主にゲームと二次創作を扱う自称アングラ系ブログ。
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2019/05/31 (Fri)03:00
アパートに帰ると、同居人が険しい顔つきでニコラを迎えた。
おそらくは年頃の娘がヴァレクのようなゴロツキとつるんで悪さをしているのが気に入らないのだろう。彼女とはロシアに来たときにたまたま知り合い、家賃を折半することで部屋をシェアしているだけの関係だが、どうにも波長がうまく合わない。そもそも、ニコラはロシア人の女性と仲良くなれた試しがない。
悪い人間ではないのだ。むしろ、心根の優しい女性と言ってもいい。ただ、少しばかり口やかましく、心配性で、いらぬ世話を焼きすぎるきらいがある。
ヴァレクを殺したなどと言った日には、どんな反応を見せるかわかったものではない。放蕩娘をたしなめるような態度で嫌味をこぼす同居人に、ニコラは疲れた表情で適当に相槌を打ちながら寝室へ向かった。
*Intel*
本来ならばこの女性は主人公Akhmetの妻なのだが、今回のリプレイでは主人公のバックグラウンド変更に伴い、設定を変更させて頂いた。
口煩い妻と粗野な夫という構図はロシア文学あるあるであり、普段は喧嘩ばかりしているものの時折見せる互いの深い愛情に確かな絆を見出すといった流れは、まさしく「喧嘩するほど仲が良い」といったところであろうか。犬も喰わぬ夫婦喧嘩を見せられる第三者からすればたまったものではないが。
朝を迎え、ニコラは先日の外出で手に入れたものを売るために市場へ向かうことにした。
出かけようとするニコラに、同居人が心配そうに声をかけてくる。どうやら最近、近くの文化ホールをギャングたちが占拠したというのだ。メンバーの中には元警官や軍人も含まれており、その動きは組織化されているという。現在は武装を強化し、文化ホールにバリケードや機銃陣地を築いて防備を強化しているところらしい。もし彼らが付近一帯を支配するようになれば治安のさらなる悪化は避けられず、別の土地へ移動せざるを得なくなるかもしれない。
市場はアパートの東、ウーリツァ・コスモナフトフの廃校内にあるバスケットコートで開かれている。
ただし誰でも入れるわけではなく、入場料として5.45x39mm弾が一発必要になる。
ロシア国内ではすでに通常の貨幣はその価値を失い、人々は弾薬を通貨のかわりに使用している。5.45x39mm弾、通称「ファイブ」を基準に価値1として扱い、9x18mmマカロフ弾、通称「ナイン」をファイブの半値である価値0.5、7.62x39mm弾を「セブン」と呼び価値2として扱っている。
もし市場へ向かうまえにどうしてもファイブが確保できなかった場合、入り口の乞食が他の弾薬や食料と引き換えにファイブを都合してくれるだろう。ただし彼の要求するレートは法外も甚だしく、なるべくなら他の手段で手に入れることを推奨する。
敷地内では武装した多くの警備員が目を光らせており、市場を利用するにせよ、しないにせよ、武器を手に持ったまま彼らの前を歩くのは懸命ではない。
それでは、市場を切り盛りするトレーダーたちを紹介していこう。
サネック、あるいは「オセット人」と呼ばれるこの男は食料品を扱っており、また特別な上客のために高級な酒や煙草を探している。もしウォッカやウィスキー、あるいはマルボロのような外国産の煙草を持っているなら、彼はそれを高値で買い取ってくれるだろう(言うまでもないが、粗悪な密造酒やロシア製の煙草に彼は関心がない)。
オレグ・ペトロビッチは酒や煙草といった嗜好品を扱っている。
彼自身は特別な取引を持っていないが、事情通である彼に街の状況を尋ねることは無駄ではないだろう。ときには耳寄りな情報や、思ってもみない話を聞けるかもしれない…
ニコラ:
「文化ホールをギャングが占拠したと聞いたけど、そのことについて市場の人たちはどう考えてるのかな」
オレグ:
「そうだな…ところで君は、爆弾を作れるか?」
ニコラ:
「…!?えーと。なんでそんな質問をしようと思ったのかがまずわからないけど、もしボクが爆弾を作れるとして、話はどんなふうに広がるのかな」
