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主にゲームと二次創作を扱う自称アングラ系ブログ。 生温い目で見て頂けると幸いです、ホームページもあるよ。 http://reverend.sessya.net/
2016/11/08 (Tue)18:31





 俺の名はアーケイド、アルゴニアンの商人だ。
 ウィンターホールドへと帰還した俺は、サイジック会の僧兵からマグナスの目が持つ脅威について説明を受ける。なんでも、このままだと世界がヤバイらしい。連中はこの謎のオーブの正体を知っているらしいが、それにしてはメッセージが抽象的すぎるじゃねえの?
 とりあえずはとっかかりとして、ダンレインの預言者とかいうやつを探すことになった。そいつは魔術大学の地下、ミッデンという魔窟に潜んでいるという。
 スカイリムの内戦もいよいよ本格的におっ始まりそうな気配だし、おっかない事態が続きそうだぜ…







 ミッデンへと向かうまえに、俺はアルケイナエウムのウラッグのところへ立ち寄った。






「持ってきたぜ、例の本。涙の夜、アルテウムについて、アイレイド最後の王…の三冊だ」
 サールザルで発見したマグナスの目についての情報を集めるため、オーソーンが持ち逃げした本をフェルグロウ砦から回収していた俺は、それを書庫管理人のウラッグに渡した。
 保存状態を確認し、さほど損傷していないことに安心したのか、ウラッグは機嫌が良さそうな声で言った。
「よくやってくれたな。フム、そう…これだ。涙の夜、だ。読んでみたか?」
「ざっと目は通したよ、旅の途中で熟読はできなかったけど。スカイリム最古の都市であるサールザルにエルフが侵攻した事件についての論文だな。なんでも、原因は領土紛争や人種問題ではなく、もっと別の、サールザル地下に眠っていた、大きな力を持つ遺物を巡る戦いだったと」
「そうだ。そして500の同胞団を率いるイスグラモルはエルフを追い払ったあと、それをふたたび封印した…これは明確に証明された論説ではないが、そう考えれば辻褄が合う箇所は多い。非常に多い」
「エルフが狙い、イスグラモルが封印した遺物の正体が、あのマグナスの目だと?」
「その可能性はある。仮説に過ぎないがな」
 そもそも、マグナスとは何者か。
 ムンダス(いわゆる、我々定命の者が存在する次元)の創造に関わったとされるエイドラ神だが、九…いや、八大神とは関係がない。かつて魔法を司る神として崇められ、神々の領域であるエセリウスからマジカを持ち込み、定命の者に魔法を授けたという。
 そういう、いわば魔法の始祖、大それた存在の名を冠するマグナスの目がいかなるものか、本来どのような使用を想定した魔道具なのかを解明しなければならない。
「ところでウラッグさん、妖精族は入荷した?」
「まだだ」
「そっかー…」
「ところで、少々珍しい書物が入ったぞ。『狩りへの出立』という、やや示唆的に過ぎて難解な内容だが、デイドラの儀式について書かれたものだ」
「あ、じゃあそれ貰います」
「ついでだが、私も探している本があってな。『野生のエルフ』の写本だ、もし旅の途中で見つけるようなことがあったら持ってきてくれないか」
「エロ本?」
「違うわ。古代アイレイド、ワイルドエルフに関する本だ」
「なあんだ。てっきり森の中で野生のエルフに出くわした冒険者がムフフな体験をする本かと思ったのに」
「たわけか貴様は」
 阿呆なやり取りもそこそこに、アルケイナエウムを出た俺たちはミッデンへ向かう前に情報収集をする。
 一ヶ月前から屋外で活動している生徒たちの消息が掴めないこと、トルフディルが魔法の実験にドラゴンの鱗を必要としていること、また彼が愛用していた蒸留器が紛失したことなどを小耳に挟みつつ、俺とボルガクは閉ざされた地下への入り口を開いた。







