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2024/11/23 (Sat)23:39
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2019/02/05 (Tue)18:56







The Elder Scrolls IV: Shivering Isles
"Ghost in Madness" #3

- エルダースクロールズ4:シヴァリングアイルズ -

【狂気の島と死霊娘】第三回









「また死んでる!」
 洞窟の探索中、スキンド・ハウンド幾度目かの無念の戦死であった。

 シヴァリング・アイルズに登場するクリーチャーはシロディールのものよりもだいぶ、かなり、強い。もっとも、太陽星系人であるジアンがそのことを知る術はないが…それはさておき。
 クルーシブル在住のオーク、ウシュナールに託されたこのスキンド・ハウンド。
 戦闘状態にならない限り無闇に攻撃を仕掛けることはなく、常に半歩下がった距離でついてくる控え目な従順さ。決してスニーク状態の主人を後ろからブリブリ押してくることなく、後年のBethesda製RPGに登場するコンパニオンとしてはかなり優秀なAIではないかと思う。見た目も可愛らしく、愛嬌がある。
 だが、そんな忠犬にも唯一最大の欠点があった。弱いのだ。
 このスキンド・ハウンド、とにかくよく死ぬ。存在を最初から知ってさえいれば、あらかじめデータを改造して強くしておきたかったと思わせる程度には弱い。
 誤爆すると死んでしまうとか、そういう次元の話ではない。雑魚敵とのタイマン戦闘であっさりボコられて死ぬのである。しかも無敵属性がついていない。情が移ってコンソール・コマンドで蘇生させること幾度目か、いっそのこと不死属性をつけてしまおうかとさえ思う。
 先述の通り、シヴァリング・アイルズの敵はかなり強い。その敵の強さにまったく追いつけていないのだ。パワーインフレに置いていかれたヤムチャが如しなのだ。




 暗所では松明…ではなく、フレア(発炎筒)を用いるジアン。
 はじめはグロースティック(所謂サイリウム)にしようかと思ったが、こちらのほうが原始的でサバイバル感溢れるための採用である。というか、ファンタジー世界探索においてグロースティックは少々オサレアイテム感が強過ぎる。
 いや、M112(要するにC4爆弾)とかサブマシンガンはいいのか、という話ではあるのだが。たんに個人の好みの問題ともいう。




 沼?湖?
 水面積が多いシェオゴラス王国では、水を渡る場面も珍しくない。

「問題はない!!15メートルまでなら!!!」
 と、このように水面走行を敢行する場面も珍しくはないのである。
 スキンド・ハウンドは健気に犬掻きでついてくるが、そのスピードは決して早くない。そして溺れたのか、そもそも水に弱いのか、あるいはクリーチャーの攻撃を受けたのか、毒を喰らっていたのかはわからないが、いつのまにか死んでいたりする。
 いつ行方不明になってもいいように、RefIDは一番最初に控えておいた。




 さて、道中でふたたび見かけた異教の偶像である。
「爆破しかあるまい」








 こうしてまた一つ、祭壇が消し飛んだのであった。




 そんなことをやっているうちに目的地ゼディリアンへと到着。

「地元住民の住処になっているとは聞いてないが…このトーテムを見る限り、先に不法入居者を退去させねばならぬようであるな」
 すでに見慣れたエラ張り顔のトーテム、それは紛うことなくグラマイトの痕跡を指すものである。




 半漁人どもを退治し仕掛けを再起動、ゲートキーパーにかわる侵入者撃退システムをこの目で堪能することになる。

「巨人に暴れさせるよりは狂気の島に相応しい仕掛けではないのかな」
 ジアンが作動させた罠はいずれも非致死性のもの、新しい住民が増えるって?やったねシェオちゃん!殺すなどという野蛮なことはしない、ジアンはあくまで善意で新たな世界への門戸を冒険者たちに開いたのである。
 その結果、冒険者たちの精神が破壊されたとしても、それはさして重要なことではない…




 ことの次第をシェオゴラスへ報告に戻ろうとしたところ、オーダーの騎士なる謎の集団の襲撃を受ける。コブラM38の銃火が唸る!




 薬莢もきちんと作ってある、がしかしマズルフラッシュをもう少しどうにかしたいところ…



 [次回へ続く]


















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2019/02/02 (Sat)20:25










「ふぅむ、緑豊かなれど奇ッ怪な場所であるな。宇宙広しといえど、このような場所もあるのだなあ」

 狂気の島「シヴァリング・アイルズ」を散策するのは、太陽系出身のサイバーゾンビ【ジアン・シャン=デイ】。
 かつて火星の辺境でカルトの僧兵として連邦軍との戦いに身を投じていたが、捕虜となった挙句に拷問を受け惨死。のちに遺体を引き取ったカルトのサイバーインプラント技術でゾンビとして蘇生させられる。
 終わりなき闘争に嫌気がさし個人用小型宇宙艇で宇宙を旅していたが、ワームホールの事故に巻き込まれてシヴァリング・アイルズへと不時着する。
 その出自からわかるようにニルン出身者ではなく、それどころかムンダスと縁があるかどうかも怪しい。まったく理(ことわり)の異なる次元へやってきた彼女だが、あまり物事を深く考えない性格ゆえか、案外うまく適応しているようである。









