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主にゲームと二次創作を扱う自称アングラ系ブログ。 生温い目で見て頂けると幸いです、ホームページもあるよ。 http://reverend.sessya.net/
2020/05/24 (Sun)02:20


 
 
 
 
 

 

ATOM RPG Replay

【 Twenty Years In One Gasp 】

Part.10

*本プレイ記には若干の創作や脚色が含まれます。
 
 
 

 
 
 
 ひとまずギャングたちの仲間に潜りこんだことで、敷地内を自由に動き回ることが可能になった。調査や下準備をするには充分だ。
 これからどうすべきか…ナターシャはダンに言われた通り、密造酒の製造グループのところへ行って"みかじめ料"の取り立てをやる気は毛頭なかった。
 ATOMエージェントとして、消息を絶ったモロゾフ将軍率いる調査隊の捜索のためバンカー317へ向かうという任務のことを考えれば、こんな場所でグズグズとギャングどもの"ヤクザごっこ"に付き合わされる理由は何一つなかった。また、コバレフが望んだような"スパイごっこ"に従事するつもりもなかった。
 物事の優先順位を考える必要がある…第一に、ATOMの任務を遂行する。第二に、オトラドノエに対するギャングの脅威を排除する。第三に、ギャングに捕らえられた人質を救出する。
 おそらく交渉さえすれば、ダンはエンジニアを手放すだろう、という予感はあった。いつまでも無駄飯食らいを置いておけるほど、彼らも懐と気持ちに余裕があるわけではないはずだ。適当に金を掴ませればエンジニアの身柄を自由にすることは可能なはずだった。
 だが、それだけでは問題を解決したことにはならない。
 いずれまたギャングたちはオトラドノエへ金を取り立てに向かうだろう。可能な限り円満な形でそれを回避するには、コバレフの言った通り、潜入捜査官として村へ情報を送り続けるのが一番なのだろうが、ナターシャとしては、いつまでもこんな場所で足止めを食っているわけにはいかなかった。
 となれば、取れる手段は一つしかなかった。いますぐにギャングを殲滅し、人質とともに村へ戻る。
 取捨可能な選択肢のうち、もっとも危険な手段には違いなかった。そうまでしてオトラドノエに加担する必要があるのか、と問われれば、それもまた答えに窮するところだ。
 しかしナターシャとしては、モロゾフ将軍の部隊を発見した"あと"のことも考えなければならなかった。さらに言えば、今回の任務を終了した後のことも。
 今後もATOMエージェントとしてウェイストランドに派遣されるようなことが度々あるのであれば、その活動を円滑に進めるための地盤を作っておく必要があるように思われた。パートナーシップを結ぶなら、合法的な犯罪者よりも、こんな時代に畑を持っている村人のほうが、よって立つものとしては気兼ねがない。
 あるいは…出会う順番が違っていれば、また別の意見を持つこともあったかもしれないが。
 ギャングどもがクラスノズナメニーと関係を持っている点が唯一の気がかりだったが、だからといって、彼らの存続がよりオトラドノエのためになるとは思えなかった。
 ぼろぼろのナガンに装填された弾は四発。残る武器は自分の肉体だけだ。なんとかするしかないな、とナターシャは嘆息した。こんなところで死ぬ気はない。
 
「運の良い女だな。ダンから仕事を貰ったのか?まあ、せいぜい頑張るこった」
 門番のコソイの前を通りがかった直後で、ナターシャは足を止める。
 なにか地面に興味深いものが落ちているような仕草を見せるナターシャに、コソイは何事かと近づき…
「おい、いったい何を…」
 肩に手をかけられ、振り向いたナターシャの手には古ぼけたナガン・リボルバーが握られていた。その銃口はコソイの鼻先にまっすぐに向けられている。
 カチリ。
 シリンダーが回転し、ドライファイアの硬質な金属音がコソイの鼓膜を刺激した。もちろん、それが冗談や戯れではなく、ナターシャが実際に撃つつもりだったということはコソイにも理解できた。
「この、クソ女!」
 バン!立て続けにナガンから撃ち放たれた弾丸はコソイの耳元を掠め、コソイは手にしたPPS短機関銃のトリガーを引き絞った。
 数発の弾丸がナターシャの脇腹をえぐり、さらにナターシャの放った弾丸は今度こそコソイの急所を捉えていた。頭部から血と脳漿を噴き出し、倒れるコソイの手からナターシャがPPS短機関銃を奪い取る。それがあまり手入れの行き届いていない粗悪なコンディションであることに気づき、ナターシャは内心で舌打ちする。
 作動不良!
 初弾の不発にナターシャの脳は怒りで沸き返るようだった。
 弾は最初から四発しか装填されていなかったが、空の薬室を叩いたというような初歩的なミスを犯したはずはなかったので、おそらくは弾薬の雷管不良か、板バネや撃針の磨耗による打撃力不足が原因だと思われた。
 リボルバーでマルファンクションを気にする必要があるなんて!
 オートマチックよりも動作が確実で事故が起こりにくい、と枕詩のように語られる銃種での思わぬトラブルにナターシャは憤慨しながらも、そんなことに気を取られている場合ではないと思い直した。
 