オレグ:
「噂によると、君はサラエボ出身らしいじゃないか。あの紛争で民兵として、多くの…それはもう、多くのセルビア人を殺したと。その行為そのものをどうこう言う気はない。その噂が本当なら、つまり君は戦う方法を知っているということだ。あるいはそう、爆弾の作り方の一つも知ってるのじゃないか、とね。
文化センターを占拠したギャングたちについては我々もひどく頭を悩ませている。もし彼らが今のペースで軍備の強化を進めた場合、おそらくはNATO軍でさえ迂闊に手出しができなくなるだろう。
ギャングたちが地域一帯を支配したら、彼らはあらゆるものを略奪するようになるだろう。あるいは見逃すかわりに高い税の支払いを強いるかもしれない。そうなったら、この市場も存続できなくなる。
現状でさえ、ギャングたちの存在は脅威だ。正面から撃ち合ったら多くの犠牲者が出るに違いない。だから、そう、建物にこっそり侵入して、爆弾で建物ごと吹っ飛ばす…文化ホールの要塞化が進めば、それも難しくなる。
もし君が文化ホールのギャングたちの面倒を見てくれるなら、相応の報酬を支払おう。市場の商人たちからカンパしたファイブがある、それを君に進呈しよう」
ニコラ:
「…やってみる」
思ってもみない展開になった。気の進む話ではなかったが、それでもギャングたちの問題についてはニコラも無関係ではいられない。この土地に居座り続ける理由はないが、避難したところで安全な住居や食料を確保できるあてもなく、ならば見知った顔のいる土地に留まっていたほうが懸命だとニコラは考えていた。
かつてサラエボで戦っていたとき、たまたま知り合ったムジャヒディンから爆薬の作り方を教わったことがあった。とはいえニコラ自身は作ったことも、使ったこともなかったが、材料さえあれば家庭用の台所で作れるようなものだったと記憶していた。
材料は市場の誰かが売っているはずだ。
元医者のゲンナジーは医療品を取り扱っている。商品を売買する以外にも、もしここへ訪れたときに怪我を負っていた場合、彼に治療してもらうことができるだろう。もちろん、無料というわけにはいかないが。
武器商人のアリックは各種銃火器を取り扱っている。
注意すべき点として、彼が扱っている銃火器は必ずしも状態が良いわけではない。どちらかといえば銃本体よりも弾倉やサプレッサー、レーザーアタッチメントといったアクセサリ類の購入がメインになるはずだ。
古着屋のマーシャはチェストリグやヘルメット、バックパックといった装備を扱っている。
また、彼女は服の材料にするための犬の毛皮を欲している。犬の毛皮?そう、このあたりには飢えた野犬の存在が脅威となっている。もし毛皮を剥いで持っていけば、マーシャはハーフマガジン=弾倉半分、15発のファイブを報酬として支払ってくれる。
「教授」は斧やナイフ、銃器清掃キットやロックピックといった雑貨を扱っている。
また彼は銃火器のカスタマイズも行っており、もし改造可能な銃器を所持していた場合、彼に相応のファイブを支払えば改良を施してくれるはずだ。
教授はジャンクパーツから道具を製作する技術者であり、もしリモコンや電気ポット、カーステレオといった電気製品を持っていた場合、それらを特別価格で買い取ってくれることだろう。
爆弾の材料は教授が扱っている。肥料用の硝酸アンモニウム、有機化合物のアセトンを購入し、代金の50ファイブを支払おう。アイテムを個数指定する場合、右クリックを押してDivideを選択する。
*Intel*
オセット人、マーシャ、教授の買い取りクエストは専用の会話を発生させる必要がある。以後は対象となるアイテムを所持している場合に専用の選択肢が表示されるので、それを選ぶ。通常よりも高値で売れるだけでなく経験値も入手できるので、経験値の入手機会が有限である本作では可能な限り活用していきたい。
文化ホールへ爆弾を仕掛けるクエストについて、本リプレイではオレグから依頼されたことになっているが、実際はAkhmetが自発的に行うことであり、当然ながら報酬等は発生しない。
【続く】
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