワシの老後が…一生が…」
それはいつぞやリアに仕事を依頼したものの、あっさりと断られていたオッサンであった。
「どうしよう、どうしよう。あぁ~、困ったなぁ~。困った、困ったぁ」
そんなことをぶつぶつと呟きながら、やたら意味ありげにミレニアの周囲をうろつき回っている。
「(…たぶん、話しかけてほしいんだろーなぁ…)」
わかってはいるのだが、わざわざ意味ありげな態度でつきまとってくるオッサンに話しかけるのは、ちょっと勇気がいるなぁ…などと思うミレニア。というか、むしろ不審者なのでは?などと疑ってしまうのも、無理のない話である。
「困った~(チラッ)、困ったなぁ~(チラッ、チラッ)、どうしても誰かの助けがいるなぁ~(チラッ、チラッ、チラッ)」
「…あ、あの。どうかなさったんですか?」
しまいには、一句毎にこちらを見つめてくるようになったオッサンの与えてくるプレッシャーに耐えかねて、ついにミレニアは口を開いてしまった。
そもそもミレニアは、根がお人好しである。たとえばオッサンの相手がドレイクだったりしたら、ボコボコになるまでブン殴られていたかもしれないし、ましてブラック17だったらその場で斬り捨てられていただろう。
「そうですか!わたしの頼みを聞いてくださいますか!ありがとうございます!ありがとうございます!」
「あ、はぁ…(まさかこの人、通行人全員にこんなことしてるんじゃないよね?)」
すでに会話の順序も考えられなくなっているオッサンの必死すぎる態度に、ミレニアは呆れることしかできず……
「泳ぐぞーっっっ!!」
場面はかわって、ここはルメア湖。帝都周囲を囲む巨大な湖である。
オッサン、もといエルウィン・メロウォルド曰く…「この湖に生息する凶暴なスローター・フィッシュ、通称<殺人魚>のウロコを12匹分獲ってきてくれたら、すごいお宝をあげちゃうよ!」とのことである。
半狂乱になったエルウィンの代わりに説明を補足すると、彼は引退した漁師で、永らくルメア湖での漁を生業としていた。
そして引退前の最後の仕事として、エルウィンは錬金術師に依頼されたルメア湖の殺人魚のウロコを収集しようとしたところ…見事に負傷。それも足に、完治不能な大怪我を負ってしまったのである。
このままでは漁師としてのプライドと、老後の生活が危うい。
そこでエルウィンは、なんとかして殺人魚のウロコの採集を完遂できそうな腕利きの冒険者を探すべく奔走していたのである(主に、自宅の周辺を)。
『ワシはさっき、ゾンビを撃退するキミの姿を見ていた。キミほどの怪力、いやゴリウー、もとい頭の回転の早い冒険者であるならば、きっとルメア湖の殺人魚もまな板の上の鯉、スケベ椅子に腰かけた男も同然!さぁまな板娘よ、いざ大義のために行くのだぁっ!』
「…わたしは怪力でもゴリウーでも、まな板娘でもなぁいっ!」
エルウィンの見送りの言葉を反芻したミレニアは、思わず叫んだ。
しかし相手は狂人(どうやら冒険者を探しているうちに頭がおかしくなったらしい)、マトモに言い合っても仕方がない。そんなわけで、ミレニアはエルウィンに苦言を呈すことなくルメア湖まで来たのだが。
やはり、悔しいものは悔しいのである。
「でも、あんな可哀想なひと(頭が)、放っとけないし。わたしがなんとかしなくっちゃ」
そうつぶやくと、ミレニアはエルウィンから借りた棍棒を手に、湖へと飛び込んだ。
「あれが、殺人魚かな…?」
しばらく湖を泳いでいると、ミレニアは奇怪なフォルムの魚に出くわした。
「漁師のオジサンの足を噛み千切ったって言ってたけど…どうせ、オジサンはコイやナマズみたいな戦闘力ゼロの魚しか獲ってこなかったんだろうし。それにオジサン、あれはあれで元気そうだったし、殺人魚なんて物騒な名前がついてても、どうせ大したことないんじゃあないかな」
そんな悠長なことを考えながら、ミレニアは棍棒を構える。
「それにわたしだって、冒険者の端くれなんだし。魚くらい、倒せなくっちゃだよね」
やがて、殺人魚が接近してくる。
「…… …… ……」
ついに殺人魚と対面したミレニアは、相手のあまりの凶悪な外貌に絶句した。
退化した目。鎧のように頑丈なウロコ。そして、大抵のものなら苦もなく噛み千切ってしまう、鋭利な牙の揃った歯列。