 大学地下のダンジョンは下水や牢獄を思わせる環境で、凶暴なクリーチャーや、怪しげな実験跡などをところどころで見かける。
 もとは人工的に整備された施設だが、最初はどんな目的で作られたのか?また、なぜ大学はこのような危険な環境を放置しているのか?といった疑問が尽きない。いつ大学に深刻な被害をもたらしてもおかしくはない、というのは大学側を過小評価しているのかもしれないが、少なくとも街の住民にこのダンジョンの存在を知られれば、大学への不審を抱かれることは避けられまい。
 もっとも、そのテの心配をするのは俺の仕事ではない。
 しばらく捜索を続け、俺たちはダンレインの預言者を発見する。
『忍耐は絶望へと変わるだけだ。しかし不屈の志を持つのであれば…来るがよい』
 突如響いた声に導かれ、俺たちが向かった先に待ち受けていたのは…






「うおっまぶしっ!」
『私を探していたようだな』
「エート、あんたがダンレインの預言者…霊体?エーテル?魔法の実験による事故が原因で姿を消したと聞いてたけど、なんだか最近はこういう妙なのばっかりに縁があるなぁ」
『残念だが、ここへ来るのが遅かったようだな。すべては動きはじめてしまった』
「あ、そっすか。じゃあ俺はこのへんで失礼します」
『待たんか。馬鹿者、たわけ、少しは食い下がらんかタマナシヘナチンが』
「(めんどくさいやつだなあ…)」
『もとへ…お前をここへ導いた遣いは、求めるべきものを伝えなかったようだな。それは、すなわち知識。すべての魔法使いが追い求めるもの。しかし知識は腐敗し、やがて破滅をもたらす』
「あの、ポエムはいいんで手短にお願いします」
『ここからが盛り上がるところなのだがのう、まあよい。精神が汚染されることなくあのオーブの力を利用するには、マグナスの杖が必要だ。くれぐれも気をつけるがよい、サルモールも同じものを探していた』
「サルモール?どのサルモールだ?」
『アンカノという男だよ』
「アンカノ!?」
 預言者の言葉に俺は耳を疑う。
 目の前の電飾ジジイがどれだけ長生きかは知らないが、サルモールと聞いて俺が咄嗟に思い浮かべたのは涙の夜の事件があった当時のことだった。あるいは、俺たちがサールザルでマグナスの目を発見する以前のことではないかと。
 だから、「どのサルモールだ」と訊ねたのだ。まさか、これほど直近の話だとは思わなかった。
 俺の前ではすっとぼけていたが、やはりアンカノは今回の事態を正確に把握していると見做して間違いない。それも、俺たちに先んじて動いている。由々しき問題だ。

 大学へ戻った俺たちはマグナスの杖に関する情報を集めはじめた。
 おそらくはアンカノと対立する行動であるから、慎重を期さなければならない。救いがあるとすれば、アンカノは大学の連中に頼らない…「マグナスの杖を知っているか?」などと聞いて回ったりはしないだろう…ということだ。内部に協力者を抱えていれば別だが。
 そういえば前に別の人間から同じ質問を受けた、などという言葉は聞きたくなかったが、幸いにもそうした事態には出くわさなかった。
 マスターウィザードのミラベルによれば、最近サイノッド…メイジギルドの解体後に出現した、シロディールの魔術結社だ…の連中がマグナスの杖の在り処を尋ねてやってきたという。
 ムズルフト遺跡について質問をし、場所を知った彼らはそこへ向かったらしい。単純に考えれば、サイノッドはマグナスの杖がムズルフト遺跡にあることを知っていて、回収へ向かったと見るべきだが。
 現在サイノッドは派閥抗争に明け暮れているらしく、帝国の寵愛を受けるために強力な魔道具の収集を続けているという。サルモールと手を組んではいないだろうが、みすみす杖を渡していい相手かどうかは疑問が残る。
 少なくとも、協力を期待できる相手だとは考えないほうがいいだろう。







 ウィンターホールドよりさらに北、セプティマス・シグナスの隠れ家へと向かった俺たちは、旅の途中で収集したエルフ族五種の血液を老人に渡した。
「聞こえるぞ…彼らの生命の鼓動が。来なさい、混合をはじめよう」
 相変わらずわけのわからないことを口にしながら、老セプティマスは採血器を自らの身体に突き立て…血液を注入した!






