主にゲームと二次創作を扱う自称アングラ系ブログ。
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2017/11/02 (Thu)18:58
世界広しといえど、帝都タロス広場地区のアカトシュ像をレーニン像に置き換えるのは俺くらいのものだろう。
そんなわけでどうも、グレアムです。だいぶBlenderとNifskopeの扱いにも慣れ、Mount and Blade: WarbandのMODからMeshをOblivionにバリバリ移植しています。楽しいです。超楽しいです。楽しいけど権利上の問題からMODとして公開することはできない、いやー残念だな…という、まあそんな感じで。
確かだいぶ以前にチラッと呟いたような気がするんですが、Mount and Blade用のMeshはOpen BRFを使って.obj形式でエクスポートできるので、Blenderを経由して.nif形式に変換&Oblivionに移植できるんじゃねーかっていう、まあそんなことをやっておるわけです。
活動としてはおもに1860s Old Americaから銃火器を移植していますね。あくまで画面写真撮影用の小道具、という感じでゲームシステムに反映させるつもりはないので、内部的には片手武器と盾(左手装備用)、ライフルは両手武器としての導入となります。わざわざライフルを両手武器にしたのはアレです、背中に背負わせたかったからです。
画面写真撮影用なら装備じゃなくてギミックポーズでいいんじゃないか、という向きもあると思いますが、いちおう予定として大量の銃器を移植予定で、左手用装備とのコンビネーションも考慮に入れると組み合わせのパターンが膨大になってしまう関係上、いちいち個別にモーション(.kfファイル)作ってたらキリがねぇ…ということで、とりあえず装備で作って持ち手の位置をそれっぽく合わせちゃえばいいや、というコンセプトで。
それにいちおう、装備として作っておけば、そいつを使って旅をすることもできますからね。銃でガンガンぶん殴りながら進む未開人プレイになりますが。
撮影用のモデルには、なんとなく思いつきで作ったWezaleffちゃん風のキャラを使っています。さすがにあのマニアックな体型までは再現できませんが。OblivionにElinのMODってあったっけ?
最初はアルゴニアンのガンマンを作る予定だったんですが、やっぱりどうせなら女の子のほうがいいよなあ…ということであえなく没に。
前髪で目が隠れてしまうとかなりお顔の見映えが悪くなってしまうので、ショートボブの髪型Meshの前髪部分をBlenderで短く改造してます。ちょっと気になる部分をちょこっと手直しして自分用に誂えることができるってのは本当に楽しいでございます。
とりあえず最初にコルトネイビー61とシャープスライフルを移植しました。特にシャープスライフルは絶対に移植したかったアイテムだったので。大好きなんですよあの銃。なんというか、あの時代の単発式ライフルって異様にカッコいいですよね。ブリーチ・ローディング式のジョスリン・ライフルとか。
そのうちThe Red WarsやThe Reckoningあたりからモダンな銃火器も移植予定ではあるんですが、それはそれとしてシロディールには19世紀の銃が似合うよね…というのがありまして。
いまのところ移植した銃火器はコルトネイビー61、コルトウォーカー、レミントンM1858、ルフォーショー20連、モーティマーリボルバー、ボルカニックピストル、シャープスライフル(&スコープつき)、ダブルバレルショットガン(&コーチガン&ソウドオフ)、ボルカニックライフルなどですね。
銃火器だけでなく他のアイテムや小道具、建物なんかもそのうち移植したいと考えてます。やれること、やりたいことが一杯あるのでワクワクが止まりません。
まさか、いまさらOblivionにこんなハマりかたするとは思わなかったなあ。
装備の移植とは別に、モーション作成も少し手を出してはいて、そっちもとりあえず作り方はわかったんで、銃を構えるポーズなんかをボチボチ製作していきたいなーとも考えているんですが、とりあえず保留ですかぬー。
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2017/10/18 (Wed)19:55
どうも、グレアムです。スマホゲーなんぞをポチポチとやりつつ、気紛れにオブリビオンをいじる日々です。
今回はグラフィック設定を色々試したりなんだりしつつの試行錯誤ぶりをグダグダと垂れ流したりしながら、まずは水面の反射にブラーをかけて綺麗に見せるMOD「Water Reflection Blur」を紹介しようかと思います。
たぶん普通にプレイするぶんには不要なMODだと思うんですが、Oblivion.iniをいじって水面に描画されるオブジェクトを増やしている場合、通常の方法では描画をONにできないそれら(アイテム、建物、木、人物)はかなり解像度の荒い状態で表現されます。
そこでこのMODを使えば見た目を綺麗にできるというシロモノなんですが、おそらくラップトップ機(通常の方法でHDRモードをプレイできないマシン)では適用できないと思います。本MODはOMOD形式で配布されているのでOBMMを使って適用することになるのですが、そのときに"You need a graphics card supporting at least shader 2.0b for this mod. Sorry(Shader Model 2.0b以上を扱えるグラフィックカードでないとこのMODは適用できないんだ。ゴメンね)"というメッセージが表示され、Activateできないことがあります。
これは以前の記事で触れた「HDRモードで画面が描画されない現象」と非常に密接に関わっています。あれは本来PC側でHDR(要Shader Model 2.0以上)に対応しているにも関わらず、ゲーム側の設定でHDRモードに対応していないShader Packageが選択されてしまうせいで発生する問題でした。
このへんの詳細は以前の記事を参照して頂くとして、上に書いた、MODを適用できない環境であるときにメッセージが表示される条件はShader Model 2.0以下の環境で使用されるShader Package(たしか001、002、005、008の四種類)が選択されているときです。
どうやってこれを検出しているのかというと、これはOblivion.iniファイルと同じディレクトリに存在するRendererinfo.txtを参照しているのですね。
