主にゲームと二次創作を扱う自称アングラ系ブログ。
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2013/09/24 (Tue)12:47
どうも、グレアムです。最近ずっとFallout3ばっかやってます。なんて報告も今更感が漂ってきた。
オヤジをスプリングベールに連れてきたついでにクソアマもといクソアマタのヘルプメッセージを受信したので、せっかくだから故郷Vault101に里帰りでもしてみる。
「…最初は善人に徹するつもりで、誰一人殺さずに出てきたんだよなぁ…」
それが今じゃどうだ。レギュレイターからは暗黒大魔王みたいな扱いでつけ狙われるわ、パラダイスフォールズの連中は異様にフレンドリーに接してくるわ、悪人街道まっしぐらじゃないか。
つーか俺の場合、悪行しまくってるんじゃなくて善行積んでないのが良くないっぽいんだよな。
そんなことを考えつつ、故郷へと続く隔壁を開く。
Vault101に入ってまず目にしたのは、若者の死体。
「あの平和だったはずのヴォールトに、いったい何が…?」
はっきり言ってここには良い思い出なんかないし、特別親しい人間なんかいなかった。正直、俺はここの連中がどうなろうと関心はない。
しかし、それでもここは普通の人間が安全に暮らしていただけの場所で、その環境をぶち壊してしまったのは自分の父だ。もちろん理由はあったが、だからといって許されるような行為ではない。そしてその責任の一端は自分にもある。せめても落とし前はつける必要がある、というのが今回の帰郷の動機だ。
オフィサー・ゴメスと再会し、ここではVaultを開放しようとする勢力と、安全確保のためにそれを許さない監督官一派の間で諍いが起きているという話を聞く。要するに、よくある若者と大人の闘争だ。ちっぽけな規模の抗争とでもいうか。
しかし人手が足りないからといって、こんなジイさんすら治安維持に駆り出すってのはどうなんだ。手がめっちゃ震えてるじゃねーか。
昔、自分の誕生パーティをやった食堂で悪ガキ一味の一人だったウォリー・マックと再会。驚いたことに彼はブッチと袂を分ち、監督官一派についているという。ブッチやアマタのような、夢見がちな子供の戯言にはついていけないそうだ。
そういえばこいつは頭の回転はそこそこ早いほうで、ブッチに従いながらもどこか見下していた印象がある。もっとも、俺はそんなこいつの抜け目ない部分を逆に警戒していたのだが。
「まさか銃オタのお前がこんな姿になってるとはな。驚いたぜ、まったくよ」
「大変なことになっちまったな。俺のオヤジのせいで…タバコ吸うか?」
「ありがたいね!ヴォールトじゃタバコは作ってないからな」
「しかし、こう…古巣ってのもいいもんだよな。俺が言えた義理じゃないが…」
そう言いながら、俺はバックパックから取り出したウィスキーと血液パックの中身をガラスピッチャーに空け、シェイクしはじめた。
「…なにやってんだ、それ」
「地下鉄に住んでる、ファミリーって連中に教わったんだ。血の味わいかたっていうのかな?こいつを飲むと、全身に活力が湧いてくるんだ。ウォリーも一杯どうだい?」
「いや、俺はいいや…」
血のカクテルを飲み干す俺を、あからさまに引いた態度で見つめるウォリー・マック。まあ仕方ないか、あれでも多少オブラートに包んで話したのだが…
こいつを飲むと活力が湧く、と俺は言ったが、実際には定期的に血を飲まないと身体が思うように動かなくなってしまうのだ。ファミリーと違うのは、俺にとってこれは食事ではなく生命維持薬のようなものだ、ということ。食事は食事で別に摂る。
必要に迫られれば人体から直接血を摂取することもあるが、平時にそれをするほど悪趣味ではない。俺ってばけっこう潔癖症だから、血液パックがあればそれに越したことはないのだ。
「ところで、ブッチは元気かい?」
「なんで俺があのバカのことなぞ気にしなきゃならねェ?あいつ、外の世界に出てギャングの一大勢力を作るとかなんとかほざいてるよ。寝言もいい加減にしろってんだ」
「…トンネル・スネーク、世界に羽ばたく…か。いいね、それ。いいかもしれない」
ウォリー・マックから聞いたブッチの壮大な夢に、俺はわりと本気で関心していた。夢があるって、素敵やん。こんな希望のカケラもない世の中で、そういうデカい夢を持てるってのはいいもんだ。
そして、それが俺の行動を決定した。Vaultを開放しよう。
最初は俺もVaultの解放をガキの妄言だと思っていたし、安全のためにも誰一人Vaultから出さないつもりでいた。
しかし最初に言ったように、俺は基本的にVaultの住民がどうなろうが知ったことではない。であれば、行動の意思がある連中には自由にさせてやってもいいんじゃないのか。それでここが壊滅するようなことがあれば、それこそ知ったことではない。
監督官のオフィスへ向かう途中、ガードの襲撃を受けた。
「あッ、貴様はあの医者の…!!もう逃がさん、今度こそ確実に殺す!」
「…オフィサー・ウィルキンス、正当なる防衛って言葉を知ってるかい」
BLAM!BLAM!BLAM!
