主にゲームと二次創作を扱う自称アングラ系ブログ。
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2011/12/16 (Fri)15:28
「フンッ!」
ゴシャアッ!
「初手はこんなもんですか」
白昼にも関わらず無意味に焚かれている火の傍らに突っ伏した弓兵を見下ろしながら、ちびのノルドは「フゥッ」と息をついた。
今回ちびのノルドが受けた依頼は帝国直々のもので、帝国刑務所下水口から川を挟んで向かいにある古代アイレイドの遺跡を拠点にしている野盗集団の壊滅だった。
本来なら、そこまで情報が得られているならば傭兵に依頼せずとも帝都兵を動員して壊滅を図るところなのだろうが、帝都兵は現在盗賊ギルドの一斉検挙に全力を傾けており、他の任務に人員を割ける状況ではないらしい。
帝都の外には辛うじてパトロール隊を少数派遣する程度が限界らしく、それもあまり練度の高い連中ではないという。
「治安維持のための犯罪者掃討、こういう仕事ってわかりやすくていいですよね」
シロディールに数多く存在しているアイレイド遺跡の一つヴィルバーリンに足を踏み入れながら、ちびのノルドはそんな一言を漏らした。
傭兵となれば戦争絡みの仕事も少なくはない。そして戦場では人間的な善悪など意味を成さず、そこには「殺すか、殺されるか」の二択しかない。兵士の素性や信条や目的など、なにも関係ないのだ。
高台から、野盗の集会所を見下ろす。
自前で用意したのか、元から遺跡にあったのかはわからないが、雑多な調度品を寄せ集めて作られたスペースはさながら簡易食堂といったところか。
それぞれ武器を磨いたり、食事をしていたりする野盗たちはリラックスしきっており、そこに警戒の二文字はない。
「ふんッ!」
ちびのノルドは足元を通りかかった弓兵の頭上に飛び込み、後頭部に肘を叩き込む。
頭蓋骨がひしゃげる音を聞きながら、ちびのノルドは周囲を見回した。どうやら誰にも気づかれていないようだ。
弓兵の担いでいた矢筒から数本の矢を抜き、テーブルについて食事をしている男に近づく。ちびのノルドは男の頭を掴んでテーブルに叩きつけると、手にした矢をまとめて耳に突き立てた。
けたたましい悲鳴とともに、それまで無警戒だった野盗たちが一斉に振り向く。
いまでこそ敵の正体が認識できずに狼狽しているが、やがて体制を持ち直すはず…それまでが勝負だった。そして、ちびのノルドにとってはその一瞬の時間さえあれば充分だった。
5、6人いた野盗たちは、わずか20秒と経たずに全滅していた。
「さて…」
容赦なく振るったせいか若干痺れのきた拳を揉みほぐしながら、ちびのノルドは周囲を見回した。
野盗の頭領らしき男の死体も確認し、帝都からの依頼は完遂した。これからはボーナスタイムだ。適当に野盗の財産を物色しながら、ちびのノルドは一通の手記に目を留めた。
どうやら手記は野盗の頭領が書いたものらしく、それによると野盗集団がこの場所を拠点として使いはじめた頃から、構成員の数名が行方不明になっているとのことだった。
手記は「この稼業に嫌気が差して抜け出したのだろう」と断じている一方、「ときどき妙な呻き声が聞こえる」「アイレイドの亡霊を見た者がいる」といったオカルト話も併記されており、また、この遺跡にまつわる怪談はちびのノルドも帝都で幾度か耳にしている。
「どうも気になりますね…」
あの遺跡には妙な噂もある、気をつけろよ…任務受領時にそんな声をかけられたことを思い出しながら、ちびのノルドは一考した。
「うまくこの一件を解明できれば、ボーナスが出るかもしれないですね。個人的な興味もありますし」
野盗の財産漁りを中断すると、ちびのノルドは遺跡の構造を調べはじめた。
やがて発見した、奇妙な紋様。
「これ、扉…でしょうか?」
現在のどの文明でも見られない様式の扉を前に、ちびのノルドは驚きを隠せない。
「とりあえず、この奥に何らかの手がかりがある可能性はありますね」
そう言って、ちびのノルドは扉の向こう側へと足を踏み入れた。
ゴシャアッ!