なので、Rendererinfo.txtの最後の行にあるShader Packageの数字を19に書き替えちゃいましょう。こうすれば(実際に使用されるShader Packageの番号に関わらず)OBMMのOMOD機能を使ってWater Reflection BlurをActivateすることが可能になります。
以前書いた通り、Rendererinfo.txt自体はOblivion本体が検知したシステム構成を出力した単なるテキストファイルに過ぎないので、書き替えてもゲームプレイ自体に影響はありません。
ちなみにこのMOD、Shadersフォルダ内にあるShader Package(.sdpファイル)の中身を直接書き換えるので、OMODの機能を使わないと適用できません(OMODファイルを展開してマニュアル操作で導入するのは不可能)。
Deactivateすればオリジナルの状態に戻るのでバックアップを取る必要はありませんが、このMODを適用した状態で本体側にパッチを当てる等するとゲームがクラッシュするそうです(いまさらそんな無駄に器用なことをする人間はいないだろうが)。
そうそう、当然ながらShader Model 2.0以上を扱うShader Packageを使えるようにしていないとMODを適用してもマトモに描写されないと思うので気をつけてください(さすがに面倒で検証はしていない)。まあ、以前紹介したShaderpackage019を使う方法を事前にかましておけば何の問題もないです。
あとはまあ、ENBの選定なぞをやっておりました。
まずはAeroを試したんですが、そうだ、これ信じられんくらい重くなるんだった…
Aeroは表現をDepth of FieldとAmbent Occlutionに頼りきっているようで、この二つを切ると物凄く軽くなる反面、物凄く絵面が貧相になります。というかAeroのDoFはちょっと重過ぎる。他のプリセットのenbeffectprepass.fxではこうはならんぞ。
しかもなんというか、ものすごい画面が暗くなるんですよね。上の画像、これ青空(!)晴れ渡る真昼に撮影したモンですからね。
なんつーか、ウーン、普通に画面、汚くねぇか…?ダークファンタジー向けかねぇ。色彩鮮やかなシロディールにはちょっと合わん気もする。いや、個人の好みの問題ですが。
お次はATE、いままで愛用していたやつです。
色使いとか画的には物凄く好みなんですが、唯一最大の欠点として、空が白飛びするんですよね。ATEの場合、これを解決するには画面全体を暗くせざるを得ず、そうなると他が暗くなり過ぎるという。
どうにかならんかなーと思って、他のENBを色々試してたわけです。
で、結局Cyrodill ENBに落ち着きました。無難な選択というかなんというか。
これは空がしっかりくっきり描画され、オリジナルの雰囲気そのままに高画質化したような感じでステッキーですね。いまこれをちょこちょこっと改造して画面をATEっぽく近づけてるところです。
んで、Oblivion用のENBをいじってて色々気づいたこと。環境依存の問題もあるかもしれないので、あくまで参考程度に、鵜呑みにしないでください。
まずEnvironmentについてですが、オブリの場合、DayとNightの設定が機能してなくて、全部Interiorのほうで一括されてるようですね。あと、Skyが息してない(機能してない)です。
ウーン、シンプルといえばシンプルだが…ちとシンプルすぎるなあ。個人的には矢張り、Fallout 3/NV用のが一番扱いやすい。
ついでというか、以前から気になっていた「OblivionとFallout 3ってエンジンの基本設計が一緒ならENBも流用できるんじゃね?」という疑問を解消すべく、試しにFallout3/NV用のENBを突っ込んで実験してみました。
結果、強制終了こそしなかったものの、ENBのエフェクトをONにしてもライティングが少々変化するくらいでまったく機能しなかったですねハイ。そりゃそうだ。
ただまったく効果がなかったわけでもなくて、たとえば以前Bloom環境でENBを使ったときのようにAnisotropic Filteringは有効だったほか、Anti Aliatingがオブリ用のENBより綺麗にかかってます。これは注目すべきだと思ったので、上の画像はAAの効果を見てもらうために縮小していないオリジナルのサイズで上げてます。
これはv0.249で追加されたAccumulative Antialiasingの効果ですね。オブリ用のはENBのバージョンがだいぶ古くて、SMAAを適用してもあんまり綺麗にならないので、これだけどうにかして移植できねーもんかなと思うんですが。まあ例によってビデオカード側でAAを設定できれば別にどうってことh(ry
あと現在使ってるサブのノートPCにもGIMPを導入したので、以前作った火傷顔のノーマルマップを作り直しました。たいぶ質感が良くなって満足。
あとBlenderも導入したのでぼちぼちMeshをいじったりして楽しんでます。ちなみにSkyrim用に導入した2.75aではOblivion用に設定しても出力したNifがエラー吐いてどうにもならなかったので、オブリ用に2.49bを入れ直しました。今はNexusに必要なファイル一括したやつが置いてあんのね、俺以前導入したときは全部自分で探した記憶があるんだよなー。モーション作成補助用のボディメッシュとか既に落とせなくなってて途方に暮れた記憶あるもん。いや、便利になったもんです。
ちなみにBlender 2.49bだと2.75aでエラー吐きまくってた操作も非常にスムーズでいい感じに作業できます。Oblivionを扱うときはこっちを使いましょう。
2017/10/06 (Fri)23:11
どうも、グレアムです。じつはここ数日、オブリビオンをノートPCで動かそうという無謀な試みをしておりました。
まあ古いゲームだし今使ってるサブのノートPCは仮にもメモリ8GB積んだ64bitOS機だから一応動くことは動くだろうという甘い目論見のもと、ゲーム用でもなんでもないマシンでどこまでグラフィックを追求できるのかというのをテストしてみようかという。
最悪、まったく動かないことも覚悟していたんですが、結果から言うとキチンと動いたうえ、HDRライティング下でENBを導入した環境でも問題なくプレイできました(快適にプレイできるとは言ってない)。
いちおうのハードウェア構成としては、
・CPU:Intel Core i5-2450M 2.5GHz(4CPU)
・ビデオ:Intel HD Graphics 3000
・メモリ:8192MB RAM
といった感じになります。
