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主にゲームと二次創作を扱う自称アングラ系ブログ。 生温い目で見て頂けると幸いです、ホームページもあるよ。 http://reverend.sessya.net/
2024/11/24 (Sun)06:30
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2012/06/02 (Sat)11:18
 ぼちぼちとキャラクターページを更新しつつ。今回はリアの画像を追加しました。

http://reverend.sessya.net/tes4_2.html

 それと、例によってボツ版があるのでそれはこっちで公開します。



 肝心の本編のほうですが、現在新キャラの1話目を作ってる途中です。
 最初だからちょっと手間をかけて…などと思ったのが運のツキというか、<色んなロケーションを回る>、<NPCが多数登場する>というヌンドクササ目白押しな内容のせいでちょっと挫けかけてたり…

 あとは最近購入したMAX PAYNE2(いまさら)にハマッてたりとか。チート関係が1作目と比べて不便な作りになってるのがナントモですが(英語キーボードでしかコンソールが呼び出せない、キャラを変更した状態でイベントシーンに入るとクラッシュする、など)。ていうか7の英語キーボードって悉くチルドキーがバインドされてないからコンソール出せないんですけど…
 MODは、パッケージされたものをブチ込んで選択するだけという仕様は無産階級には便利なんですが、細部を自分でいじくりたいSTALKER&TES4ライクな自分としては逆に不便なんですよねぇ。これって基本的に「MOD作らないヒト向け」じゃないですか?
 HoMのガン=カタアクションとPeinEffect3(あるいはPunisherMOD)の銃器あたりを組み合わせて、あとはPunisherMODのテクスチャを描き換えて勇者屋MODとか作りてーなとか思ってたんですが。MP2Mってアンパックできるのかしら。MODツールに突っ込んでも無反応だった罠。

 MAX PAYNE3の発売を受けてか、ここ2~3年ほどまったく音沙汰無しだった2のMODコミュニティがふたたび活発になりつつあるようで。とっくに開発停止したと思われてたMODが数年ぶりに更新されてたり、あとは誠意製作中のMODもあったりして、なかなかに楽しみです。
 個人的に期待したいのはVampire Slayer 2.0とGungraveかな。この2つは現状で画面写真(あるいは動画)しか公開されてないんですよね。せめてベータ版くらいは触ってみたいなあ。
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2012/05/30 (Wed)16:34
 HPにて、オブリSSのキャラクターページに画像を追加したので一つ。

http://reverend.sessya.net/tes4_1.html

 ていうか、本来真っ先に作るべきものでしょコレ。なんで脇役のを先に作るの俺。浦安を再読してる場合じゃないのよ。ていうか、オブリのSSやプレイ日記は数あれど、浦安ネタを突っ込むのは俺くらいだと思う。
 あと例によってボツ版があるのでこっちで公開しておきます。

2012/05/28 (Mon)14:00
 真紅の暗殺者の簡易プロフィールを作りました。

http://reverend.sessya.net/tes4_subchar1.html

 ていうかメインキャラの画像そっちのけでコイツのを作るとかどういうワケなのこれ。
 あと、ボツ版があるのでこっちに貼っておきます。

2012/05/24 (Thu)18:48
「てやぁーっ!!」
 すでに荒廃し、本来の機能をうしなった砦の内部で、ちびのノルドのときの声がこだまする。



『グギェェエエエェェェェッ!』
「フッ、せやぁッ!」
 ガッ!
 かつてこの場所に駐屯していた兵士たちはとうの昔に退去し、いまではゴブリンやヴァンパイア、アンデッドの巣と化している。死霊術師や山賊など、非合法活動に携わる輩の拠点となっていることも多い。
「トウッ!」
『ブギェッ!?』
 ゴガッ!
 ちびのノルドの放った鋭い蹴りがゴブリンの延髄を強打し、ゴブリンは鼻から黄色い汁を噴出しながらぶっ倒れた。
「…ぷふーーーッ……」
 周囲に敵の姿がなくなったことを確認し、構えを崩さぬまま一息つくちびのノルド。



