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2019/02/02 (Sat)20:25
「ふぅむ、緑豊かなれど奇ッ怪な場所であるな。宇宙広しといえど、このような場所もあるのだなあ」
狂気の島「シヴァリング・アイルズ」を散策するのは、太陽系出身のサイバーゾンビ【ジアン・シャン=デイ】。
かつて火星の辺境でカルトの僧兵として連邦軍との戦いに身を投じていたが、捕虜となった挙句に拷問を受け惨死。のちに遺体を引き取ったカルトのサイバーインプラント技術でゾンビとして蘇生させられる。
終わりなき闘争に嫌気がさし個人用小型宇宙艇で宇宙を旅していたが、ワームホールの事故に巻き込まれてシヴァリング・アイルズへと不時着する。
その出自からわかるようにニルン出身者ではなく、それどころかムンダスと縁があるかどうかも怪しい。まったく理(ことわり)の異なる次元へやってきた彼女だが、あまり物事を深く考えない性格ゆえか、案外うまく適応しているようである。
しばらくの道程を終え、ついにシェオゴラスの待つニューシェオスへと近づいたジアン。
これまでに狂気に満ちた島を歩いてきた彼女であるが、その精神にさほどの動揺は見られない。それは彼女自身がまさに狂気の産物であり、その精神が常に正気と狂気の狭間を漂っているからかもしれない。
ある意味では彼女自身がもとからシヴァリング・アイルズの住民に近しい存在であったとも言える…
たどりついたニューシェオス城下町の片一方、陰のクルーシブルはこれといってファンタジックなところはなく、かのシェオゴラスの膝元、どれほどの狂気に満ちているのかと興味津々だったジアンの期待を裏切った。
どこか精神の破綻した住民たち、汚水が垂れ流されるままの不衛生な環境、これらはまったくもって「普通のスラム」としか言い様がなく、それはジアンにとって見慣れた光景でもあった。
「なんというか…私の故郷を思い出す光景であるなあ」
ジアンの故郷は火星の辺境、失敗に終わったテラフォーミング計画の残滓がやがて犯罪者や底辺の者たちを呼び込んで形成された地獄のような場所である。そんな地では権力者との闘争に身を任せるほかに希望を見る手段もなく、夢見がちな少女であったジアンが自ら血まみれの戦いに参加したことも、当然の成り行きであったろう。
すくなくとも、このニューシェオスの地は戦争とは無縁のように見える。
クルーシブルで人助けをしたところ、いつの間にかスキンド・ハウンドなる死霊犬がついてくるようになった。はじめは少々面食らったが、「狂気の島ではこの程度、日常茶飯事なのであろう」と良くない方向にバイアスがかかっていたのと、仕草がまったく普通の犬と変わらぬゆえ、すぐに自然と受け入れられるようになった。
なによりジアン自身が死霊である身、この不運な(おそらくは…)犬にシンパシーを感じたとしても、それは不思議なことではない。
旅は道連れ、世は情け。
新たな旅の相棒を連れ、ジアンはシェオゴラスの任によりゼディリアンへと向かうことになった。なんでも、以前ジアンが殺したゲートキーパーにかわって冒険者の侵入を止める方法を探さねばならぬらしい。
ゼリディアンはゲートキーパーが誕生する以前の侵入者対策であったというが、その実態はいかなるものか。
「むう、奇ッ怪な偶像なり…」
かつて宗教者であった名残か、あるいは条件反射的なものかもしれないが、ジアンは異教の偶像、特に土着信仰的なものに対し猛烈な嫌悪を抱く。
これはたしか、グラマイトとかいう半漁人めいたクリーチャーの姿を模したものだ。御神体だろうか?会話こそ通じないが、連中は独自の文明を持っているようで、刃物や装飾品を作れる程度の知能と技術があるようだ。少なくとも、それらは略奪品には見えない。独自の信仰を持っていたとしても不思議ではなかった。
「邪教に相違ないな。爆破しておこう」
そう言うと、ジアンはおもむろにバックパックからM112コンポジット爆薬を取り出し、起爆装置を取りつけて像の台座の近くにある宝箱にセットした。
科学の力により、無残にも破壊されたシュライン(?)跡地。
そして…運が悪かったのか、神罰が下ったのか。
いつの間にかスキンド・ハウンドが隅っこに引っかかって死んでいた…
[次回へ続く]
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