主にゲームと二次創作を扱う自称アングラ系ブログ。
生温い目で見て頂けると幸いです、ホームページもあるよ。
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2011/10/07 (Fri)12:35
『自動保護モード解除。機能の完全復帰までにかかる時間、約120秒…』
「う、ん……?」
ひんやりとした感触で目が覚める。
「はて、ここはどこじゃ?」
身体を起こそうとすると、ジャラリ、と鎖が金属音を立てた。
「枷…じゃと?」
自らの腕に嵌められた鉄製の枷を、いぶかしげな目つきで眺める。自分が一糸纏わぬ裸体をランプの明かりの下に晒していることに気がついたリアは、現状を充分に把握できないでいた。
『クロックモード…機能不全。破損したデータを初期化中、新しい情報を再取得します』
「ふん」
バキィ、と派手な音を立て、リアは手枷を破壊する。痛んだ手首をさすりながら、リアは周囲を見回した。
「ここは…独房か?どちらかと言うと、拷問部屋といった風情かの」
『情報の取得に成功。現在時刻、3E433年最後の種月27日…』
「なんじゃ、この年号は。西暦でも新暦でもないのか」
向かいの独房にいるメトセラ種(と思われる…外見は似ているが、肌の質感からするとまったくの別種のようだ)がなにやら五月蝿いが、あえて相手をする気にはなれなかった。
『環境探査モード起動、スキャニング・プログラム実行中…赤外線視野展開、X-rayオプション実行』
「どうやら隠し通路があるようじゃな、面白い。ま、こういった施設にはつきものだからの。鉄格子を破壊して脱出してもいいんじゃが、まぁスマートなやり口ではないからのう」
それにしてもこの喋り方、どうにかならないのか。
「思考支援チップが変調をきたしておるのかもしれんな。義体のヴァージョンも違うようじゃし、まったくわけがわからんよ。顔の造詣も今一つじゃしの」
最後に省電力モードに移行してから現状に至るまでのデータがメモリバンクに一切存在しない。気がかりなのは肉体が新調されていることだ…ヴァージョン・モデルHEL-00c。
何者かの手によってここに運ばれたのか、あるいはリンケージ・エンジンコア破壊による影響で物質転送されたのか…後者であって欲しかった。前者であれば、事務所が襲撃されて勇者屋の面々が全滅した可能性が高い。
「ともあれ、まずはここから脱出するのが先決じゃな」
一方……
「くそっ、どこからこんなに沸いて来るんだ!?」
帝都の地下牢から続く遺跡の中では、激しい交戦が展開されていた。
立て続けに起きた皇族とその側近の暗殺劇。唯一逃げ延びた現皇帝にして皇族最後の生き残りであるユリエル・セプティムとその直属護衛部隊ブレイドは、暗殺者の襲撃をかわしながらの逃走劇を続けていた。
背中を刺すだけが取り柄の連中ならば、ブレイドが遅れを取ることなど有り得ない。
だが邪神メルエーン・デイゴンを崇拝する邪教集団・深遠の暁の殺し屋は、召喚術を応用した魔装戦士だった。魔界オブリビオンの武具を召喚し自身に装着する外法は強力だが、その対価は人間性の破壊だ。本来ならば人間が扱えるような代物ではない。
「駄目だバウルス、これ以上は…ぐあぁぁっ!」
「グレンロイ!?」
仲間が次々に殺されていく。
既に生き残りは皇帝ユリエル・セプティムとブレイドの隊員バウルスのみ。だというのに、敵は未だ有象無象に沸いてくる。
「これまでか…いや、まだだ。こうなったら、一人でも多く道連れにしてくれるッ!」
雄叫びをあげ、バウルスが殺し屋の集団に斬りかかろうとした、そのとき。
ガシャーーーンッッッ!