公式での最低動作環境がCPU2GHz(推奨3GHz)、VRAM128MB(推奨256MB)、メモリ512MB(推奨1GB)となっているので、それなりに要求を満たしてはいるのですが、もちろん快適に動かしたりMOD導入を前提とする場合は最低でも推奨環境を満たしている必要があるというのがオブリの定説。
メモリは問題ないにしろ、CPU性能に若干の不安が残るのと、なにより非ゲーム向けのラップトップ用ビデオチップを搭載しているという点が大きな懸念でありました。
ちなみに本体には日本語化パッチ(v0.15c)と4GBパッチを当てております。日本語化にOBSEを使用する最新版のv0.16系ではなく本体に直接パッチを当てるv0.15系を使っているのは、いわずもがなENBを使うためです(ENBは日本語化用のOBSEプラグインと相性が悪い)。
本体はリテール版GOTYでDLC導入済。本当はKotNとSIはいらなかったんで本編のみ入れたかったんですが、それだとバージョンが中途半端になってしまい日本語化パッチが対応してなかったので止む無く。
あとは追加でOBSE導入、MODはとりあえずMBPと装備系少々ってところでしょうか。MOD管理はOBSEとWrye Bash。オブリはどっちか片方だと機能が足りないんだよなあ。
というわけで、今回はノートPCでオブリを動かすにあたっての試行錯誤やトラブル解決の過程を紹介しつつ、これから本作をプレイする人(今更いるのか?)の助けになればいいなァと、という趣旨の記事となっております。
まず最初に本体の自動診断機能で設定された状態でプレイしたわけですが、これがまあ酷い。一番最初の画像のがそれなんですけどね、たしかMedium設定でBloomライティング、遠景の木の描写なし、描画距離もほぼすべての項目が最低レベル、おまけに動作が重い!タイトル画面の文字のスクロールからして重かったです。
やはりノートではこの程度が限界なのか…ッ!?と思ったんですが、なんのことはない、この時点で動作が重かったのはセキュリティソフトが干渉していたせいでした。俺が現在使っているのはAvastで、これはOblivion.exeをゲームモードに登録することで解決。
そのあと設定をほぼすべてMAXにして動かしたんですが、特に重過ぎるということはなかったですね。ということで、バニラ環境でのプレイはまったく問題ないことが判明しました。ただし、あくまでBloom環境では、という但し書きがつきますけど。
次にHDRライティングを試したんですが、このときUIのみ正常に表示され他は真っ暗という、オブリでしばしばお目にかかる症状に遭遇。内部的には動作しているけどグラフィックが描画されていないというアレですね。
じつはIntelのビデオチップはオブリのHDRとは相性が悪くて、フツーの方法ではHDRを適用してのプレイが不可能だったりします(まあゲーム用じゃねぇしな)。素直にBloomに切り替えてプレイしましょう。
もっとも、本当に古いPCならガチで対応してない可能性もなくはないですが、今回使ってるHD Graphics 3000はいちおうDirectX 11、Shader Model 4.1対応なので、システム的には対応してないハズはないんですよ。なので、じつはある方法を使うとHDRで動かすことは可能です。その方法はあとで説明します。
ちなみにBloomでも同様の問題が発生した場合、グラフィックの描画に必要なShader Packageが正常にインストールされてないか、誤って消してしまってる可能性があります(MODやENBの出し入れでやらかしがち)。可能ならゲームディスクから必要なファイルだけ取り出せば済むハナシなんですが、オブリはディスク内のデータがCABに格納されてるのでそーいう手が使えないんですよね。
幸いにもNexusにOfficial Oblivion Shadersという名でオリジナルのShader Packageを公開してくれている人がいるので、それを落として解凍したデータの中にあるShadersフォルダをDataフォルダ直下にぶちこみましょう。それで解決できなかった場合は使用しているPCがガチでシステム要件を満たしてない可能性があるので、素直に諦めましょう。
その後、Bloom環境下で見映えを良くするためにFake HDR LightingというMODを導入。
これはD3D9.dllを使って擬似的にHDRっぽいライティングを再現するもので、ESPを使わないタイプのMODです。そこそこ処理に負担をかけるのと、あくまで擬似再現のためUIにも容赦なく干渉します。技術的にはENBとだいたい似通ってる感じでしょうか。
劇的に見た目が変化するようなものではないので、余裕があれば、という感じでしょうか。
ちなみにBloom環境下でENBを導入したらどうなるのか試してみたんですが、動作に問題はなかったものの、ENBはHDR環境下での動作を前提としているため、機能をONにしても描画にまったく変化はありませんでした(水面の描画に少し影響があるくらい)。
とはいえ全く意味がないわけではなくて、たとえばAnisotropic Filteringは普通に効果が出ます。
上の画像を見ていただけるとわかると思いますが、遠景のテクスチャ描画に歴然と差が出ます。このためにENBを導入するという選択肢もアリかもしれません。
ただしENB環境下では本体のAnti Aliasingが強制的にオフになってしまうので、いささかジャギーが目立つ結果となってしまいます。とはいえオブリのAAは重いうえに効果がイマヒトツな古いタイプなので(オブリ用ENBのも。Fallout用はもっとマシになるんだが…)、負荷を嫌う人orAAかけるスペック的余裕なんかネーヨ!って人はENBを入れてエフェクトOFF&異方性フィルタリングONで運用するのが良いかと。
まあNvidiaやATI等のキチンとしたゲーム用ビデオカードを使ってればビデオドライバ側で異方性フィルタリングやAAを強制的にONにできるので、こんなことで悩む必要もないんだが(これを使えばHDR環境でもAAが使用可能。ENBを使う場合でもENB側のAAだけでは効果が弱いので、ビデオドライバ側からAAを高目の設定でガッチリかければ超キレイになるよ)。
さて、そんじゃあ通常ではHDRを扱えない環境で無理矢理HDR環境でプレイする方法を紹介しましょう。ただし、これは内部的にPC側のシステムがShader 3.0に対応してる必要があります。
まずはセーブデータが格納されているフォルダ(Win7の場合はC:\Users\(ユーザー名)\Documents\My Games\Oblivion。OSによって場所が違うらしいので注意)の中にあるRendererInfo.txtを開きます。無かった場合?シラネエヨ!