 しばらくの道程を終え、ついにシェオゴラスの待つニューシェオスへと近づいたジアン。
 これまでに狂気に満ちた島を歩いてきた彼女であるが、その精神にさほどの動揺は見られない。それは彼女自身がまさに狂気の産物であり、その精神が常に正気と狂気の狭間を漂っているからかもしれない。
 ある意味では彼女自身がもとからシヴァリング・アイルズの住民に近しい存在であったとも言える…




 たどりついたニューシェオス城下町の片一方、陰のクルーシブルはこれといってファンタジックなところはなく、かのシェオゴラスの膝元、どれほどの狂気に満ちているのかと興味津々だったジアンの期待を裏切った。
 どこか精神の破綻した住民たち、汚水が垂れ流されるままの不衛生な環境、これらはまったくもって「普通のスラム」としか言い様がなく、それはジアンにとって見慣れた光景でもあった。

「なんというか…私の故郷を思い出す光景であるなあ」
 ジアンの故郷は火星の辺境、失敗に終わったテラフォーミング計画の残滓がやがて犯罪者や底辺の者たちを呼び込んで形成された地獄のような場所である。そんな地では権力者との闘争に身を任せるほかに希望を見る手段もなく、夢見がちな少女であったジアンが自ら血まみれの戦いに参加したことも、当然の成り行きであったろう。
 すくなくとも、このニューシェオスの地は戦争とは無縁のように見える。




 クルーシブルで人助けをしたところ、いつの間にかスキンド・ハウンドなる死霊犬がついてくるようになった。はじめは少々面食らったが、「狂気の島ではこの程度、日常茶飯事なのであろう」と良くない方向にバイアスがかかっていたのと、仕草がまったく普通の犬と変わらぬゆえ、すぐに自然と受け入れられるようになった。
 なによりジアン自身が死霊である身、この不運な(おそらくは…)犬にシンパシーを感じたとしても、それは不思議なことではない。




 旅は道連れ、世は情け。
 新たな旅の相棒を連れ、ジアンはシェオゴラスの任によりゼディリアンへと向かうことになった。なんでも、以前ジアンが殺したゲートキーパーにかわって冒険者の侵入を止める方法を探さねばならぬらしい。
 ゼリディアンはゲートキーパーが誕生する以前の侵入者対策であったというが、その実態はいかなるものか。




「むう、奇ッ怪な偶像なり…」
 かつて宗教者であった名残か、あるいは条件反射的なものかもしれないが、ジアンは異教の偶像、特に土着信仰的なものに対し猛烈な嫌悪を抱く。
 これはたしか、グラマイトとかいう半漁人めいたクリーチャーの姿を模したものだ。御神体だろうか?会話こそ通じないが、連中は独自の文明を持っているようで、刃物や装飾品を作れる程度の知能と技術があるようだ。少なくとも、それらは略奪品には見えない。独自の信仰を持っていたとしても不思議ではなかった。
「邪教に相違ないな。爆破しておこう」




 そう言うと、ジアンはおもむろにバックパックからM112コンポジット爆薬を取り出し、起爆装置を取りつけて像の台座の近くにある宝箱にセットした。








 科学の力により、無残にも破壊されたシュライン(?)跡地。




 そして…運が悪かったのか、神罰が下ったのか。
 いつの間にかスキンド・ハウンドが隅っこに引っかかって死んでいた…



 [次回へ続く]


















2019/01/30 (Wed)22:54








 あるとき、ニベン湾に奇妙な小島が出現した。
 そこにはデイドラ皇が一柱、狂気の王シェオゴラスが支配する領域「シヴァリング・アイルズ」へと繋がるポータルが存在し、いかにしてこのような代物が現れたのか、その謎を解かんと数多くの冒険者たちがポータルの向こう側へと足を踏み入れた。しかしその多くは帰らず、また帰還した者たちは皆、例外なく精神を病んでしまっていた。






 しかしながら、そのような事態とはまったく関係のない理由で、この狂気の地へ到着した者もいた。






「ここはどこであるか…?」



  【ジアン・シャン=デイ】…

 かつて火星の辺境でカルトのグレーター・モンクとして仕えていた彼女は、太陽系連邦軍との戦いで捕らえられ、過酷な拷問ののちに惨死した。その後カルトは彼女の遺骸を回収し、組織が保有するサイバネティクス技術を駆使して蘇生させる。
 サイバーゾンビとして復活したジアンはふたたび連邦軍との戦いに身を投じることを期待されたが、ジアンは終わりなき闘争と、カルト内部にはびこる権力闘争に嫌気がさし、組織を脱退。
 以後は個人用の小型宇宙艇を駆って太陽系を旅して回っていたが、あるときワームホールの転送事故に巻き込まれ、いかなる運命の悪戯か、狂気の島…シヴァリング・アイルズへと不時着したのであった。








 …と、いうような感じで、ですね。
 どうも、グレアムです。またしばらく放置してしまってて申し訳ないです。ネタがないわけではなかったんですけどね、Postal 2のDLCを金曜まで進めたところで強制終了が多くてちょっと萎えたりだとか、非SteamタイトルのSwat 4とDevastationをクリアしたので感想書こうかな、などとも考えていたんですが、いざ記事に起こそうとなるとこう、気力が続かなくて…惰弱だッ!
 でもって、まったく関係ないタイミングでまたOblivionをいじりはじめまして、本当はSSのほうの続きを書かねばならんのですが、そっちを放置してまた新キャラを作ってたりですとか。

