主にゲームと二次創作を扱う自称アングラ系ブログ。
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2011/11/28 (Mon)07:57
「こちらブラック17。16、聞こえてる?
『ああ。良好とはいかないがね…この大陸は雑音が多いな』
帝国の地下牢へと続く、下水道の入り口。
長い銀髪を後ろで束ねた全身黒装束の女が、手にした小型水晶を通して何者かと話していた。
『それで、任務は無事達成したのかね?』
聞くまでもないが…そういわんばかりの態度で、通信先の男…ブラック16は尋ねた。その返答は予想もしないものだったが。
「失敗したわ」
『なるほど、それで…ちょっと待て。いま、失敗したと言ったか?』
「確認を取るくらいなら医者に行きなさい。同じ言葉が聞きたいならオウムでも飼うことね」
『随分と高圧的じゃないか。いったい、なにがあった?今回の任務では、君にとって障害足り得るものは存在していないと思っていたが』
「私も苛ついてるのよ、皮肉はやめて頂戴。先手を取られたわ」
『先手、とは?』
「私が標的に近づいたときには、既に標的は殺されていた」
ブラック17…暗殺者集団「黒の里」において、精鋭のみで構成された部隊「ブラック・ナンバー」の17番目の殺し屋。
彼女の標的は、皇帝ユリエル・セプティム。
最強の名を欲しいままにするブラック・ナンバーにおいて、特に戦闘技能の高いブラック17にとって皇帝の暗殺など赤子の手を捻るよりも造作のない任務だと思われていた。
しかし、現実は違った。
「見たことのない連中だったわ。魔鎧師…と言ったかしら?異界の武具を召喚装着する術師のこと」
『珍しいタイプの殺し屋だな。しかし、これは面倒なことになったぞ』
ブラック・ナンバーにとって、「失敗」の2文字は存在しないも同義語だ。
結果は問題ではない。任務をブラック・ナンバーが遂行すること、それこそがもっとも重要なのだ。
『いいか、シューティングスター。これは我々に対する挑戦だ…ならばやるべきことは一つ。我々をコケにした連中を殺せ。仲間がいるなら、それも皆殺しだ。関係者は親族から知人に至るまですべてだ、いいな』
「御意。わかってるわよ、タワー」
『二度の失敗は許されんぞ』
「必要なら大陸ごと殲滅するまでよ。それはそうと、他にも妙なものを見かけたわ」
『妙なもの?』
「緑髪の少女。見た目は12、3てとこかしら。皇帝と行動をともにしていたようね、素性はわからないけど、皇帝を襲撃した魔鎧師を簡単に蹴散らしてたわ。あれ、たぶん人形ね。ひょっとしたら、この世界のテクノロジィじゃないかも」
『自動人形か。そいつも気になるな』
ブラック16は鼻を鳴らすと、ブラック17に向かって言った。
『追って指示を出す。それまで適当に身を隠していろ』
「わかった」
ブラック17の声が途切れるとともに、手の内の小型水晶が音を立てて四散する。
「通信石はあと4つ、か…」
面白くない。まったく面白くない。
最悪のタイミングで横槍を入れられたものだ…ブラック17は嘆息した。相手がこちらを認識しているか、いないかなど、関係ない。黒の里は任務を完遂できず、依頼主からの信頼は失墜した。
金さえ払えば、相手が天使だろうが悪魔だろうが…文字通りの意味だ…取引をする、それが黒の里の流儀だ。時に人外を相手に取引をする異能集団に、失敗など許されるはずもない。
「ところでいま、誰と会話をしていたのだ?」
突如背後から、何者かの声が聞こえてくる。深遠の暁の暗殺者だ。
「レディに声をかけるなら、それなりの礼儀ってものがあると思うのだけれど?」
「生意気な口をきくやつだ。貴様、皇帝暗殺の場にいたな?気づかれていないとでも思ったか」
「見かけよりは優秀なのね。気配を消してたつもりだったんだけど」
「残念だが、目撃者を野放しにしておくわけにはいかん」
「あら奇遇。私も同じこと考えてたのよ」
「なんだと……?」
魔界仕込みの装甲に、易々と刃を突き立てるブラック17。顔面に刃物を刺し込まれた暗殺者は、ゆっくりと地面に倒れた。
「いい憂さ晴らしになったわ。ありがと」
