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2015/10/05 (Mon)05:33
必殺の一弾はいま、キミの手に委ねられた
どうも、グレアムです。先日SteamでセールだったSniper Eliteのトリロジーパックを購入しまして、今回Sniper Elite V2をクリアしましたのでレビューなどを書きたいと思います。はじめは一作目からクリアする予定だったんですが、さすがに今やるとけっこうキツく最初のステージでギブアップしてしまいました。デモ版は以前に何度かプレイしてたんですが、あれ後半かと思ってたのに最初のステージだったとは…
プレイ前に有志の日本語字幕MODをダウンロードしたものの、どうも現在はデフォルトで日本語字幕が用意されているようなので不要?になってしまった。ストアページには日本語はサポートされていないと記載されているのだが、プロパティの言語タブに日本語(Japanese)の項目がしっかりあるので、じつは無意識のうちにMODを導入していた…というオチではないと思う。ただゲーム開始前のメニュー(メインメニューではない)で文字が表示されない不具合があり、そこだけちょっと不便かもしれない。
本作は狙撃ゲーということで、距離や風による弾道の変化や音に紛れて狙撃するといったフィーチャーはあるものの、根幹はアーケードライクなシューターであり、旧OFPやARMAのような立ち回りの自由度を期待すると肩透かしを食らうことになる。
基本的には一本道で、ルート選択の自由度は多少ながら存在するものの、たんに道が枝分かれしているだけで「どのルートを使えば有利になる」というようなデザインにはなっていない。先述の「環境音で銃声をカモフラージュする」という要素もいつでも利用できるわけではなく、すべての敵を射程距離が短く携行弾数も少ない消音ピストルで倒すのでなければ、銃声を立てた時点ですべての敵がこちらを認識し猛追してくるという状況を変えることはできない。
狙撃がメインながら100m前後での撃ち合いが多く、ロングレンジでの精密狙撃をするシーンが皆無&なぜかクローズドレンジでの接敵や屋内を進むシーンが多いあたりは、さしずめ「TPS版のSilent Scope」といったところだろうか。
個人的には広域を見渡せる高所からの狙撃シーケンスがほとんどなかったことが不満だが、それを除けば、最初から「そういうゲームだ」と割り切ってプレイしたため、上記の難点もあまり不満に思うことはなかった。所謂バリューゲー的な楽しみ方ではある。
俺がこのゲームを褒めるとすれば、それはやや悪趣味ととれなくもない人体破壊描写(もちろん大好きだが、本作におけるそのテの描写に関してはすでに方々で語り尽くされており、あえていまさら書こうという気は起きない)についてではなく、意外にもストーリーに関してだ。
V2ミサイルに関わる陰謀の阻止、というので、プレイ前は「どうせわるいなちすを成敗する正義のアメリカン・ヒーローものだろ?そういうのはもう飽きたよ。まあ、いいけどさ…」と思っていたのだが、そのありきたりな予測はゲーム開始時に早々と裏切られることになる。
Sniper Elite V2とは…大戦末期、ベルリン陥落を目前にアメリカは積極的にドイツの技術や技術者の保護を進めていたのだが、中にはソ連への亡命を考える技術者もおり、主人公であるOSS機関員カール・フェアバーンはソ連への技術拡散を阻止するため技術者の暗殺を目論む、というプロット。
なんというか、とんでもない話である。当時まだ同盟国であったにも関わらず、すでにアメリカはソ連を最大の仮想敵国と見做しており、かの国が少しでも有利になることを阻止するため積極的に妨害する、というのである。またソ連も新型の化学弾頭を搭載したV2ミサイルをドイツ最後の抵抗に見せかけてベルリンに撃ち込もうとするなど、とんでもなさは引けを取らない。
基本的に本作で敵対するのはドイツ兵なのだが、アメリカは、というか主人公にとってはすでに死に体であるドイツのことなんか眼中になく、実質的な敵はソ連なのである。第二次世界大戦を舞台にしたゲームで、アメリカとソ連が戦うのである。これが斬新でなくしてなんであろうか。
そういった展開が、本作ではじつに淡々と進行する。主人公はあくまで国益のために行動しており、そこに善悪の概念だとか、逡巡や良心の呵責は存在しない。ストイックなのである。ドライなのである。
カール・フェアバーンにとって、ドイツは、ナチスはたんなる敵国に過ぎない。他のゲーム、あるいは映画にありがちな「地獄からやってきた邪悪な悪魔大軍団ザ・絶対悪ナチス」ではないのである。またソ連への技術拡散を阻止するのも、あくまでそれが「アメリカの国益に反するから」であり、「悪の大国ソ連の邪悪なる野望を阻止すべく正義のため」ではないのである。
本作では誰も、善だの悪だの、正義だのといった言葉を口にはしない。ドイツの科学者も、このテの作品にありがちな「無理矢理やらされた」「本当はこんなことしたくなかった」「後悔している」だのといった寝言をほざくことなく、あくまでそれぞれが自分の信念(あるいは利益)に従って行動している。
そんな本作の空気が、俺にはとても心地よかった。厨二病と揶揄す声もあろうが、俺は自分を正当化できなければ人も殺せないようなヒーローに用はないんである。
はじめは「大戦末期のドイツが舞台なら大抵のことは許せる」程度の気持ちではじめたんですが、意外なところで感心させられたので、本作への評価は当初の印象からけっこう上方修正されました。
とはいえ本作の一番楽しい部分は「狙撃」そのものにある、というのは変わらず、スローモーションで弾丸を追尾し人体が破壊される様子(そして宙を舞う潰れた弾頭)を見るのがたまらなく楽しい、という一点において代替のきかない作品だというのは強調しておかなければならないでしょう。
個人的に一番気に入っている狙撃はヘッドショット…ではなく、腰にぶら下げた手榴弾を狙った爆殺。これが本当に派手で楽しいんですが、そもそも手榴弾を携行している敵があまり多くなく、狙える角度もかなり限定されるので、なかなか実行できる機会が少ないのが残念です。
…そういえば、まだキ○タマ・ショットを一度も成功させたことないな。あれどうも単純に股間を撃っただけでは発動せず、精密にキ○タマを狙わないといけないらしい。本当にできんのか、これ。
ヘッドショット?そんなのは生温いぜ!
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