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主にゲームと二次創作を扱う自称アングラ系ブログ。 生温い目で見て頂けると幸いです、ホームページもあるよ。 http://reverend.sessya.net/
2012/07/09 (Mon)10:47
「よくやってくれた。それこそが最後のアイレイドの彫像だ」
 ユンバカノは極めて控え目な、それでいて強い達成感を窺わせる表情でそう言った。
 前回のマラーダ…通称<高地神殿>での1件のあとも、ドレイクはこれまで通りにユンバカノの捜し求めるアイレイドの彫像の探索をつづけていた。
 特定のモノを探すにはシロディールはあまりにも広く、そして大陸各地に存在しているアイレイドの遺跡すべてに目当ての彫像があるわけではない。空振りと徒労が続くなか、ドレイクは自身が見つけた3個目の彫像をユンバカノの元へ届けに来たとき、上の台詞を聞いたのだった。



「見たまえ、わたしが職人に依頼して作らせた特注のケースだ。そしていま、ここにあるべきものがすべて揃った。素晴らしい、壮観だと思わないかね、ドレイク君?」
「まったくです」
 ドレイクは生返事をしながら、ケースに10個並ぶアイレイドの彫像を眺め、内心でため息をついた。
 なるほど、どうやら他の7個は別のトレジャーハンターが見つけてきた物のようだ。自分だけが任された仕事ではなかったのだな…と内心で苦々しく思いながらも、これでようやくユンバカノから開放されるのだという安堵も同時に感じていた。
 わざわざドレイクがブラックマーシュからシロディールくんだりまでやって来たのは、学者の使いっ走りになるためではない。ドレイクにはドレイクの目的があるのだ。もっとも今回は止むに止まれぬ事情でユンバカノに協力しているのだが。
「彫像がすべて揃ったということは、俺はもうお役御免ですかな?」
「とんでもない。君にはまだやってもらいたい仕事がある、それも最後の総決算だ」
「…なんですと?」
 てっきり「その通りだ、名残惜しいがもう君は用済みだから、ここから消えたまえ」などと言われるのだろうなと考えていたドレイクは、ユンバカノの口から飛び出した言葉に衝撃を受けた。
「最後の総決算、と言いましたね」
「その通り、すべては今日この日のために準備してきたようなものだ。君さえ良ければ仕事を任せたいのだが、話を聞けばもう後戻りはできなくなる。どうするね?」
「如何する、と?俺に選択肢があると考えたことはありませんでしたが」
「あまり乗り気ではないようだね」
 そう言って、ユンバカノが苦笑を漏らす。しかし気分を害した様子はまったく見られず、むしろ愛想は普段以上に良い。
 不気味だな…とドレイクが内心で警戒する傍ら、ユンバカノは話を続ける。
「しかしわたしのこれまでの行動は、すべて1つの目的のために行なわれてきたものだ。きっと君なら理解してくれると思っている」
「あまり、遠まわしな言い分は得意ではないが」
「まあ、そう急くこともないだろう。宜しい、それでは簡潔に述べるとしよう…わたしの目的とは、そう、言うなればルーツの探求だ」
「…ほう?」
 ルーツの探求。
 その言葉を聞いたドレイクの視線が鋭くなる。
「自身の故郷、自身の祖先、自身の血族。それらを知ることは非常に意義のあることだ。まして、偉大な祖先に瑣末な形ではあるとはいえ、恩返しができるのならば、尚更…ね」
「なるほど。詳しく話を聞きましょう」
 いままでの出鱈目な態度がまるで嘘のように、ドレイクは真剣な眼差しでユンバカノの話に耳を傾けはじめた。
 じつのところ、ドレイク自身も「ルーツの探求」というものに対しては一家言ある男なのだ。本来の目的ではないとはいえ、シロディールに来た目的の1つは自身のルーツへの知識を深めることなのだから。