 今回は死霊娘ということで、イメージのベースはキョンシーとかあんな感じですが、そこに若干のサイバーパンク成分をぶち込んでこう、相変わらず世界観に合わないものをこしらえたりしてたわけですよ。
 なんでいまさらシヴァリング・アイルズかっていうと、実は俺、本DLCを一度もクリアしてなくて、今更ながら一度くらいきちっとクリアしておくべきかなあ…ということで、観光写真の撮影がてらシヴァ島を攻略していこうじゃないか!とまあ、そんなコンセプトなのであります。









 到着早々、いきなり土左衛門を目の当たりにしてビビる。




 狂気の門を守護するゲートキーパーに挑むも、あえなく敗北。
 なおジアンは強靭なゾンビ耐久力とサイバーインプラントによる自己再生機能を持つため、瞬時にばらばらに吹っ飛ばさないかぎり生命活動は停止しない模様。痛覚も鈍いため、ダメージが戦闘行動に支障を及ぼすことはない(本来は痛覚をコントロールできるのだが、精神にキズが入っているためサイバーインプラントの繊細な機能調整ができず、常時痛覚がほぼ無になるようセッティングされている)。




 仕方がないので宿で一休みすることに。宿というか、眠そうな顔してわりと実用的な武具を揃えているもののベッドは無料という、少々珍しい場所。
 ジアンは活動にあたって特別な外部動力を必要としないが、サイバーインプラントの稼働にあたって多くのエネルギーを必要とし、その供給は食事によるカロリー摂取に頼っている。そのため食事量が常人の3~5倍近く、かなりの大喰らいである。




 後日、ジェイレッドという男の助言に従いゲートキーパーの再生能力を無効化する矢の材料の採取へ向かう。血と骨の庭園と呼ばれる場所にはゲートキーパーの死骸が安置されており、その骨が必要となるのだ。
 ジアンは愛刀「黒烏」と大口径サブマシンガン「コブラM38」を用いた物理戦闘を行う。刀を左手で扱っているが、これはジアンが左手のみを用いた片手抜刀を得意としているため。




 矢を手に入れたはいいが、肝心の弓がない!
 安心めされい、こんなときのために(?)宿に武具が揃っているのだ。ドワーフの弓を購入し、ゲートキーパーに同属の骨から作った矢尻を射ち込む。
 この格好で弓を扱うのは大変に似合うのだが、肝心の傘に矢の弦が干渉してしまうのが困りもの。




 ディメンシャの門を潜り抜け、その先にある洞窟の奥で休息を取る。
 そういえば、このDLCには自宅のようにあつかえる拠点は手に入るのかな…?




  自殺島と呼ばれる場所で死霊と遭遇、話しかけても応答がない、困った照れ屋さんたちである。この時点では関連するクエストを受注していないため、特に干渉することもなくその場を離れることに。




 沼地?の近くの墓地にて、死者の冥福を祈る。
 ジアン自身が死人である身ゆえ、こうした場所には感情が動かされるのである。この行動からわかるように、かつてはカルトの僧兵として支配者階級との闘争に身を投じた人物であるが、決して無用な暴力を好む人柄ではない。
 しかしながら現在は死霊として、いささか精神に不均衡をきたす場面も少なくない。彼女自身の意思とは関係なく、存在そのものが周囲にとっての脅威となることもあるのだ。悲しむべきことに。



 というわけで、今回はここまで。…続くかなあ。


















2018/04/29 (Sun)21:03






「…起きないな」
「起きませんね…」
「こいつマジか」







 どうも、グレアムです。
 新生オブリビオンSS、全12話予定のうち4話まで進んだということで、とりあえず前半戦終了といったところでしょうか。すごいぞ、もう7年前から更新してる旧SSより話が進んでるじゃないか!…う~ん。
 以前書いた通り、今回はメインクエストのみを扱い短いスパンで完結させるというコンセプトなので、そのぶん画面写真撮影に力を入れています。
 ちなみにですが、今回は旧SSのような後加工や合成を一切使用していません、ゲーム内のみでどれだけのことができるかというデモンストレーションも兼ねているので。以前と違い、TES4EditやBlender、NifSkopeをそれなりに扱えるようになったということもありますが、他では見ないような試みをけっこうやってるんじゃないかという自負はあります。えーっと、CSは使ってないです。使いにくいしアレ。
 OblivionはFallout 3以降とはけっこう仕様が違ってて、コンソールコマンドのTfc_1が使えないのは画面写真撮影において割と致命的に厳しいんですが、そのかわりCreateFullActorCopyコマンドが使えたり、WryBashのFace Import機能が使えたりと後続にはない機能が利用できるので、そのへんで楽ができる部分はありますね。あとTaiコマンドでAIを停止させたあとの挙動が違ったりとか。