 もきゅもきゅもきゅ。
「けっきょく、ここにもなかったですねー…あ、この巨大ネズミの丸焼き、おいしい」
 数刻後…本来ならば、ここを根城にしていたゴブリンたちの夕食になるはずだったネズミの丸焼きをモリモリと食べながら、ちびのノルドはため息をついた。
 ちびのノルドはいま、とある婦人の依頼で「あるモノ」を探していた。
 幻の銘酒と言われるワイン、「シャドウ・バニッシュ」。その昔、砦を守る兵士のために錬金術師が生成したというそのワインは夜中に歩哨に立つ兵士の夜目を利かせ、また体温を効果的に高めてくれたという。
 現在では作られることなく、またその製造法も失われたシャドウ・バニッシュ・ワインは、いまとなってはかつて帝国軍が駐屯していたシロディール各地の砦にひっそりと残された少数が現存しているのみであるらしい。

 幾つかの破棄された砦を回るうち、ついにちびのノルドは「それ」を見つけた。
「これが、伝説のシャドウ・バニッシュ・ワイン…」
 鍵のかかったチェストから、2本の瓶を取り出すちびのノルド。薄汚れ、傷つき剥がれかけたラベルから、かすかに「シャドウ・バニッシュ」の文字が読み取れた。
 ワインの瓶を手に取りかけたそのとき、背後から何者かの声が聞こえてきた。



「ほう、それが、あの伝説のシャドウ・バニッシュ・ワインか…」
「…!?誰ですか!」
 ちびのノルドは警戒し、構えのポーズをとりながら振り返る。そこにいたのは、真紅のローブに身を包んだ謎の男だった。
 男の方は警戒するというより、むしろ興味津々といった表情でちびのノルドを見つめる。
「高額報酬につられていろんなヤツが探し回っているとは聞いたが、まさか貴様もとはな」
「…どこかで会いましたか?」
 どうやら以前ちびのノルドを見かけたことがあるらしい男の言動に、ちびのノルドは首をかしげる。
 スカイリムならいざ知らず、ここシロディールでは(まだ)あまり目立つような活動はしていない。そもそもちびのノルドにとって、この男に見覚えはないのだが…
 そんな心中を察してか、真紅のローブの男は不適な笑みを浮かべると、口を開いた。
「どうやら俺のことがわからないらしいな?まあ、無理もないが…」
 そう言って、男は掌を宙空に晒した。魔法の光が男の拳に集中する。
「……来るッ!?」
 ちびのノルドが警戒を一層強くしたとき、男が叫んだ。
「ハアァァァーーーッ…、カメン・ライド!」
「え…えぇッ!?」



 男を中心に赤い光が収束し、まばゆい閃光とともに男が戦闘装束を身に纏う。
 召喚装着されたデイドラの鎧、その姿にちびのノルドは見覚えがあった。
「あなたは…帝都に続く橋の上でわたしに襲いかかってきた自称暗殺者!?」
「自称じゃない!本当に暗殺者だ!だった…あのときまでは!だが皇帝暗殺に失敗し、さらに失態まで犯したうえ、おめおめと逃げ帰った俺を、組織は破門にしたんだ!いまじゃ立派な風来坊ってワケよ」
「いや立派かどうかは知りませんけど…ていうかアナタ、皇帝暗殺に関わった連中の一派なんですか?」
「マァそのへんの話はいいんだ。もう俺には関係ないし、口を滑らせたらいまからでも組織から追っ手がつきかねんしな」
「なんだかよくわかりませんが…」
「とにかく、いまの俺は根無し草、日銭を稼いで明日を凌ぐ傭兵家業よ。おまえと同じようにな…そのワインには莫大な賞金がかかってる、大人しく渡してもらうぜ!」
 クッ、面倒な…ちびのノルドは舌打ちした。
 このシャドウ・バニッシュ・ワインを6本持ち帰った者に、1000Gを支払うと依頼主は公言していた。この報酬はかなり高額である。そして告知は大々的に行なわれていたため、各地の冒険者がこぞって幻のワイン探しに躍起になっていることもまた、事実であった。
 競争相手がいることは認識していたが、それにしても厄介なのが来たな…と、ちびのノルドは一人ごちる。
「股間を蹴られた恨みはチャラにしても、こいつを譲ることはできんぜ。アタック・ライド、メイス!」
 ふたたび呪文を唱える真紅の暗殺者、その手に異界の物質で練成された禍々しいフォルムのメイスが握られる。
「素直に渡してくれたら、命だけは助けてやるが?」
「お断ります。1000Gは大金なので」
「それじゃあ死ぬしかないな!」
 そう言い、真紅の暗殺者はためらいもなくメイスを振りかぶる。しかし、徒手格闘の達人に接近戦闘を仕掛けるにしては、その動作はいささか隙がありすぎた。



