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主にゲームと二次創作を扱う自称アングラ系ブログ。 生温い目で見て頂けると幸いです、ホームページもあるよ。 http://reverend.sessya.net/
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2012/07/17 (Tue)14:47


「アレッシア・オッタス曰く、スキングラードはワインとチーズの名産地らしい…と聞けば、それを嗜まずに過ごすわけにはいくまい」
 ユンバカノ絡みのゴタゴタのあと、クロードと別れたドレイクは帝都の西部に位置する都市スキングラードへと向かうことにした。
 ちなみにキャドリュー礼拝堂でネクロマンサーの集団に襲われたときは、クロードと協力してなんとか相手全員を血祭りに上げたのだった。正直、キチガイのあとにキチガイ集団を相手にするとかマジ勘弁してほしいんですけど。
「それにしても、なぁ…」
 ドレイクはタミカワインに舌鼓を打ちながらも、いささか抑揚に欠ける声音でつぶやいた。
「ふたなり姉妹の旅館と聞いて、なんて夢のある話だと思ったんだが…しかもオークじゃないか」
 いまドレイクが滞在しているのは、スキングラードに2箇所存在する宿のうちの1つ「ふたり姉妹の旅館」。断じて染色体XX型ベースに男性器を生やしたドリーム生物とは関係がない。しかもオークだし。

 ふたなりはひとまず置いておくとして、ドレイクがスキングラードに来たのは観光が目的ではない。
 今回もドレイクの恩人であるセンセイから依頼された仕事の関係だ。ユンバカノのときと同様、「どうやら知己の友人が助けを必要としているらしい。できれば協力してやってくれないか」というセンセイたっての依頼なので、ドレイクとしては、断るわけにもいかず…
 とはいえ、ユンバカノに依頼されたアイレイドの彫像探索で予想以上に時間を取られたのは事実だ(しかも、結局はすべてムダになった)。一刻も早く「本来の目的」に取りかかりたいドレイクとしては、今度の仕事はさっさと片付けたい、というのが本心であり本音だった。もっとも、そんな態度を表に出すわけにはいかないが。