 
 
 
 
 
 すでに数人のギャングたちが異常事態を察してナターシャのもとへ向かってきている。素手で殴りかかってくる者、手斧を片手に迫る者、拳銃をこちらに向けている者…ナターシャは拳銃をかまえている、上半身裸の男にPPSの短い掃射を浴びせた。
 相手の接近を許さぬよう後退しながら指きりの連射を続ける…しっかりと銃を保持しての射撃だったが、それでも一、二度ほど弾詰まりを起こし、そのたびに遊底を引き、弾倉を叩いて弾を正常に送り込んでやらなければならなかった。
 
 
 
 
 
 
 どうにか追っ手を始末したときには、ナターシャは自分が想定していたよりも酷い深手を負っていることに気がついた。もとより、はじめから想定などあってないようなものだったが。
 死んだギャングが所持していた赤い錠剤と(カスパラミドという戦前の薬で、何にでも効く…らしい。まさしく宇宙時代の薬だが、自分の記憶ではたんなるアルコールの中和剤だったはずだがとナターシャは首を傾げた)、"F.E.N."と呼ばれる軍用の覚醒剤を打ってどうにか気を取り留めたが、これ以上の被弾は避けたかった。
 拳やナイフで襲い掛かってくるようなのはどうとでもなるが、短機関銃を持っているやつは厄介だ。連中が銃の手入れに頓着していないのは朗報だが、それでも自分に銃口が向けられたときにちょうど弾詰まりを起こすというような都合の良い奇跡を期待するわけにはいかない。
 視界の開けた場所では不利だ。常に一対一になるよう心がけなければ…ナターシャは工場の建物に足を踏み入れる。
 
 
 
 
 
 
 狭い室内に敵を誘き寄せ、PPSの弾丸を撃ち込んでいく。
 
 
 
 
 
 
 あらかた敵を片づけ、独房周辺の安全を確保しようと足を踏み出したとき、弾丸がナターシャの肩を貫いた。
 シシャクだった。例のぴかぴかに磨かれたトカレフの銃口から硝煙がのぼっている。今度は紛れもなく弾が込められているようだった。そういえば姿を見ないと思っていたが、どうやら囚人相手にお楽しみの真っ最中だったらしい。独房の中にいたので気づけなかったのだ。
 さきほど殺した敵の手から奪った狩猟用ライフルをかまえ、アドレナリンに任せて弾丸を撃ち込む。AK-74に使われる5.45x39mm弾がシシャクのぶ厚い胸板を貫いた。どれだけ肉体を鍛えようと、人間の身体はライフル弾を止めるようにはできていない。
 
 
 
 
 
 
 その後も次々とギャングのメンバーを屠っていき、屈強なボディガードさえも始末して遂にダンのもとへと迫るナターシャ。一方のダンは、さきほど仕事を任せたばかりの新人が部下を皆殺しにして迫ってきたという現実に脳の理解が追いつかないようだった。
「貴様、一体…一体なにをしている!?」
 ホルスターから引き抜かれたダンのモーゼルと、ナターシャが握るシシャクのトカレフが同時に火を噴く。まったく同じ規格の弾頭が交差し、互いの胴体に命中した。
 もんどりうって壁に叩きつけられたダンの手からモーゼルが転がり落ちる。
「殺し屋か…いったい、誰に雇われた……!」
「すぐにわからない程度には大勢の恨みを買っているのでしょうね」
 がはっ、口から血を吐くダンの前に、身体中に穴をあけて血を流したナターシャが平然とした顔で立っていた。アドレナリンと覚醒剤の助けを借りてか、あるいはたんに、撃たれ慣れているせいで恐怖を感じなくなっているのか。
 とどめの弾丸を撃ち込むべく、ふたたび銃口を上げるナターシャに、ダンは朦朧とした意識のなかで毒づいた。
「正義の…執行人のつもりか。さぞかし、気分が良かろうな」
「率直に言って」ナターシャは片目を閉じたままつぶやいた。頭から流れる血が目に入ったからだった。「あなたの善性には関心がありません。今回のことは、すでに締結済みの契約の一部に過ぎませんので」
 バン。
 弾丸はダンの心臓を貫き、ダンは一瞬だけ痙攣したのち、ピクリとも動かなくなった。
 