「ジョニー直伝(ケイジの方の)、ダイヤモンド・クラッシャー!」
 キン☆
 金星。こ○ろぎさとみ似のアタックボイスとともに繰り出されたちびのノルドの爪先が、真紅の暗殺者の睾丸と菊門を同時に蹴り上げた。
「バイショオオオ!!」
 真紅の暗殺者が、意味はわからないが悲惨さだけはよく伝わる悲鳴を上げる。
「ちょっと出たぁぁぁーーーっ!!」
「え、なにが?ちょ、ウソ、ねぇ、なにが?」
 不穏な言動を口走る真紅の暗殺者に、ちびのノルドもいささかの動揺を隠せない。
 やがて「ズシン」という音を立てて昏倒した真紅の暗殺者を困惑の表情で見つめつつ、ちびのノルドは幻のワインを慌てて掴むと、すぐにその場を離れた。
「ワインはあと4本。他の連中より先に見つけないと…」



 そしてまた、別の砦にて。
「どーしてまたアナタがいるんですかっ!?」
「フハハハハ、貴様を追ってきたのよ!気絶したフリをしてな!まあしばらく気絶してたのはマジだがな!」
 ゾンビやゴーストといったアンデッドが巣食う砦の中で、ちびのノルドと真紅の暗殺者はふたたび鉢合わせていた。
「今度こそ遅れはとらんぞー!伝説のワインを先に見つけるのはこの俺よォーッ!」
「させません、させませんよ!むしろ、させませんぞぉっ!」
 そう叫び、徒競走よろしく駆け出した2人は、道中を阻むアンデッドの一群を容赦なく叩き潰していった。



「よぅし、見つけたぁッ!」
「ああぁっ、ズルイ!」
「宝探しにズルイもジャン・ルイもない。先に見つけたもん勝ちじゃあー!」
 水没したチェストの数々の中から、2本のシャドウ・バニッシュ・ワインを真紅の暗殺者が探し当てた。思わず歯噛みするちびのノルド。
「く、く、く、悔しいーっ!今度こそは!」
「無駄無駄無駄ァーッ!賞金はこの俺様のものよォーッ!」