このファイルには現在のPC環境におけるレンダリング設定が記述されています。一番最後の行にShader Packageという項目があるはずなので、その番号を確認されています。そこに書かれている番号が現在の環境で使用されているShader Packageの番号となります(非ゲーム用ラップトップ機の場合はたぶん2あたりが使われてるはず)。
ちなみにこのファイル自体は設定ファイルではないので、内部の記述を書き換えても意味がないです。
さて、お次はDataフォルダ内にあるShadersフォルダを覗きます。
ここにはshaderpackage001~shaderpackage019までの19個のSDPファイルが入っているはずです。このうち、たとえばRendererInfo.txtのShader Packageが2だった場合、shaderpackage002が現環境でのグラフィック描画に使われているわけです。
ここでやるべきことは、現在使われているShader Packageのかわりにshaderpackage019.sdpを読み込ませることです。
というわけで、まず現在使われているShader Package(2の場合はshaderpackage002.sdp)を消すなりリネームしてバックアップするなりしておき、shaderpackage019.sdpをリネーム(2の場合はshaderpackage002.sdp)して置き替えます。
shaderpackage019はShader Model 3.0を強制的に扱う仕様になっており、もしハードウェアがShader Model 3.0以上に対応している場合、Shader Model 3.0を使った描画が可能になります。当然、HDRライティングも扱えるようになります。
あとはセーブフォルダにあるOblivion.iniを開き、bAllow30Shadersの数値を1にしておきます。これはOblivion本体がShader Model 3.0を扱えるようにするための設定です。
あとはオプションでHDRライティングに設定し、ゲームを起動するのみです。ハードウェアが対応している場合、HDR環境でのプレイが可能になっているはずです。
もし例の、UIのみ表示されてあとはブラックアウトしていた場合、素直に設定を戻してBloom環境でプレイしましょう。
さてHDRでプレイできるということは、ENBもその機能をフルに発揮できるということです。
というわけで、ENBにATE(A Tweaked ENB)プリセットを導入してみました。Ambient OcclusionやDepth of Fieldといった重い機能をONにしているとFPSがガクッと落ちますが、特に動作停止などの支障をきたすことなく普通にゲームプレイが可能。
ENBの導入に関して、サイトによってはInjector VersionにWrapper VersionのD3D9.dllを抜き出して入れる…といった解説をしている場合もありますが、そんなことをしなくても、普通に使う分にはWrapper Versionの中身をブチ込むだけで充分です。
そもそもENBInjectorはENB用のファイルをOblivion.exeの存在するフォルダではなく別の場所で管理している場合に、オブリを起動したときENBも連動して立ち上がるようにするためのもので、そういう少々上級者向けな管理をしている人でない場合、特に用がないシロモノです。
最後に、影の描画についてチラッと触れておきます。
PC環境(特にゲーム用マシンでない場合)によってはオプションで有効にしていても影が一切描画されないケースがあります。
そこでOblivionには本体側の設定とは別に、独自に影を描画するShade MeというMODが存在します。これはOBSEを使う非ESPタイプのMODで、本体と設定ファイルをダウンロードして\Data\OBSE\Plugin内に導入します(本体のみでは効果がないので注意)。
またENBも本体側の設定に依存しない独自の影描画機能を持っています。ENBを使う場合は本体側の影描画設定をOFFにしておけ、と言われるのはこのためですね。とはいえENBの影描画が本体のものと比べて特別に綺麗なわけでもないので、ENB側の影描画を切って本体側で影を描画したり、両方ともONにして二重に影を描画しても、それはそれで綺麗に見えたりします。なお本体側の影描画は(可能であれば)ビデオドライバ側の設定でAAを高設定にしておけば凄く綺麗になります。
さて、Shade MeやENBの機能を使っても影が描画されない場合はどうすればいいのか?
わかりません。俺も無理でした。諦めるしかないね。
おまけ、試行錯誤中に作ったキャラのSS。片腕にチェーンソーを装備した赤頭巾ちゃん。基本コンセプトは「ホラー映画の怪人」。たぶん意思の疎通が不可能なタイプ。
MODで追加した装備のTextureやMeshを改造したりなんだり。顔面の火傷もTextureの改造です。GIMPが使える環境を整えてないのでノーマルマップ作るのがすげーめんどくさかった。ただ、ちゃんとノーマルマップで火傷面に凹凸をつけとかないと、ただの変な模様に見えてしまうんだよね。
火傷の色、Textureの段階ではもっとエグいオレンジ寄りの赤なんだけど、キャラ作成時の顔色設定やらライティングのせいで少々安っぽい紫寄りの赤に。ハウスオブザデッド4のゾンビがだいたいこんな色してたよね。
上の三枚はBloom+Fake HDR環境で撮影したもの。
下の一枚はHDR+ENB(ATE)環境にて。
2016/11/24 (Thu)20:09
どうも、グレアムです。ひさしぶりにオブリビオンのSSを更新しました。たぶん一年ぶりくらい。環境を再構築してテンション上がったので。
じつはクエスト「父の罪」を扱ったリアのエピソードの画面写真は環境を再構築するまえ、OSを再インストールする前に撮影したものです。画像の更新日時見たら丁度一年前だった。今に至るまでテキストを用意する気力が沸かなくて放置していたのです。
過去には先にテキストを用意してから画面写真を撮影する、という手法で書いていたのですが、あらかじめ決定されたシチュエーションに合わせて画面写真を用意するのはものすごく難しいので(昔の俺は手間かけてたなー)、今回からは先に画面写真を撮影し、画像に合わせてテキストを用意するという、プレイ日記と同様の手法を取りました。
ジェメイン兄弟は、たしか公式的にはどちらが兄でどちらが弟か、といったことは明言されていなかったと思いますが、本SSでは酔っ払いだけど根っこに熱い魂を持っている兄、真面目で温和な弟という設定にしています。
ちなみに今回から各名詞をコンシューマ版準拠にしています。そのほうが検索で引っかかりやすいかな、という姑息な思惑と、オブリビオンはコンシューマのほうが知名度あるので、読者的にもわかりやすい(のかなぁ…)と思ったので。いちいち名前を調べなおすのが面倒臭いですが。
フォールアウト3とニューベガスは有志翻訳と公式訳にそれほど大差がないのと、スカイリムはそもそも公式で日本語版が扱えるので、そんなことに頭を悩ませる必要はないんですが。
ちびのノルドは闘技場&吸血鬼病治療編です。
当初の予定では闘技場での戦いも全部フォローするつもりだったんですが、さすがにいまさらそこまでやるのは面倒臭すぎるので決勝部分のみ触れています。
吸血鬼病治療は、本来なら普通にバニラのクエスト準拠でハシルドゥア伯爵のところまで泣きつく予定だったんですが、どういうわけか、吸血鬼病を発症してもクエストが発生しなかったんですよね…Wikiを参照にあちこち話を聞きに行ってもそれらしいトピックが出現する気配がなかったんで頭を抱えました。ロヴィディカス卿に鬼のようにボコボコにされてようやく発症したのに!
