主にゲームと二次創作を扱う自称アングラ系ブログ。
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2016/09/13 (Tue)21:29
最近になって、エナジードリンク「モンスターカオス」がパッケージをリニューアルして再登場した。
バイト帰り、近所の薬局でオレンジ色の缶を見かけたとき、俺は目を疑ったものだ。
「まさか…」
なぜなら、そう、かつて俺はモンスターカオスを愛飲していたからだ。むしろ、愛していたと言ってもいい。今回はその馴れ初めと、モンスターカオスへの想いを綴りたい。
俺がはじめてモンスターカオスと出会ったのは、あれは俺がまだコンビニ店員やってたときだから…いや、だめだ、思い出せん。そもそもが自分の生年月日でさえ時折忘れる男、地理と暦にはめっきり弱いのだ(歴史年表も全然覚えられない)。もちろん他人の生年月日なんてまったく覚えていない。家族の年齢と誕生日も例外ではない、みんな何歳だったっけ?
ああ、いや、俺の健忘症アピールなんて、どうでもいいんだよ。
ともかくモンスターカオスをはじめて飲んだときの衝撃たるや、いまでも忘れることができない。
エナジードリンクといえば「ちょっと豪華なコーラ」程度の認識しかなかった俺にとって、モンスターカオスのフルーティな味わいと、脳にガッツリとくるパンチの強さはまさに革命的だった。
一口飲んだだけで「これだ!」と思った…例えるなら、クラブでたまたま見かけた女の子に声をかけたところ、瞬く間に意気投合し、明日のデートの約束まで取りつけてしまったような…いわゆる、運命的な出会いだった。俺は一瞬でモンスターカオスと恋に落ちた。
笑顔の似合う、活発、快活な娘…モンスターカオスを女の子に例えるなら、俺はそう表現するだろう。楽しいことが大好きで、エネルギーに溢れている。それでいて慎み深さも持ち併せており、自分を押しつけようとせず、他者を理解しようとする懐の深さがある。そんな印象を受けた。
それ以後、俺はモンスターカオスを毎日のように飲み続けた。彼女が好きだったから。彼女と一緒にいると楽しかったから。
だが突如としてモンスターカオスは店頭から姿を消しはじめ、やがて俺の周囲には緑色のモンスターエナジーしか見かけなくなった。
いつもそうなのだ。俺が愛すると、それは姿を消すのだ。アナログで彩色していた頃に愛用していたマーカーがそうだった。多用していたスクリーントーンの品番が、ピンポイントで廃盤になったこともあった。画材、食品、例を挙げればキリがない。なにより、リアルの彼女がそうだった。
「なぜカオスは姿を消したのか?」
俺の疑問に答える声はなかった。友人に訊ねたところ、「まずかったからじゃない?」という、ストレートな声が返ってきた。それは「だってお前の女、趣味悪かったし」と言われたようなもので、俺は大層に憤慨した。
もっとも俺は俺で、友人の愛飲していたエナジーを「緑色のやつのほうがまずいじゃねーか!カオスよりあっちのが美味いなんて言うヤツは神経回路がぶっ壊れてるんじゃねーのか!?」などと言って顰蹙を買っていたので、他人のことをどうこう貶す資格はない。
その後も幾つかのエナジードリンクを飲んではみたものの、どれもいまいちピンとこなかった。やがて俺はエナジードリンクを飲まなくなり、その存在すら忘れていった。
なぜなら俺が好きだったのはエナジードリンクではなく、モンスターカオスだったのだから。
だから最近になってリニューアルしたモンスターカオスを見つけたとき、俺は奇跡を目の当たりにしたような感覚に捉われた。ドッキリではないかと思った。見た目が変わっているし、味もまったく別モノになっているかもしれない。
リニューアル版のモンスターカオスを買った俺は、すぐさまそれに口をつけた。
彼女はいた、そこに。
それはたしかにモンスターカオスだった。あのときの、あのときのままの。
リニューアル前と比べて若干成分が変わっているとか、そんなことはどうでもよかった。俺にとって彼女は彼女のままで、そして、俺にとってはそれで充分だったからだ。
いまではまた、二日に一本程度の割合でモンスターカオスを飲んでいる。毎日じゃないのは、単純に経済的に厳しいからだ。贅沢が許されるなら、俺は一日に二本だって三本だってカオスを飲んでいるだろう。水のかわりに飲んだっていいくらいだ。
失われた恋はいま、ふたたびここに華開いた。昔に比べて少しだけ距離を感じるが、それはそれで、ベタベタしすぎない大人の恋という風情でそれもまた宜しい。
ありがとう、モンスターカオス。戻ってきてくれて。
俺はおまえが好きだよ。他の誰がなんと言おうとも。
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