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主にゲームと二次創作を扱う自称アングラ系ブログ。 生温い目で見て頂けると幸いです、ホームページもあるよ。 http://reverend.sessya.net/
2016/05/14 (Sat)02:40





 俺の名はクレイブ、傭兵だ。
 元モハビBoSエルダーの野心家エリヤに雇われ戦前の財宝が眠るカジノ「シエラ・マドレ」強奪計画に参加した俺は、観光街ヴィラにて三人の仲間を集め、カジノに侵入するための作戦を実行した。
 頑強なセキュリティ・システムによりロックされているシエラ・マドレのゲートを開くには、カジノのグランド・オープニングを飾るガラ・イベントを開催させる必要がある。創設者シンクレアが構想していたド派手なセレモニーは多量の電力を必要とし、実行している間は一時的にカジノのセキュリティ・システムが電力不足によりダウンする。
 イベントを起こすには適切な場所に適切な人員を配置し、ちゃんとした手順に添って行動を起こしてもらわなければならない。
 俺はまずゴッド/ドッグを連れ、サリダ・デル・ソルの変電所へと向かった…










 ドガッ!
 ゴッドの振るう電飾つきの看板がゴースト・ピープルの頭部を粉砕し、俺も大口径サブマシンガンの銃弾を次々と異形の存在に叩き込んでいく。
 ゴースト・ピープル…かつてシエラ・マドレ建設に携わった作業員の成れの果てと言われている。グレイト・ウォー(核戦争)の影響か、あるいは毒霧のせいか、それとも他の何かか…彼らがそのように「変貌」してしまった理由はわからない。
 わかっているのは、彼らに人間的な理性は存在せず、同胞以外の生物を尽く滅ぼすつもりでいるらしいこと、そして多少の怪我にはうろたえることすらせず、脳を完全に破壊しない限り生命活動が停止しないこと。
 まさしく死霊…ゾンビだ。死人は死人らしく動きがのろければ良いのだが、こいつらはとにかく機敏で、おまけに予測のつかない動きをする。
 投擲される槍を寸でのところで避けつつ、俺とゴッドは連中を牽制しながら移動をはじめた。
 いちいち糞真面目に相手していたら弾がいくらあっても足りなくなる。






 やがて変電所の裏手にある配電盤に到着した俺は、ゴッドに作戦の概要を説明した。
「俺がコントロール・パネルを操作して祝典が開始したら、タイミングよく送電システムの配線を切り替える必要がある。手順は壁の張り紙に書かれてるから、問題はないと思うが…」
「それよりも、セレモニーがはじまったらヴィラ中のゴースト・ピープルがここへ集まってくることになる。そこのやわなゲートでは長くは保たんだろう」
「…ドッグは、あんたより戦闘が得手だそうだ、が…」
 懸念を口にするゴッドに、俺は慎重に話を切り出した。
 ゴッドはもう一つの人格であるドッグを表に出したがらない。知能が低く、本能的な飢えと恐怖に忠実なドッグ。純粋であるがゆえに強く、そして一度感情が暴走すると、手がつけられなくなる。
 俺を睨みつけたまま、ゴッドは静かに口を開いた。
「もしゴースト・ピープルがここまで押し寄せてくるようなら、ドッグの力に頼らざるを得まい。不本意だが…しかし警察署の檻から出た時点で、もう決断は済ませている。今はあの老人の計画に乗ってやるとしよう。今だけはな」
「すまねぇ。携帯型のトランシーバーを何組か持ってるから、そのうちの一つを置いていくよ。そいつはエリヤと直接交信できるようになってる、ヤバそうになったら使ってくれ」
 そう言って俺は小型の無線機をゴッドに渡し、別の無線機を使ってエリヤに呼びかけた。
「ゴッドを配置につけた、もし彼から連絡があった場合はドッグに呼びかけてやってほしい。それとドッグ一人じゃ配電盤の操作が怪しい、これから手順を説明する。あんたが指示してやってほしい、ドッグはあんたの命令なら聞くんだろう?」
『なるほど。わかった』
 これはエリヤの計画だ。シエラ・マドレを手にするための。
 もし目的達成のために必要なら、彼も手間は惜しまないだろう。その点に関して、俺はエリヤの手を煩わせることに気を遣うつもりはなかった。
 俺が配電盤の操作手順を説明し終えたあと、エリヤが言った。
『よくやった。ドッグ、マスターの言葉が聞こえるか?』
「!?」
 俺は慌ててゴッドのほうを振り返る。
 いまの声は俺の無線機からじゃない…ゴッドに渡した無線機から聞こえたぞ!?
 事態を把握した瞬間、俺は総毛立った。あのジジイ、やりやがった!
「グウ…マスター…ますたー…聞こえる。ドッグ、聞こえる」
『よしよしドッグ、良い子だ。これから私の指示をよく聞いて、ちゃんと言う通りにするんだぞ?』
「わかった!ドッグ、よいこ!ますたーのいうこと、きく!」
 先ほどまでの理知的なゴッドの声とは対照的に、まるで幼児のような物言いをするドッグの姿に、俺は言いようのない不安と、そして罪悪感をおぼえた。
 ドッグの人格が表に出るトリガーは、エリヤの声だ。俺はあくまでゴッドが必要だと思ったときに、彼自身の判断でエリヤと交信してほしかった。それをエリヤは利用したのだ。
「ごはん!おなかすいた、ドッグ、おなかすいた!ごはんたべる!」
 そう言って、なんとドッグは周辺に散乱していたゴースト・ピープルの死骸をむさぼりはじめた。
「…… …… …ッ!!」
 異様な光景に俺はめまいを覚える。だが、俺にできることは何もない。
 もうここでの俺の仕事は終わった。ドッグは配置についた。俺には次の仕事がある。
 ここでエリヤを糾弾しても何にもならない。今のは俺のミスだ。いや、ミスですらない。たんに、俺の感情の問題でしかない。エリヤがこうすることは、ヤツがこういうことを平然とやる人間だということは、わかっていたはずなのだ。
 エリヤは計画が確実に遂行されるよう機転を利かせただけだ。ゴッドの心境はどうあれ。
 嬉々としてゴースト・ピープルを喰らうドッグをその場に残し、俺は変電所のゲートを閉じた。