仕方ないから独自設定をでっちあげるか、ということで、ドレイクかミレニア経由でシンデリオンを紹介してもらうか、リア経由でハシルドゥア伯爵を紹介してもらう二通りの展開を考えたんですが、前者を選びました。最終的にはマグリールを利用するという変わり手を使いましたけど。
せっかくスカイリムに(死体で)登場したので、シンデリオンはもうちょっとクローズアップしてもいいかなあという思惑もあり。けっきょく、展開的にはオリジナル主人公揃い踏みというちょっとおいしい形に収まりました。
ロヴィディカス卿に関しては、何十年も血を吸っていない飢えた吸血鬼という設定のはずなのに、血色の良いムキムキの半裸のジジイが襲ってくるというものすごい違和感しかないビジュアルになってしまったんですが、そのへんはもうどうしようもないので仕方がない。
グレイ・プリンスとの決戦は、戦士としてはテメエの勝手な都合で塩試合させられるほうの身にもなってみろやボケェ!ということで、ああいった形で全力を出してもらいました。
熱狂的なファンが問答無用でブン殴られたのは、彼に非があったからというより、ちびのノルドが情緒不安定な状態だったせいです。全力で戦えたのは良しとしても、それはそれで感情に整理がつかない部分もあり、結局アリーナにも自分の居場所はなかった…と認識させられたというか。
今後もオブリビオンのSSについてはコンスタントに更新して、できれば完成まで漕ぎ着けたいんですよね。
いままでけっこう話を進めてきたので、あとはクヴァッチ行ってメインクエ終わらせれば完了かな、くらいに考えてたんですが、改めて設定ノート読み返したらまだ序盤だったと気づいて戦慄。
とはいうものの予定している話数の大半がギルドクエスト関連で、消化試合的なエピソードも多いんで、そのへんをばっさりカットして本筋だけ追うようにすればまだ完成の目処はあるかなと思ってます。
2016/11/22 (Tue)18:21
吸血病の治療薬を作るため、強力な吸血鬼の灰とアルゴニアンの血を求めてスキングラードを発ったちびのノルドだったが、これといってアテがあるわけではなかった。
「どうしよう…」
このまま何の目処もなく森の中をふらついて、目当てのものが見つかるだろうか?
吸血鬼は廃坑や洞窟を根城にしていることがあるので、そうした場所を探せば見つかることもあるだろう。治療薬の製造に必要な力を満たしているかはともかく…アルゴニアンも同様に、そうした場所にたむろしている山賊を狙うという手がある。
しかし、なんとも途方のない話だ。本当に一晩でこなさなければならないのか?
暗澹たる気持ちを抱えるちびのノルドの前に、聖堂が見える。ゴトルズフォント修道院というらしい、せっかくなので探索の成功を祈願するために立ち寄ってみようか。
聖堂には先客がいた。
賊の類には見えないが、さりとて修道女というわけでもない。何者だろうか?
眼帯で片目を覆った銀髪の女性はちびのノルドを一瞥すると、静かに口を開いた。
「どなた?」
「あー、えーっと、旅の者です。ちょっとお祈りに…あなたは、ここの人ですか?」
「いいえ、私も旅の途中で立ち寄っただけよ」
旅人を名乗る女性は物腰こそ柔らかかったものの、その口調はどこか冷たいものを感じる。
戦士には見えないが、ただの旅行者ではないはずだ。商人?あるいはやはり、山賊か何かだろうか?
どことなく異様な空気を感じ取ったちびのノルドは、考えるよりも先に口を滑らせてしまう。
「あの、もしかすると、ですが…吸血鬼の遺灰とか、持ってませんか?」
「吸血鬼の遺灰?私が?…なぜ?」
「いえ、その、特に深い理由はないんですが。じつはわたし、強力な吸血鬼の遺灰を探してて、それで…」
「そんなもの、何に使うの?」
「く、薬を作るんです。錬金術で」
「あなた、錬金術師?」
「やや、ち、違います。知り合いに、ですね。頼まれて。というか、頼んで、というか」
「ふうん…」
どこか値踏みするような目つきの女を前にして、ちびのノルドはいささかたじろぐ。
吸血鬼になってしまった動揺がずっと尾を引いているせいもあるが、どういうわけかこの女性に対して、苦手意識のようなものが生まれている。それがなぜなのかは、自分でもわからなかった。
やがて女が言った。
「幾ら出せる?」
「え?」
「強力な吸血鬼の遺灰。幾らで買う?」
「持ってるんですか!?」
「おそらく、ね」
そう言って、女は腰のベルトに下がっていたポーチから帆布製の袋を取り出した。
「ヴィセンテ・ヴァルティエリっていう…暗殺者の遺灰よ。ずっと人間社会に溶け込み、決して正体を明かさなかった…まあ、強力な吸血鬼と言えるのではないかしら?信じるかどうかは、あなたの勝手だけれどね…」
どこか物憂げ、けだるげな表情で女は訥々と語りだす。
本物だろうか?新手の詐欺商法という可能性も、もちろん考えられた。
たまたま遺灰を持って教会へ祈りに来たら、吸血鬼の灰などというけったいなものを求めている変人に出会ったので、適当にふっかけて大金をせしめようと思いついたのかもしれない。本来は位牌とともに飾るか、墓に埋められるはずだったイシュトヴァーンおじさんの遺灰に感謝、というわけだ。
もちろん、遺灰は本当に強力な吸血鬼のものだという可能性もある。
これから山の中を駆けずり回って、あるかどうかもわからないものを探すか?それともここで金を払って手打ちにするか?時間のないちびのノルドにとっては考えるまでもなかった。
「…500G、で、足りますかね?」
「市価の十倍ね。よほど急いでるのね…いいわよ、それで」
ちびのノルドが金貨の入った皮袋を渡すと、引き換えに女は遺灰の入った帆布袋を差し出してきた。驚いたことに、女は金貨の数を数えようともしない。そもそも、金に興味がないふうな態度だった。
またしても疑問が頭をもたげる。彼女は何者なんだろう…
しかし、それを詮索している暇はない。
「あ、あのっ、ありがとうございます」
ちびのノルドは頭を下げると、小走りに教会を出ていった。
残るはアルゴニアンの血液だが、これがまた厄介だった。
第一、こんな夜中にそうそうアルゴニアンが出歩いていることなどない。彼らは寒さを苦手としているため、理由もなく夜に散歩するような習慣を持っていなかった。
しばらく歩き通していると、ポツポツと雪が降りはじめ、自分がかなり山の深い部分まで来てしまったことに気づく。
ひょっとしてジュラル山地のあたりまで到達してしまったのか?
