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主にゲームと二次創作を扱う自称アングラ系ブログ。 生温い目で見て頂けると幸いです、ホームページもあるよ。 http://reverend.sessya.net/
2020/06/22 (Mon)02:11


 
 
 
 
 

State of Decay: YOSE

【 Yankee Oscar Sierra Echo 】

Part.2

*本プレイ記には若干の創作や脚色が含まれます。
 
 
 

 
 
 
 レンジャーステーションを出たノーマンとクレイブは錆びついた金属製の梯子をのぼり、木製の骨組みに支えられた給水塔の上から周囲を見下ろした。
 
 
 
 
 
 
ノーマン:「あちこちにゾンビの姿が見えるが…生きてる人間の姿は見えないな」
クレイブ:「ゾンビに襲われて騒いだり、揉み合ったり、銃をぶっ放す音すら聞こえないってのは、あまり良い兆候じゃあないぜ。どこか、そう、ロッジの中に息を潜めて隠れてるか、さもなきゃ、みんな"死に損なっちまった"か…」
ノーマン:「俺たちがこの異常事態に気がついたのはつい最近だっていうのに、感染速度が早すぎないか?そもそも、感染経路すらよくわかってないんだ。ゾンビに噛まれて発症するのか、それとも空気感染の可能性があるのか…」
クレイブ:「怖いこと言うなよ…」
 
 レンジャーステーションと、この給水塔はちょうどタナー山地の中心近くにあり、ありのままの自然が残っている山脈地帯を除き、人為的な施設が集まるキャンプ場の周辺をぐるりと一望することができた。
 南側の林には色とりどりのテントが多数設置されており、ピクニックテーブルやバーベキュー用コンロがそれに混じっていた。どこかに自分たちが設置したテントもあるはずだ。
 北側には休憩所と公衆便所があり、その先に多数の山小屋が見えた。もし生存者が残っているとすれば、それらのどこかにじっと息を潜めて救助隊の到着を待っているに違いなかった。
 救助隊…警察か、軍隊か。
 レンジャーステーションに駐在している自然保護官はすでにここを離れている、とトーマスは言ったか?このキャンプ場にいる客の誰一人として警察に通報したり、救急車を呼んだりはしなかったのか?
 ときおり遠方から銃声や怒号のようなものは聞こえるが、パトカーのサイレンや、航空部隊の飛行音や、機甲部隊のキャタピラがアスファルトを揺らす音はついぞ聞こえる気配がない。ライフル分隊がゾンビ軍団に向けてカービン銃を一斉掃射する音すら耳に届かない。
 ここは本当にアメリカなのか?
 不穏な予感ばかりが胸中をよぎるなか、不意に爆音とも呼べる銃声がそう遠くない場所から聞こえてきた。キャンプサイトの近くの川沿いからだ。高低差があり、ここからでは様子が確認できなかった。
 
クレイブ:「なあ。いま、加納のブラックホークより派手な銃声が聞こえたんだが」
ノーマン:「うちの嫁かな」
クレイブ:「様子を見に行くか?生存者がそこにいるのは間違いない…ここのゾンビに銃を扱う知能がなければ、の話だが。それを確認する必要もある、セガ製の場合はちょっと厄介だ」
ノーマン:「ああ。なんたって四の字を返されるからな」
 
 二人はそそくさと給水塔の梯子を降り、木々の間に設置されたテントの前を通り過ぎて音の発生源へ向かう。
 途中、遭遇したゾンビをクレイドが咄嗟に背後から羽交い絞めにし、のけぞったゾンビの頭部にノーマンが鋭い回し蹴りをお見舞いする。
 
 
 
 
 
 
クレイド:「お見事!」
ノーマン:「ジャン=クロード・ヴァン・ダムみたいで格好良かったろう?」
   
 唐突なスーパー・ヴァンダミング・アクションはさておくとして、多少の怪我をものともせず崖を駆け下りて向かった先には、ゾンビの集団に襲われて助けを乞う女の姿が見えた。
 
 
 
 
 