「いやーすまないね。遠来の客人があるとわかっていながら、家を掃除するヒマもなくてね」
「お構いなく。それより蔵書の一部を拝見したいのだが…」
 スキングラード南部の聖堂エリアにある、それなりに豪華な邸宅。
 ドレイクはそこの家主であり、センセイの古い友人でもある宗教学者のグラルシルと会っていた。低身長、そして若干の落ち着きのなさは典型的なボズマー(ウッドエルフ)であることを窺わせる。
「好きなものを持っていくといい。なにかジャンルの特定などは?わたしは自分が所持している本の内容はすべて憶えているから、関連資料をすぐにでも揃えられるが」
「オブリビオン…それと、デイドラ・プリンスを崇拝する勢力について」
「よかろう。しかしその、なんだ。アレかね、君もカルトに追われているクチかね?」
「追われている?いや、俺の場合は追っているというか…探し物の手がかりになるかもしれない、ただそれだけの話なんだが。カルト自体には興味はない」
「なるほど、込み入った事情がありそうだな」
「ところでいま、『君も』、『追われている』、そう仰いましたか?」
「ああ、そうだ、そう。そうだとも…じつは君に話したいことが、いや、君にしか話せないことがある」
 神経質そうにあたりを見回しながら(自宅だというのに)、グラルシルは勿体をつけた口調で話しはじめた。
「じつはわたしはいま、命を狙われているんだ」
「それはまた…相手に心当たりは?」
「ある。が、まだ決定的な証拠が掴めていない。なにせ宗教学者などをやっていると、自分でも自覚のないうちに、いろいろと痛い腹を探ってしまうこともあるものさ。難儀なものだな」
「衛兵に通報は?」
「してどうなる?連中の役立たなさは折り紙つきだよ、まったく!『決定的な証拠がないと動くことはできない』、そんなふうに言って、結局は死人が出てから事後処理するしか能がないのさ。それに今回の件は、衛兵の中にも敵のスパイ、ないし密告者、協力者がいるとわたしは睨んでいる」
「厄介な話ですな。それで、俺にできることは?」
「じつは、わたしの命を狙う不届きな輩の名前はもうリストアップしてある。彼、ないし彼女らはここスキングラードにそれなりの地位を持っていて、法的に訴えようとしても揉み消されるのが関の山だ。そして、連中のような大罪人がこれ以上野放しになっているのを黙って見過ごすわけにはいかない」
「つまり、始末しろ、と?」
 半ば冗談めいたドレイクの一言はしかし、グラアシアによってあっさりと肯定されてしまった。
「そうだ。君のような誠実な男にこんなことを頼むのは心苦しいが、わたしもただ蚊帳の外で殺人の代行を眺めるだけじゃない。なにより、わたしの手はもう汚れている…かつて容疑者の素行調査を流浪の冒険者に依頼したことがあったが、あろうことか、その冒険者も敵とグルだった。わたしは自身の命、そして正義を守るため、その冒険者を殺さなければならなかった。いまにして思えば運がよかった…その冒険者は、連中の勢力にあって末端もいいところだったのだからね。しかしこれから君に暗殺を依頼する対象は、間違いなく幹部クラスだ。わたしでは到底太刀打ちできそうにない」
「そこで俺の出番、というわけか。わかりました、引き受けましょう」
 ドレイクがそう言うと、これまでずっと暗かったグラルシルの表情がぱっと明るくなった。
「本当にやってくれるのかい!?これは頼もしい、まさに持つべきものは友、だな!センセイとその偉大な友人に感謝だ!」
 いまにも小躍りしそうな歓喜の表情を浮かべながら、グラルシルはドレイクに暗殺対象の名前が書かれたメモを渡してきた。
 メモを受け取ったドレイクはざっと名前のリストに目を通し…それはほとんど事務的な仕草で…それほど熱心に名前を注視しようとしたわけではなかった。故郷より遠く離れた土地のカルト信者の名前など、自分が知っているはずもないと思っていたからだ。
 しかしメモに書かれた、非常に馴染みのある幾つかの名前を見つけると、ドレイクは心なしか背筋が凍りついたような感覚に陥った。
「…こりゃあ、厄介な事件(ヤマ)になりそうだな」



「『ベルナドット・ペネレス』、シロディールでもっとも著名かつ高級なワイン<タミカ・ブランド>の従業員。『トーティウス・セクティウス』、スキングラードの領主ハシルドア伯爵の知己の友人。『ダヴィデ・スリリー』、タミカに次いでシロディールで有名な<スリリー・ブランド>のワイン製造を手がけるスリリー兄弟の1人。か…」



 グラルシルに渡された暗殺候補者リストを見つめながら、ドレイクは深くため息をついた。
 リストアップされた名前がそこいらのチンピラか、あるいは言い逃れのできない悪党であれば、ドレイクはすぐにでも手討ちにする予定だった。しかしリストに書かれていたのはいずれも町の名士か、そうでなくとも非常に親しまれている人物なのは間違いない。
 かといってグラルシルが嘘をついているとか、私欲でドレイクを利用しようとしているとも考え難かった。間近から観察した限り、あれは詐欺師の目ではない。確かに追い詰められた者のそれだった。
 そこでドレイクは、まず暗殺対象を観察するところからはじめたのだった。
 見知らぬ大陸で殺人を犯すリスクは計り知れず、穏便に済ませられるのならば、それに越したことはない。
「ベルナドットかい?いい娘だよ、よく働くし、気立てはいいしね。彼女がいなければ、ウチのワイン醸造ははかどらないだろうね」
 ひとまず自身の身分や目的をそれとなく隠しながら、ドレイクは暗殺対象の関係者と接触する。
 たったいまドレイクの質問に答えたのは、タミカのもとで働くシャメーラという名の農夫だった。ついでにトーティウス・セクティウスについても尋ねる。
「あの貴族様かい?日中は馬で散歩するのを日課にしているようだなあ。ちょっと身分の高さをハナにかけてて、そりゃあ気に入らないところもあるけど、でも悪人ではないよ」
「そうか…」
 ドレイクは、自分が壁にぶち当たったのを感じていた。
 ベルナドット、そしてスリリーに関しては怪しいところは何一つ見受けられず、人柄も評価されている。まして死なせてしまうと、シロディールのワイン産業に大きな打撃を与えることは間違いない。
 唯一怪しいのがセクティウスだが(貴族がじつはカルトの狂信者、なんていうのはよくある話だ)、いまのところ、それらしい情報はいっさい出てこない。
「参ったね、どうも…」
 そうつぶやき、ドレイクは後頭部を撫でる。
 そのとき、遠くから女傑タミカが猛スピードでドレイクに駆け寄り、対面一発、怒声を響かせた。
「アンタ、うちの羊になにやってんだい!」
「あー、いや、これは…」
 …そういえば、ただ立ちんぼで見張るのも疲れるので、ワイン畑をうろついていた羊に乗って遊んでいたのだった。怒られてもまったく仕方はなかった。