今回の主人公三人衆



  *旧SSとの違い

 まずは異世界絡みの三人(リア、ブラック17、ミレニア)のリストラですね。そして旧SSでは「真紅の暗殺者」として少し出番のあったヤツ(エロール)をレギュラーに格上げしました。若者らしさを強調するため、ロアフレンドリーさを若干犠牲にパーカー姿での登場です。ヴェスイウスという姓で気づいた方もいるかもしれませんが、いちおうSkyrimに登場したサイラス・ヴェスイウスの祖先という(当ブログ時空における)設定になります。
 牢獄スタートで名実ともにメイン主人公の座を獲得したちびのノルドことアリシアは若干設定を変えてます。見た目からしてフルフェイスから仮面のみへの変更、腕に包帯を巻いてる等(このへんはBlenderを使ってModを改造しました)の変化があるんですが、設定的にも過去の厳しい訓練を原因とする後遺症を抱えていたり、スクゥーマ中毒だったりと幾つかのダメージを負っています(このあたりの描写は五話目以降に登場予定です)。これは旧SS執筆以前の草稿にあった設定で、旧SSは「全クエストをフォローする!」という無謀極まりないコンセプトで進めていた関係上、ダメージ設定が長編に向かないという判断から削除したのですが、今回は全12話という短い構成なので復活させました。
 ドレイクはほとんど旧SSの設定を引き継いでますね。そもそも旧SSではクヴァッチ到達後に「オブリビオン界に幽閉された恋人を助ける」という目的が明かされる予定で、まだそこまで到達してないので、設定もクソもないんですが(笑)ただ新SSではドレイクの過去に関するエピソードを拾いきれないので、そのうち旧SSのほうで補間したいとは考えてるんですが。

 ゲーム本編との設定の差異なんかについては、下の各話解説で触れていきます。




矢を叩き落す描写のテスト撮影








散らかったエロールの部屋



  第一話『はじまりの刻』

 冒頭一枚目、二つの月の下での捕り物はちびのノルドが負傷したときの様子です。主人公が売人に刺されるシーンからはじまるSS。
 レノルト指揮官が若干性格キツめに描写されてますが、ゲーム本編でもこんな感じだから仕方ない。「ブレイズが一般には知られていない秘密組織」と書いてますが、これはSS独自の設定です。もっとも、実態があまりよく知られていないのは確かみたいですが。
 ブレイズの面々とは別に看守がいるのもSS独自の設定です。「他の独房が満杯で云々~」といった台詞も。そして例のボズマーはリストラです。
 ユリエル七世が「ちびのノルドの存在が予知と喰い違っている」と言ったのは、ここで旧SSと明確に未来が分岐したことを示唆しています。それに続く台詞は今後の展開に関わるので、今は割愛。
 ドレイク登場シーンでセンセイが口にした「実の弟でさえその手にかけた~」というのは勿論、旧SSにおけるシャドウスケイルの実弟ファングとの確執を指したものです。そこを説明してしまうと長尺を割くことになるので、今回はチラッと触れるだけの扱いです。
 そして今回新たにレギュラーの座を獲得したエロール、見るからのコメディリリーフです。その前のシーンでハードボイルド臭をぶり撒いてたドレイクとの落差が酷い。








陛下を守護るボーラス(守護れなかった)



  第二話『監獄脱出』

 寝ていて気づかなかった、という理由でチュートリアルを総破棄する暴挙。
 ゲーム本編では必ず死んでしまう、某馬泥棒並に不運なレノルト指揮官が生存です。といっても、今後重要な役割が与えられるということもないのですが。グレンロイが両手剣使いというのは独自設定で、実際は他の隊員とおなじく片手剣使いです。たしかジョフリーが両手剣だったかな。
 細かい部分ですが、ちびのノルド登場シーンで吹っ飛ぶ暗殺者のうち一人は自作のポーズを使ってます。目立たないけど。そのうちもう一回使う予定。
 下水道を走るシーンでちびのノルドが王家のアミュレットを身につけてますが、本SSでは「身につけることは誰でも可能だが、本来の力を発揮するにはアレッシアの直系でないと駄目」という位置づけになります。だって首にかけようとすると自然に外れるとか幾らなんでも画的にホラー過ぎるし。
 ちなみにゲーム本編の自然に外れる描写はプレイヤーが装備しようとした時のみ発生するので、他のNPCに渡して状態を更新すると普通に装備しやがります。楽園でキャモランが装備してたのは…実はあれ、所持品に入れてたら装備しちゃったとかいうミスじゃねぇの?って気がしないでもないんですが(笑)どうなんでしょうね。ベセスダはそういうニアミスをけっこう普通にやらかすしなあ。
 そして世界線が変わっても相変わらず股間を蹴られるエロール、しかも今回は湖に投棄されるという追い討ちが発生。わかめを巻かず寝てしまったぼのぼのみたいに流されてく破目に。








敵に見つかってたらかなりヤバかった状況



  第三話『集結前夜』

 こいつ倒れてばっかだな。
 この話で注目すべきは都市間の距離です。
 Oblivionでのシロディールは快適なゲームプレイを優先して実際よりもミニマムに描かれている、という想定のもと(そうじゃないとシロディール人口少なすぎ問題だし…)、おそらく実寸に近いスケールで描かれているであろう一作目のArenaを参考におおまかな実寸距離を算出。といってもArenaのシロディールは帝都しか存在しないので、だいたい帝都からコロールと同じくらい距離が離れている(であろう)エルスウェーアのオークレスト⇔デューン間を参考にしました。コロールとクヴァッチの距離もだいたいそんな感じでおおまかに計算してます。
 どちらもだいたい400km前後の距離で、これは日本に例えると東京から大阪までの(直線)距離に匹敵します。ちびのノルドはこれをほぼ休まず半月で走破しました。彼女はもうちょっと人生を楽に捉えるべきだと思う。
 なおSkyrimではあっという間に到達できるリバーウッド⇔ホワイトラン間はArenaだと180km、移動には馬で三日かかります。
 まあここまで書いといてナンですが、色々無理があるのはわかってるので、飽くまで雰囲気で楽しんで頂ければ幸いです。
 ウェイノン修道院で出したお茶は、Mount and Blade: Warband用のMOD「The Red Wars」からMeshを移植しました。意外とありそうでない小道具ですよね。