 どうやら理解者を得ることに成功したようだと確信したユンバカノはニンマリと笑みを浮かべると、話を続けた。
「一般的にアイレイドとは1つの巨大な文明だと誤認されているが、実際は多数の小国が集合したものだった。そして小国同士の争いは絶えず、そこを利用されてアレッシアに滅ぼされてしまったのだよ」
「以前、クロードから借りた資料…<神殿の浄化>、でしたか。あれにも当時の記録が残されていましたね」
 それにしても、とドレイクは思う。
 内紛を利用してアイレイドを滅ぼしたアレッシアを、まるで卑劣な悪者であるかのように語るユンバカノの態度はいささか気になるものだ。
 なぜならアレッシアのアイレイド討伐劇は、一般的には「奴隷制を強行し非道な魔術を使う悪しきアイレイドを、正義の使者アレッシアが退治した」というイメージで語られるため、特にここシロディールではアレッシアの行為の正否を問うだけで異端者扱いされかねない。ましてアレッシアを悪者のように扱うなど気狂い沙汰である。
「しかしアレッシアも、自身の勢力だけでアイレイドすべてを滅ぼしたわけではない。じつは、アレッシア派に手を貸していたアイレイドの勢力があったのだ…彼らは戦火ののちにアレッシア派と友好関係を結び、報奨として滅亡したアイレイドの領地の一部を獲得した。しかしアイレイド文明に批判的なアレッシア派の過激な勢力が彼らを襲撃し、討ち滅ぼした。これは、れっきとした裏切り行為だ」
「たしかに」
「しかし彼らは滅びる最後の一歩手前まで激しい抵抗を続け、自らの一族の名誉を守ろうとした。その尊い姿に、極少数存在していたアイレイド支持派は感銘を受け、彼らを<最後のアイレイドの一族>として内々に語り継いできた」
 そこまで一気にまくし立てたあと、ユンバカノは一旦言葉を切って深く息を吸い込んだ。
 天井を見つめながら、ユンバカノはぽつりと、しかしはっきり聞こえる声で、こう言った。
「最後のアイレイドの一族を率いし、最後のアイレイドの王。その名はネナラタ。わたしには、その血が流れている」
「そうだったのか…」
 なるほどアレッシアに恨みにも似た感情を持つのも無理からぬことだと、ドレイクは思った。
 アレッシアのために正義の戦いに手を貸したにも関わらず、戦争が終わると用済みとばかりに消された祖先の無念。もちろんネナラタ王がたんなる正義感や義憤でアレッシアに手を貸したとは思わないが(敵対勢力を効率よく潰す、というのが最大の目的だったのだろう)、だからといって友好勢力(だったはずのもの)に一方的に滅ぼされていい道理はない。
 ドレイクの祖先もタムリエルの民に友好的とは言い難い勢力だったため、ユンバカノの境遇に幾許かの理解を示していた。
 しかしいまは、歴史の講義よりも気になることがある。
「それで、俺に頼みたい仕事っていうのは?」
「ネナラタの王が身につけていたもので、現存しているアーティファクトがある。王冠だ。それは王位の象徴であり、祖先の残した偉大なる遺産だ。わたしはそれが、博物館で衆人の慰み物にされたり、学者の棚の飾りとして扱われるのは不適当だと感じている」
「つまり王冠を手に入れて来いってことか?」
「そうではない」
 単刀直入なドレイクの物言いに、ユンバカノはイタズラ坊主を諭す年長者のような笑みを浮かべた。
「王冠なら、すでに手配済みだ。まだ手元にはないが、すぐにわたしの元へ届く手筈になっている。王冠が手に入り次第、わたしの念願であり、悲願だった計画を実行することになる。君にはその協力者になってもらいたい」
「それで、王冠を手に入れてどうすると?」
「決まっているだろう」
 ユンバカノは、断固とした口調で言い放った。
「一族のもとへ返す」