通風孔に嵌められていた格子が落下し、殺し屋数名を巻き込んで押し潰す。石床を破壊した格子の上には、幼体を惜しげもなく晒すリアの姿があった。
「なんじゃ、とんだ修羅場に飛び込んでしまったようじゃの。これは状況説明を求めることができるような雰囲気ではないな」
「な、な、な、な……!?」
突然の出来事に狼狽するバウルスを傍目に、リアは不適な笑みを浮かべた。
「とりあえず、善玉っぽいほうに加勢しておくかの」
「貴様、邪魔立てするか小娘ェッ!」
迫り来る殺し屋を前に、リアは周囲に散らばる亡骸が手にしていた剣を手に応戦する。
「小娘を前に躊躇なく剣を振るうとは、なかなかの外道じゃの。根っからの犯罪者タイプというやつじゃな…まあ、そういう連中のほうがこちらもやりやすいがの」
容赦なく攻撃を加えてくる殺し屋に、リアはアンドロイド特有の強力な腕力を剣に乗せて叩き込む。召喚装着されたデイドラの鎧を破壊して殺し屋の肉体に喰い込んだ鉄製の剣は、振り抜いた直後に粉々になった。
普通の人間なら反動で腕の骨が折れてもおかしくない一撃を加えた直後にあって、リアの細腕はまったく影響を受けた素振りも見せない。
「うむ。この肉体、気に入った」
幾人もの殺し屋を叩き伏せた末に、リーダーらしき男の姿が見える。その足元には、斬り捨てられた皇帝ユリエル・セプティムの亡骸が横たわる。
「う~む、間に合わんかったか。これも世の無常というやつかの」
「小娘、なぜ皇帝側に味方する?見たところ、皇帝に恩も義もないように見えるが」
「さてな、ツラを見て決めた。それだけじゃ」
「後悔することになるぞ」
「かもしれんが、それはおぬしにとっての慰めにはならんのではないかな」
リアと殺し屋のリーダーは互いに視線を交わす。時間が止まったように感じたその一瞬後に、二人は剣を交えた。
「ば、馬鹿な……っ!?」
「悪くない反応じゃった。まあ、人間にしてはな」
心臓を刺し貫かれ、あからさまに狼狽する殺し屋のリーダー。死の間際に召喚装甲が消失し、深遠の暁の信者の証である真紅のローブを纏った男の姿が現れる。その顔は、普通の人間そのものだった。
「ぜ、全員倒したのか…?」
納刀しながら近づいてくるバウルスに、リアが向き直る。
「残念だが貴公の主人の命は守れなかった。まあ、あまり気を落とさんことだ」
「なぜ、俺が気を落とすと?」
「主人のためなら平気で命を投げ出しそうなツラをしておる」
「そう、か……」
バウルスは皇帝の亡骸に近づくと、静かに黙祷を捧げた。
「ところで、助太刀を受けた手前言いにくいんだが…」
「わしが何者か、という質問には答えられんぞ。なにぶん記憶が飛んでおるもんでな、なぜここにいるのか、自分が何者なのか、自分でも皆目検討がつかんのじゃ」
「いや、それもそうだが。なぜ服を着ない?」
「気になるか?」
「ならんはずがあるか」
「う~む。人間的な羞恥というのは、どうも扱いにくい感情じゃのう」
「羞恥云々の問題じゃない。そんな恰好でうろついたら帝都兵に捕まるぞ」
「じゃあ何か着るものを貸してくれるか?」
「ブレイドの鎧は隊員以外に着せることは許されない。皇帝の衣装など以ての外だ。かといって、深遠の暁のローブを着ても裸同然の犯罪者扱いだろう」
「八方塞がりではないか。服を着ろと言ったのはおぬしであろう」
「仕方がない、俺が一筆書いてやる。それを持って帝都の商業地区に行くんだ、そこで装備を受け取るといい。それまでに布切れ一枚でいい、なんとかして調達しろ」
「まったく、勝手じゃのう…」
突如はじまったアンドロイドの少女リアの物語。様々な謎をはらみつつ、次回へ続く…?