 エロールはレイヴン・キャモラン直々の怒りを買い、家を燃やされました。いちおう(画面写真を見て気づいた人はいるかもしれませんが)モラグ・バルのメイスの所有者で、戦闘能力は高く忠誠もそれなりにあったので組織内ではそこそこ評価されてたっぽいんですが、なにせバカで肝心なときに役に立たないので破門です。
 ちなみにエロールの家はゲーム内で購入できる帝都港湾地区の自宅です。いちばん安いやつ。ヘンなところで主人公アピール&さもしい男の一人暮らしという無闇に生々しい設定を持ち込みつつ。

 ドレイクが口走った「この邪気は……!?」は、もちろんゾンビがリベンジなアノお方へのリスペクトなのであった。
 なお、タイトルの前夜とはたんに前日の夜という意味ではなく、物事が起きる直前であることを意味する比喩です。念のため。




お茶ドゾー( ´・ω・)⊃旦








難民キャンプの様相を呈す教会



  第四話『クヴァッチの戦い』

 更新に時間がかかりました。すげー面倒臭かったから。たぶん、全12話中で一番面倒臭いシーンだと思います。
 とにかく一画面中に写るキャラの数が多いのと、戦闘シーンも噛ませてあるので制御が難しく、さらにクヴァッチ自体が処理の重いマップってこともあり、強制終了の脅威とも戦いながらの撮影でした。いちおうモブにも隙なく演技をさせてるので、あんまり写ってないような部分にもけっこう労力を割いてるんですよ。
 本SSではオブリビオンの門を閉じずにクヴァッチ城の戦いを展開しているので、空が赤いです。その他に設定も色々変えてる、というか、このへんは変えてない部分のほうが少ないので説明は割愛します。
 矢を叩き折るシーンですが、これは実際に折れた矢三種類を自作(バニラのMeshを改造)して配置してます。また、このときのちびのノルドのポーズは自作したものです。
 エロールの変身シーンのポーズも自作ですね。これは普段着姿のエロールに深遠の暁鎧装備のエロール(コンソールコマンドで透明度を変更した)を同じポーズ&同じ座標で重ね、さらにコンソールからEffect Shaderをかけました。変身ポーズの元ネタはもちろんブレイド。「ヘシン!」と書かなかったのは良心。
 本当は自作ポーズとEffect Shaderを併用してライトニングソニックの再現でもやろうかと思ってたんですが、あまりネタに走りすぎると違和感しかないので自粛しました。
 なお本SSではクヴァッチで攻城兵器は使われず、たんにデイドラたちの侵攻で破壊された、という筋書きになっています。それだけヤバイ相手だ、という点を強調してるんですが、そのへんを戦闘シーンで活かせなかったのが反省点です。




今日の天気予報は「オブリビオン」のち「矢の雨」が降るでしょう




ちびのノルド&エロール。旧SSから割と気の合うコンビ







 まあこんな感じで、今後も何話か毎に解説を入れていきたいと思います。
 四話づつで全三回かなあ。たぶん八話目でブルーマ防衛の直前あたりまでいくと思います。とりあえず次回でようやく主人公三人が顔を合わせるので、ここから本格的にストーリーが進んでいくかなあという感じですね。
















2018/04/27 (Fri)03:09





The Elder Scrolls IV: Oblivion
Fan Fiction "Crossing Over" #4

- エルダースクロールズ4:オブリビオン -

Side Story【クロッシングオーバー】

第四話 「クヴァッチの戦い」









「こ、これは、いったい……?」
 スキングラードを出て、馬を走らせてから四日ほど経ったろうか。
 扱いやすい小柄な馬をあてがわれたのが災いしたか、標準的なサイズの馬であればもう少し早く到着できたところを…そうちびのノルドは思ったが、それはいま悔やんでも仕方のないことだ。
 それでも可能な限り急いでは来たが、肝心の馬が倒れては元も子もない。
 焦る気持ちを抑えつつ、ときおり小休止を挟んでの移動だった。
 そして、いま…山頂にそびえるクヴァッチ城壁の門前に、禍々しい存在感を放つ魔界の門…オブリビオン・ゲートを目の当たりにしたちびのノルドは、心の動揺を抑えきれないでいた。






 オブリビオンの門のまわりには異形の怪物…“デイドラ”たちの亡骸が転がり、周囲に息のある者はいない。
 化物たちはいずれも鋭利な刃物で両断されており、手練の戦士がこの場にいたことは明白である。
「いったい、誰が…?」
 馬を下りたちびのノルドは城壁の門を開け、その先に廃墟と化した街並みが広がっているのを見た。それが異界の魔物たちの襲撃による産物であることは目に見えて明らかだった。
 あちこちで燻る炎を避けながら、ちびのノルドは嫌がるように首を振る馬をどうにか廃屋の一つに繋ぎ留め、このあたりで唯一無事な建物である教会へと足を踏み入れた。