 その後俺はディーンを連れてプエスタ・デル・ソル南へ向かった。
 途中でゴースト・ピープルの襲撃に遭い、近くの喫茶店へ逃げ込んだ俺たちは追撃してくる連中を出入り口でまとめて始末する。






 ドゴンッ、ドゴンッ、ドゴンッ!
 ディーンのマグナム拳銃が火を吹き、俺もホログラムの店員が鎮座するカウンターの影から銃を撃ちまくる。
「粉々に吹っ飛ばさなきゃ死なない連中を相手にするなら、粉々に吹っ飛ばせる武器を使えばいい。バケモノ相手は大口径銃に限る」
 そう言うディーンの銃の腕は確かで、極力面倒は避けて行動する普段の態度からは想像できないほどに的確にゴースト・ピープルたちを処理していく。
 一通り敵を倒し終えたところで、俺はなぜ歌手が銃やトラップの扱いに長けているのかと質問する。銃に予備弾倉を装填しながら、ディーンは不敵な笑みを浮かべて言った。
「映画だよ。映画で学んだんだ」
「エッ、映画?ひょっとして、あんたもアクション映画オタクなのかい?」
 かつてヴォールトを出た直後、俺は戦闘知識のほとんどを映画に頼っていた時期がある。
 そんな事情なんか知らないせいだろう、俺の言葉の意図がわからないディーンはしばらくきょとんとしていたが、やがて「映画からニワカ知識を仕入れたのか」という趣旨の発言であったことに気づくと、ディーンはその場で笑い転げた。
「アーッハッハッハッ、なに、俺が映画の猿真似をしてるって?ハハハ…いやいや、勿論違うさ!このディーン・ドミノはただの歌手じゃない、役者でもあったんだぜ?」
「役者?」
「映画俳優さ。以前…たったの二百年と足して十年ほど前かな、戦争映画に出演したとき、元特殊部隊員のインストラクターからみっちり銃と爆薬の扱いを教わったんだよ。元々従軍経験はあったから、基本的な戦闘技術は身につけていたがね。それが抜擢の理由でもあったんだが、まあ…輝かしい栄光の時代がいまでも自分の身を助けていると思うと、感慨深いものがあるな」
 そう言うと、ガシャリ、ディーンは後退した遊底を引いて次弾を薬室に装填した。
 なるほど、ちゃんとした筋から訓練を受けているわけか…と、俺は妙な感心を抱きながら、銃を持ち上げてカフェの二階へ続く階段を上りはじめた。