 そんなんこんなんで、数々の砦を回り、立ち塞がるモンスターや競争相手の冒険者たちを薙ぎ倒し、押し潰し、粉砕したりしながら、2人は最後に潜った砦の最奥にて、同時に巨大なチェストの蓋に手をかけたのだった。
 互いに顔を見合わせ、絶対に譲らぬと闘気をみなぎらせる2人。
「…これはわたしのものです」
「いいや、俺のだね」
「譲れません」
「こっちだって」
「…うぅ~」
「…むぅ~」
 しばらく無言のまま睨みあう2人。やがて、どちらが先に行動を起こすでもなく、同時に蓋を開ける。
 ギイィィィ~……
 チェストの中には果たして、シャドウ・バニッシュ・ワインが収められていた。
「あの、ですね」
 そのとき、ちびのノルドがやや言いにくそうに口を開いた。
「提案が、あるんですけど。わたしとアナタで、いま、2本づつ持ってるじゃないですか。ここにある2本を合わせれば、ちょうど6本になるんですよね」
「う、うむ」
「ここまで来れたのって、その、なんというか、なんだかんだいって、2人一緒だったからだと、思うんですよ。だからその、2人で6本持っていって、500Gづつ報酬を分け合うっていうのは、その、うん、え~っと…どう、でしょう?」
「う~む…」
「ぇ、だ、だ、駄目ですか?そうなると、どっちかが、どっちかのワインを奪うために殺し合うっていうのが合理的ってハナシになりますよね。い、いや、勿論、わたしも傭兵ですから?そういうのがはじめてってわけじゃ、ないですよ?でも無駄な殺し合いはしたくない、っていうか、アナタとは本気で殺し合いたくない、っていうか。い、い、い、いや、ですから、その、ですね?」
「ああ、いや、提案はいいんだけどさ」
「な、なんですか、他になにか案でもあるんですか。わたし、いま、真面目な話をしてるんですよ?ちょっとは真剣に聞いてくれたって…」
「いやいやいや、その、あのな?」
 どもりながら、まるで初恋相手に告白する生娘みたいな態度で喋るちびのノルドに対して、真紅の暗殺者はただ、ぽつんと、こう言った。
「ワイン、3本あるんだが。この中に」
「え?」
「そのな、2人の分合わせるとな、1本余るんだよ」
「え~と…つまり……」
「ここで1本空けても、文句言うやつはいないってことだろ?依頼主含め」
 その言葉は、つまりちびのノルドの提案を受け入れることを意味していた。



「伝説のワインのテイスティングとか、胸がドキドキしますね」
「いやー、役得ってあるもんだな」
 巨大なチェストに腰かけ、互いにワインを注いだグラスを手に乾杯をする。
 年代モノのワインを口にしたちびのノルドは、その独特な風味に顔をしかめた。
「…あんまりおいしくない」
「そーだろ、そーだろ。この味はお子様にゃあわかるまいよ」
「こ、子供じゃないですよ!?剃ってるだけですからね!?」
「酔ってんのか。そこまで言ってねえし聞いてねえ」
 緊張も解け、和気藹々と談笑しながらワインを1瓶空けた2人は、シャドウ・バニッシュ・ワインが6本詰まったザックを手に、依頼主のもとへ向かうべく、月明かりがまぶしい寒空の下を肩を並べて歩くのだった。



「いやー、まさか本当にこの目でシャドウ・バニッシュ・ワインを見ることができるとは思わなかったわ!もう最高、感動的だわ!これは約束の1000Gよ」
 帝都から西へ少し移動した場所にある旅の宿ワネット亭にて。
 ハイエルフの女主人ナルッサは、やけに甲高いハスキーボイスで歓待の声を上げた。彼女はシルディールでも有数のワイン・コレクターとして知られているが、お世辞にも大金が稼げるわけでもない宿のオーナー職が、どうしてワインのために1000Gもの大金をポンと支払うことができるのかはちょっとした謎だった。
「ま、俺たちコンビにかかりゃあ、こんなもんだぜ」
「今後、あえて手を組もうとは思いませんけどね。今回だって偶然の産物みたいなもんですし」
「う~ん、まあ、パートナーにするんだったらもちっと女性的魅力に溢れたレディじゃないとな」
「だから子供扱いはやめてくださいってば!これでも胸はそれなりにあるんですよ!?」
「あらまあ、仲の良いこと」
 2人のやり取りを聞いて、オホホ、と上品な笑い声を上げるナルッサ。
「あなたたちなら、シロディールにまだまだ隠されているシャドウ・バニッシュ・ワインを探し出してくれそうね。もしまた見つけてくれたら、そのときは1本100Gで買い取ってあげるわよ」
「「え?」」
 ナルッサの提案を聞いて、2人はその場に凍りついた。
 100Gといえば、1000Gには及ばないものの、それはそれで結構な額である。ブランドもののヴィンテージ・ワインですら足元にも及ばない値段だ。つまり、それだけの額を支払う価値が、あのワインにはあるということで…
 不穏な空気を察したのか、ナルッサがその温和な表情を般若のような鬼面に変貌させていく。
「…まさか、飲んだりしてないわよね?」
「え?いや…」
「6本だけあればいいとか思って、余分に見つけたワインを飲んだりしてないわよね?希少価値の高い、それはもう世界一入手困難なシャドウ・バニッシュ・ワインを、専門家の監督下でもない環境で飲んだりなんかしてないわよね?」
 そんなことは神に対する冒涜ですものね?と付け加え、ナルッサは殺気がバリバリみなぎる笑顔で2人を見つめる。その様相たるや、見た者を石に変えるゴーゴンそのものであった。
「イヤー、マサカ、ソンナコトアルワケナイジャナイデスカー。アハハ」
「そう、なら、いいんだけど…もしまた見つけてくれたら、そのときは私のところに持ってきてくれるわよね?」
「ハ、ハ、ハイ、モチロンデストモ。マダム」
 2人はそれだけ言うと、ゼンマイ仕掛けの人形のようにギギギ、とぎこちない動作で方向転換し、ワネット亭を後にした。
 外に出て、ナルッサの姿が見えないことを確認し、互いに顔を見合わせる2人。
「…おれ、しーらねっ!」
 そう言って、真紅の暗殺者は一目散に駆け出した。
「あ、あぁ~っ、ちょっとぉ!待ってくださいよぉっ!」
 ちびのノルドはその後を追おうとし…その場に、盛大にコケた。