「誰だっ!?」
 ギイィ、という扉の開閉音に混じって、ちびのノルドの正体を誰何する逼迫した声が発せられる。それはまだ、魔物を相手に戦っている人間が残っていることを証明していた。
 ちびのノルドの姿を見て…魔物ではなかったからだろう…抜きかけた剣をおさめる衛兵、その背後には難民と思われる非武装の人間たちが肩を寄せ合って身を震わせている。
 武装した衛兵数名の姿を確認したちびのノルドは、この教会は魔物の侵入を許していないらしいことを悟り、とくに理由があるわけではなかったが、“聖域”という単語を脳裏に思い浮かべた。
 事実、この場は生存者たちに残された唯一の聖域ではあったのが。
 今は、まだ。
「あの、わたし、アリシアといいます。この街の教会にお勤めしている、マーティンという神父様に用事がありまして…でも、まさか、こんなことになっているなんて……」
「マーティンに?」
 おそらくは顔馴染みなのだろう、隊長格の衛兵…サヴリアン・マティウスは驚いたような表情を見せ、避難民に混じって怪我人の治療にあたっている男のほうをチラと見やった。
 その視線の先に…いた。ちびのノルドは驚く、髪が白くなっていないこと、皺がないことを除けば、まさしくユリエル・セプティム七世に瓜二つ、生き写しと言っても良いほどに似た顔つきの神父がそこにいた。






 マーティンの近くで同じように怪我人の治療にあたっていた、赤い服の男が一瞬こちらを見てイヤそうな顔つきをしたが、そのことがちびのノルドの気に留まることはなかった。
 さて、どうしようか…ちびのノルドは頭を悩ませる。
 おそらく、このままマーティン一人をクヴァッチから脱出させ、ウェイノン修道院へ連れていくことは可能だ。
 だが、それで良いのか?
 予定に遅れが生じることは好ましくない、ジョフリーならそう考えるかもしれない…しかし、この街の、この状況を放ってはおけなかった。
「あの…この街の状況は、いま、どうなっていますか?」
「なんだって?」
 真剣な眼差しで問うちびのノルドに、サヴリアンはまたしても驚きの声をあげる。
 自分が兵隊に信頼されるような見た目をしていない、そのことはちびのノルドが一番よく理解していた。ずっとこの身体で生きてきたのだ。
「わたし、こう見えても戦士です。傭兵です、戦えます。力になりたいんです」
「傭兵だって?たとえ魔物どもを駆逐できたとしても、報酬を支払えるかどうかなんて…」
「いいんです、いまは。そういう話は後にしましょう」
 サヴリアンは熟考の唸り声をあげ、ちびのノルドを観察する。
 その目つきから、彼がちびのノルドを戦力外だと判断しているのは明らかだった。そのことは驚くべきことでもなんでもなかったが。
「ところで」サヴリアンが言う。「ここへ来るまでに、魔物に襲われたか?」
「…?いいえ。死体はたくさん転がっていましたが」
「そうか。ということは、あの男はまだ中で戦っているらしいな」
「?」
「しばらく前、アルゴニアンの男がやってきて、オブリビオンの門から続々と現れる魔物たちを一瞬で斬り捨てると、俺たちの制止も聞かずに一人で門の中へ飛び込んでいったんだ」






「なんて無茶を…」
「その通りだ。だが、あの門からまだ魔物が溢れてこないところを見ると、まだそいつが侵略を食い止めてくれてるようだ」
 驚くべき話だった。義憤か、それとも蛮勇の成せる所業か?
 少なくとも、いまこの場にいる人間はアルゴニアンの男が生きて戻ってくるとは考えていなかった。
「さて、この街の状況についてだったな」
 どうやらちびのノルドを疑っても仕方がないらしいと考えた(あるいはこの際、猫の手でも借りようと思ったか)サヴリアンは説明をはじめた。
「四日前、クヴァッチの門の前に突然オブリビオンの門が出現した。理由はわからん。次々と現れる魔物に街は破壊され、大勢の死者が出た。衛兵隊と市民の生き残りはこの教会に避難できたが、城にはまだ逃げ遅れた兵士と伯爵が残されている」
 四日前、空が赤く染まったのと同じタイミングだ、とちびのノルドはひとりごちる。
 やはりあれはオブリビオンの門が開いた影響によるものだったのか…
「アルゴニアンの男がデイドラの侵攻を食い止めているなら…我々はいまいちど、クヴァッチ城奪還のための戦いに赴くつもりだ。背後の心配をしなくて済むうちに」
「えっ!?」
「生き残った市民のうちの何人かは別の都市へ避難させることもできるだろう。だが、いますぐここを動かせない怪我人も多い。食料も医療品も不足している。他の都市からの支援を待っていては、おそらく手遅れになる。防戦一方では、そのうち自滅するだけだ」
「しかし…」
「なにより、領主を城に残したまま兵隊だけ逃げるわけにはいかない。そうだろう?我々は全滅覚悟で城を奪還するつもりだが、危険なのはここに居ても同じことだ。そういう状況で、きみは我々に協力を申し出るつもりなのか?」
「はい」
「いやに迷いなく返事をしたな。だが、こんな危険を冒してまで我々に協力する利点がきみにあるのかね?」
「…ここにいる人たちを助けたいから、では、駄目ですか?」
「駄目ではないが」
 その英雄願望は高くつくぞ。
 ちびのノルドにそう言うかわり、サヴリアンは講堂内にいる生存者たちを見回すと、大声を張り上げた。
「レディス・アンド・ジェントルメン、戦争の時間だ!すでにたっぷり休養は取れたものと思う、前もって言っておくが、この戦いには志願した者だけを連れて行く!兵隊だろうと市民だろうと、武器を取って戦える、我こそはと思う者は俺のところへ来い!」
 そして、ちびのノルドのほうを振り返る。
「きみは大丈夫か?さっき到着したばかりだが、休む必要があるなら、いまのうちに少しでも休んでおくといい。腹が減ってるなら、まだ食料が幾らか残っているはずだ…それくらいはしてやれる」
「あ、お気遣いなく。わたしもいま、けっこう昂ぶってるんで」
「ハハッ、頼もしい限りだ。ところできみは最初、マーティン神父に用があると言っていたが?」
「後にしましょう。彼がここに残るなら、わたしが急ぐ必要はないですから」
 やがて武装した衛兵に加え、乱雑に集められた装備…おそらく死者のものだ…の中から選んだ武器や防具を身につけた者たちが次々に戦列に加わる。
 しかし誰しもがその表情に色濃い疲労を残しており、決して万全なコンディションではないことが窺えた。だが、常に理想的な状況で臨めるほど戦場は甘くない。
 ちびのノルドが言う。
「…衛兵の数が少ないですね」
「アルゴニアンの戦士が訪れるまえ、偵察隊をオブリビオン界へ送り込んだのだ。いまのところ、誰一人、帰ってきていない…思えば、それが大きな失策の一つだった」
 しばらくして志願者が一定数集まったことを確認すると、サヴリアンを先頭に一向は教会の扉を開け、クヴァッチ城へ向けて進軍をはじめた。






