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主にゲームと二次創作を扱う自称アングラ系ブログ。 生温い目で見て頂けると幸いです、ホームページもあるよ。 http://reverend.sessya.net/
2019/06/09 (Sun)04:22







Marauder

(aka E8: Man of Prey)


Replay: "Bloody Fairy" _06










*注意*本リプレイでは主人公のキャラクターモデルを変更し、
設定や一部ストーリーを改変しています。





 虐殺のあった翌日、玄関戸を激しく叩く音でニコラは目を醒ました。

同居人:
「いったい、こんどはなんなの…?」

ニコラ:
「ここで待ってて。ボクが見てくる」

 先日のことで同居人はすっかり精神的に参ってしまっている。落ち込んでいるといえばニコラもそうなのだが、それでも危機対処能力に関してはニコラのほうがまだ上だ。
 金庫から拳銃を取り出し、装弾を確認して隠し持つ。よからぬ輩がトラブルを持ち込んできたとしても、上手く切り抜けるつもりだった。
 もっとも、そんな気持ちは扉を開けた時点で吹っ飛んでしまったが。





軍人:
「先日この地区で発生した殺人について話を聞きたい。武器を下ろしてもらおうか、お嬢さん?でないと、君も表で転がっている死体の仲間入りをすることになる。我々の基地まで同行願おうか」

ニコラ:
「(あ、終わった──)」

 先日の暴徒など話にもならないほど厄介な連中がそこに立っていた。斧やナイフのかわりに軍用ライフルをかまえ、襤褸布のかわりに軍服を着た男たちが鬼のような形相でニコラを待ち構えていた。
 指揮官らしい男、一見水兵のように見えるストライプ模様のシャツは、たしかスペツナズの装備だとニコラは記憶していた。だとすれば、こいつらは特殊部隊か。
 抵抗するには相手が悪すぎる…玉砕覚悟で拳銃を使ったところで、無抵抗で捕まるより良い結果になるとは到底思えなかった。なにより、そんなことをすれば確実に同居人の立場までもが危うくなる。

同居人:
「この人たちは…!?」

ニコラ:
「昨日のことについて、話を聞きたいんだってさ。ちょっと出かけてくるよ、大丈夫、なにも危険なことなんてないよ。もしボクらに危害を加えるつもりなら、最初からドアを蹴破って突入してきているはずさ」

 厳つい軍人たちを目の当たりにして言葉を失う同居人をニコラが優しくなだめる。
 だが、その言葉はむしろ自分に言い聞かせるためのものだった。軍人たちが催涙ガスを投げ込んで銃をぶっ放しまくったりしないのは、ニコラを尋問、あるいは拷問するためかもしれない…ただ、そうならそうで、同居人がそれを知ることも、あるいは、同居人にまで被害が及ぶようなこともないだろう。

ニコラ:
「軍人さん、あなたの言う通りにするよ。だけど、一つだけ約束してくれ…彼女には一切危害を加えたりしないと。彼女は無関係なんだ」

軍人:
「すべてはお前次第さ」

 そうだろうとも。
 ニコラは拳銃を軍人に渡すと、彼らとともにアパートを出た。一度だけ振り返り…もう、ここへ帰ってくることはないだろうという、漠然とした予感を抱いた。















コーネフ大佐:
「自衛のためとはいえ、随分とたくさん殺したものだ。正当防衛で済まされる範疇を軽く越えている、そうだろう?これを無罪放免というわけにはいかない、君には疑わしい点が多過ぎる。たとえば、そう、文化ホール爆破事件への…関与とかな。我々の倉庫へ盗みに入ったという目撃情報もある。あの、ヴァレクとかいうこそ泥と一緒に。彼はどうしたね?」