 
女性(ラムダ):「助けてー、ノーマーン!」
ノーマン:「おう、待ってろ!」
クレイブ:「ちょっと待てい、アンタの嫁さん、なんでマクミラン対物ライフルなんか持ってんだよ!?」
ラムダ:「護身用だ。熊とかに襲われたら大変だからな」
クレイブ:「熊が相手なら.308で充分じゃねーかな…俺ですら.50口径なんてデスクローを狩るときにしか持ち出さないぜ」
ラムダ:「ゾンビ熊やゾンビヘラジカが相手でも一発だぜ!」
ノーマン:「動物や子供のゾンビは出てこないんじゃないか。色々とうるさい時勢だからな」
クレイブ:「そういう問題かね…?」
ノーマン:「それから一つ、朗報がある。どうやらゾンビは頭をぶち抜けば無力化できるようだ。たとえ.22LRであろうともな」
クレイブ:「アンタは嫁さんとは真逆の嗜好らしいや。.22LRをまともに戦闘で扱えるのは、大藪春彦の小説の主人公くらいのもんかと思ってたよ」
ノーマン:「基本的にアメリカ人は大口径銃で胴体の重心を狙えと教わるからな。俺の場合は一つの例外というわけだ」
 
 .22LRは安価で入門用に最適と言われているが、実際のところ、かなり気難しい口径でもある。弾薬と銃種の相性が顕著に表れる口径で、特定の銃で優れた精度を発揮する弾薬が、別の銃ではまるで使い物にならない、といったことが珍しくない。
 ノーマンがリボルバーを選んだのは、動作の確実性もさることながら、弾種の食わず嫌いをしないからだ。初速の低い弾薬の場合、セミオート式の銃ではフィーディング・トラブルを起こす要因になる。弾倉に装填したぶんだけでは足りないような状況で、常に銃に適した弾薬が手に入るとは限らない。
 ノーマンのリボルバーにはCCIスティンガーが装填されていた。銅めっきの施された高初速のホローポイント弾で、狩猟からレンジシューティングに至るまで幅広く使われている評価の高い弾種である。ミーアキャットの頭蓋を撃ち抜くのに最適なこの弾薬は、ゾンビハンティングにも有用らしい。
 
 
 
 
 
 
【ラムダ・ガルシア】……XEDRAと呼ばれる研究機関のもとで生み出された生体兵器。ゾンビパンデミック下の軍仮設司令部に留まっていたところをノーマンに連れ出され、ニューイングランドを脱出したのち彼と結婚。二児の母として主婦業に専念するかたわら、ときおり傭兵として紛争地帯へ出稼ぎに向かうことがある。かつては歴とした合衆国陸軍兵士だったらしいが、生体兵器としての改造を受ける以前の記憶を失っている。
 
クレイブ:「大食家っていう性格設定は、こういうサバイバル状況下ではわりと致命的な気がするんだよな」
ノーマン:「ニューイングランドでもシェルター暮らしでも一貫して持っていた特質だ、こればっかりは諦めるしかない」
ラムダ:「あたしのハイパーボデェーを動かすにはカロリーがいるんだ。腹が減っては良いクソはできぬ」
クレイブ:「それを言うなら、腹が…今なんつった?」
ラムダ:「クソができねぇ」
クライブ:「…なぁ、おい、ラティーノ。こんな面白い女、どこで引っ掛けたんだ?」
ノーマン:「軍の仮設司令部で立ち往生してたところを適当に言いくるめて連れ出したんだ」
ラムダ:「そんで、酔ってるところを襲われたから責任取ってもらったんだ。な?」
ノーマン:「うん」
クレイブ:「アンタさぁ…それ、俺が知ってる限りの法律に照らしあわせて言うと、誘拐と婦女暴行って言うんだぞ。犯罪だ、犯罪!」
ノーマン:「そうは言うけどな。おかげさまで俺は家事のできない大喰らいのウンコ製造機を養う破目になったんだ、むしろ俺のほうが被害者とさえ言える」
ラムダ:「不満か?」
ノーマン:「いや。かわいいから許す」
クレイブ:「ばっ…バカップル!」
 
 そんな、状況に対して緊張感のかけらもないやりとりをしながら、三人はレンジャーステーションへ戻る前にテントが多数設置されているキャンプサイトを探索する。ラムダの銃声を聞きつけたさい、素通りした場所だ。ひょっとしたら生存者が残っているかもしれない。望みは薄かったが。
 
 
 
 
 