「なるほど、そういうことだったのか…」
 セプティマスの全身にエルフの血が巡り、これまで頑なに閉ざされていたシェルターの扉が開く。ドゥーマーにしか開くことのできないゲート、自らの体内にエルフの血を取り込むことで、保安装置を誤認させたのか。
 だがしかし、危険な方策には違いない。おそらくセプティマスは無事ではいられないだろう…彼を利用し使い捨てる、ハルメアス・モラの冷酷な意図が垣間見えた。
 はてしなく遠いドゥーマー坂を全力疾走するセプティマスを追い、俺とボルガクも古代のシェルターに足を踏み入れる。
 最奥の祭壇に安置されていたのは、一冊の本だった…
「これは…本か?いや、違う、そうか。わかったぞ…超越した世界は心の中で燃えるのだ、なんと素晴らしい…!」
 ただならぬ様子で絶叫するセプティマス、断末魔の声とともに肉体が崩れ落ち、灰と化した。






「畜生…ないぞ。これはない」
 デイドラに一身を捧げた哀れな老人の末路を目の当たりにし、俺は顔を歪める。
 やつらは悪魔そのものだ、というネラカーの言葉を思い出す。まさしくその通りだ。デイドラ神はムンダスという遊び場で好き勝手に駒を動かし、結果が思い通りにいったの、いかなかったので楽しんでいる。
 そのせいで人間が死のうが…構いやしない。そのせいで誰が苦しみ、悲しもうと、その一喜一憂ですら連中にとっては酒の肴に過ぎないのだ。そんなことでもしなければ楽しめないのだ、連中は。けったくそ悪い永遠の命というやつは、さぞかし愉快な代物らしい。
 俺はセプティマスが追い求めたもの…すべての魔術師が追い求めたもの…知識に手を触れる。
 その知識は本の形をしていた。奇妙な装丁で、見たところ、様々な人種の皮を繋いだもののように見える。ページを開いてみるが、わけのわからない記号や文字が並ぶだけだ。
 本…オグマ・インフィニウムを手に、シェルターを出ようとしたとき、すべての仕掛け人であるデイドラ神ハルメアス・モラが姿を現した。






『我が勇者よ、こちらへ…オグマ・インフィニウムを手に入れたな。信徒ザルクセスが記した、我が知識の結晶の書を』
「セプティマスを殺したな」
『間接的ではあるが、いかにも。数百年ものあいだ、日の目から遠ざけられていたその書をおまえに渡すためには、あやつの協力が必要だった』
「俺に?」
『セプティマスはおぬしのために死んだのだ。それはおぬし自身、よくわかっているだろう。そのことを知ってなお、知識の書を手放すことはできまい?』
「なぜ俺を選んだ?この本を俺に授けるどんな理由があんたにあるっていうんだ?」
『ともに奇跡を起こすために』
 その声を聞いた俺はゾッとする。
 俺の非礼を意に介すことなく、歓喜の声をあげる異形の存在に。
『おぬしは自身の本能の赴くままに行動すればよい。それこそ我が望み』
 そう言って、ハルメアス・モラは姿を消した。最後に一言言い残して。
『また会おう』
 嫌味の一つを返す気力も沸かなかった。
 一人の老人を犠牲にして得たデイドラの知識の結晶。安い取り引きではあったのだろう、べつにセプティマスとは懇意の仲ではなかったし、もっとつまらない物のために人を殺したこともある。
 等価交換、大局的に見れば些事…だが、と俺は思う。不愉快だった。
 俺のいつもの行動は、俺のルールに従って動いた結果だ。ポリシーとか、内的倫理とか、呼び方はなんでもいいが、とにかく、デイドラの連中にはそれがない。尊重という概念が。
「勝手なことばかり言いやがって」
 そう吐き捨てると、俺は主のいなくなった隠れ家をあとにした。







 その後、俺たちはサイノッドの魔術師たちが調査に向かったというムズルフト遺跡へ向かった。






「てっきり問答になるかと思ったが…手間のかからない展開になりそうだな」
 遺跡へと足を踏み入れて最初に発見したのは、サイノッドの一員と思われる魔術師の遺体。彼が死んだのは俺たちが遺跡に到着した直後で、なにやらわけのわからないうわごとをつぶやいた直後に絶命した。
 彼のローブを探り、遺跡の鍵と、サイノッド本部からのものと思われる通達書を抜き出す。
 どうやらスカイリムへ遠征に来た調査隊は期待された成果を出せておらず、そのせいで能力を疑われているらしい。そのことは、こちらにとって有利に働く可能性がある…余裕を失った相手とは交渉の余地がある。理性を失っていなければ、だが。

