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2015/10/07 (Wed)08:27

カール・フェアバーン、どこまでも渋い男よ…







 どうも、グレアムです。前回のSniper Elite V2に引き続き、続編のSniper Elite 3についてレビューをしたいと思います。本作のPC版に日本語データはないため、有志による日本語字幕Modを使用してのプレイです。有り難いことです。
 今回のストーリーは時系列が前作以前の話となり、1942年の北アフリカ戦線を舞台にドイツ軍の将校ヴァーレンが進める秘匿計画「疫病(Seushe)」の謎を追うというもの。前作よりも1ステージのマップが広くなり、システムも細部に調整が入った。

 先に総評を書くと、個人的には前作V2のほうが好きでした。というか一般的には3のほうが評価が高く、期待値を上げてプレイしたせいもあるんですが、3で変更された部分というのが個人的にかなり面白くない方向性に舵取りされてしまったため、プレイ中にかなり残念な気分を味わうことになりました。

 まずマップはそこそこ広いのですが、基本的に移動ルートは限定されており、おまけに敵がマップの隅々まで配置されているため裏取りができず、ゲームプレイの質がほとんど前作と大差ありません。相変わらず一発撃てば近隣の敵全員が血相変えて猛追してきますし、こちらが狙撃銃を使わなければ当たらない距離でもサブマシンガンや拳銃でポコスカ当ててくるマークスマンぶりも健在です。
 敵の追撃を避けるため移動を繰り返しながら狙撃する、というのが本作より新たに追加されたフィーチャーですが、これはあくまでSplinter Cell的な潜入型のステルス・アクションのギミックをそのままぶち込んだもので、所謂スナイパーが敵に居場所を察知される前に移動し敵を撹乱するのとは根本的に行動思想が違っているんですよね。
 全体的にステルス行動を推奨するデザインではあるんですが、本来ならば敵からの察知と追撃を避けるための狙撃という行動と、敵の背後を忍ぶ隠密接敵というステルス・アクションを組み合わせた結果、どういうわけか近距離でスコープつきライフルをぶっ放し、敵に見つかったら移動を繰り返すという珍妙なデザインになってしまったのです。
 交戦距離が短いだけなら前作と大差ないのですが、この「ステルス・アクション」と「広大なマップ」を組み合わせたうえで浮かび上がる最大の欠点が、「ひとたび銃撃戦を展開すると敵に囲まれやすくなった」ということ。そのため前方からしか敵が攻めてこなかった前作より(時として異様なまでの察知能力を発揮する敵AIによって)理不尽な死が多くなっています。それを回避するためには隠密状態を維持し続けなければならず、慎重なステルスプレイを余儀なくされるのです。
 上記のように、とにかく攻略が面倒で無闇に時間がかかる、疲れるゲームとして完成してしまったのが本作なんですよね。

 あいかわらず銃撃戦(互いに敵を視認して撃ち合いに発展する状況)を回避できず、入り組んだ場所で接近戦を余儀なくされるマップデザインは、どちらかというと狙撃よりもステルス・アクション向けに調整されており、ステルス偏重な設計思想がじつに本末転倒になってしまっている。100m以下の距離での交戦も珍しくなく、素直にアイアンサイトを使えと言いたくなる。
 まあ…何が言いたいのか、要点はなにかっていうと、本作の一番の問題点は、マップの広さの「質」ということ。本作のマップは、エリアをロードで区切っても問題ないような「小さなステージの集合体」に過ぎず、敵の裏をかく戦術的な立ち回りや、いわんや超長距離狙撃を実現するような、そういう新しい可能性を開拓するものでは断じてなかったということだ。だから、プレイしていてただ長く感じる、だるいゲームになってしまっている。
 そもそも狙撃とステルスの括り方を間違えてしまったことが、本作最大の不幸のような気もするが…Rebellionは今一度、ステルスよりも狙撃という概念そのものについて考え直す必要があるだろう。
(敵に囲まれる、というのと、こちらが裏取りできない、という記述に疑問を覚えたかもしれない。しかしこれは矛盾でもなんでもなく、「ステルスを意識するあまり道中の敵を倒し損ねていると、先に進んだ場所で敵に見つかった場合背後から刺される」というだけの話でしかなく、またプレイヤーが定点に到着することでポップする敵も多いため、しばしばクリアリングが無駄な作業に終わる。なまじマップが広いだけに、本作のステージ攻略ではこれらの懸念がステージクリアの直前の瞬間まで付きまとう)

