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主にゲームと二次創作を扱う自称アングラ系ブログ。 生温い目で見て頂けると幸いです、ホームページもあるよ。 http://reverend.sessya.net/
2020/06/28 (Sun)02:03


 
 
 
 
 

State of Decay: YOSE

【 Yankee Oscar Sierra Echo 】

Part.4

*本プレイ記には若干の創作や脚色が含まれます。
 
 
 

 
 
 
 かつては日曜に多くの礼拝者が訪れたであろう教会の聖堂内はがらんとしており、本来あるはずのベンチや講壇はどこにも見えなかった。あちこちに不恰好なバリケードが構築されているのを見ると、それらの材料として廃材利用されたのかもしれない。
 窓際のテーブルに、教会にはあまり似つかわしくない無線設備が揃っていた。一見したところワイドレンジのマルチバンド・レシーバーで、民間モデルだが安い代物ではないはずだ。
 
 
 
 
 
 
リリー:「日中、私はあの無線機に張りついて情報収集をしているの。政府や軍関係の通信を傍受したり、他の場所で活動している生存者たちとやり取りをしているわ。高校ではアマチュア無線部だったの」
ノーマン:「軍…といえば、このあたりに州兵が出動したような様子はないな。対応が遅れているのか?」
 
 この言葉に、リリーは信じられないものを見るような目つきでノーマンの顔を見た。
 やがて、かぶりを振り…
 
リリー:「えぇと、貴方たちは山の中でキャンプをしていて、状況を知らなかったのよね?だから、ラジオやTVニュースのようなメディアがすでに機能していないことも知らないわけよね?」
ノーマン:「なんだって?」
リリー:「このゾンビ騒ぎが始まったのは二週間も前よ。世界中で原因不明の暴徒化が進み、病院が機能停止し、軍が出動した…あまり物事が表沙汰にならなかったのは、政府が報道管制を敷いたせいね。国全体が不安に包まれるなか、政府は非常事態宣言を発令し、そして、それを解除することなく滅びた…そんなわけで、今も国民の頭の中では非常ランプが点灯しっ放しというわけ」
ノーマン:「なんてことだ…つまり、いまさら軍の救助を期待することはできないってわけだな」
リリー:「そうとも言い切れないけど。なにせ、状況がはっきりとわかっているわけではないから。ゾンビ化にしたって、原因がわかっているわけではないのよ。ウィルスか、飛来した隕石に付着していた微生物によるものか、あるいは黒魔術か、神様の怒りによるものか…いまのところ、信憑性はどれも似たようなものよ」
 
 
 
 
 
 
 続けて、リリーはノーマンをキッチンに案内した。教会の台所など、普段なら絶対に足を踏み入れないような場所だ。とはいえ、これといって特別な設備があるわけでもなく、一般家庭とそう変わるところはない。
 
リリー:「いまのところ、料理はサムが担当しているわ。見張り台に立っていた、ドレッドの女性ね。といっても、缶詰のクラムチャウダーにベーコンを足したようなものしかお出しできないけど…サム以外のメンバーがそれより酷いものしか作れない点については先に謝っておくわ」
ノーマン:「新鮮な肉や野菜が手に入るような状況でもないしな。とはいえ、俺に包丁を握らせてくれれば、もうすこし文明的な食事ができることは請け合ってもいい」
リリー:「本当に?あなた、料理ができるの?」
ラムダ:「うちの旦那は料理がすげー得意だぞ。絶品だぞ」
ノーマン:「ま、異世界で無双できる程度にはね。貯蔵している食品の種類にもよるが」
リリー:「だいたいは缶詰ね。それと、料理したあとは容器にしっかり封をしておいてね?でないと、ネズミに食い荒らされてしまうから」
ノーマン:「そうだな。それと、食品は高い場所に保管しておいたほうがいい。床に接地していると小動物や虫の害を受けやすいし、湿気の影響も受けやすい。日の当たる場所に置いてないのは感心だな」
リリー:「詳しいのね?」
ノーマン:「いわゆる、プレッパー…終末マニアというやつでね。自宅の地下にシェルターを作って、食料や必需品を備蓄しておくことに関して多少の知識があるというわけだ。いいや、皆まで言わずとも結構。非常時に家を空けるという迂闊をやらかす大失態の前では、どんな備えも無意味だと今回ハッキリ骨身に染みたよ」
 
 
 
 
 
 
 外に設置された簡易診療所では、負傷したクレイブがウィリアム牧師の治療を受けていた。苦しそうに呻くクレイブの額に玉のような汗が光っている。鎮痛剤の効果が切れかけているのだ。
 
リリー:「あまり言いたくなかったけど、彼の発熱はあまり良い兆候ではないわ。ゾンビ化の初期症状なの。もちろん、そうではない可能性もあるけど…」
ノーマン:「このあたりに病院はないのか?あるいは、医者は?」
リリー:「ドク・ハンソンっていう町医者が生存者のコミュニティを回って診察してくれているけど、一つ処に留まらないせいで中々連絡がつかないし、いつ彼自身の身に危険が及ぶかもわからない。私たちも今彼に連絡を取ろうとしているけど、間に合うかどうか…」
 
 
 
 
 