 ちなみに今回の探索から、俺は新しく用意した装備を着用している。
 吸血鬼のローブから『黒檀の軽鎖帷子』…ボエシアより賜った黒檀の鎖帷子を改造し軽量化したもの(エンチャントを外し軽装カテゴリ化)に着替え、エルフの篭手に黒染め処理(テクスチャ改造)を施した『エルフの黒染篭手』、そして革を加工して作った(革素材/軽装カテゴリ)の『南方商人のフード』を着用している。
 いずれも自作のModで用意したものだが、基本性能はベースとなった装備の数値を継承しているのでロアフレンドリーだ。もっともチート鍛冶&付呪(薬品ブーストつき)は遠慮なく利用させてもらったが。
「本土(シロディール)の魔術師とやり合う可能性もあったから、ちょっと気合を入れて装備を新調したんだけど…取り越し苦労だったかねェ」
 ドゥーマーの自動人形が稼動しているあたり(おそらく魔術師たちはこいつにやられたのか?)、あまり深い領域まで調査は及んでいないだろうと俺は予測をつけた。






 遺跡はところどころ行き止まりになっており、壁を破壊して洞窟を掘り、別のフロアへの突破口を開いたらしき形跡が残っている。
 これを魔術師たちがこしらえたのか、あるいはファルメルたちがこしらえたのかはわからないが、いずれにせよ、大変な労働だったに違いない。また、このあたりは月長石の鉱脈でもあったようだ。
 あちこちに亡骸となって転がっている魔術師たちの装備はスカイリムのそれとほとんど変わらず、ファルメルたちを相手に善戦したものの(魔法で殺されたらしいファルメルの死体も散見される)、駆逐するまでには至らなかったようだ。
 少なくとも、シロディールのゴブリンどもよりは厄介な相手だったろう。
「こりゃあ、生き残りはいないかもな…」
 邪魔が入らないのは結構なことだが、もしサイノッドの連中の探し物がマグナスの杖なら、その情報を入手できないのはこちらにとっても不利だった。入り口でくたばった魔術師のほかに、記録その他を身につけている者をまだ見かけていない。
 これほど手酷くやられた状況なら、身柄の安全と引き換えに情報を提供させることは難しくないだろう。友好的にやるにしろ、尋問して口を割らせるにしろ、まずは生きた情報源がいなければ話にならない。
 俺がサイノッドの生存者と鉢合わせたのは、手がかりが一向に見つからず焦りはじめたときだった。






 男は俺たちの姿を確認するなり、両手から炎を迸らせて咆えるように言った。
「ガヴロス…ではないな、おまえたち何者だ?なぜこんなところにいる?」
 同胞が壊滅したのだ、気が動転していても不思議はない。俺はなるべく相手を刺激しないよう、慎重に言葉を切り出した。
「落ち着いてくれ、心配するな。俺たちは敵じゃない…ウィンターホールド大学の者だ。サイジックの調査隊がこの遺跡に向かったと聞いて、助言を求めに来た」
「大学の生徒か?なぜ、わざわざ…まあいい、ここまで来れたのなら、ブチ切れたファルメルやガラクタ人形どもを相手にできるってわけだよな?さっきまで聞こえてきた戦闘音は、あんたたちのものか」
 男の名はパラトゥス・デシミウスといった。
 調査隊の中枢メンバーの一人で、相棒のガヴロス・プリニウス(入り口で死んでいたやつだ)とともに特殊なクリスタルの作用について研究をしていたらしい。もっとも、彼はガヴロスに研究成果を横取りされる寸前だったらしいが…
 パラトゥスはクリスタルというものについて延々と講釈を垂れていたが、その口からマグナスの杖に関する言葉はまったく漏れてこない。連中の探し物はマグナスの杖ではないのか?
 オーケイ、俺はそう言って、提案を申し入れる。
「その、クリスタルとやらの捜索に協力しよう。で、あんたが無事にシロディールへ帰れるよう、この遺跡を出るまでの身の安全を保障する。無事に国へ帰れれば、あんたは貴重な研究成果をすべて自分のものにできるわけだ(俺はこの部分を強調した。彼が仲間の死を悼んでいるようには見えなかったので)。そのかわり、俺たちにも協力してほしい」
 はっきり言って、これは賭けだった。
 まずサイノッドの連中が味方かどうか(連中が大学をどう思っているのか)がわからないし、マグナスの杖の行方を追う者をどう対処するかも未知数だ。だがこちらの状況も一刻を争うし、相手の知見がどれほどのものかがわからない以上、迂闊にハッタリをかますのは危険だ。
「俺たちは、マグナスの杖を探している」
「なんだと?なぜ、そんなものを…まあいい。いま俺が話せることは何もない。まずはクリスタルを回収してくれ、話はそれからだ」