 調査に行き詰まりを感じたドレイクは、すこし視点を変えてみることにした。
 暗殺候補者ではなく、依頼者のグラルシルに関する情報を集めはじめたのである。すると…
「グラルシル?ああ、あの変人?また何かやったの?」
 出るわ。
「悪人じゃないと思うんだけどね。気難しいというか、なんというか…神経質っていうのかな?」
「一日中誰かの後をつけ回しちゃあ、わけのわからんことをブツブツつぶやいてる奴だろ?衛兵はなんだってあんな怪しいやつを放っておくんだ?」
「あんなキチガイ、スキングラードの恥だ!衛兵はとっととあのクソ野郎の首を引っ括っちまうべきだぜ!」
 出るわ、出るわ。
 ちょいとグラルシルの名前を出すと、町の誰もが表情を一変させ、彼に対する罵詈雑言を並べはじめる。これは尋常ではない。
 とはいえ、その評価は「変人だけど、実害はないから放っておこう」というものが大半だった。おそらく、グラルシルがすでに冒険者を1人始末したことなど知る由もないのだろう。
「センセイ…貴方は、なんで俺にこんな無茶振りばっかり押しつけやがるんですかい……?」
 どうやら最悪の事態になりつつあることを朧げながら理解しはじめたドレイクは、遥か遠くブラックマーシュの地にいる恩師の姿を思い浮かべ、泣きそうになるのをぐっと堪えた。



 そういえば、この町にはもう1人センセイの知人がいたな、と思い出し、ドレイクはふたな…もといふたり姉妹の旅館と対になるもう1つの宿、西ウィールド亭へと足を運んだ。
「たしかあいつは、この宿の地下室に住まわせてもらってるはずだったな」
 宿の女将に断りをいれ、地下室へと続く扉を開ける。その瞬間、白煙とともになんともいえない異臭がドレイクの鼻を突いた。
「うわ、くっさ」
「誰かね?」
 地下室の奥から、男の明朗な声が聞こえてくる。まるで異臭なんてないかのように、だがドレイクの背後に控える宿の女将や客人たちは皆、例外なく嫌悪感丸出しの表情をドレイクに向けてくる。
 俺のせいじゃないのに…とひとりごちながら、ドレイクはさっさと扉を閉めて階段を下りていった。若干手狭な室内には魔術師が使うような実験器具が所狭しと並んでおり、あちこちに錬金術用の調合素材が積まれているなか、1人のアルトマー(ハイエルフ)がドレイクに笑顔を向けてきた。