 
 
 
 
 
 血に濡れたカーペットの上に転がるモーゼルを拾い上げ、ナターシャはダンの死体を検分する。指に嵌まっていた、プラスチックやガラスではない本物の宝石で彩られた指輪を抜き取る。おそらくはダンのトレードマークでもあったろうこの逸品は、自分の仕事が確かなものであったことを証明してくれるだろう、とナターシャは思った。
 
 
 
 
 
 
 シシャクの死体が転がる独房の前まで戻り、ナターシャは何が起きているかもわからず動揺している囚人の手を縛っている縄をナイフで切ると、血と涎でべとべとになっている猿轡を外してやった。
「立って歩けますか?ここから脱出しましょう」
「いったい、なにが…あんた、何者だ?」
「話は村へ戻ってから」
 疑問を口にするエンジニアを制し、ナターシャは周囲を警戒する。
 すでに工場内のギャングは全員始末したはずだが、銃声を聞きつけて、余計な連中が関心を示した可能性がある。控え目に言って、いまのナターシャはこれ以上の戦闘を継続できるコンディションにない。
 あるいはナターシャと同様にダンから仕事を与えられていたギャングのメンバーが戻ってくる可能性もある。いずれにせよ、ぐずぐずしている暇はなかった。
 
 そういえば…と、ナターシャはさっき倒したギャングの死体へ歩み寄る。
 一人だけ良い防具を身につけていたやつがいたはずだ。あれを頂ければ、今後の旅に役立つだろう。そう思い、ニットキャップをかぶったギャングの死体から革製の鎧を脱がせる。ライフル弾には効果がないだろうが、うまくすれば小口径の拳銃弾くらいは止めてくれるだろう。動物の噛みつきや、刃物による攻撃も防いでくれるはずだ。
 
 
 
 
 
 
 脱がせている途中で、ナターシャは違和感に気づいた。
 ニットキャップを脱がせ、ギャングの顔を見る。帽子の内側に纏められていた赤毛の長い髪がはらりと広がり、半分マスクに隠れていた顔はあまりに女性的だった。
「女か…?」エンジニアが遠巻きにつぶやく。
 さて、この工場にたむろしていたようなギャングに女が仲間入りをするというのは、今の時代にどれだけ有り得ることなのだろう?ナターシャは頭を捻った。
 顔を隠していたということは、自分の性別を隠していた可能性は高い。ボディラインが隠れるほど頑丈な鎧を着ていたのもそのためか。男を演じて"保護"を求めたか、あるいは秘密を共有する恋人でもいたのか。
 ふと隣を見て、いまとなっては名前もわからない女と一緒に襲ってきた、赤いジャケットの男のほうを見る。ライフル弾で顎から上が吹っ飛ばされ、すでに顔を思い出すこともできない。下準備も兼ねて施設を見て回っていたとき、二人で門の守備にあたっていたと記憶している。
 この二人はコンビだった可能性もあるが…しかし、いまさらそんなことを考えて何の意味がある?
 死の際にいるダンに対して言ったように、この二人の死もまた、ナターシャにとってはATOMの任務を遂行するための「締結済みの契約の一部」に過ぎないのだった。
 
 
 
 
 
 [次回へつづく]
 
 
 

 
 
 
 どうも、グレアムです。今回の更新はほぼ戦闘一色…なんですが、実のところ、敵を全滅させるまでにロードしまくりでした(汗)三桁余裕だったんじゃないかなあ。たんに全滅させるだけならともかく、今回はスクショ映えする構図とか余計なことを考えながらのプレイだったので、余計に。ダンをオフィスの席からほとんど動かさずに死なせるとか滅茶苦茶大変でしたもん。あんまり画面が暗いのは良くないと思って昼間に戦闘を仕掛けたのも、奇襲は夜間というセオリーを考えるとストーリー的にもちょっとどうなんだ、というセルフツッコミも。
 そもそも廃工場のギャングとはこの時点で戦うことを想定されてないというか、ダンの依頼はかなり先が長いうえにエンディングにも影響を与えるので、本来はプレイヤーが自発的に戦うということ自体が推奨されないプレイだと思います。ただ今回のプレイ記に関しては、あえて"理想的な攻略ルート"的スタイルを外しているので、気になる人は自分でプレイして確かめてくれ!という感じで。
 もとより本作は攻略のヒント自体が少ないというか、他の作品なら必須ルート的なものでさえ隠し要素ばりに見つけるのが難しかったりするので、実際のところ開発側がどういう攻略法を想定しているのかっていうのがユーザー視点で把握しづらかったりします。俺自身もまだセオリー的なものを把握しきれてないので、今後どうなるかは自分でもまだちょっとわかってないです。
 
 
 
 
 


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