 クリスタルはファルメルの魔術師が持っていた。スノーエルフの成れの果てを倒し、一部が破損したように見えるドゥーマーの細工物…フォーカス・クリスタルというらしい…を回収する。
 もとはガヴロスがこのクリスタルを持ち逃げし、調査隊を遺跡に置き去りにしたままシロディールへ逃げるつもりだったらしいが、彼はファルメルの襲撃を受け、クリスタルを奪われたうえ致命傷を負い、遺跡の入り口で果てた…というのが顛末らしい。
 クリスタルをパラトゥスに渡し、彼に連れられるまま俺たちは遺跡の深部へと向かう。
 そこで目にしたのは、かつてムザークの塔で見たようなドゥーマーの天体儀だった。






「こいつにフォーカス・クリスタルを組み込んで作動させれば、もし俺の予想通りにいけば、素晴らしい光景が見れるはずだ。上手くいくといいが」
 どうやらパラトゥスはクリスタルを手に入れただけでは満足しないらしく、それ以上のものを俺たちに求めているようだったが、いまのところ、俺たちに選択肢はなかった。やつを縛り上げて爪を一枚づつ剥がすのは、やつが俺たちに協力する気が微塵もないと確信できてからでいい。
 中央の装置にフォーカス・クリスタルを装着し、魔法を使って投射された光の向きを調整する。
 やがて機械が動きだし、レンズに反射された光が壁に向かって集束する。それは、スカイリムの地図を表していた。
 てっきり星霜の書でも出てくるのかと思っていた俺は拍子抜けしたが、パラトゥスはそれ以上に驚いている様子だった。