カチリ、短刀を鞘に納めながら、ブラック17は顔面から血を流す暗殺者の死体を一瞥し、その場を立ち去った。
『ああ。良好とはいかないがね…この大陸は雑音が多いな』
帝国の地下牢へと続く、下水道の入り口。
長い銀髪を後ろで束ねた全身黒装束の女が、手にした小型水晶を通して何者かと話していた。
『それで、任務は無事達成したのかね?』
聞くまでもないが…そういわんばかりの態度で、通信先の男…ブラック16は尋ねた。その返答は予想もしないものだったが。
「失敗したわ」
『なるほど、それで…ちょっと待て。いま、失敗したと言ったか?』
「確認を取るくらいなら医者に行きなさい。同じ言葉が聞きたいならオウムでも飼うことね」
『随分と高圧的じゃないか。いったい、なにがあった?今回の任務では、君にとって障害足り得るものは存在していないと思っていたが』
「私も苛ついてるのよ、皮肉はやめて頂戴。先手を取られたわ」
『先手、とは?』
「私が標的に近づいたときには、既に標的は殺されていた」
ブラック17…暗殺者集団「黒の里」において、精鋭のみで構成された部隊「ブラック・ナンバー」の17番目の殺し屋。
彼女の標的は、皇帝ユリエル・セプティム。
最強の名を欲しいままにするブラック・ナンバーにおいて、特に戦闘技能の高いブラック17にとって皇帝の暗殺など赤子の手を捻るよりも造作のない任務だと思われていた。
しかし、現実は違った。
「見たことのない連中だったわ。魔鎧師…と言ったかしら?異界の武具を召喚装着する術師のこと」
『珍しいタイプの殺し屋だな。しかし、これは面倒なことになったぞ』
ブラック・ナンバーにとって、「失敗」の2文字は存在しないも同義語だ。
結果は問題ではない。任務をブラック・ナンバーが遂行すること、それこそがもっとも重要なのだ。
『いいか、シューティングスター。これは我々に対する挑戦だ…ならばやるべきことは一つ。我々をコケにした連中を殺せ。仲間がいるなら、それも皆殺しだ。関係者は親族から知人に至るまですべてだ、いいな』
「御意。わかってるわよ、タワー」
『二度の失敗は許されんぞ』
「必要なら大陸ごと殲滅するまでよ。それはそうと、他にも妙なものを見かけたわ」
『妙なもの?』
「緑髪の少女。見た目は12、3てとこかしら。皇帝と行動をともにしていたようね、素性はわからないけど、皇帝を襲撃した魔鎧師を簡単に蹴散らしてたわ。あれ、たぶん人形ね。ひょっとしたら、この世界のテクノロジィじゃないかも」
『自動人形か。そいつも気になるな』
ブラック16は鼻を鳴らすと、ブラック17に向かって言った。
『追って指示を出す。それまで適当に身を隠していろ』
「わかった」
ブラック17の声が途切れるとともに、手の内の小型水晶が音を立てて四散する。
「通信石はあと4つ、か…」
面白くない。まったく面白くない。
最悪のタイミングで横槍を入れられたものだ…ブラック17は嘆息した。相手がこちらを認識しているか、いないかなど、関係ない。黒の里は任務を完遂できず、依頼主からの信頼は失墜した。
金さえ払えば、相手が天使だろうが悪魔だろうが…文字通りの意味だ…取引をする、それが黒の里の流儀だ。時に人外を相手に取引をする異能集団に、失敗など許されるはずもない。
「ところでいま、誰と会話をしていたのだ?」
突如背後から、何者かの声が聞こえてくる。深遠の暁の暗殺者だ。
「レディに声をかけるなら、それなりの礼儀ってものがあると思うのだけれど?」
「生意気な口をきくやつだ。貴様、皇帝暗殺の場にいたな?気づかれていないとでも思ったか」
「見かけよりは優秀なのね。気配を消してたつもりだったんだけど」
「残念だが、目撃者を野放しにしておくわけにはいかん」
「あら奇遇。私も同じこと考えてたのよ」
「なんだと……?」
魔界仕込みの装甲に、易々と刃を突き立てるブラック17。顔面に刃物を刺し込まれた暗殺者は、ゆっくりと地面に倒れた。
「いい憂さ晴らしになったわ。ありがと」
カチリ、短刀を鞘に納めながら、ブラック17は顔面から血を流す暗殺者の死体を一瞥し、その場を立ち去った。
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