「やあやあ、誰かと思えば珍しい客人じゃないか。いつシロディールに来たんだね?」
「つい最近な。それよりこの臭い、なんなんだ」
「じつは新しいポーションの製造に着手していてね。ニルン草という珍しい素材を使った、その名も<エリクサー>。滋養強壮はもちろん、あらゆる身体能力を向上させ冒険者の活動をサポートしてくれる。試作品があるけど、飲んでみるかい?」
「あー、こりゃどうも。ウッ」
 センセイの知人、錬金術師のシンデリオンに勧められ、ドレイクは小瓶に入った液体を飲み干す。えぐみ、苦味、甘味などがないまぜになって喉を刺激し、あまりのまずさにドレイクは思わず涙を流してしまった。
 客人の反応にたいして興味を示すふうでもなく、シンデリオンはポーション製造の片手間に感想を求めてくる。
「どうだね?身体中に力が漲ってくるようだろう?」
「…まず味をなんとかしたほうがいい。効能はそれからだ」
「そうかね。ジュース屋を開くわけではなし、味など二の次だと思っていたが、君は違う見識を持っているようだな」
「つまり、味を改善する気はないんだな?」
「そういうこと」
 クソ野郎め…という言葉を寸でのところで飲み込み、ドレイクは深呼吸をすると、努めて平静さを保つよう努力した。
 そんなドレイクの葛藤など知る由もなく、シンデリオンが質問してくる。
「ところで、わざわざ僕に会いに来た理由を話してくれるかな?ただ挨拶しに来たわけじゃないだろう、君のことだから」
「悪かったな…じつはセンセイに頼まれて、グラルシルの様子を見に来たんだ。あいつはいまカルトの狂信者に命を狙われてるらしいが、俺が調べたところ、どうにも話が噛み合わなくてな。なにか知ってたら話してほしいんだが」
「グラルシル、か…」
 その名前を聞いたとき、シンデリオンははじめて作業の手を止めた。
 浮世離れした研究オタク…というのが一般的なシンデリオンのイメージだったが、実際は宿に居候している立場を活かし、積極的にウワサ話を仕入れている情報通だった。
 そのことを見込んでドレイクは彼に会いに来たのだが、どうやら当たりだったようだ。
「なぁ、トカゲさん。あのチビには…グラルシルには関わらないほうがいい。神経質で変わり者なのは昔からだったが、最近は明らかに様子がおかしくなっている」
「ほう?」
「妄執…とでも言うのかな。最近のあいつは、町中の全員が自分の敵に見えるんだそうだ。自分以外の連中はみんなグルで、自分を陥れようとしている…そんな話を聞かされたことがある。第一に、キミは、グラルシルの命を狙ってるっていうカルトの具体的な情報を彼から聞いたかね?」
「いや…」
「そうだろうとも。彼の精神は疲弊しきっていて、もう何をやらかすかわからない状況だ。といっても実際に何かをやらかしたわけじゃないから、衛兵が動くことはできない。でも、何かあってからじゃ遅いんだ。ところでキミは、グラルシルから何を頼まれた?」
「その話についてなんだが」
 そう言って、懐にしまってあったグラルシルの暗殺候補者リストを取り出そうとしたとき。



「せんせー、この素材はどこに置けばいいんですかぁ?」
「あの、キミね…いま客人と話してるんだが」
 2人の前に、唐突にエルフの少女が姿を見せた。丸眼鏡をかけた小柄な少女は一瞬キョトンとすると、すぐにドレイクの姿を認め、慌てて態度を取り繕おうとした。
「あっ、えーと、あのー、シンデリオン先生のお知り合いですか?」
「キミね、おーい、ミレニア?とりあえず退席つまり退去あるいは出て行ってくれないかな?僕は彼と大事な話をしているんだ」
「スッ、すすすすすスイマセンッ!」
 少女は力いっぱい頭を下げると、慌てて出て行ってしまった。その直後、「ドカンッ」という強烈な殴打音が鳴り響く。たぶん、焦って走ってそのまま扉に頭をぶつけでもしたのだろう。
 風のようにやってきて嵐のように去っていった少女の立っていた場所を眺めながら、ドレイクがぽつりとつぶやく。
「追い返さなくてもよかったろうに」
「いや、微妙な話の最中だったからね」
「誰なんだ、あの娘。見たところアルトマーっぽいが、どうもシロディールのエルフっぽくないんだよな」
「ミレニア・マクドゥーガルという名だ。知り合った事情はちょいと複雑でね…彼女は魔術大学の会員で、たまに僕の手伝いに来るんだ。本人はアルトマーとインペリアルのハーフだと言っていたが、本当かどうかは知らない」
 そこまで言って、シンデリオンは「フン」と鼻を鳴らした。
「錬金術の腕は悪くないし、魔術の才能もそこそこあるんだが、なにせそそっかしくてね。なんというか、手のかかる小娘だよ…ところでさっき、僕に何か見せようとしていたようだが」
「いや、いいんだ」
 ドレイクはグラルシルの暗殺候補者リストをコートの内側に押し込み、シンデリオンへの返答を適当にはぐらかした。いまここでシンデリオンを危険に巻き込む意味はない、と思い直してのことだった。
 だが…とドレイクは思う。シンデリオンと会い、疑念が確信に変わる。
「やるべきことは、決まったな」
 ドレイクは誰ともなくそうつぶやくと、シンデリオンの地下研究室を後にした。