「なんだ、これは…予想と違う。誤差なんてものじゃない、こんな結果になるはずがない!」
「なに…?」
 ただならぬ様子でまくしたてるパラトゥスに、俺は眉をしかめる。
 とりあえずこの装置が兵器ではないらしいこと、パラトゥスに俺たちを騙し討ちするつもりがないらしいことはわかった。だからこそ、物事が順調に進んでいないのは気がかりだ。
「この投射機は一面に夜空を映しだすはずなんだ!なにかが装置の機能を阻害している、魔術的な力が…この力の発信源は、ウィンターホールドからか!?」
 そのパラトゥスの言葉に、俺は動揺する。
 まさか、マグナスの目の影響力がこんな場所にまで及んでいるのか!?
 パラトゥスが口から出まかせを言っているようには見えなかった。しかし、だとすれば…これはまずい。
「おまえ…最初からこうなることがわかっていたのか?いったい何を隠している、ウィンターホールドの魔術師め!いったい、『何を大学に隠し』ているんだ!?」
「待て、待ってくれ…あんたの仕事を邪魔する気はなかった。説明させてくれ」
 先刻まで青ざめていた顔を紅潮させて詰問してくるパラトゥスに、俺は喉を詰まらせつつ弁解を試みる。
 大学がサールザルの遺跡を調査していたこと、そこでマグナスの目を回収し大学に持ち込んだこと、マグナスの目が及ぼす未知の影響を憂慮し、事態解決のためにマグナスの杖を探していることを説明した。
 ただし必要以上の猜疑心を抱かせないため、行動のすべては予知能力を持つ大学の生徒に従ったものであると言い(嘘ではない。ダンレインの預言者が人間の形をしていないことは説明しなかったが)、また、サイジックの介入についてはその一切を伏せた。
 もちろんパラトゥスとて、俺が徹頭徹尾、何もかも正直に打ち明けたとは考えていないだろうが、それでも一応は納得すると、渋面を崩さぬまま口を開いた。
「なるほどな。マグナスの目か…それなら説明がつく。だが、そもそも、そんなものを大学に持ち込もうとしたこと自体の言い訳にはならないぞ。何を企んでいるかは知らないが、身の丈以上のことをした報いだな」
「マグナスの目について何を知っている?」
「それは言えない。我々の極秘研究の内容を明るみに出すわけにはいかない、ここでの活動の詳細然り…それらはすべて、シロディールの、帝国の安全を守るための措置だ。妙な誤解をするなよ」
「アルドメリの脅威について言っているのなら、俺たちは協力し合えるんじゃないか?どうして必要以上に大学を警戒するのか、俺にはわからないな」
「それは現状における立場が不安定だからだ。互いにな。サイノッドがシロディールに確固とした基盤を築くにはまだ時間がかかるし、サルモールの監視者が駐在している大学の技術がアルドメリに漏れないと、どうして言える?」
「…… …… ……」
「壁に投射された地図を見る限り、マグナスの杖はラビリンシアンの遺跡にあるようだ。印が二つあるだろう、一つは大学、もう一つはラビリンシアン、魔術神マグナスゆかりの魔道具が存在する位置を示している。まあ、せいぜい幸運を祈っておくよ」
 そう言い残しパラトゥスは踵を返した。どうやらマグナスの杖を捜索する大学の動きを邪魔するつもりはないらしい。
 今の彼の言動は彼個人というより、サイノッドの立場を代表してのものだろうから、彼らがマグナスの目にまるわる一連の出来事に介入する気がないらしいことは理解できる。
「私はシロディールに帰還し、本部に今回の出来事を報告する。おそらく、本部は大学のことを快くは思わないだろう」
 最後にそう言って、パラトゥスは俺たちに背を向けた。
 手を下すなら、今しかない。
 だが…俺はカタナの柄にかけていた手を離し、パラトゥスが立ち去るのを見送った。
 それまで寡黙を保ち続けていたボルガクが口を開く。
「あのまま行かせていいのか?」
「たぶん、あいつの報告は大学にとって不利になるだろう…表面的には、ね。だから、ここであいつを始末して、調査隊は誰一人帰還できなかったってことにしてもよかった。ただ、それはちょいと近視眼的判断に過ぎる。スカイリムの今後を考えれば、多少のリスクを考慮に入れてでもシロディールの魔術結社と繋がりを作っておきたい」
 煌々と壁に照らされる光の地図を見つめながら、俺は言葉を続けた。
「パラトゥスが、ここでの俺たちの行動をそのまま本部に報告すれば…少なくとも、俺たちがクリスタルの回収に協力して、パラトゥスには危害を加えず遺跡の脱出を手助けしたことは伝わるはずだ。そう願いたい。連中も、無闇に大学と敵対したいわけじゃないだろうから」
 もちろん、今回の判断が裏目に出る可能性もある。だが、直接的な利益が判断のすべてではないことは肝に銘じておくべきだ。

 ムズルフトから出ようとしたとき、またしてもサイジックの僧兵が姿を見せた。
 例によって周囲の時間を止め、たった二人で恋人のように密談するという、例のスタイルだ。






「あんたは、たしかサールザルで見たほうだな」
『ひとまず守備は上々といったところか。しかし、本当の試練はまだ先にある』
「マグナスの杖はラビリンシアンって場所にあるらしい、これから回収に向かうよ」
『そのまえに一度大学へ戻ったほうがいい。どうやら抜き差しならぬ事態に陥っているようだ』
「大学?」
 いったい、なにがあったっていうんだ?





【 →To Be Continue? 】








 どうも、グレアムです。今回の中盤から防具を新しいものに変更しました。詳細は本文中に説明した通りです。最初はローブ系のMod入れようかと思ってたんですが、なにやら種類が多いし面倒臭くなったのでいいや以前それなりにビビッときた黒檀の鎖帷子を軽装扱いでデッチ上げちまえということでこうなりました。
 アーケイドは特別な個性を持ったスペシャルな存在というのではなく、あくまでロアフレンドリーなキャラとして扱っていきたいので、見た目が個性的になり過ぎないよう注意はしています。無駄にレベルが高いけど(現在レベル103)、それは普通にプレイしててそうなってしまったんだからしょうがない。





 








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