2012/05/20 (Sun)16:50
「頼むよ、ここいらで信頼できる余所者なんて、アンタくらいしかいないんだからさ」
「絶っっっ対にお断ります。わたしをなんだと思ってるんですか」



 帝都商業地区、ジェンシーンの新品同様故売店にて。
 以前、謎の激安商店の裏事情を暴いた縁で顔なじみとなった故売屋の店主ジェンシーンと世間話をしていたちびのノルドは、いきなり振られた無茶な頼みに最大出力で拒否反応を示していた。
「そんなつれないこと言わずにさ。それとも、このジェンシーン姐さんの頼みが聞けないってのかい?」
「ドスきかせたって駄目なものは駄目なんです!だいたい、役人の汚職なんてどこの国にもあるじゃないですか、それをなんとかするなんて傭兵の仕事じゃありませんよ。ところでこの剣、幾らで買い取ってくれますか?」
「600セプティム硬貨」
「もっとよく見てから判断してくださいよ、このくされマ○コ!この剣には強力なエンチャントが掛かっていてですねー、そんな値段で買い叩けるようなものじゃないんですよ」
「アンタ喧嘩売ってんのかい…?じゃあこうしようじゃないか、アンタが例の警備隊長をなんとかしてくれたら、報酬とは別にその剣を適正価格で買い取ってやろうじゃないか」
「きっ、きたない!さすがアラフォー嫁かず後家、やることがきたない!」
「ブッ殺すよ、この糞餓鬼ぁ!無毛恥丘発達途上ドチビ女!」
「剃ってるんですよ、何度言ったらわかるんですか!(本当は生えてないけど!)」