 通称「ペンタゴン」と呼ばれる基地にて、ニコラはこの地域の軍人を纏める指揮官、N・C・コーネフ大佐と直に向き合っていた。
 すでにこのあたりで正規軍と呼ばれるものは機能しておらず、かつて軍服を着ていた連中は大半が軍務を放棄して暴徒やギャングに身を落としていた。しかし、なかにはコーネフ大佐のように部下を統率し、以前と変わらぬ組織体系を維持することで地域の自治に努める者もいる。
 指導者として、コーネフ大佐はかなり「マシ」なやつだ、という話を以前、ニコラは市場で聞いたことがあった。軍人らしく、ごく真っ当に治安維持を考えていると。おそらく、治安を乱すような不穏分子には容赦しないだろう。
 大佐はニコラが考えていた以上に彼女の情報を正確に掴んでいた。ヴァレクの裏切りに端を発する一連の行動に彼の言及が及んだとき、ニコラは心中穏やかではいられなくなった。大佐は控えめな物言いをしているが、たんなるカマかけでは有り得ないはずだ。
 その一方で、ニコラは奇妙な違和感を覚えてもいた。
 てっきり、軍人たちはニコラが関わった事件の詳細について知りたがっているのだろうと思っていた。そのためなら尋問、あるいは拷問も辞さないだろうと。チェーカーのバッヂがよく似合いそうなフォメンコとかいう下士官が大佐の傍らに控えているのも、そのためだろうとニコラは考えていた。
 しかし、どうも違うらしい。大佐の物言いはニコラ自身の所業に関心があるふうではなく、それどころか、どこか無関心なようにさえ見える。
 軍人がこういう接し方をする場合、目的は一つしかない…取り引きだ。

コーネフ大佐:
「驚いたかね?我々は君が倉庫へ盗みに入ってから、ずっと追跡を続けていたのだよ、クロアチア人のニコラ・ミロスラフ?まあ、文化ホールを占拠していた連中は我々にとっても頭痛の種ではあったのだがね。旧ソ連の素晴らしい建造物が失われたのは胸が痛むが…どうやら君は爆弾を作るのが得意なようだ。だが、解体のほうはどうだね?」

ニコラ:
「種類による、としか」

 爆弾を作るのが得意だなどと言われるのは、ニコラにとって大変に心外なことだった。おそらく大佐はニコラが紛争でセルビア人を爆破しまくっていたとでも勘違いしているのだろう、爆薬を作ったのは後にも先にも文化ホールでの一件だけだというのに。
 とはいえ、そのことがニコラを生かしておく理由になっているのであれば、わざわざそれを否定する必要もなかった。

コーネフ大佐:
「…バラバシュに、放棄された軍の補給基地があってな。先日までNATO軍が占拠していたのだが、我々が追い出した。ところが連中、逃げる途中で置き土産を残していきおってな。おかげで物資を運び出すことができんのだ」

ニコラ:
「置き土産…地雷ですか?」

コーネフ大佐:
「M18、クレイモアといったかな。ロシア製のコピーではない、純正の西側産だ。すでに十名近い死傷者を出している。そこが補給基地だったことは周囲に知れ渡っている、つまり、残された物資を狙っている連中が他に大勢いるということだ。昼夜襲われるリスクを負ってまで現地に留まって陣地を構築する気はないし、長期間、兵力を分散させておきたくはない。さっさと物資を運び出して部隊を撤退させたいのだよ」

 クレイモア、大量のベアリングを射出する指向性地雷だ。
 数は少ないが、サラエボでソ連製のMON-50を見かけたことがあった。基本的な構造は同じはずだ、撤退中に仕掛けたというのなら、それほど凝った仕掛け方はしていないはずだ…大佐の話を聞きながら、ニコラは思考を巡らせる。

コーネフ大佐:
「運の悪いことに、我々には地雷処理に適した工兵が不足していてね。ものは相談だが、バラバシュへ行き補給基地周辺に仕掛けられた地雷を始末してくれんか?フォメンコと彼の部下が同行する、もちろん脱走を阻止するための安全措置だが、何者かの襲撃を受けた場合、地雷ではなく銃弾で死ぬようなことがないよう計らってくれるだろう。そうだな、フォメンコ?」

フォメンコ:
「私は賛同しかねます、同志コーネフ。このような得体の知れない、それも子供を使うなど…しかし、命令とあらば。いつでも出動できるよう、部下はすでに待機させています」

コーネフ大佐:
「ニコラ、先に言っておくが拒否権はない。だが、これは君にとっても悪い話ではない…無事に任務を終えたら、いままで君が犯した罪に関しては不問としよう。無論、君の同居人に嫌疑が及ぶこともない。それどころか、働きに見合った報酬も与えようではないか」