「こ、これ、無理~~~っ!!」
殺人魚の牙を棍棒で防ぎながら、ミレニアは慌てて地上まで泳いで逃げようとした。
もとよりミレニアは戦闘型の冒険者ではなく、まして水中での行動が得手ではない。水中戦に特化したモンスターに、勝てるはずがなかった。
「し、死ぬ、かとっ、思っ、た~~~……」
どうにか怪我を負うことなく岸に上がり、ぜいぜいと荒い息をつくミレニア。
敵を過小評価し、あまつさえロクな前情報もなしに危険地帯に飛び込むのがいかに愚かな行為か、身をもって知ったカタチである。
しかし、ここでアッサリと諦めるようでは、冒険者の名折れである。
「これでもわたしは魔術大学随一の錬金術師。正攻法でダメなら、別の手段を使うまでっ!」
ミレニアはバックパックから錬金道具と素材を取り出すと、さっそく作業に取りかかった。
「かつて、父さんが言っていた…魚を獲る、簡単な方法がある、と」
目を閉じ、瞳の奥に過去の記憶を呼び醒まそうとするミレニア。
『いいかいミレニア、魚を獲るにはモリで刺したり、網を投げたりしなくてもいい、もっと簡単な方法があるんだ。でもジョジョには絶対に教えちゃだめだぞ?』
…最後の一言の意味がどうもよくわからないが、それでもミレニアはいま、父の言葉を思い出しながら、ここシロディールではまったく目にすることのない特殊なポーションの作成にかかっていた。
「火薬、信管、水中呼吸のポーションに、ニルンルートの根を少々…」
ポーションが完成するまでに、夕方までかかってしまった。
それでも、ちゃんとした設備も道具もない吹きさらしの場所で作ったにしては、まぁまぁ上出来と言えなくもないのだが。
「よし、できた…父さん直伝、魚獲り用の爆薬!」
ミレニアはポーションにセットされた信管を作動させると、湖のど真ん中に向かって勢いよく放り投げた。
「爆薬を、湖の、ど真ん中に、シュゥゥゥーッ!!」
ボチャン。
水音を立ててポーションの瓶が沈んでから間もなく、地響きを伴う大爆発が起きた。
ドッガアアァァァァアアアンッッッ!!!!
「超!エキサイティン!!」
ミレニアが、謎のワードを口にする。
なんでも父に、『爆弾を投げたら、必ずこう言わなきゃ駄目だゾ?』と言われたらしい。
そして……
死~~~ん。
爆発の威力…というか、水中を伝播した衝撃波によって殺人魚は軒並み気絶し、プカプカと水面を漂っていた。こうなれば、あとは殺人魚が目を醒まさないうちに生け捕りにして、捌くだけである。
こうしてミレニアは、やや反則的な手段でもって殺人魚のウロコを手に入れたのであった。
「いや~、ありがとう、ありがとう。感謝の気持ちで一杯だよ。これ、お礼ね」
すっかり夜も更けた頃、ミレニアはエルウィンの好意で夕食をご馳走になっていた。とはいえ庶民的な家での庶民的な食事なので、珍しい食材や目を見張るような料理などは何一つないのだが。
「…これは、なんですか?」
チーズを頬張りながら、ミレニアはエルウィンに手渡された指輪を眺めて言った。
エルウィンが答える。
「それは、<ルメア湖の宝石>と呼ばれるマジック・アイテムだ。それを指にはめると、水中で呼吸できるようになる。ワシのようなしがないオッサンが定年まで漁師をやっていけたのも、ひとえにその指輪のおかげと言っていい」
「本当にいいんですか?こんな高価そうなものを貰っちゃっても」
「いいんだ、もう隠居生活に入るワシには必要のないものだしな。それにお嬢ちゃんは、ワシに親切にしてくれた唯一の冒険者であるし。是非、今後の冒険に役立ててくれい」
「わかりました。喜んで、使わせてもらいますよー」
そんな感じで、夜も更けて。
今回のクエストは、最終的にはちょっとイイハナシな感じで、終わりを迎えるのであった。
最後に、思い出したようにエルウィンが「そういえば」と口を開く。
「お嬢ちゃんが帰ってくる前に、湖のほうからトリトンのオープニングみたいな大爆発があったんだが。あれはいったい、なんだったんだい?」
「すーいーへーいーせーんのおわりにはっ、あああー…トシがばれますよ、オジサン」
[ to be continued... ]
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