引き返すべきか…そう思ったとき、ちびのノルドは見覚えのある影を発見した。黒いコートを着た、アルゴニアンの剣士。
「あなたは…」
「またおまえか!相変わらず、そんな格好でよく寒いなかをうろつけるな、ええ?」
アルゴニアンの剣士ドレイクはちびのノルドを見るなり、露骨に嫌そうな顔をして言い放った。どうやら以前、ズボンを奪われたことを根に持っているらしい。
本来なら血液はそのへんの野盗や山賊の類を殺し、その死体から抜き取る予定だったのだが、ここで知り合いに出会ったのは運が良かったのか、あるいは…
望みが望みだけに、ちびのノルドはおそるおそる訊ねる。
「あの、じつは頼み事があるんですけど…」
「ああ?もうズボンは貸さねーぞ」
「いえ、そうではなくて。その…少し、血を頂けたらなー、と」
「血だと?そんなもの、おいそれとくれてやるわけにいくか。どういう事情だよ、いったい…」
ドレイクはすっかり呆れ顔で、当然ながら、拒否反応を示した。
本当のことを話して良いものだろうか…ちびのノルドはしばし逡巡する。
このドレイクという男は、少々ガラの悪いところはあるが、かつて共に仕事をした限りでは実直さを取り得としているようだった。一か八かだが、素直に白状するしかない。
「じつは…わたし、吸血鬼と戦って。病気を移されたんです。吸血鬼に、なっちゃったらしいです…」
「吸血鬼?おまえがか?」
「それで、いま、シンデリオンっていう錬金術師のひとに、治療薬を作ってもらってるんですけど…材料に、アルゴニアンの血が必要らしくて、それで」
「シンデリオンだと?なるほど、あいつがな…ヤツの言うことなら、まあ、デタラメじゃあないんだろうさ」
「お知り合いですか?」
「師匠筋のな。それで、血と言ったって、どれだけ必要なんだ?」
「えっと…」
聞いていなかった。
シンデリオンは何と言っていただろう?アルゴニアンの血がどれだけ必要かと?
必死に思い出そうとしたが、なんのことはない、シンデリオンは血の分量については一言も口にしなかった。どうしようもなかった。わかりません、と素直に言うか?
「エート…2Lくらい?」
「死ぬわ」
「じゃあ、あの、インク瓶くらいの量で」
「少なかぁねーが、事情が事情だ。しょうがねえなあ…」
そうつぶやき、ドレイクが渋々銀製のダガーを抜き、刃を左手の母指球のあたりにあてがう。
そのまま柄の部分を引き、手に傷をつけようとして…ドレイクは動きを止めた。血が噴き出す瞬間を待ち侘びるかのように、ちびのノルドが食い入るように見つめていたからである。
素早くダガーを鞘におさめ、ドレイクは首を振った。
「やめた」
「えっ?」
「おまえ、飲むだろ?」
「飲みませんよ!」
「ウソつけ、いま、自分がどんな顔してたか、自分でわかってねーだろ。どうやら相当症状が進んでるみたいだな…ダメだ、ここで血を渡すわけにはいかない」
「そんな!無茶なお願いだってわかってますけど、でも、わたし…!」
「だからよ、フウ…俺がついていってやるよ、シンデリオンのところまで。どうせおまえ、ちゃんと分量も聞いてなかったんだろう?」
血は渡せない、と言われたショックから、ちびのノルドはドレイクの言葉の意味をしばらく理解できなかった。
だが彼の好意を理解すると、ちびのノルドはふらふらと膝をつき、その場で泣き出してしまった。ドレイクが彼女の扱いに困ったのは言うまでもない。
吸血鬼の遺灰と、アルゴニアンの血…の保有者を連れたちびのノルドが研究室に戻ったときには、すでにシンデリオンとミレニアが他の材料をすべて揃えて待っていた。
「おやドレイク、グラアシアの件以来だね」
「またここに来ることになるとは思ってなかったぜ。相変わらず酷い臭いの部屋だな…ところで、エリクサーとやらは完成したのか?」
どうやらシンデリオンとドレイクが顔見知りなのは本当らしい。顔を合わせるなり、挨拶も抜きに二言、三言雑談を交わす。
またドレイクとミレニアも見知った仲らしく、それもたんにシンデリオンを通じての知人というより、また別の事情があるらしかった。
「セリデュールは…」
「終わったよ。なにもかも」
「そうですか」
二人は短い言葉でやり取りしたのち、意味ありげな目配せを交わす。
いったい、なんだろう?シンデリオンは二人の話を聞いていたはずだが、これといって突っ込みを入れたりはしない。事情を知っているというより、我関せずといった態度を取っているように見える。
弟子と知人の内密のやり取りに興味を抱かない、なんてことがあるだろうか?