 街路地には惨殺された市民の亡骸が散乱し、崩壊した建物から噴き出す炎が街を焼いている。
 おそらく街に火を放ったのはアトロナック…炎の精霊だろう。
 オブリビオン界の住民たるデイドラは、たとえ最下級の存在でさえ並の戦士を凌駕する戦闘能力を有している。それが湯水のように湧き溢れて出たのだ、僅か数日で街が廃墟と化したのも必然であったろう。
 人間の、人間の文明の、なんと脆いことか。
「ところで、君も余所者だろう?わざわざ戦いに参加しなくても…」
「いやあ、いいんです。たぶん、これも運命ってやつスよ」
 ちびのノルドが感傷に浸っていた横で、サヴリアンが赤い服の青年に声をかけている。
 たしか彼はマーティンと一緒に負傷者を治療していたはずだ。魔法を使っていたが、てっきりヒーラーかと思っていたが…鎧も着ず、魔道具を携帯している気配もない、戦えるのだろうか?ちびのノルドは首を捻った。
 彼女の視線を察したのか、赤い服の青年はふたたび渋面を向けてくる。
 なんだろう、彼に恨まれるようなことをしただろうか?…どこかで会っただろうか?ちびのノルドは頭を悩ませたが、それらしい記憶を掘り起こすことはできなかった。
 やがて頑丈に閉ざされたクヴァッチ城の門の前に辿り着き、一行は一斉に盾を構える。
 サヴリアンが言う。
「いま、別働隊が地下通路を通って城門の開閉装置に向かっているところだ。間もなく門が開かれるだろう」そしてちびのノルドを見つめ、「君は盾を持っていないのか?ドレモラと呼ばれる連中が城壁の上に陣取って弓を構えている、城門が開放された途端、一斉に射ってくるぞ?」
「あ、大丈夫です」動揺した様子もなく、片手を振って答えるちびのノルド。「わたし、平気なんで」
「平気って…どういうことだ」
 その質問にちびのノルドが答えるより早く、城門が軋んだ金属音を立てながら上昇していく。
 生き残りのクヴァッチ衛兵、そして市民からなる志願兵の表情がこわばる。やがて風を切り裂く音とともに、無数の矢が降り注いだ!






「ハアァァァーーーッッ、ヤッ!!!」
 兵士たちの構える盾に矢が突き刺さる音に混じり、ちびのノルドが矢を掴んで折り、叩き落とす破砕音が響く!
 なんという業(ワザ)だ…!?
 その場にいた全員が、凄まじいスピードで飛来する矢を精確に無力化しながら果敢に前進するちびのノルドの姿に吃驚する。
 やがて矢が尽きはじめたのか、敵の攻撃の手が緩くなったとき、赤い服の青年が針千本のような有様になった盾を投げ捨て、ちびのノルドに続いて他の者より前に出る。
「こうなったら…俺もちょっと本気出すしかねーよなぁ…ッ?」
 まるで目立ちたいがためのように…実際、そうだったのだが…中庭に躍り出た赤い服の青年、エロールは大袈裟な身振りでポーズを取ると、キリリと表情を引き締め、呪文を口にした!