「う、ん……?」
ひんやりとした感触で目が覚める。
「はて、ここはどこじゃ?」
身体を起こそうとすると、ジャラリ、と鎖が金属音を立てた。
「枷…じゃと?」
自らの腕に嵌められた鉄製の枷を、いぶかしげな目つきで眺める。自分が一糸纏わぬ裸体をランプの明かりの下に晒していることに気がついたリアは、現状を充分に把握できないでいた。
『クロックモード…機能不全。破損したデータを初期化中、新しい情報を再取得します』
「ふん」
バキィ、と派手な音を立て、リアは手枷を破壊する。痛んだ手首をさすりながら、リアは周囲を見回した。
「ここは…独房か?どちらかと言うと、拷問部屋といった風情かの」
『情報の取得に成功。現在時刻、3E433年最後の種月27日…』
「なんじゃ、この年号は。西暦でも新暦でもないのか」
向かいの独房にいるメトセラ種(と思われる…外見は似ているが、肌の質感からするとまったくの別種のようだ)がなにやら五月蝿いが、あえて相手をする気にはなれなかった。
『環境探査モード起動、スキャニング・プログラム実行中…赤外線視野展開、X-rayオプション実行』
「どうやら隠し通路があるようじゃな、面白い。ま、こういった施設にはつきものだからの。鉄格子を破壊して脱出してもいいんじゃが、まぁスマートなやり口ではないからのう」
それにしてもこの喋り方、どうにかならないのか。
「思考支援チップが変調をきたしておるのかもしれんな。義体のヴァージョンも違うようじゃし、まったくわけがわからんよ。顔の造詣も今一つじゃしの」
最後に省電力モードに移行してから現状に至るまでのデータがメモリバンクに一切存在しない。気がかりなのは肉体が新調されていることだ…ヴァージョン・モデルHEL-00c。
何者かの手によってここに運ばれたのか、あるいはリンケージ・エンジンコア破壊による影響で物質転送されたのか…後者であって欲しかった。前者であれば、事務所が襲撃されて勇者屋の面々が全滅した可能性が高い。
「ともあれ、まずはここから脱出するのが先決じゃな」
一方……
「くそっ、どこからこんなに沸いて来るんだ!?」
帝都の地下牢から続く遺跡の中では、激しい交戦が展開されていた。
立て続けに起きた皇族とその側近の暗殺劇。唯一逃げ延びた現皇帝にして皇族最後の生き残りであるユリエル・セプティムとその直属護衛部隊ブレイドは、暗殺者の襲撃をかわしながらの逃走劇を続けていた。
背中を刺すだけが取り柄の連中ならば、ブレイドが遅れを取ることなど有り得ない。
だが邪神メルエーン・デイゴンを崇拝する邪教集団・深遠の暁の殺し屋は、召喚術を応用した魔装戦士だった。魔界オブリビオンの武具を召喚し自身に装着する外法は強力だが、その対価は人間性の破壊だ。本来ならば人間が扱えるような代物ではない。
「駄目だバウルス、これ以上は…ぐあぁぁっ!」
「グレンロイ!?」
仲間が次々に殺されていく。
既に生き残りは皇帝ユリエル・セプティムとブレイドの隊員バウルスのみ。だというのに、敵は未だ有象無象に沸いてくる。
「これまでか…いや、まだだ。こうなったら、一人でも多く道連れにしてくれるッ!」
雄叫びをあげ、バウルスが殺し屋の集団に斬りかかろうとした、そのとき。
ガシャーーーンッッッ!