まあ、自分には関係のないことだ…と、ちびのノルドは考え直す。なによりいまは、薬が無事に完成することを祈るしかない。
半日ほどかかり、ついに完成した薬をちびのノルドが口にする。
味があまりにも酷く、思わずちびのノルドは吐き出しかけたが、どうにか我慢して一気に全部飲み干した。異臭と喉越しの悪さも相まって、あとから涙が溢れてくる。
どうもそれらの特徴はニルンルート由来の滋養成分によるものらしい、吸血鬼化が原因で衰弱した身体の調子を整えるためのものらしいが…
「体内の毒素が中和されるまで、すこし時間がかかる。一日ほど安静にしていたほうがいい」
シンデリオンの忠告に従い、ちびのノルドは研究室のベッドを借りて目を閉じる。
肉体的疲労はもちろんあったが、それ以上に心労が祟っていたのか、ベッドの上で横になると同時にちびのノルドはあっという間に意識を失った。それは、信頼できる知人…仲間たち、と言えるほど深い仲ではない…に見守られ、安心したせいもあるかもしれない。
ほぼ丸一日のあいだ、一度も目を醒まさずに眠り続けていたちびのノルドは、帝都闘技場のグランド・チャンピオン決定戦当日の朝に意識を取り戻した。
どうやら吸血病の影響はすっかり抜けたらしく、だいぶ衰弱してはいたものの、気分は悪くなかった。
「どうやら薬がちゃんと効いたようだね」
「ありがとうございます、シンデリオン先生!ところで、他の二人は…」
「君が眠ったあと、すぐに出発してしまったよ。皆、いろいろと事情を抱えているからね。もしまた旅先で出会うようなことがあれば、そのときは改めて礼を言っておくといい」
大変な借りを作ってしまったと思ったが、悪い気はしなかった。
利用できるものはなんでも利用する、偉大なクソ野郎に対して作る借りは大変な負債になるが、今回のような…口の悪いアルゴニアンの剣士、風変わりなアルトマーの錬金術師弟に対しての借りは、むしろ、そういう形で繋がりを持てたことに感謝すらしていた。
ちびのノルドにとって、相手の悪意を気にせず付き合える相手というのは本当に珍しかったのだ。
吸血病治療の対価としてシンデリオンは謝礼を受け取るかわり、ニルンルートの収集を依頼してきた。現在研究中の、エリクサーというポーションを作るために必要らしい。今すぐというわけではなく、旅の途中で見かけたら持ってきて欲しい、という程度のものだった。
吸血病治療の対価としては破格の良心的提案だ。断る理由はなかった。
若干ふらつきながら、外に出ようとするちびのノルドをシンデリオンが制す。
「病気が治ったとはいえ、すぐに激しく動き回らないほうがいい。二、三日は休養を取って、栄養をつけたほうがいいだろう」
「あの、そう言ってくれるのは有り難いんですけど…ちょっと、先延ばしにできない用事があるので」
そこでちびのノルドは、自分がアリーナの闘士であること、グランド・チャンピオンへ挑戦する権利を獲得したことを話し、今日の夕方までには帝都闘技場まで戻らねばならないことを説明した。
また、吸血鬼に襲われたのはグランド・チャンピオンであるグレイ・プリンスからの依頼を遂行する過程での出来事だったことも話した。
それを聞いたシンデリオンは驚いた表情を見せ、なぜそれを早く言わなかったのかと問い詰めようとしたが、けっきょく、そうする意味もないことに気づき、それは諦めた。
そのかわり、言うべきことがあった。
「なあ…君は、嵌められたんじゃないのかい?その、グレイなんとかいうチャンピオンに」
「え?」
「だってそうだろう、これから対戦する相手に重要な頼み事をするってこと自体がまず怪しいし、彼が吸血鬼の存在を知ってて君を死の穴に送り込んだと考えるほうが自然だ。そいつが無敗のチャンピオンでいられたのも、そういう卑劣な手を使ってきたからじゃないのかい」
「違っ、彼はそんな人じゃあ…」
臆面もなくそう言い放つシンデリオンに、ちびのノルドは反論しようとしたが、すぐに口を閉ざした。
一見誰にでも愛想が良く、自分の身分を鼻にかけない好漢。
それが実際は卑怯な手を惜しみなく使う悪党だったなんてパターンは、故郷のスカイリムで、このシロディールで、呆れるほど目にしてきた。
だからこそ、グレイ・プリンスに会ったことすらないシンデリオンの言葉が、逆に納得できるのだ。相手を油断させる懐柔術、愛想の良さといった「目くらまし」の影響を一切受けていない部外者の言葉だからこそ。
しかしそれなら、だからこそ、あのグランド・チャンピオンをアリーナの中心で血の海に沈めなければならない。どのみち、ここで逃げるなどという選択肢は有り得ないのだ。
帝都へ向かう荷馬車の御者に多額のチップを渡し、かなり無茶な高速移動を強いて帝都に到着したちびのノルドは、間もなく日が暮れるというタイミングで闘技場へ戻り、その結果、剣豪オーウィンの激しい叱責を受けることになった。
「おまえ、一週間もどこへ行方をくらましてた!?この大事な試合が中止になったら、アリーナ始まって以来の歴史的汚点になるところだったぞ!」
「すいません、本当にすいません!」
「悪いが休んでる暇はないぞ、もう観客席は満員でおまえたちの登場を待ち望んでるんだ!」
「あの、それはいいんですけど…ちょっとの間だけ、グランド・チャンピオンに挨拶していきたいんですけど」
そう言って、ちびのノルドはオーウィンが止めるよりも早くその場を離れた。
すっかりコンセントレーションが整った様子で木椅子に腰かけているアグロナック・グロ=マログに、ちびのノルドはクロウヘイヴンで発見したロヴィディカス卿の日記を押しつける。
「ひょっとして、戻ってこれないのではないかと思っていた。これは父の日記か?」
「そうですけど…どうして、あなたの父が吸血鬼だと教えてくれなかったんです!?」
「なんだって?吸血鬼…ちょっと待ってくれ!」
激昂した様子で叫ぶちびのノルドに、グレイ・プリンスは虚を衝かれたような表情でおののいた。
必死で日記のページを読み進めるグレイ・プリンスの態度に、ちびのノルドは疑問を覚えた。ひょっとして彼は本当に何も知らず、単純に自分のルーツを辿る目的で依頼をしてきたのか?