 
 薪木のかわりに積まれた枯れ枝、ピクニックテーブルの周囲に散乱する飲食品の包装物、物盗りへの警戒を忘れたように放置された荷物の数々…
 まるで人だけが忽然と姿を消したような光景は、三人にとって実に見慣れたものであった。
 
クレイブ:「誰かいませんかー?誰もいませんねー?」
ノーマン:「あまり大声を立てるなよ。ゾンビに俺たちの存在を宣伝したいなら話は別だが」
クレイブ:「.50BMGの銃声よりはマシでしょうよ。知ってるか?マズルブレーキをつけた対物ライフルは車載機関銃よりよっぽど音が響くんだぜ」
ノーマン:「だとさ。ラムダ、聞いてるか?」
ラムダ:「なにが?」
クレイブ:「聞いてねぇじゃねーか!」
 
 しばらく周辺を歩き回り、生きている人間が一人もいないことを確認すると、三人の関心は生存者の捜索よりも武器や食料の調達に移った。
 率直に言って、事態を正確に把握できていない状況でのそうした行為は悪質な窃盗以外の何物でもなかったが、もとより三人は自分たちが正確な状況判断をしているなどという根拠のない思い上がりは除外していた。万が一にでも元の所有者に目撃された場合は開き直って謝罪するつもりでいた。それで事態が好転しないようなら実力行使だ。
 幾つかのテントを荒らしまわってから、クレイブはベッドロールの脇に放置されていたバックパックから一挺の散弾銃を発見した。銃身が不自然に短く、銃口の荒々しい切断跡に若干の錆が浮いている。
 
クレイブ:「もし司法機関が今も機能してるなら、俺はこいつの所有者を訴えなきゃならんな」
ノーマン:「所持自体が違法ってわけでもないがね。連邦政府に200ドル追加の税金を払う必要はあるが」
 
 いかにも素人仕事甚だしい杜撰な改造のベースとなったのは、ピストルグリップを装着したモスバーグ社製のマーベリックM88(軍や警察で使われているM500の廉価版)と思われた。本来であれば4発装填できるはずのチューブマガジンには2発しか入らず、外観上はこの箇所には一切の改造を施しているようには見えないにも関わらず、これは奇妙なことだった。バネがいかれているのかもしれない。
 
ノーマン:「とりあえず、ラムダはマクミランのかわりにこいつを持っておいたほうがいいな。ゾンビ狩りに対物ライフルは威力過剰だ、重過ぎるし弾もそうそう手に入らん」
ラムダ:「ちぇー。面白いのに」
クレイブ:「路上にM2を積んだHMMWVでも放置されてればな、撃ち放題なんだが」
 
 そんなやりとりをしながら、三人はレンジャーステーションへと戻った。
 入り口の扉を開けようとしたクレイブは、わずかに眉をひそめたあと、ドアノブにかける手を右手から左手に変え、肩から下げているHK416のグリップを握った。
 なにかがおかしかった。静かすぎる。
 ノーマンとアイコンタクトを交わしてから、クレイブはドアノブを回すと同時に体当たりで扉をぶち破るように開け、片手でHK416をかまえつつ室内に転がりこむ。そのあとに銃をかまえたノーマンとラムダが続いた。
 
 
 
 
 
 
 レンジャーステーション内部は悲惨極まりない光景と化していた。
 先刻まで負傷者の手当てにあたっていたはずのトーマスは肩から腹にかけて大きな引き裂き傷を負って倒れ、他の生存者…だった者たちも、見るも無残な死に様を晒している。
 いずれも死体は大きく損壊しているが、傷口を見る限り、刃物や工具を使ったというよりは大型獣に力任せに引き千切られたような有り様だった。
 
ラムダ:「昼寝の時間か?」
クレイブ:「本気で言ってんのか?…ちくしょう、仲間内で争ったって感じじゃあないな。銃や刃物を使った形跡はない。鈍器じゃこうはならねぇ。ゾンビにやられたか」
ノーマン:「それにしては妙だ。ここへ来る前のことを覚えてるか…ゾンビどもの食事風景を?連中は殺した人間の肉を食っていた。現代人の魂を忘れたのか、食事には結構な時間をかけていたはずだ。ところが、ここの死体はちょっと味見をしただけで放置されてるように見える」
クレイブ:「口に合わなかったんじゃないのか。近くに犯人がいないところを見ると、これをやらかした連中はだいぶ前に引き払ったようだな」
 