通風孔に嵌められていた格子が落下し、殺し屋数名を巻き込んで押し潰す。石床を破壊した格子の上には、幼体を惜しげもなく晒すリアの姿があった。
「なんじゃ、とんだ修羅場に飛び込んでしまったようじゃの。これは状況説明を求めることができるような雰囲気ではないな」
「な、な、な、な……!?」
突然の出来事に狼狽するバウルスを傍目に、リアは不適な笑みを浮かべた。
「とりあえず、善玉っぽいほうに加勢しておくかの」
「貴様、邪魔立てするか小娘ェッ!」
迫り来る殺し屋を前に、リアは周囲に散らばる亡骸が手にしていた剣を手に応戦する。
「小娘を前に躊躇なく剣を振るうとは、なかなかの外道じゃの。根っからの犯罪者タイプというやつじゃな…まあ、そういう連中のほうがこちらもやりやすいがの」
容赦なく攻撃を加えてくる殺し屋に、リアはアンドロイド特有の強力な腕力を剣に乗せて叩き込む。召喚装着されたデイドラの鎧を破壊して殺し屋の肉体に喰い込んだ鉄製の剣は、振り抜いた直後に粉々になった。
普通の人間なら反動で腕の骨が折れてもおかしくない一撃を加えた直後にあって、リアの細腕はまったく影響を受けた素振りも見せない。
「うむ。この肉体、気に入った」
幾人もの殺し屋を叩き伏せた末に、リーダーらしき男の姿が見える。その足元には、斬り捨てられた皇帝ユリエル・セプティムの亡骸が横たわる。
「う~む、間に合わんかったか。これも世の無常というやつかの」
「小娘、なぜ皇帝側に味方する?見たところ、皇帝に恩も義もないように見えるが」
「さてな、ツラを見て決めた。それだけじゃ」
「後悔することになるぞ」
「かもしれんが、それはおぬしにとっての慰めにはならんのではないかな」
リアと殺し屋のリーダーは互いに視線を交わす。時間が止まったように感じたその一瞬後に、二人は剣を交えた。
「ば、馬鹿な……っ!?」
「悪くない反応じゃった。まあ、人間にしてはな」
心臓を刺し貫かれ、あからさまに狼狽する殺し屋のリーダー。死の間際に召喚装甲が消失し、深遠の暁の信者の証である真紅のローブを纏った男の姿が現れる。その顔は、普通の人間そのものだった。
「ぜ、全員倒したのか…?」
納刀しながら近づいてくるバウルスに、リアが向き直る。
「残念だが貴公の主人の命は守れなかった。まあ、あまり気を落とさんことだ」
「なぜ、俺が気を落とすと?」
「主人のためなら平気で命を投げ出しそうなツラをしておる」
「そう、か……」
バウルスは皇帝の亡骸に近づくと、静かに黙祷を捧げた。
「ところで、助太刀を受けた手前言いにくいんだが…」
「わしが何者か、という質問には答えられんぞ。なにぶん記憶が飛んでおるもんでな、なぜここにいるのか、自分が何者なのか、自分でも皆目検討がつかんのじゃ」
「いや、それもそうだが。なぜ服を着ない?」
「気になるか?」
「ならんはずがあるか」
「う~む。人間的な羞恥というのは、どうも扱いにくい感情じゃのう」
「羞恥云々の問題じゃない。そんな恰好でうろついたら帝都兵に捕まるぞ」
「じゃあ何か着るものを貸してくれるか?」
「ブレイドの鎧は隊員以外に着せることは許されない。皇帝の衣装など以ての外だ。かといって、深遠の暁のローブを着ても裸同然の犯罪者扱いだろう」
「八方塞がりではないか。服を着ろと言ったのはおぬしであろう」
「仕方がない、俺が一筆書いてやる。それを持って帝都の商業地区に行くんだ、そこで装備を受け取るといい。それまでに布切れ一枚でいい、なんとかして調達しろ」
「まったく、勝手じゃのう…」
突如はじまったアンドロイドの少女リアの物語。様々な謎をはらみつつ、次回へ続く…?
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Comment
無題
はい、というわけで全裸アンドロイドのリアが登場です。
今回参加にあたってなぜか性格変更が行われました。ロリババア。
まぁパラレルだしいいよね。
ちなみに次回からは着衣です、全裸は初回限定生産です。
全裸だとカッコイイ写真もカメラワーク次第で使い物にならなくなるのが大変でした。
(写ってはいけないものが写ってる的な意味で)
モザイクかけると余計にアレな感じになりますしやすしおすし。
今回参加にあたってなぜか性格変更が行われました。ロリババア。
まぁパラレルだしいいよね。
ちなみに次回からは着衣です、全裸は初回限定生産です。
全裸だとカッコイイ写真もカメラワーク次第で使い物にならなくなるのが大変でした。
(写ってはいけないものが写ってる的な意味で)
モザイクかけると余計にアレな感じになりますしやすしおすし。