「ヘンシン!」
 赤い煙と空間の歪みを伴い、エロールの身体を禍々しいフォルムの鎧が包む。
 果たして、そこに姿を現したのは…ちびのノルドが帝都地下下水道を出た直後に遭遇した、真紅の暗殺者であった!
「あっ、あなたは……!?」
「ま、待ってくれ!」驚きの声とともに拳をかまえるちびのノルドに、魔装鎧殻(まそうがいかく)を纏ったエロールは腰を抜かしたような姿勢でストップをかける。「俺は敵じゃあない、だから、金玉を蹴るのはやめてくれないか!?」
「蹴りませんよ、そんなところ!」
「蹴ったじゃないか、蹴ったじゃないか!あのとき!ていうか、湖に投げこまれたあと、割とマジで死にかけたんだぞ!?」
 敵陣の只中で突然言い合いをはじめる二人に、兵士たちは唖然とする。
 なにやってんだ、こいつら?
「敵じゃあないなら…というか、こんなところで、なにやってんですか」エロールに問うちびのノルド。
「話すと長くなるが、じつはあの後…」
 説明をはじめるエロールだが、その無防備な姿目がけて矢が放たれ、寸でのところで命中するところだったのをどうにか避ける。
「じつは、あの後…」
 説明を再開しようとしたエロール目がけて、今度は子鬼のような姿のデイドラ“スキャンプ”の放つ火球が飛来し、エロールはその攻撃を咄嗟にメイスで防ぐ。
「じつはな、あの後…」
 ふたたび説明を再開しようとしたエロール目がけて、今度はエリマキトカゲのような外観のデイドラ“クランフィア”が襲いかかり、エロールは振りかぶったメイスでその頭部を叩き割る。
「……ッ、あー、もう!説明は後だ、今はとりあえず俺を信用してくれ!」
 無茶言うな。
 そう言いかけたちびのノルドだったが、状況が状況だけに、いまエロールの正体や狙いを勘繰っている暇はない。リスクはあるが、今は信用せざるを得ないようだった。
「サヴリアンさん、わたしと彼が城内に突入します!中庭の確保を頼みます!」
「エッ、あ、わ、わかった!」
 ちびのノルドの提案に口を挟む間もなく、サヴリアンと兵士たちは頷く。
 飛来する矢や魔法攻撃を避けつつ、ちびのノルドとエロールはクヴァッチ城の正面扉からまっすぐに城内へと侵入した。






 城内はデイドラの攻撃によって荒廃しており、街の様子とおなじく酷い有様になっていた。
 いまだに数多くのデイドラが徘徊し、周囲には兵士や使用人の死体が乱雑に放置されている。生存者がいる気配はない。
 侵入者の気配を察知したデイドラたちによってあっという間に囲まれてしまったちびのノルドとエロールは、それぞれ戦いの構えをとり反撃の用意を整える。
 エロールが叫んだ。
「円周防御だ、背中合わせに180度づつ!ロックンロール!」
「エッ!?」
「聞こえたろ?」
 疑問の声をあげるちびのノルド、しかしエロールは反論を挟む余地を与えない。
 ちびのノルドが疑問を感じたのは、作戦そのものではない、“背中合わせ”という点だ。信頼できない人間に背中を向けるほど危険なことはない、まして、相手が皇帝暗殺を企てていた暗殺者なら尚のことだ。
 しかしエロールは何一つ躊躇なく、ちびのノルドにぴたりと背中をくっつけている。彼女を信用しているのか、それとも、何も考えていないのか。たぶん、何も考えていないんだろう…ちびのノルドはそう思った。
 あまり計算高い男には見えなかった。なら、今この瞬間くらい、信じてやってもいいのかもしれない。
「ハアアァァァーーーッッ!!」
 ときの声をあげ、ちびのノルドは炎の精霊に強烈な拳撃を繰り出す。
 その一撃…鋼鉄をも粉砕する剛拳は、鎧のように炎の精霊を覆うデイドラ金属の外殻を破壊し、灼熱の肉体を四散させる。
 一方で無数に群がるクランフィアを悪魔的形状のメイスで叩き伏せていったエロールは、すこし戦闘が落ち着いたあたりで彼女に訊ねた。
「素手で炎の精霊をブン殴るなんて、おまえくらいだぞ。熱くないのか?」
「ああ…わたし、子供の頃、篝火に拳を突き立て続ける修行とかさせられてたんで。熱いのを殴るのは慣れてるんです」
「ええぇぇ……」
 壮絶な過去をさらりと口にするちびのノルドに、エロールは絶句する。
 こいつ、修行僧か何かだったのか?
 そんな疑問を頭に浮かべながらも、エロールはちびのノルドとともに城内のデイドラを掃討し、やがて領主の部屋へと辿り着く。






「チッ、遅かったか…つか、入った瞬間からわかってたよな。手遅れも甚だしい状況だってさ」
「……ええ…」
 荒らされた室内、砕けたワインボトルの破片に紛れて、血にまみれたクヴァッチの領主オーメリアス・ゴールドワイン伯の亡骸が横たわっていた。
 全身をデイドラの返り血に染めながら、ちびのノルドとエロールは言葉を無くしてその場に佇む。
 城内に生存者は残っていなかった。ただの一人も。完璧な皆殺しだった。
 とりあえず城を制圧していたデイドラたちはすべて葬った。だが…わかっている、そんなことはないとわかってはいるのだが、ちびのノルドは、自分たちのやったことが何も意味を成さなかったのではないかと思わずにはいられなかった。
 そんな彼女の心情を察したのか、エロールはちびのノルドの肩を叩くと、部屋を出るよう促した。
「こうなっちまった以上、いつまでもこんなところにいたって仕方がないぜ。とりあえず、サヴリアン隊長に報告しに行こう」
「……うん」
 哀しげに頷き、ちびのノルドはゴールドワイン伯爵の亡骸に背を向ける。その表情は、鋼鉄の仮面に遮られて窺うことができない。






 同じ頃、中庭の戦いにも決着がついていた。
 サヴリアン率いる即製のクヴァッチ城奪還部隊が勝利し、魔界の眷属たちはみな地獄へ叩き返された。しかし、人間側の被害も甚大であった。





【 To be continued ... 】










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