 ラムダとの合流と周辺の調査にそれほど長い時間をかけていたわけではなかったので、束の間目を離していた隙に彼らが全滅していたというのは、どうにも釈然としない思いがあった。
 窓やバリケードが破壊された形跡はなく、ドアを破られた様子もない。ひょっとしたら、負傷者がゾンビ化してかつての仲間を襲った結果なのかもしれなかった。そうだとしても、全員が死体となって床に転がっている違和感の説明にはならないが。
 
クレイブ:「ひょっとしたら…俺たちがまだ見てない、ただのゾンビとは違う"怪物"がいるのかもな…」
 
 そんな推測を口にしながら、クレイブはトーマスの身の回りを改めた。

ノーマン:「なにしてる、刑事ドラマの真似事か?」
クレイブ:「アンタは気づかなかったかもしれないが、ここからそう遠くない倉庫の近くに小型のトラックが停めてあった。給水塔の上からまわりを観察していたときに見つけたんだがね、ホトケさんたちがスペンサーズミルから徒歩でここまで来たんでなければ、そういうアシを使っていたはずだ…ほら」
 
 そう言って、クレイブはトーマスのズボンのポケットからイグニッションキーを取り出し、ノーマンに向かって放った。
 他に回収する価値のある所持品といえば、無線機くらいのものだった。おそらくは遠方の仲間と連絡を取り合うためのものだろう。
 銃器の類は発見できなかった。もともと持っていなかったのか、それとも何者かに持ち去られた後か…
 
ノーマン:「カネは持っていかなくていいのかい?」
クレイブ:「よせやい、ケツを拭く紙にもなりゃしないぜ。札は活版印刷といってだな…」
 
 冗談めかしてノーマンのほうを振り返ったまさにその瞬間、クレイブは何者かに首筋を掴まれた。それは損壊した肉体から肋骨を露出させ、それまで微動だにすることのなかったトーマスその人だった。
 
 
 
 
 
 
クレイブ:「ウワッ!こいつ、"死に損なって"やがる!」
ノーマン:「クレイブ!?」
クレイブ:「助けてくれ、振りほどけねぇ!えぇおい、旦那よ、勝手に物を盗んだのは悪かったよ!謝るから許してくれ、おーい!」
 
 組み伏せられた状態では小銃を扱うこともできず、悲鳴をあげるクレイブの脇腹にゾンビと化したトーマスが歯を突き立てる。迷彩服ごと肉を噛み千切る驚異的な咬合力に、クレイブは生命の危機を覚えた。
 ふたたびトーマスがクレイブに噛みつこうとした瞬間、その首が派手な出血を伴って床の上にゴロンと音を立てて転がる。ラムダが手にしたWakizashi(日本刀の模造品、たぶん商品名だろう)で一太刀のもとに切断されたのだった。
 
 
 
 
 
 
ノーマン:「おまえ、噛まれたのか!?」
クレイブ:「見りゃあわかんだろ…アンタ、橋を見かけたら"あっ、橋だ!"とか口に出すタイプだろ?馬鹿丸出しだからやめてくれよ、まったく…」
ノーマン:「せいぜい気をつけるよ。それよりも、ゾンビに噛まれたってのがどういう意味か、わかってないはずはないよな?往生際を悪くするな、一発で終わらせてやる」
 
 リボルバーの撃鉄を起こして神妙にこめかみを狙ってくるノーマンに、クレイブは猛烈な勢いで首を振りはじめた。
 
クレイブ:「おいおいおい、よせよ!まだ感染したと決まったわけじゃないぜ!?そりゃあ、俺が"そうなっちまった"ら、潔くパッと散らせて欲しいっていう気はある、ん、だけども」
ラムダ:「痛いのがイヤならあたしのマクミランで吹っ飛ばしてやってもいいぞ」
クレイブ:「おっかないこと言うなよ!ていうか、躊躇とかないわけ?やだもうこの夫婦」
 
 しばらくのあいだ、クレイブを殺すの殺さないのと問答をしたのち、いますぐにトドメは刺さないという結論に落ち着いた。ひとまず施設内に残っている物資を回収し、別の場所へ移動する必要がある。
 
 
 
 
 
 [次回へつづく]
 
 
 
 
 


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