「初手はこんなもんですか」
白昼にも関わらず無意味に焚かれている火の傍らに突っ伏した弓兵を見下ろしながら、ちびのノルドは「フゥッ」と息をついた。
今回ちびのノルドが受けた依頼は帝国直々のもので、帝国刑務所下水口から川を挟んで向かいにある古代アイレイドの遺跡を拠点にしている野盗集団の壊滅だった。
本来なら、そこまで情報が得られているならば傭兵に依頼せずとも帝都兵を動員して壊滅を図るところなのだろうが、帝都兵は現在盗賊ギルドの一斉検挙に全力を傾けており、他の任務に人員を割ける状況ではないらしい。
帝都の外には辛うじてパトロール隊を少数派遣する程度が限界らしく、それもあまり練度の高い連中ではないという。
「治安維持のための犯罪者掃討、こういう仕事ってわかりやすくていいですよね」
シロディールに数多く存在しているアイレイド遺跡の一つヴィルバーリンに足を踏み入れながら、ちびのノルドはそんな一言を漏らした。
傭兵となれば戦争絡みの仕事も少なくはない。そして戦場では人間的な善悪など意味を成さず、そこには「殺すか、殺されるか」の二択しかない。兵士の素性や信条や目的など、なにも関係ないのだ。
高台から、野盗の集会所を見下ろす。
自前で用意したのか、元から遺跡にあったのかはわからないが、雑多な調度品を寄せ集めて作られたスペースはさながら簡易食堂といったところか。
それぞれ武器を磨いたり、食事をしていたりする野盗たちはリラックスしきっており、そこに警戒の二文字はない。
「ふんッ!」
ちびのノルドは足元を通りかかった弓兵の頭上に飛び込み、後頭部に肘を叩き込む。
頭蓋骨がひしゃげる音を聞きながら、ちびのノルドは周囲を見回した。どうやら誰にも気づかれていないようだ。
弓兵の担いでいた矢筒から数本の矢を抜き、テーブルについて食事をしている男に近づく。ちびのノルドは男の頭を掴んでテーブルに叩きつけると、手にした矢をまとめて耳に突き立てた。
けたたましい悲鳴とともに、それまで無警戒だった野盗たちが一斉に振り向く。
いまでこそ敵の正体が認識できずに狼狽しているが、やがて体制を持ち直すはず…それまでが勝負だった。そして、ちびのノルドにとってはその一瞬の時間さえあれば充分だった。
5、6人いた野盗たちは、わずか20秒と経たずに全滅していた。
「さて…」
容赦なく振るったせいか若干痺れのきた拳を揉みほぐしながら、ちびのノルドは周囲を見回した。
野盗の頭領らしき男の死体も確認し、帝都からの依頼は完遂した。これからはボーナスタイムだ。適当に野盗の財産を物色しながら、ちびのノルドは一通の手記に目を留めた。
どうやら手記は野盗の頭領が書いたものらしく、それによると野盗集団がこの場所を拠点として使いはじめた頃から、構成員の数名が行方不明になっているとのことだった。
手記は「この稼業に嫌気が差して抜け出したのだろう」と断じている一方、「ときどき妙な呻き声が聞こえる」「アイレイドの亡霊を見た者がいる」といったオカルト話も併記されており、また、この遺跡にまつわる怪談はちびのノルドも帝都で幾度か耳にしている。
「どうも気になりますね…」
あの遺跡には妙な噂もある、気をつけろよ…任務受領時にそんな声をかけられたことを思い出しながら、ちびのノルドは一考した。
「うまくこの一件を解明できれば、ボーナスが出るかもしれないですね。個人的な興味もありますし」
野盗の財産漁りを中断すると、ちびのノルドは遺跡の構造を調べはじめた。
やがて発見した、奇妙な紋様。
「これ、扉…でしょうか?」
現在のどの文明でも見られない様式の扉を前に、ちびのノルドは驚きを隠せない。
「とりあえず、この奥に何らかの手がかりがある可能性はありますね」
そう言って、ちびのノルドは扉の向こう側へと足を踏み入れた。
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