 収集要素もパワーアップしているが相変わらず面白味のある代物ではなく、テキストもどこかで見たような薄い内容のものばかり。さらに特定の敵からしか入手できないにも関わらず、死体が一定数以上になると古いものから消失する仕様のため、数人倒した先から慎重に死体を探らなければならない武器パーツ回収などは悪意すら感じるほどだ。
 登場銃器はM1ガーランドにSMLEと前作より俺好みのが二種類も追加されているが、性能面で言えばやはりGew43一択であり、そもそもカスタマイズの概念があるにも関わらずなぜセミオートライフルのスコープ倍率が一番高いのか等、不満は残る。
 他に細かい不満(けっこう致命的なのもあるが…)を列挙すると、ゲームプレイに支障をきたすレベルで強調されるBloomとDepth of Field、冗長な紙芝居とカットシーン、やたらにスロー演出が長く間延びするようになったキルカメラ、なぜか今作から復活しインベントリ管理を無駄に煩雑にしてくれるHealthゲージと回復アイテムの存在など、なぜそこを前作から変えてしまったのかと頭を抱える要素が多い。

 ストーリーも前作に比べるとあまり出来が宜しくない。
 単純なヒーローモノになってしまったのはまあ目を瞑るとして、安い友情&復讐劇的な要素を入れる必要があったのかどうかは疑問が残る。開発者にとってはわるいなちすをブッ殺す以上に自分の殺人を正当化する理由が必要だったのか?
 俺は…カール・フェアバーンという男は、敵地のド真ん中に墓標を立てるような、形見の銃弾で敵を始末するような、そういう「プレイヤーに見せつけるような」手段で戦友の死に報いるようなヤツであって欲しくはなかった。任務にそういった私情を持ち込む男であって欲しくはなかった。
 ただ、戦争で兵士が死ぬのは当然のことなのだと。友軍が死んだくらいで心は動かんと、任務中は非情な態度で臨みつつ。任務を達成したあとで、ウィスキーのグラスを掲げながら「すべてが終わった。友よ…」と、誰にも聞こえない場所で一人呟くような、そんな男であって欲しかった。
 もっとも、「俺はお前とは違う」という言葉の真意がただの正義感(俺はお前よりもマシな殺人をしている、等)からではなかったことが若干の救いではあったが。エレベータ前のありがちな問答で軽く絶望しかけたので。

 プロットに関して言えば、ネタバレすると秘匿計画「疫病」とはかの有名な地上巡洋艦ラーテことP-1000の製造計画だったのであるが、これを知った途端、俺「これ放っといていいんじゃねぇかな…」と思っちまったんですが。
 だって、あれですよ。この、夢見がちな小学生か真正のキチガイしか思いつかないような、「超巨大でつよいせんしゃ!」について熱っぽく語るヴァーレン将軍のフィルムを見たときにですね。その、なんというか、うん…どうしようもなくいたたまれない気分になってですね、その。
 開発者(というか脚本家)的には、ラーテが一輌でも製造に成功すれば連合軍側に多大な被害が出た、という筋書きなんでしょうけども。こいつが一瞬でも実用に供される光景を想像しろっていうのは、いくらなんでも無理があるんじゃねぇかな…というか、あの製造工場からどうやって完成品を移動させるつもりだったんだ。



 まぁ、うん、その…全体的に、本作はいまいちだった。個人的にノリノリになれる舞台だった前作の大戦末期のベルリンと違い、あまり熱の入らない北アフリカ戦線という差もあったでしょうが、1ステージあたりのプレイ時間が丁度良くサクッとプレイできるV2に比べると、俺は本作を「前作より確実に進化した」などとは、ちょっと言えないんだよな。
 ただ最後の空港やラーテ工場(ただし前半部に限る)は割と楽しくプレイできたのは確かなんですが。それ以前の、詰みセーブを作りやすいオアシスや敵に囲まれてボコボコにされやすい寺院などのウンコマップで疲弊した心を癒すには不充分だった。
 というかカセリーヌ峠に関しては、そもそも観測手が狙撃手と別行動を取ること自体がとんでもないんだが、観測手が高所を陣取って狙撃手を地べたに這い回らせるってどういうことだよ。というかおまえらは通信器もなしにどうやって意志の疎通を計ってるんだよ!エスパーかよ!英国国教騎士団の吸血鬼か貴様ら!
 ちなみに「ブラウアーと合流せよ」のタスクが表示されたとき、展開的に今後彼を生かしておく必要がないこと、ここで円満に終わるなら即座にカットシーンに移行すればいいので「オイオイオイ死ぬわアイツ」と本能的に察知したら案の定死んで噴いた。



本文で述べなかった良点、スコープを撃つと破損するようになった
カルロス・ハスコックごっこが捗る









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