「よぉー、爬虫類の旦那」
 3日後。



 ネナラタの遺跡へとやって来たドレイクの目の前に、王冠を手にしたユンバカノと、前回とうってかわって軽装鎧に身を包んだクロードの姿があった。ドレイクが疑問を口にする。
「臆病なんじゃなかったのか?」
「そんなこと言ったかな。いやなに、そんときの気分てやつさ。気にしなさんな」
 2人の背後に目をやると、そこにはユンバカノ邸に護衛として仕える兵士2人と、ユンバカノの執事の姿もあった。
「手下を全員連れてきたのか?」
「使い捨ての日雇い傭兵以外はね。これはわたしの人生のなかでも最大のイベントだ、当然彼らにも目にする資格と義務がある」
 そのユンバカノの言葉に続いて、執事のジョルリング、ドレイクとおなじアルゴニアンの戦士ウシージャ、オークの女戦士ウモグ・グラ=マラッドがそれぞれ感想を漏らす。
「わたくし、これまでずっとご主人様に仕えてきた甲斐がありました。感激の極みです」
「雇い主の言に従う、俺にはそれだけが重要だ。そういうことだ」
「ずっと屋内の警備担当をしているよりかは面白そうじゃないかね?」
 いずれもやる気があるのは確かなようで、ドレイクは思わず感嘆の声を漏らした。
「なんとまあ、麗しき主従関係だな。それよりクロード、聞きたいことがある」
「なんだい、スリーサイズは秘密だぜ」
「おまえアホだろ。そういうのじゃなくてなあ。ネナラタの王冠について聞きたいことがある」
「歴史の講義だったらあとでたっぷりしてやるよ」
「俺が気になるのは、だな。入手経路のほうだ」
「…ふん?そんなもの知ってどうする、余計なものを背負いこむとロクなことにならんぜ、爬虫類の旦那よ」
「警告のつもりか、それは。誤解されると困るから先に言っておくが、俺が知りたいのは完璧に興味本位からだ。どうやって手に入れたものだろうと、とやかく言うつもりはない」
 そう淡々と答えるドレイクを見て、クロードは渋い顔をする。
 しばらく悩んだ末に、ユンバカノがこちらを見ていないことを確認すると、クロードはドレイクを遺跡の影に連れ込んで言った。
「まあいい、どうせこれで最後なんだ。教えてやるとも…前払いの報酬代わりとでも思ってくれや。そうだな…まず、もともとネナラタ王の冠の所持者は、ヘルミニア・シンナっていう女学者だった。ユンバカノは彼女を邸宅に招待し、王冠を譲ってくれるよう説得した。失敗したがね」
 その話を聞いたとき、そういえば、とドレイクは思い返した。アイレイドの彫像の最初の1個をユンバカノに届け、マラーダ遺跡の石板の入手を依頼されたとき、女性の客人がユンバカノ邸に来訪していたはずだ。
 もしかしたら、あれがヘルミニア女史か。そう一人ごちるドレイクの傍らで、クロードが話を続ける。
「さらなる説得を試みるべく、俺様が彼女の家に出向くことになった。どんな手を使ってでも王冠を手に入れるつもりか、と、彼女はそう言ったよ。事実、ユンバカノは俺に『殺してでも奪い取って来い』と言っていたからな」
「で、殺したのか?」
「話はそう単純じゃない。さすがに殺されるのは御免被ると考えたのか、彼女のほうから俺様に取り引きを持ちかけてきた。曰く、『リンダイという遺跡にまだ発掘されていないアーティファクトがある。それもまた王冠で、外観はネナラタ王の冠とそっくりだ。リンダイ遺跡の王の間へと続く扉の鍵をやるから、リンダイの王冠を目当ての物と偽ってユンバカノに届ければいい。私でなければ、冠の見分けはつかない…なぜなら両方とも本物のアイレイド王の王冠には違いないから』とね」
「そういえば、アイレイドは巨大な1つの文明ではなく多数の小国が集まったもの、とユンバカノが言っていたな」
「その通り。そして皮肉にも、リンダイはネナラタと最後まで争いを続けた、いわば宿敵のようなものだった。ユンバカノと確執があったヘルミニアにしてみれば、意趣返しの意味合いもあったんだろう」
「で、王冠を取りに行ったのか?」
「行ったともさ。もっとも、一筋縄じゃいかなかったがね。さすがにアイレイドの遺跡、罠は潤沢に仕掛けられてるわ、死霊どもがわんさかいるわ、大変だったぜ」
「それじゃあ、いまユンバカノが手にしているのは…」
「ネナラタの王冠だ」



 クロードが返答してから、しばらく間が空いた。やがてドレイクが口を開く。
「…ちょっと、何を言ってるのかわからないな」
「俺様がリンダイの王冠を手に入れた3日後にヘルミニアは殺された。押し込み強盗に遭ってな…帝都の衛兵が彼女の家に着いたときには、そりゃあもう酷い有り様だったそうだぜ。家の中はメチャクチャで、ヘルミニアは惨たらしく殺されていてな。ただ、彼女が保管していた<アイレイドの王冠>は無事だったらしいぜ。見つけやすい場所に置いてあったってのにな」
「おまえ、もしかして…」
「王冠が偽者ならユンバカノが真っ先に容疑者候補に挙がっていたろうが、生憎と王冠は本物だった。晴れてユンバカノは容疑から外れたわけだ。まあ、王冠の区別がつくのは自分だけ、と彼女自身も言っていたしな」
「そしてユンバカノは、先祖の仇敵の冠を寄越そうとした女を許しはおかなかったわけだ?」
「いや。俺様は完璧に仕事をこなしたってことさ」



[ to be continued... ]

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無題
おおお、良いところで続きだよ!!!!

しかしクロード君が出てくると空気がガラリと変わりますな
いや、もちろん良い意味でですが
爬虫類の旦那が真面目?なキャラな分余計にチャラチャラキャラが出てるのかもしれませんな(笑)
しかし歴史は見方によって全然違うものに語られますからね
そこが面白い所でもありますけど愚かしくもありますねん
セブン@爬虫類の旦那ぁぇ 2012/07/09(Mon)22:31 編集
無題
次回は戦闘分多めです(笑)今回はタメの話ですね。
予想外にハナシが長くなったんで写真が少ない…

本当は爬虫類の旦那をもっと目立たせたかったんですが、他のキャラと違って目的意識がハッキリしてるぶん、自分の目的と関係ない部分にはわりと無関心なんですよね。
というかこいつ、思ったより動かない。

そのぶんクロードが当初の予定より随分活躍しています(笑)
チャラチャラしてるけど実はプロフェッショナル、的な造型を前面に出したかったとです。

歴史に関してはホントーにね、いわゆる「一般的な解釈」ってヤツにも色メガネはつきものですし。
とりあえずヨーロッパ諸国はドイツさんをそろそろ労わるべきだと思う。
ギリシャとかフランスとかてめーらのことだ!
グレアム@爬虫類の大将 2012/07/11(Wed)11:42 編集
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