「ハロー、黒馬新聞で…おおお、また傭兵とジェンシーン殿が争っておられるぞー!」

「…どーしようかなー……」
 結局引き受けるとも、引き受けないとも言わないまま店を出てきたちびのノルド。
 事のあらましはこうだ。
 最近、帝都市民と商店会を恐怖に陥れている存在がいる。その名はオーデンス・アビディウス、帝都を守る警備隊の隊長の1人である。
 彼はその役職と地位の高さを利用し、店頭に並ぶ商品に難癖をつけては徴発し、ただの買い物客を窃盗犯と断じ罰金を支払わせるなど、まさにやりたい放題をしていた。
 しかし帝都軍はいま皇帝暗殺に揺れており、また不正を告発できそうな人員はいま盗賊ギルド検挙に心血を注いでいるため、オーデンスの汚職にまで気が回らないという。まして物的証拠もなく、下手に動けば帝国に対する反逆と見做され投獄されかねないという有り様である。
 いまのところ商店会も被害者市民も泣き寝入りするしかなく、しかしこのままではイカン、どうにかできないか…というのが、ジェンシーンの願いであった。
「とはいってもですねー。わたしの専門は荒事で、こういう繊細な仕事は向きじゃないんですよねー」
 もちろん傭兵という役職は、たんに戦争参加だけが取り得ではない。
 様々な工作活動や各種専門的技能のインストラクターなど仕事の種類は幅広く、またそういった非戦闘活動を専門にする傭兵がいるのも事実だ。
 しかし悲しいかな、ちびのノルドは戦いだけが取り得な鉄砲弾的、一山幾らで値段がつくタイプの、あまり高く評価されない傭兵だったのである。どれだけ戦闘能力が高くとも、戦闘しかできない傭兵はそれだけで価値が下がるのだった。
「暗殺してハイ終わり、というわけにもいかないですし」
 それができれば簡単なのだが、要職に就く人間をそうそう簡単に暗殺などできはしない。それに依頼人も納得しないだろうし、下手をすれば一生涯、逆賊として追われ続ける破目になる。それは御免だ。
 ひとまず帝都商業地区で繁盛しているレストラン兼宿屋のフィードバッグ亭に行き、情報収集も兼ねて一杯やることにした。



「おいねーちゃん、なんか芸でも披露してくれよ」
「わかりました。1番、アリシア・ストーンウェル。倒立をやります。とぅ」
 宵の口といったところ。
 酔客に絡まれたちびのノルドは、特に嫌がるでもなくテーブルの上に手をつき、見事な直立運動をやってのけた。すでに出来上がっているのかもしれない。拍手はまばらで、どうやらあまり関心を払われていないようである。
「皆さん、ノリがあまりお宜しくない。あっ、ジェンシーンさん、ここですっ!わたしです、ちびのノルドですっ、お~いなんで無視するんですか~っ!?」
 平素からは想像もできない陽気な声(しかも、酒のせいでかすれたダミ声)で呼びかけるちびのノルドに、ジェンシーンは返事一つすることなく黙って背を向ける。典型的な「他人のフリ」というやつである。
 しかしまあ、この時間帯は商店会の皆さんがたが店仕舞いのあとに立ち寄るのだが、その話題といえばオーデンスの横暴に対する愚痴一択である。この様子だと、衛兵の耳にもウワサくらいは聞こえていても良いはずだった。
 ぼーっとした頭で考えながら、ちびのノルドは店内に黒馬新聞の記者の姿を見つけ、話しかけた。
「あのーぅ、新聞社のかたですよね?いまウワサになってるハゲちらかした衛兵隊長の醜聞とかぁ、書いたりしないんですかぁ?」
「黙れ寄るな酒臭い。そりゃあ、衛兵隊長のスキャンダルなんて特ダネだから、できれば特集したいさ。でもな、証拠もないのに帝都の衛兵を敵に回しちゃあ、後でどんな目に遭わされるかわかったもんじゃない。まして俺らがタダで新聞配れんのは帝都から給金を貰ってるからだ、迂闊な真似はできんよ」
「…普段あんだけ中傷に近い記事書いてるくせに」
「何事も程度、ってぇもんがあるのさ。それはこっちも相手もわきまえてる、しかしオーデンスの件はこっちの分を越えたネタだ、手を出せねぇよ」
「ジャーナリスト魂、とかいうのに期待はできませんかね?」
「くだらんプライドはネズミのクソ以下の値打ちもない、あんたらスカイリムのでかノッポどもはどういう考えか知らんが、我々カジートは身の程ってもんくらいは知ってるのさ。安い正義感で動いて、最終的にはすべて台無しにして誰も彼もを不幸にしちまう可能性がないと、どうしてアンタに言える?」
 そう言って、記者はフンと鼻を鳴らした。
 安い正義感、か…ちびのノルドにとって、今回の件は報酬目当ての仕事以外のものではないのだが、どうやら他人の目からはそうは見えないらしい。否定してもいいが、銭亡者よりかは偽善者と思われたほうが多少は面白味もあるだろう。
 ちびのノルドは酔った頭で計画を立てると、ふらふらと外へ出た。