 やがてエリヤに指示された場所へ到着した俺たちは、周囲にゴースト・ピープルがいないことを確認してから一服つけた。
 俺から火をもらい、たっぷり紫煙を肺に送り込んでから、ディーンが途中で切れたケーブルを見つめて口を開く。
「なるほど、こいつはどうやらヴィラの音響システムに直結しているらしいな。つまり俺はシンバルを持った猿のオモチャみたいに、これを両手に持ってくっつけたり離したりすればいいってわけだ」
「プライドが傷つくようなら申し訳ないんだけど、こんな仕事でもやってもらわなきゃあ先へ進めないんだよね」
「まったく忌々しいジジイだぜ。プライド云々はともかく、現実的な問題として、俺がこいつを操作した途端に付近一帯のゴースト・ピープルが一斉に反応するはずだ。ダダをこねてると思われたくはないんだが、片道切符しかない肥溜まり行きの列車に乗りたくはないな」
「ウーン…周辺のゴースト・ピープルを片づけておこうか?」
「気遣ってくれてるのはわかるがね、相棒。いまヴィラをうろついてるのは氷山の一角にすぎない。一旦乱痴気騒ぎが始まったら、繁殖期のラッドローチよりも多くのゴースト・ピープルが寄って来るぞ。その前に数人、数十人殺したって気休めにしかならんよ」
「参ったね。殺す以外に足止めする手段てーと、ホログラムで気を引きつけておくくらいしかないが…そういえば、ヴィラにはまだ稼動してないホログラムが数基あったよな?たぶん送電システムに障害があるんだと思うけど、予備電源から起動できるはずだ」
「おおお、泣かせてくれるじゃないかね。俺のためにそこまでしてくれるのかい?それで完璧に安心できるってわけじゃないが、妥協点としてはまずまずだな。あとはセレモニーを開始次第、ちゃんと迎えに来てくれることを願うよ」
「心配しなさんな。相棒を見捨てたりなんかしないよ」
 若干不満そうにしながらも、状況に納得したらしいディーンをその場に残して、俺は移動をはじめた。







 相変わらず言葉も愛想もないクリスティーンを連れ出した俺はプエスタ・デル・ソルの変電所へと向かった。ゴッド…いや、ドッグは外の配電盤の操作だったが、彼女には変電所内部からシステムを操作してもらう必要がある。これはある程度の専門知識が必要になる。
 エリヤが言っていた「戦前の知識に精通している者」というのは彼女のことだろう。ある意味ではディーンも該当するのだが、エリヤの言う戦前の知識というのは、とりもなおさずBoSが興味を示す高度なロスト・テクノロジーを指す。
 もしエリヤがクリスティーンのことを事前に知らなければ、このような仕事を任せようと思うはずがない。
 ま、そんなことはどうでもいいけど。
 道中でまたしてもゴースト・ピープルに遭遇し、再三の戦闘に辟易しながらも俺は銃を構える。






 おなじく銃を構えるクリスティーン、しかし俺には懸念があった。
 彼女が扱う銃は特殊なものだが、それはあくまで形状のみの話だ。中身は9mmパラベラム弾を使用する標準的なマシンピストル、はっきり言ってゴースト・ピープル相手では火力不足だ。
 もっとも、そのことを伝えたところで、どうなるわけでもないが…
 しかしいざ射撃を開始すると、クリスティーンの放った弾丸は次々とゴースト・ピープルの肉体を破壊し、物言わぬ肉塊に変えていく。
「!?」
 着弾後、わずかなタイムラグの後に爆発する弾丸を見て俺は思わず目を疑った。なんだ、あの弾丸は?
 クリスティーン自身がよく訓練されており、照準線の短いサイトで素早くターゲッティングしていく動作はディーンにまったく劣っていないが、それにしても…
 通路上に立ち塞がっていた敵を排除したあと、俺は彼女に弾丸を見せてくれるよう頼んだ。
 しばらくためらってから、彼女は銃のボルトハンドルを引いて排莢口から薬莢を一発取り出し、俺に手渡す。
「これは…」
 見かけはいかにも普通の弾丸だった。仕掛けがあるとすれば被甲内部だが…
 そのとき、クリスティーンが素早く走り書きしたメモを見せてきた。こんなことに無駄な時間を割くことに否定的なのだろう、あまり良い顔はしていなかったが、そこには弾頭の内部構造が簡単に描かれていた。
 もっともそこに描かれていたことを理解するのには時間がかかったが…絵や字が下手だったからではない、その内容がにわかに信じ難かったからだ。
「…硬質の爆薬に、遅発信管?このサイズでか?」
 おそらく粘着榴弾と呼ばれる類だろうが、拳銃弾では滅多に見ない代物だ。高度な製造技術が必要でコストがかかるうえ、そもそも拳銃弾のサイズでは効果が乏しく実用性に欠けるためだ。
 爆薬か信管が特殊なのか?俺はクリスティーンのほうを見たが、どうやら彼女はこれ以上の説明をする気はないようだった。