銃のトリガーに指をかけるガードに、俺は容赦なく銃弾を浴びせる。
「殺すなんて台詞は、相手の息の根を止めてから言うもんだぜ。俺たち傭兵の世界ではな」
老獪な監督官は、心なしか以前より疲弊しているように見えた。
「いまさら戻ってきて、ついに私を殺しに来たか?」
「馬鹿を言うんじゃないよ。いまこそヴォールトを開放するときだ監督官、もう安全のためなどと言ってる場合じゃない。このままでは住民は、ヴォールト101はゆっくり死に絶えていくだけだ」
「…すべてはヴォールト・テックからの指示だった。純粋な血族の保護、それが最優先事項だった」
「俺はヴォールト・テック本社に行ったことがある。ただの廃墟だったよ…もうヴォールト・テックは存在しない、なら血筋に拘ることになんの意味がある?もうここは実験施設なんかじゃない、ヴォールト神話を終わらせるべき時だ。そして…そう、そして、ただの人間として生きるのさ。ヴォールト住民なんて肩書きは必要ない」
どうやら俺の説得に、監督官は心を動かされたようだ。
「わかった。そろそろ歳寄りは引退し、若者に未来を委ねるべき時かもしれん…アマタを私の後任にしよう」
「そうか。うん…え?いや、それはちょっとマズイ!」
決断するや否や全力でアマタの居場所まで走り出す監督官、それを追う俺。
まったく、このオッサンの親バカっぷりは変わらんな!
「待てよオッサン、あのアホ娘に指導者は無理だ!」
「なんだ、なにが不満だ?」
「全部だ!知性、経験、判断力、どれも欠けている。少なくとも、今は…誤解してもらっちゃ困るが、俺はあんたの指導力を疑ったことはない。あんたには経験があるし、なにより多少は外のことを知ってるんだろう?せめてアマタを後任にするなら、しばらくはサポートが必要だ」
「しかし、いままで争っていた相手が政策の指導につくのは彼女らが納得しないだろう」
「あのな監督官、たしかにアマタは大人になったかもしれない。だが、まだあんたの父親としての仕事は終わってないんだよ」
スプリングベールの農場で廃人同然の暮らしを送っているオヤジの姿を脳裏に浮かべながら、俺は監督官に言った。
「そろそろ、普通の親子として暮らしてもいい頃だ。監督官とその娘、ではなく。ヴォールト神話の終わりってのは、つまり、そういうことだ」
最後の一言が効いたのか、それ以降の両勢力の話し合いはスムーズに進んだ。
あまりの急展開にアマタは驚くやら、喜ぶやら、呆れるやら、とにかく感情をくるくると変えたあとで、俺に対してある提案を持ちかけてきた。
「あなたの協力には本当に感謝しているわ。でも、あなたの存在は未だにヴォールトの人々にとって争いの火種となる可能性を残している。だから…」
「出て行ってほしい、だろ?わかるよ、俺も長居をするつもりはない」
とりあえず、オヤジが起こした騒動に一応はケリをつけることができた、と言っていいのだろうか。
アマタの懸念は理解できる。恩知らずと断じることもできようが、Vault101の住民のことを思えばこそ当然の配慮だと言える。ただ、この…報酬代わりのダッサイVaultスーツはいらないかな…うん……
「外は危険だらけだが、上手くやれる方法がないわけじゃない。それに、このヴォールトは恵まれてる…自分たちがどれだけ恵まれてるかを理解し、それを利用することだ。そうすれば、外の環境に合わせてリソースを上手く使うことができる。外の世界に無いものがここにある。ここに無いものが、外の世界にはある。短所を補い、長所を伸ばせ。そうすれば、このヴォールトはいままで以上に発展する」
最後に、せめても自分なりのアドバイスを残し、俺はVault101を去った。もっとも、未だ興奮冷めやらぬ若者たちに、俺の言葉が届いたかどうかはわからなかったが…
「しかし、ま、いざ出てけって言われると、けっこう傷つくよな…」
ウィルヘルム埠頭、旧スパークルばあちゃんの小屋だった自宅にて。
もともと、自分から出て行くつもりではあった。しかし自分から「俺の役目はもう終わった。傭兵はクールに去るぜ」と言うのと、「出て行け」と言われて背中を向けるのとでは、心的外傷の度合いが違う。
「クソッ、クソッ、あのクソアマタ!あんな場所、エンクレイブにでも乗っ取られちまえばいいんだ!」
そして小心者の俺は、あとから愚痴ることしかできなかった。
おまけ。キッチンが豪華になりました。
しかしまー、もうFOOK2とか全然関係なくなってきたな。
おそらくこのクエストは、本来バニラ通りの展開で進むはずです。なんとなく妄想を膨らませながらプレイしてたら上記のような話がでっち上がりましたまる。ひろし。オゥシット。
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