「これも警備隊長の仕事とはいえ、退屈なものだな。こんなもの、多少のボーナスでもなければやってられんよ」
 そんなことをぶつぶつと呟きながら帝都を巡回しているのは、いまウワサの衛兵隊長オーデンスである。いくら業務内容に不服があっても、ボーナスを自発的に徴収するのはいけないと思います。
 人気のない路地に差し掛かったとき、オーデンスの背後に怪しい影が飛び出してきた。
「ん、いまなにか物音が…」
 ビシッ!
「チェンッ!」
 振り向こうとしたオーデンスの首筋に、容赦のないチョップが叩き込まれる。オーデンスの口から、奇妙な悲鳴が漏れた。
 昏倒するオーデンスの身体をしっかり掴み、金属製の鎧が音を立てないようにゆっくりと地面に横たえる影…他でもない、ちびのノルドである。



「お、重い…」
 オーデンスの身体を横たえ、ちびのノルドはいそいそと工作をはじめる。
「さて、こうしちゃいられません。素早く行動しないと」
 そう言うと、ちびのノルドは帝都商業地区へと向かった。
 営業時間はとうに過ぎ、厳重に戸締りがしてある店舗へと足を運ぶ。鍵を無理矢理破壊し、侵入先に陳列されている商品の数々をサックに詰めていく。



 店から店へ、帝都を巡回している衛兵の目を盗みながら、ちびのノルドはあらゆる種類の盗品を集めていった。

 そして、翌朝。
「こ、これは…なんということだ!」



 帝都エルフガーデン地区、往来のど真ん中にて。
 衛兵隊長オーデンスは全裸で、身体中にアルコールを浴び、周辺に大量の盗品をぶち撒けた姿で大の字になって寝ているところを発見された。
 たまたま通りがかった別の衛兵隊長であるイティウス・ハインは、往来にオーデンスの姿を認めると、素早く駆け寄った。
「なんということだ!衛兵隊長ともあろうものが、こんな醜態を晒しているとは…!首筋にひどい痣があるが、どこかでぶつけたのか?それにこの品物の数々!このポーションはギルデッド・カラーフのもの、この高級な服はディバイン・エレガンス、指輪やネックレスはレッド・ダイアモンド・ジュエリー!それにこんな大量の食べ物なんか、どこで手に入れてきたんだ!?」
 遠巻きに見つめる名もなき衛兵たちも、みんなオーデンスが「やらかした」と思って疑わない。
「妙なウワサが流れていたのは知っていたが、まさか本当だったとは…」
「この有り様はもう現行犯と言っても過言じゃない。言い訳できないすぎる」
 やがて目を醒ましたオーデンスを、衛兵隊がすぐさま逮捕したことは言うまでもない。



「さあキリキリ歩くんだ、この帝国の恥晒しめ!」
「どうしてこうなった…」
 帝都市民が見守るなか、一夜にして絶望のドン底に叩き落されたオーデンスが衛兵に連れられていく。
「これは事件、事件だ!特ダネだ、スクープだぞ!」
 昨晩、ちびのノルドに身の程について講釈した黒馬新聞の記者も、手の平を返したようにはしゃぎ回っていた。商店会の皆さんはというと、あまりに意外な結末に言葉が出ない様子である。
 一方のちびのノルドですら、気持ちの整理ができていなかった。
「…酔った勢いだったのに」
「なにか言ったかね?」
「イエナンデモアリマセン」
 隣で事の次第を見守るイティウスの質問に、ちびのノルドはカタカナ言葉で返答する。

 ともあれ、これで帝都市民を脅かす悪は潰えた。かのように思えたのだが…?
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