「それで、まだあの3人を殺していないわけを教えて欲しいんだが」
 グラルシル宅。
 どうやら今日1日のドレイクの行動をそれとなく監視していたらしいグラルシルは、苛立った口調でドレイクに問い詰めてきた。
 それに対し、ドレイクは努めて平静を保ちながらゆっくり言葉を揃えていく。
「1日かけて標的を観察してみたが、不審な素振りは見られなかったんで、暗殺は一旦保留にしておいてもらいたい。それと、アンタを狙う<組織>とやらについて、もうちょっと詳しく教えてほしいんだが」
「なんだって?…ふ、はは、ハハハッ!そういうことか!」
 ドレイクの言葉を聞いたグラルシルは一瞬呆気にとられたかと思うと、次の瞬間には笑い出し、そして叫び声を上げた。
「まさか君まで連中に籠絡されるとはね!いや、そもそも最初から連中の仲間だったのか?ついに本性を現しやがった…このクソッタレのトカゲ野郎め!いいさ、わたしだって自分の身くらいは守れるんだ!」



 そこまで言って、グラルシルはベンチの下から斧を取り出した。それを見たドレイクは驚愕する。
「ちょ、おま、なんだその斧の持ち方!」
「くおぉぉぉのおお、悪党めえぇぇぇぇッッッ!おまえなんぞに、殺されて、たまるかあああぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
 口からあぶくを飛ばしながら、血走った目をくわっと見開き、グラルシルは襲いかかってきた。
「チィィッ!」
 ドレイクは咄嗟に身構えると、抜き討ちでグラルシルの持っていた斧を弾き飛ばした。



「ぐええぇぇぇっ!」
 左手をアカヴィリ刀の柄から離し、グラルシルの首筋に手刀を叩き込む。
 グラルシルは踏み潰されたウシガエルのような悲鳴を上げると、バターンと音を立ててその場に昏倒した。
「…ッ、フゥ…死なせちゃ、いねェか……」
 咄嗟の反応にしては悪くない、ドレイクはそうひとりごちると、その場に尻餅をついた。



「あれでも、俺にとっちゃあ恩師の友人で、宗教学の知識は相当なものだ。どういうキッカケでおかしくなっちまったのかはわからないが、そういう事情だから、あまり手荒に扱わないでくれよ」
 ドレイクの言葉を聞いた衛兵隊長は、静かに頷くと、囚人服に身を包んだグラルシルを引っ張っていった。
 けっきょくドレイクは気絶したグラルシルを、彼の犯罪を証左する数々のメモや日記帳と一緒に衛兵に引き渡したのだった。朝焼けとともに城の牢獄へと連れていかれるグラルシルの後ろ姿を見つめながら、ドレイクは重いため息をついた。
「これはセンセイに報告しづらいな。ユンバカノといい、グラルシルといい、どいつもこいつもどうしてこう、どこで道を誤っちまったのかねェ…」



「許さんぞ、あのトカゲ野郎。許さん、許さん、許さん……!!」



[ to be continued... ]

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