ニコラ:
「もしその約束が言葉通りに実行されたなら、市場の人々はあなたを称賛するでしょう」

コーネフ大佐:
「もちろん、そうなるとも」













マクシミッチ:
「どうやらコーネフ大佐はウォッカの飲み過ぎで二日酔いらしい。まあいい、私が現場指揮官のマクシミッチだ、バルバシュへようこそ。小さな工兵さん?」

 フォメンコの率いる部隊とともに、ニコラはバルバシュの補給基地へと到着した。
 コーネフ大佐が懸念するように、地元のギャングがこの基地に備蓄されている物資を狙っているのであれば、あまり悠長に時間をかけてはいられない。周辺警戒のためスペツナズが展開するなか、ニコラは気が進まない思いで建物に近づいていった。
 敷地内は瓦礫が積み重なっており、雑然と散らかっている。地雷を仕掛けるにはもってこいの環境だ。誤って作動させた場合、運が良ければ即死できるが、下手をすればパーツを失ったGIジョーのような有り様でこの先の人生を過ごすことになる。気が進むはずもなかった。


 *Intel*
 このあたりのカットシーンでのやりとりはほぼ創作。
 実際は元軍人であるAkhmetと軍人たちによる「本人たちにしかわからない会話」が展開され、それに対するフォローもないため、翻訳していても何を言ってるのかよくわからなかった。このあたりは英訳が酷いというより、本作のダイアログの設計自体に問題があるように思う。
 テキストは原作者自身が担当しているのだが、小説の会話文だけを抜き出したような格好になっており(所謂地の文による説明を欠いている)、説明台詞のようなものが一切ないので、原作既読者でない限り何が起きているのかわからないような作りになっている。
 ゲーム中に確認できるミッション内容も、主人公の一人称による漠然とした語りに終始するため、残念ながらストーリーを理解する手助けにはならない。














 配電室と思われる建物のロッカーからIMP-1地雷探知機を回収し、基地周辺を調べていく。
 地雷は建物をぐるりと囲むような配置で草場や物陰に設置されていた。最低限の偽装はしてあるが、たとえば爆弾魔が芸術作品と呼ぶような手合いの、凝った仕掛けはされていない。
 この場合、重要になるのは爆弾解体の技術ではなく、爆弾の発見に役立つ思考回路を持つことだ。狙撃兵を狩るカウンター・スナイパーのように、相手の気持ちになって考えることだ。相手の手口がわかってさえいれば、セオリーが読める。
 もし自分が地雷を仕掛ける側なら、侵入者を本気で殺そうとするなら、どこへ、どうやって仕掛けるか?


 *Intel*
 地雷の解体にはMechanicスキル、地雷の発見にはEyesightスキルが判定で使われる。本MAP以外にも地雷が仕掛けられているステージがあるため、いずれかの能力が低い場合、本作の攻略はとても困難なものとなる。
 本作(あるいはBrigade E5、7.62 High Calibre)の爆発物は実際に数百の破片を射程距離内に飛ばしてダメージ判定を行うため、爆発の瞬間は非常に処理が重くなる






 おおかた地雷を回収し終わったころ、瓦礫を踏み越えて敷地内への侵入を試みる足音が聞こえてきた。軍人たち…ではない。かれらがこそこそする理由はないし、もしそうなら、もっと上手く足音を隠すだろう。
 おそらくは地元の盗賊たちと思われた。待ち伏せしていたのか、あるいはたまたま今のタイミングで来たのかはわからないが、ニコラたちが来た南のゲートからではなく、塀を越えて北から侵入してきている。
 すでにマクシミッチ率いるスペツナズたちは盗賊の存在に気づき、戦闘態勢に入っている。両者の戦いは正面からの撃ち合いになるだろう、と判断したニコラは北西の操車場から回りこみ、側面から盗賊を叩くことにした。







 軍人たちの応戦に釘付けになっている盗賊たちへ手榴弾を投げ込み、フラッシュライトを装着したマカロフ拳銃で狙撃していく。思わぬ方向から攻撃を受けた盗賊たちはパニックに陥り、そのまま成す術なく壊滅。僅かに残った者たちは降参し、投降した。







マクシミッチ:
「作業を急がねばならない、という指令の意味がよく理解できたろう。それにしても、拳銃だけでよく戦えたものだ」

ニコラ:
「AKが必要な任務とは聞いていなかったので…」

マクシミッチ:
「地雷の撤去も終えたようだな。しかし残念ながら、まだ君の任務は終わっていない。これより施設の地下保管庫へ向かうことになるが、そこにも大量の地雷が敷設されているのだ。それも撤去してもらう必要がある」





 【続く】





 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
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