せいぜい試合前に、彼の依頼のせいでどれだけ酷い目に遭い、多額の散財をする破目になったかを言ってやるつもりだったが、もうそんな気は失せていた。ひょっとすると、グレイ・プリンスは演技の達人で、動揺しているフリをしているだけかもしれないという考えは捨てていなかったが。
「なんということだ、本当に…私の父は、ヴァンパイアだったというのか!?私は灰色の王子などではなく、悪魔の落とし子だったのか!ナインよ、シンジよ!こんなことが、あって良いものなのでしょうか!?」
互いに動揺を隠せないなかで、オーウィンが二人の出場を急かす。
釈然としないまま、ちびのノルドは重い足取りでブルーチームの出場エリアへと向かった。
『本日は十年振りのグランド・チャンピオン決定戦、あなたはこの瞬間を一生忘れないでしょう!ブルー・チーム対抗者は短期間で瞬く間にハイ・ランカーへのぼりつめた徒手格闘の達人、鋼鉄の肉体を持つ乙女アリシア・ストーンウェル!対するは無敗の王者、灰色の貴族アグロナック・グロ=マログ!』
会場はすでに熱しきっており、試合が始まるまえにぶっ倒れる人間が出てくるのではないかというほどの熱狂ぶりだ。ちびのノルドとグレイ・プリンスが登場した瞬間にドッと歓声が沸き、まるで騒音の海に包まれたような気分になった。
確執を残したまま戦いに挑むのは気が進まなかったが、予定をずらすことはできなかった。そんなことをすれば暴動が起きるだろう。
『いまここに、今紀最大の戦いがはじまります!刮目せよ、それでは…試合開始ッ!!』
大音量のアナウンサーの声とともにゲートが開き、ちびのノルドとグレイ・プリンスは同時に駆け出す。
接近と同時にグレイ・プリンスが剣を振りかぶるが、先刻のショックが大きいためが動きがのろく、まるで隙だらけだった。ちびのノルドはそれを難なくかわし、懐へ入り込むと同時に肘鉄を相手の脇腹へ食い込ませようとする。
命中すればアバラの骨折は確実、内蔵へダメージを与えることができればその時点で勝利は確定したも同然だ。
攻撃を繰り出す間際、ちびのノルドとグレイ・プリンスの目が合う。
「…… …… …ッ!!」
彼の纏う異様な雰囲気を察したちびのノルドは身を捻って反転し、勢いを殺さぬまま横転して大きく距離を離した。
一見すると、門外漢には理解できない高度な攻防があったかのような光景だったが、これはそんなものではなかった。
あいつ、攻撃を受けるのがわかっていて、防ごうとも避けようともしなかった……!?
「どういうつもりです」
一定の間合いを保ちながら問いかけるちびのノルドに、グレイ・プリンスがこたえる。
「わかっているだろう、汚らわしい吸血鬼の血を引く私はこれ以上生きていけない。生きていては、いけないんだ!だから、頼む…私を殺してくれ。君にも随分、迷惑をかけた。これはその罪滅ぼしだ、さあ!」
死を受け入れた表情で、グレイ・プリンスは自らの盾を剣でガンガン叩きつける。おそらく観客からは、自らを鼓舞しちびのノルドを挑発する動きにしか見えていないだろう。
この期に及んで彼がブラフをかけているとは思えなかった。本気で殺されたがっているのだ。
ちびのノルドはふたたび駆け出し、グレイ・プリンスの膝を蹴って体勢を崩させると、隙だらけになった顔面に向かって跳躍し…
平手で叩いた。
パアン、という乾いた音が会場全体に広がり、攻撃がクリーンヒットしたことで一瞬会場は沸くものの、必殺の一撃を打てたはずの状況で平手を使ったことに早くも観客たちは疑問を抱きはじめていた。
もちろん、それはグレイ・プリンスとて同じことだった。
「なぜだ、君ならいまのタイミングで殺せたはず!これ以上、私に生き恥を晒させるつもりか!?」
「…ふざけないでくださいよ」
「なに?」
「こんなくそっくだらない茶番であなたの自殺を手伝って、そんなの、けっきょく、あなたの一人勝ちじゃないですか。それで名誉もなにもあったもんじゃないグランド・チャンピオンなんていう称号をもらって、わたしが喜ぶと本気で思ってんですか」
「私にはもう戦えない。戦う理由がない。生きる理由がない…たのむ、これ以上私を苦しませないでくれ。ひと思いに殺してくれ」
「わがままばっかり言ってんじゃねぇよ、負け犬!薄汚いバケモノの血のせいで脳味噌まで腐っちまったのか、えぇ!?てめぇがブザマな死にざまを晒す最期の最期くらい、ちょっとは根性見せてみろよ、このクズ野郎!!」
「なんだと!?」
あまりに口汚く罵られたせいで、先刻まで覇気を失っていたグレイ・プリンスが激昂しかける。
だが、ちびのノルドが嗚咽を漏らしているのに気づいたとき…考えを改めた。
あんなこと、言いたくはないのだ。戦士としての名誉と誇りを守るため、互いに全力を尽くして戦うことを望み…心を鬼にして、あのような暴言を吐いたのだ。それでも心が耐えきれず、涙を流しているのだ。
膝をついていたグレイ・プリンスはゆっくりと立ち上がり、武器を持ち直す。
そしてちびのノルドをまっすぐ見つめ、口を開く。その表情に迷いはなかった。
「失礼した。我が名はアグロナック・グロ=マログ、またの名をグレイ・プリンス…アリーナのグランド・チャンピオンとして、全力でお相手する」
ちびのノルドは微笑み、兜の下の涙を拭えぬまま、拳をかまえる。
この戦いは、のちにアリーナの伝説として語り継がれることになる。
「ワオ、グランド・チャンピオンだ!以前からずっとファンだったんですよ、さっきのグレイ・プリンスとの闘いも見てました!もしよかったら、僕を従者に連れ…」
グレイ・プリンスに勝利したちびのノルドは、グランド・チャンピオン戦の伝統を破り、敗者の装具を奪うことなくアリーナから立ち去った。
そのことに対し剣豪オーウィンと闘士長イサベルは最大級の叱責を与えるべく彼女の姿を探したが、すでにちびのノルドの姿は闘技場にはなく、未だ興奮冷めやらぬ歓声に満ちたアリーナで、二人はただ呆然と立ち尽くしたという。
グランド・チャンピオン不在となった帝都闘技場はその後長きにわたって暗黒の時代が続くが、それはまた別の話として後世に語り継がれることになるだろう。
夜になって、闘技場の前で気を失っている少年の姿が衛兵によって発見された。目撃者の証言によると、試合直後に新生グランド・チャンピオンが闘技場を出たところ、猛スピードで駆け寄った少年が一方的に殴り倒されたという。
おそらく少年が新生グランド・チャンピオンに対して不愉快な態度を取ったか、あるいは、たまたまグランド・チャンピオンの機嫌が悪かったせいかは定かではないが、いずれにせよ看過できない暴力行為であることに変わりはなく、そういった点も含め、帝都闘技場は新生グランド・チャンピオンの不敬な態度を厳しく追求すると発表した。
しかし彼女がアリーナへ姿を見せることは二度となかった。