 
リリー:「そもそも私たちには医薬品の備蓄が充分ではないし、怪我の治療も満足にできない状況なの。もし、彼が助からなかった場合は…治療が間に合わなかった場合、完全にゾンビになる前に頭を撃ち抜いて処分するしかないわ」
ノーマン:「…妥当な判断、だな」
リリー:「そう?てっきり、私はあなたが反論するものだと思ってたわ。わかってほしいのは、私たちがそうやって親しい人を自分の手で処理しなければならないのは、彼が始めてではないということよ。そして、たぶん、これが最後でもない…」
ノーマン:「そうならないようにありたい、というのは、希望的観測というものだろうな」
 
 それからしばらくリリーは沈黙を保っていたが、やがて意を決したようにノーマンに尋ねた。
 
リリー:「ねぇ…父は、どんな感じだった?」
ノーマン:「短い付き合いだったから、俺から言えることは多くないが…頼れるリーダーとして振る舞っているように見えた。俺が彼のもとを訪れたときは、怪我人の面倒を見るのに手一杯という感じでね。怪我人がゾンビになったのか、あるいは、怪我人の手当てをしているときにゾンビに襲われたのかはわからないが…一つだけわかっているのは、彼は決して怪我人を置いたまま逃げるような真似はしなかった、ということだ」
 
 個人的には最大限に配慮したつもりでノーマンが言う。
 父について話すリリーの口ぶりから、おそらくトーマスは娘から慕われていたのだろう、ということは容易に察せられる。そういう存在が亡くなったことを思い知らされたとき、いかに気丈に振る舞おうとも、歳若い娘にとっては大きなショックを与えるであろうことを想像できぬほどノーマンは鈍感ではない。
 表情を見せないよう俯いていたリリーは、やがて唇を震わせてすすり泣きをはじめた。
 
リリー:「ごめんなさい。辛い思いをしているのは私だけじゃないのに、こんな…」
ノーマン:「なんで謝る?世界中がゾンビだらけになったという環境が、身内の不幸を悲しむことを恥じなければならない理由になると思ったことはない」
リリー:「…… …… ……」
ノーマン:「聞いてくれ。君は、俺の友人がゾンビに噛まれたと知ってもなお、受け入れてくれた。それがなければ、俺たちは今頃なんの目的意識もないまま周辺をうろついてただけだったろう。そのことについて、俺は君に感謝してもしきれない。だから、俺たちはこのコミュニティの存続のために全力を尽くすことを誓おう」
リリー:「ありがとう、そう言ってもらえると心強いわ」
ノーマン:「さしあたって、俺たちに協力できることを提示してもらえないか。もちろん、キッチンで一流シェフとしての腕前を振るうという以外の役割についてだが?」
リリー:「まずはドク・ハンソンの捜索ね。あなたの友人を助けるためには、彼の力が必要だもの。それと、物資の収拾。ここで生活していくためには、様々なものを必要とするわ。食料、ゾンビを殺すための弾薬、医薬品、バリケードの構築や建物の補修に必要な資材、発電機や車を動かすのに必要なガソリン…」
ノーマン:「それらを町中から掻き集めてくる必要があるわけだ」
 
 指折りしながらチェックリストの項目をそらんじるリリーに、ノーマンは頷きかけた。
 軍や政府の救援が望めない以上、最終的にはこの地で自活していく道も模索していく必要があるだろう。とはいえ、暫くは町の中にあるだけの物資で凌ぐことは可能なはずだから、畑を耕すことを考えるのは周辺一帯のゾンビを壊滅させてからでも遅くはないはずだ。少なくとも、この町の人口以上のゾンビが土や壁の染みから湧き出てくるとは考え難い。そういう意味では、内戦下よりもシンプルな状況であるとは言えた。
 心配なのは離れた場所にいる娘たちのことだったが…車で移動するにせよ、いまの状態から無闇に娘を探しに遠出するのは自殺行為以外の何物でもない。どうにか無事でいることを祈るしかなかった。
 そんなことを考えていたとき、見張り台のほうから艦砲射撃のような爆音が響き、続いてアランの罵声が聞こえてきた。
 
アラン:「クソッタレ、このあばずれ!そんな大砲を使うんじゃない、世界中のゾンビを教会に招待するつもりか!?死に腐れを相手に乱交パーティでも開きたいのか?」
ラムダ:「うるせークソジジー!」
アラン:「誰がクソジジイだ、貴様、ちょっと降りて来い!」
 
 どうやら、見張り台に立ったラムダがマクミランを使ったことがトラブルの原因になっているらしい。
 
ノーマン:「あれは…ちょっと言って聞かせる必要があるな」
リリー:「あなたの奥さん、だったわよね?彼女はどんな仕事をしていたの?」
ノーマン:「家事のできない専業主婦だ。元軍人で、片手で対物ライフルをぶっ放したり、カタナでゾンビの首を刈り取るのは得意だが、それ以外のことに関してはどえらく不器用なウンコ製造機だ。特に機械類には触らせないほうがいい、絶対に壊す」
リリー:「えぇ…」
 
 淡々と嫁の特徴を挙げるノーマンに、リリーが若干ひいたような表情を見せる。
 ノーマンとしても、ラムダの存在がゾンビとはまた違うベクトルで異質なことを否定する術は持たなかった。
 
 
 
 
 
 [次回へつづく]
 
 
 
 
 


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