 変電所に到着し、俺たちは各所に仕掛けられたトラップを解除しながらエレベータまで近づく。ここの罠はかつてシエラ・マドレ侵入を試みた冒険者たちがこしらえたものだろう、ディーンの仕事にしては稚拙すぎる。
「互いに利用し合い、自滅する…か。俺たちはその轍を踏まないようにしようね、クリスてぃーんぬ」
「…… …… ……」
「わかった、わかったからその顔で睨まないで。マジで」
 変な呼び方するんじゃねぇ、という顔で眉を吊り上げるクリスティーンをなだめながら、俺はエレベータが稼動状態にあることを確認した。
 彼女には地下のコントロール・ルームから送電システムを切り替えてもらう必要がある。
 ところがどうしたわけか、クリスティーンはエレベータに乗りたがらない。なにか懸念でもあるのか?理由を問いただすが、彼女はメモ用紙を手にしたまますっかり硬直してしまった。
 なにかを書こうとするが、そのたびに行き場を失った感情が皺となって眉間に浮かび、俺を批難するような目つきで睨みつけてから、ため息をつく。
 察しろっていうのか?俺はサイキック・フレンズ・ネットワークじゃないんだぞ。
 互いに苛々が募りはじめてきたとき、チン、という軽快な音とともにエレベータの扉が開き、箱型の閉鎖空間が展開した。
 ああ…俺は声もなく頷く。そうか。オートドクにそっくりなんだ、これは。
 ヤブ医療機械に顔面を切り刻まれたトラウマがぶり返すとでも言うのか?…どうも、そうらしかった。
 どうしようもないな…彼女にこのエレベータに乗ってもらわなくては、事態は進展しない。
「俺に一緒についてて欲しいのか?残念だけど俺は君のテディベアにはなれないんだ、他にやることがある。怖がるなよ…こいつにはドリルもメスもついてない。どうした、強い女の子だろ?」
 そう言って、俺は彼女を抱きしめてやろうとする。
 が、クリスティーンは慌てて俺を押しのけると、猛烈な不快を催したような形相で俺を睨みつけ、ぷいと顔を背けてから、エレベータに乗り込んだ。
「…世話が焼けるな」
 女ってのはこう、なんで面倒な生き物なのかな。
 思わぬところで手こずらされた俺は、やれやれとかぶりを振りつつ変電所を出た。







 さて、計画も大詰めだ。
 俺はプエルタ・デル・ソルに建つ鐘楼の最上階に立ち、コントロール・パネルを前にして呼吸を整えた。
 こいつを操作すれば、すべてがはじまる。
 送電を確認し、俺はレバーをガチャリと押し下げた。










「おお……!!」
 シエラ・マドレがライトアップされ、花火が何発も撃ち出される。ヴィラ中のスピーカからセレモニーのミュージックが流れ、祝典の開催を告げた。







 ドッグ/ゴッド、ディーン、クリスティーンと合流した俺は、シエラ・マドレの正面ゲートへと向かった。クリスティーンだけが猛烈に俺のことを睨んでいたが、気にしないことにする。
 これから俺たちはオープニング・イベントが終わるまでの間にシエラ・マドレへ侵入しなければならない。タイミングを逃せばセキュリティが復活し、ゲートはダニー・パーカーのケツ穴より固く閉じることになる。
 しかし他の連中がさんざん事前に警告してきたように、ヴィラには各所に潜伏していたゴースト・ピープルが続々と集まりつつあった。






「囲まれたか…!!」
 行く手を阻まれ逃げ道を塞がれた俺たちは内心の焦りを抑えつつ、円周防御を敷いてゴースト・ピープルを迎え撃つ。








< Wait For The Next Deal... >








 どうも、グレアムです。Fallout: New Vegas、Dead Money三回目です。
 なるべくライトに書こうとは思ってるんですが、元が殺伐とした話だからか、どうしてもシリアスに寄っちゃいますね…本当はゴースト・ピープルの集団を相手にミス・フォーチュン三人組を召喚して対応だ!みたいなどうしようもないネタも構想としてあったりはしたんですが。
 今回はアクションシーンの画像撮影をけっこう工夫してて、普通撮れないような画像が幾つかあります。わかるかな…ネタばらしはDead Money終了後に取っておきます。仕掛け自体はものすごく単純というか力技なんですが、そもそもこういうSSを撮る人ってそんなにいないので、Modもないし自家発電するかってことで色々データいじってましたですはい。
 ダニー・パーカーは本編ではディーンがチラッと言及するんですが、New Vegasに登場する架空のジャズ・シンガーです。ディーンと同じくモハビ各所にポスターが存在してる人です。英Fallout Wikiによると核戦争時に亡くなっているようですね。













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